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特許7194110捲縮した材料シートを製造するための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】捲縮した材料シートを製造するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A24B 3/14 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
A24B3/14
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019548418
(86)(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2018060162
(87)【国際公開番号】W WO2018197353
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】17168822.9
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ザッポリ ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ラ ポルタ ピエトロ ダヴィデ
(72)【発明者】
【氏名】モンツォーニ アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】マロッシ ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンニーニ アントネッラ
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/023965(WO,A1)
【文献】米国特許第05733234(US,A)
【文献】米国特許第03287784(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料シートを捲縮するための装置であって、
第一の回転軸および第二の回転軸のそれぞれを画定する対面する第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーであって、前記第一の軸および第二の軸が相互に平行であり、前記第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーのうちの少なくとも一つが複数のコルゲーションを含む、捲縮ローラーと、
角度変更装置であって、固定された基準平面と、前記第一の回転軸および第二の回転軸を含有する移動可能な平面との間に形成された捲縮角度を変更するように適合されている角度変更装置と、を備える、装置。
【請求項2】
前記固定された基準平面が水平面または垂直面である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記角度変更装置が、前記捲縮角度を変更するために、前記第二のローラーの前記第二の回転軸を軸として前記第一のローラーを回転させるように適合されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第一のローラーおよび前記第二のローラーが、第一のモーターおよび第二のモーターによって、それぞれ前記第一の回転軸および第二の回転軸を中心に回転されるように適合されている、請求項1~3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記第一の回転軸を中心に回転可能なホイールを含み、前記ホイールの回転が前記第一のローラーの周りの前記第二のローラーの回転を決定して捲縮角度を変更するように、前記第一のローラーおよび第二のローラーが前記ホイールに取り付けられている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
前記第一のローラーと前記第二のローラーとの間の距離を変更するように適合された距離変更装置を含む、請求項1~5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記距離変更装置が、前記第一のローラーまたは第二のローラーが上に取り付けられたアーム、および回転軸を含み、かつ前記距離変更装置が、前記第一のローラーと前記第二のローラーの間の前記距離を変更することができるように前記アームを前記回転軸を中心に回転させるように適合されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
材料シートを捲縮するための方法であって、
実質的に連続的な材料シートを捲縮ローラーの組に供給することであって、前記ローラーの組が、第一の回転軸および第二の回転軸をそれぞれ画定する第一のローラーおよび第二のローラーを備え、前記第一のローラーまたは第二のローラーのうちの少なくとも一つが複数のコルゲーションを含む、供給することと、
固定された基準平面と、前記第一の回転軸および前記第二の回転軸を含有する移動可能な平面との間に形成された捲縮角度を選択することと、
前記第一のローラーまたは第二のローラーの前記コルゲーションが複数の捲縮コルゲーションを前記実質的に連続的な材料シートに施すように、前記実質的に連続的なシートを捲縮して、前記第一のローラーと第二のローラーの間に前記実質的に連続的なシートの長軸方向で前記実質的に連続的なシートを供給することによって前記捲縮したシートを形成することと、を含む、方法。
【請求項9】
エアロゾル発生物品の構成要素を製造する方法であって、
請求項8に記載の捲縮したシートを製造する工程と、
前記捲縮したシートを集合して連続的なロッドを形成する工程と、
前記連続的なロッドを複数のロッド状の構成要素へと切断する工程であって、各ロッド状の構成要素が前記捲縮したシートの切断された部分から形成された捲縮したシートの集合体を有し、前記捲縮したシートの前記捲縮コルゲーションが、前記ロッド状の構成要素内に複数のチャネルを画定する、切断する工程とを含む、方法。
【請求項10】
前記材料シートが、均質化したたばこシート、プラスチックシート、またはセルロースを含むシートのうちの一つである、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記材料シートが、第一の表面および第二の表面を画定し、かつ前記方法が、前記第一のローラーまたは第二のローラーと接触する前記第一の表面または第二の表面の一部分の長軸方向の長さを変更する工程を含む、請求項8~10のうちの一つ以上に記載の方法。
【請求項12】
前記第一のローラーと接触する前記第一の表面の一部分の前記長軸方向における長さ、および前記第二のローラーと接触する前記第二の表面の一部分の前記長軸方向における長さを同時に変更する工程を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第二の捲縮ローラーの前記第二の回転軸を中心に前記第一の捲縮ローラーを回転させる工程を含む、請求項8~12のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料シートを捲縮するための装置、材料シートを捲縮するための方法、およびエアロゾル発生物品化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的に、エアロゾル発生物品は、ロッドの形態に組み立てられた複数の要素を備える。複数の要素は一般的に、エアロゾル形成基体およびフィルター要素を含む。フィルターおよびエアロゾル形成基体のうちの一方または両方は、ロッドを通る気流を提供するための複数のチャネルを備えてもよい。複数のチャネルは、材料シートを捲縮し、またその結果としてロッド内の材料を集合してチャネルを形成することによって提供されてもよい。こうした実施例において、捲縮したシートは一般的に、実質的に連続的なウェブを捲縮し、捲縮かつ集合されたウェブから複数の捲縮したシートを切断することによって形成される。
【0003】
エアロゾル発生物品の分野において、連続ウェブである捲縮されるこの材料は、たばこキャストリーフ(TCL)、ポリ乳酸(polyactic acid)(PLA)、トウ、またはその他でありうる。
【0004】
捲縮したウェブを製造する方法には一般的に、一対の交互に配置されたローラーの間(これはいわゆる「ニップ」を形成する)に実質的に連続的なウェブを供給して、複数の長軸方向に延びる捲縮コルゲーションを連続ウェブに施すことが関与する。捲縮したウェブはその後、集合されて、複数の軸方向チャネルを有する連続的なロッドを形成する。次いでロッドは巻かれて、より小さいセグメントへと切断されて、エアロゾル発生物品用のエアロゾル発生基体またはフィルターを形成する。
【0005】
捲縮プロセスは、捲縮ローラーの間でプレスされる材料に対して様々な効果を作り出す。
【0006】
効果の第一の範囲は製造プロセスに関する(例えば、捲縮した材料がその後エアロゾル発生物品に適合するロッドへと簡単に圧縮されることができるという事実など)。
【0007】
捲縮した材料がロッドへと圧縮され、かつエアロゾル発生物品に追加されると、効果の第二の範囲は捲縮に関する(ユーザーの体験など)。より具体的には、捲縮プロセスは、エアロゾル発生物品に浸透する空気と、捲縮した材料シートとの間の空気接触、および引き出し抵抗(RTD)に影響を与える。
【0008】
従って、捲縮プロセスは、エアロゾル発生物品の正しい製造のために、および所望のユーザー体験を得るために非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、非最適または準最適な捲縮プロセスは、捲縮した材料のウェブを弱める可能性があり、捲縮した材料シートからロッドの浸透する空気への物質の放出を悪化させるだけでなく、引き出し抵抗の値に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0010】
この状況における問題は、捲縮される必要のある材料シートが、ある特定の弾力性を示す場合があり、これによって材料シートの上へと型押しされたパターンがある一定の時間後に、またある一定の程度まで薄れる場合があることである。捲縮した材料シートのこの挙動は、材料シートが加工される時間を変化させることによって対処されうる。しかしながら、これは製造速度に悪影響を及ぼす場合がある。間違いなく、加工速度の減速は生産性を低下させるので、実際に望ましくない。
【0011】
捲縮プロセスに関するエアロゾル発生物品の特性に対するより良好な制御およびより高い柔軟性を可能にする、好ましくはエアロゾル発生物品用の捲縮した材料シートを製造するための方法および装置を提供することが望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の態様によると、材料シートを捲縮するための装置が提案されていて、装置は、それぞれ第一の回転軸および第二の回転軸を画定する対面する第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーであって、第一の軸と第二の軸は相互に平行であり、第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーのうちの少なくとも一つは複数のコルゲーションを含む、捲縮ローラーと、角度変更装置であって、固定された基準平面と第一の回転軸および第二の回転軸を含有する移動可能な平面との間に形成された捲縮角度を変更するように適合されている角度変更装置と、を備える。
【0013】
最終的に、最終消費者によって気付かれる体験は、最終製品に含有されている材料シートの特性によって決定される場合がある。特に、コルゲーションのサイズ(例えば、ピッチ長さ、コルゲーションの振幅など)、コルゲーションの配置(例として、チャネルはロッドの軸に平行に配置されている場合がある、またはロッドの軸に対してある一定の角度で配置されている場合がある)、およびコルゲーションの幾何学的特性(例えば、正弦波パターン、またはコルゲーションの矩形配置が存在する場合がある)は、末端消費者による喫煙の体験に多大な影響を与える場合があり、特にRTD、吸入されることになるエアロゾル中の揮発性化合物の含有量、およびこれに類するものに多大な影響を与える場合があるが、必ずしもこれらに限定されない。しかしながら、同一の装置または方法は、異なる材料で作製されたシートでは異なる捲縮の結果を有する場合がある。捲縮される必要のある材料シートの弾力性は、捲縮プロセスおよび最終結果、すなわちコルゲーションがシート上にどのように形成されるかに影響を与える場合がある。本発明によると、シート上の「捲縮効果」が変化しうるように捲縮の角度を変化させて、シートを形成する材料の特性を捲縮中に考慮することができる。
【0014】
本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する層状の要素を意味する。
【0015】
本明細書で使用される「捲縮角度」という用語は、固定された基準平面と第一の回転軸および第二の回転軸を含有する移動可能な平面との間に形成されている角度を意味する。固定された基準平面は、捲縮ローラーの配置の、ある特定の画定された位置に関して画定されうる。特に、水平または垂直に置かれる平面が、これに対して想定されうる。垂直方向または水平方向に対して、ある特定の角度で配置されている平面も使用されうる。例えば、水平軸または垂直軸に対して10度、20度、30度、33.3度、40度、45度、50度、60度、66.7度、70度、80度、90度傾斜した平面が使用され、また固定された基準平面も使用されうる。この基準平面は「固定された」平面であり、すなわち一旦選択されると、それが画定された装置の動作にかかわらず、選択された位置に留まる。従って、装置の様々な要素の動きにかかわらず、固定された基準平面は「固定された」ままである。移動可能な平面は、装置の移動に依存して実際に「移動」する。この平面は、二つの捲縮機ローラーの二つの回転軸を接続し、それ故に軸の位置が変化する場合、平面の位置も変化する。移動可能な平面は両方の軸を含有し、すなわち第一の回転軸および第二の回転軸の両方を含む。それ故に、第一の回転軸と第二の回転軸との間の相対的な向きは常に同一のままであることが好ましく、そうでなければ二つの軸のうちの一方が同一の移動可能な平面内に含まれないことになる。固定された基準平面と移動可能な平面との間の角度はそれ故に、可変である。それぞれの角度は、時計回りまたは反時計回りの方向に配置されうる。捲縮角度は、固定された基準平面と移動可能な平面との間の角度として定義される。特に、それぞれの平面(固定された基準平面、または移動可能な平面)の所与の向きは、標準的な動作モードで動作することができるような方法で装置が配置されている(特に、地球の表面に対する角度方向に対して)状況に関連する場合がある。
【0016】
本明細書で使用される「移動可能な平面」という用語は通常、それぞれの平面の角度の向きに対する変動に関する。しかしながら、それぞれの平面の平行移動は追加的に、または代替的にも想定されうる。
【0017】
明細書で使用される「第一の回転軸および第二の回転軸を含有する移動可能な平面」という用語は、それぞれの第一の軸および第二の軸が移動可能な平面内にあることを含みうる。
【0018】
本明細書で使用される「捲縮した」という用語は、複数のコルゲーションを有するシートまたはウェブを意味する。「捲縮」という用語は、好ましくは本質的に平坦な材料シートまたは以前に未処理の材料シートからの、構造化表面の生成に関する、捲縮した材料シートの形成を意味する。
【0019】
本明細書で使用される「コルゲーション」という用語は、コルゲーションのフランク(脇部分)によって結合された交互に並ぶ山と谷から形成された複数の実質的に平行な隆起を意味する。これには、菱形様プロファイル、正弦波プロファイル、三角波プロファイル、鋸波プロファイル、またはこれらの任意の組み合わせを有するコルゲーションが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
隆起、振幅、ピッチ、先端、脇部およびこれに類するものの寸法および形状に関する定義は本明細書で使用される場合、結果として得られる捲縮した材料シートに関して理解されうる。しかしながら、別の方法として、これらは捲縮装置のローラーまたは捲縮装置自体に関しても(部分的に)理解される場合がある。特に、「捲縮角度」は本明細書で使用される場合、捲縮装置自体のローラーまたは捲縮装置に関して使用されうることが好ましい。
【0021】
本明細書で使用される「複数のコルゲーションを含む」という概念は、それぞれのローラーの少なくとも一つのセクションが複数のコルゲーションを含むことを意味する。
【0022】
本明細書で使用される「セクション」という概念は、それぞれのローラーの外周区域上のある特定の区域を画定するが、区域はそれぞれのローラーの回転軸に沿ったそれぞれの区域の範囲に関して、それぞれのローラーの円周方向で外周表面に沿ったそれぞれの区域の範囲に関して、またはその両方に関して限定される場合がある。
【0023】
本明細書で使用される「実質的に交互に配置」という用語は、第一のローラーおよび第二のローラーのコルゲーションが少なくとも部分的に噛み合うことを意味する。これには、ローラーのうちの一方または両方のコルゲーションが対称的または非対称的である配列が含まれる。ローラーのコルゲーションは、実質的に整列していてもよく、または少なくとも部分的にずれていてもよい。第一のローラーまたは第二のローラーの一つ以上のコルゲーションの山は、第一のローラーおよび第二のローラーのうちの他方の単一のコルゲーションの谷と交互に配置されうる。第一のローラーおよび第二のローラーのうちの一方の実質的にすべてのコルゲーションの谷が各々第一のローラーおよび第二のローラーのうちの他方の単一のコルゲーションの山を受けるように、第一のローラーおよび第二のローラーのコルゲーションは交互に配置されることが好ましい。
【0024】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、ウェブまたはシートの長さに沿って、またはそれと平行に延びる方向を意味する。
【0025】
本明細書で使用される「回転軸」または「回転の軸」という用語は、それぞれのローラーがその通常の動作状態中に回転する時に、平行移動がないことを本質的に示す線に沿って延びる方向を指す。これは、それぞれのローラーの軸と呼ばれる場合がある。
【0026】
本明細書で使用される「幅」という用語は、ウェブまたはシートの長さと直角を成す方向、またはローラーの場合ではローラーの軸と平行な方向を意味する。
【0027】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形または長円形の断面の概して円筒形の要素を意味する。
【0028】
本明細書で使用される「軸方向の」または「軸方向に」という用語は、ロッドの円筒形の軸に沿って、またはそれに平行して延びる方向を意味する。
【0029】
本明細書で使用される「集合した」または「集合する」という用語は、ウェブまたはシートがロッドの円筒軸方向に対して渦巻き状にされる、または別の方法で実質的に横断方向に圧縮もしくは締め付けられていることを意味する。
【0030】
本明細書で使用される「水平」および「垂直」という用語はそれらの標準的な意味を有する。本発明の装置は、捲縮ローラーの第一の回転軸および第二の回転軸が水平になる、すなわちこれらの軸が水平面と平行になる向きにされることが好ましい。
【0031】
捲縮した材料シートを製造するために、例えばトウ、PLA、または均質化したたばこ材料によって形成されるシートとすることができる材料シートは、搬送方向に沿って搬送される。搬送は、例えばローラーを介して引っ張ることによって、特に前記第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーを使用して引っ張ることによって、任意の適切な手段によって実施することができる。搬送中、材料シートまたはウェブは、第一の捲縮ローラーと第二の捲縮ローラーとの間に形成されているいわゆる「ニップ」を通過してもよい。
【0032】
第一のローラーまたは第二のローラーのいずれかまたは両方の、ローラーのうちの少なくとも一つは、コルゲーション、好ましくは隆起を含み、これはニップを通過する時に対応するコルゲーションがシート上に形成されるように、材料シートと接触する。
【0033】
第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーの両方は、複数の隆起またはコルゲーションを示しうる。特に、この場合、ローラーは、少なくともそれらの一部が実質的に交互に配置される方法で配置されるように設計されてもよい。
【0034】
第一のローラーおよび第二のローラーのうちの一方は、コルゲーションを示してもよく、他方のローラーは本質的に滑らかな円筒状表面を示す。
【0035】
第一のローラーおよび第二のローラーの両方は、対応していないセクションにコルゲーションを示してもよい。すなわち、ローラーと接触する材料シートの各々の部分について、第一のローラーおよび第二のローラーのうちの一方のみが、材料シートのその部分の上に捲縮コルゲーションを形成する。材料シートは、ローラーによって実質的に三つの捲縮工程で加工されうる。シートが捲縮ローラーの間で(例えば、第一の回転捲縮機ローラーによって)引っ張られる「前」工程。この前工程において、シートは少なくとも部分的に第一のローラーの表面と接触する。シートと第一のローラーとの間の接触区域において、ローラーの隆起のシートの上への初期圧力がある。前工程の後、シートは二つの捲縮機ローラーの間で圧縮されて、シートの上へとコルゲーションを形成する。「後」工程も存在し、シートは、二つの捲縮機ローラーの間でプレスされる区域から出て、所与の長さの間第二の回転捲縮機ローラーに沿って進み、これによって再度第二のローラーの隆起と捲縮したシートとの間に接触区域が再びある。
【0036】
「前」工程および「後」工程において、ローラーのコルゲーションはシートの一方の側のみの上に作用する。
【0037】
「前」工程でシートを準備し、二つのローラーの間で行われたプレスを「後」工程で強化することによって、材料に捲縮を作り出す。
【0038】
捲縮プロセス全体の継続時間が短いほど、捲縮がより強く、かつより激しくなる。
【0039】
強い捲縮は、非弾性かつ壊れやすい材料(TCL(たばこキャストリーフ)材料がそうでありうる)を損傷する可能性を増大させるが、一方でそうでなければ適切に圧着されないであろう、より弾性が高く、かつ適応性のある材料を適切に処理するために必要である可能性がある。さらに、類似した材料でさえも、適合された捲縮力を必要とするわずかに異なる特性を有する異なる製造バッチがある可能性がある。
【0040】
捲縮の継続時間は、示された捲縮工程の各々の時間に依存する。
【0041】
シート速度は、例えば約200メートル毎分~約400メートル毎分で通常「製造固定」であるので、捲縮の継続時間は、シートがローラーのコルゲーションと接触したままになっている時間に依存する。特に、「前」工程および「後」工程におけるシートとローラーの間の接触面積は、捲縮機ローラーの位置に関連し、一方で「間の」工程における(すなわち、ニップにおける)接触面積は、箔の厚さにも関係するローラー間の距離に関連する。
【0042】
二つのローラーの間に形成された相対的な位置の調整、すなわち捲縮角度、接触時間、およびシートとローラーと間の接触の長さ(すなわち、ローラーのうちの一つと接触するシートの長さ)の調整は、変えることができる。実際に、こうした捲縮角度を変更することは、捲縮前工程および捲縮後工程において第一のローラーおよび第二のローラーと接触する長軸方向に沿ったシートの長さを変更する。
【0043】
捲縮角度を変更することはまた、シートとローラーの間の接触の長さも変更しうる。言い換えれば、シートとローラーの間には、ある特定のシート面積に関与する接触がある。この面積は、捲縮角度に依存する延長部を有する。接触面積は、シートの幅と等しい幅および長さによって画定されることができる。シートの幅が実質的に一定であるという事実に起因して、接触面積を変更するために接触面積の長さのみを変更することができる。従って、接触面積は捲縮ローラーとシートとの間の接触の「長さ」に依存する。例えば、第一の捲縮角度で、接触の距離または長さは、約40ミリメートル未満または約20ミリメートル未満でありうる。第二の捲縮角度で、接触の距離または長さは、少なくとも約50ミリメートル、または少なくとも約100ミリメートルでありうる。接触の長さは、第一の捲縮角度と第二の捲縮角度との間で変化する可能性があり、第一の長さと第二の長さとの間の差は、少なくとも約10ミリメートル、または少なくとも約20ミリメートル、または少なくとも約50ミリメートル、または少なくとも約100ミリメートル、または少なくとも約400ミリメートルとすることができる。
【0044】
捲縮角度は、任意の固定された平面とすることができる固定された基準平面と第一のローラーおよび第二のローラーの第一の回転軸および第二の回転軸の両方を含有する第二の平面との間の角度として定義され、これは移動可能な平面と呼ばれる。第一の軸または第二の軸が固定された平面に対してその位置を変更する場合、この第二平面または移動可能な平面は移動可能である。
【0045】
従って、非常に単純な方法において、二つのローラー間の角度を単に変更して、捲縮時間を変えることができる。これは結果として、接触の長さも変えることができることを意味する。従って、本発明の装置を、捲縮されるシートを形成する材料に適合することができる。
【0046】
第一の回転軸は第二の回転軸と平行であることが好ましい。第一の回転軸は、捲縮角度の変更中も、第二の回転軸と平行のままであることがより好ましい。角度変更装置は、固定された基準平面と移動可能な平面との間に形成された捲縮角度を変更するように適合されていて、第一の回転軸と第二の回転軸との相対的な向きは変わらないままであることが好ましい。角度変更装置は、第一の回転軸および第二の回転軸を相互に平行に保つように適合されていることがより好ましい。
【0047】
固定された基準平面は、水平平面または垂直平面であることが好ましい。「水平」という語句は、材料シートを捲縮するための装置の主要シャーシによって画定された少なくとも本質的に平行な平面に関連する場合があり、捲縮ローラーは、地面の表面に対して水平である平面に平行な平面内で使用され(主要シャーシによって画定されたそれぞれの平面は少なくとも幾らか地球の表面に対する水平面に似ている)、または好ましくは地球の表面に対して水平である平面に平行な平面に対して使用される。別の方法として、垂直平面は、上記の画定された水平面と実質的に直角を成す平面である。水平と垂直の両方の定義は、装置の意図された整列に関連しうるが、ここで装置は通常の基部上で動作することを意図する。提案された定義を使用して、特に明確に画定された基準平面が基準として提供される場合がある。
【0048】
さらに好ましいことに、装置は、捲縮角度を変化させるために、角度変更装置が第一のローラーの第一の回転軸を中心に第二のローラーを回転させるように適合される方法で設計される。別の方法として、装置は、捲縮角度を変化させるために、角度変更装置が第二のローラーの第二の回転軸を中心に第一のローラーを回転させるように適合される方法で設計される。この「回転」は、程度の差はあるが厳密に数学的方法で円形線の一部に沿った回転だけでなく、程度の差はあるが数学的意味での円形線から大幅に逸脱する曲がった線に沿った回転の両方を含んでもよい。前述の両方の場合において(および場合によっては、他の場合においても)、回転は、第一のローラーと第二のローラーとの間の距離が本質的に一定のままである方法で実施されてもよく、その結果、ニップの幅が本質的に一定のままであることを意味する。しかしながら、同様に回転は、ニップの幅が変わるようなものであってもよい。回転は、第二のローラーのみが回転移動を実施することだけでなく、第一のローラーも回転移動を実施することであってもよい。回転の中心としては、それぞれ他方のローラーの回転軸またはニップを代表する線を使用してもよい。この線は、第一のローラーおよび第二のローラーの回転軸と平行に延び、かつ第一のローラーおよび第二のローラーの両方の外周面までの距離が最小である一連の点と等しい線をたどることが好ましい。こうした設計を使用して、捲縮角度の変動を、特に単純かつ確実に実現してもよい。
【0049】
しかしながら、捲縮角度の変更には、第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーの両方の動き、すなわち第一の回転軸および第二の回転軸の両方の動きが関与する場合がある。移動可能な平面が第一の回転軸および第二の回転軸の両方を含有するという事実に起因して、第一のローラーおよび第二のローラーの相対的な位置付けは、幾つかの制約を有するが、それら両方は固定された平面に対して回転またはシフトさせることができる。例えば、第一のローラーおよび第二のローラーは両方とも移動可能な平面上にある軸を中心に回転することができ、第一の回転軸と第二の回転軸との間に位置付けられることができる。
【0050】
固定された平面は、第一の回転軸または第二の回転軸を通過することが好ましい。本明細書で使用される「軸を通過する平面」という用語は、それぞれの軸が平面内にあることを含みうる。
【0051】
さらに好ましいことに、第一のローラーおよび第二のローラーが、第一のモーターおよび第二のモーターによって第一の回転軸および第二の回転軸を中心にそれぞれ回転するように適合されている方法で装置が設計される。このようにして、捲縮される材料の良好な輸送挙動が実現されうる。特に、材料シートは、第一のローラーおよび第二のローラーの引っ張り力によって本質的に移動されてもよい。第一のローラーおよび第二のローラーの両方に別個のモーターを提供することによって、捲縮される材料シート上に生じる可能性のある剪断力が有利なことに最小化される場合がある、もしくは避けられる場合さえもあり、これは捲縮される材料シートに何らかの裂くような挙動または別の方法で悪影響を及ぼす傾向を低減する場合がある。
【0052】
装置は、第一の回転軸を中心に回転可能なホイールを含み、ホイールの回転が第一のローラーの周りの第二のローラーの回転を決定して捲縮角度を変更するように、第一のローラーおよび第二のローラーがホイールに取り付けられている方法で設計されることが好ましい。この設計可能性を使用して、第一のローラーと第二のローラーの間の距離が本質的に一定のままであるタイプの回転(結果としてニップの本質的に一定の幅をもたらす)を、特に単純な方法で実現することができる。さらに、非常に微細な調整と、小さい力またはトルクのみを要することとの両方は、前記ホイールに対してウォームギアタイプの駆動機構を使用することによって実現することができる。特に、自動化した調整(サーボもしくはこれに類するモーターを使用する)または手動調整の両方が可能でありうる。
【0053】
さらに好ましいことに、装置は、第一のローラーと第二のローラーとの間の距離を変更するように適合された距離変更装置を含む方法で設計される。こうした設計は、最終的な捲縮した材料シートの形状に影響を与える影響因子のうちの別のもの(弾力性およびその他の効果を考慮すること)を有利なことに、かつ簡単に変更できるため、特に有利であることを証明する場合がある。このように、特に良好に適合され、かつ「微調整された」材料シートが実現されうるが、ここで影響を与えるパラメータは通常、特に広範な範囲で変更される場合がある。
【0054】
さらに好ましいことに、距離変更装置は、第一または第二のローラーが上に取り付けられるアーム、および回転軸を含み、また距離変更装置は、アームを回転軸を中心に回転させるように適合され、これによって第一のローラーと第二のローラーの間の距離を変更することができる。この提案を使用して、第一のローラーと第二のローラーの間の距離を変更するための機械的な実現は、特に単純に達成しうる。特に、異なる長さのアームを使用することが可能であり、これによってレバー動作を採用することによって、特に微細な調整、特に低い作動力、またはその両方を容易に実現することができる。特に、上記で参照したホイール上に回転軸を配置することも可能であり、これによって装置の機械的実現が特に単純になる場合がある。
【0055】
本発明の第二の態様によると、材料シートの捲縮のための方法が提案されていて、この方法は、実質的に連続的な材料シートを捲縮ローラーの組に供給することであって、ローラーの組が第一の回転軸および第二の回転軸をそれぞれ画定する第一のローラーおよび第二のローラーを含み、第一のローラーまたは第二のローラーのうちの少なくとも一つが複数のコルゲーションを含む、供給することと、固定された基準平面と第一の回転軸および第二の回転軸を含有する移動可能な平面との間に形成された捲縮角度を選択することと、第一のローラーまたは第二のローラーのコルゲーションが実質的に連続的な材料シートに複数の捲縮コルゲーションを施すように、実質的に連続的なシートを第一のローラーと第二のローラーの間に実質的に連続的なシートの長軸方向で供給することによって実質的に連続的なシートを捲縮して捲縮したシートを形成することと、を含む。
【0056】
本発明の第二の態様の利点については、第一の態様に関連して既に記載したため、ここでは繰り返さない。
【0057】
固定された基準平面と移動可能な平面との間に形成されている捲縮角度の実際の値は、望ましい出力特性を有する捲縮した材料シートが得られうる方法で選ばれてもよい。特に未知の特性を有する原材料の新しいバッチが捲縮されなければならない場合、適切なパラメータの決定は初期の較正運転によって行われてもよい。装置のそのように決定された設定は、新しい原材料の新しいバッチが到着するまで使用されてもよい。それにもかかわらず、捲縮した材料シートの連続的または断続的な測定が実施され、適切であると見なされるかまたは必要と見なされる場合、装置の設定が修正される可能性がある。さらに、ある特定の初期パラメータ設定は、程度の差はあるが周知の特性を有する材料の新しいバッチが採用される場合、これらを(製造中に修正されうる)初期パラメータとして使用することができるように、ルックアップテーブル内に保存されてもよい。本発明による方法を使用する時、前述の装置の特徴および利点と少なくとも類似する特徴および利点が得られる場合がある可能性がある。さらに、本方法は、材料シートを捲縮するための装置の状況で前述の通りの方法で、少なくとも同様に修正される場合がある可能性がある。そのように修正された方法は、それぞれの状況における前述の通りの同一の特徴および利点を、少なくとも同様に示す場合がある。
【0058】
本発明の第三の態様によると、エアロゾル発生物品の構成要素を製造する方法が提案されていて、方法は、本発明の前述の第二の態様による捲縮したシートを製造する工程と、捲縮したシートを集合して連続的なロッドを形成する工程と、連続的なロッドを複数のロッド状の構成要素へと切断する工程であって、各々のロッド状の構成要素が捲縮したシートの切断された部分から形成された捲縮したシートの集合体を有する、切断する工程と、を含み、捲縮したシートの捲縮コルゲーションはロッド状の構成要素内に複数のチャネルを画定する。
【0059】
このように、現在の市場のニーズに適合するエアロゾル発生物品は、効率的かつ安価な方法で実現されうる。特に、従来の燃焼タイプのエアロゾル発生製品、特に従来の紙巻たばこに似ているエアロゾル発生物品が実現されうる。「集合」は、特に前述の集合方法を含むことができる。特に、「集合」は、捲縮した材料シートの二つの部分を、通常は直線に沿って折り畳みタイプの動作によって相互の上に重ねることができる折り畳みプロセス、または当初は集合していない捲縮した材料シートを何らかの種類のコイル様の形態にする丸める動作、を含んでもよい。場合によっては、折り畳みプロセスおよび丸めるプロセスの組み合わせも使用してもよく、ここで通常は丸める動作の前に折り畳み型の動作が実施される。
【0060】
上述の感覚で捲縮された捲縮した材料シートは、前述の方法で製造された捲縮したシートの集合体から形成されたロッドを含むエアロゾル発生物品用に使用されてもよい。
【0061】
こうしたエアロゾル発生物品は、紙巻たばこなどの可燃性喫煙物品に似ていてもよい。エアロゾル発生物品は、たばこを含んでもよい。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。エアロゾル発生物品は、部分的に再利用可能であってもよく、また補充可能または交換可能なエアロゾル形成基体を備えてもよい。
【0062】
エアロゾル発生物品の要素は、適切なラッパー(例えば紙巻たばこ用紙)によって組み立てられることが好ましい。紙巻たばこ用紙は、エアロゾル発生物品の構成要素をロッドの形態に包むための任意の適切な材料であってもよい。エアロゾル発生物品が組み立てられて、エアロゾル発生物品の構成要素をロッド内の適所に保持する時、紙巻たばこ用紙はエアロゾル発生物品の構成要素を保持し、整列させることが好ましい。適切な材料は当業界で周知である。
【0063】
エアロゾル発生物品は実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。
【0064】
エアロゾル発生物品は、約30ミリメートル~約100ミリメートルの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、約5ミリメートル~約12ミリメートルの外径を有してもよい。
【0065】
エアロゾル発生物品は、フィルターまたはマウスピースを備えてもよい。フィルターは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルターは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。フィルターは一実施形態において、約7ミリメートルの長さであるが、約5ミリメートル~約10ミリメートルの長さを有してもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の下流に位置するスペーサー要素を備えてもよい。
【0066】
材料シートは、均質化したたばこシート、プラスチックシート、またはセルロースを含むシートのうちの一つであることが好ましい。本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、粒子状植物材料(例えば、たばこ)を凝集することによって形成された材料を意味する。植物材料はアルカロイドを含有することが好ましい。
【0067】
均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で約5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料は代替的に、乾燥質量基準で約5重量パーセント~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉の茎のうちの一方または両方を粉砕するかまたは別の方法で細かく砕くことによって得られる粒子状のたばこまたは植物を凝集させることによって形成されてもよく、代替的にまたは追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えばたばこの処理中、取り扱い中、および輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉、およびその他の粒子状のたばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、一つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、一つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはその組み合わせを含みうるが、代替的にまたは追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填材、水性および非水性の溶剤およびその組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0068】
適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0069】
このようなシートについては、ここで提案されている方法は特に適切である場合がある。特に、それぞれの材料シートが示す場合があるいずれかの弾力性は、前述の方法を使用する時、または前述の装置を採用する時に、有利なことに対処されうる。
【0070】
材料シートは、第一の表面および第二の表面を画定し、また方法は、第一のローラーまたは第二のローラーと接触する第一の表面または第二の表面の一部分の長軸方向における長さを変更する工程を含むことが好ましい。固定された基準平面と移動可能な平面との間の角度を変更することはまた、捲縮ローラーに接触するシートの長さを変更する場合があり、従って捲縮時間が変化する。これは、シートの一つの表面上で、またはシートの両方の表面において実現することができる。
【0071】
第一のローラーまたは第二のローラーと接触するシートの第一の表面の一部分の面積は、大きさが様々であり、捲縮角度を変えうる。同様に、第一のローラーまたは第二のローラーと接触するシートの第二の表面の一部分の面積は、大きさが様々であり、捲縮角度を変えうる。このように、材料シートが第一のローラーまたは第二のローラーのうちの少なくとも一つと接触する時間の長さは、加工速度(単位時間当たりに長さ方向で捲縮される材料シートの動き)が少なくとも本質的に一定のままである時でさえも、著しく変化する場合さえある。これは、非常に簡単な様態で、異なる前加工時間または後加工時間を設定することを可能にする。それゆえに、完成した材料シートのパラメータは、捲縮される材料シートのいかなる弾性特性にもかかわらず、幅広くかつ有利な方法で設定されてもよい。従って、エアロゾル発生物品のための優れたエアロゾル発生ロッド状構成要素は、実現されうる。
【0072】
方法は、第一のローラーと接触する第一の表面の一部分の長軸方向における長さ、および第二のローラーと接触する第二の表面の一部分の長軸方向における長さを同時に変更する工程を含むことがより好ましい。このように、単一の適合する動きが、それぞれの装置によって加工された捲縮した材料シートの特性の特に大規模な変更をもたらす場合がある。さらに、一方で、第一のローラーと第二のローラーとの間の接触表面の変更の特に広範な範囲、および他方で、捲縮される材料シートが実現されうる。このように、処理される材料シートの材料特性の特に幅広い変化が実現されうる。
【0073】
方法は、第二の捲縮ローラーの第二の回転軸を中心に第一の捲縮ローラーを回転させる工程を含むことが好ましい。すなわち、第一のローラーはそれ自身の回転軸を中心に回転し、かつ第二のローラーの第二の軸の周りの回転も遂行する。この場合、固定された平面は、第二のローラーの回転軸を通過する平面であってもよく、また第一のローラーは捲縮軸を変更する第二のローラーの周りを回転する。第二のローラーの回転軸は固定されていることが好ましい。
【0074】
方法は、捲縮角度を選択する工程中に、第一の回転軸を第二の回転軸と平行に保つ工程を含むことが好ましい。
【0075】
本発明のさらなる利点は、添付の図面への非限定的な参照とともに、その詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1a図1aは、近隣の第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーの異なる位置にある捲縮した材料シートを製造するための装置の概略側面図である。
図1b図1bは、近隣の第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーの異なる位置にある捲縮した材料シートを製造するための装置の概略側面図である。
図1c図1cは、近隣の第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーの異なる位置にある捲縮した材料シートを製造するための装置の概略側面図である。
図1d図1dは、近隣の第一の捲縮ローラーおよび第二の捲縮ローラーの異なる位置にある捲縮した材料シートを製造するための装置の概略側面図である。
図2a図2aは、二つの異なる位置で相互に対して捲縮ローラーの組を回転させるための駆動機構のための第一の可能な実施形態の概略側面図である。
図2b図2bは、二つの異なる位置で相互に対して捲縮ローラーの組を回転させるための駆動機構のための第一の可能な実施形態の概略側面図である。
図3図3は、捲縮ローラーの間の距離を変化させるための可能性のある機構を備える、相互に対して捲縮ローラーの組を回転させるための駆動機構のための第二の可能な実施形態の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図1a~図1dでは、捲縮した材料シートを製造するための装置100の概略側面図が異なる位置で示されている。装置100は、二つの捲縮ローラー9、10を備える。特に、異なる捲縮角度11(下記により良好に定義される通り)は、二つの相互に対して反対向きの捲縮ローラー9、10の適切な位置付けによって実現され、ここで捲縮角度11は、角度の大きさに対して変化するだけでなく、角度の方向に対しても変化する。
【0078】
装置100は、第一のコイル、すなわち供給コイル8によって供給される材料シート6を捲縮するように適合されている。材料シートは、捲縮ローラー9、10に向かう搬送方向4(図内の矢印で示す)を画定する。搬送方向に対して、供給コイルはローラーの上流に位置する。装置100は、ローラー9、10の下流に位置する受け入れコイル7をさらに含む。供給コイル8では、捲縮ローラー9、10の対を使用して捲縮される、材料6の平坦でかつ薄い層の「エンドレス」シートが提供されている。材料6の層は、植物材料もしくはプラスチックのシートまたはセルロースタイプのシートを含む均質化したたばこシートであってもよく、その上に幾つかのタイプのたばこ様風味化合物が塗布されてもよい。コイル8上に巻かれた材料シート6は、当然のことながら、厳密に言えばエンドレスではないことが理解されるべきである。しかしながら、材料シート6の全体的な長さは数百メートルである可能性があり、従ってその幅よりもずっと長い。さらに、連続的な捲縮加工が可能になるように、二つの連続的な供給コイル8(図示せず)の間の引き継ぎ機構を提供することが可能である。当然のことながら、これは、受け入れコイル7のための適切な引き継ぎ機構も暗示することになる(これも図示せず)。
【0079】
供給コイル8から巻き出された材料シート6は、装置100の「主要部」に入り、ここで第一のローラーおよび第二のローラー9、10によって材料シート6の加工が実施される。
【0080】
加工のために、第一のローラー9、第二のローラー10、または両方のローラー9、10には、表面構造(例えば、複数の隆起を含む)が提供される(図面では見えない)。両方のローラー9、10には表面構造が提供されることが好ましく、ここで表面構造は、第一のローラー9上の隆起が少なくとも部分的に第二のローラー10の対応する近隣の谷の中へと交互に配置され、またその逆も可であるように、対応する方法で設計されている。第一のローラーおよび第二のローラー9、10は各々、第一の回転軸および第二の回転軸と名付けられた回転軸1、22(図1aで見られる)を画定し、これらの軸を中心に回転するように適合されている。ローラー9、10は実質的に円筒状であり、また回転軸は円筒の軸であることが好ましい。
【0081】
材料の層6の加工は、第一のローラー9と第二のローラー10との間に形成されているニップ5で、二つのローラー9、10をある一定の距離に定置することによって主に行われる。図3の実施形態を参照して下記に詳述する通り、二つのローラー9、10の間の距離は固定されてもよく、または変動可能であってもよい。ニップ5の幅は、入ってくる材料シート6の厚さの範囲内でおおまかに選ばれる。ニップ5の幅は通常、問題の表面部分に対して本質的に直角を成す方向に、他方のローラー9、10の近隣の表面部分までの最小距離として定義される。加工プロセスの現在の必要性に依存して、ニップ5の幅は典型的に、入ってくる材料シート6がニップ5の中でわずかに圧縮されるように、入ってくる材料シート6の厚さよりもわずかに小さい。それ故に、ローラー9、10によって平坦な材料シート6に牽引力をかけることができる。これを達成するために、材料シート6が供給コイル8から回収コイル7に向かって搬送されるように、二つのローラー9、10はモーター(図示せず)によって駆動され、この場合では第一のローラー9は反時計回りの方向に駆動され、第二のローラー10は時計回りの方向に駆動される。
【0082】
しかしながら、材料シート6の加工は、ニップ5自体で実施されるだけでなく、追加的な加工が、ニップ5の前方でローラー9、10のうちの一つの表面セクション2上でも行われ(材料シート6に対してその搬送方向4で見られる)、かつニップ5の後でローラー9、10のうちの一つの上のさらに別の表面セクション3でも行われることが好ましい。この加工は、材料シート6の一方の側でのみ実施されることが好ましく、材料シート6の上に課される張力の影響下で主に達成されることに注目するべきである。しかしながら、これらの表面セクション2、3によって、場合によっては著しく延長された加工時間を達成することができる。表面セクション2、3は、シートが捲縮される間にシート6と接触している第一のローラーおよび第二のローラーの表面の部分である。実際この表面の範囲(2または3のいずれか)は、角度11に依存して変化させることができる。
【0083】
そのように加工された材料シート6は捲縮した材料シートとして、装置の加工部を離れて、回収コイル7上に巻き取られる。回収コイル7は、引っ張り力を生成することができるように能動的に駆動されることが好ましく、また材料シート6の上に十分な張力が存在するように、供給コイル8も駆動される必要があるか、または少なくとも制動力(好ましくは可変の制動力)が供給コイル8にかけられる必要があることが好ましい。
【0084】
本発明による捲縮装置100では、装置を再構築するいかなる必要性もなく、単純な調整プロセスによって、ニップ5の前後にある表面セクション2、3のサイズ、すなわち長さを変化させることが可能である。このようにして、加工される材料シート6の加工時間を、加工速度(材料シート6の搬送方向4における単位時間当たりの前進、これは第一のローラーおよび第二のローラー9、10の回転速度で線形的に進む)を変更する必要なく、広範囲に変化させることができる。捲縮装置100の異なる設定を異なる図1a~図1dで比較することによって分かる通り、これは捲縮角度11を変化させることによって達成することができる。捲縮角度11は、図1a~図1dにおいて二つの破線によって区切られるように示されている。
【0085】
捲縮角度11は、固定された基準平面、この場合では垂直平面12と、二つのローラー9、10のそれらのそれぞれの現在の位置における二つの回転軸1、22を通過または含有する平面によって画定された移動平面13との間の角度として定義されている。固定された平面は、第一の回転軸1を通過する。
【0086】
図1a~図1dから分かる通り、図1aでは垂直平面12および移動平面13は相互に平行であり、これによって捲縮角度11は0度である。ここで、材料シート6とローラー9、10のうちの一つとの間の接触が存在する場所であるニップ5の前後にある表面セクション2、3は、サイズが最小限である。注目すべきは、回収コイル7および供給コイル8の適切な定置によって、それぞれのコイルの何らかの水平移動が予見されない限り、または追加的な案内ローラー(この場合では示されていない)が採用されない限り、これらの「追加的な表面セクション」2、3は、少なくとも回収コイル7および供給コイル8の、ある一定の直径で、本質的に0に低減することができる。当然のことながら、回収コイル7、供給コイル8、および場合によっては追加的な案内ローラー(存在する場合)を適切に配置することによって、捲縮角度11が0度に設定されている場合でさえも、かなりのサイズの表面セクション2、3も実現することができる。
【0087】
図1bでは、捲縮角度11は、時計回り方向で45度に設定されている。従って、材料シート6の下側は、第二のローラー10との接触を通して、ニップ5の前方の表面セクション2において「前処理済み」(すなわち、ニップ5によって加工が行われる前)である。ニップ5の後、既に(部分的に)捲縮した材料の層は、ニップ5の後の表面セクション3における第一のローラー9との接触を通して、その上側の上で「後処理される」。
【0088】
捲縮角度11を、ほぼ同一の大きさ(すなわち、約45度)であるが、図1cで行われているように反対側の方向(反時計回り)に設定することによって、材料シート6の「前処理段階」と「後処理段階」は入れ替えられたようなになる。従って、ニップ5の前方の表面セクション2において、材料シート6の上側は、第一のローラー9によって前処理され、一方で後処理は、既に(部分的に)捲縮した材料の層の下側が第二のローラー10と接触することによってニップ5の後の表面セクション3において行われる。
【0089】
図1dでは、捲縮角度11の大きさは、図1cによる位置を超えてなおさらに増加する。ここで、捲縮角度11は、反時計回りの方向に135度の大きさである。図1dから分かる通り、表面セクション2、3のサイズ、従って前処理段階の継続時間ならびに後処理段階の継続時間は著しく増大する。この場合も、前処理時間および後処理時間のこの著しい増加は、材料シート6の加工速度、すなわち単位時間当たりの搬送方向4における材料シート6の移動の変化を必要としないことが注目される。その代わりに、これは、捲縮角度11を適切な角度に(図1a~図1dによる4つの独立した角度だけでなく、不特定多数のその他の角度に)設定することによって行うことができる。
【0090】
図から明らかな通り、第一のローラー9は第二のローラー10の周りを実質的に「回転する」。
【0091】
図2a~図2bでは、可変捲縮角度11を示す二つのローラー9、10の配置を実現するための装置200の実施形態が概略側面図で示されている。
【0092】
ローラー9、10は、二枚のプレート14(ローラー9、10の各々の端に一つずつ)に回転可能に取り付けられていて、図2a~図2bではこれらのプレート14のうちの一つのみが示されている。プレート14はステッパーモーター15を使用して回転させることができ、ここでステッパーモーター15は、プレート14の外周表面に沿って配置されている、歯17の対応する配置(図2a~2bでは歯17の一部のみを示す)と噛み合う外部ねじ山16を駆動する。
【0093】
外部ねじ山16を回転する時、プレート14の異なる角度位置、それ故に異なる捲縮角度11を簡単に実現することができる。簡潔のために、二つの別個のプレート14の位置、従って捲縮角度11のみを比較して示す。すなわち、図2aでは、捲縮角度11は、0度に設定され(基準平面12および移動可能な平面13の両方が水平である、図1aと比較される)、一方で図2bでは、捲縮角度11は45度に設定されている。
【0094】
完全性のためにのみ、ステッパーモーター15の代わりに異なる作動手段も採用できることが述べられるべきである。「自動化した手段」を使用することが可能であるだけでなく、手のクランクまたはこれに類するものも使用してもよい。
【0095】
図3では、二つのローラー9、10の機械的配置を含む装置300の追加的な実施形態の側方側面図が示されていて、ここで二つのローラー9、10の間の距離を簡単な方法で変えることができ、これによって装置によって捲縮される異なる材料シート6に対してニップ5の幅を適合することができる。
【0096】
この場合に示される装置300の実施形態は、ウォームギアタイプのアクチュエータ16、17によって回転することができる一対のプレート14が採用されるという点で、図2a~図2bに示す実施形態の装置200に類似している。
【0097】
第二のローラー10は、回転可能な方法でプレート14に「直接的に」取り付けられている。
【0098】
第一のローラーと第二のローラー9と10の間の距離を変化させることができるようにするために、第一のローラー9は、L字型レバー18の第一の脚の上に回転可能に配置されている。レバーは、回転軸19によってプレート14に回転可能に取り付けられている。第一のローラー9はレバー18の第一の脚の上に配置されているが、レバーの第二の脚は、アクチュエータ20によって前進後退で駆動することができる駆動ロッド21を介してアクチュエータ20に取り付けられている。アクチュエータロッド21のこの前進後退の動き(アクチュエータ20によって開始される)は、回転軸19を中心とするレバー18の旋回動作を通して、第一のローラー9と第二のローラー10の間の距離の変化へと、それ故にニップ5の幅の変化へと変換される。
【0099】
示されている実施形態は、この場合では例示的な目的のために提示されていて、またいずれの場合でも本発明の範囲を限定することを意味しないことに注目すべきである。特に、当業者にとって明らかな方法で提示された特定の実施形態の、ある特定の特徴を組み合わせることも可能である。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図3