(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】電子タグの貼付装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20221214BHJP
B65C 9/02 20060101ALI20221214BHJP
B65C 9/46 20060101ALI20221214BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
G06K7/10 276
B65C9/02
B65C9/46
G06K19/077 136
G06K19/077 224
(21)【出願番号】P 2019025750
(22)【出願日】2019-02-15
(62)【分割の表示】P 2018194639の分割
【原出願日】2018-10-15
【審査請求日】2021-10-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592094519
【氏名又は名称】ダイオーエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】別府 幸紀
(72)【発明者】
【氏名】大内 博英
(72)【発明者】
【氏名】西山 英司
(72)【発明者】
【氏名】野口 竣太郎
(72)【発明者】
【氏名】小山 真
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亮人
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-245923(JP,A)
【文献】特開2010-211479(JP,A)
【文献】特開2008-114904(JP,A)
【文献】特開2005-104521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00- 7/14
B65C 1/00-11/06
G06K 19/00-19/18
G06K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着部を有する電子タグを順次供給する電子タグ供給部と、
前記電子タグ供給部から供給される電子タグを、貼付対象である対象物に貼付する、貼付部と、
前記対象物を搬送する対象物コンベヤと、を備え、
前記貼付部は、
前記電子タグ供給部から供給される電子タグを受け取り、前記対象物コンベヤ上を搬送される前記対象物に貼付するロボットと、
前記対象物コンベヤにおける、前記ロボットの貼付可能範囲よりも上流側に、前記対象物コンベヤ上を搬送される前記対象物を撮像する撮像装置とを有し、
前記対象物の画像情報と、その対象物における指定貼付位置とが関連付けて記憶された、記憶部をさらに備え、
前記ロボットは、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びこれらの各軸を中心とする回転方向の運動を含む6以上の自由度のロボットであり、
前記指定貼付位置は、前記対象物の側面を含む範囲から指定された位置であり、
画像認識により前記撮像装置による撮像情報と前記記憶部に記憶された前記対象物の画像情報とを比較し、前記対象物コンベヤ上に前記対象物を認識したときには、その認識した対象物と関連付けられた指定貼付位置を前記記憶部から読み出すとともに、前記対象物コンベヤ上における前記対象物の位置を検知し、前記指定貼付位置と前記対象物の位置とに基づいて、前記ロボットは、前記電子タグを、前記対象物コンベヤ上を搬送される対象物における指定貼付位置に貼付する、
ことを特徴とする、電子タグの貼付装置。
【請求項2】
粘着部を有する電子タグを順次供給する電子タグ供給部と、
前記電子タグ供給部から供給される電子タグを、貼付対象である対象物に貼付する、貼付部と、
前記対象物を搬送する対象物コンベヤと、を備え、
前記貼付部は、
前記電子タグ供給部から供給される電子タグを受け取り、前記対象物コンベヤ上を搬送される前記対象物に貼付するロボットと、
前記対象物コンベヤにおける、前記ロボットの貼付可能範囲よりも上流側に、前記対象物コンベヤ上を搬送される前記対象物を撮像する撮像装置とを有し、
前記対象物の画像情報と、その対象物における指定貼付位置とが関連付けて記憶された、記憶部をさらに備え、
前記指定貼付位置は、前記対象物に付加された個別情報の検出面と同一面かつ個別情報と重ならない位置、又は前記対象物に付加された個別情報の検出面と異なる面上の位置であり、
画像認識により前記撮像装置による撮像情報と前記記憶部に記憶された前記対象物の画像情報とを比較し、前記対象物コンベヤ上に前記対象物を認識したときには、その認識した対象物と関連付けられた指定貼付位置を前記記憶部から読み出すとともに、前記対象物コンベヤ上における前記対象物の位置を検知し、前記指定貼付位置と前記対象物の位置とに基づいて、前記ロボットは、前記電子タグを、前記対象物コンベヤ上を搬送される対象物における指定貼付位置に貼付する、
ことを特徴とする、電子タグの貼付装置。
【請求項3】
粘着部を有する電子タグを順次供給する電子タグ供給部と、
前記電子タグ供給部から供給される電子タグを、貼付対象である対象物に貼付する、貼付部と、
前記対象物を搬送する対象物コンベヤと、
前記対象物コンベヤによる前記対象物の搬送空間以外に、廃棄する電子タグを貼り付けておくための仮貼付部と、を備え、
前記貼付部は、
前記電子タグ供給部から供給される電子タグを受け取り、前記対象物コンベヤ上を搬送される前記対象物に貼付するロボットと、
前記対象物コンベヤにおける、前記ロボットの貼付可能範囲よりも上流側に、前記対象物コンベヤ上を搬送される前記対象物を撮像する撮像装置とを有し、
前記対象物の画像情報と、その対象物における指定貼付位置とが関連付けて記憶された、記憶部をさらに備え、
画像認識により前記撮像装置による撮像情報と前記記憶部に記憶された前記対象物の画像情報とを比較し、前記対象物コンベヤ上に前記対象物を認識したときには、その認識した対象物と関連付けられた指定貼付位置を前記記憶部から読み出すとともに、前記対象物コンベヤ上における前記対象物の位置を検知し、前記指定貼付位置と前記対象物の位置とに基づいて、前記ロボットは、前記電子タグを、前記対象物コンベヤ上を搬送される対象物における指定貼付位置に貼付し、
前記
対象物コンベヤにおける前記撮像装置よりも上流側に設けられた個別情報センサにより前記
対象物の個別情報を検出した後、前記対象物が前記ロボットの貼付可能範囲を通過するまで前記指定貼付位置の読み出しがなかったときに、前記ロボットが受け取った前記電子タグを前記仮貼付部に貼付させるとともに、その電子タグを貼付することが予定されていた対象物は電子タグを貼付せずに前記対象物コンベヤから排出させる、
ことを特徴とする、電子タグの貼付装置。
【請求項4】
粘着部を有する電子タグを順次供給する電子タグ供給部と、
前記電子タグ供給部から供給される電子タグを、貼付対象である対象物に貼付する、貼付部と、
前記対象物を搬送する対象物コンベヤと、
前記貼付部は、
前記電子タグ供給部から供給される電子タグを受け取り、前記対象物コンベヤ上を搬送される前記対象物に貼付するロボットと、
前記対象物コンベヤにおける、前記ロボットの貼付可能範囲よりも上流側に、前記対象物コンベヤ上を搬送される前記対象物を撮像する撮像装置とを有し、
前記対象物の画像情報と、その対象物における指定貼付位置とが関連付けて記憶された、記憶部をさらに備え、
前記指定貼付位置は、前記対象物に付加された個別情報と一部又は全部が重なる位置であり、
画像認識により前記撮像装置による撮像情報と前記記憶部に記憶された前記対象物の画像情報とを比較し、前記対象物コンベヤ上に前記対象物を認識したときには、その認識した対象物と関連付けられた指定貼付位置を前記記憶部から読み出すとともに、前記対象物コンベヤ上における前記対象物の位置を検知し、前記指定貼付位置と前記対象物の位置とに基づいて、前記ロボットは、前記電子タグを、前記対象物コンベヤ上を搬送される対象物における指定貼付位置に貼付する、
ことを特徴とする、電子タグの貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着部を有する電子タグの貼付装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電子タグ(RFタグ、ICタグ、RFラベル等ともいわれる)は、情報の記憶及び読み出しを近距離無線通信により非接触で行うためにICチップとこれに接続されたアンテナとを有するものである。また、電子タグは対象物に貼付するために裏面が粘着面となっているものが一般的である。RFID(Radio frequency identification)は、このような電子タグを利用し、電子タグに対する対象物の個別情報の書き込み、及び電子タグに記憶された対象物の個別情報の読取りを、無線通信により行う自動認識システムである。
【0003】
電子タグは、様々な検討及び提案がなされており、実現しているものもあれば、実現していないものもある。例えば、電子タグは、バーコード等の光学的に読取可能なタグに代わるものとして商品の個品管理への応用が期待されているが、コンビニエンスストア等のように単価の安い小売業での利用は、わが国では実現に至っていない。この主な原因は、電子タグの単価が高いことにあるが、読み取り精度の問題(商品の内容物に含まれる水や金属製商品容器等による電波の遮断)や、個別商品に対する電子タグの貼付技術の未完成等も、普及の足かせになっている。
【0004】
このうち、個別商品に対する電子タグの貼付技術については、一定の商品に対して、一定の情報(例えば、製造情報、トラック積載情報、在庫情報、販売情報、ロス情報、配送情報、消費期限情報、消費情報)が書き込まれた電子タグを貼付する技術は提案されている(例えば特許文献1~4参照)。
【0005】
しかし、複数種の貼付対象物に対して対象物の種類に応じて異なる適切な貼付位置を指定し、その指定貼付位置に電子タグを貼付する装置はなかった。
【0006】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-104521号公報
【文献】特開2007-091246号公報
【文献】特開2007-091298号公報
【文献】特開2008-044661号公報
【文献】特開2008-62965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の主たる課題は、複数種の貼付対象物に対して対象物の種類に応じて異なる適切な貼付位置を指定し、その指定貼付位置に電子タグを貼付する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<第1の態様>
粘着部を有する電子タグを順次供給する電子タグ供給部と、
前記電子タグ供給部から供給される電子タグを、貼付対象である対象物に貼付する、貼付部と、
前記対象物を搬送する対象物コンベヤと、を備え、
前記貼付部は、
前記電子タグ供給部から供給される電子タグを受け取り、前記対象物コンベヤ上を搬送される前記対象物に貼付するロボットと、
前記対象物コンベヤにおける、前記ロボットの貼付可能範囲よりも上流側に、前記対象物コンベヤ上を搬送される前記対象物を撮像する撮像装置とを有し、
前記対象物の画像情報と、その対象物における指定貼付位置とが関連付けて記憶された、記憶部をさらに備え、
画像認識により前記撮像装置による撮像情報と前記記憶部に記憶された前記対象物の画像情報とを比較し、前記対象物コンベヤ上に前記対象物を認識したときには、その認識した対象物と関連付けられた指定貼付位置を前記記憶部から読み出すとともに、前記対象物コンベヤ上における前記対象物の位置を検知し、前記指定貼付位置と前記対象物の位置とに基づいて、前記ロボットは、前記電子タグを、前記対象物コンベヤ上を搬送される対象物における指定貼付位置に貼付する、
ことを特徴とする、電子タグの貼付装置。
【0010】
(作用効果)
このように、対象物コンベヤにより対象物を搬送しつつ、その搬送中の対象物にロボットにより電子タグを貼付すると、多数の対象物を連続処理することができる。この際、撮像装置を用いて画像認識を行い、その結果に基づいてロボットが受け取った電子タグを、対象物の指定貼付位置に貼付すると、作業員が対象物コンベヤ上の対象物の位置(向きを含む)を意識せずに、対象物コンベヤ上に対象物を不規則に載せたとしても、対象物の指定貼付位置に電子タグを貼付することができる。
【0011】
<第2の態様>
前記ロボットは、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びこれらの各軸を中心とする回転方向の運動を含む6以上の自由度のロボットであり、
前記指定貼付位置は、前記対象物の側面を含む、
請求項1記載の電子タグの貼付装置。
【0012】
(作用効果)
本電子タグの貼付装置では、6以上の自由度のロボットを用いることにより、対象物の側面を含む指定貼付位置(向きを含む)に電子タグを貼り付けることができる。したがって、対象物に応じて、商品に影響しにくい位置や、通信品質が低下しにくい位置に、電子タグを貼付することができる。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
<第3の態様>
前記対象物の個別情報を検出する個別情報センサと、
前記対象物コンベヤにおける、前記個別情報センサよりも上流側に対象物の通過を検出する通過センサと、をさらに備え、
この通過センサにより対象物の通過を検知してから所定時間経過するまでに、前記個別情報センサにより前記個別情報が検出されないとき、少なくとも前記対象物コンベヤを停止する、
第1又は2の態様の電子タグの貼付装置。
【0018】
(作用効果)
対象物における目的の個別情報(一次元コード等)の位置が、個別情報センサにより検出できない面に存在していたり、個別情報が付された包装に大きな皺が寄っていたりすると、個別情報センサは個別情報を検出できず、単に対象物が対象物コンベヤ上を搬送されるだけとなる。この場合、個別情報の読み取りエラーが発生しているのか、はたまたロボットの制御に問題が発生しているのか不明である。これに対して、本態様のように、個別情報センサの上流側に配置された通過センサにより対象物の通過を検知してから所定時間経過するまでに、個別情報センサにより個別情報が検出されないときには、個別情報センサの読み取りエラーが発生しているものと判断することができる。よって、このような場合には、少なくとも対象物コンベヤを停止すると、対象物を取り出して装置始動からやり直すことにより、電子タグも無駄にならずに運転を再開することができる。
【0019】
【0020】
【0021】
<第4の態様>
前記対象物コンベヤによる前記対象物の搬送空間以外に、廃棄する電子タグを貼り付けておくための仮貼付部を有し、
前記個別情報センサにより前記個別情報を検出した後、前記対象物が前記ロボットの貼付可能範囲を通過するまで前記指定貼付位置の読み出しがなかったときに、前記ロボットが受け取った前記電子タグを前記仮貼付部に貼付させるとともに、その電子タグを貼付することが予定されていた対象物は電子タグを貼付せずに前記対象物コンベヤから排出させる、
第3の態様の電子タグの貼付装置。
【0022】
(作用効果)
画像認識のエラーや、対象物の画像と指定貼付位置が記憶部に記憶されていないこと等により、指定貼付位置の読み出しエラーが発生すると、ロボットは既に受け取っている電子タグを対象物に貼り付けることができない。しかも、ロボットが保持する電子タグに既に書き込みが完了していると、その電子タグを離してからでなければ次の処理を行うことができない。そこで、本態様のように、仮貼付部を設けておき、個別情報センサにより個別情報を検出した後、対象物がロボットの貼付可能範囲を通過するまで指定貼付位置の読み出しがなかったときには、指定貼付位置の読み出しエラーとみなして、ロボットが受け取った電子タグを仮貼付部に貼付させるとともに、対象物には電子タグを貼付せずに対象物コンベヤから排出させるのは好ましい。
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
<第5の態様>
前記電子タグ供給部は、連続帯状の剥離シートとその連続方向に所定の間隔で繰り返し貼り付けられた電子タグとを含む電子タグシートと、この電子タグシートをその連続方向に移送するとともに、移送方向下流側から順に電子タグを剥離し、ロボットに受け渡す受渡部とを有するものであり、
前記受渡部は、前記剥離シートを、前記電子タグを有する側と反対側に折り返すように案内する折り返しガイドを含み、
前記ロボットのエンドエフェクタが吸引により前記電子タグを保持する吸着部であり、
前記ロボットは、前記吸着部により前記剥離シート上の前記電子タグを吸着し、この吸着部の移動により、前記電子タグを前記剥離シートから剥離した後、前記対象物に貼り付けるものであり、
前記受渡部における前記剥離シートの折り返し開始位置よりも前側で、前記剥離シート上の電子タグに前記吸着部を吸着させた後、
前記吸着部を、前記折り返し開始位置までは前記電子タグを吸着したまま前記剥離シートとともに移動させ、前記折り返し開始位置以降は前記電子タグを吸着したまま前記剥離シートの移動方向の接線方向に前記剥離シートと同速度で移動させることにより、前記剥離シートの折り返しにより前記剥離シートから剥離した前記電子タグを前記吸着部に受け渡す構成とした、
第1~4のいずれか1つの態様の電子タグの貼付装置。
【0032】
(作用効果)
粘着部を有する電子タグは、連続帯状の剥離シートとその連続方向に所定の間隔で繰り返し貼り付けられた電子タグとを含む電子タグシートとして販売されているため、電子タグの供給部はこの電子タグシートをその連続方向に移送するとともに、移送方向下流側から順に電子タグを剥離し、ロボットに受け渡すことが好ましい。そして、このように粘着部を有する電子タグをロボットで保持する場合、ロボットのエンドエフェクタを吸着部とし、粘着部と反対面を吸着することが望ましい。
【0033】
しかし、剥離シート上に貼り付けられた電子タグをロボットの吸着部に確実に受け渡すには、強力な吸着力か、剥離を補助する機構が必要となる。そして、ロボットの吸着部に対する電子タグの受け渡し時に、電子タグの吸着位置にズレを生じると、ロボットが狙った貼付位置に貼り付けることができなくなる。
【0034】
これに対して、本態様では、ロボットの吸着部を、剥離シートの折り返し開始位置以降は電子タグを吸着したまま剥離シートの移動方向の接線方向に、剥離シートと同速度で移動させる。これにより、剥離シートの折り返しにより電子タグに働く剥離力を主に利用し、かつ吸着部が剥離シートから離れることによる力をほとんど利用せずに、吸着部で電子タグと保持して剥離シートから剥離することができる。よって、非常に簡素な仕組みでありながら、より少ない吸着力で確実な電子タグの受け渡しが可能となり、電子タグの貼付位置がズレにくいものとなる。
【0035】
【0036】
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、複数種の貼付対象物に対して対象物の種類に応じて異なる適切な貼付位置を指定し、その指定貼付位置に電子タグを貼付できるようになる、等の利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】電子タグの貼付装置を概略的に示す正面図である。
【
図2】電子タグの貼付装置を概略的に示す側面図である。
【
図4】電子タグの例を示す(a)平面図、(b)側面図、(c)底面図、(d)平面図、(e)側面図、(f)底面図である。
【
図6】電子タグを貼付した対象物を示す斜視図である。
【
図7】電子タグの貼付装置の要部を概略的に示す正面図である。
【
図8】電子タグの貼付装置の要部を概略的に示す正面図である。
【
図9】電子タグの貼付装置の要部を概略的に示す正面図である。
【
図10】電子タグの貼付装置の要部を概略的に示す正面図である。
【
図11】電子タグの貼付装置の要部を概略的に示す正面図である。
【
図12】電子タグの貼付装置を概略的に示す側面図である。
【
図13】電子タグの貼付装置を概略的に示す側面図である。
【
図14】電子タグ供給部の例を概略的に示す正面図である。
【
図15】子タグの貼付装置を概略的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、電子タグの貼付装置の例について説明する。
図1及び
図2は、電子タグの貼付装置の一例を示している。この電子タグの貼付装置1は、粘着面11を有する電子タグ10を順次供給する電子タグ供給部20と、電子タグ供給部20から供給される電子タグ10を、貼付対象である商品等の対象物50に貼付する貼付部30,40とを備えている。また、この電子タグの貼付装置1は、対象物50に関する書き込み情報を、対象物50に貼付するまでの過程にある電子タグ10に書き込むリーダライタ60と、対象物50の個別情報を検出する個別情報センサ71とを備えており、個別情報センサ71により検出した個別情報の一部又は全部、並びに検出した個別情報に関連する関連情報の少なくとも一方を含む書き込み情報を、リーダライタ60により、その個別情報の検出を行った対象物50に貼付することとなる電子タグ10に書き込む制御部90を備えている。
【0040】
したがって、本電子タグの貼付装置1では、装置内で、対象物50の個別情報を検出し、その検出結果に基づく書き込み情報を、その個別情報の検出を行った対象物50に貼付することとなる電子タグ10に書き込むものであるため、複数種の対象物50に対して順不同で電子タグ10を貼付する場合であっても、自動的に適切な情報が書き込まれた電子タグ10を貼付することができる。例えば、小売店で電子タグ10を貼付する場合、種類(大きさ、包装等)、数量等がばらばら(少量多品種)の入荷商品を、作業員が対象物50の種類が何であるかを意識せずに順次自動的に適切な情報が書き込まれた電子タグ10を貼付できるようになる。以下、各部について順に説明する。
【0041】
<貼付部>
貼付部30,40は、電子タグ10供給部から供給される電子タグ10を、貼付対象である対象物50に貼付しうる限り、ハンディタイプのラベラーのように作業員が操作するものであってもよく、この場合、個別情報センサ71やリーダライタ60を内蔵するものが好ましいが、電子タグ10供給部及び貼付部と、個別情報センサ71及びリーダライタ60の少なくとも一方を別体とすることもできる。図示例の貼付部30,40は、電子タグ10の貼付対象である対象物50を搬送する対象物コンベヤ30と、電子タグ供給部20から供給される電子タグ10を受け取り、対象物コンベヤ30上を搬送される対象物50に貼付する、ロボット40とを有するものとなっている。このように、対象物コンベヤ30により対象物50を搬送しつつ、その搬送中の対象物50にロボット40により電子タグ10を貼付すると、多数の対象物50を自動で連続処理することができる。
【0042】
<対象物コンベヤ>
対象物コンベヤ30は、駆動源の駆動力により移動体を搬送方向に移動し、移動体上の対象物50を搬送しうる限り公知のあらゆるコンベヤを用いることができ、例えば、上面が積載面となるベルトコンベヤやプレートコンベヤ等を好適に用いることができる。対象物コンベヤ30は、対象物50よりも幅広の積載面を有すると、例えば作業員が大きさの異なる多品種の対象物50を位置や向きを意識せずに載せることができるため好ましい。もちろん、対象物コンベヤ30は、対象物50の種類及び積載位置(向きを含む)が一定のものであってもよい。また対象物コンベヤ30への対象物50の積載を機械的に行うこともできる。
【0043】
対象物コンベヤ30は、
図1等に示す例のように、複数のコンベヤ31,32をつなげて構成することもできるし、
図15に示すように一つのみ設けることもできる。また、対象物コンベヤ30は、最下流にフリーローラコンベヤ33を設けておくと、対象物50はフリーローラコンベヤ33上に押し出されて停止するため、その後の作業が容易となる。
【0044】
対象物コンベヤ30は、一定の速度で連続的に搬送を行うことが望ましいが、電子タグ10の貼付タイミング等、各種のタイミングを合わせるために適宜の位置での待機時間を挟んで断続的に駆動することもできる。
【0045】
<個別情報センサ>
個別情報センサ71は、対象物50が個々に有する情報を検出できるものである限り、特に限定されるものではない。ここで、対象物50が個々に有する情報とは、対象物50から検出可能な情報を意味し、その対象物50を他の物と識別するための識別情報の他、その対象物50を他の物と識別することはできないが、その対象物50の特徴や性質等を表す属性情報の両方を含む。識別情報としては、一次元コードや二次元コードとして対象物50に付加された、商品コードやシリアルナンバー等を例示することができる。また、属性情報としては、対象物50に印刷等により付加された文字列、例えば製造年月日、消費期限、商品名等の商標の他、商品や包装の色、さらには商品重量等を例示することができる。
【0046】
例えば、個別情報センサ71は、コードリーダ、光学的文字読取装置、カラーセンサ、重量センサの少なくとも一つとすることができる。個別情報センサ71が一次元コードや二次元コード等のコードリーダである場合、その読取情報を書き込んだ電子タグ10を貼付することができる。よって、例えば小売事業者が、販売商品にこのような電子タグ10を貼付することにより、レジ・検品・棚卸業務や、防犯ゲートを用いた万引防止等における商品識別を、非接触で多数の商品をまとめて一度に行うことができる。また、個別情報センサ71が光学的文字読取装置である場合、対象物50(通常は商品外装又は商品自体)に付された、商品サイズや商品の色、内容量、製造日や消費期限等の表記を読み取り、その読取情報を書き込んだ電子タグ10を貼付することができる。さらに、個別情報センサ71がカラーセンサである場合には、対象物50の色に関する情報を書き込んだ電子タグ10を貼付することができ、個別情報センサ71が重量センサである場合、対象物50の重量に関する情報を書き込んだ電子タグ10を貼付することができる。よって、例えば小売事業者が、販売商品にこれらの電子タグ10を貼付することにより、通常付される一次元コードや二次元コードに含まれない個別情報に基づいて商品管理を行うことができる。
【0047】
個別情報センサ71による検出対象としては、少なくとも識別情報を含むことが好ましく、識別情報と属性情報の両方を含むとより好ましい。
【0048】
コードリーダ、光学的文字読取装置、及びカラーセンサは、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像センサ(イメージセンサ)を用いて実現することが好ましい。撮像センサを用いた方式では、広範囲の検出が可能になるだけでなく、複数種類の検出対象を検出する多目的リーダとして活用することができる。つまり、この場合、検出対象別にセンサを設けることなく、一つのセンサで一次元コード又は二次元コード、文字及び色を検出することも可能となる。もちろん、個別情報センサ71はイメージセンサに限られるものではなく、例えばコードリーダの場合にはレーザスキャン方式等の公知の各種センサを用いることができる。
【0049】
個別情報センサ71は、対象物50のあらゆる面を検出できることが好ましい。このため、対象物50を対象物コンベヤ30により搬送しつつ個別情報センサ71による検出を行う場合、
図1等に示す装置構成とするのは好ましい。すなわち、この電子タグの貼付装置1は、対象物50を搬送する第1対象物コンベヤ31と、この第1対象物コンベヤ31の下流側に隙間を空けて連なり、第1対象物コンベヤ31から送り出される対象物50を受け取り搬送する第2対象物コンベヤ32と、を有し、個別情報センサ71は、第1対象物コンベヤ31と第2対象物コンベヤ32との隙間を通して、対象物50の下方から対象物50の個別情報を検出する下方センサ71Lと、ロボット40の貼付可能範囲よりも上流側で対象物50の上方から対象物50の個別情報を検出する上方センサ71Uとを含むものである。
【0050】
このように、対象物コンベヤ30を第1対象物コンベヤ31と第2対象物コンベヤ32とに分けるだけでなく、その受渡部分の隙間を利用することにより上下両方から対象物50の個別情報の検出を行うことができるため、対象物50における個別情報の位置が上下異なる複数種の貼付対象物50を、上下の向きを意識することなく連続処理することができる。
【0051】
特に、個別情報センサ71に撮像センサを用いて広範囲での検出が可能な場合、
図2に示すように、対象物コンベヤ30を挟んでCD方向一方の斜め上から検出を行う上方センサ71Uと、CD方向他方の斜め上から検出を行う上方センサ71Uと、対象物コンベヤ30の直下から検出を行う下方センサ71Lとを設けることにより、3つのセンサで対象物50の4面の検出を行うことができるため好ましい。つまり、
図6(a)(b)(c)に示すように、対象物50の上面、側面、及び下面の個別情報を検出することができる。なお、MD方向は機械方向(搬送方向)を意味し、CD方向はMD方向と直交する横方向を意味する。
【0052】
<電子タグ供給部>
電子タグ供給部20は特に限定されるものではなく、貼付部30,40に対して電子タグ10を供給できる限り、公知のあらゆる供給機構(例えば特許文献1~5記載のもの等)を採用することができる。
図3は、電子タグロール23Rを取り付けて使用する電子タグ供給部20の一例を示している。電子タグロール23Rは、連続帯状の電子タグシート15がロール状に巻き取られたものであり、電子タグシート15は連続帯状の剥離シート16の連続方向に所定の間隔で繰り返し貼り付けられた電子タグ10を有するものである。電子タグロール23Rは、図示しない回転軸に回転可能に支持される。
【0053】
また、この電子タグ供給部20は、後述するロボット40により対象物50に電子タグを貼付する場合を想定したものであり、電子タグシート15をその連続方向に移送するとともに、移送方向下流側から順に電子タグ10を剥離し、ロボット40に受け渡す受渡部と、電子タグ10を剥離した後の、連続帯状の剥離シート16を巻き取る巻取軸23Wとを有している。受渡部は、剥離シート16を、電子タグ10を有する側と反対側に折り返すように案内する折り返しガイド23G(図示例のような板状のもののほか、回転する軸や回転しない軸でもよい)を含むものであり、剥離シート16の折り返しにより電子タグシート15の剥離がなされるようになっている。巻取軸23Wは、図示しないステッピングモータで回転駆動されるようになっており、先頭の電子タグ10が剥離される度に、適宜の制御タイミングで後続の電子タグ10が先頭の位置に移動するように(つまり一枚分ずつ)巻き取りがなされるようになっている。
【0054】
電子タグシート15は、電子タグロール23Rから繰り出された後、折り返しガイド23Gで鋭角に折り返される。この折り返しの際に、剛性のある電子タグ10が剥離シート16から自然に剥離するため、ロボット40に対して直接又はベルトコンベヤ等を介して間接的に受け渡すことができる。電子タグ10が剥離された後に残る剥離シート16は、巻取軸23Wに巻き取られる。
【0055】
電子タグ供給部20は、電子タグシート15上の電子タグ10の表面(非粘着面11)に、小売店のロゴや電子タグ10に関する説明、これに関連するWEBサイトへ誘導するための二次元コード等の所定の付加情報を印刷するためのプリンタ23Pを備えることができる。これにより、使用する分だけ電子タグ10に付加情報を順次印刷することができる。
【0056】
<電子タグ>
電子タグ10は粘着面11を有するものであれば、その形状、構造は特に限定されるものではなく、公知の電子タグ10を適宜使用することができる。例えば電子タグ10の形状は、
図4(a)~(c)示す例や、
図4(d)~(f)示す例のように角をとった長方形のものが一般的であるが、これに限定されるものではない。また、電子タグ10の代表的なものの一つは、例えば
図4(c)(f)に示すように、インレット10a,10iとしてICチップ10iとこれに接続されたアンテナ10aとを有するパッシブタイプの電子タグ10であるが、これに限定されるものでもない。
【0057】
電子タグ10は、通信品質の低下を防止するために、少なくともアンテナ10aの一部を貼付対象物50から離間させることが望ましい。このため、粘着面11を有する電子タグ10の場合、
図4(d)~(f)に示すように、電子タグ10のアンテナ10aを含む一部分を折り位置10pで折り畳み、粘着面11同士を貼り合わせた粘着不能化部分12と、粘着面11が露出する残粘着部分13とを形成し、残粘着部分13の粘着面11により対象物50に貼付することができる。このような電子タグ10の折り畳みは、本電子タグ供給部20内の機構により行ってもよい(例えば特許文献5参照)し、予め一部が折り畳まれた電子タグ10を本電子タグの貼付装置1に供給してもよい。
【0058】
<ロボットへの電子タグの受け渡し>
ロボット40により対象物50に電子タグを貼付する場合、ロボット40は、電子タグ供給部20から供給される電子タグ10を受け取り、対象物コンベヤ30上を搬送される対象物50に貼付するものであれば特に限定されないが、図示例のように、エンドエフェクタとして空気の吸引により物を保持する吸着部41を有し、第1ベルトコンベヤ21の第1ベルト21B上に貼り付けられた電子タグ10を吸着部41により吸着し、この吸着部41の移動により、電子タグ10をベルトから剥離した後、対象物50に貼付するものであると好ましい。図示例の吸着部41は先端部にラバーカップが取り付けられた管状体であるが、これに限定されず、公知の構造・素材を採用することができる。
【0059】
吸着部41を有するロボット40への電子タグ10の受け渡しは、
図5(a)に示すように、剥離シート16上に張り付けられた電子タグ10表面にロボット40の吸着部41を吸着させた状態で、吸着部41を上昇させることにより、電子タグ10をベルトから剥離することにより行うこともできる(例えば特許文献5参照)。しかし、このような吸着部41の上昇移動により、剥離シート16上に粘着された電子タグ10を剥離する場合、受け渡しが不確実になるおそれがある。
【0060】
そこで、
図5(b)に示すように、ロボット40の駆動制御により、受渡部における剥離シート16の折り返し開始位置P3よりも前側で、剥離シート16上の電子タグ10に吸着部41を吸着させた後、吸着部41を、折り返し開始位置P3までは電子タグ10を吸着したまま剥離シート16とともに移動させ、折り返し開始位置P3以降は電子タグ10を吸着したまま剥離シート16の移動方向MDの接線方向TDに剥離シート16と同速度で移動させることにより、剥離シート16の折り返しにより剥離シート16から剥離した電子タグ10を吸着部41に受け渡す受渡機構が提案される。この場合、剥離シート16の折り返しにより電子タグ10に働く剥離力を主に利用し、かつ吸着部41が剥離シート16から離れることによる力をほとんど利用せずに、吸着部41で電子タグ10と保持して剥離シート16から剥離することができる。よって、非常に簡素な仕組みでありながら、より少ない吸着力で確実な電子タグ10の受け渡しが可能となる。
【0061】
吸着部41が電子タグ10に吸着した状態では、吸着部41、電子タグ10及び剥離シート16は一体化しているため、吸着部41を駆動源により駆動せずに剥離シート16の移動方向に自由に可能なように支持するだけとし、剥離シート16の移動力を利用して吸着部41を移動させることも可能である。しかし、より確実な動作を可能とするために、ロボット40の駆動により、吸着部41を、折り返し開始位置P3までは電子タグ10を吸着したまま剥離シート16とともに移動させ、折り返し開始位置P3以降は電子タグ10を吸着したまま剥離シート16の移動方向MDの接線方向TDに移動させることが好ましい。
【0062】
電子タグ10に吸着部41を吸着させる時、剥離シート16及びこれに貼り付けられた電子タグ10は停止していることが好ましいが、第1ベルト21Bを停止せずに、剥離シート16とともに移動する電子タグ10に吸着部41を吸着させてもよい。
【0063】
本受渡機構では、吸着部41は移動可能に支持されていれば、支持装置はロボット40でなくてもよく、一定の周期で動くような可動部であってもよい。さらに、本受渡機構の吸着部41は、電子タグ10を商品等の最終的な貼付対象物50に貼り付けずに、他のコンベヤ等の搬送装置や、一時的な貼り付け台や、他の吸着部に貼り付けることもできる。
【0064】
<リーダライタ>
リーダライタ60は、対象物50に貼付するまでの過程にある電子タグ10に書き込み可能である限り、その設置位置は特に限定されるものではない。例えば、
図1及び
図2に示すように、電子タグ供給部20と対象物コンベヤ30との間(図示例では対象物コンベヤ30の脇)に、対象物50に関する書き込み情報を電子タグ10に書き込むリーダライタ60を設置し、ロボット40は、
図7に示すように、電子タグ供給部20から供給される電子タグ10を受け取り、その電子タグ10をリーダライタ60による書き込み可能位置に移動させて一定時間保持し、この間にリーダライタ60はその電子タグ10に対象物50に関する情報を書き込み、しかる後、
図10に示すように、ロボット40がその電子タグ10をリーダライタ60から対象物50に移動し、対象物50に貼付することができる。
【0065】
また、
図13に示すように、リーダライタ60を吸着部41と一体化し、吸着部41に吸着した電子タグ10への書き込みを可能とすることもできる。この場合、電子タグ10を吸着部41に吸着した後から、対象物50に貼付するまでの適宜の段階(吸着部41の移動中の他、吸着部41を停止した状態でもよい)で、電子タグ10に情報を書き込むことができる。
【0066】
また、
図14に示すように、電子タグ供給部20内における電子タグ10の搬送経路にリーダライタ60を設置し、ロボット40への受け渡し前に電子タグ10に情報を書き込むこともできる。
図14に示す例は、リーダライタ60を、電子タグ供給部20における次に送出される電子タグ10の下方に設けたものであるが、側方に設けたりする等、適宜の変更が可能である。
【0067】
リーダライタ60の設置位置によっては、書き込み対象の電子タグ10の近傍に、次に書き込み対象となる未書き込みの電子タグ10が位置することがある。例えば、
図2に示す例の場合、リーダライタ60の位置と、電子タグ供給部20の電子タグ10の受け渡し位置とが近接しているため、リーダライタ60による書き込み時に、電子タグ供給部20が次の電子タグ10を受け渡し可能位置に用意してしまうと、いわゆる衝突(1台のリーダライタ60の電磁界の中で、二つ以上の電子タグ10による交信が同時に起こり、その結果としてエラーになるか、又は通信内容を失うこと)が発生したり、リーダライタ60により認識される書き込み対象のタグが、ロボット40により吸着された電子タグ10ではなく、以降の書き込み対象となるべく用意された電子タグ10となるおそれがある。これは、リーダライタ60の通信可能範囲に複数の電子タグ10が存在することによるものである。そこで、
図1及び
図2に示すように、少なくともリーダライタ60と書き込み対象でない電子タグ10との間を遮蔽する遮蔽体61(マスク)を設け、リーダライタ60の通信方向を所定の書き込み位置(図示例ではリーダライタ60上)に制限するのは好ましい。遮蔽体61は、電波を遮蔽する金属板等の素材を用いて形成することができ、その形状は特に限定されないが、例えばリーダライタ60と所定の書き込み位置との間に孔を有し、所定の書き込み位置の周囲に孔を有しない板又は箔とすることができる。
【0068】
リーダライタ60による書き込み処理は、公知の方法を特に限定なく採用することができる。
【0069】
<書き込み情報>
電子タグ10に書き込む情報は、個別情報センサ71により検出した個別情報の一部又は全部、並びに検出した個別情報に関連する関連情報の少なくとも一方を含む。個別情報は、前述のように個別情報センサ71により対象物50から検出可能な情報であるのに対し、関連情報は個別情報センサ71により対象物50から直に検出されるものではなく、検出した個別情報に基づいて取得される情報である。例えば、商品に貼付する電子タグ10であれば、前述した一次元コード等の識別情報を個別情報センサ71により検出し、制御部90がその検出結果に基づいて、識別情報と商品名や消費期限等の属性情報とが関連付けて記憶された記憶部80から属性情報を取得し、取得した属性情報のみ又はこれと識別情報とを一緒に書き込み情報として電子タグ10に書き込むことができる。
【0070】
<制御部>
制御部90は、シーケンサ(PLC)やコンピュータ(PC、マイクロコントローラ)等の公知の産業用制御装置を単独で用いて、又は機能等に応じて複数組み合わせて構成することができる。例えば対象物コンベヤ、センサやロボット等の基本制御及びインターフェースはシーケンサにより実現し、情報処理やそれに基づくシーケンサに対する指令(モード設定やパラメータ設定、動作開始の指示等)はコンピュータで実現する構成とすることができる。
【0071】
<記憶部>
記憶部80は、制御部90に内蔵又は外付けされたハードディスク、SSD等の記憶装置とする他、ローカルネットワークやインターネットを介して接続されたネットワークアクセスストレージ、クラウドストレージ、その他サーバのストレージとすることができる。記憶内容が複数種ある場合にはその種類別に記憶部80を設ける他、すべての記憶内容を記憶する単一の記憶部80を設けることもできる。例えば、上述の書き込み情報及び後述の貼付位置情報は、図示例では単一の記憶部80に記憶することを想定しているが、これに限られるものではない。
【0072】
<ロボット>
ロボット40としては、少なくとも水平方向の運動と、垂直方向の運動が可能な自由度が2以上のものであればよいが、対象物コンベヤ30上の対象物50の位置が不規則な場合等に対応するために、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、及びZ軸を中心とする回転方向の運動が可能なように自由度が4以上のロボット40が好適である。これにより、
図6(a)(c)に示すように、対象物50の上面に対してあらゆる向きで電子タグ10を貼付することができる。また、6以上の自由度のロボット40を用いると、対象物50の上面だけでなく、
図6(b)に示すように、側面にも電子タグ10を貼り付けることができる。したがって、対象物50に応じて、商品に影響しにくい位置や、通信品質が低下しにくい位置に、電子タグ10を貼付することができる。ロボット40としては、図示例のようなパラレルリンクロボットだけでなく、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット、直交ロボット等、公知の産業用ロボットを用いることができる。
【0073】
ロボット40により電子タグ10の貼付を行う場合、対象物50の種類に応じて異なる適切な貼付位置を指定し、その指定貼付位置に貼付することが望ましい。これにより、例えば、対象物50に応じて、商品に影響しにくい位置や、通信品質が低下しにくい位置に、電子タグ10を貼付することができる。また、作業員が対象物コンベヤ30上の対象物50の位置(向きを含む)を意識せずに、対象物コンベヤ30上に対象物50を不規則に載せたとしても、対象物50の指定貼付位置に電子タグ10を貼付することができる。電子タグ10の貼付位置は、
図6(a)(b)に示すように個別情報51の検出面と同一面かつ個別情報51と重ならない位置とすると、電子タグ10の貼付後に電子タグ10で個別情報51が隠れることがないため、電子タグ10の記憶内容と対象物50の個別情報51との比較確認が容易となるが、
図6(c)に示すように個別情報51の検出面と異なる面としたり、図示しないが個別情報51と一部又は全部が重なる位置としたりすることもできる。
【0074】
具体的には、対象物コンベヤ30における、ロボット40の貼付可能範囲よりも上流側に、対象物コンベヤ30上を搬送される対象物50を撮像する撮像装置72を設け、個別情報センサ71はこの撮像装置72よりも上流側に設けられる。また、対象物50の画像情報と、対象物50における指定貼付位置とが関連付けて記憶された、記憶部80を設ける。そして、制御部90は、画像認識により撮像装置72による撮像情報と記憶部80に記憶された対象物50の画像情報とを比較し、対象物コンベヤ30上に対象物50を認識したときには、その認識した対象物50と関連付けられた指定貼付位置を記憶部80から読み出すとともに、対象物コンベヤ30上における対象物50の位置を検知し、これら指定貼付位置と対象物50の位置とに基づいて、ロボット40に、電子タグ10を、対象物コンベヤ30上を搬送される対象物50における指定貼付位置に貼付させる。ここで、対象物コンベヤ30上における対象物50の位置情報のうち、MD方向における位置座標は、撮像装置72による撮像タイミングと、対象物コンベヤ30の搬送速度とに基づいて算出することができ、MD方向と直交する方向の位置座標と、向きとは撮像装置72による撮像情報から画像認識により求めることができる。また、対象物コンベヤ30の搬送速度は、例えば対象物コンベヤ30の駆動系(例えばベルト)に図示しないロータリーエンコーダを取り付けて検出することができる。よって、制御部90は、これらの位置情報に基づいて対象物50がロボット40による貼付可能範囲にあるタイミングで、ロボット40に対象物50における指定貼付位置に電子タグ10を貼付させることができる。
【0075】
なお、このように電子タグ10を対象物50の指定貼付位置に貼付するためには、電子タグ供給部20からロボット40への受け渡しが確実であることが前提となるため、前述の受渡機構を採用することが望ましい。
【0076】
<動作の流れ>
本電子タグの貼付装置1は、作業員が対象物50を対象物コンベヤ30の供給位置に載せるステップと、対象物コンベヤ30により搬送される対象物50の個別情報を個別情報センサ71により検出するステップと、対象物コンベヤ30により搬送される対象物50の位置情報を検知するステップと、個別情報センサ71により検出した個別情報の一部又は全部、並びに検出した個別情報に基づいて取得される関連情報の少なくとも一方を含む書き込み情報を、電子タグ10に書き込むステップと、情報を書き込んだ電子タグ10を、対象物コンベヤ30により搬送される対象物50に貼付するステップとを含むことを基本とする。これらのステップを実行可能である限り、各部の動作タイミング等、詳細な制御は適宜行うことができる。
【0077】
図16は、動作フローの一例である。本電子タグの貼付装置1の動作を開始すると、制御部90により対象物コンベヤ30が駆動されるとともに、個別情報センサ71、撮像装置72による検出、撮影が開始される。また、同時に
図7に示すように、ロボット40が電子タグ供給部20から電子タグ10を受け取り、リーダライタ60による書き込み可能位置に電子タグ10を移動し、待機する。このように、予め電子タグ10をリーダライタ60による書き込み可能位置に待機させておくことにより、個別情報を検出してから電子タグ10への書き込みまでの時間を短縮することができる。これにより、全体としての貼付効率を向上できるのはもちろん、個別情報センサ71から貼付位置までの搬送距離を短縮することができ、装置の小型化を図ることができる。これに代えて、後述する電子タグ10への書き込みの際に、電子タグ10の受け取りから書き込みまでを一度に行うこともできる。
【0078】
次に、作業員が対象物コンベヤ30上の供給位置(個別情報センサ71よりも上流側)に対象物50を載せ、搬送する。これにより、
図8に示すように、対象物50はまず個別情報センサ71による検出位置を通過し、その際に対象物50の個別情報が検出される。ここで、図示例のように、個別情報センサ71の手前に対象物50の通過を検出する通過センサ73を設けておき、この通過センサ73により対象物50の通過を検知してから所定時間(例えば数秒程度)経過するまでに、個別情報センサ71により個別情報が検出されない場合、制御部90は個別情報の検出エラーと判断し、少なくとも対象物コンベヤ30を停止することができる。この場合、もちろん、装置1の全体を一時的に停止してもよい。例えば、対象物50における目的の個別情報(一次元コード等)の位置が、個別情報センサ71により検出できない面に存在していると、このような状況になる。この場合、対象物50を取り出した後、装置始動からやり直すことにより、電子タグ10も無駄にならずに運転を再開することができる。なお、個別情報の検出エラーが発生したときには、対象物50を排出可能な時間だけ対象物コンベヤ30の駆動のみ継続し、その後、自動的に正常運転に復帰するようにしてもよい。いずれにせよ、このような個別情報の検出エラーが発生すると、電子タグ10への書き込みは不可能となる。通過センサ73としては、対象物コンベヤ30上の対象物50の通過位置を挟んで発光素子及び受光素子を対向配置し、対象物50の通過による発光素子の光の遮断を受光素子の出力の変化により検知するフォトセンサ等、公知の通過センサ73を用いることができる。
【0079】
対象物50の個別情報が検出された場合、制御部90は、個別情報センサ71により検出した個別情報の一部又は全部、並びに検出した個別情報に基づいて取得される関連情報の少なくとも一方を含む書き込み情報を取得又は作成し、リーダライタ60により、その個別情報の検出を行った対象物50に貼付することとなる電子タグ10に書き込む。この一方で、
図9に示すように、対象物50は対象物コンベヤ30上により先に進み、撮像装置72により撮影され、その撮像装置72による撮像結果が制御部90に連続的に入力されている。制御部90は、画像認識により撮像装置72による撮像情報と記憶部80に記憶された対象物50の画像情報とを比較し、対象物コンベヤ30上に対象物50を認識したときには、その認識した対象物50と関連付けられた指定貼付位置を記憶部80から読み出すとともに、対象物コンベヤ30上における対象物50の位置を検知する。そして、制御部90は、これら指定貼付位置と対象物50の位置とに基づいて、
図10に示すように、対象物50がロボット40による貼付可能範囲にあるタイミングで、ロボット40に対象物50における指定貼付位置に電子タグ10を貼付させる。電子タグ10を貼付した対象物50は、
図1に示すように対象物コンベヤ30により先に進み、作業員により取り出される。
図1に示すように、対象物コンベヤ30は、最下流にフリーローラコンベヤ33を設けておくと、対象物50はフリーローラコンベヤ33上に押し出されて停止するため、その後の作業が容易となる。ロボット40が電子タグ10を貼付した後は、開始時に戻り、対象物コンベヤ30上の対象物50の有無に関係なく、ロボット40が電子タグ供給部20から電子タグ10を受け取り、リーダライタ60による書き込み可能位置に電子タグ10を移動し、待機する。
【0080】
電子タグ10への書き込みの際、書き込みエラーが発生することがある。この場合、書き込みエラーの検知タイミングが対象物50の搬送中であるため、書き込みのやり直しが間に合うタイミングであれば搬送を継続しつつ、又は書き込みのやり直しが間に合わない場合には一時的に搬送を停止して、
図16のフローに示すように書き込みのやり直しを行うことが望ましい。しかし、図示例のようにロボット40が受け取った電子タグ10を、ロボット40によりリーダライタ60に近接させて書き込みを行う手法では、電子タグ10の書き込みエラーが発生したときには、当該電子タグ10を離してからでなければ次の処理を行うことができない。そこで、
図1等に示すように、対象物コンベヤ30による前記対象物50の搬送空間以外に、廃棄する電子タグ10を貼り付けておくための仮貼付部35を設けておき、制御部90は、電子タグ10の書き込みエラーが発生したときには、
図11に示すように、ロボット40が受け取った電子タグ10を仮貼付部35に貼付させるとともに、その電子タグ10を貼付することが予定されていた対象物50には電子タグ10を貼付せずに対象物コンベヤ30から排出させるのが好ましい。対象物50を対象物コンベヤ30から排出する場合、
図11に示すように正常運転時と同様に排出するほか、
図12に示すようにコンベヤの側方に排出シュート等の不良排出部36と、対象物コンベヤ30上の対象物50を不良排出部36に押し出すエアシリンダー等の押し出し装置37を設けることも可能である。また、電子タグ10の書き込みエラーが連発するときには、書き込みのやり直しでは解決しないことが多いため、
図16のフローに示すように、制御部90は書き込みエラーをカウントし、所定回数エラーが連発したときには少なくとも対象物コンベヤ30を停止することができる。この場合、もちろん、装置1の全体を一時的に停止してもよい。
【0081】
指定貼付位置の読み出しの際、画像認識のエラーや、対象物50の画像と指定貼付位置が記憶部80に記憶されていないものであること等により、指定貼付位置の読み出しエラーが発生することがある。この場合、ロボット40は既に受け取っている電子タグ10を対象物50に貼り付けることができない。しかも、前述のように、処理の高速化等のために、指定貼付位置の読み出しが完了する前に、電子タグ10がロボット40に受け渡され、書き込みが終了していると、その電子タグ10を離してからでなければ次の処理を行うことができない。そこで、仮貼付部35を設けておき、個別情報センサ71により個別情報を検出した後、対象物50がロボット40の貼付可能範囲を通過するまで指定貼付位置の読み出しがなかったときには、指定貼付位置の読み出しエラーとみなして、前述の電子タグ10の書き込みエラーの場合と同様に、ロボット40が受け取った電子タグ10を仮貼付部35に貼付させるとともに、その電子タグ10を貼付することが予定されていた対象物50には電子タグ10を貼付せずに対象物コンベヤ30から排出させるのは好ましい。
【0082】
ここで、「個別情報センサ71により個別情報を検出した後、対象物50がロボット40の貼付可能範囲を通過するまで」とは、例えば、撮像装置72よりも上流側に位置する対象物50を検出するためのセンサ(このセンサとしては、前述の通過センサ73や個別情報センサ71を利用するほか、専用のセンサを設けてもよい)により対象物50を検出してからの時間経過により検知することができる。もちろん、撮像装置72よりも下流側に通過センサ73を設けて、この検出結果に基づいて対象物50がロボット40の貼付可能範囲を通過するタイミングを検知してもよい。
【0083】
他の例としては、同一の対象物50の連続処理を選択する入力装置81を備え、制御部90は、入力装置81により同一の対象物50の連続処理が選択されたときには、制御部90は、最初の対象物50に電子タグ10を貼付するときには、個別情報センサ71により検出した個別情報の一部又は全部、並びに検出した個別情報に基づいて取得される関連情報の少なくとも一方を含む書き込み情報を、リーダライタ60により、その個別情報の検出を行った対象物50に貼付することとなる電子タグ10に書き込み、最初の対象物50以降の前記同一の対象物50に電子タグ10を貼付するときには、最初の対象物50における書き込み情報を、リーダライタ60により、最初の対象物50以降の対象物50に貼付することとなる電子タグ10に書き込むことも提案する。この場合、作業員が入力装置81を用いて連続処理を選択することにより、その選択が有効な間、同一の対象物50を複数個連続して処理することができるため、ある程度まとまった量の対象物50を処理するのであれば、かえって効率よく電子タグ10への情報の書き込みと貼付を行うことができる(半自動)。また、商品を自動認識する場合と比較して、制御が簡素となり、対象物50の誤認識のおそれもないものとなる。入力装置81は、キーボードやマウス、又は専用のスイッチとすることができる。作業員が連続処理を選択するために、連続処理を実行するためのボタン等のグラフィカルユーザーインターフェースを表示する表示装置82を備えているのも好ましい。この場合、入力装置81と表示装置82とが一体化されたタッチパネルを備え、表示装置82に表示された連続処理を実行するためのボタン等をタッチすることにより連続処理の選択入力を行うようになっていると特に好ましい。また、図示しないが、制御部90に対して、表示装置82及び入力装置81を有するスマートフォン等の携帯端末を、制御部90に対してネットワークや近距離無線通信、又は有線通信により接続可能とし、この携帯端末の表示装置82及び入力装置81を利用して、連続処理の選択を行うように構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、粘着部を有する電子タグを商品等の対象物貼付するのに利用できるものである。
【符号の説明】
【0085】
1…電子タグの貼付装置、10…電子タグ、10a,10i…インレット、10a…アンテナ、10i…ICチップ、11…粘着面、12…粘着不能化部分、13…残粘着部分、15…電子タグシート、16…剥離シート、20…電子タグ供給部、21…第1ベルトコンベヤ、21B…第1ベルト、23G…折り返しガイド、23R…電子タグロール、23W…巻取軸、30,40…貼付部、30…対象物コンベヤ、31…第1対象物コンベヤ、32…第2対象物コンベヤ、33…フリーローラコンベヤ、35…仮貼付部、36…不良排出部、37…押し出し装置、40…ロボット、41…吸着部、50…対象物、60…リーダライタ、61…遮蔽体、71…個別情報センサ、71L…下方センサ、71U…上方センサ、72…撮像装置、73…通過センサ、80…記憶部、81…入力装置、82…表示装置、90…制御部、TD…接線方向。