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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】ネガ型感光性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/032 20060101AFI20221214BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
G03F7/032
G03F7/027 502
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019060946
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020160327
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】井手 正仁
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 誠
(72)【発明者】
【氏名】稲成 浩史
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 貴雄
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/204148(WO,A1)
【文献】特開平11-292874(JP,A)
【文献】特開昭51-102097(JP,A)
【文献】特開昭51-102096(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0255845(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/032
G03F 7/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式
【化1】
(式中のRは、水素原子、または、炭素数1~20で表される有機基)
で表される化合物と一分子中にマレイミド基を少なくとも1つ以上有する化合物との樹脂反応物、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、を必須成分とするネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)が、下記一般式
【化2】
(式中のRは、水素原子、または、炭素数1~20で表される有機基)
で表される化合物と、
一分子中にマレイミド基を少なくとも1つ以上有する化合物との反応物が、以下一般式
【化3】
(式中のRは、水素原子、または、炭素数1~20で表される有機基)
で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)前記一分子中にマレイミド基を少なくとも1つ以上有する化合物が、ビスマレイミド化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)樹脂反応物が、(A)下記一般式
【化4】
(式中のRは、水素原子、または、炭素数1~20で表される有機基)
で表される化合物のNH基の総モル量Xと、一分子中にマレイミド基を少なくとも1つ以上有する化合物のマレイミド基の総モル量Yが、X>Yの比率での反応物である請求項1から3のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(B)光重合性化合物が、アクリル基含有化合物、もしくは、脂環式エポキシ基含有化合物、グリシジル基含有化合物、オキセタニル基含有化合物、アルコキシシリル基含有化合物、マレイミド基含有化合物、ビニルエーテル基含有化合物のいずれかである請求項1~4のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(B)光重合性化合物において、一分子中に光反応性基を2個以上有する化合物である請求項1~5のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項7】
光増感剤を含有する請求項1~6のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項8】
シランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物が硬化した硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ型感光性樹脂組成物に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィにより簡便にパターン形成が出来る感光性樹脂は、半導体やディスプレイ等のエレクトロニクス分野において広く利用されている材料である。
【0003】
それら感光性樹脂の中でも高い耐熱性を有する材料としてポリイミド系感光性樹脂が挙げられ、酸性基をポリマー中に有するポリイミド樹脂を用いた組成物が提案されている。
具体的な技術例として、例えば、特許文献1、2には、フェノール基をアルカリ可溶性の酸性基としてポリマー分子中に含有するポリイミド樹脂を用いた感光性組成物が記載されている。特許文献3、4には、カルボキシル基を酸性基としてポリマー分子中に含有するポリイミド樹脂を用いた感光性組成物が記載されている。しかし、フェノール基を含有するポリイミド樹脂の場合、フォトリソグラフィによるパターン形成の際、アルカリ現像液への可溶性発現のためには、酸性度を低くし、大量のフェノール系オリゴマーや架橋剤などの低分子成分を添加する必要があった。また、カルボシキル基を有するポリイミド樹脂の場合は、カルボキシル基自体が高温時に酸化・熱分解し易いため、耐熱性に優れる感光性ポリイミド樹脂組成物が求められている。
【0004】
一方、イソシアヌル酸化合物とマレイミド化合物とを反応させた樹脂については、耐熱性に優れる材料として、特許文献5、6で挙げられているが、いずれもレジスト材料、感光性樹脂としての適用に関しては記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-040273号公報
【文献】特開2008-197418号公報
【文献】特許第3972481号公報
【文献】特許第5735341号公報
【文献】米国特許第4097545号明細書
【文献】米国特許第4107153号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、パターニング性を維持しつつ、優れた耐熱性と電気絶縁性を有するネガ型感光性樹脂組成物を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、上記課題を達成する為に検討を重ねた結果、酸性基を有する特定構造の化合物とマレイミド化合物との樹脂反応物を必須成分とするネガ型感光性樹脂組成物を用いる事によって、優れた耐熱性と電気絶縁性を示す感光性樹脂組成物が得られる事を見出すに至った。本発明は、以下からなるものである。
【0008】
〔1〕.(A):下記一般式
【0009】
【化1】
【0010】
(式中のRは、水素原子、または、炭素数1~20で表される有機基)
で表される化合物と一分子中にマレイミド基を少なくとも1つ以上有する化合物との樹脂反応物、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、を必須成分とするネガ型感光性樹脂組成物。
【0011】
〔2〕.前記(A)が、下記一般式
【0012】
【化2】
【0013】
(式中のRは、水素原子、または、炭素数1~20で表される有機基)
で表される化合物と一分子中にマレイミド基を少なくとも1つ以上有する化合物との反応物が、以下一般式
【0014】
【化3】
【0015】
(式中のRは、水素原子、または、炭素数1~20で表される有機基)
で表される構造を有する〔1〕記載のネガ型感光性樹脂組成物でもよい。
【0016】
〔3〕.上記(A)上記一分子中にマレイミド基を少なくとも1つ以上有する化合物が、ビスマレイミド化合物である〔1〕または〔2〕に記載のネガ型感光性樹脂組成物でもよい。
【0017】
〔4〕.上記(A)樹脂反応物が、(A)下記一般式
【0018】
【化4】
【0019】
(式中のRは、水素原子、または、炭素数1~20で表される有機基)
で表される化合物のNH基の総モル量Xと、一分子中にマレイミド基を少なくとも1つ以上有する化合物のマレイミド基の総モル量Yが、X>Yの比率での反応物であるネガ型感光性樹脂組成物でもよい。
【0020】
〔5〕.上記(B)光重合性化合物が、アクリル基含有化合物、もしくは、脂環式エポキシ基含有化合物、グリシジル基含有化合物、オキセタニル基含有化合物、アルコキシシリル基含有化合物、マレイミド基含有化合物、ビニルエーテル基含有化合物のいずれかである〔1〕~〔4〕に記載のネガ型感光性樹脂組成物でもよい。
【0021】
〔6〕.上記(B)光重合性化合物において、一分子中に光反応性基を2個以上有する化合物である〔1〕~〔5〕のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物でもよい。
【0022】
〔7〕.光増感剤を含有する〔1〕~〔6〕のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物でもよい。
【0023】
〔8〕.シランカップリング剤を含有することを特徴とする〔1〕~〔7〕いずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物でもよい。
【0024】
〔9〕.〔1〕~〔8〕のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物が硬化した硬化物でもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、優れたパターニング性を有し、かつ、優れた耐熱性と電気絶縁性を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(ネガ型感光性樹脂組成物)
上記、ネガ型感光性樹脂組成物は、(A)下記一般式
【0027】
【化5】
【0028】
(式中のRは、水素原子、または、炭素数1~20で表される有機基)
で表される化合物と一分子中にマレイミド基を少なくとも1つ以上有する化合物との樹脂反応物、(B)光重合性化合物、(C)光重合開始剤、を必須成分とするネガ型感光性樹脂組成物により、優れた耐熱性と電気絶縁性を有するネガ型感光性樹脂組成物を提供できることを見出した。
【0029】
(成分(A):ネガ型感光性樹脂反応物)
上記のネガ型感光性ポリイミド樹脂組成物は、成分(A)として、以下一般式で示されるイソシアヌル酸構造を有する化合物とマレイミド化合物との樹脂反応物を必須成分として含有している。(式中のRは、水素原子、または、炭素数1~20で表される有機基)
【0030】
【化6】
【0031】
このイソシアヌル酸構造を有する化合物の具体的な例としては、イソシアヌル酸、モノアリルイソシアヌル酸、ジアリルイソシアヌル酸、モノメチルイソシアヌル酸、ジメチルイソシアヌル酸、モノグリシジルイソシアヌル酸、ジグリシジルイソシアヌル酸、モノベンジルイソシアヌル酸、ジベンジルイソシアヌル酸、エチレンビスイソシアヌル酸、トリメチレンビスイソシアヌル酸、テトラメチレンビスイソシアヌル酸、などが挙げられる。
【0032】
またこれらイソシアヌル酸誘導体と反応させるマレイミド化合物についても一分子中にマレイミド基を有する化合物であれば、特に限定されず使用する事ができる。例えば、分子中に一つマレイミド基を有する化合物として、マレイミド、N-フェニルマレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-イソプロピルマレイミド、N-アリルマレイミドなどが挙げられる。得られる樹脂組成物の耐熱性が高くなるという観点より、ビスマレイミド化合物が好ましい。
【0033】
ビスマレイミド化合物の具体例としては、ビス(4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-マレイミドフェニル)メタン、ビス(4-マレイミドシクロヘキシル)メタン、ビス(3-マレイミドシクロヘキシル)メタン、ビス(3-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-プロピル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジプロピル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-ブチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジブチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-4-マレイミド-5-メチルフェニル)メタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェニルオキシ)フェニル]プロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-ビス(4-マレイミドフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-マレイミドフェニル)プロパン、2,2-ビス[4-(4-マレイミドフェニルオキシ)フェニル]プロパン、ビス(4-マレイミドフェニル)エーテル、ビス(3-マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4-マレイミドフェニル)ケトン、ビス(3-マレイミドフェニル)ケトン、ビス(4-マレイミドフェニル)スルホン、ビス(3-マレイミドフェニル)スルホン、ビス[4-(4-マレイミドフェニルオキシ)フェニル]スルホン、ビス(4-マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(3-マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4-マレイミドフェニル)スルホキシド、ビス(3-マレイミドフェニル)スルホキシド、ビス(4-マレイミドフェニル)ジフェニルシラン、1,4-ビス(4-マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,4-ジマレイミドナフタレン、2,3-ジマレイミドナフタレン、1,5-ジマレイミドナフタレン、1,8-ジマレイミドナフタレン、2,6-ジマレイミドナフタレン、2,7-ジマレイミドナフタレン、4,4’-ジマレイミドビフェニル、3,3’ -ジマレイミドビフェニル、3,4’-ジマレイミドビフェニル、2,5-ジマレイミド-1,3-キシレン、1,5-ジマレイミドアントラキノン、1,2-ジマレイミドアントラキノン、2,7-ジマレイミドフルオレン、9,9-ビス(4-マレイミドフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-マレイミド-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(3-エチル-4-マレイミドフェニル)フルオレン、3,7-ジマレイミド-2-メトキシフルオレン、9,10-ジマレイミドフェナントレン、1,2-ジマレイミドアントラキノン、1,5-ジマレイミドアントラキノン、2,6-ジマレイミドアントラキノン、1,2-ジマレイミドベンゼン、1,3-ジマレイミドベンゼン、1,4-ジマレイミドベンゼン、1,4-ビス(4-マレイミドフェニル)ベンゼン、2-メチル-1,4-ジマレイミドベンゼン、2,3-ジメチル-1,4-ジマレイミドベンゼン、2,5-ジメチル-1,4-ジマレイミドベンゼン、2,6-ジメチル-1,4-ジマレイミドベンゼン、4-エチル-1,3-ジマレイミドベンゼン、5-エチル-1,3-ジマレイミドベンゼン、4,6-ジメチル-1,3-ジマレイミドベンゼン、2,4,6-トリメチル-1,3-ジマレイミドベンゼン、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジマレイミドベンゼン、4-メチル-1,3-ジマレイミドベンゼン等が挙げられる。
【0034】
またこれらの化合物において、反応させる比率については、下記一般式
【0035】
【化7】
【0036】
(式中のRは、水素原子、または、炭素数1~20で表される有機基)で表される化合物のNH基の総モル量Xと、一分子中にマレイミド基を少なくとも1つ以上有する化合物のマレイミド基の総モル量Yとした場合、酸性基であるNH基が全て反応してしまわないように、X>Yの比率で反応させる事が好ましく、このXとYの比率を調整することによって得られる感光性樹脂組成物のアルカリ現像液への溶解性を制御する事が容易となる。XとYの比率(X/Y)としては、1.05<X/Y<5である事が好ましく、感光性樹脂組成物における露光部/未露光部のコントラストがつきやすいという観点から、1.1<X/Y<3がより好ましく、硬化物における機械強度が高くなる観点より、1.1<X/Y<2である事がさらに好ましい。
【0037】
(成分(B):光重合性化合物)
上記ネガ型感光性樹脂組成物は、1分子中に少なくとも1個の光重合性官能基を有する光重合性化合物を必須成分とする。光重合性官能基とは、活性エネルギー線が外部より照射された場合に、光酸発生剤により発生した酸性活性物質、または光重合開始剤により発生したラジカル種もしくはカチオン種によって、重合および架橋する官能基を意味する。なお、活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線およびi線等が挙げられる。光重合性官能基による反応形式および架橋形式は特に限定されない。中でも反応性の観点から、光重合性官能基は、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、アルコキシシリル基、マレイミド基、ビニロキシ基であることが好ましい。上記エポキシ基の中でも安定性の観点から、脂環式エポキシ基、グリシジル基が好ましく、特に光および熱によるカチオン重合性に優れる点では、脂環式エポキシ基が好ましい。上記アルコキシシリル基としては、ケイ素に結合する官能基が、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基またはtert-ブトキシ基のものが挙げられる。硬化後の残留成分が残りにくいという観点からは、上記ケイ素に結合する官能基は、メトキシ基またはエトキシ基であることが好ましい。
【0038】
光重合性化合物としては、上記エポキシ化合物、オキセタン化合物の具体例では、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、シクロヘキシルエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン(環状または鎖状)、グリシジル基含有ポリオルガノシロキサン(環状または鎖状)、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’-ビス(4-グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ε‐カプロラクトン変性3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-5,5-スピロ-(3,4-エポキシシクロヘキサン)-1,3-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2-シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、1,4-ビス{(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ}メチル}ベンゼン、ビス{1-エチル(3-オキセタニル)}メチルエーテル、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタンおよび3-エチル-3-(2-エチルへキシロキシメチル)オキセタン等が挙げられる。
【0039】
光重合性架橋剤の例としてアルコキシシラン化合物の具体例では、テトラメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物、メチルトリメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物、並びにジメチルジメトキシ(エトキシ)シランおよびその縮合物等が挙げられる。
【0040】
上記(メタ)アクリレート化合物の具体的な例では、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸変性アリルグリシジルエーテル(ナガセケムテックス製、商品名:デナコールアクリレートDA111)、ウレタン(メタ)アクリレート類、エポキシ(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)テトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール系(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、(メタ)アクリレート基含有ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
【0041】
(成分(C):光重合開始剤)
本発明の感光性樹脂組成物では、光重合開始剤が必須成分であり、重合化合物の種類によって光カチオン重合開始剤や、光ラジカル重合開始剤などから適宜選択し用いられ、特に種類については限定されず、複数のものを併用することもできる。
【0042】
使用できる光カチオン重合開始剤としては特に限定されず使用する事ができ、米国特許第3379653号に記載されたような金属フルオロホウ素錯塩および三フッ化ホウ素錯化合物、米国特許第3586616号に記載されたようなビス(ペルフルオルアルキルスルホニル)メタン金属塩、米国特許第3708296号に記載されたようなアリールジアゾニウム化合物、米国特許第4058400号に記載されたようなVIa族元素の芳香族オニウム塩、米国特許第4069055号に記載されたようなVa族元素の芳香族オニウム塩、米国特許第4068091号に記載されたようなIIIa~Va族元素のジカルボニルキレート、米国特許第4139655号に記載されたようなチオピリリウム塩、米国特許第4161478号に記載されたようなMF6 -陰イオン(ここでMはリン、アンチモンおよびヒ素から選択される)の形のVIa族元素、米国特許第4231951号に記載されたようなアリールスルホニウム錯塩、米国特許第4256828号に記載されたような芳香族ヨードニウム錯塩および芳香族スルホニウム錯塩、W.R.Wattらによって「ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス、ポリマー・ケミストリー版」、第22巻、1789頁(1984年)に記載されたようなビス[4-(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド-ビスヘキサフルオロ金属塩(例えばリン酸塩、ヒ酸塩、アンチモン酸塩等)、陰イオンがB(C654 -である芳香族ヨードニウム錯塩および芳香族スルホニウム錯塩等が挙げられる。
【0043】
好ましい光カチオン重合開始剤としては、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族スルホニウム塩およびヨードニウム塩、並びにII族、V族およびVI族元素の芳香族オニウム塩、スルホネートエステル類、カルボン酸エステル類、が挙げられる。これらの塩のいくつかは、FX-512(3M社製)、UVR-6990およびUVR-6974(ユニオン・カーバイド社製)、UVE-1014およびUVE-1016(ジェネラル・エレクトリック社製)、KI-85(デグッサ社製)、並びにSP-152およびSP-172(旭電化社製)として商業的に入手できる。
【0044】
スルホニウム塩として、例えば、CPI-210S(サンアプロ社製)が挙げられる。1種のみまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0045】
上記ネガ型感光性樹脂組成物における光カチオン重合開始剤の含有量は、特に制限はないが、硬化性の観点から、成分(A)100重量部に対して0.01~10重量部であることが好ましい。光酸発生剤の量が少ないと、硬化に長時間を要したり、十分に硬化した硬化物が得られなかったりする場合がある。また、光酸発生剤が多いと、色が硬化物に残ったり、急硬化のために着色または耐熱性もしくは耐光性を損なったりするため、好ましくない場合がある。
【0046】
また、使用できる光ラジカル重合開始剤も、用いる光重合性化合物に合わせて用いる事ができ、特に種類は限定されない。
【0047】
アセトフェノン系化合物としては、Irgacure184、BASF社製)、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4’-i-プロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2’-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2,2-ジメトキシアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4’-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4’-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンおよび2-ヒドロキシ-1-〔4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル〕-2-メチル-プロパン-1-オン等が挙げられる。
【0048】
(光増感剤)
上記ネガ型感光性樹脂組成物は、光増感剤を含有していてもよい。光増感剤添加により、上記ネガ型感光性樹脂組成物において、可視光等への感度を向上させることができ、さらにg線(436nm)、h線(405nm)およびi線(365nm)等の高波長の光に感度を持たせることができる。これらの増感剤を、上述のカチオン重合開始剤、ラジカル重合開始剤および光酸発生剤等と併用して使用することにより、上記ネガ型感光性樹脂組成物の硬化性の調整を行うことができる。上記増感剤としては、アントラセン系化合物およびチオキサントン系化合物等が挙げられる。
【0049】
上記アントラセン系化合物の具体例としては、アントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、1,4-ジメトキシアントラセン、9-メチルアントラセン、2-エチルアントラセン、2-tert-ブチルアントラセン、2,6-ジ-tert-ブチルアントラセン、9,10-ジフェニル-2,6-ジ-tert-ブチルアントラセン等が挙げられる。特に入手しやすい観点からは、上記アントラセン系化合物として、アントラセン、9,10-ジメチルアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセンおよび9,10-ジエトキシアントラセン等が好ましい。
【0050】
上記アントラセン系化合物として、硬化物の透明性に優れる観点からはアントラセンが好ましく、硬化性組成物との相溶性に優れる観点からは9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセンおよび9,10-ジエトキシアントラセン等が好ましい。
【0051】
上記チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2-クロロチオキサントンおよび2,5-ジエチルジオキサントン等が挙げられる。
【0052】
これらの増感剤としては、1種が使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0053】
本発明の硬化性組成物における増感剤の含有量は、増感効果を発揮できる量であれば、特に限定されないが、添加した開始剤(光酸発生剤、カチオン重合開始剤またはラジカル重合開始剤)1モルに対して、好ましくは0.01~300モルであり、より好ましくは0.1モル~100モルである。増感剤の量が少ないと、増感効果が得られず、硬化に長時間を要したり、現像性に好ましくない影響を及ぼしたりする場合がある。一方、増感剤の量が多いと、色が硬化物に残ったり、急硬化のために着色したり、耐熱性または耐光性を損なったりするおそれがある。
【0054】
(シランカップリング剤)
上記ネガ型感光性樹脂組成物は、接着性改良を目的として、シランカップリング剤を含有していてもよい。
【0055】
(充填材)
上記ネガ型感光性樹脂組成物には必要に応じて充填材を添加してもよい。
【0056】
(老化防止剤)
上記ネガ型感光性樹脂組成物には老化防止剤を添加してもよい。
【0057】
(紫外線吸収剤)
上記ネガ型感光性樹脂組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。
【0058】
(溶剤)
用いる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的には、ベンゼン、トルエン、ヘキサンおよびヘプタン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソランおよびジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート(PGMEA)およびエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール系溶剤;クロロホルム、塩化メチレンおよび1,2-ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤等が挙げられる。
【0059】
(その他)
上記ネガ型感光性樹脂組成物には、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、イオントラップ剤(アンチモン-ビスマス等)、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤および物性調整剤等を、本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
【0060】
(パターン形成方法について)
上記ネガ型感光性樹脂組成物を基材上に1~5μmの膜厚で層状塗布し、乾燥させることによって得た積層体(基材/感光性樹脂組成物)を、露光後、アルカリ性現像液によって現像することによって、パターンを形成することが出来る。
【0061】
上記ネガ型感光性樹脂組成物を光硬化(露光)させるための光源としては、使用する重合開始剤および増感剤の吸収波長を発光する光源を使用すればよく、通常200~450nmの範囲の波長を含む光源(例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプまたは発光ダイオード等)を使用できる。
【0062】
上記ネガ型感光性樹脂組成物を光硬化させるための露光量は特に制限されないが、好ましくは1~10000mJ/cm2、より好ましくは1~3000mJ/cm2である。露光量が少ないと上記ネガ型感光性樹脂組成物が硬化しない場合がある。露光量が多いと急硬化のために変色する場合がある。硬化時間の範囲は好ましくは1~600秒、より好ましくは1~150秒である。硬化時間が長いと、光硬化が有する速硬化という特徴が生かされない。
【0063】
また、溶剤除去および硬化物の物性向上の目的で、光硬化前後に熱を加えプリベークおよびアフターベークさせてもよい。硬化温度は適宜設定され得るが、好ましくは40~400℃、より好ましくは60~350℃である。
【0064】
アルカリ現像液によるパターニング形成について特に限定される方法はなく、一般的に行われる浸漬法またはスプレー法等の現像方法により未露光部を溶解および除去して所望のパターンを形成することができる。
【0065】
また、アルカリ現像において使用される現像液については、一般に使用されるものであれば特に限定なく使用することができる。上記現像液の具体例としては、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液およびコリン水溶液等の有機アルカリ水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液および炭酸リチウム水溶液等の無機アルカリ水溶液等が挙げられる。上記水溶液は、溶解速度等の調整のためにアルコールおよび界面活性剤等を含有していてもよい。上記水溶液の濃度は、露光部と未露光部とのコントラストがつきやすいという観点から、25重量%以下であることが好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましい。
【0066】
(用途)
本発明のネガ型感光性樹脂組成物およびその硬化物は、種々の用途に用いることができる。例えば、透明材料、光学材料、光学レンズ、光学フィルム、光学シート、光学部品用接着剤、光導波路結合用光学接着剤、光導波路周辺部材固定用接着剤、DVD貼り合せ用接着剤、粘着剤、ダイシングテープ、電子材料、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、高電圧絶縁材料、層間絶縁膜、TFT用パッシベーション膜、TFT用ゲート絶縁膜、TFT用層間絶縁膜、TFT用透明平坦化膜、絶縁用パッキング、絶縁被覆材、接着剤、高耐熱性接着剤、高放熱性接着剤、光学接着剤、LED素子の接着剤、各種基板の接着剤、ヒートシンクの接着剤、塗料、UV粉体塗料、インク、着色インク、UVインクジェット用インク、コーティング材料(ハードコート、シート、フィルム、剥離紙用コート、光ディスク用コートおよび光ファイバ用コート等を含む)、成形材料(シート、フィルムおよびFRP等を含む)、シーリング材料、ポッティング材料、封止材料、発光ダイオード用封止材料、光半導体封止材料、CMOS・CCDセンサ用中空構造体、MEMSデバイス用中空構造体、液晶シール剤、表示デバイス用シール剤、電気材料用封止材料、各種太陽電池の封止材料、高耐熱シール材、レジスト材料、液状レジスト材料、着色レジスト、ドライフィルムレジスト材料、ソルダーレジスト材料、カラーフィルター用バインダー樹脂、カラーフィルター用透明平坦化材料、ブラックマトリクス用バインダー樹脂、液晶セル用フォトスペーサー材料、OLED素子用透明封止材料、光造形、太陽電池用材料、燃料電池用材料、表示材料、記録材料、防振材料、防水材料、防湿材料、熱収縮ゴムチューブ、オーリング、複写機用感光ドラム、電池用固体電解質、ガス分離膜、コンクリート保護材、ライニング、土壌注入剤、蓄冷熱材、滅菌処理装置用シール材、コンタクトレンズおよび酸素透過膜等が挙げられる。また、上記ネガ型感光性樹脂組成物は他樹脂等への添加剤として用いられてもよい。
【実施例
【0067】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0068】
(パターニング性評価)
実施例および比較例で得られた樹脂組成物を用いてパターニング性評価サンプルを作製した。まずガラス基板へ、実施例および比較例で得られた樹脂組成物を膜厚が2μmとなるようにスピンコーティングし、100℃に加熱したホットプレート上で2分間加熱した。次に露光装置(高圧水銀ランプ、手動露光機、大日本科研社製)を用い、50μmのラインアンドスペースパターンが刻まれたマスクを通して、それぞれの樹脂組成物に最適な積算光量で露光し(ソフトコンタクト露光)、露光後1分間放置した。その後、アルカリ性現像液(TMAH2.38%水溶液)に180秒間浸漬後、30秒間水洗してパターンを形成した。その後、230℃ホットプレート上で30分間加熱してパターニング性評価サンプルを得た。
【0069】
得られたパターニング性評価サンプルについて、3D測定レーザー顕微鏡(LEXT OLS4000、オリンパス社製)および触針式表面形状測定器(Dektak150、Veeco社製)を用いてパターン形状を観測し、50μmラインアンドスペースの状態を下記基準に従い評価した。
【0070】
<評価基準>
○:実用可能なレベル(50μmラインアンドスペースに残膜無し)
×:実用に適さないレベル(50μmラインアンドスペースに残膜有り)
【0071】
(耐熱性評価)
熱重量測定装置(TGA、島津製作所製)を用いて、室温から500℃まで10℃/分で昇温させ、重量が1%減少した温度を指標として評価を行った。
【0072】
(電気絶縁性評価)
モリブデン薄膜つきのガラス基板上に、実施例および比較例で得られた樹脂組成物を〇の膜厚でスピンコーティングし、100℃に加熱したホットプレート上で2分間加熱した。次に露光装置(高圧水銀ランプ、手動露光機、大日本科研社製)を用いて300mJ/cm2露光後、230℃のホットプレート上で30分間加熱して感光性樹脂組成物の製膜を行い、この膜上に真空蒸着機を用いてアルミ電極(3mmΦ)を形成し、コンデンサを作成した。半導体パラメーターアナライザー(Agilent4156)を用いて30V電圧印加における上下電極間のリーク電流測定を実施した。
【0073】
(合成例1:(A))
100mLのフラスコに、イソシアヌル酸2.5g、N,N-ジメチルホルムアミドを20g投入し、窒素下内温が150℃となるよう攪拌した。N,N-1,3-フェニレンビスマレイミド4.2gをN,N-ジメチルホルムアミド20gに溶解させた溶液を作成し、5回に分けてフラスコに投入し、8時間、150℃で反応させ、室温まで冷却した。さらに、500mLのイソプロピルアルコールを投入し、析出物を回収し、目的の樹脂反応物A1を得た。(X=58.1mmol、Y=31.3mmol)
(合成例2:(A))
100mLのフラスコに、イソシアヌル酸1.5g、モノアリルイソシアヌル酸1.0g、N,N-ジメチルホルムアミド20gを投入し、窒素下内温が150℃となるよう攪拌した。N,N-1,3-フェニレンビスマレイミド4.2gをN,N-ジメチルホルムアミド20gに溶解させた溶液を作成し、5回に分けてフラスコに投入し、8時間、150℃で反応させ、室温まで冷却した。500mLのイソプロピルアルコールを投入し、析出物を回収し、目的の樹脂反応物A2を得た。(X=46.7mmol、Y=31.3mmol)
【0074】
(合成例3:(B))
ジアリルイソシアヌル酸40g、ジアリルモノメチルイソシアヌル酸29gをジオキサン264gに溶解させ、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金を3重量%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt-VTSC-3X)143μLを加えた。このようにして得られた溶液を、酸素を3%含有する窒素雰囲気下、105℃に加熱した1,3,5,7-テトラハイドロジェン-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン88gをトルエン176gに溶解させた溶液に3時間かけて滴下した。
【0075】
滴下終了から30分後に1H-NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した。その後、上記溶液に対して、1-ビニル-3,4-エポキシシクロヘキサン62gをトルエン62gに溶解させた溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了から30分後に1H-NMRでアルケニル基の反応率が95%以上であることを確認した後、冷却により反応を終了した。溶媒のトルエンおよびジオキサンを減圧留去した後、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタートに置換し、無色透明の75重量%カチオン重合性樹脂である「変性シロキサンB1」を得た。
【0076】
(実施例1)
成分(A)として合成例1に記載の樹脂反応物A1を0.50g、成分(B)としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)0.10g、成分(C)として、光重合開始剤Irgacure184(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.025g、9,10-ジブトキシアントラセン0.025g、を溶剤のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物1を調製した。
【0077】
(実施例2)
成分(A)として合成例2に記載の樹脂反応物A1を0.50g、成分(B)としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)0.10g、成分(C)として、光重合開始剤Irgacure184(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.025g、9,10-ジブトキシアントラセン0.025gを溶剤のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物2を調製した。
【0078】
(実施例3)
成分(A)として合成例1に記載の樹脂反応物A1を0.50g、成分(B)として3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート1.5g(セロキサイド2021P、ダイセル有機合成カンパニー社製)、成分(C)として、光カチオン重合開始剤CPI-210S(サンアプロ社製)0.045g、9,10-ジブトキシアントラセン0.025gを溶剤のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物3を調製した。
【0079】
(実施例4)
成分(A)として合成例1に記載の樹脂反応物Aを0.50g、成分(B)として合成例3に記載のカチオン重合性樹脂である変性シロキサンB1を0.50g、成分(C)として、光カチオン重合開始剤CPI-210S(サンアプロ社製)0.045g、9,10-ジブトキシアントラセン0.025gを溶剤のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物4を調製した。
【0080】
(比較例1)
成分(A)の比較として、酸性基としてフェノール基含有樹脂マルカリンカーM(ポリビニルフェノール樹脂、丸善石油化学社製)0.50g、成分(B)としてイソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)0.10g、成分(C)として、光重合開始剤Irgacure184(チバスペシャリティーケミカルズ社製)0.025g、9,10-ジブトキシアントラセン0.025gを溶剤のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)3.5gに溶解させ、感光性組成物5を調製した。
【0081】
(結果)
実施例および比較例で得られた感光性樹脂組成物に対し、前述の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0082】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、半導体やディスプレイ等のエレクトロニクスデバイス用の絶縁層間膜、接着剤、コーティング剤および封止剤等の様々な分野で利用することができる。