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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
A63F7/02 316A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020053124
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021151394
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 淳平
【審査官】永田 美佐
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-115741(JP,A)
【文献】特開2014-230557(JP,A)
【文献】特開2010-207266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤を備え、
前記遊技領域には、上方に開口部を有する所定領域と、前記開口部を所定の態様で開閉することが可能な可変部材と、が設けられ、
前記可変部材は、左右方向へ下方傾斜するように配置され、所定条件が成立すると少なくとも前記開口部を所定期間開放する一方、前記所定期間が経過すると前記開口部を閉鎖する遊技機であって、
前記可変部材が前記開口部を開放すると、前記所定領域に遊技球が入球可能となり、前記所定領域に遊技球が入球したことに基づいて賞球が付与されるようになっており、
前記可変部材の上方側に遊技球を受け入れる受入通路が設けられており、
前記可変部材は、
前記受入通路を流下した遊技球を受ける傾斜受面と、
前記傾斜受面と連続し、遊技球を上流側から下流側に転動させる転動面と、を有しており、
前記傾斜受面は、水平方向に対して傾斜しているとともに、前記転動面に対して上方に傾斜していることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技盤の遊技領域において上面に開口部を有する所定領域と、この所定領域の開口部を開閉可能にする可変部材と、が設けられたパチンコ機が知られている。例えば特許文献1に記載のパチンコ機では、遊技盤の遊技領域における右下方に、上面に大入賞口が形成された大入賞口領域と、大入賞口を開閉可能とする可変部材とが設けられている。また、遊技盤の遊技領域における右側領域(所謂右打ち領域)には複数の遊技釘が配設されており、これら複数の遊技釘によって大入賞口へと遊技球を案内可能とする案内経路が形成されている。可変部材は、前後方向にスライド可能に構成されており、前方にスライドしたときには大入賞口を閉鎖する一方で、後方にスライドしたときには大入賞口を開放するようになっている。一方、遊技領域の中央下方には第1始動口が設けられており、第1始動口に遊技球が入球すると、大当たり遊技を実行するか否かを決定する大当たりの電子抽選が行われるようになっている。そして、この大当たりの電子抽選に当選した場合に大当たり遊技が実行されることとなる。
【0003】
大当たり遊技が実行される場合には、遊技者は遊技領域の右打ち領域に向かって遊技球を打ち出し、打ち出された遊技球は案内経路を経由して大入賞口に入球することが可能となる。この際に、可変部材は所定のタイミングで上述したように前方または後方にスライドし、可変部材が後方にスライドして大入賞口を開放している間に遊技球が大入賞口に入球したことに基づいて遊技者に賞球が付与されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-28044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような遊技機では、大当たり遊技中において案内経路を流下した遊技球は、前方にスライドしている可変部材の上流端部上に落下してしまう場合がある。この場合、可変部材の上流端部上に落下した遊技球が案内経路側に跳ね返ってしまうことに起因して、当該案内経路の下流側で遊技球が滞留してしまう虞があった。また、案内経路における下流側の遊技釘の配設の態様次第では、可変部材の上流側隅部に位置した遊技球と案内経路から流下してきた遊技球とが球噛みしてしまう場合があった。このように、大入賞口に遊技球を安定して入球させることができない虞があり、改良が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、所定領域の開口部に遊技球を安定して入球せることができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤を備え、前記遊技領域には、上方に開口部を有する所定領域と、前記開口部を所定の態様で開閉することが可能な可変部材と、が設けられ、前記可変部材は、左右方向へ下方傾斜するように配置され、所定条件が成立すると少なくとも前記開口部を所定期間開放する一方、前記所定期間が経過すると前記開口部を閉鎖する遊技機であって、前記可変部材が前記開口部を開放すると、前記所定領域に遊技球が入球可能となり、前記所定領域に遊技球が入球したことに基づいて賞球が付与されるようになっており、前記可変部材の上方側に遊技球を受け入れる受入通路が設けられており、前記可変部材は、前記受入通路を流下した遊技球を受ける傾斜受面と、前記傾斜受面と連続し、遊技球を上流側から下流側に転動させる転動面と、を有しており、前記傾斜受面は、水平方向に対して傾斜しているとともに、前記転動面に対して上方に傾斜していることを特徴とする。
【0008】
また、上記構成において、本発明は、前記受入通路は、前記遊技盤の盤面に沿って互いに対向する一対の側壁部を有しており、前記一対の側壁部は、上下方向に沿って形成されており、前記受面の水平方向の幅は、前記一対の側壁部の間隔よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、所定領域の開口部に遊技球を安定して入球せることができる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態例に係るパチンコ機の外観を示す正面図である。
図2】同パチンコ機の外観を示す斜視図である。
図3】同パチンコ機の背面図である。
図4】同パチンコ機に設けられた遊技盤の正面図である。
図5図4に示す遊技盤に設けられた入賞口ユニットの斜視図である。
図6】同入賞口ユニットの分解斜視図である。
図7】同入賞口ユニットの正面図である。
図8】同入賞口ユニットにおける第2始動口形成部を示す正面図である。
図9図8のA-A線断面図である。
図10図8に示す第2始動口入球通路の拡大正面図である。
図11図8に示す第2スライド板の傾斜面に衝突した遊技球の流れを説明する図である。
図12図8に示す第2スライド板の傾斜面に衝突した遊技球の流れを説明する図である。
図13図5に示す入賞口ユニットの大入賞口形成部を示す正面図である。
図14図13に示す入賞口ユニットのカバー部材に取り付けられたアジャスターを示す正面図である。
図15図14に示すアジャスターの正面斜視図である。
図16】同アジャスターの背面図である。
図17】同アジャスターの背面斜視図である。
図18】アジャスターをカバー部材に取り付ける際の作業手順を説明する図である。
図19】アジャスターをカバー部材に取り付ける際の作業手順を説明する図である。
図20】アジャスターをカバー部材に取り付ける際の作業手順を説明する図である。
図21図13のB-B線断面図である。
図22】大入賞口の開口面積が最小値となるようにアジャスターをカバー部材に取り付けたときの大入賞形成部を示す正面図である。
図23図22のC-C線断面図である。
図24】大入賞口の開口面積が最大値と最小値の中間値になるようにアジャスターカバー部材に取り付けたときの大入賞口形成部を示す正面図である。
図25図24のD-D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1図2に示すように、本発明の実施形態に係るパチンコ機(遊技機)Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の外枠1と、外枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた内枠2と、内枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられた前面扉3等を備えている。外枠1および内枠2によって本体枠4が構成されており、この本体枠4は後述する遊技盤(図4参照)を保持している。
【0012】
前面扉3には、ガラスやプラスチック等からなる透明板5が取り付けられている。この透明板5の周囲には各種演出装置等が配設されている。具体的には、透明板5の上方から左側方にかかる部位を囲むように装飾レンズユニット6が配設され、透明板5の右上方に回転灯ユニット7が配設され、回転灯ユニット7の真下であって透明板5の右側方にサイドパネルユニット8が配設され、透明板5の左右下方と左右上方に複数(本実施形態では4つ)のスピーカ9a~9dが配設されている。また、透明板5の下方に遊技球を収容可能な上段受皿10および下段受皿11が配設され、上段受皿10の前面中央に演出操作ユニット12が配設され、下段受皿11の右側方には遊技球の発射操作を行う操作ハンドル13が配設されている。
【0013】
装飾レンズユニット6の内部には複数のLED(図示せず)が設けられており、これらLEDが遊技の進行に伴って種々の色や発光パターンで発光するという演出が行われるようになっている。回転灯ユニット7には環状に配置した複数のLED(図示せず)が設けられており、各LEDが配置順に点灯と消灯を繰り返すことにより、恰も回転灯が発光しているような演出を実行できるようになっている。サイドパネルユニット8は前方に向けて突出するように形成された略長方形薄板状の装飾用装置であって、この装置に内装されたデザインシート(図示せず)の視認性を高めるようになっている。スピーカ9a~9dは、遊技の進行に応じて遊技に関する様々な音を出力するようになっている。
【0014】
上段受皿10には、パチンコ機の側方に設置された図示せぬ遊技球貸出装置により貸し出される遊技球や、パチンコ機の後述する賞球払出装置から払い出される賞球が導かれるようになっている。この上段受皿10が遊技球で一杯になると、その後に貸し出されたり払い出されたりする遊技球は下段受皿11に導かれるようになっている。演出操作ユニット12は、遊技の進行に伴って実行される演出の切り替え等を行うことが可能になっている。操作ハンドル13は遊技者が所定方向へ向けて回転操作できるように形成されており、遊技者が操作ハンドル13を回転操作すると、上段受皿10に収容されている遊技球が遊技盤の下方に配設された発射装置(図示せず)に送られる。そして、この発射装置により操作ハンドル13の回転角度に応じた強度で遊技球が発射されるようになっている。
【0015】
図3に示すように、このパチンコ機Pの背面側には、遊技に関する主要な処理を行う主制御基板14と、主制御基板14からの指令を受けて上記した回転灯ユニット7やスピーカ9a~9d等の各種演出装置を制御する副制御基板15と、賞球を払い出す賞球払出装置16と、主制御基板14からの指令を受けて賞球払出装置16を制御する払出制御基板17と、操作ハンドル13の回転操作量に応じて発射装置の作動を制御する発射制御基板18と、大当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板19等が設けられている。主制御基板14には、CPU(Central Processing Unit)と、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、生成された処理情報の一時記憶および記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等が実装されており、このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。例えば主制御基板14は、後述する大入賞口用スライド板を開閉動作させる第1ソレノイド、および後述する第2始動口用スライド板を開閉動作させる第2ソレノイドと電気的に接続されている。そして、特別遊技中において所定のタイミングで第1ソレノイドに大入賞口用スライド板を開閉動作させるように制御し、特別遊技終了後の時短遊技中において普通図柄の電子抽選に当選すると第2ソレノイドに第2始動口用スライド板を開閉動作させるように制御する。大入賞口用スライド板および第2始動口用スライド板の詳細については後述する。
【0016】
図4に示す遊技盤20は内枠2に収納・保持されており、この遊技盤20の前面にはガイドレール21等によって囲まれた遊技領域22が形成されている。遊技領域22は透明板5を透して目視可能となっており、パチンコ機Pに正対する遊技者から見て左側に位置する所謂左打ち領域22aと、同遊技者から見て右側に位置する所謂右打ち領域22bとを有している。遊技領域22の中央下方には第1始動口23およびアウト口24が設けられており、右打ち領域22bにはゲート25、第2始動口(開口部)26および大入賞口27等が設けられている。また、遊技領域22には、上記構成の他にも、一般入賞口28、遊技釘29および風車30等が設けられている。なお、第2始動口26および大入賞口27はいずれも、遊技盤20の右下領域に設けられた入賞口ユニット(図5~7参照)に形成されている。この入賞口ユニットの詳細については後述する。
【0017】
遊技盤20の略中央には、所定形状に切り抜かれた開口31が形成されている。遊技者がこの開口31を通して臨める位置に、遊技に関する各種演出を表示する演出表示装置(不図示)、および遊技の進行に合わせて作動する可動役物(不図示)等が設けられる。また、図示は省略するが、遊技盤20には遊技領域22の外方であって、かつ遊技者が視認可能な位置に第1特別図柄表示器、第2特別図柄表示器、第1特別図柄保留表示器、第2特別図柄保留表示器、普通図柄表示器、普通図柄保留表示器、右打ち報知表示器が設けられている。これらの表示器は遊技に係る種々の状況を表示するための装置である。
【0018】
操作ハンドル13(図1,2参照)が遊技者によって任意角度に回転操作されると、発射装置が遊技球を遊技領域22に向けて連続的に打ち出すようになっている。通常、遊技者が遊技を開始した際には、遊技領域22の左打ち領域22aに向かって遊技球を打ち出し、打ち出された遊技球は遊技釘29および風車30に衝突して流下方向を不規則に変えながら左打ち領域22aを流下する。そして、流下した遊技球が第1始動口23に入球した場合、所定個数(例えば3個)の賞球が付与されるとともに、特別遊技を実行させるか否かを決定する大当たりの電子抽選が行われる。なお、流下した遊技球が一般入賞口28に入球した場合には、所定個数(例えば3個)の賞球が付与され、流下した遊技球が第1始動口23または一般入賞口28のいずれにも入球しなかった場合には、アウト口24を通って遊技盤20の背面側に排出される。
【0019】
一方、上記した大当たりの電子抽選に当選した場合には特別遊技に移行する。この特別遊技おいては、遊技者は右打ち領域22bに向かって遊技球を打ち出し、打ち出された遊技球は右打ち領域22bを流下して、大入賞口27に入球可能となる。大入賞口27には前後方向にスライド可能な大入賞口用スライド板(以下「第1スライド板」という。)27aが設けられている。また、第1スライド板27aの下方には、大入賞口27に入球した遊技球が通過する大入賞口領域27Aが形成されている。第1スライド板27aが前方にスライドすると大入賞口27を閉鎖する一方で、後方にスライドすると大入賞口27を開放する。第1スライド板27aが所定のタイミングで複数回、大入賞口27を開放することにより大入賞口27に遊技球が入球可能となる。そして、特別遊技の開始から終了までの間に開放した大入賞口27に遊技球を入球させることにより、多数(例えば2400個)の賞球が遊技者に付与されることになる。
【0020】
また、上記した特別遊技が終了した場合には時短遊技に移行する。この時短遊技においては、遊技者は右打ち領域22bに向かって遊技球を打ち出し、打ち出された遊技球がゲート25を通過すると、普通図柄の電子抽選が実行される。普通図柄の電子抽選に当選すると(所定条件が成立すると)、後述する第2始動口用スライド板が、少なくとも第2始動口26を所定期間開放して第2始動口26に遊技球が入球可能となる一方、この所定期間が経過すると第2始動口26を閉鎖するようになっている。第2始動口26には前後方向にスライド可能な第2始動口用スライド板(以下「第2スライド板」という。)26aが設けられている。また、第2スライド板26aの下方には、第2始動口26に入球した遊技球が通過する第2始動口領域(所定領域)26Aが形成されている。第2スライド板26aが前方にスライドすると第2始動口26を閉鎖する一方で、後方にスライドすると第2始動口26を開放する。第2スライド板26aが所定のタイミングで複数回、第2始動口26を開放することにより第2始動口26に遊技球を容易に入球させることが可能となる。遊技球が第2始動口26に入球した場合には、所定個数(例えば1個)の賞球が付与されるとともに、再び大当たりの電子抽選が行われる。なお、第2始動口26の入球を契機として大当たりの電子抽選が行われる回数は、予め定められた規定回数(例えば100回)に設定されており、この規定回数以内に大当たりの電子抽選に当選しなかった場合には、時短遊技を終了させて遊技者は再び左打ち領域22aに向かって遊技球を打ち出すことになる。
【0021】
次に、図5~7を参照して、遊技盤20の右下領域に設けられ、第2始動口26および大入賞口27の双方が形成された入賞口ユニットについて説明する。図5~7に示すように、入賞口ユニット32は、第2始動口26の第2スライド板26aおよび大入賞口27の第1スライド板27a等が設けられた本体部33と、本体部33の前面に取り付けられる透明性を有するプラスチック製のカバー部材34と、カバー部材34に取り付けられ、大入賞口27の開口面積を調整することを可能にするアジャスター35(詳細は後述)と、が組み合わされることにより構成されている。本体部33には、第1スライド板27aを開閉動作させる第1ソレノイド(不図示)、第2スライド板26aを開閉動作させる第2ソレノイド(不図示)、大入賞口27を通過した遊技球を検出する大入賞口検出センサ27s、および第2始動口26を通過した遊技球を検出する第2始動口検出センサ26s等が設けられている。
【0022】
カバー部材34には2つの貫通孔34a,34aが設けられており、これら貫通孔34a,34aの前面部は当該貫通孔34a,34aに挿通されたネジの頭部が収まるようにすり鉢状に形成されている。また、これら貫通孔34a,34aの中心間距離dは例えば14.8mmに設定されており、後述するアジャスター35の隣り合う取付穴35a,35aの中心間距離d図14,15参照)の4倍(例えば3.7mm×4=14.8mm)に設定されている。また、カバー部材34の背面には、アジャスター35の取付穴35aに挿入可能な2つの突起部34b,34bが上記した貫通孔34a,34aの内側に形成されている(図18参照)。これら突起部34b,34bの中心間距離dはアジャスター35の隣り合う取付穴35a,35aの中心間距離dの2倍(例えば3.7mm×2=7.4mm)に設定されている。これら突起部34b,34bはアジャスター35をカバー部材34に仮止めする際に用いられる(詳細は後述)。
【0023】
本体部33とカバー部材34との間に形成された空間によって入賞口ユニット32内を遊技球が通過可能な通路が形成されており、この通路は第2始動口26が形成された第2始動口形成部36内および大入賞口27が形成された大入賞口形成部37内の双方に設けられている。なお、第2始動口形成部36は大入賞口形成部37よりも上流側に位置している。
【0024】
以下、図8~25を参照して、入賞口ユニット32の第2始動口形成部36および大入賞口形成部37について順次説明する。まず、図8~12を参照して、第2始動口形成部36について説明する。図8.9に示すように、第2始動口形成部36は、入賞口ユニット32へ流下してきた遊技球を受け入れる受入通路38と、受入通路38の下流側に連通して第2始動口26への遊技球の入球を可能とする第2始動口入球通路39と、第2始動口入球通路39の下流側に連通して大入賞口形成部37に遊技球を落下させる落下通路40と、を有している。
【0025】
受入通路38は、入賞口ユニット32の左上端部の近傍に形成された第1通路部41と、第1通路部41よりも右側に形成され、上述したゲート25が配設された第2通路部42と、これら第1通路部41と第2通路部42との合流部43を含む合流通路部44と、を有している。合流通路部44は上下方向に沿って形成されており、合流通路部44の上流側は上記した合流部43となっており、合流通路部44の下流側は第2始動口入球通路39の上流側と連通している。また、合流通路部44には遊技盤20の盤面に沿って水平方向に対向している一対の側壁部44a,44aが形成されており、これら側壁部44a,44aの間隔は遊技球1個分よりも大きくなるように設定されている。受入通路38に受け入れられた遊技球は、第1通路部41または第2通路部42を通過した後に合流通路部44を通って第2始動口入球通路39へ流下することになる。
【0026】
第2始動口入球通路39は、第2始動口26上に形成されており、第2始動口26の第2スライド板26aが前方にスライドして第2始動口26を閉鎖している場合には、この前方にスライドしている第2スライド板26a上に沿って遊技球を通過させるようになっている。この第2スライド板26aは、上流側から下流側に向かって(左右方向へ)下方傾斜するように配置されており、上流側端部が上方に折れ曲げられている。この第2スライド板26aは、受入通路38の合流通路部44と対向して当該合流通路部44を流下した遊技球を受ける受面260aと、受面260aで受けた遊技球を上流側から下流側に転動させる転動面260bと、を有している。受面260aの下流側端部は転動面260bの上流側端部と連続しており、受面260aは転動面260bに対して上方に傾斜した平坦状の傾斜面となっている。そのため、受面260aの水平方向に対する傾斜角度は、転動面260bの水平方向に対する傾斜角度と、受面260aの転動面260bに対する傾斜角度と、を足し合わせた角度となっている。したがって、受面260aは、スライド板の上流側端部が上方に折り曲げられていない従来の遊技機に比べて、当該受面260aの転動面260bに対する傾斜角度だけ上方に傾斜していることになる。なお、受面260aの転動面260bに対する傾斜角度は例えば15°~30°の範囲内に設定されており、転動面260bの水平方向に対する傾斜角度は5°~10°の範囲内に設定されている。
【0027】
また、図10に示すように、第2スライド板26aの受面260aの水平方向に沿った幅L(以下単に「幅L」という。)は、合流通路部44の下流側部の水平方向に沿った幅L(以下単に「幅L」という。)よりも小さくなるように設定されている。具体的には、幅Lは受面250aの上方への投影長さであり、幅Lは一対の側壁部44a,44a同士の間隔であり、これら幅Lと幅Lとの関係は0<L<Lとなるように設定されている。ただし、幅Lと幅Lとの関係が(1/2)L≦L<Lとなるように設定した場合には、合流通路部44を流下した遊技球を受面260aで確実に受け、この受けた遊技球を第2始動口入球通路39に沿って確実に流下せることができる。また、(2/3)L≦L<Lとなるように設定した場合には、合流通路部44を流下した遊技球を受面260aでさらに確実に受け、この受けた遊技球を第2始動口入球通路39に沿ってさらに確実に流下せることができる。
【0028】
また、図8~10に示すように、第2始動口形成部36には上流側から下流側に沿って複数の突起部45が形成されている。これら複数の突起部45は、本体部33とカバー部材34の双方に形成されている。具体的には、本体部33の前面側に所定間隔を存して複数(本実施形態では3個)の突起部45が形成されており、カバー部材34の背面側にも所定間隔を存して複数(本実施形態では3個)の突起部45が形成されている。そして、カバー部材34の突起部45と本体部33の突起部45とが、前後方向において重ならないように互いに違いに配置されている。なお、複数の突起部45の個数は、第1スライド板27aの長さを考慮して適宜変更することができる。
【0029】
次に、図11,12を参照して、第2始動口入球通路39の受面260aに衝突した遊技球の動きについて説明する。図11に示すように、合流通路部44を流下した遊技球は、第2スライド板26aの受面260aに衝突すると、第2スライド板26a上に沿った方向に流下していく。この場合、上述したように受面260aは転動面260bに対して上方に傾斜しているので、図11の白矢印で示すように、受面260aに衝突した遊技球は、第2スライド板26aに沿った方向に跳ね返って第2スライド板26aの転動面260bに沿った方向に流下することになる。これに対して、スライド板が上方に折り曲げられていない従来のパチンコ機の場合、合流通路部44を流下した遊技球は、スライド板の上流端部に衝突すると、略上方に跳ね返ってしまう。この場合、スライド板の上流端部は水平方向に対して所定角度(例えば5°)だけわずかに傾斜しているにすぎないので、この上流端部に衝突した遊技球は、合流通路部44に向かって逆流することになり、後続の遊技球とともに合流通路部44で滞留してしまうことになる。
【0030】
また、図12に示すように、第1スライド板の受面260aに衝突した遊技球は、この遊技球に後続する他の遊技球と所謂球噛みをすることなく、受面260a上を滑らかに転動する。この場合、上述したように受面260aの水平方向に対する傾斜角度が受面260aの転動面260bに対する傾斜角度(例えば30°)だけ大きくなっていることから、図12の白矢印で示すように、受面250a上の遊技球は、後続の遊技球と接触して接触力を受けた場合でも、受面260aに沿って働く重力により受面250a上を転動していく。これに対して、スライド板が上方に折り曲げられていない従来のパチンコ機の場合、スライド板の上流端部の傾斜角度はわずかな角度(例えば5°)に設定されているため、受面250a上の遊技球が当該受面260aに沿って受ける重力は小さくなっている。そのため、第2始動口入球通路39の上流側隅部において、後続の遊技球から受ける接触力に起因して球噛みが発生してしまうことになる。
【0031】
このように合流通路部44を通過した遊技球は受面260aに衝突すると、合流通路部44側に跳ね返ったり、合流通路部44の上流側隅部において球噛みが発生したりすることなく、円滑に転動面250bを流下する。そして、この転動面260bを流下する際に、前方にスライドしている第2スライド板26a上の遊技球を複数の突起部45と衝突させて蛇行させながら流下させる。そして、この転動面260b上を通過した遊技球は、落下通路40に流下する。
【0032】
図8に戻り、落下通路40は上下方向に沿って直線状に形成されており、上流側において第2始動口入球通路39の下流側と連通し、下流側において大入賞口形成部37と連通している。第2始動口入球通路39から落下通路40に流下した遊技球は、自由落下して大入賞口形成部37に向かって流下する。
【0033】
次に、図13~25を参照して大入賞口形成部37について説明する。図13に示すように、大入賞口形成部37は、第2始動口形成部36の落下通路40から落下してきた遊技球を大入賞口27に案内する案内通路46と、案内通路46の下流側と連通して大入賞口27への遊技球の入球を可能とする大入賞口入球通路48と、大入賞口入球通路48の下流側と連通して一般入賞口28に遊技球を誘導させる誘導通路49と、を有している。
【0034】
案内通路46は、落下通路40と対向する対向部47と、対向部47の下流側に配置されたアジャスター35と、を有している。対向部47は、上流側から下流側に向かって下方傾斜しており、アジャスター35に向かって遊技球を流下させるようになっている。アジャスター35は、流下してきた遊技球を大入賞27の配設方向に誘導する。
【0035】
次に、図6,13~18を参照して、アジャスター35について説明する。なお、以下において左右方向はパチンコ機Pに正対する遊技者を基準としたものとする。
【0036】
図14~18に示すように、アジャスター35は、当該アジャスター35をカバー部材34に取り付けるための複数の取付穴35aと、大入賞口27の第1スライド板27aの一部を収納可能な収納部35bと、第1スライド板27aと平行となるように上流側(右端側)から下流側(左端側)に向かって下方傾斜する上面部35cと、を有している。
【0037】
図13~15に示すように、複数(本実施形態では11個)の取付穴35aは、アジャスター35のカバー部材34に対する取付位置を調整することを可能とし、互いに等間隔を存して第1スライド板27aと平行な直線状に並んで配置されている。隣り合う取付穴35a,35aの中心間距離d(ピッチ数)は例えば3.7mmに設定されている。そのため、本実施形態では、アジャスター35の最も左側に配置された取付穴35aと、アジャスター35の最も右側に配置された取付穴35aとの中心間距離Dは、37.0mm(=3.7mm×10)に設定されている。なお、中心間距離dの値は上記寸法に限定されず、それ以外の適宜設計値に設定することも可能である。以下においては、複数の取付穴35aのうち最も左側に位置する取付穴を「1番目の取付穴」といい、この1番目の取付穴35aの右隣に位置する取付穴を「2番目の取付穴」といい、この2番目の取付穴の右隣に位置する取付穴を「3番目の取付穴」といい、以下同様に、「4番目の取付穴」~「11番目の取付穴」という。
【0038】
図13はアジャスター35の1番目の取付穴35aと4番目の取付穴35aにネジが螺号されたときの大入賞口形成部37を示している。この図に示すように、4番目の取付穴35aよりも右側には、6つの取付穴35a(5番目の取付穴35a~11番目の取付穴35a)が配置されているので、図13に示す取付位置からさらに6つの異なる取付位置でアジャスター35をカバー部材34に取り付けることができる。つまり、このアジャスター35は、計7つの異なる取付位置でカバー部材34に取付可能になっている。そして、図13に示す取付位置から右側に順次取付位置をずらしていくことにより、第1スライド板27a上を流下する遊技球の流下方向に沿ってアジャスター35を移動させることが可能となっている。
【0039】
図16,17に示すように、アジャスター35の収納部35bは当該アジャスター35の背面において左右方向に延びるように形成されている。収納部35bの左端は開口した開口部350aとなっている一方で、収納部35bの右端は閉塞した閉塞部350bとなっている。また、収納部35bは、背面から前面に向かって窪むように形成されており、この窪みにより形成された空間SPに大入賞口27の第1スライド板27aの一部を収納することが可能となっている。図13においては、前方にスライドしている第1スライド板27aの右端から所定長さの部分(以下「収納部分」という。)270aが収納部35b内に収納されている。また、それとともに、この収納部分270a上にアジャスター35の上面部35cが重なるように配置されている。そのため、収納部分270aと重なっている上面部35cは、第1スライド板27aが大入賞口27を開閉しているか否かに関わらず、大入賞口27の一部を常時閉鎖することになる。上述したようにアジャスター35のカバー部材34に対する取付位置は複数の異なる位置で設定可能になっており、設定された取付位置に応じて第1スライド板27aの収納部分270aの大きさが異なり、それに伴って大入賞口27の開口面積も異なってくる。このように、アジャスター35は、カバー部材34に対する取付位置に応じて、大入賞口27の開口面積を変更することができるようになっている。アジャスター35のカバー部材34に対する取付位置と遊技球が入球可能な大入賞口27の開口面積との関係の詳細については後述する。
【0040】
アジャスター35の上面部35cは、その一部を対向部47から流下した遊技球が通過する通路としている。具体的には、図13に示すように、対向部47の下流端よりも左側に位置する上面部35cは、対向部47と上下方向において重なることなく露呈しており、この露呈した上面部35cは遊技球を大入賞口入球通路48に向かって流下させるようになっている。また、アジャスター35が取り付けられたカバー部材34と本体部33とが組み合わされた状態において、上面部35cの傾斜角度と大入賞口27の第1スライド板27aの傾斜角度とが略同じとなるように配置されている。つまり、上面部35cと第1スライド板27aとは略平行となっており、案内通路46から大入賞口入球通路48に遊技球をスムーズに流下させるようになっている。なお、上記では、アジャスター35の上面部35cの傾斜角度と、大入賞口27の第1スライド板27aの傾斜角度とが略平行となっている構成を説明したが、例えば上面部35cと第1スライド板27aとの傾斜角度に誤差があった場合でも、遊技者が上面部35cと第1スライド板27aを視認したときにこれらの傾斜角度が略平行であると認識できる範囲内であればよい。また、アジャスター35の上面部35cの傾斜角度と、大入賞口27の第1スライド板27aの傾斜角度とが平行であってもよい。
【0041】
大入賞口入球通路48は、大入賞口27上に形成されており、大入賞口27の第1スライド板27aが前方にスライドして大入賞口27を閉鎖している場合には、この前方にスライドしている第1スライド板27a上に沿って遊技球を通過させるようになっている。第1スライド板27aは上流側から下流側に向かって下方傾斜するように配置されている。この大入賞口入球通路48を通過した遊技球は誘導通路49に向かって流下していく。
【0042】
なお、案内通路46および大入賞口入球通路48の双方には、第2始動口入球通路39と同様に、複数の突起部50が設けられている。これら複数の突起部50の個数は第1スライド板27aの長さを考慮して適宜変更することができる。複数の突起部50の構成は第2始動口入球通路39の複数の突起部45の構成と同様なので、その説明を省略する。
【0043】
誘導通路49は、略R状に曲がるように形成されており、大入賞口入球通路48から流下した遊技球を受け入れた後に、当該遊技球を直線状に自由落下させるようになっている。誘導通路49において自由落下した遊技球は、一般入賞口28に入球可能となっている。
【0044】
次に、図18~20を参照してアジャスター35をカバー部材34に取り付ける際の作業手順について説明する。以下においては、アジャスター35の1番目の取付穴35aと5番目の取付穴35aにネジを挿入してアジャスター35をカバー部材34に取り付ける場合を例に挙げる。
【0045】
まず、カバー部材34の背面側において、アジャスター35をカバー部材34に仮止めする。この際に、アジャスター35の2番目の取付穴35aと4番目の取付穴35aに、図18に示すカバー部材34の背面の突起部34bを前面側から挿入する。次に、図19,20に示すように、アジャスター35が仮止めされた状態で、当該アジャスター35をカバー部材34にネジ止めする。具体的には、カバー部材34の前面側から2つのネジ51,51をカバー部材34の貫通孔34a,34a、およびアジャスター35の1番目の取付穴35aと5番目の取付穴35aに挿入し、これらネジ51,51を挿入した取付穴35aの内周面に螺合する。これにより、アジャスター35をカバー部材34に取り付けることができる。なお、この後、アジャスター35が取り付けられたカバー部材34と、本体部33とを組み合わせることによって、入賞口ユニット32を構成することができる。
【0046】
次に、図13,21~25を参照して、アジャスター35のカバー部材34に対する取付位置と遊技球が入球可能な大入賞口27の開口面積との関係について説明する。図13は、上述したように、カバー部材34の貫通孔34a,34aと、アジャスター35の1番目の取付穴35aおよび5番目の取付穴35aにネジ51,51を螺号したときの大入賞口形成部37を示している。このとき、アジャスター35の右側面と、カバー部材34の右側面とが近接するように(最も近づくように)配置されているので、第1スライド板27aの収納部分270aの大きさは最小になる。また、図21に示すように、この収納部分270a上に重なっているアジャスター35の上面部35cの大きさも最小となるので、この上面部35cによって閉鎖されている大入賞口27の開口面積も最小となる。したがって、遊技球が入球可能な大入賞口27の開口面積Sは最大値Smaxとなる。
【0047】
図22は、カバー部材34の貫通孔34a,34aと、アジャスター35の7番目の取付穴35aおよび11番目の取付穴35aにネジ51,51を螺号したときの大入賞口形成部37を示している。このとき、アジャスター35の右側面と、カバー部材34の右側面とが最も離れるように配置されているので、第1スライド板27aの収納部分270aの大きさは最大となる。また、図23に示すように、この収納部分270上に重なっている上面部35cの大きさも最大となるので、この上面部35cによって閉鎖されている大入賞口27の面積も最大となる。したがって、遊技球が入球可能な大入賞口27の開口面積Sは最小値Sminとなる。
【0048】
図24は、カバー部材34の貫通孔34a,34aと、アジャスター35の4番目の取付穴35aおよび8番目の取付穴35aにネジ51,51を螺号したときの大入賞口形成部37を示している。このとき、アジャスター35の右側面と、カバー部材34の右側面とが所定間隔を存して配置されており、第1スライド板27aの収納部分270aの大きさは図13の場合と図22の場合の中間になる。また、図25に示すように、この収納部分270a上の上面部35cの大きさ、およびこの上面部35cによって閉鎖されている大入賞口27の面積も図13の場合と図22の場合の中間になる。したがって、遊技球が入球可能な大入賞口27の開口面積Sは最大値Smax図21)と最小値Smin図23)との中間値Smidとなる。
【0049】
このように、アジャスター35のカバー部材34に対する取付位置に応じて、大入賞口27の開口面積を調整することができるようになっている。そのため、このパチンコ機Pの機種性能(例えば特別遊技中の出玉率)を変更したい場合には、第1スライド板27aの大きさを変更することなく、所望の機種性能に応じてアジャスター35のカバー部材34への取付位置を決定すればよい。例えばこのパチンコ機Pにおいて、特別遊技中の出玉率を最大にしたい場合に図13に示す取付位置を採用すればよく、一方で特別遊技中の出玉率を最小にしたい場合に図23に示す取付位置を採用すればよい。また、特別遊技中の出玉率を上記した最大と最小との中間にしたい場合に図25に示すような取付位置を採用すればよい。こうして、このパチンコ機Pにおいては、第1スライド板27aは共通部材としつつ、単にアジャスター35の取付位置を調整するという簡単な作業だけによって、所望の機種性能を実現することができるようになっている。
【0050】
以上、本実施形態に係るパチンコ機(遊技機)Pにおいては、第2始動口領域(所定領域)26Aの第2始動口(開口部)26を開閉可能とする第2スライド板(可変部材)26aは、受入通路38と対向して当該受入通路38を流下した遊技球を受ける受面260aと、受面260aと連続して遊技球を上流側から下流側に転動させる転動面260bと、を有しており、受面260aは転動面260bに対して上方に傾斜している。このように構成されたパチンコ機Pによれば、受面260aに衝突した遊技球を第2スライド板26aに沿った方向に跳ね返すことができるので、合流通路部44への遊技球の逆流に起因して当該合流通路部44で遊技球が滞留することを防止することができる。また、受面250a上の遊技球が後続の遊技球から接触力を受けたとしても、受面260aに沿って働く重力により受面250a上を転動させることができるので、第2始動口入球通路39の上流端部において球噛みが発生することを防止することができる。したがって、遊技球を第2始動口領域26Aの第2始動口26に安定して入球させることができる。
【0051】
また、本実施形態に係るパチンコ機Pにおいては、受面260aの水平方向に沿った幅(受面の水平方向の幅)Lは、合流通路部(受入通路)44の下流側部の水平方向に沿った幅Lよりも小さくなるように設定されている。このように構成されたパチンコ機Pによれば、第2始動口入球通路39の上流側での球噛みや合流通路部44への遊技球の跳ね返りを防止することができるとともに、第2始動口入球通路39を遊技球が直ぐに通過することなく、第2始動口入球通路39において遊技球を滞留させ易くすることができる。
【0052】
また、本実施形態に係るパチンコ機Pにおいては、第2始動口入球通路39において前方にスライドしている第2スライド板26a上を通過する遊技球を複数の突起部45と衝突させながら蛇行せるように流下させるようになっている。したがって、第2スライド板26aが閉鎖している場合には、第2始動口入球通路39を遊技球が直ぐに通過することなく、第2始動口入球通路39で遊技球が滞留し易くなるので、第2始動口26に遊技球を入球させ易くすることができる。
【0053】
また、上記実施形態では、第2始動口26を開閉可能とする第2スライド板26a自体の上流側端部が上方に折れ曲げられていることにより、遊技球を第2始動口26に安定して入球させることがでるようになっている。そのため、例えば下方傾斜した傾斜部材を第2スライド板26aとは別個に用意し、この傾斜部材を第2スライド板26aの上流側で案内通路の合流通路部44と対向するように配置する必要がなく、遊技領域22におけるスペースを有効活用することができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、第2スライド板26aの受面260aは平坦状の傾斜面に形成されていたが、この構成に限られず、例えば上流側から下流側に向かって下がるR形状の湾曲面に形成されていてもよい。こうすれば、受面260a上を遊技球が滑り易くなるので、受面上の遊技球をスムーズに転動面に導くことができる。
【0055】
また、上記実施形態では、本発明を構成する所定領域、開口部および可変部材の例として第2始動領域、第2始動口26および第2スライド板26aを挙げて説明したが、これに限られない。例えば所定領域、開口部、および可変部材として、大入賞口領域27A、大入賞口27および第1スライド板27aを適用することもできる。
【0056】
また、本実施形態に係るパチンコ機Pにおいては、大入賞口27の配設方向に遊技球を誘導するアジャスター35は、上下方向において第1スライド板27aと重なるように配置されている。そのため、パチンコ機Pの機種性能を変更する場合でも、大入賞口27の第1スライド板27aを共通部材としつつ、所望の機種性能を実現させるようにアジャスター35を第1スライド板27a上に重ねて配置することにより、遊技球が入球可能な大入賞口27の開口面積Sを変更することができる。したがって、パチンコ機Pの機種性能の変更の際に、大入賞口27を設計変更したり、設計変更した大入賞口27の大きさに応じて第1スライド板27aを金型成型により新たに用意する必要がなく、使い勝手がよいパチンコ機Pを提供することができる。
【0057】
また、本実施形態に係るパチンコ機Pにおいては、アジャスター35は、大入賞口領域27Aの上流側に設けられ、第1スライド板27a上を流下する遊技球の流下方向に沿って移動させることが可能となっている。そのため、大入賞口27の開口面積を容易に変更することができる。しかも、アジャスター35にはピッチ数が3.7mmの複数の取付穴35aが設けられているので、遊技球が入球可能な大入賞口27の開口面積Sを微調整することができる。
【0058】
また、本実施形態に係るパチンコ機Pにおいては、上記のように大入賞口27の第1スライド板27aを共通部材としつつ、アジャスター35のカバー部材34に対する取り付け位置を調整するだけで、遊技球が入球可能な大入賞口27の開口面積Sを変更することにより、様々な機種性能を有するパチンコ機Pを実現することができ、設計の自由度を高めることができる。
【0059】
また、本実施形態に係るパチンコ機Pにおいては、アジャスター35と第1スライド板27aとは、傾斜角度が略同じになるように配置されている。そのため、アジャスター35内に収納された第1スライド板27aの大きさと、この第1スライド板27a上のアジャスター35の上面部35cによって閉鎖される大入賞口27の面積の大きさとが略等しくなるので、遊技球が入球可能な大入賞口27の開口面積Sを把握し易くすることができる。
【0060】
また、上記実施形態では、プラスチック製のカバー部材34には、本体部33と異なり第1ソレノイド、第2ソレノイド、第2始動口検出センサ26s、および大入賞口検出センサ27s等の部材が設けられていない。そのため、カバー部材34は比較的軽量となっているので、このようなカバー部材34に対してアジャスター35を容易に取り付けることができる。
【0061】
また、本実施形態に係るパチンコ機Pにおいては、大入賞口入球通路48において前方にスライドしている第1スライド板27a上を通過する遊技球を複数の突起部50と衝突させながら蛇行せるように流下させるようになっている。したがって、第1スライド板27aが前方にスライドしている場合には、大入賞口入球通路48を遊技球が直ぐに通過することなく、大入賞口入球通路48で遊技球が滞留し易くなるので、大入賞口27に遊技球を入球させ易くすることができる。
【0062】
なお、上記実施形態では、アジャスター35は、大入賞口領域27Aの上流側に設けられていたが、この構成に限られず、大入賞口領域27Aの下流側に設けられてもよい。この場合、アジャスター35は、上記実施形態におけるアジャスター35のスライド方向と逆方向に(下流側から上流側に向かって)スライドするように構成されればよい。このような構成でも、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0063】
また、上記実施形形態では、アジャスター35を大入賞口領域27の上流側に配設した構成であったが、この構成に限られない。例えばアジャスター35を第2始動口領域26Aの上流側に設けてもよい。この場合、アジャスター35は遊技球を第2始動口26の配設方向に誘導させることになる。このようにすると、第2始動口26の開口面積を調整することができ、時短遊技中における第2始動口26に対する入賞性能を所望の入賞性能に容易にすることができる。
【0064】
また、上記実施形態では、アジャスター35の上面部35cが第1スライド板27a上に重なって配置されることにより、大入賞口27の開口面積Sを変更することが可能になっていたが、この構成に限られない。例えばアジャスター35の上面部35c、すなわちアジャスター35自体が第1スライド板27a下に重なって配置されるようにしてもよい。このようにしても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、アジャスター35の取付穴35aの数を7個とした場合を例に挙げて説明したが、この構成に限られない。取付穴35aの数は2個以上であればよい。
【符号の説明】
【0066】
P パチンコ機(遊技機)
20 遊技盤
22 遊技領域
26 第2始動口(開口部)
38 受入通路
26A 第2始動口領域(所定領域)
26a 第2始動口用スライド板、第2スライド板(可変部材)
260a 受面
260b 転動面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25