(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信システム、プログラム、及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 36/24 20090101AFI20221214BHJP
H04B 7/185 20060101ALI20221214BHJP
H04W 28/08 20090101ALI20221214BHJP
H04W 36/22 20090101ALI20221214BHJP
H04W 36/30 20090101ALI20221214BHJP
H04W 84/00 20090101ALI20221214BHJP
H04W 84/06 20090101ALI20221214BHJP
【FI】
H04W36/24
H04B7/185
H04W28/08
H04W36/22
H04W36/30
H04W84/00 110
H04W84/06
(21)【出願番号】P 2019069956
(22)【出願日】2019-04-01
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】318002806
【氏名又は名称】HAPSモバイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 叔達
【審査官】小林 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-088654(JP,A)
【文献】特開2015-005872(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0368034(US,A1)
【文献】特開2018-032988(JP,A)
【文献】特表平11-502985(JP,A)
【文献】特開平10-066138(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0183672(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
H04B 7/185
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた飛行ルートを飛行し、地上に向けてビームを照射することによってセルを形成して前記セル内のユーザ端末に無線通信サービスを提供する飛行体による通信を制御する通信制御装置であって、
予め定められた条件が満たされたことに応じて、前記飛行体の前記セルに在圏しているユーザ端末を他のセルにハンドオーバさせるためのオフロード機能を起動する起動部
であって、前記飛行体の前記セルにおける無線リソース使用率が予め定められたセルリソース閾値より高い場合に、前記オフロード機能を起動する起動部と、
前記オフロード機能が起動している場合に、前記飛行体の前記セルのネイバーセルリストと、複数の周波数のそれぞれに優先度が対応付けられた周波数優先度リストと、前記飛行体の前記セルに在圏している複数のユーザ端末のそれぞれの無線リソース使用率と、前記複数のユーザ端末のそれぞれのMCSとに基づいて、前記複数のユーザ端末のうちのオフロードさせるオフロード対象のユーザ端末と、オフロード先のセルとを決定する決定部と、
前記オフロード先のセルに、前記オフロード対象のユーザ端末をハンドオーバさせる制御部と
を備え
、
前記飛行体の位置と、日時と、前記飛行体の前記セルにおける無線リソース使用率との履歴を格納する履歴格納部と、
前記履歴に含まれる前記飛行体の位置及び日時、並びに前記飛行体の前記セルにおける無線リソース使用率の関係を学習することによって導出された学習モデルを用いて、前記飛行ルートのうち、前記無線リソース使用率が予め定められた閾値より高くなる前記飛行体の位置及び日時を特定する特定部と
を更に備え、
前記起動部は、前記履歴に基づいて前記予め定められた条件を決定し、前記予め定められた条件が満たされたことに応じて、前記オフロード機能を起動し、
前記起動部は、前記飛行体が前記飛行ルートを飛行しているときに、前記特定部によって特定された日時に、前記飛行体が前記特定部によって特定された位置に到達する前に、前記オフロード機能を起動する、通信制御装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記複数のユーザ端末のそれぞれの無線リソース使用率と、前記複数のユーザ端末のそれぞれのMCSとに基づいて、前記オフロード対象のユーザ端末を決定する、請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記複数のユーザ端末のうち、前記無線リソース使用率が予め定められた端末リソース閾値よりも高く、かつ、前記MCSがMCS閾値より低いユーザ端末を、オフロード対象のユーザ端末として決定する、請求項2に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記飛行体は地上に向けて複数のビームを照射することによって複数のセルから構成されるマルチセルを形成し、
前記通信制御装置は、
前記複数のセルのそれぞれに対して、前記端末リソース閾値及び前記MCS閾値を設定する第1閾値設定部
を備える、請求項3に記載の通信制御装置。
【請求項5】
前記第1閾値設定部は、前記複数のセルのそれぞれがカバーする地上エリアの状況に基づいて、前記複数のセルのそれぞれに対して前記端末リソース閾値及び前記MCS閾値を設定する、請求項4に記載の通信制御装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記ネイバーセルリスト及び前記周波数優先度リストに基づいて、前記オフロード先のセルを決定する、請求項1から5のいずれか一項に記載の通信制御装置。
【請求項7】
前記飛行体は地上に向けて複数のビームを照射することによって複数のセルから構成されるマルチセルを形成し、
前記通信制御装置は、
前記複数のセルのそれぞれに対して、前記セルリソース閾値を設定する第2閾値設定部
を備える、請求項
1から6のいずれか一項に記載の通信制御装置。
【請求項8】
前記第2閾値設定部は、前記複数のセルのそれぞれがカバーする地上エリアの状況に基づいて、前記複数のセルのそれぞれに対して前記セルリソース閾値を設定する、請求項
7に記載の通信制御装置。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の通信制御装置と、
前記飛行体と
を備える通信システム。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1から
8のいずれか一項に記載の通信制御装置として機能させるためのプログラム。
【請求項11】
予め定められた飛行ルートを飛行し、地上に向けてビームを照射することによってセルを形成して前記セル内のユーザ端末に無線通信サービスを提供する飛行体による通信を制御する通信制御装置によって実行される通信制御方法であって、
予め定められた条件が満たされたことに応じて、前記飛行体の前記セルに在圏しているユーザ端末を他のセルにハンドオーバさせるためのオフロード機能を起動する起動段階と、
前記飛行体の前記セルのネイバーセルリストと、複数の周波数のそれぞれに優先度が対応付けられた周波数優先度リストと、前記飛行体の前記セルに在圏している複数のユーザ端末のそれぞれの無線リソース使用率と、前記複数のユーザ端末のそれぞれのMCSとに基づいて、前記複数のユーザ端末のうちのオフロードさせるオフロード対象のユーザ端末と、オフロード先のセルとを決定する決定段階と、
前記オフロード先のセルに、前記オフロード対象のユーザ端末をハンドオーバさせる制御段階と
を備え
、
前記飛行体の位置と、日時と、前記飛行体の前記セルにおける無線リソース使用率との履歴を履歴格納部に格納する履歴格納段階と、
前記履歴に含まれる前記飛行体の位置及び日時、並びに前記飛行体の前記セルにおける無線リソース使用率の関係を学習することによって導出された学習モデルを用いて、前記飛行ルートのうち、前記無線リソース使用率が予め定められた閾値より高くなる前記飛行体の位置及び日時を特定する特定段階と
を更に備え、
前記起動段階は、前記履歴に基づいて前記予め定められた条件を決定し、前記予め定められた条件が満たされたことに応じて、前記オフロード機能を起動し、
前記起動段階は、前記飛行体が前記飛行ルートを飛行しているときに、前記特定段階において特定された日時に、前記飛行体が前記特定段階において特定された位置に到達する前に、前記オフロード機能を起動する、通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置、通信システム、プログラム、及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
成層圏プラットフォームを提供すべく、アンテナを有し、成層圏を飛行する飛行体が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2002-211496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
成層圏プラットフォームのように多数のユーザ端末に対して無線通信サービスを提供する場合に、無線リソースの逼迫による通信品質の低下を抑制可能な技術を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、地上に向けてビームを照射することによってセルを形成してセル内のユーザ端末に無線通信サービスを提供する飛行体による通信を制御する通信制御装置が提供される。通信制御装置は、予め定められた条件が満たされたことに応じて、飛行体のセルに在圏しているユーザ端末を他のセルにハンドオーバさせるためのオフロード機能を起動する起動部を備えてよい。通信制御装置は、オフロード機能が起動している場合に、飛行体のセルのネイバーセルリストと、複数の周波数のそれぞれに優先度が対応付けられた周波数優先度リストと、飛行体のセルに在圏している複数のユーザ端末のそれぞれの無線リソース使用率と、複数のユーザ端末のそれぞれのMCSとに基づいて、複数のユーザ端末のうちのオフロードさせるオフロード対象のユーザ端末と、オフロード先のセルとを決定する決定部を備えてよい。通信制御装置は、オフロード先のセルに、オフロード対象のユーザ端末をハンドオーバさせる制御部を備えてよい。
【0005】
上記決定部は、上記複数のユーザ端末のそれぞれの無線リソース使用率と、上記複数のユーザ端末のそれぞれのMCSとに基づいて、上記オフロード対象のユーザ端末を決定してよい。上記決定部は、上記複数のユーザ端末のうち、上記無線リソース使用率が予め定められた端末リソース閾値よりも高く、かつ、上記MCSがMCS閾値より低いユーザ端末を、オフロード対象のユーザ端末として決定してよい。上記飛行体は地上に向けて複数のビームを照射することによって複数のセルから構成されるマルチセルを形成してよく、上記通信制御装置は、上記複数のセルのそれぞれに対して上記端末リソース閾値及び上記MCS閾値を設定する第1閾値設定部を備えてよい。上記第1閾値設定部は、上記複数のセルのそれぞれがカバーする地上エリアの状況に基づいて、上記複数のセルのそれぞれに対して上記端末リソース閾値及び上記MCS閾値を設定してよい。上記決定部は、上記ネイバーセルリスト及び上記周波数優先度リストに基づいて、上記オフロード先のセルを決定してよい。
【0006】
上記起動部は、上記飛行体の上記セルにおける無線リソース使用率が予め定められたセルリソース閾値より高い場合に、上記オフロード機能を起動してよい。上記飛行体は地上に向けて複数のビームを照射することによって複数のセルから構成されるマルチセルを形成してよく、上記通信制御装置は、上記複数のセルのそれぞれに対して、上記セルリソース閾値を設定する第2閾値設定部を備えてよい。上記第2閾値設定部は、上記複数のセルのそれぞれがカバーする地上エリアの状況に基づいて、上記複数のセルのそれぞれに対して上記セルリソース閾値を設定してよい。
【0007】
上記通信制御装置は、上記飛行体の位置と、日時と、上記飛行体の上記セルにおける無線リソース使用率との履歴を格納する履歴格納部を備えてよく、上記起動部は、上記履歴に基づいて上記予め定められた条件を決定してよく、上記予め定められた条件が満たされたことに応じて、上記オフロード機能を起動してよい。上記飛行体は、予め定められた飛行ルートを飛行してよく、上記通信制御装置は、上記履歴に含まれる上記飛行体の位置及び日時、並びに上記飛行体の上記セルにおける無線リソース使用率の関係を学習することによって導出された学習モデルを用いて、上記飛行ルートのうち、上記無線リソース使用率が予め定められた閾値より高くなる上記飛行体の位置及び日時を特定する特定部を備え、てよく、上記起動部は、上記飛行体が上記飛行ルートを飛行しているときに、上記特定部によって特定された日時に、上記飛行体が上記特定部によって特定された位置に到達する前に、上記オフロード機能を起動してよい。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、上記通信制御装置と、上記飛行体とを備えるシステムが提供される。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、コンピュータを、上記通信制御装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、地上に向けてビームを照射することによってセルを形成してセル内のユーザ端末に無線通信サービスを提供する飛行体による通信を制御する通信制御装置によって実行される通信制御方法が提供される。通信制御方法は、予め定められた条件が満たされたことに応じて、飛行体のセルに在圏しているユーザ端末を他のセルにハンドオーバさせるためのオフロード機能を起動する起動段階を備えてよい。通信制御方法は、飛行体のセルのネイバーセルリストと、複数の周波数のそれぞれに優先度が対応付けられた周波数優先度リストと、飛行体のセルに在圏している複数のユーザ端末のそれぞれの無線リソース使用率と、複数のユーザ端末のそれぞれのMCSとに基づいて、複数のユーザ端末のうちのオフロードさせるオフロード対象のユーザ端末と、オフロード先のセルとを決定する決定段階を備えてよい。通信制御方法は、オフロード先のセルに、オフロード対象のユーザ端末をハンドオーバさせる制御段階を備えてよい。
【0011】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】通信制御装置200によるハンドオーバ制御を説明するための説明図である。
【
図3】オフロード対象のユーザ端末30を決定する条件の一例を説明するための説明図である。
【
図4】オフロード対象のユーザ端末30を決定する条件の一例を説明するための説明図である。
【
図5】通信制御装置200の機能構成の一例を概略的に示す。
【
図6】通信制御装置200による処理の流れの一例を概略的に示す。
【
図7】通信制御装置200として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1は、飛行体100の一例を概略的に示す。飛行体100は、本体部102、主翼部104、プロペラ106、スキッド108、車輪110、及び太陽電池パネル112を有する。
【0015】
本体部102は、不図示のバッテリ、飛行制御装置及び基地局装置と、通信制御装置200とを備える。バッテリは、太陽電池パネル112によって発電された電力を蓄電する。飛行制御装置は、飛行体100の飛行を制御する。飛行制御装置は、例えば、バッテリに蓄電された電力を用いてプロペラ106を回転させることによって、飛行体100を飛行させる。基地局装置は、アンテナを有し、アンテナを用いて地上に向けてビームを照射することによってセル120を形成して、セル120内のユーザ端末30に無線通信サービスを提供する。通信制御装置200は、基地局装置による通信を制御する。通信制御装置200と基地局装置とは一体であってもよい。また、通信制御装置200、基地局装置、及び飛行制御装置は一体であってもよい。
【0016】
飛行体100は、例えば、成層圏を飛行して地上のユーザ端末30に無線通信サービスを提供する。飛行体100は、成層圏プラットフォームとして機能してよい。
【0017】
ユーザ端末30は、飛行体100と通信可能な通信端末であればどのような端末であってもよい。例えば、ユーザ端末30は、スマートフォン等の携帯電話である。ユーザ端末30は、タブレット端末及びPC(Personal Computer)等であってもよい。ユーザ端末30は、いわゆるIoT(Internet of Thing)デバイスであってもよい。ユーザ端末30は、いわゆるIoE(Internet of Everything)に該当するあらゆるものを含み得る。
【0018】
飛行体100は、例えば、カバー対象の地上エリアの一部をマルチセル120によってカバーしながら、地上エリアの上空を移動することによって、地上エリアの全体をカバーする。また、飛行体100は、例えば、カバー対象の地上エリアの上空を巡回しながら、セル120によって当該地上エリアをカバーしてもよい。
【0019】
飛行体100は、例えば、ユーザ端末30と、地上のネットワーク20との通信を中継することによって、ユーザ端末30に無線通信サービスを提供する。ネットワーク20は、通信事業者によって提供されるコアネットワークを含んでよい。コアネットワークは、任意の移動体通信システムに準拠していてよく、例えば、3G(3rd Generation)通信システム、LTE(Long Term Evolution)通信システム、4G(4th Generation)通信システム、及び5G(5th Generation)通信システム以降の移動体通信システム等に準拠する。ネットワーク20は、インターネットを含んでもよい。
【0020】
飛行体100は、例えば、地上の各地に配置されたゲートウェイ22のうち、セル120内のゲートウェイ22を介して地上のネットワーク20と通信する。また、例えば、飛行体100は、通信衛星80を介してネットワーク20と通信する。この場合、飛行体100は、通信衛星80と通信するためのアンテナを有する。
【0021】
飛行体100は、例えば、セル120内のユーザ端末30から受信したデータを、ネットワーク20に送信する。また、飛行体100は、例えば、ネットワーク20を介して、セル120内のユーザ端末30宛のデータを受信した場合、当該データをユーザ端末30に送信する。
【0022】
飛行体100は、他の飛行体と通信してもよい。飛行体100は、例えば、ネットワーク20を介して他の飛行体と通信する。また、飛行体100は、例えば、通信衛星80を介して他の飛行体と通信する。飛行体100は、無線通信によって他の飛行体と直接通信してもよい。この場合、飛行体100は、他の飛行体と無線通信するためのアンテナを有する。飛行体100は、例えば、当該アンテナを用いて他の飛行体との間でC2リンクを形成し、C2リンクを介して通信してよい。
【0023】
飛行体100は、地上の管理装置400によって制御されてよい。飛行体100は、例えば、管理装置400によってネットワーク20及びゲートウェイ22を介して送信された指示に従って飛行したりマルチセル120を形成したりする。管理装置400は、通信衛星80を介して飛行体100に指示を送信してもよい。
【0024】
管理装置400は、指示を送信することによって飛行体100を制御する。管理装置400は、セル120によって地上の対象エリアをカバーさせるべく、飛行体100に対象エリアの上空を飛行させてよい。
【0025】
管理装置400は、飛行体100がセル120によってカバーする地上エリアに関連する地上エリア関連情報を管理してよい。地上エリア関連情報は、例えば、地上エリアにおける、多数の人が集まり得るコンサート等のイベントの開催状況を含む。地上エリア関連情報は、地上エリアにおける地上のモバイルネットワークの配置状況を含んでよい。地上エリア関連情報は、地上のモバイルネットワークにおける通信状況を含んでよい。例えば、地上エリア関連情報は、地上のモバイルネットワークにおける通信負荷状況を含む。通信負荷状況は、例えば、通信トラフィックの状況であってよい。また、通信負荷状況は、例えば、PRB(Physical Resouce Block)の使用率であってよい。PRBは、無線リソースの一例であってよい。
【0026】
飛行体100によって形成されるセル120は、地上のモバイルネットワークにおいて無線基地局が形成するセルと比較して、非常に広範囲の地上エリアをカバーし得る。そのため、飛行体100が収容するユーザ端末30の数は、地上の無線基地局が収容するユーザ端末30の数と比較して非常に多くなり得る。そのため、セル120内において無線リソースが逼迫してしまい、セル120内の全体の通信速度が低下してしまう恐れがある。
【0027】
本実施形態に係る通信制御装置200は、このようなセル120内の全体的な通信速度の低下を抑制する機能を有する。通信制御装置200は、例えば、セル120内のネットワーク環境において無線品質の悪いユーザ端末30を、他の飛行体100によって形成されている隣接セルや、地上の無線基地局によって形成されている隣接セルにハンドオーバさせることでトラフィックをオフロードし、セル120の無線リソースを最適化させることによって、ユーザスループットを改善する。
【0028】
図2は、飛行体100に搭載されている通信制御装置200によるハンドオーバ制御を説明するための説明図である。通信制御装置200は、セル120に複数のユーザ端末30が在圏しており、セル120の無線リソースが逼迫している状況において、複数のユーザ端末30のうち、無線環境がより悪いユーザ端末30を、他のセルにハンドオーバさせる。ユーザ端末30がセル120に在圏しているとは、ユーザ端末30がセル120内に位置して飛行体100と無線通信接続を確立していることであってよい。なお、ユーザ端末30がセル120に在圏していることを、ユーザ端末30が飛行体100に在圏していると記載する場合がある。
【0029】
図2では、ハンドオーバ対象のユーザ端末30のみを図示しており、他のユーザ端末30の図示を省略している。ハンドオーバ対象のユーザ端末30の数は1つに限らず、任意の数であり得る。
図2では、隣接セルとして、飛行体140のセル160と、地上の無線基地局40のセル42が存在する場合を例示している。
【0030】
通信制御装置200は、例えば、複数の周波数のそれぞれに優先度が対応付けられた周波数優先度リストに基づいて、ユーザ端末30のハンドオーバ先のセルを決定する。下記表1は、周波数優先度リストの一例である。表1に示す例では、B41が最も優先度が高く、B42、B1、B3、B8がそれに続いている。優先度は任意に設定可能であってよく、また、変更可能であってよい。
【0031】
【0032】
通信制御装置200は、例えば、ユーザ端末30のハンドオーバ先としてセル42を選択した場合、ユーザ端末30をセル42にハンドオーバさせるよう制御する。通信制御装置200は、公知の任意の手法を用いて、ユーザ端末30をセル42にハンドオーバさせるよう制御してよい。例えば、通信制御装置200は、セル42の優先度が高くなるように設定した、再選択すべきセルの優先度を示すidleModeMobilityControllInfoを含む、無線接続の開放を指示するメッセージ(RRC Connection Release)をユーザ端末30に送信する。これにより、ユーザ端末30をセル42にハンドオーバさせることができる。
【0033】
図3は、オフロード対象のユーザ端末30を決定する条件の一例を説明するための説明図である。通信制御装置200は、飛行体100に在圏している複数のユーザ端末30のそれぞれのPRB使用率と、複数のユーザ端末30のそれぞれのMCS(Modulation and Coding Scheme)とに基づいて、複数のユーザ端末30のうちのオフロード対象のユーザ端末30を決定してよい。
【0034】
当該決定に用いるPRB使用率は、ダウンリンクのPRB使用率であっても、アップリンクのPRB使用率であってもよい。また、当該決定に用いるMCSは、ダウンリンクのMCSであっても、アップリンクのMCSであってもよい。
図3では、MCSが28段階である場合を例示しているが、これに限らず、各種のMCSが用いられてよい。
【0035】
通信制御装置200は、例えば、PRB使用率と比較するための閾値(端末リソース閾値と記載する場合がある。)と、MCSと比較するための閾値(MCS閾値と記載する場合がある。)とを設定することにより、オフロード対象領域302を設定する。
図3に示す例では、端末リソース閾値が30%であり、MCS閾値が16である場合を例示している。通信制御装置200は、複数のユーザ端末30のうち、PRB使用率が端末リソース閾値より高く、かつ、MCSがMCS閾値より低いユーザ端末30を、オフロード対象のユーザ端末30として決定する。これにより、通信負荷が高く、かつ、無線通信品質が低いユーザ端末30を優先的にハンドオーバさせることができ、セル120の無線リソースを最適化することができる。
【0036】
通信制御装置200は、複数のユーザ端末30のPRB使用率のみに基づいて、オフロード対象のユーザ端末30を決定してもよい。例えば、通信制御装置200は、複数のユーザ端末30のうち、PRB使用率が端末リソース閾値よりも高いユーザ端末30を、オフロード対象のユーザ端末30として決定する。これにより、通信負荷が高いユーザ端末30を優先的にオフロードさせることができる。
【0037】
また、例えば、通信制御装置200は、複数のユーザ端末30のうち、MCSがMCS閾値より低いユーザ端末30を、オフロード対象のユーザ端末30として決定する。これにより、無線通信品質が低いユーザ端末30を優先的にオフロードさせることができる。
【0038】
図4は、オフロード対象のユーザ端末30を決定する条件の他の一例を説明するための説明図である。通信制御装置200は、複数のユーザ端末30のうち、
図4に示すオフロード対象領域312及びオフロード対象領域314に位置するユーザ端末30をオフロード対象として決定してもよい。このように、通信制御装置200は、オフロード対象のユーザ端末30を決定するための条件を任意に設定し得る。
【0039】
図5は、通信制御装置200の機能構成の一例を概略的に示す。通信制御装置200は、通信管理部202、起動部204、決定部206、制御部208、閾値設定部210、情報取得部212、履歴格納部214、学習実行部216、及び特定部218を備える。なお、通信制御装置200がこれらの全ての構成を備えることは必須とは限らない。
【0040】
通信管理部202は、飛行体100に在圏しているユーザ端末30の通信を管理する。通信管理部202は、基地局装置によって中継されるユーザ端末30の通信を管理してよい。通信制御装置200が基地局装置と一体である場合、通信管理部202は、ユーザ端末30の通信を中継してもよい。
【0041】
通信管理部202は、セル120におけるPRB使用率を管理してよい。また、通信管理部202は、飛行体100に在圏している複数のユーザ端末30のそれぞれのPRB使用率を管理してよい。また、通信管理部202は、飛行体100に在圏している複数のユーザ端末30のそれぞれのMCSを管理してよい。
【0042】
起動部204は、予め定められた条件が満たされたことに応じて、飛行体100のセル120に在圏しているユーザ端末30を他のセルにハンドオーバさせるためのオフロード機能を起動する。起動部204は、例えば、飛行体100のセル120におけるPRB使用率が予め定められた閾値(セルリソース閾値と記載する場合がある。)より高い場合に、オフロード機能を起動する。
【0043】
決定部206は、オフロード機能を起動している場合に、飛行体100に在圏している複数のユーザ端末30のうちのオフロードさせるオフロード対象のユーザ端末30と、オフロード先のセルとを決定する。決定部206は、例えば、飛行体100のセル120のネイバーセルリストと、周波数優先度リストと、飛行体100に在圏している複数のユーザ端末30のそれぞれのPRB使用率と、飛行体100に在圏している複数のユーザ端末30のMCSとに基づいて、オフロード対象のユーザ端末30と、オフロード先のセルとを決定する。
【0044】
決定部206は、例えば、飛行体100に在圏している複数のユーザ端末30のそれぞれのPRB使用率と、当該複数のユーザ端末30のMCSとに基づいて、オフロード対象のユーザ端末30を決定する。決定部206は、例えば、複数のユーザ端末30のうち、PRB使用率が予め定められた端末リソース閾値よりも高いユーザ端末30を、オフロード対象のユーザ端末30として決定する。また、決定部206は、例えば、複数のユーザ端末30のうち、MCSが予め定められたMCS閾値より低いユーザ端末30を、オフロード対象のユーザ端末30として決定する。また、決定部206は、例えば、複数のユーザ端末30のうち、PRB使用率が端末リソース閾値よりも高く、かつ、MCSがMCS閾値よりも低いユーザ端末30を、オフロード対象のユーザ端末30として決定する。
【0045】
制御部208は、決定部206によって決定されたオフロード先のセルに、オフロード対象のユーザ端末30をハンドオーバさせる。制御部208は、例えば、公知の任意の手法を用いて、オフロード対象のユーザ端末30をオフロード先のセルにハンドオーバさせる。例えば、制御部208は、オフロード先のセルの優先度が高くなるように設定した、再idleModeMobilityControllInfoを含むRRC Connection Releaseをユーザ端末30に送信する。
【0046】
閾値設定部210は、端末リソース閾値を設定する。閾値設定部210は、例えば、飛行体100が飛行を開始する前に、飛行体100によって無線通信サービスを提供するサービス提供者の指示に従って端末リソース閾値を設定する。飛行体100が、地上に向けて複数のビームを照射することによって複数のセルから構成されるマルチセルを形成する場合、閾値設定部210は、複数のセルのそれぞれに対して、端末リソース閾値を設定してもよい。閾値設定部210は、第1閾値設定部の一例であってよい。
【0047】
閾値設定部210は、MCS閾値を設定する。閾値設定部210は、例えば、飛行体100が飛行を開始する前に、飛行体100によって無線通信サービスを提供するサービス提供者の指示に従ってMCS閾値を設定する。飛行体100が、地上に向けて複数のビームを照射することによって複数のセルから構成されるマルチセルを形成する場合、閾値設定部210は、複数のセルのそれぞれに対して、MCS閾値を設定してもよい。
【0048】
閾値設定部210は、セルリソース閾値を設定する。閾値設定部210は、例えば、飛行体100が飛行を開始する前に、飛行体100によって無線通信サービスを提供するサービス提供者の指示に従ってセルリソース閾値を設定する。飛行体100が、地上に向けて複数のビームを照射することによって複数のセルから構成されるマルチセルを形成する場合、閾値設定部210は、複数のセルのそれぞれに対して、セルリソース閾値を設定してもよい。閾値設定部210は、第2閾値設定部の一例であってよい。
【0049】
情報取得部212は、各種情報を取得する。情報取得部212は、飛行体100が飛行している間に、セル120がカバーしている地上エリアに関連する地上エリア関連情報を取得してよい。情報取得部212は、例えば、管理装置400から地上エリア関連情報を受信する。
【0050】
閾値設定部210は、情報取得部212が取得した地上エリア関連情報を参照して、セル120がカバーする地上エリアの状況に基づいて、端末リソース閾値及びMCS閾値を設定してもよい。例えば、閾値設定部210は、セル120がカバーする地上エリアにおいて、多数の人が集まり得るコンサート等のイベントが開催されている場合に、端末リソース閾値を減少し、MCS閾値を増加する。これにより、セル120の逼迫が予想される場合に、ユーザ端末30をオフロードさせやすくすることができ、逼迫による全体の通信速度の低下を低減し得る。
【0051】
また、例えば、閾値設定部210は、セル120がカバーする地上エリアにモバイルネットワークが配置されていない場合に、端末リソース閾値を増加し、MCS閾値を減少する。これにより、ユーザ端末30をオフロードさせようとしたがオフロード先が見つからないというように、不必要な処理を実行してしまう可能性を低減することができる。
【0052】
また、例えば、閾値設定部210は、セル120がカバーする地上エリアにおける地上のモバイルネットワークの通信負荷が予め定められた閾値より低い場合に、端末リソース閾値を減少し、MCS閾値を増加する。これにより、飛行体100に在圏しているユーザ端末30を、地上のモバイルネットワークに積極的にオフロードすることができる。
【0053】
また、例えば、閾値設定部210は、セル120がカバーする地上エリアにおける地上のモバイルネットワークの通信負荷が予め定められた閾値より高い場合に、端末リソース閾値を増加し、MCS閾値を低減する。これにより、飛行体100に在圏しているユーザ端末30を地上のモバイルネットワークにオフロードすることによって、地上のモバイルネットワークの通信負荷がさらに高まってしまうという事態の発生を抑制することができ。
【0054】
閾値設定部210は、飛行体100が複数のセルから構成されるマルチセルを形成する場合、情報取得部212が取得した地上エリア関連情報を参照して、複数のセルのそれぞれがカバーする地上エリアの状況に基づいて、複数のセルのそれぞれに対して端末リソース閾値及びMCS閾値を設定してもよい。例えば、閾値設定部210は、複数のセルのうち、カバーする地上エリアにおいて、多数の人が集まり得るコンサート等のイベントが開催されているセルについてのみ、端末リソース閾値を減少し、MCS閾値を増加する。また、例えば、閾値設定部210は、複数のセルのうち、カバーする地上エリアに地上のモバイルネットワークが配置されていないセルについてのみ、端末リソース閾値を増加し、MCS閾値を減少する。また、例えば、閾値設定部210は、複数のセルのうち、カバーする地上エリアにおける地上のモバイルネットワークの通信負荷が予め定められた閾値より高いセルについて、端末リソース閾値を増加し、MCS閾値を低減し、カバーする地上エリアにおける地上のモバイルネットワークの通信負荷が予め定められた閾値より低いセルについて、端末リソース閾値を減少し、MCS閾値を増加する。
【0055】
閾値設定部210は、情報取得部212が取得した地上エリア関連情報を参照して、セル120がカバーする地上エリアの状況に基づいて、セルリソース閾値を設定してもよい。例えば、閾値設定部210は、セル120がカバーする地上エリアにおいて、多数の人が集まり得るコンサート等のイベントが開催されている場合に、セルリソース閾値を減少する。これにより、セル120の逼迫が予想される場合に、オフロード機能を起動させやすくすることができる。
【0056】
また、例えば、閾値設定部210は、セル120がカバーする地上エリアにモバイルネットワークが配置されていない場合に、セルリソース閾値を増加する。これにより、ユーザ端末30をオフロードさせようとしたがオフロード先が見つからないというように、不必要な処理を実行してしまう可能性を低減することができる。
【0057】
また、例えば、閾値設定部210は、セル120がカバーする地上エリアにおける地上のモバイルネットワークの通信負荷が予め定められた閾値より低い場合に、セルリソース閾値を減少する。これにより、地上のモバイルネットワークによるユーザ端末30の受け入れが可能である状況において、オフロード機能を起動させやすくすることができる。
【0058】
また、例えば、閾値設定部210は、セル120がカバーする地上エリアにおける地上のモバイルネットワークの通信負荷が予め定められた閾値より高い場合に、セルリソース閾値を増加する。これにより、地上のモバイルネットワークによるユーザ端末30の受け入れが困難である状況において、オフロード機能を起動させにくくすることができる。
【0059】
閾値設定部210は、飛行体100が複数のセルから構成されるマルチセルを形成する場合、情報取得部212が取得した地上エリア関連情報を参照して、複数のセルのそれぞれがカバーする地上エリアの状況に基づいて、複数のセルのそれぞれに対してセルリソース閾値を設定してもよい。例えば、閾値設定部210は、複数のセルのうち、カバーする地上エリアにおいて、多数の人が集まり得るコンサート等のイベントが開催されているセルについてのみ、セルリソース閾値を減少する。また、例えば、閾値設定部210は、複数のセルのうち、カバーする地上エリアに地上のモバイルネットワークが配置されていないセルについてのみ、セルリソース閾値を増加する。また、例えば、閾値設定部210は、複数のセルのうち、カバーする地上エリアにおける地上のモバイルネットワークの通信負荷が予め定められた閾値より高いセルについて、セルリソース閾値を増加し、カバーする地上エリアにおける地上のモバイルネットワークの通信負荷が予め定められた閾値より低いセルについて、セルリソース閾値を減少する。
【0060】
履歴格納部214は、飛行体100の位置と、日時と、飛行体100のセル120におけるPRB使用率との履歴を格納する。履歴格納部214は、通信管理部202から取得した飛行体100の位置と、日時と、飛行体100のセル120におけるPRB使用率とを履歴として格納してよい。
【0061】
起動部204は、履歴格納部214が格納している履歴に基づいて条件を予め定め、当該予め定められた条件が満たされたことに応じて、オフロード機能を起動してもよい。起動部204は、履歴に基づいて、例えば、飛行体100が飛行している日時と、飛行体100の飛行方向とから、飛行体100がその飛行方向に進行することによって、飛行体100のセル120におけるPRB使用率が高まると推定したことに応じて、オフロード機能を起動する。
【0062】
学習実行部216は、履歴格納部214に格納されている履歴に対して学習を実行することによって学習モデルを生成する。学習実行部216は、例えば、飛行体100が予め定められた飛行ルートを飛行したときの履歴に含まれる飛行体100の位置及び日時、並びに飛行体100のセル120におけるPRB使用率の関係を学習することによって、飛行体100の位置及び日時から、飛行体100のセル120におけるPRB使用率を出力する学習モデルを生成する。
【0063】
特定部218は、飛行体100が予め定められた飛行ルートを飛行する場合において、学習実行部216によって生成された学習モデルを用いて、飛行ルートのうち、PRB使用率が予め定められた閾値より高くなる飛行体100の位置及び日時を特定する。起動部204は、飛行体100が当該飛行ルートを飛行しているときに、特定部218によって特定された日時に、飛行体100が特定部218によって特定された位置に到達する前に、オフロード機能を起動してもよい。これにより、飛行体100が飛行ルートを飛行しているときに、飛行体100のセル120におけるPRB使用率が高まる蓋然性が高まったときに、PRB使用率が実際に高くなる前に、オフロード機能を起動することができる。
【0064】
図6は、通信制御装置200による処理の流れの一例を概略的に示す。ここでは、オフロード機能を起動していない状態を開始状態として説明する。
【0065】
ステップ(ステップをSと省略して記載する場合がある。)102では、起動部204が、オフロード機能の起動条件が満たされたか否かを判定する。満たされた場合、S104に進む。S104では、起動部204が、オフロード機能を起動する。
【0066】
S106では、決定部206が、飛行体100に在圏している複数のユーザ端末30から、オフロード対象のユーザ端末30(オフロード対象端末と記載する場合がある。)と、オフロード先のセル(オフロード先セルと記載する場合がある。)とを決定する。
【0067】
図7は、通信制御装置200として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0068】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0069】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0070】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0071】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0072】
プログラムは、ICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0073】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0074】
また、CPU1212は、記憶装置1224、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0075】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0076】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0077】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0078】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0079】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0080】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0081】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0082】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0083】
20 ネットワーク、22 ゲートウェイ、30 ユーザ端末、40 無線基地局、42 セル、100 飛行体、102 本体部、104 主翼部、106 プロペラ、108 スキッド、110 車輪、112 太陽電池パネル、120 セル、140 飛行体、160 セル、200 通信制御装置、202 通信管理部、204 起動部、206 決定部、208 制御部、210 閾値設定部、212 情報取得部、214 履歴格納部、216 学習実行部、218 特定部、302 オフロード対象領域、312 オフロード対象領域、314 オフロード対象領域、400 管理装置、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1230 ROM、1240 入出力チップ