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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】発電
(51)【国際特許分類】
   F01K 25/10 20060101AFI20221214BHJP
   F01D 25/10 20060101ALI20221214BHJP
   F01D 17/08 20060101ALI20221214BHJP
   F01D 17/10 20060101ALI20221214BHJP
   F01D 19/00 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
F01K25/10 E
F01D25/10 Z
F01D17/08 A
F01D17/10 G
F01D19/00 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019527902
(86)(22)【出願日】2017-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 GB2017053512
(87)【国際公開番号】W WO2018100339
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-10-30
(31)【優先権主張番号】1620446.3
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1705618.5
(32)【優先日】2017-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517136254
【氏名又は名称】シーシーエム テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ハモンド ピーター
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公開第03602896(DE,A1)
【文献】特開昭63-239302(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0174086(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第10126403(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02660433(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 25/10
F01D 25/10
F01D 17/08
F01D 17/10
F01D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンを駆動する方法であって、
(a)固体二酸化炭素を大気圧で提供するステップと、
(b)前記固体二酸化炭素を加熱して高圧二酸化炭素流体を製造するステップと、
(c)前記タービンの羽根を越えて前記二酸化炭素を通過させるステップと、
(d)前記タービン羽根を越えて通過した前記二酸化炭素を集めるステップと、
を含み、
ステップ(d)において集められる二酸化炭素は固体形であり、
前記方法は、弁によって閉じることができる第1の容器と第2の容器とを含み、前記2つの容器は管路によって接続され、前記管路を流れる気体が前記タービンを回転させるように前記管路内にタービンの羽根が配置され、前記第1の容器の中の温度は調節可能であり、前記第2の容器は、弁によって閉じることができ、各弁は、固体物質が前記容器中に堆積されることを可能にする第1の開位置と、高圧流体が前記容器から抜け出すことを可能にする第2の開位置と、を有し得、各弁についての前記第1の開位置と前記第2の開位置とは、同じである場合も異なる場合もある、装置において実行され、
これにより、前記タービンを駆動する、方法。
【請求項2】
電力を発生させる方法であって、
(i)請求項1の装置を提供するステップと、
(ii)前記第1の容器に固体二酸化炭素を加えるステップと、
(iii)閉じられている間に前記第1の容器に熱を供給するステップと、
(iv)二酸化炭素が前記管路を通って前記第2の容器に入ることを可能にするように前記弁を開くステップと、を含み、前記方法は、逆向きに実行されることができる、方法。
【請求項3】
請求項1の装置は、前記第1の容器に熱を供給するための手段をさらに含む、請求項1に記載の方法
【請求項4】
ステップ(b)において提供される前記流体は、少なくとも20バールの圧力を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記装置のうち前記弁と前記タービンとの間の領域が加熱される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記タービン羽根は、前記管路内に全体が配置されている、請求項1または請求項3に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電の方法に関する。詳しくは、本発明は、二酸化炭素を用いる発電の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、電力の発生に関する。世界中のほとんどすべての電力は、流体によって駆動されて発電機を駆動するタービンを用いて発生される。タービンは、風、水、水蒸気によるかまたは天然ガスを燃焼させることによって駆動され得る。最も一般的には水蒸気を用いてタービンを駆動する。水蒸気は、化石燃料の燃焼によるか、核融合によるかまたは再生可能資源、例えば太陽資源からの熱を用いることにより、水を加熱することによって発生させることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、タービンを駆動する代替手段として二酸化炭素を用いる。この代替手段は、本明細書にさらに記載される複数の利点を提供する。
【0004】
本発明の第1の側面によれば、タービンを駆動する方法であって、
(a)固体二酸化炭素を提供するステップと、
(b)固体二酸化炭素を加熱して高圧二酸化炭素流体を製造するステップと、
(c)タービンの羽根を越えて二酸化炭素を通過させるステップと、
(d)タービン羽根を越えて通過した二酸化炭素を集めるステップと、
を含み、ステップ(d)で集められる二酸化炭素は、固体形である方法が提供される。
【0005】
本発明の第2の側面によれば、タービンを駆動するための装置であって、弁によって閉じることができる第1の容器と第2の容器とを含み、これら2つの容器は、管路によって接続され、管路を流れる気体がタービンを回転させるように管路内にタービンの羽根が配置され、第1の容器の中の温度は、調節可能である装置が提供される。
【0006】
本発明の第3の側面によれば、電力を発生させる方法であって、
(i)第2の側面の装置を提供するステップと、
(ii)第1の容器に固体二酸化炭素を加えるステップと、
(iii)閉じられている間に第1の容器に熱を供給するステップと、
(iv)二酸化炭素が管路を通って第2の容器に入ることを可能にするように弁を開くステップと、を含む方法が提供される。
【0007】
次に、本発明の第1、第2および第3の側面の好ましい特徴が記載される。いずれの側面のいずれの特徴も他のいずれかの側面のいずれかの特徴と適宜組み合わされ得る。
【0008】
本発明を理解するために、二酸化炭素について存在し得る相を理解することが重要である。図1は、二酸化炭素についての状態図を示す。低圧においてそれは、常に気体として存在する。三重点(-56.6℃、5.19バール)より低い温度および圧力において二酸化炭素は昇華する。三重点より高い温度において二酸化炭素は、圧力が増加すると臨界点(30.98℃、73.77バール)に達するまで最初に液体、次に固体に変化する。臨界点より高い温度および圧力において二酸化炭素は、超臨界流体として存在する。
【0009】
本発明において有利に用いられる二酸化炭素の性質は、それが大気圧において昇華するという事実である。大気圧における昇華点は、-78.5℃である。この温度で物質を貯蔵し輸送することは比較的簡単であり、従って二酸化炭素は、加圧容器を必要とせずに固体形で輸送することができる。固体物質は、取り扱いやすい。
【0010】
本発明の方法のステップ(a)において、固体二酸化炭素が提供される。これは、弁によって閉じることができる容器、適切には第2の側面の装置の第1の容器内で適切に提供される。
【0011】
適切には、ステップ(a)において固体二酸化炭素は大気圧で提供される。固体物質を大気圧で容器に供給することは簡単である。従って容器(適切には第2の側面の第1の容器)への供給の前に、二酸化炭素は、-78.5℃以下の温度に適切に維持される。二酸化炭素が供給される先の容器は、その時点で温度制御される必要はない。
【0012】
二酸化炭素が容器に供給されたら、容器は適切に閉じられ、弁も閉じられる。この時点で、容器の温度を適切に増加させる。これは、容器に熱を供給することによって適切に実現される。好ましい実施形態において、第2の側面の装置は、第1の容器に熱を供給するための手段をさらに含む。
【0013】
本発明の第1の側面の方法のステップ(b)は、二酸化炭素を加熱して高圧二酸化炭素流体を製造することを含む。
【0014】
高圧二酸化炭素流体によって、大気圧より大きな圧力において流体形の二酸化炭素を指すことを意味する。好ましくは、圧力は、少なくとも2バール、適切には少なくとも5バール、より好ましくは少なくとも10バール、適切には少なくとも20バール、好ましくは少なくとも50バール、例えば少なくとも70バール、適切には少なくとも90バール、例えば少なくとも100バールである。ステップ(b)において、二酸化炭素は、最大150バール、好ましくは最大200バール、例えば最大250バールまたは最大300バールの圧力を提供するように加熱される場合がある。
【0015】
ステップ(b)において二酸化炭素を加熱するとき、温度の上昇も適切に実現される。適切には、温度は、少なくとも-60℃、好ましくは少なくとも-55℃、適切には少なくとも-50℃である。温度は、例えば-30℃を上回るかまたは-15℃を上回るかまたは0℃を上回る場合がある。温度は、20℃の高さに達する場合があり、または50℃の高さに達する場合さえある。
【0016】
温度および圧力は、加熱の程度に応じて変化する。ステップ(b)において提供される高圧二酸化炭素流体は、高圧気体の場合があり、液体の場合があり、あるいは超臨界流体の場合がある。
【0017】
いくつかの好ましい実施形態において、ステップ(b)は、固体二酸化炭素を加熱して超臨界二酸化炭素を製造することを含む。
【0018】
容器は閉じられているから、熱が供給されるとその中に収容されている二酸化炭素の圧力および温度は上がる。最初、二酸化炭素は昇華し、気体がさらに加熱され、圧力が上昇すると、液体または超臨界流体が形成される。
【0019】
ステップ(b)における固体二酸化炭素の加熱は、適当ないずれの手段によっても実現され得る。そのような手段は、当業者に公知であろう。好ましい実施形態において、加熱は、容器に加熱素子、例えば電気加熱素子または水もしくは熱流体を保持する管を通すことによって実現される。
【0020】
第1の側面の方法のステップ(c)は、タービンの羽根を越えて二酸化炭素を通過させることを含む。
【0021】
適切には、第1の側面の方法は、第2の側面の装置の中で実行される。適切には、ステップ(c)は、二酸化炭素を収容する容器、適切には第2の側面の第1の容器の弁を開くことを含む。管路および第2の容器の中の圧力は、適切には、弁を開く前の第1の容器の中の圧力よりはるかに低い。適切には、第2の容器は、第1の容器の弁が開いたとき管路に対して開かれる。適切には、第1の容器への弁が開いたとき管路および第2の容器の中の圧力は、5バールより小さく、好ましくは3バールより小さく、適切には2バールより小さい。適切には、第1の容器への弁が開いたとき管路および第2の容器の中の圧力は、普通の大気圧付近、すなわち約1.01バールである。
【0022】
適切には、第1の容器への弁が開かれるとき、第2の容器の中の温度は、50℃より低い。適切には、それは局所周囲温度である。
【0023】
タービン羽根は、管路中に配置される。従って、管路は、タービン羽根によって2つの部分に分割されるとみなすことができる。
【0024】
管路のうち第2の容器と隣り合う部分は、冷却される場合がある。
【0025】
管路のうち第1の容器と隣り合う部分は、加熱される場合がある。
【0026】
いくつかの実施形態において、第2の容器は、冷却される場合がある。
【0027】
第1の側面の方法のステップ(d)は、(d)タービン羽根を越えて通過した二酸化炭素を集めるステップを含む。
【0028】
適切には、圧力差に起因して、第1の容器への弁が開かれると、高圧二酸化炭素流体は、タービン羽根を越えて管路を通過して第2の容器の方へ流れる。二酸化炭素がタービン羽根を越えて流れるとき膨張し、顕著に冷却する。この膨張および冷却は、二酸化炭素が固化する原因となる。次に、固体物質は、第2の容器の中で集められる。
【0029】
いくつかの実施形態において、装置のうち弁とタービンとの間の領域は、加熱される場合がある。これは、流体が容器を離れたら膨張が続くことを確実にするためである。弁および/または管路のうち弁とタービンとの間の部分は、加熱される場合がある。
【0030】
この加熱は、二酸化炭素がタービン羽根を越えて通過する前に固化しないことを確実にするために必要な場合がある。
【0031】
いくつかの実施形態において、管路のうち第1の容器とタービン羽根との間の部分は、羽根の方への流れを促進するためにバッフルを含む場合がある。いくつかの実施形態において、バッフルは加熱される場合がある。
【0032】
従って好ましい実施形態において、第1の側面の方法のステップ(d)は、第2の側面の装置の第2の容器の中の固体二酸化炭素を集めることを含む。
【0033】
有利には、タービン羽根を越えて通過した二酸化炭素は固化するため、管路および第2の容器の中の圧力は増加せず、そのため高圧二酸化炭素流体は、供給が実質的に尽きるまで第1の容器から管路を通って流出し続ける。
【0034】
第2の容器の中での二酸化炭素の固化は、二酸化炭素によって占められる体積の顕著な減少(約10)の原因となる。これは、タービン羽根の前後の圧力の降下をもたらし、そのことが羽根の前後の流れをさらに推進する。いくつかの実施形態において、管路のうちタービン羽根と第2の容器との間の部分は冷却される場合がある。しかし、二酸化炭素の固化が十分な冷却の原因となるので、多くの場合にこれは必要ない。
【0035】
第3の側面によって電力を発生させる方法の好ましい特徴は、先に定義した通りである。二酸化炭素がタービン羽根を越えて通過することを可能にすると適切にタービンが回転する原因となり、このことを用いて例えば電力を発生させることができる。回転するタービンからの電力の発生は、公知のいずれの手段によっても実現することができる。
【0036】
適切には、本装置は、タービンの羽根を越えて二酸化炭素を通過させるときタービンが回転することを確実にするように構成される。この回転は、次に、電力を発生させるために用いることができる。
【0037】
適切には、本装置は、二酸化炭素気体がタービンの複数の羽根を越えて次々に通過することを可能にするように構成される。これは、気体が流れるとき連続回転を容易にするであろう。気体の流れの中のタービン羽根の適当な配置は、当業者の能力の範囲内にある。配置は、水蒸気駆動型タービンのために普通に用いられる配置と同じであってよい。
【0038】
本発明は、適切には閉じたシステムを含む場合がある。好ましい実施形態において、二酸化炭素は、本方法時に本装置から抜け出すことを故意に可能にされない。従って、タービン羽根は、好ましくは管路の中に全体が配置される。システム中にある程度の非効率性があり、ある程度の二酸化炭素が失われることは不可避である。しかし、二酸化炭素は、好ましくは抜け出すことを意図的に可能にされない。
【0039】
固体二酸化炭素は、適切には本方法時に第2の容器の中で集められる。第1の容器からの超臨界二酸化炭素の供給が尽き、第2の容器の中の固体二酸化炭素のすべてが集められたら、第2の容器は、閉じることができる。
【0040】
第2の容器は、管路に接続される。従って、第2の容器には、管路に接続される開口がある。いくつかの好ましい実施形態において、開口は、閉じることができる。適切には、第2の容器は、弁によって閉じることができる。適切には、第2の容器に設けられる弁は、第1の容器を閉じる弁と同じタイプである。
【0041】
好ましい実施形態において、第1の容器と第2の容器とは、実質的に同じである。
【0042】
適切には、第1の容器および第2の容器はそれぞれ、弁を設けられる。各弁は、固体物質が管路から容器中に入ることを可能にするために完全に開くことができる。各弁は、流体物質が容器から抜け出さないようにするため、および容器内の圧力の蓄積に耐えるために閉じることができる。各弁は、高圧流体が容器から管路に抜け出すことを可能にするために開くことができる。
【0043】
従って、好ましい実施形態において、本発明の第2の側面の装置は、弁によって閉じることができる第1の容器と、弁によって閉じることができる第2の容器とを含み、これら2つの容器は、管路によって接続される。適切には、各弁は、物質が容器に流入し、容器から流出することを可能にする二方弁である。各弁は、固体物質が容器の中に堆積することを可能にする第1の開位置と、高圧流体が容器から抜け出すことを可能にする第2の開位置と、を有し得る。各弁についての第1の開位置と第2の開位置とは、同じである場合も異なる場合もある。
【0044】
従って、好ましい実施形態において、本発明は、閉じられた第1の容器の中に固体二酸化炭素を提供するステップと、固体二酸化炭素を加熱して高圧二酸化炭素流体を製造するステップと、高圧二酸化炭素が、開いた弁を通って第2の容器に通るように管路を通過することを可能にするように第1の容器の弁を開くステップと、を含む場合がある。管路を通過するとき、高圧二酸化炭素は、タービンの羽根を越えて通過し、タービンが回転する原因となる。第1の容器からの高圧流体の供給が尽き、二酸化炭素固体のすべてが第2の容器の中で集められたら、第2の容器にある弁は適切に閉じられる。次に、第2の容器の中の二酸化炭素を加熱して高圧流体を提供することができ、次に、第2の容器にある弁を開くことができ、流体は、管路中に戻ってタービン羽根を越えて逆向きに通過し、開いた第1の容器中に固体として戻ることが可能になる。すなわち、このプロセスは、逆向きに動作させることができる。
【0045】
適切には、タービンは、どちらの方向にも回転することができる。
【0046】
本発明の装置は、適切には、少なくとも第1の容器中に、好ましくはさらに第2の容器中に、温度ゲージおよび圧力ゲージを含む。従って、使用者は、特定の圧力および/または温度に達したら、いつ弁を開くべきか決定することができる。そのようなプロセスは、自動化される場合がある。
【0047】
本プロセスを逆向きに動作させることができる好ましい実施形態において、管路の各部分に、加熱するための手段および冷却するための手段が設けられる場合がある。
【0048】
いくつかの実施形態において、管路の各部分の内部または周りに伝熱流体を含む素子が配置される場合がある。そのような流体は、任意選択として、望み通りに加熱または冷却することができる。
【0049】
本発明の(好ましくは閉じた)システムを用いる利点は、それが高度に効率的なことである。各段階において、システムに熱が供給されなければならない。しかし、タービンを駆動するために水蒸気ではなく二酸化炭素を用いる利点は、等価な電力出力を実現するためにより少ない量の熱エネルギーが供給されることが必要なことである。
【0050】
二酸化炭素は、固体形で供給することができるから、タービンを駆動するために必要な圧力の流体を製造するために、より少ないエネルギーが必要である。従って、本発明の方法において二酸化炭素に供給されなければならない熱エネルギーは、水蒸気を用いてタービンを駆動するために典型的に水に供給される必要があるだろうと考えられるより低い。
【0051】
さらに、二酸化炭素は、水より高い分子量を有するから、所定の気体速度でより大きな力をタービン羽根に加えることができる。
【0052】
本発明の特有の利点は、それが「低品位」の熱、例えば別の電力発生源からの廃熱が効果的に利用されることを可能にすることである。そのような熱は、通常、タービンを駆動するのに必要な水蒸気を発生させるには不十分である。
【0053】
本発明において用いられる二酸化炭素は、例えば化石燃料の燃焼から捕集することもできよう。従って、既存の発電所に本発明の発電装置を配置すると非常に有利であろう。
【0054】
次に、本発明は、添付の図面を参照してさらに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1図1は、二酸化炭素の状態図を示す。
図2図2は、本発明の装置の概略図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図2の装置は、第1の容器1および第2の容器2を含み、これらの容器のそれぞれは、中を通る加熱素子3を有する。容器1と2とは、管路4で繋がれ、管路の中にタービン5が配置される。管路は、タービンによって2つの部分4Aおよび4Bに分けられる。管路のうち部分4Aおよび4Bのそれぞれは、独立に加熱もしくは冷却される場合がある。各容器は、弁6、7によって閉じられる。容器1への弁6は、最初、閉じられ、容器2への弁7は、最初、開いている。弁6によって閉じられている容器1の中に固体二酸化炭素(ドライアイス)が仕込まれる。二酸化炭素は、膨張し始め、容器1の中の温度を上昇させるために加熱素子が起動され、圧力がさらに迅速に増加する原因となる。所望の圧力および温度に到達したら、弁1が開かれる。二酸化炭素流体が、管路およびタービンを通り、開いた弁1を通って容器2の中に流れる。弁1が開かれると、流体が管路を通って部分4Aからタービンを越えて部分4Bに入るとき圧力降下がある。これが二酸化炭素の急速な膨張、冷却および固化をもたらす。結果として得られる固体物質は、容器2の中で集められる。固体二酸化炭素のすべてが集められたら、弁7は閉じられることができ、このプロセスは逆向きに繰り返される。
図1
図2