(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】収納棚ベース及びファニチャー又は家電機器
(51)【国際特許分類】
A47B 55/00 20060101AFI20221214BHJP
A47B 96/02 20060101ALI20221214BHJP
F25D 25/02 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
A47B55/00
A47B96/02 D
A47B96/02 G
F25D25/02 G
(21)【出願番号】P 2020512580
(86)(22)【出願日】2018-08-27
(86)【国際出願番号】 EP2018072994
(87)【国際公開番号】W WO2019042923
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】102017120159.9
(32)【優先日】2017-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504467554
【氏名又は名称】ポール ヘティッヒ ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レハーゲ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マッテス, アンドレアス
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-163687(JP,A)
【文献】特開2012-149838(JP,A)
【文献】特開平09-042829(JP,A)
【文献】特開2008-278985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 46/00
A47B 55/00
A47B 96/02
F25D 25/02
B65G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファニチャー(11)又は家電機器(12)用の収納棚ベース(1)であって、
前記ファニチャー(11)又は前記家電機器(12)の本体(13,14)に配置される支持プレート(3)と、
前記支持プレート(3)に対して確実にガイドされ且つ回転移動及び並進移動を同時に可能である収納棚(4)とを備え、
前記支持プレート(3)及び前記収納棚(4)の互いに向き合う受け面(31,42)はそれぞれ、少なくとも大部分が閉じられた周方向の転走溝(33,43,44)を有し、前記転走溝(33,43,44)内では、転動要素(10)がガイドされ、
前記収納棚(4)は、開動作において初期ポジションから中間ポジションまで前記支持プレート(3)に対して移動可能であり、前記中間ポジションでは、前記収納棚(4)は回転方向(R1,R2)に前記支持プレート(3)に対して回転され且つ所定の方向(A)に位置がずらされ、前記収納棚(4)は、閉動作において前記中間ポジションから前記初期ポジションに戻るまで移動可能である又はさらに前記回転方向(R1,R2)に前記初期ポジションに対して180°にわたって回転されたポジションにまで移動可能である、収納棚ベース(1)において、
前記支持プレート(3)及び前記収納棚(4)の互いに向き合う前記受け面(31,42)はそれぞれ、転動要素(10)がガイドされる第2の転走溝(34,45,46)を有し、前記支持プレート(3)及び前記収納棚(4)の前記第2の転走溝(34,45,46)は、前記支持プレート(3)及び前記収納棚(4)の第1の前記転走溝(33,43,44)を少なくとも部分的に包囲することを特徴とする、収納棚ベース(1)。
【請求項2】
前記収納棚(4)の前記受け面(42)に一体的に形成される前記第2の転走溝(45,46)は、閉じられた周方向の転走溝(45,46)の形状であることを特徴とする、請求項1に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項3】
前記支持プレート(3)の前記受け面(31)に一体的に形成される前記第2の転走溝(34)は、前記支持プレート(3)の1つの側部に向かって開放して設計されることを特徴とする、請求項2に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項4】
外側の前記転走溝(34)は、導入面取状部及び/又は丸くなった部分を有する入口領域として、前記支持プレート(3)の開放した前記側部に向かうように設計されることを特徴とする、請求項3に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項5】
前記転動要素(10)は、少なくとも1つの転動要素ケージ(9)に収容されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項6】
4つの前記転動要素(10)が
、前記第1の転走溝(33,43,44)の間に配置されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項7】
4つの前記転動要素(10)が
、前記第2の転走溝(34,45,46)の間に配置されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項8】
前記転動要素(10)は玉として設計されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項9】
前記第1の転走溝(33,43,44)及び前記第2の転走溝(34,45,46)の前記転動要素(10)は、共通の転動要素ケージ(9)に
、収容されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項10】
前記転動要素ケージ(9)は、円形状リング(91)と、前記円形状リング(91)から延びる複数の延伸アーム(92)とを有することを特徴とする、請求項9に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項11】
少なくとも2
つのアーム形状の前記延伸アーム(92)が前記円形状リング(91)から半径方向に延びることを特徴とする、請求項10に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項12】
前記転動要素(10)を受け入れるための受け入れポケット(93)が、前記延伸アーム(92)の自由端の領域と、前記円形状リング(91)において前記延伸アーム(92)が前記円形状リング(91)に接続される領域とに形成されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項13】
前記延伸アーム(92)の長さは、前記円形状リング(91)の半径(r)よりも大きいことを特徴とする、請求項10又は11に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項14】
前記収納棚(4)の上縁(48)に被さるように係合する又は前記収納棚(4)の溝に係合する傾動防護エレメント(7)が、前記収納棚(4)の棚面(41)に平行な傾動軸の周りで前記収納棚(4)が傾動することを防ぐように、前記支持プレート(3)に配置されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項15】
前記傾動防護エレメント(7)は、引掛けフックとして設計されることを特徴とする、請求項14に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項16】
前記本体(13,14)に不動であるように留め付けられ且つその上に前記支持プレート(3)が配置されるベースプレート(2)をさらに備えることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の収納棚ベース(1)。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の少なくとも1つの収納棚ベース(1)を有する本体(13)を備えるファニチャー(11)。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載の少なくとも1つの収納棚ベース(1)を有する本体(14)を備える
、家電機器(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブル部分に係るファニチャー又は家電機器用の収納棚ベース及びファニチャー又は家電機器に関する。
【背景技術】
【0002】
支持プレートと、支持プレート上でガイドされる収納棚とが回転移動及び並進移動を同時に行うことができるように配置されるタイプの収納棚ベースがあり、当該収納棚ベースは、ファニチャー又は冷蔵庫若しくは冷凍庫等の家電機器の収納スペースにおいて、他のタイプではアクセスできない表面にアクセスすることを可能にする。
【0003】
例えば、ターンテーブルを搭載する収納棚ベースは既知であり、当該収納棚ベースでは、ターンテーブルは収納棚ベースのベースプレートに直接的に設置される(独国特許出願公開第4216765号明細書)。
【0004】
過去に公開された独国特許出願公開第102017106170号明細書は、支持プレートに対して確実にガイドされ且つ回転移動及び並進移動を同時に行うことができる収納棚を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第4216765号明細書
【文献】独国特許出願公開第102017106170号明細書
【発明の概要】
【0006】
これらの先行技術の収納棚ベースの不都合な点は、収納棚の回転軸受への負荷が、特に当該収納棚への負荷が不均等に分布する場合に、極めて不均等であるということである。このことは、高い摩擦力が原因で転動要素の1つが一時的な支点を形成するという結果をもたらし得る。当該支点は、動作制御の瞬間極と一致せず、それ故、軸受のジャミングを時々引き起こし得る。
【0007】
本発明の目的は、不均一に分布する負荷がある場合でも収納棚ベースの信頼性のある動作を可能にする、ファニチャー又は家電機器用の収納棚ベースを提供することである。
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有するファニチャー又は家電機器用の収納棚ベースによって解決され、請求項17の特徴を有するファニチャーによって解決され、請求項18の特徴を有する家電機器によって解決される。
【0009】
本発明に係る収納棚ベースは、ファニチャー又は家電機器の本体に配置される支持プレートと、支持プレートに対して確実にガイドされ且つ回転移動及び並進移動を同時に可能である収納棚とを備える。
【0010】
支持プレート及び収納棚の互いに向き合う受け面はそれぞれ、閉じられた周方向の第1の転走溝を有し、第1の転走溝内では、転動要素がガイドされる。
【0011】
収納棚は、開動作において初期ポジションから中間ポジションまで支持プレートに対して移動可能であり、中間ポジションでは、収納棚は1つの回転方向に支持プレートに対して回転され且つ所定の方向に位置がずらされ、収納棚は、閉動作において中間ポジションから初期ポジションに戻るまで移動可能である又はさらに上記1つの回転方向に初期ポジションに対して180°にわたって回転されたポジションにまで移動可能である。
【0012】
収納棚は、支持プレートに対して、第1回転方向と、反対の第2回転方向とに回転可能であり、このことはさらにデバイスの操作性を単純化する。
【0013】
デバイスの操作性のさらなる単純化は、収納棚が支持プレートに対していかなるアングルででも第1回転方向と反対の第2回転方向とに回転されることができるという点で、達成される。
【0014】
支持プレート及び収納棚の互いに向き合う受け面はそれぞれ、転動要素がガイドされる第2の転走溝を有し、支持プレート及び収納棚の第2の転走溝は、支持プレート及び収納棚の第1の転走溝を少なくとも部分的に包囲する。
【0015】
第2の転走溝を支持プレート及び収納棚の受け面に導入することによって、左右不均等な負荷がかかっていても、力をより均等に分散させることが可能になる。これにより、軸受の配置部分における摩擦力が顕著に低減される。特に、転動要素の面圧は、特に静止した状態において、50%に至るまで低減されることが可能である。
【0016】
さらに、特に、支持プレートに対する収納棚の移動の開始段階において、規定されていない動きが発生する危険性が、第2の転走溝がより大きい半径を有することによって明確に制限される。
【0017】
本発明の有利な実施態様例が、従属請求項の主題である。
【0018】
有利な実施態様例によると、収納棚の受け面に形成される第2の転走溝は、閉じられた周方向の転走溝として設計され、このことは、信頼性のある転動要素のガイドを可能にする。
【0019】
別の実施態様例によると、支持プレートの受け面に一体的に形成される外側の転走溝は、支持プレートの1つの側部、特に前側部に向かって開放して形成され、このことは、収納棚ベースの設置を容易にする。
【0020】
転動要素が支持プレートから転出すること及び支持プレートへ転入することを最適化するために、支持プレートの前側部に向かう外側の転走溝は、導入領域として、特に導入面取状部として設計され、丸くなった移行部がさらに、導入面取状部から実際の転走溝のプロファイルへの移行部に設けられることができ、実際の転走溝のプロファイルは、転動要素のプロファイルに相補するよう設計される。導入面取状部の代わりに、丸くなった導入部があってもよい。
【0021】
別の好ましい実施態様例によると、転動要素は、少なくとも1つの転動要素ケージに収容される。
【0022】
第1の転走溝及び第2の転走溝の転動要素は、共通の転動要素ケージに収容されることが特に好ましく、共通の転動要素ケージは、収納棚ベースの組み立てを容易にも迅速にもする。
【0023】
好ましい実施態様例では、転動要素ケージは、円形状リングと、円形状リングから半径方向に延びる4つのアームとを有し、このことは、投入される材料を低減しつつ個々の転動要素にかかる負荷の分布を最適化することを可能にする。
【0024】
有利な実施態様例によると、転動要素は、受け入れポケットに収容され、受け入れポケットは、アームの自由端の領域と、円形状リングにおいてアームが円形状リングに接続される領域とに形成される。
【0025】
可能である限り最も広く負荷を分散するために、アームの長さは、円形状リングの半径よりも大きいことが好ましい。
【0026】
本発明の一実施態様例によると、収納棚又は支持プレートの受け面は、支持プレート又は収納棚と一体的に設計される。他の実施態様例では、受け面の少なくとも1つが分割された要素として設計され、分割された要素は、支持プレート又は収納棚における適応する形状の受け部内に挿入されてもよく、又は、支持プレート又は収納棚に接続手段によって取り付けられてもよい。
【0027】
基本のポジションでの収納棚の位置決めを向上するために、少なくとも大部分が閉じられた周方向の転走溝は、少なくとも初期ポジション及び/又は初期ポジションに対して180°回転されたポジションにおいて、転動要素(複数)を係止するいくつかの係止ポイントを有することが好ましい。
【0028】
本発明の別の有利な実施態様例によると、傾動防護エレメントが支持プレートに配置され、当該傾動防護エレメントは、収納棚の上縁の一部を覆い且つ収納棚の棚面に平行な傾動軸を中心として収納棚が傾動することを防ぐ役割を果たす。又は、傾動防護エレメントは、収納棚内の溝に係合するように設計されてもよい。
【0029】
このような傾動防護エレメントの有利な点は、特に、収納棚への負荷が収納棚に配置されたものに不均等に分布する場合に、収納棚の傾動を防ぐことである。
【0030】
好ましい実施態様例によると、傾動防護エレメントの或るセクションは、ベースプレートホルダの第2リセス内に位置し、それにより、傾動防護エレメントのさらなる安定化が達成される。好ましい実施態様例によると、傾動防護エレメントは、引掛けフックとして設計され、特にC形状に形成された引掛けフックとして設計される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明に係る収納棚ベースの一実施態様例の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1による収納棚ベースの概略的な斜視図であり、支持プレートに対して収納棚が45°回転されたポジションにある図である。
【
図3】
図3は、分解して示されるベースプレート、支持プレート及びベースプレートホルダの斜視図である。
【
図4】
図4は、転動要素を収容するための転動要素ケージの上面図である。
【
図5】
図5は、転動要素ケージの一部を示すための
図4の断面記号Vにおける断面図である。
【
図6】
図6は、収納棚ベースが組み込まれたファニチャーの斜視図である。
【
図7】
図7は、収納棚ベースが組み込まれた冷蔵機器として設計される家電機器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下において、本発明の好ましい実施態様例が添付の図面を用いてより詳細に説明される。
【0033】
以下の図の説明において、頂、底、左、右、前及び後等の用語は、各図において選択される収納棚ベース、ベースプレート、支持プレート、収納棚及び転走溝等の例示的な表現及び位置に単に言及するに過ぎない。これらの用語は、限定するものとして理解されるべきではなく、すなわち、これらの言及は、様々な作用ポジション又は鏡面対照的な解釈等に起因して変わり得る。
【0034】
図1において、参照符号1は、収納棚ベースを全体として示す。
【0035】
本実施態様例では、収納棚ベース1は、ベースプレート2と支持プレート3とを有し、ベースプレート2は、ファニチャー11又は家電機器12の本体13,14(
図6及び
図7参照)に動かないように固定されることができ、支持プレート3は、ベースプレート2上に配置される。
【0036】
当該支持プレート3上において、回転移動及び並進移動を同時に行うことができる収納棚4がある。回転移動及び並進移動を同時に確実にガイドするために、支持プレート3及び収納棚4における互いに向き合う受け面31,42はそれぞれ、閉じられた周方向の第1転走溝33,43,44を有し、当該転走溝33,43,44内において、転動要素10(複数)がガイドされる。ここで使用される転動要素10は、特に玉である。
【0037】
支持プレート3は、ベースプレート2に取り外し可能に留め付けられる、又は、支持プレート3は、
図1に示すように、ファニチャー又は家電機器の本体にベースプレート2を固定するベースプレートホルダ5に取り外し可能に留め付けられる。
【0038】
又は、支持プレート3は、ファニチャー11又は家電機器12の本体13,14に1つ以上の補助具を介して、直接的に取り付けられてもよく、好ましくは、取り外し可能に取り付けられてもよい。この場合、追加のベースプレート2が必要ない、又は、収納棚4を備えた支持プレート3が、ベースプレート2と置き換えられる。
【0039】
図1及び
図2に示すように、収納棚4の支持を向上するために、内側の第1転走溝33,43,44と、外側の第2転走溝34,45,46とが、収納棚4に向き合う支持プレート3の上側部又は受け面31上と支持プレート3に向き合う収納棚4の下側部又は受け面上との両方に設けられる。
【0040】
支持プレート3の内側転走溝33は、閉じられた周方向の転走溝として設計される。外側転走溝34は、収納棚ベース1の前側部に向かって開放している。
【0041】
外側転走溝34は、好ましくは、支持プレート3の前部に向かう導入面取状部として設計され、これにより、支持プレート3からの転動要素10の転出及び支持プレート3上への転動要素10の転入を容易にする。なお、丸くなった移行部がさらに、導入面取状部から実際の転走溝のプロファイルへの移行部に設けられてもよく、実際の転走溝のプロファイルは、転動要素のプロファイルに相補するよう設計される。
【0042】
収納棚4の回転移動及び並進移動を同時に確実にガイドするために、部分的に重なる2つの内側転走溝43,44と、同様に部分的に重なる2つの外側転走溝45,46とがそれぞれ、収納棚4の下側面内に導入されている。全ての転走溝43,44,45,46は、閉じられた周方向の転走溝として設計される。
【0043】
図2は、45°回転したポジションにある収納棚ベース1を示す。この図で見ることができるように、転動要素10(複数)の1つは、支持プレート3の表面の外側に配置される。
【0044】
上記転動要素10の紛失を防ぐために、複数の転動要素10は、転動要素ケージ9に収容される。このような転動要素ケージ9の好ましい実施態様例が
図4に示される。
【0045】
ここでは、転動要素ケージ9は、4つのアーム形状の延伸アーム92を備えた円形状リング91の形状をしており、4つの延伸アーム92は、円形状リング91から半径方向外側に向かって延び、4つの延伸アーム92の自由端のそれぞれでは、さらなる転動要素10が収容される。
【0046】
例えば、2つの延伸アーム92のみを備える転動要素ケージ9を設計することも、他の異なる数量の延伸アーム92を備える転動要素ケージ9を設計することも、考えられ得る。
【0047】
例えば、V字状の延伸アームの形状などの延伸アームの他の様々な設計も考えられ得る。
【0048】
4つの転動要素10が、好ましくは、第1転走溝33,43及び44同士の間に配置される。4つの転動要素10が外側の第2転走溝34,45,46同士の間に配置されることも好ましい。転動要素ケージ9が2つの延伸アーム92しか備えないように設計される場合、2つの転動要素10のみが、内側の転走溝のケース及び外側の転走溝のケースのそれぞれにおいて配置され得る。
【0049】
第1転走溝33,43,44及び第2転走溝34,45,46の転動要素10は、好ましくは、
図4に示すように、共通の転動要素ケージ9に収容される。
【0050】
第1転走溝33,43,44の転動要素10と第2転走溝34,45,46の転動要素10とのための分割された転動要素ケージを設けることも考えられ得る。
【0051】
転動要素10を収容するために、好ましくは、受け入れポケット93が、延伸アーム92の自由端の領域と、円形状リング91において延伸アーム92が円形状リング91に接続される領域とに形成される。これら受け入れポケット93は、ここでは玉として設計される転動要素10を、転動要素ケージ9において位置が動かないかたちで保持する。
【0052】
円形状リング91の受け入れポケット93が延伸アーム92の受け入れポケット93に対して半径方向に配置されないといった、受け入れポケット93が互い違いに配置されることも考えられ得る。
【0053】
個々の転動要素10への負荷の分布を最適化するために、延伸アーム92の長さは、好ましくは、円形状リング91の半径よりも大きい。
【0054】
内側転走溝33,43,44と外側転走溝34,45,46との両方は、力が収納棚4に水平方向に加えられたとき、収納棚4が以下のように移動することができるように、形作られている。つまり、力が収納棚4に水平方向に加えられたとき、収納棚4は、
図1に示す支持プレート3に対する収納棚4の向きに従った初期位置から、
図2に示す中間ポジションを経由して、90°にわたって回転された積み降ろしポジションにまで移動することができ、積み降ろしポジションでは、収納棚4は、90°にわたって回転されているだけでなく、積み降ろしを容易にするために所定の距離にわたって位置をずらされてもいる。
【0055】
初期ポジションに戻す移動は、閉方向に水平方向に力を与えることによって、又は、回転方向を逆転することによって、同様に単純な方法で行われる。閉方向では、収納棚4は、初期の回転方向を維持しつつ閉ポジションにまでさらに移動される。
【0056】
図1及び
図3に示すように、ベースプレート2を保持するためのベースプレートホルダ5は、ベースプレート2の縁22の周りに少なくとも部分的に係合する。
【0057】
この目的のために、ベースプレートホルダ5は2つのリセス54を有し、2つのリセス54内にはそれぞれ、支持プレート3の1つの縁から延びる接続エレメント6が挿入されることができ、2つのリセス54は、嵌め合い式の係止又は摩擦による係止によって、ベースプレートホルダ5において挿入された状態で保持される。
【0058】
図1及び
図3に示すように、接続エレメント6は、支持プレート3に一体的に形成される。ここでは、接続エレメント6は、舌状のウェブ61として設計され、その自由端で上方へ厚くなる又は上方へ曲がるフック部を有する。フック部は、ベースプレートホルダ5の帯状セクション56の背部に係合する。
【0059】
ベースプレートホルダ5は、本質的には、スロット52を有する帯状形状のベース体51で構成され、スロット52は、ベース体51の長手方向の長さを超えて延び、ベースプレート2の後縁22を収容する役割を果たす。
【0060】
スロット52の上方には、留め付け帯状体53が一体的に形成され、留め付け帯状体53は、ベースプレートホルダ5をファニチャー11又は家電機器12の本体13,14に留め付ける役割を果たし、留め付け帯状体53を用いることで、ベースプレート2は、ファニチャー11又はここでは冷蔵機器のかたちである家電機器12の本体13,14に固定されることができる。
【0061】
1つ以上の第1リセス54が、留め付け帯状体53内に導入され、接続エレメント6を収容するために用いられる。
【0062】
図1及び
図3に示すように、ベースプレートホルダ5は、スロット52の上方に第2リセス55を有し、第2リセス55は、傾動防護エレメント7を収容する役割を果たす。
【0063】
このような傾動防護エレメント7は、支持プレート3上に配置もされ、収納棚4の上縁48に上から被さるように形作られもする。
【0064】
傾動防護エレメント7は、収納棚4の棚面41に平行な傾動軸を中心として収納棚4が傾動することを防ぐ役割を果たす。このような傾動は、負荷が収納棚4の棚面41に不均等に分布する場合に特に起こり得る。
【0065】
傾動防護エレメント7は、好ましくはC形の引掛けフックとして設計され、傾動防護エレメント7の1つのセクション73は、支持プレート3の後縁から突出し上方へ曲げられている。平坦な中央セクション72は、上記セクション73に隣接し、中央セクション72は、収納棚4の棚面41を囲む壁部の鉛直方向の高さに適応する高さで延びる。中央セクション72に隣接する傾動防護エレメント7の屈曲端部71は、上記壁部の上縁48を越えて突出し、傾動が起こった場合に収納棚4が傾動することを防ぐ。
【0066】
保持エレメント(複数)を、支持プレート3自体に配置し、特に一体的に形成するように配置することも考えられ得る。当該保持エレメントは、ベースプレート2の周りに係合し、それにより支持プレート3をベースプレート2に固定することを可能にする。
【0067】
支持プレート3及び収納棚4は、軸方向の固定のために固定デバイス8を用いて互いに固定される。
【0068】
図1に示すように、固定デバイス8はネジ81を有し、ネジ81は、支持プレート3のスロット35を通って下方から突出し、これにより、収納棚4が支持プレート3に対してスライド移動することを可能にする。
【0069】
低摩擦のスライド移動を可能にするために、ワッシャ82及び摺動リング83がネジ81に配置され、摺動リング83は、スロット35の領域におけるベースプレート2に面した支持プレート3の下側面と接触している。
【0070】
収納棚4への軸方向の固定のために、搭載ブラケット47が収納棚4の棚面41に挿入され、搭載ブラケット47は、キャップ84によってカバーされる。
【0071】
当該キャップ84のネジ81に面する下側面には、雌ネジを有するネジ穴が設けられ、ネジ81は、当該ネジ穴内に捩じ込まれることでキャップ84をその搭載ポジションで軸方向に保持することができる。
【0072】
ベースプレート2は、ガラスプレートとして設計されることができる。ベースプレート2を、木製プレート又はプラスチック若しくは金属製のプレートとして設計することも可能である。支持プレート3及び収納棚4は、好ましくは、プラスチック又はガラスで生成される。
【0073】
例えば、特に冷蔵庫又は冷凍庫のような冷蔵装置として設計される家電機器の場合、例えばガラスプレートの形態である既に存在するベースプレート2は、収納棚ベース1を生成するために、支持プレート及び収納棚を安定させ且つ組み込むのに使用可能であるということが、特に有利である。なお、上記の収納棚ベース1は、並進移動及び回転移動を同時に行うことができ、それにより特に積み降ろしが容易であるものである。
【0074】
図6は、本発明に係るファニチャー11の収納棚ベース(複数)を示し、ファニチャー11は、収納棚ベース1(複数)が配置される本体13を有する。
【0075】
図7は、本ケースでは冷蔵庫である本発明に係る家電機器12の収納棚ベース(複数)を示し、家電機器12は、収納棚ベース1(複数)が配置される本体14を有する。
【符号の説明】
【0076】
1 収納棚ベース
2 ベースプレート
22 縁
3 支持プレート
31 受け面
32 下側面
33 転走溝
34 転走溝
35 スロット
4 収納棚
41 棚面
43 転走溝
44 転走溝
45 転走溝
46 転走溝
47 搭載ブラケット
48 上縁
5 ベースプレートホルダ
51 ベース体
52 スロット
53 留め付け帯状体
54 第1リセス
55 第2リセス
56 帯状セクション
6 接続エレメント
7 傾動防護エレメント
71 屈曲端部
72 中央セクション
73 セクション
8 固定デバイス
81 ネジ
82 ワッシャ
83 摺動リング
84 キャップ
9 転動要素ケージ
91 円形状リング
92 延伸アーム
93 受け入れポケット
10 転動要素
11 ファニチャー
12 家電機器
13 本体
14 本体
r 半径
A 方向
R1 回転方向
R2 回転方向