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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】内接式遊星歯車装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
F16H1/32 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019046939
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2020148274
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 公昭
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-148151(JP,A)
【文献】国際公開第2012/011573(WO,A1)
【文献】特開昭60-234171(JP,A)
【文献】特開平10-169726(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108488329(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と、
前記固定部材に回転自在に支持された入力軸及び出力軸と、
前記固定部材に固定され、内周部に内歯を有した円環状の内歯歯車と、
前記出力軸に対して偏心揺動可能に連結され、外周部に前記内歯より少ない歯数の外歯を有して前記内歯歯車の内側にあって前記内歯歯車に噛合する外歯歯車と、
前記入力軸からの回転入力を、所定の偏心量をもって、前記外歯歯車の偏心揺動に変換する偏心駆動機構とを有する内接式遊星歯車装置であって、
前記偏心駆動機構は前記入力軸に対する前記偏心量が増加する方向或いは減少する方向に付勢する付勢手段を有し、
前記偏心駆動機構は前記外歯歯車の中心孔を貫通し且つ前記入力軸に対して偏心的に結合された偏心軸及び前記中心孔と前記偏心軸との間に配置された偏心スリーブを含み、
前記付勢手段は前記偏心スリーブを前記偏心量が増加する方向或いは減少する方向に付勢している内接式遊星歯車装置。
【請求項2】
前記付勢手段は前記入力軸と前記偏心スリーブとの間に設けられた捩りコイルばねを有する請求項に記載の内接式遊星歯車装置。
【請求項3】
前記外歯歯車は前記内歯歯車に個別に噛合する第1外歯歯車及び第2外歯歯車を個別に有し、
前記偏心軸は前記第1外歯歯車の中心孔を貫通する第1偏心軸部及び前記第1偏心軸部とは180度の回転位相差をもって偏心して前記第2外歯歯車の中心孔を貫通する第2偏心軸部を有し、
前記偏心スリーブは前記第1外歯歯車の前記中心孔と前記第1偏心軸部との間に配置された第1偏心スリーブ及び前記第2外歯歯車の前記中心孔と前記第2偏心軸部との間に配置された第2偏心スリーブを個別に有する請求項に記載の内接式遊星歯車装置。
【請求項4】
前記付勢手段は、前記入力軸或いは前記第1偏心軸部、前記第2偏心軸部と前記第1偏心スリーブ及び前記第2偏心スリーブとの間に設けられた捩りコイルばねと、前記第1偏心スリーブと前記第2偏心スリーブとに設けられ、当該両者を所定の回転角範囲内で互いに相対回転可能に連結する連結ピン及び前記連結ピンが遊嵌合する係合孔とを有する請求項に記載の内接式遊星歯車装置。
【請求項5】
前記付勢手段は前記第1偏心軸部と前記第1偏心スリーブとの間に設けられた第1捩りコイルばね及び前記第2偏心軸部と前記第2偏心スリーブとの間に設けられた第2捩りコイルばねを個別に有する請求項に記載の内接式遊星歯車装置。
【請求項6】
固定部材と、
前記固定部材に回転自在に支持された入力部材及び出力軸と、
前記入力部材に対して偏心揺動可能に連結され、内周部に内歯を有する円環状の内歯歯車と、
前記出力軸に固定され、外周部に前記内歯より少ない歯数の外歯を有して前記内歯歯車の内側にあって前記内歯歯車に噛合する外歯歯車と、
前記入力部材からの回転入力を、所定の偏心量をもって、前記内歯歯車の偏心揺動に変換する偏心駆動機構とを有する内接式遊星歯車装置であって、
前記偏心駆動機構は前記入力部材に対する前記偏心量が増加する方向或いは減少する方向に付勢する付勢手段を有し、
前記偏心駆動機構は前記入力部材に形成された偏心孔及び前記偏心孔と前記内歯歯車との間に配置された偏心スリーブを含み、
前記付勢手段は前記偏心スリーブを前記偏心量が増加する方向或いは減少する方向に付勢している内接式遊星歯車装置。
【請求項7】
前記付勢手段は前記入力部材と前記偏心スリーブとの間に設けられた捩りコイルばねを有する請求項に記載の内接式遊星歯車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内接式遊星歯車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内接式遊星歯車装置として、アウタケース等による固定部材と、前記固定部材に回転自在に支持された入力軸及び出力軸と、前記固定部材に揺動可能に設けられ、内周部に内歯を有した円環状の内歯歯車と、前記入力軸に偏心揺動可能に設けられ、前記外周部に前記内歯より少ない歯数の外歯を有して前記内歯歯車の内側にあって前記内歯歯車に噛合する外歯歯車と、前記入力軸からの回転入力を、所定の偏心量をもって、前記外歯歯車の円軌跡に沿う前記偏心揺動に変換する偏心駆動機構とを有する内歯車式のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2011/083698
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内歯歯車と外歯歯車との適切な噛合には、内歯と外歯との間に適度なバックラッシが必要であるが、経年使用による摩耗等により長期間に亘って適度なバックラッシを保つことは難しい。バックラッシが増大すると、歯面同士の衝突による噛合騒音が大きくなり、振動も大きくなって機械ロスが増大する。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、内接式遊星歯車装置において、長期間に亘って適度なバックラッシを保つことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態による内接式遊星歯車装置は、固定部材(10)と、前記固定部材(10)に回転自在に支持された入力軸(20)及び出力軸(24)と、前記固定部材(10)に固定され、内周部に内歯(28)を有した円環状の内歯歯車(26)と、前記出力軸(24)に対して偏心揺動可能に連結され、前記外周部に前記内歯(28)より少ない歯数の外歯(48)を有して前記内歯歯車(26)の内側にあって前記内歯歯車(26)に噛合する外歯歯車(46)と、前記入力軸(20)からの回転入力を、所定の偏心量をもって、前記外歯歯車(46)の偏心揺動に変換する偏心駆動機構(30)とを有する内接式遊星歯車装置であって、前記偏心駆動機構(30)は前記入力軸(20)に対する前記偏心量が増加する方向或いは減少する方向に付勢する付勢手段(42)を含む。
【0007】
この構成によれば、長期間に亘って適度なバックラッシが保たれる。
【0008】
上記内接式遊星歯車装置において、好ましくは、前記偏心駆動機構(30)は前記外歯歯車(46)の中心孔を貫通し且つ前記入力軸(20)に対して偏心的に結合された偏心軸(32)及び前記中心孔と前記偏心軸(32)との間に配置された偏心スリーブ(40)を含み、前記付勢手段(42)は前記偏心スリーブ(40)を前記偏心量が増加する方向或いは減少する方向に付勢している。
【0009】
この構成によれば、簡単な構成で、長期間に亘って適度なバックラッシが保たれる。
【0010】
上記内接式遊星歯車装置において、好ましくは、前記付勢手段は前記入力軸(20)と前記偏心スリーブ(40)との間に設けられた捩りコイルばね(42)を有する。
【0011】
この構成によれば、付勢手段が簡単な構造で済む。
【0012】
上記内接式遊星歯車装置において、好ましくは、前記外歯歯車は前記内歯歯車(26)に個別に噛合する第1外歯歯車(47)及び第2外歯歯車(49)を個別に有し、前記偏心軸は前記第1外歯歯車(47)の中心孔を貫通する第1偏心軸部(33)及び前記第1偏心軸部(33)とは180度の回転位相差をもって偏心して前記第2外歯歯車(49)の中心孔を貫通する第2偏心軸部(35)を有し、前記偏心スリーブは前記第1外歯歯車(47)の前記中心孔と前記第1偏心軸部(33)との間に配置された第1偏心スリーブ(41)及び前記第2外歯歯車(49)の前記中心孔と前記第2偏心軸部(35)との間に配置された第2偏心スリーブ(43)を個別に有する。
【0013】
この構成によれば、入力軸(20)等の回転バランスが改善されると共に、各歯車対の噛み合いによる反力が入力軸(20)や出力軸(24)の軸受部に作用しなくなるので、耐久性が向上する。
【0014】
上記内接式遊星歯車装置において、好ましくは、前記付勢手段は、前記入力軸(20)或いは前記第1偏心軸部(33)、第2偏心軸部(35)と前記第1偏心スリーブ(41)及び前記第2偏心スリーブ(43)との間に設けられた捩りコイルばね(42)と、前記第1偏心スリーブ(41)と前記第2偏心スリーブ(43)とに設けられ、当該両者を所定の回転角範囲内で互いに相対回転可能に連結する連結ピン(51、58)及び前記連結ピン(51、58)が遊嵌合する係合孔(41A、43A)とを有する。
【0015】
この構成によれば、一つの捩りコイルばね(42)によって内歯歯車(26)と第1外歯歯車(47)及び第2外歯歯車(49)とのバックラッシが長期間に亘って適度に保たれる。
【0016】
上記内接式遊星歯車装置において、好ましくは、前記付勢手段は前記第1偏心軸部(33)と前記第1偏心スリーブ(41)との間に設けられた第1捩りコイルばね(42A)及び前記第2偏心軸部(35)と前記第2偏心スリーブ(43)との間に設けられた第2捩りコイルばね(42B)を個別に有する。
【0017】
この構成によれば、内歯歯車(26)と第1外歯歯車(47)及び第2外歯歯車(49)とのバックラッシが長期間に亘って個別に適度に保たれる。
【0018】
本発明の一つの実施形態による内接式遊星歯車装置は、固定部材(70)と、前記固定部材(70)に回転自在に支持された入力部材(80)及び出力軸(96)と、前記入力部材(80)に対して偏心揺動可能に連結され、内周部に内歯(122、124)を有する円環状の内歯歯車(118、120)と、前記出力軸(96)に固定され、外周部に前記内歯(122、124)より少ない歯数の外歯(98)を有して前記内歯歯車(118、120)の内側にあって前記内歯歯車(118、120)に噛合する外歯歯車(100)とを有し、前記入力部材(80)からの回転入力を、所定の偏心量をもって、前記内歯歯車(118、120)の偏心揺動に変換する偏心駆動機構(101)とを有する内接式遊星歯車装置であって、前記偏心駆動機構(101)は前記入力部材(80)に対する前記偏心量が増加する方向或いは減少する方向に付勢する付勢手段(110、112)を含む。
【0019】
この構成によれば、長期間に亘って適度なバックラッシが保たれる。
【0020】
上記内接式遊星歯車装置において、好ましくは、前記偏心駆動機構(101)は前記入力部材(80)に形成された偏心孔(102、104)及び前記偏心孔(102、104)と前記内歯歯車(118、120)との間に配置された偏心スリーブ(106、108)を含み、前記付勢手段(110、112)は前記偏心スリーブ(106、108)を前記偏心量が増加する方向或いは減少する方向に付勢している。
【0021】
この構成によれば、簡単な構成で、長期間に亘って適度なバックラッシが保たれる。
【0022】
上記内接式遊星歯車装置において、好ましくは、前記付勢手段は前記入力部材(80)と前記偏心スリーブ(106、108)との間に設けられた捩りコイルばね(110、112)を有する。
【0023】
この構成によれば、付勢手段が簡単な構造で済む。
【発明の効果】
【0024】
本発明による内接式遊星歯車装置によれば、長期間に亘って適度なバックラッシが保たれる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による内接式遊星歯車装置の実施形態1を示す縦断面図
図2図1の線II-IIに沿った断面図
図3】実施形態1による内接式遊星歯車装置の偏心量の変化を示す説明図
図4】実施形態1による内接式遊星歯車装置の構成図
図5】本発明による内接式遊星歯車装置の実施形態2を示す縦断面図
図6】第1偏心スリーブと第2偏心スリーブとの連結構造を示す説明図
図7図5の線VII-VIIに沿った断面図
図8】実施形態2による内接式遊星歯車装置の変形例を示す構成図
図9】本発明による内接式遊星歯車装置の実施形態3を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明による内接式遊星歯車装置の実施形態1を、図1図4を参照して説明する。
【0027】
実施形態1の内接式遊星歯車装置は、図1に示されているように、フロントケース12とリヤケース14とフロントカバー16の組立体による中空構造のアウタケース(固定部材)10を有する。
【0028】
アウタケース10はフロントケース12側においてボール軸受18によって入力軸20を回転可能に支持している。アウタケース10はリヤケース14側においてボール軸受22によって出力軸24を入力軸20と同軸的に回転可能に支持している。
【0029】
アウタケース10内には入力軸20及び出力軸24と同軸的に内歯歯車26が固定されている。内歯歯車26は円環状であって内周部に複数の内歯28を有する。
【0030】
入力軸20には偏心駆動機構30の一部のなす偏心軸32が一体に設けられている。つまり、偏心軸32は入力軸20に対して偏心量α(図3参照)をもって偏心的に入力軸20の軸端に結合されている。偏心軸32の遊端側には入力軸20と同軸的なジャーナル軸部34が一体に設けられている。ジャーナル軸部34は軸受用スリーブ36及びボール軸受38を介して出力軸24に対して同軸的に相対回転可能に同軸的に連結されている。
【0031】
偏心軸32の外周には偏心スリーブ40が回転可能に嵌合している。偏心スリーブ40は偏心軸32の外周面に回転可能に嵌合する貫通孔(内周面)40A及び貫通孔40Aに対して偏心量β(図3参照)をもって偏心した外周面40Bを有する。
【0032】
偏心スリーブ40と偏心軸32との間には、偏心軸32(入力軸20)に対する偏心スリーブ40の偏心量が増加する方向に付勢する付勢手段として捩りコイルばね42が取り付けられている。尚、捩りコイルばね42は偏心スリーブ40と偏心軸32との間に設けられていてもよい(図4参照)。
【0033】
偏心スリーブ40の外周面40Bにはボール軸受44を介して外歯歯車46の中心孔46Aを貫通している。つまり、偏心スリーブ40の外周には外歯歯車46がボール軸受44を介して偏心スリーブ40の外周面40B周りに回転可能に取り付けられている。
【0034】
外歯歯車46は後述の連結機構50によって出力軸24の中心軸線に対して偏心揺動可能に連結され、外周部に内歯28より少ない歯数の複数の外歯48を有し、内歯歯車26の内側に内歯歯車26に対して偏心して配置されて内歯歯車26に噛合している。
【0035】
入力軸20及び出力軸24に対する外歯歯車46の偏心量Eは、偏心軸32の偏心量αと偏心スリーブ40の偏心量βとの複合的なものになり、図3(A)及び(B)に示されているように、偏心軸32に対する偏心スリーブ40の回転位置により、α-β~α+βの範囲で変化することができる。捩りコイルばね42は、偏心量Eがα-βからα+βになる偏心量増大の方向に、偏心スリーブ40を偏心軸32に対して付勢している。偏心量Eによって内歯歯車26に対する外歯歯車46の噛み込み深さが決まる。
【0036】
偏心量Eによって内歯歯車26に対する外歯歯車46の噛み込み深さが決まり、偏心量Eの増加は外歯歯車46と内歯歯車26とのバックラッシを減少する。これにより、捩りコイルばね42は、外歯歯車46と内歯歯車26とのバックラッシが減少する側に、偏心スリーブ40を偏心軸32に対して付勢することになる。これにより、外歯歯車46は偏心量Eのもとに内歯歯車26に対して適度なバックラッシを含んで噛合する。
【0037】
連結機構50は、外歯歯車46の軸線方向の一方の側に隣接して配置されて複数の連結ピン52によって外歯歯車46に同軸的に固定された連結板54と、出力軸24の円筒部24Aの内周と連結板54の外周との間に配置されたリング状部材56とを有する。
【0038】
リング状部材56は、図2に示されているように、2重リング構造によって径方向に弾性変形可能なばね性を有し、周方向には径方向に比して高い剛性を有する。リング状部材56は、内周周りに等間隔をおいて形成された複数の凹部56Aの各々に連結板54の外周に形成された突部54Aが係合することにより連結板54と回転力伝達関係で連結され、且つ外周周りに等間隔をおいて形成された複数の凹部56Bと出力軸24の円筒部24Aの内周に形成された突部24Bが係合することにより出力軸24と回転力伝達関係で連結されている。
【0039】
このようにしてリング状部材56は、連結板54と出力軸24とをトルク伝達関係で連結する。リング状部材56は、径方向に弾性変形可能なばね性を有していることにより、外歯歯車46及び連結板54を出力軸24に対して偏心量E(最大値)による相対的な偏心揺動を許容して連結している。
【0040】
これにより、偏心駆動機構30は入力軸20からの回転入力を所定の偏心量Eをもって外歯歯車46の偏心揺動に変換する。連結機構50は、外歯歯車46から連結板54に伝達された偏心揺動を、偏心揺動が含む揺動運動(径方向の変位)をリング状部材56の弾性変形によって取り除き、偏心揺動が含む位相変化による回転運動に変換し、出力軸24を減速回転させる。
【0041】
入力軸20と出力軸24との間の減速比Gは、外歯48の歯数をZa、内歯28の歯数をZbとした場合、Za/(Za-Zb)になる。
【0042】
経年使用による内歯28及び外歯48の摩耗等によって、内歯28、外歯48が細ると、外歯歯車46と内歯歯車26とのバックラッシが増加しようとするが、偏心スリーブ40が捩りコイルばね42によって偏心量Eを増大する方向に付勢されているから、内歯28及び外歯48の摩耗に応じて偏心スリーブ40が回動する。これにより、偏心量Eが増大し、適度なバックラッシが自動的に保たれる。
【0043】
これにより、長期間に亘って適度なバックラッシが保たれ、内接式遊星歯車装置が長期間に亘って使用されても、噛合騒音が大きくなることがなく、振動や機械ロスの増大を招くことがない。
【0044】
尚、偏心量Eの変化に対する上述の偏心揺動における偏心量の変化はリング状部材56及び連結ピン52の弾性変形によって許容吸収される。
【0045】
偏心スリーブ40によって適度なバックラッシが自動的に保たれる動作は、内接式遊星歯車装置の各部品の寸法誤差や組付誤差によってバックラッシが過大になった場合にも行われる。これにより、内接式遊星歯車装置の各部品の寸法誤差や組付誤差があっても、適度なバックラッシが設定され、大きい噛合騒音が生じたり、大きい振動や機械ロスを生じたりすることがない。
【0046】
本実施形態では、偏心スリーブ40の付勢が捩りコイルばね42によって直接的に行われているから、偏心スリーブ40の付勢手段が簡単な構造で済む。
【0047】
次に、本発明による内接式遊星歯車装置の実施形態2を、図5図8を参照して説明する。尚、図5図8において、図1図4に対応する部分は、図1図4に付した符号と同一の符号を付けて、その説明を省略する。
【0048】
実施形態2の内接式遊星歯車装置は、2連式のものであり、軸線方向に隣り合う個別の第1外歯歯車47及び第2外歯歯車49を有する。第1外歯歯車47及び第2外歯歯車49は共通の内歯歯車26に噛合している。
【0049】
偏心軸32は、第1偏心スリーブ41及びボール軸受45Aを介して第1外歯歯車47の中心孔47Aを貫通する第1偏心軸部33と、第2偏心スリーブ43及びボール軸受45Bを介して第2外歯歯車49の中心孔49Aを貫通する第2偏心軸部35とを有する。第1偏心軸部33と第2偏心軸部35とは360度を偏心分割数で割った値、本実施形態では360/2=180度の回転位相差をもって互いに反対方向に偏心している。
【0050】
第1偏心スリーブ41と第2偏心スリーブ43とは、同一形状の個別のものであり、第1偏心スリーブ41は第1外歯歯車47の中心孔47Aと第1偏心軸部33との間に回転可能に配置され、第2偏心スリーブ43は第2外歯歯車49の中心孔49Aと第2偏心軸部35との間に回転可能に配置されている。
【0051】
第1偏心スリーブ41と入力軸20との間には、実施形態1と同様に第1偏心軸部33に対する第1偏心スリーブ41の偏心量が増加する方向に付勢する付勢手段として捩りコイルばね42が取り付けられている。
【0052】
第1偏心スリーブ41には軸線方向に隣り合う第2偏心スリーブ43の側に突出した連結ピン51が固定されている。第2偏心スリーブ43が第1偏心スリーブ41に隣り合う側面には連結ピン51を遊嵌合状態で受容する連結ピン51の外径より大きい内径の丸孔による係合孔43Aが形成されている。また、第2偏心スリーブ43には軸線方向に隣り合う第1偏心スリーブ41の側に突出した連結ピン58が固定されている。第1偏心スリーブ41が第2偏心スリーブ43に隣り合う側面には連結ピン58を遊嵌合状態で受容する連結ピン51の外径より大きい内径の丸孔による係合孔41Aが形成されている。連結ピン51及び係合孔43Aと連結ピン58及び係合孔41Aとは、図6に示されているように、互いに180度回転変位した位置にある。
【0053】
これにより、第1偏心スリーブ41と第2偏心スリーブ43とは所定の回転角範囲内で互いに相対回転可能に連結される。尚、図6(A)は第1偏心スリーブ41と第2偏心スリーブ43との相対偏心量が「小」の状態を、図6(B)は同相対偏心量が「中」の状態を、図6(C)は同相対偏心量が「大」の状態を各々している。
【0054】
上述の構成により、第1外歯歯車47と第2外歯歯車49とは180度の回転位相差をもって互いに反対の側において内歯歯車26に噛合する。これにより、入力軸20、偏心軸32及びジャーナル軸部34の回転バランスが改善され、且つ各歯車対の噛み合いにより生じる反力が相殺され、各ボール軸受18、22、38に作用する荷重が軽減され、これら軸受の耐久性が向上する。
【0055】
連結機構50は、第2外歯歯車49の軸線方向の一方の側(第1外歯歯車47の反対側)に隣接して配置された第1連結板57、第2連結板59と、出力軸24の円筒部24Aの内周と第1連結板57及び第2連結板59の外周との間に配置されたリング状部材60及び61とを有する。
【0056】
第1連結板57は第2外歯歯車49との干渉を避けるべく第2外歯歯車49に形成された逃げ孔49Bを通過して軸線方向に延在する複数の第1連結ピン53によって第1外歯歯車47に同軸的に連結されている。第2連結板59は第1連結板57との干渉を避けるべく第1連結板57に形成された逃げ孔57Aを通過して軸線方向に延在する複数の第2連結ピン55によって第2外歯歯車49に同軸的に連結されている。
【0057】
リング状部材60は、図7に示されているように、2重リング構造によって径方向に弾性変形可能なばね性を有し、周方向には径方向に比して高い剛性を有する。リング状部材60は内周周りに等間隔をおいて形成された複数の凹部60Aの各々に第1連結板57の外周に形成された突部57Bが係合することにより第1連結板57と回転力伝達関係で連結されている。リング状部材60は外周周りに等間隔をおいて形成された複数の凹部60Bと出力軸24の円筒部24Aの内周に形成された突部24Bが係合することにより出力軸24と回転力伝達関係で連結されている。
【0058】
リング状部材61は、リング状部材60と同一構造であり、リング状部材60と同様の凹部(不図示)に第2連結板59の外周に形成された突部(不図示)が係合することにより第2連結板59と回転力伝達関係で連結されていると共に、外周周りに等間隔をおいて形成された複数の凹部(不図示)と出力軸24の円筒部24Aの内周に形成された突部24Bが係合することにより出力軸24と回転力伝達関係で連結されている。
【0059】
このようにしてリング状部材60及び61は、第1連結板57及び第2連結板59と出力軸24とをトルク伝達関係で連結する。リング状部材60及び61は、径方向に弾性変形可能なばね性を有していることにより、第1連結板57及び第2連結板59を出力軸24に対して偏心量E(最大値)による相対的な偏心揺動を許容して連結している。
【0060】
経年使用による内歯歯車26の内歯及び第1外歯歯車47及び第2外歯歯車49の外歯の摩耗等によって、これらの内歯、外歯が細ると、第1外歯歯車47及び第2外歯歯車49と内歯歯車26とのバックラッシが増加しようとするが、第1偏心スリーブ41及び第2偏心スリーブ43が捩りコイルばね42によって偏心量Eを増大する方向に付勢されているから、内歯歯車26の内歯及び第1外歯歯車47及び第2外歯歯車49の外歯の摩耗に応じて第1偏心スリーブ41及び第2偏心スリーブ43が回動し、偏心量Eが増大する。これにより、実施形態2でも実施形態1と同様に適度なバックラッシが自動的に保たれる。
【0061】
これにより、実施形態2でも、長期間に亘って適度なバックラッシが保たれ、内接式遊星歯車装置が長期間に亘って使用されても、噛合騒音が大きくなることがなく、振動や機械ロスの増大を招くことがない。
【0062】
尚、この実施形態でも、偏心量Eの変化に対する上述の偏心揺動における偏心量の変化は、リング状部材60、61及び第1連結ピン53、第2連結ピン55の弾性変形によって許容吸収される。
【0063】
図8に示されているように、第1偏心軸部33と第1偏心スリーブ41との間に第1捩りコイルばね42Aが設けられ、第2偏心軸部35と第2偏心スリーブ43との間に第2捩りコイルばね42Bが設けられ、第1偏心スリーブ41と第2偏心スリーブ43とが個別にばね付勢されていてもよい。この場合には、バックラッシの自動調整が第1外歯歯車47と第2外歯歯車49とで個別に行われ、噛合騒音の低減が、より一層効果的に行われる。
【0064】
次に、本発明による内接式遊星歯車装置の実施形態3を、図9を参照して説明する。
【0065】
実施形態3の内接式遊星歯車装置は、フロントケース72とリヤケース74との組立体による中空構造のアウタケース(固定部材)70を有する。
【0066】
アウタケース70はボール軸受76および円筒スリーブ78によって円筒形状の入力部材(入力軸)80を回転可能に支持している。入力部材80は、電動モータ82のロータ84を兼ねている。
【0067】
アウタケース70内には電動モータ82の円環状のステータ部材88が固定されている。ステータ部材88の内周面には複数の極部90が設けられている。各極部90にはステータコイル92が巻装されている。電動モータ82は、直結モータをなし、入力部材80を自身の中心軸線周りに回転駆動する。
【0068】
アウタケース70は、入力部材80の内側に、ボール軸受94によって出力軸96を入力部材80と同心に回転可能に支持している。出力軸96の外周面には複数の外歯98を有する外歯歯車100が一体に形成されている。外歯98の歯数は後述の第1内歯歯車118及び第2内歯歯車120の内歯122、124の歯数より少ない。
【0069】
偏心駆動機構101として、入力部材80の内周面には第1偏心孔102及び第2偏心孔104が軸線方向に隣り合って形成されている。第1偏心孔102及び第2偏心孔104は、各々、入力部材80の中心に対して互いに同一の偏心量γをもって且つ互いに180度の回転位相差をもって設けられている。
【0070】
第1偏心孔102及び第2偏心孔104には第1偏心スリーブ106及び第2偏心スリーブ108が各々個別に回転可能に嵌合している。
【0071】
第1偏心スリーブ106及び第2偏心スリーブ108は、互いに同一形状のものであり、第1偏心孔102及び第2偏心孔104の内周面に回転可能に嵌合する外周面106A、108A及び外周面106A、108Aに対して偏心量δをもって偏心した内周面(貫通孔)106B、108Bを有する。
【0072】
第1偏心スリーブ106及び第2偏心スリーブ108と入力部材80との間には、入力部材80に対する第1偏心スリーブ106及び第2偏心スリーブ108の偏心量が増加する方向に付勢する付勢手段として捩りコイルばね110、112が取り付けられている。
【0073】
第1偏心スリーブ106及び第2偏心スリーブ108には、これらに形成された孔106C、108Cに圧入されることにより、連結ピン130、132が固定されている。連結ピン130、132は各々軸線方向に隣り合う第2偏心スリーブ108、第1偏心スリーブ106に形成された係合孔108D、106Dに内接状態で遊嵌合している。これにより、第1偏心スリーブ106と第2偏心スリーブ108とは互いに180度の逆位相方向に偏心した状態で互いに連結される。
【0074】
第1偏心スリーブ106及び第2偏心スリーブ108の内周面106B、108Bにはボール軸受114、116を介して円環状の第1内歯歯車118及び第2内歯歯車120が回転可能に取り付けられている。第1内歯歯車118及び第2内歯歯車120は、同一部品であり、各々、円環状であって、内周部分に複数の内歯122、124を有する。第1内歯歯車118及び第2内歯歯車120は、各々、後述の連結機構125によって入力部材80に対して偏心揺動可能に連結され、外歯歯車100に対して偏心して配置されて外歯歯車100に噛合している。
【0075】
入力部材80に対する第1内歯歯車118及び第2内歯歯車120の偏心量Eは、第1偏心孔102、第2偏心孔104の偏心量γと第1偏心スリーブ106、第2偏心スリーブ108の偏心量δとの複合的なものになり、入力部材80に対する第1偏心スリーブ106、第2偏心スリーブ108の回転位置により、γ-δ~γ+δの範囲で変化することができる。捩りコイルばね110、112は、第1偏心スリーブ106、第2偏心スリーブ108の偏心量Eがγ-δからγ+δになる偏心量増大の方向に、第1偏心スリーブ106、第2偏心スリーブ108を入力部材80に対して付勢している。各偏心量Eによって外歯歯車100に対する第1内歯歯車118及び第2内歯歯車120の噛み込み深さが決まる。
【0076】
偏心量Eによって外歯歯車100に対する第1内歯歯車118及び第2内歯歯車120の噛み込み深さが決まり、偏心量Eの増加は外歯歯車100と第1内歯歯車118及び第2内歯歯車120とのバックラッシを減少する。これにより、捩りコイルばね110、112は、外歯歯車100と第1内歯歯車118及び第2内歯歯車120とのバックラッシが減少する側に、第1偏心スリーブ106、第2偏心スリーブ108を入力部材80に対して付勢することになる。これにより、外歯歯車100は偏心量Eのもとに第1内歯歯車118、第2内歯歯車120に対して適度なバックラッシを含んで噛合する。
【0077】
連結機構125は、第1内歯歯車118及び第2内歯歯車120に形成された孔118A、120Aに圧入されることにより第1内歯歯車118及び第2内歯歯車120に固定された第1規制ピン126及び第2規制ピン128を含む。アウタケース70には偏心運動を許容して第1規制ピン126及び第2規制ピン128が内接する係合孔70A、70Bが形成されている。
【0078】
これにより、偏心駆動機構101及び連結機構125は、入力部材80からの回転入力を所定の偏心量Eをもって第1内歯歯車118及び第2内歯歯車120の偏心揺動に変換し、出力軸96を減速回転させる。
【0079】
経年使用による外歯98及び内歯122、124の摩耗等によって、外歯98、内歯122、124が細ると、外歯歯車100と第1内歯歯車118及び第2内歯歯車120とのバックラッシが増加しようとするが、第1偏心スリーブ106及び第2偏心スリーブ108が捩りコイルばね110、112によって偏心量Eを増大する方向に付勢されているから、外歯98及び内歯122、124の摩耗に応じて第1偏心スリーブ106及び第2偏心スリーブ108が回動する。これにより、偏心量Eが増大し、適度なバックラッシが自動的に保たれる。
【0080】
尚、偏心量Eの変化に対する上述の偏心揺動における偏心量の変化は、第1規制ピン126及び第2規制ピン128の弾性変形によって許容吸収される。
【0081】
これにより、長期間に亘って適度なバックラッシが保たれ、内接式遊星歯車装置が長期間に亘って使用されても、噛合騒音が大きくなることがなく、振動や機械ロスの増大を招くことがない。
【0082】
尚、実施形態3において、入力部材80は、直結モータによる直動以外に、歯車、ローラ、プーリ等を含む伝動機構によって回転駆動されてもよい。また、第1規制ピン126、第2規制ピン128は、第1内歯歯車118、第2内歯歯車120に内接係合し、アウタケース70に形成された丸孔に遊嵌合状態で常に内接していてもよい。この場合も、第1規制ピン126は第2内歯歯車120と干渉せず、第2規制ピン128は第1内歯歯車118と干渉せず、第1規制ピン126及び第2規制ピン128は第1内歯歯車118及び第2内歯歯車120の互いの運動を阻害することがない。
【0083】
以上、本発明を、その好適な実施形態について説明したが、本発明はこのような実施形態により限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、捩りコイルばね42等による偏心スリーブ40等の付勢方向は偏心量が減少する方向であってもよい。偏心スリーブ40等の付勢手段は、ばねに限られることなく、流体圧等によるものであってもよい。
【0084】
また、上記実施形態に示した構成要素は必ずしも全てが必須なものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 :アウタケース
12 :フロントケース
14 :リヤケース
16 :フロントカバー
18 :ボール軸受
20 :入力軸
22 :ボール軸受
24 :出力軸
24A :円筒部
24B :突部
26 :内歯歯車
28 :内歯
30 :偏心駆動機構
32 :偏心軸
33 :第1偏心軸部
34 :ジャーナル軸部
35 :第2偏心軸部
36 :軸受用スリーブ
38 :ボール軸受
40 :偏心スリーブ
40A :貫通孔
40B :外周面
41 :第1偏心スリーブ
41A :係合孔
42 :コイルばね
42A :コイルばね
42B :コイルばね
43 :第2偏心スリーブ
43A :係合孔
44 :ボール軸受
45A :ボール軸受
45B :ボール軸受
46 :外歯歯車
46A :中心孔
47 :第1外歯歯車
47A :中心孔
48 :外歯
49 :第2外歯歯車
49A :中心孔
49B :逃げ孔
50 :連結機構
51 :連結ピン
52 :連結ピン
53 :第1連結ピン
54 :連結板
54A :突部
55 :第2連結ピン
56 :リング状部材
56A :凹部
56B :凹部
57 :第1連結板
57A :逃げ孔
57B :突部
58 :連結ピン
59 :第2連結板
60 :リング状部材
60A :凹部
60B :凹部
61 :リング状部材
70 :アウタケース
70A :係合孔
70B :係合孔
72 :フロントケース
74 :リヤケース
76 :ボール軸受
78 :円筒スリーブ
80 :入力部材
82 :電動モータ
84 :ロータ
88 :ステータ部材
90 :極部
92 :ステータコイル
94 :ボール軸受
96 :出力軸
98 :外歯
100 :外歯歯車
101 :偏心駆動機構
102 :第1偏心孔
104 :第2偏心孔
106 :第1偏心スリーブ
106A :外周面
106B :内周面
106C :孔
106D :係合孔
108 :第2偏心スリーブ
108A :外周面
108B :内周面
108C :孔
108D :係合孔
110 :コイルばね
112 :コイルばね
114 :ボール軸受
116 :ボール軸受
118 :第1内歯歯車
118A :丸孔
118B :逃げ孔
120 :第2内歯歯車
120A :孔
120B :逃げ孔
122 :内歯
124 :内歯
125 :連結機構
126 :第1規制ピン
128 :第2規制ピン
130 :連結ピン
132 :連結ピン
E :偏心量
α :偏心量
β :偏心量
γ :偏心量
δ :偏心量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9