(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】セラミックマトリックス複合材修復の方法
(51)【国際特許分類】
C04B 41/87 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
C04B41/87
(21)【出願番号】P 2020502622
(86)(22)【出願日】2018-08-02
(86)【国際出願番号】 US2018044943
(87)【国際公開番号】W WO2019028217
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-07-26
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】パロリーニ、ジェイソン、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マリー、ジェイムズ、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ハフナー、マシュー、トロイ
(72)【発明者】
【氏名】ハードウィック、カナン、ウスル
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0196305(US,A1)
【文献】特開2017-105699(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0114351(US,A1)
【文献】特表2016-540717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 41/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックマトリックス複合材物品(100)を処理する方法(300)であって、
当該方法が、
セラミック組成を有する物品であって、初期溶浸材(260)を用いた初期温度での初期溶浸を含むプロセスによって形成された物品を選択する
ステップ(310)であって、前記物品が少なくとも1つの処理可能な特徴(110)を有する
、ステップ(310)と、
前記少なくとも1つの処理可能な特徴(110)の一部に隣接する領域からセラミック複合材(120)を除去して、処理領域(210)を形成する
ステップ(320)と、
補強用繊維を含む処理材(230)を前記処理領域(210)に配置する
ステップ(330)と、
第1の溶浸材(260)を用いた第1の溶浸によって前記処理材(230)の少なくとも一部を高密度化する
ステップ(340)
であって、第1の溶浸材(260)がケイ素を含み、
第1の溶浸が、前記初期溶浸の前記初期溶浸温度よりも低い第1の温度で行われる
、ステップ(340)と、
第2の溶浸材(260)を用いた第2の溶浸によって前記処理材(230)の少なくとも一部を高密度化するステップであって、第2の溶浸材(260)がケイ素を含み、第2の溶浸が、第1の温度よりも低い第2の温度で行われる、ステップと
を含む、方法(300)。
【請求項2】
第3の溶浸材(260)を用いた第3の溶浸によって前記処理材(230)の少なくとも一部を高密度化する
ステップであって、
第3の溶浸材(260)がケイ素を含み、
第3の溶浸が、
第2の温度よりも低い第3の温度で行われる、
ステップをさらに含む、請求項
1に記載の方法(300)。
【請求項3】
第1の温度が、
1404
℃~1394
℃の範囲内である、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項4】
第1の溶浸材(260)がホウ素をさらに含む、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項5】
前記補強用繊維が、炭化ケイ素(SiC)、ムライト、窒化ケイ素(Si
3N
4)、アルミナ(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、ホウ化チタン(TiB
2)、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)
又は炭化ホウ素(B4C)のうちの
1種以上を含む、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項6】
前記処理材(230)が、炭化ケイ素(SiC)、ムライト、窒化ケイ素(Si
3N
4)、アルミナ(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、ホウ化チタン(TiB
2)、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)
又は炭化ホウ素(B4C)のうちの
1種以上を含むセラミックマトリックス材をさらに含む、請求項1に記載の方法(300)。
【請求項7】
前記処理材(230)がさらに炭素を含む、請求項1に記載の方法(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックマトリックス複合材物品を処理する方法に関する。さらに詳細には、本発明は、セラミックマトリックス複合材部品の表面特徴の修復に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックマトリックス複合材部品は、高速および高温の浮遊粒子が衝撃することによる侵食、タービン環境内の高温酸化、揮発および陥没、低サイクル疲労プロセス、ならびに他部材との摩擦による機械的摩耗を含む様々な熱機械的および環境関連の損傷ならびに摩耗機構に曝される極限環境で頻繁に使用される。これらの機構は、部品に亀裂、孔食、層間剥離および他の損傷を引き起こすことが知られている。セラミックマトリックス複合材部品の製造コストは典型的には比較的高いため、損傷または摩耗した部品を交換するよりも修復することが望ましいことが多い。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、セラミック組成を有する物品であって、初期溶浸材を用いた初期温度での初期溶浸を含むプロセスによって形成された物品を選択することにより、上記物品が少なくとも1つの処理可能な特徴を有することを含む、セラミックマトリックス複合材物品を処理する方法。該方法はまた、少なくとも1つの処理可能な特徴の一部に隣接する領域からセラミック複合材を除去して処理領域を形成することを含む。該方法はまた、補強用繊維を含む処理材を処理領域に配置することと、第1の溶浸材を用いた第1の溶浸によって処理材の少なくとも一部を高密度化することとを含み、第1の溶浸材はケイ素を含み、第1の溶浸は、初期溶浸の初期溶浸温度よりも低い第1の温度で行われる。
【0004】
別の実施形態では、セラミック組成を有する物品を選択することにより、上記物品が少なくとも1つの処理可能な特徴を有することを含む、セラミックマトリックス複合材物品を処理する方法。該方法はまた、少なくとも1つの処理可能な特徴の一部に隣接する領域からセラミック複合材を除去して処理領域を形成することを含む。該方法はまた、補強用繊維、マトリックス材および担体材をさらに含むスラリーを含む処理材を堆積させることと、第1の溶浸材を用いて、第1の温度で第1の溶浸により処理材の少なくとも一部を高密度化することとを含み、第1の溶浸材は、ケイ素と、0.1原子パーセントから8原子パーセントのホウ素とを含む。
【0005】
本発明の他の特徴および利点は、本発明の原理を例として示した添付の図面と併せて、以下のさらに詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態によるセラミックマトリックス複合材物品の側面図である。
【
図2】一実施形態によるセラミックマトリックス複合材物品の側面図である。
【
図3】一実施形態によるセラミックマトリックス複合材物品の側面図である。
【
図4】一実施形態によるセラミックマトリックス複合材物品の側面図である。
【
図5】一実施形態によるセラミックマトリックス複合材物品の側面図である。
【
図6】一実施形態によるセラミックマトリックス複合材物品の側面図である。
【
図7】一実施形態によるセラミックマトリックス複合材物品を修復する方法のフローチャートである。
【
図8】一実施形態によるセラミックマトリックス複合材物品を修復する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
可能な限り、同一の参照番号が、図面の全体を通して、同一の部分を表すために使用される。
【0008】
セラミックマトリックス複合材物品を修復する方法が提供される。本開示の実施形態は、例えば、本明細書に開示される特徴のうちの1つ以上を含まない概念と比較して、ケイ素、特に、相互接続されたケイ素ベインおよび/またはプールの形態の残留金属ケイ素の流出を防止しながら、セラミックマトリックス複合材物品を修復する能力をもたらす。
【0009】
図1の例では、セラミック複合材物品100(例えば、タービンシュラウド、タービンノズル、タービンブレード、燃焼器タイルおよび/または燃焼ライナー)は、第1の表面130と、第1の表面130に対向する第2の表面140と、第1の表面130上のまたはその近くの位置から第2の表面140の方向に深さ150に及ぶ少なくとも1つの処理可能な特徴110とを有するセラミック複合材120を含む。セラミック複合材120は、1つ以上の補強用繊維(例えば、炭化ケイ素(SiC)、ムライト、窒化ケイ素(Si
3N
4)、アルミナ(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、ホウ化チタン(TiB
2)、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)、炭化ホウ素(B
4C)およびそれらの組合せ)と、セラミックマトリックス(例えば、炭化ケイ素(SiC)、ムライト、窒化ケイ素(Si
3N
4)、アルミナ(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、ホウ化チタン(TiB
2)、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)、炭化ホウ素(B
4C)およびそれらの組合せ)とを含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、1つ以上の繊維は、摂氏1200度を超える動作温度および/または摂氏1700度を超える溶融温度を示し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の補強用繊維は、セラミックマトリックスと同じ材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、処理可能な特徴110は、第1の表面130から第2の表面140までの距離の一部に及んでもよい。いくつかの実施形態では、処理可能な特徴110の深さ150は、第1の表面130から第2の表面140までの距離全体に及んでもよい。いくつかの実施形態では、処理可能な特徴110の深さ150は、第1の表面130と第2の表面140との間の距離の少なくとも25パーセント、少なくとも40パーセント、少なくとも55パーセント、95パーセント未満、90パーセント未満、80パーセント未満、70パーセント未満およびそれらの組合せに及んでもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの処理可能な特徴110は、亀裂、陥没孔食、表面下の層間剥離、空隙、多孔性、破片または他の欠陥を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの処理可能な特徴は、構造的欠陥であり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの処理可能な特徴は、外観的欠陥であり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの処理可能な特徴は、構造的欠陥および外観的欠陥の両方を含み得る。
【0011】
図1の例では、処理可能な特徴110に隣接するセラミック複合材120の一部を除去して、
図2に示すような処理領域210を形成してもよい。セラミック複合材120を除去することにより、処理領域210内に存在する実質的にあらゆる異物を除去してもよい。いくつかの実施形態では、処理領域210は、第1の表面130から第2の表面140に向かって先細になっていてもよい。いくつかの実施形態では、処理領域210は、第1の表面130と第2の表面140との間の距離220の少なくとも約10パーセント、少なくとも25パーセント、少なくとも40パーセント、少なくとも55パーセント、少なくとも75パーセント、約100パーセント、95パーセント未満、90パーセント未満、80パーセント未満、70パーセント未満、50パーセント未満およびそれらの組合せに及んでもよい。
【0012】
セラミック複合材120の一部を除去する技術には、電解加工、放電加工、機械研削、グリットブラスト、レーザーアブレーション、水ジェットおよびそれらの組合せが含まれる。
【0013】
処理材230が、処理領域210内に配置されてもよい。処理材230を含むセラミック複合材物品100の実施形態が
図3に示されている。いくつかの実施形態では、処理材230は、1つ以上の補強用繊維(例えば、一方向繊維、一方向トウ、一方向ロービングおよび/または織布繊維)を有するテープ240の1つ以上の層と、セラミックマトリックス材および/またはセラミックマトリックス材前駆体(例えば、炭素)のうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つのマトリックス材とを含む。
【0014】
テープの1つ以上の層の補強用繊維は、同じ方向または異なる方向に整列していてもよい(例えば、0度、30度、45度、60度、90度、-30度、-45度、-60度およびそれらの組合せ)。一実施形態では、テープは、補強用繊維が0度、-45度、45度および90度で整列している複数の層を含む。一実施形態では、テープは、補強用繊維がセラミック複合材120の補強用繊維に対応する向きに整列している1つ以上の層を含む。
【0015】
別の実施形態では、処理材230は、スラリー250の形態で処理領域210に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、スラリー250は、少なくとも1つの担体材(例えば、イソプロパノール、エタノール、メタノール、脱イオン水、第三級ブチルアルコール、p-キシレン、四塩化炭素、シクロヘキサン、ポリマー樹脂および/またはゲル無機物)と、セラミックマトリックス材および/またはセラミックマトリックス材前駆体(例えば、フルフリルアルコール)のうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つのマトリックス材と、1つ以上の補強用繊維(例えば、不織繊維、チョップド繊維および/またはフェルト化繊維)とを含む。一実施形態では、担体材は、室温蒸発または熱サイクルによって除去されてもよい。一実施形態では、担体材は凍結乾燥によって除去されてもよい。一実施形態では、担体材は炭化されていてもよい。スラリー250として処理材230を含むセラミック複合材物品100の実施形態が
図4に示されている。
【0016】
別の実施形態では、処理材230は、スラリー250と組み合わせたテープ240の1つ以上の層の組合せとして処理領域210に提供されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、1つ以上の補強用繊維は、1つ以上の被覆をさらに含んでもよい。一実施形態では、1つ以上の補強用繊維は、窒化ホウ素被覆を含む。一実施形態では、1つ以上の被覆繊維は、ケイ素ドープ窒化ホウ素被覆を含む。一実施形態では、1つ以上の被覆繊維は、窒化ケイ素被覆を含む。一実施形態では、1つ以上の被覆繊維は、窒化ホウ素またはケイ素ドープ窒化ホウ素被覆と、窒化ケイ素オーバーコートとを含む。一実施形態では、1つ以上の被覆繊維は、窒化ホウ素またはケイ素ドープ窒化ホウ素被覆と、窒化ケイ素被覆と、少なくとも1つの炭素被覆とを含む。一実施形態では、1つ以上の被覆繊維は、窒化ホウ素またはケイ素ドープ窒化ホウ素被覆と、炭素被覆と、窒化ケイ素被覆と、炭素オーバーコートとを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、処理材230は、セラミックマトリックス120の補強用繊維と同じ補強用繊維を含んでもよい。いくつかの実施形態では、処理材230は、セラミック複合材120のセラミックマトリックスと同じセラミック材を含む少なくとも1つのマトリックス材を含んでもよい。
【0019】
図3および
図4の例では、処理領域210の処理材230は、
図3および
図4には示されていない溶浸材260の添加によって高密度化されてもよい。溶浸材260は、セラミックマトリックス材および/または反応性セラミックマトリックス材前駆体のうちの少なくとも1つを含んでもよい。いくつかの実施形態では、溶浸材260は、処理材230のセラミックマトリックス材前駆体と反応してセラミックマトリックス材を形成する反応性セラミックマトリックス材前駆体を含む。
図5および
図6は、高密度化後の
図3および
図4の例を示している。
【0020】
典型的な溶浸ケイ素含有セラミック複合材(例えば、SiC-SiC)の製造中、溶浸プロセスでは溶浸材として溶融ケイ素が使用され、その結果、セラミックマトリックス120内に炭化ケイ素が形成される。溶浸中に、未反応ケイ素の領域が形成される場合がある。ケイ素ベインまたはプールと呼ばれることもあるこれらのケイ素が豊富な領域は、ケイ素の融点を超える温度で部品が追加の溶浸サイクルに供されると、再溶融し、空隙を生じる可能性がある。セラミック複合材物品100の初期製造中に、実質的に純粋な溶融ケイ素の溶浸を使用して高密度化を行ってもよい。いくつかの実施形態では、溶融ケイ素の温度は、少なくともケイ素の溶融温度(摂氏1414度)であってよい。いくつかの実施形態では、ケイ素は、初期溶浸中に過熱されてもよい。セラミックマトリックス120からのケイ素の溶融(液化)および潜在的な流出を防ぐために、処理プロセス中、溶浸材260の添加は、ケイ素の融点(摂氏1414度)よりも低い温度で行われ得る。
【0021】
処理プロセス中、溶浸工程の温度は、以前の溶浸の溶浸温度よりも低くてよい。いくつかの実施形態では、進行中の溶浸の温度は、任意の以前の溶浸の最低溶浸温度よりも低い。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの処理可能な特徴の処理の前に、セラミックマトリックス複合材物品100に対して複数の溶浸が行われていてもよい。以前の溶浸材(例えばケイ素)の溶融(液化)および潜在的な流出を防ぐために、第1の溶浸温度は、以前の溶浸に使用された最低溶浸温度よりも低くてよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、溶浸プロセスは、複数の溶浸工程を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1の溶浸工程は、物品の製造中に使用される溶浸温度よりも低い第1の溶浸温度で行われてもよい。いくつかの実施形態では、第1の溶浸温度は、物品の製造中に使用される溶浸温度よりも低く、少なくとも摂氏10度、少なくとも摂氏12度、少なくとも摂氏15度、少なくとも摂氏20度、摂氏50度未満、摂氏40度未満、摂氏30度未満、摂氏25度未満、摂氏20度未満およびそれらの組合せである。一実施形態では、第1の溶浸温度は摂氏1404度から摂氏1394度である。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2の溶浸工程は、第1の溶浸温度よりも低い第2の溶浸温度で行われてもよい。いくつかの実施形態では、第2の温度は、第1の溶浸温度よりも低く、少なくとも摂氏10度、少なくとも摂氏12度、少なくとも摂氏15度、少なくとも摂氏20度、摂氏50度未満、摂氏40度未満、摂氏30度未満、摂氏25度未満、摂氏20度未満およびそれらの組合せである。
【0024】
いくつかの実施形態では、第3の溶浸工程は、第2の温度よりも低い第3の溶浸温度で行われてもよい。いくつかの実施形態では、第3の溶浸温度は、第2の溶浸温度よりも低く、少なくとも摂氏10度、少なくとも摂氏12度、少なくとも摂氏15度、少なくとも摂氏20度、摂氏50度未満、摂氏40度未満、摂氏30度未満、摂氏25度未満、摂氏20度未満およびそれらの組合せである。
【0025】
いくつかの実施形態では、追加の溶浸工程が行われてもよい。いくつかの実施形態では、任意の追加の溶浸工程の溶浸温度は、先行する溶浸工程の溶浸温度よりも低い。
【0026】
いくつかの実施形態では、処理材はケイ素を含む。摂氏1414度未満の溶融(液相線)温度を有するケイ素源を提供するために、溶浸材260に少量のドーパントを加えて融点を低下させてもよい。いくつかの実施形態では、追加のドーパントの量は、溶浸材260の融点を少なくとも摂氏10度、少なくとも摂氏11度、少なくとも摂氏15度、少なくとも摂氏50度、少なくとも摂氏70度、少なくとも摂氏90度、少なくとも摂氏100度、摂氏250度未満、摂氏200度未満、摂氏約175度未満、摂氏150度未満、摂氏125度未満、摂氏100度未満、摂氏80度未満、摂氏70度未満、摂氏50度未満、摂氏30度未満、摂氏25度未満、摂氏20度未満、摂氏18度未満、摂氏17度未満およびそれらの組合せだけ低下させるのに十分である。
【0027】
いくつかの実施形態では、ケイ素溶浸材260にドーパント(例えば、アルミニウム、鉄、ニッケル、コバルト、チタン、カルシウム、亜鉛、ホウ素、ゲルマニウム、アンチモン、テルルおよび/またはスズ)を加えて融点を低下させてもよい。いくつかの実施形態では、ケイ素溶浸材260に複数のドーパントを加えて融点を低下させてもよい。いくつかの実施形態では、ケイ素溶浸材260にホウ素を加えて融点を低下させてもよい。いくつかの実施形態では、ホウ素は、約8原子パーセント未満、約6原子パーセント未満、約5原子パーセント未満、約3原子パーセント未満、約1原子パーセント未満、少なくとも約0.5原子パーセント、少なくとも約1原子パーセント、少なくとも約2原子パーセント、少なくとも約3原子パーセントおよびそれらの組合せの量で存在する。いくつかの実施形態では、ケイ素溶浸材260にニッケルを加えて融点を低下させてもよい。いくつかの実施形態では、ニッケルは、約8原子パーセント未満、約6原子パーセント未満、約5原子パーセント未満、約3原子パーセント未満、約1原子パーセント未満、少なくとも約0.5原子パーセント、少なくとも約1原子パーセント、少なくとも約2原子パーセント、少なくとも約3原子パーセントおよびそれらの組合せの量で存在する。
【0028】
図7は、セラミック複合材物品100を処理する方法300のフローチャートである。
図7の例では、ブロック310で、セラミック組成を有する物品であって、初期溶浸材を用いた初期温度での初期溶浸を含むプロセスによって形成された物品を選択することにより、上記物品は少なくとも1つの処理可能な特徴を有する。ブロック320で、少なくとも1つの処理可能な特徴の一部に隣接する領域からセラミック複合材を除去して、処理領域を形成する。ブロック330で、補強用繊維を含む処理材を処理領域に配置する。ブロック340で、第1の溶浸材を用いた第1の溶浸によって処理材の少なくとも一部を高密度化し、第1の溶浸材はケイ素を含み、第1の溶浸は、初期溶浸の初期溶浸温度よりも低い第1の温度で行われる。
【0029】
図8は、セラミック複合材物品100を処理する方法400のフローチャートである。
図8の例では、ブロック410で、初期溶浸材を用いた初期温度での初期溶浸を含むプロセスによって形成された、セラミック組成を有する物品を選択することにより、上記物品は少なくとも1つの処理可能な特徴を有する。ブロック420で、少なくとも1つの処理可能な特徴の一部に隣接する領域からセラミック複合材を除去して、処理領域を形成する。ブロック430で、補強用繊維、マトリックス材および担体材をさらに含むスラリーを含む処理材を処理領域に堆積させる。ブロック440で、ケイ素と、0.1原子パーセントから8原子パーセントのホウ素とを含む第1の溶浸材を用いて第1の溶浸により処理材の少なくとも一部を高密度化して、処理済み物品を形成する。
【0030】
本発明について1つ以上の実施形態を参照して説明してきたが、その構成要素について、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更および均等物による置き換えが可能であることを、当業者であれば理解するであろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適応させるさめに、多数の修正を行うことが可能である。したがって、本発明は、本発明の実施について考えられる最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、添付の特許請求の範囲内に属するすべての実施形態を含むように意図される。加えて、詳細な説明において識別されたすべての数値は、正確な値および近似の値の両方が明確に識別されているかのように解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0031】
100 セラミックマトリックス複合材物品
110 処理可能な特徴
120 セラミック複合材、セラミックマトリックス
130 第1の表面
140 第2の表面
150 深さ
210 処理領域
220 距離
230 処理材
240 テープ
250 スラリー
260 溶浸材、ケイ素溶浸材
300 方法
310 ブロック
320 ブロック
330 ブロック
340 ブロック
400 方法
410 ブロック
420 ブロック
430 ブロック
440 ブロック