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特許7194175シャフトを自動的に交換する方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】シャフトを自動的に交換する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/04 20060101AFI20221214BHJP
   B23B 31/107 20060101ALI20221214BHJP
   B23Q 3/12 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B25J15/04
B23B31/107 Z
B23Q3/12 C
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020514723
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2018074799
(87)【国際公開番号】W WO2019053155
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】102017121171.3
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515315521
【氏名又は名称】フェルロボティクス コンプライアント ロボット テクノロジー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Ferrobotics Compliant Robot Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナデラー ロナルド
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00525699(EP,A1)
【文献】国際公開第93/017838(WO,A1)
【文献】米国特許第04897014(US,A)
【文献】米国特許第05002500(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第02564994(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
B23B 31/107
B23Q 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトカップリングであって、
シャフト(330)と、円錐形シャフト部分(321)とを有する第1のカップリング部(310)であって、前記シャフト(330)の第1の端部には、工具(11)が固定可能であり、前記シャフトの第2の端部には、シャフト肩部(339)が配置されている第1のカップリング部(310)と、
円錐形ハブ(362)を有する第2のカップリング部(350)であって、前記円錐形ハブ(362)には、前記円錐形シャフト部分(321)が円錐形座部を形成するために挿入可能で、前記第2のカップリング部(350)は、前記シャフトカップリング(30)の回転軸を横切る方向に変位可能なロック要素(352)を有し、前記ロック要素(352)が、前記シャフト(330)の前記シャフト肩部(339)に係合可能となるように配置される第2のカップリング部(350)と、
前記ロック要素(352)の係合の際に、前記円錐形座部に対し軸方向に作用するように付勢するバネ力を発生させるように配置されている少なくとも1つのバネ(334、334´)と、
を有するシャフトカップリング
【請求項2】
請求項1に記載のシャフトカップリングであって、
前記ロック要素(352)の外側端部が前記第2のカップリング部(350)から突出しているシャフトカップリング
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のシャフトカップリングであって、
前記第1のカップリング部(310)は、前記シャフト(330)に軸方向に変位可能に取り付けられた中空シャフト(320)を有し、
前記円錐形シャフト部分(321)が前記中空シャフト(320)の一部であり、
前記バネが前記第1のカップリング部(310)内に含まれ、前記円錐形シャフト部分(321)が前記円錐形ハブ(362)内に挿入されたときに、前記中空シャフト(320)が前記バネ(334)のバネ力に抗して前記シャフト(330)上で変位するように前記バネが配置されているシャフトカップリング
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のシャフトカップリングであって、
前記第1のカップリング部(310)は、前記シャフト(330)に軸方向に変位可能に取り付けられた中空シャフト(320)を有し、
前記円錐形シャフト部分(321)が前記中空シャフト(320)の一部であり、
前記バネが前記第1のカップリング部(310)内に含まれ、前記円錐形シャフト部分(321)が前記円錐形ハブ(362)内に挿入されたときに、前記中空シャフト(320)が前記バネ(334)のバネ力に抗して前記シャフト(330)上で変位するように前記バネが配置され、前記シャフト(330)の前記シャフト肩部(339)は、前記ロック要素(352)が前記シャフト肩部(339)に係合してロックを形成するまで、前記第2のカップリング部(350)に侵入するシャフトカップリング
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のシャフトカップリングであって、
前記シャフト(330)は、前記中空シャフト(320)のためのエンドストップを形成する更なるシャフト肩部(338)を有し、前記バネ(334)のバネ力は、前記エンドストップに対して前記中空シャフト(320)を押圧するシャフトカップリング
【請求項6】
請求項3乃至請求項5の何れか一項に記載のシャフトカップリングであって、
前記シャフト(330)と前記中空シャフト(320)との間に配置され、前記シャフト(330)と前記中空シャフト(320)との間の軸方向の変位は可能であるが、回転は阻止するフェザーキー(336)を更に有するシャフトカップリング
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載のシャフトカップリングであって、
前記第2のカップリング部(350)は、下側部分(351)と、下側部分(351)に対して軸方向に相対的に変位可能な上側部分(361)とを有し、前記上側部分(361)には、前記円錐形ハブ(362)が配置され、
前記少なくとも1つのバネ(334´)が前記下側部分(351)と前記上側部分(362)との間に配置され、前記バネ(334´)のバネ力に抗して円錐形シャフト部分(321)が前記円錐形ハブ(362)に挿入された際に、前記下側部分(551)が前記上側部分(361)に対して変位するシャフトカップリング
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載のシャフトカップリングであって、
前記ロック要素(352)が、開口部(355)を有しており、前記ロック要素(352)が前記シャフト(330)の前記シャフト肩部(339)に係合可能となるまで前記シャフト(330)を前記開口部(355)に挿入することができ、
このロックにより前記シャフト(330)が前記開口部(335)から引き戻されることが阻止されるシャフトカップリング
【請求項9】
請求項8に記載のシャフトカップリングであって、
前記ロック要素(352)が係合している際に、前記バネ(334)のバネ力が、前記円錐形シャフト部分(321)を前記円錐形ハブ(362)に対して付勢するシャフトカップリング
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載のシャフトカップリングであって、
前記ロック要素(352)の前記開口部(355)の縁及び前記シャフト(330)の周囲の縁はそれぞれ面取りされており、
前記シャフト(330)が前記開口部に挿入される際に、前記シャフト(330)の前記縁の傾斜面(341)と開口部(355)の前記縁の傾斜面(356)が互いに摺動し、それにより前記ロック要素(352)が変位するシャフトカップリング
【請求項11】
マニピュレータ(1)と、
工具(11)を駆動するためのモータシャフトを有する工作機械(10)であって、前記工作機械(10)は、前記マニピュレータ(1)に結合され、前記マニピュレータ(1)により位置決め可能である工作機械(10)と、
前記工作機械(10)の前記モータシャフトを前記工具(11)に結合するための請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載のシャフトカップリング(30)と、
を有するシステム。
【請求項12】
請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載したシャフトカップリング(30)と、
凹部(511)を有する支持板(510)を有する少なくとも1つの交換ステーション(50)であって、前記凹部(511)は、前記シャフトカップリング(30)の第1のカップリング部(310)が凹部(511)に挿入可能である収納位置を規定し、前記第1のカップリング部(310)の円錐形シャフト部分(321)が前記支持板(510)から突出している少なくとも1つの交換ステーション(50)と、
を有するシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記システムは、前記支持板(510)上に配置されたストップ(520)をさらに有し、
前記ロック要素(352)の一端が前記第2のカップリング部(350)から横方向へ突き出ており、前記ストップ(520)が前記収納位置に対して配置され、前記ストップ(520)が前記ロック要素(352)の突き出た前記一端を前記第2のカップリング部(350)へ押し込むことでロックが解除されるシステム
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載のシステムであって、
2つの前記カップリング部(310、350)の結合中に前記ロック要素(352)の変位を検出できるように配置された近接センサ(521)をさらに有するシステム
【請求項15】
請求項12乃至請求項14の何れか一項に記載のシステムであって、
前記支持板(510)が、ベース(501)に対して持ち上げることができるように、前記ベース(501)に弾性的に取り付けられているシステム
【請求項16】
シャフトカップリングの第2のカップリング部(350)を交換ステーション(50)に既に置かれている、前記シャフトカップリングの第1のカップリング部分(310)と同軸にマニピュレータ(1)により位置合わせをするステップと、
前記第2のカップリング部(350)のロック要素(352)が前記第1のカップリング部(310)のシャフト肩部(339)に係合し、ロックを形成するまで、前記第2のカップリング部(350)を前記第1のカップリング部(310)に押し付けるステップと、
前記第2のカップリング部(350)を持ち上げ、それにより前記第1のカップリング部(350)が前記交換ステーションから持ち上げられるステップと、
前記第1のカップリング部(310)に取り付けられた工具(11)を使用して前記マニピュレータによって自動プロセスを実行するステップと、
前記シャフトカップリングを前記交換ステーション(50)または別の交換ステーションに挿入するステップであって、前記第2のカップリング部(350)の前記ロック要素(352)がそれぞれの交換ステーションのストップ(520)により作動され、その結果、ロックが解除されるステップと、
前記マニピュレータ(1)により前記それぞれの交換ステーションから前記第2のカップリング部(350)を取り外し、一方、前記第1のカップリング部(310)は交換ステーションに残すステップと、
を有する方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記第2のカップリング部(350)を前記第1のカップリング部(310)に押し付ける前記ステップにより、前記第1のカップリング部(310)の円錐形シャフト部分(321)が前記第2のカップリング部(350)の円錐形ハブ(362)に導入され、それによって円錐形座部が形成され、
前記ロック要素(352)が前記シャフト肩部(339)に係合し、係合状態においてバネ力が前記円錐形座部を付勢するまで、前記バネ力の作用に抗して前記第1のカップリング部(310)の前記シャフト肩部(339)が前記第2のカップリング部に押し込まれる方法
【請求項18】
請求項16又は請求項17に記載の方法であって、
係合の際に前記ロック要素(352)は、前記シャフトカップリングの回転軸を横切る方向に動かされ、この動きは、近接センサによって検出される方法
【請求項19】
請求項16乃至請求項18の何れか一項に記載の方法であって、
前記シャフトカップリングを前記交換ステーション(50)または別の交換ステーションに挿入する前記ステップの後、前記シャフトカップリングは、前記第2のカップリング部から突出する前記ロック要素(352)の一端が前記ストップ(520)に隣接するまで、その回転軸の周りを回転される方法
【請求項20】
請求項16乃至請求項19の何れか一項に記載の方法であって、
前記ロックが解除される際に、前記シャフト肩部(339)は、バネ(334)によって前記ロック要素(352)から離れるように押圧される方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ロボット支援によりシャフトを交換する方法およびシステムに関する。例えば、ロボット支援の研削装置または他の回転可能な工具用の研削板は、交換されるシャフトに取り付けることができる。
【背景技術】
【0002】
ロボット研削装置では、研削工具(電動式の回転研削板を有する研削機械など)は、産業用ロボットなどのマニピュレータによってガイドされる。この場合、研削工具はマニピュレータのいわゆるTCP(ツールセンターポイント)とさまざまな方法で結合され、マニピュレータは、工具の位置と方向を実質的に任意に設定できる。産業用ロボットは通常、位置制御されており、所望の軌道に沿ってTCPを正確に移動できる。ロボット支援研削において良好な結果を達成するためには、多くの使用において加工力(研削力)の制御が必要であり、これは、従来の産業用ロボットでは十分な精度で達成することがしばしば困難となっている。産業用ロボットの大きくて重いアームセグメントは慣性が大きいので、コントローラ(閉ループコントローラ)がプロセス力の変動に十分迅速に反応できない。この問題を解決するために、マニピュレータのTCPと研削工具との間に産業用ロボットと比較して(比較的小さな)リニアアクチュエータが配置され得え、このリニアアクチュエータは、マニュピレータのTCPに研削工具とともに結合される。リニアアクチュエータは、研削中、プロセス力(工具とワークピース間の接触力)のみを調整し、マニピュレータは、事前定義可能な軌道に沿って位置制御され、研削工具をリニアアクチュエータとともに移動する。
【0003】
ロボット支援の研削装置を使用した場合でも、摩耗した研削板はしばしば手動で交換される。研削板を交換するためのロボット支援の交換ステーションにはいくつかのコンセプトがあるが、既知のソリューションは比較的複雑で、実装に労力がかかり、したがって高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】EP 0 525 699 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者らは、例えば、研削板などの回転ツールの容易かつロボット支援で自動的に交換することができるシステムおよび方法を提供するという課題を自ら設定した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に係る装置によって解決される。異なる実施形態およびさらなる展開は、従属請求項の主題である。
【0007】
本明細書では、ワークピースの加工をロボットで支援するシステムが記載される。例示的な一実施形態によれば、このシステムは、工具を駆動するためのモータシャフトを有する工作機械、工作機械をマニピュレータと結合するためのリニアアクチュエータ、および工作機械のモータシャフトを工具と結合するためのシャフトカップリングを有する。シャフトカップリングの第1のカップリング部は、シャフトと円錐形シャフト部分とを有し、シャフトの第1の端部には、工具が固定可能であり、シャフトの第2の端部には、シャフトショルダが配置される。シャフトカップリングの第2のカップリング部は、工作機械のモータシャフトに固定的に接続され、円錐形ハブを有し、この円錐形ハブには、円錐形座部を形成するために(第1のカップリング部の)円錐形シャフト部分が挿入可能である。第2のカップリング部は、シャフトカップリングの回転軸を横切る方向に変位可能なロック要素を有し、ロック要素が、シャフトのシャフト肩部に係合可能なように配置される。シャフトカップリングは少なくとも1つのバネを有し、このバネは、ロック要素の係合の際に、円錐形座部に対し軸方向に作用ように付勢するバネ力を発生させるように配置されている。
【0008】
以下では、シャフトカップリングが記載される。例示的な一実施形態によれば、このシャフトカップリングは、シャフトおよび円錐形シャフト部分を備えた第1のカップリング部を有する。工具(例えば、研削板、ドリルなど)は、シャフトの第1の端部に固定することができ、シャフト肩部は、シャフトの第2の端に配置される。第2のカップリング部は、円錐形ハブを有し、この円錐形ハブには、円錐形座部を形成するために第1のカップリング部の円錐形シャフト部分が挿入可能である。第2のカップリング部は、シャフトカップリングの回転軸を横切る方向に変位可能なロック要素を有し、ロック要素が、シャフトのシャフト肩部に係合可能なように配置される。少なくとも1つのバネがシャフトカップリングに配置され、このバネは、ロック要素の係合の際に、円錐形座部に対し軸方向に作用するように付勢するバネ力を発生させる。
【0009】
さらなる例示的な実施形態は、方法に関し、この方法では、マニピュレータにより、シャフトカップリングの第2のカップリング部分が交換ステーションに既に置かれている、シャフトカップリングの第1のカップリング部分と同軸に位置合わせがされる。次に、第2のカップリング部のロック要素が第1のカップリング部のシャフト肩部に係合し、ロックを形成するまで、第2のカップリング部を第1のカップリング部に押し付ける。この連結の後、第2のカップリング部が持ち上げられ、それにより第1のカップリング部が交換ステーションから持ち上げられる。第1のカップリング部に取り付けられた工具を使用してマニピュレータによって自動でワークピースに対して(加工)プロセスが実行される。次に、シャフトカップリングをこの交換ステーションまたは別の交換ステーションに挿入し、第2のカップリング部ロック要素がそれぞれの交換ステーションのストップにより作動され、その結果、ロックが解除される。
連結が解除された後、マニピュレータを使用してそれぞれの交換ステーションから第2のカップリング部を取り外し、一方、第1のカップリング部は交換ステーションに残される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、研削板などの回転ツールの容易かつロボット支援で自動的に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】マニピュレータを用いて研削機械を位置決めするロボット支持研削装置の一例を模式的に示す図である。
図2】研削機械と、研削機械をマニピュレータに取り付けるためのブラケットと、研削機械の軸に研削板を連結するシャフトカップリングとを模式的に示した図である
図3図2の例の軸継手の非係合状態での例示的な実施形態を示す図である。
図4】連結中に異なる位置にある図3のシャフトカップリングを示す図である。
図5】連結中に異なる位置にある図3のシャフトカップリングを示す図である。
図6】連結中に異なる位置にある図3のシャフトカップリングを示す図である。
図7】連結中に異なる位置にある図3のシャフトカップリングを示す図である。
図8図3のシャフトカップリングのロック要素を上から見た図である。
図9図2に示すシャフトの別の実施形態を係合状態で示す図である。
図10】本願のシャフトカップリングを介して機械に接続された工具をロボットが交換することを可能にする交換ステーションの一例を示す図である。
図11図10からのシャフトカップリングを用いた交換ステーションの詳細を示す図である。
図12】シャフト交換処理のシーケンスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、図に示される実施例を参照して以下により詳細に説明される。図は必ずしも縮尺通りではなく、本発明は示された態様に限定されない。むしろ、本発明の基礎となる原理を提示することに重点が置かれている。
【0013】
本発明の例示的な実施形態は、ロボット支援研削装置に基づいて説明される。ただし、記載はロボット支援研削に限定されない。ここで説明する例示的な実施形態は、一般に、シャフトを交換するためのシャフトカップリングおよびシステムに関し、そのシャフトに任意の研削板、研磨砥板、ドリル、フライス、ドライバーなど回転工具を取り付けることができる。この記載で言及される研削機械は、あらゆる工作機械の例であり、研削板は、工作機械によって駆動されるあらゆる回転工具の例である。
【0014】
様々な実施形態を詳細に説明する前に、ロボット支持研削装置の全体的な例について最初に説明する。これは、(例えば産業用ロボットである)マニピュレータ1と、回転研削板11を備えた研削機械10を備え、研削機械10は、リニアアクチュエータ20を介してマニピュレータ1のツール・センター・ポイント(TCP)に連結されている。6自由度の産業用ロボットの場合、マニピュレータは、それぞれジョイント3a、3b、3cで接続された4つのセグメント2a、2b、2c、2dで構成される。通常、最後のセグメント2dは基礎Bにしっかりと接続されている(ただし、必ずしもそうである必要はない)。ジョイント3cは、セグメント2cとセグメント2dとを接続する。ジョイント3cは2軸とすることができ、水平回転軸(仰角)および垂直回転軸(方位角)の周りでセグメント2cの回転を可能にする。ジョイント3bは、セグメント2bとセグメント2cとを接続し、セグメント2cの位置に対するセグメント2bの旋回運動を可能にする。ジョイント3aは、セグメント2aとセグメント2bとを接続する。ジョイント3aは2軸とすることができ、したがって(ジョイント3cと同様に)2つの方向への旋回運動を可能にする。TCPはセグメント2aに対して固定された相対位置を持ち、セグメント2aは、通常は、回転ジョイント(図示せず)を含み、これにより、セグメント2aの長軸A(図1に点線で示されている)を中心とした回転運動が可能になる。ジョイントの各軸には、それぞれのジョイント軸を中心に回転運動を引き起こすアクチュエータが対応付けられている。ジョイント内のアクチュエータは、ロボットプログラムに従ってロボットコントローラ4によって制御される。TCPは、(特定の制限内で)どこにでも配置できる(軸Aの方向は任意)。
【0015】
マニピュレータ1は通常、位置制御されており、ロボットコントローラはTCPの姿勢(位置と方向)を設定し、TCPを事前定義された軌道に沿って移動できる。産業用ロボットとTCPの位置制御自体は既知であるため、ここではこれ以上説明しない。アクチュエータ20がエンドストップに当接したとき、TCPの姿勢により研削工具の姿勢が定義される。既に述べたように、アクチュエータ20は、研削加工中に、工具(研削板11)とワークピースWとの間の接触力(加工力)を所望の値に設定する働きをする。マニピュレータ1のセグメント2a-cの慣性が大きいため、従来のマニピュレータでは力ピーク(ワークピースに研削工具を配置する場合など)の急速な補償が実際上は不可能であるため、マニピュレータ1による直接的な加工力の制御は、通常は、研削での使用では、不正確となる。このため、ロボットコントローラはTCPの姿勢(位置と向き)を制御するように構成され、一方、接触力(図2、接触力Fも参照)の制御は、研削機械10とマニピュレータ1の間に接続されているアクチュエータ20によって専ら実行される(必ずしも必要ではないが)。
【0016】
すでに述べたように、研削プロセス中、(線形)アクチュエータ20と力制御ユニット(たとえば、コントローラ4で実装できる)を用いて、研削工具(研削板11)とワークピースWとの間の接触力Fは、研削工具とワークピースWとの間の接触力Fが所定の目標値に対応するように調整される。この接触力は、線形アクチュエータ20がワークピース表面を押すアクチュエータ力Fに対する反作用である。ワークピースと研削工具との間に接触がない場合、エンドストップ(図1に示されていないか、アクチュエータ20に一体化されている)に対する接触力Fがないため、アクチュエータ20が移動する。マニピュレータ1の位置制御(コントローラ4でも実装可能)は、アクチュエータ20の力制御とは完全に独立して動作できる。アクチュエータ20は、研削機械10の位置決めに関与せず、研削加工中に所望の接触力を設定および維持し、研削工具(研削板11を有する研削機械10)とワークピースWとの間の接触を検出することのみに関与する。例えば、エンドストップからのアクチュエータ20の偏位が0となった場合、又は、アクチュエータ20の偏位の変化が負となった場合に、接触を検出することができる。
が)。
【0017】
アクチュエータは、空気圧アクチュエータで、例えば、複動空気圧シリンダを有し得る。ただし、ベローズシリンダとエアマッスルなど他の空気圧アクチュエータも使用できる。代替として、電気ダイレクトドライブ(ギアレス)が考慮される。空気圧アクチュエータの場合、制御バルブ、コントローラ(コントローラ4に実装された)、および圧縮空気リザーバによる従来の方法で力制御を実現できる。ただし、具体的な実装は以下の説明では重要ではないため、詳細には説明しない。いくつかの用途では、アクチュエータ20は不要であり、省略することができる。この場合、ロボット/マニピュレータ1は、加工力を直接制御することができる。また、力の制御を必要としない使用もあり、ロボット/マニピュレータ1は位置制御されて動作する。ここに記載するシャフトカップリング及びシャフト交換システムでは、力及び位置制御は重要ではないが、工具を用いて行われる(加工)工程には有用である。
【0018】
図2に示す例では、アクチュエータ20と、マニピュレータ1の一番外側のセグメント2a(図1参照)との間には、略L字形を有するブラケット21が配置されている。ブラケット21の目的は、(図1に示すように)リニアアクチュエータ20をセグメント2aの軸Aと同軸ではなくマニピュレータ1に取り付けるのではなく、例えば90°の角度で傾斜させて、研削盤の回転軸Rが軸Aと実質的に平行になるようにすることである。なお、使用やロボット設置空間の具体的な構成に応じて、ブラケットを省略してもよいし(アクチュエータ20は、マニピュレータ1に直接取り付けられる)、90°以外の角度を有するブラケットを使用してもよい。また、図1及び図2は、研削機械の局所座標系の位置が示されている。この座標系では、研削機械の回転軸Rはz軸に等しく、リニアアクチュエータ20はx軸に沿って作用する。
【0019】
工具(例えば研削板11)は、シャフトカップリング30を介して駆動部(例えば研削機械10のモータ)に接続され得る。この場合、工具はシャフトカップリング30の第1のカップリング部に連結され、モータの駆動シャフトはシャフトカップリング30の第2のカップリング部に連結される。なお、第1のカップリング部は、工具(研削板11)が装着される特殊なシャフト端部とみなすことができる。特殊な交換ステーション(図10参照)を使用することで、ロボットは自動的に工具を交換することができ、工具と第1のカップリング部からなるモジュールが常に一緒に交換される。
【0020】
図3は、研削板のロボット支援による自動的な交換に使用できるシャフトカップリング30(係合解除状態)の例示的な実施形態を示している。シャフトカップリングは、第1のカップリング部310と第2のカップリング部350とを有する。第1のカップリング部310は、運転中に、例えばネジ接続によって研削板11に接続される。示された例では、研削板11は、シャフト330の一端に差し込まれ、シャフト端に設けられたネジ部332にねじ込まれたナット(図示せず)によって固定され、これにより研削板11がナットとシャフト330のシャフト張出部331との間で挟まれる。第2のカップリング部350には、研削機械10の駆動シャフト(図示せず)が挿通されるハブ370が設けられており、駆動シャフトは、溝359に挿入されたフェザーキーによってハブ370に従来の方法で締結されている。2つのカップリング部310、350は、円錐形座部(第1のカップリング部材310上の外側コーン322及び第2のカップリング部350上の内側コーン362)によって接続され得る。2つのカップリング部310、350がどのように係合し、互いに固定され得るかについては、図4から図7を参照して以下にさらに詳細に説明する。
【0021】
第1のカップリング部は、一種のテレスコーピックシャフトとして見ることができ、取り分け、シャフト330(研削板11が固定されている)と中空シャフト320から構成され、それによってシャフト330と中空シャフト320は、互いに(回転軸Rに沿って)軸方向に相対的に変位可能になっている。中空シャフト320は、シャフト330に対して2つの端部位置の間で移動可能である。スリーブ335は、シャフト330に同軸的に配置され、スリーブ335とシャフト330は、例えば、シャフト330のシャフト張出部331をスリーブ335に接続するネジ接続部333により、互いに剛性的に接続されている。中空シャフト320の外径および内径は、中空シャフト320がシャフト330とスリーブ335との間で(軸方向に)スライドできるように寸法決めされている。スリーブ335の内径と中空シャフト320の外径とは、クリアランスフィット(隙間嵌め)を形成することができる。同様に、中空シャフト320の内径とシャフト330の外径Dは、クリアランスフィットを形成することができる。シャフト330の溝337に挿入されるフェザーキー336は、中空シャフト320とシャフト330との間の回転を防止する。
【0022】
上述したように、中空シャフト320は、シャフト330に対して相対的に変位可能であり、中空シャフト320の第1の終点位置はシャフト330のシャフト肩部338によって形成され、中空シャフト320の第2の終点位置は、ストップ340として機能するスリーブ335の端面によって形成される。第2の終点位置では、中空シャフト320がスリーブ335内に可能な限り挿入され、中空シャフト320のシャフト肩部323がストップ340と隣接する。第1の終点位置では、中空シャフト320はスリーブ335から最大に突出しており、中空シャフト内の張出部はシャフト330のシャフト肩部338と隣接している。スリーブ335には、バネ334が、バネ力で中空シャフト320をスリーブ335から押し出し、シャフト肩部338に対して軸方向に押圧するように配置されている。
【0023】
シャフト330の下端に設けられたシャフト部分は、直径Dを有しており、直径Dよりも若干小さくし得る。シャフト330の下面には、直径Dよりも大きい最大直径Dを有するコーン341が設けられており、コーン341の背面にはシャフト肩部339が形成されるようになっている。シャフト肩部339は、第1のカップリング部310を第2のカップリング部350に軸方向に固定するために(例えば図7参照)使用される。コーン341は、例えば、シャフト330の一端部の周囲の端部を面取りすることによって形成される。この傾斜面がコーン341を形成する。
【0024】
第2のカップリング部350は、2つの部分からなるハウジング(上側部361、下側部351)を有することができ、このハウジングは、(例えば、ネジによって)互いに強固に固定され得る。ハウジングの上側部361は、中央の内側コーン362(すなわち、円錐形のハブ)を有し、これは、第1のカップリング部310の対応する外側コーン322(中空シャフト320上)とともに、円錐形座部を形成することができる(例えば、図7参照)。内側コーン362は、上側部361の全体を貫通しており、回転軸Rに対して回転対称に形成されている。ハウジングの下側部351上には、半径方向に(回転軸Rに対して横方向に、かつ第2のカップリング部350のハウジングに対して相対的に)変位可能であり、バネ354によってハウジングの下側部351のエンドストッパに押し付けられるロック要素352が設けられている。示された例では、バネ354は、ハウジングの下側部351に設けられた半径方向の穴の中に配置されており、この穴はネジ353により閉じられている。このため、バネ354のバネ力は、ロック要素352とネジ353との間に作用する。
【0025】
ハウジングの下側部351には、研削機械10(図2参照)のモータシャフト用のハブ370を形成する中央孔が形成されている。ハブ370には、フェザーキー(図示せず)を収容するための溝359が形成され得る。フェザーキーに代わるものとして、研削機械10のモータシャフトに第2のカップリング部350を取り付けるために、任意の他のシャフト-ハブ接続部を使用することができる。
【0026】
ロック要素は、回転軸Rが通過する円錐状ハブ(内側コーン362)の下方に中央開口部355を有する。開口部355の上縁部は、面取りされ、その傾斜面が小さな内側コーン356を形成している。係合時には、開口部355の下縁部357は、2つのカップリング部310、350を互いに固定するために、第1のカップリング部310のシャフト330のシャフト肩部339に隣接する(例えば、図7参照)。ロック要素352の中央開口部355は、図3の図示の回転軸Rに対してわずかに偏心している。
【0027】
図4から図6において、図3からのカップリング経過中のいくつかの(中間的な)位置におけるシャフトカップリングの2つのカップリング部310、350が示されている。一実施形態では、カップリングのために、第1のカップリング部310は、その上に取り付けられた研削板11と共にベースプレート上に横たわり(例えば図10参照)、第2のカップリング部350は、ロボットによって第1のカップリング部310に上から押圧される(この場合、シャフトカップリングの向きは、図3に示すように、上下、全く逆である)。あるいは、第1のカップリング部310に取り付けられた研削板11と共に第1のカップリング部310をベースプレートから吊り下げて、第2のカップリング部350をロボットによって下から第1のカップリング部310に押し付けることもできる(この場合、シャフトカップリングの向きは図3に示されているものと同一である)。また、係合・離脱時にシャフトカップリングを傾斜した向きとすることも可能である。
【0028】
図4は、回転軸R(z方向)に沿った第2のカップリング部350が既に部分的に第1のカップリング部310に差し込まれた状態を示す図である。この場合、第1のカップリング部310の中空シャフト320の円錐系のシャフト部分321(外側コーン322)は、第2のカップリング部350のハウジングの上側部361の円錐形の開口部(内側コーン362)に挿入されている。一定の挿入深さから、第1のカップリング部310のシャフト330の面取りされた端部(コーン341)が、ロック要素352の中央開口部355の(例えば、面取りされた)端部(内側コーン356)に接触する。ロック要素352が回転軸に対して横方向に移動している間、傾斜面341、356は互いにスライド可能である。
【0029】
図5は、第2のカップリング部350が回転軸Rに沿って(z方向に)第1のカップリング部310に完全に差し込まれた状態を示す図である。ここで、第1のカップリング部310の中空シャフト320の円錐状の部分321(外側コーン322)と、第2のカップリング部350のハウジングの上側部361の円錐ハブ(内側コーン362)とが円錐座を形成する(図5では322/362と表記されている)。第1のカップリング部310を第2のカップリング部350に(完全に)挿入することにより、ロック要素352は、シャフト330の面取りされた端部(コーン341)によって押されて横に移動する。図5に示す状況では、図4に示す状況と比較して、ロック要素352は、右方向(X軸方向)に変位dだけ移動されている。ロック要素352のこの移動は、シャフト330の端部330における外側コーン341(傾斜面)と、ロック要素352の開口部355の端部における内側コーン356とが互いに合わせられ、円錐面が互いに良好にスライドすることが可能でることによってサポートされいている。なお、円錐形状の代わりに、別の斜めまたは湾曲した形状も可能である。また、2つの部品(シャフト330、ロック要素352)のうちの1つだけが接触点で円錐形、斜め、または湾曲していれば十分である。
【0030】
図5に示す状況では、バネ334は、まだシャフト330のシャフト肩部338を中空シャフト320の張出部に押し付けている。ロック要素がシャフト330のシャフト肩部339に係合することができるほどシャフト330を第2のカップリング部に移動させるためには、バネ334が圧縮されなければならない。図5に示された状況と比較して図6のバネ334は、変位Δzだけ圧縮され、その結果、シャフト330が第2のカップリング部350内にさら変位Δzだけ突出し、ロック要素352がバネ354によって元の位置に押し戻されるときに、ロック要素352の下縁357がシャフト330のシャフト肩部339上に係合する。図6は、ロック要素352が係合する直前の状況を示し、図7は、ロック要素352が係合した直後の状況を示している。バネを圧縮するための力Fは、マニピュレータ(図1参照)によって印加され、力Fはk・Δzに等しく、ここで、kはバネ334のバネ定数を表す。
【0031】
ロック要素352がシャフト330のシャフト肩部339に係合した後、2つのカップリング部310、350は、円錐形座部322/362を介して摩擦的に連結される。円錐形座部は、バネ力k・Δzで軸方向(z方向)に付勢されている。2つの結合部品310、350の接続を解除するには、(マニピュレータを用いて、図1参照)ロック要素352がシャフト330のシャフト肩部339に係合しなくなるまで、ロック要素352をバネ354の力に抗して変位させるだけでよく、その結果、バネ334は、シャフト330を開始位置に押し戻すことができる(シャフト肩部338は、中空シャフト320の張出部に隣接する)。
【0032】
図8は、シャフト330のシャフト肩部339上に係合した状態のロック要素352の詳細図である。ロック要素352の開口部355の縁部357は、シャフト肩部339に対して隣接しているため、バネ334(図7参照)のバネ力によってシャフト330が元の状態にスナップバックする(急に戻る)ことを防止することができる。ロック要素352に設けられた長穴は、ロック要素を回転軸Rに対して横方向に(z方向に対して横方向に)案内するために設けられている。
【0033】
2つのカップリング部310、350の接続を再び解除するために、マニピュレータは、研削工具を規定の保管位置に移動させることができる。ストップ520は、保管位置に対して近くかつ規定された位置に配置される。例えば、シャフト330の回転軸Rの周りでシャフトカップリングを回転させることにより、ロボットは、ストップ520がバネ354(図7参照、図8には図示せず)の力に抗してロック要素352を第2のカップリング部350の中に押し、ロック要素352とシャフト330のシャフト肩部339との間のロック接続を解除するようにシャフトカップリングを位置決めすることができる。より小さい許容差を補償するために、ストップ520はまた、バネにより弾性を有するようにマウントされることができ、ストップのバネ剛性はバネ354のバネ剛性よりも大きい。ロックが解除されるとすぐに、シャフト330が第1のカップリング部310にスナップバックし、円錐座部の接続が解除される。スナップバック時のシャフト330の衝動は、通常、円錐座部を解除するのに十分である。次に、ロボットは、工具が第1のカップリング部310に取り付けられずに、第2のカップリング部350を持ち上げることができる。
【0034】
図9は、シャフトカップリングの代替構成を示しており、円錐座部を付勢するためのバネ力を提供するバネ334が、図7に示す実施形態のように第1のカップリング部310に配置されず、第2のカップリング部350に配置されている。機能は、図3-7に従った実施形態と基本的には同じである。これにより、第1のカップリング部310をより簡単な構成にすることができる(バネが省略されるため)。例えば、第1のカップリング部310は、弾性を有さない部材であってもよい。一方、バネ334は、第2のカップリング部350のハウジングの上側部361と下側部351との間に配置されている。第1のカップリング部310を第2のカップリング部350に挿入するとき、下側部351は、ロック要素が第1のカップリング部のシャフト330のシャフト肩に係合するまで、上側部361に向かって1つまたは複数のバネ334´のバネ力に抗して押され、それにより、2つのカップリング部310、350が互いに連結され、円錐座部がバネ力によって付勢される。
シャフトカップリングの解放は、前の実施形態の場合と同様に動作する(例えば図8参照)。
【0035】
図10は、例示的な交換ステーション50を示しており、これは、自動ロボット支援工具(例えば、第1のカップリング部310を含む研削板11)の交換に適している。図11は、シャフトカップリング30が挿入された交換ステーション50の詳細を示している。ロボット/マニピュレータの作業領域(ロボットセル内など)に、いくつかの同様の交換ステーションを(たとえば隣同士で)配置できる。このようにして、ロボット/マニピュレータによって実行される処理に対してさまざまな工具を利用できる。(工具が付属している)シャフトを交換するだけで、ロボット/マニピュレータを備えた1つの作業場でいくつかの(異なる)作業ステップを実行できる。
【0036】
交換ステーションは、ベース501を含み、これは一般にその場所に固定されており、ロボット制御部に知られている規定された位置を有する。ベース501には、支持板510が取り付けられている。図示の例では、支持板510は、ネジピン516によって、(z方向に対して)変位可能にベース501に取り付けられており、ベース501にネジで固定され、支持板510の対応する穴を通って案内される。支持板510は、支持板510と、ネジピン516にねじ込まれたナットとの間で作用するバネ515によってベース501に押し付けられる。したがって、支持板510はバネ515の力に抗してベース501から持ち上げることができる。この支持の目的はさらに以下で説明する。代替の例示的な実施形態では、支持板510は、ベース501に固定されて接続されるか、またはベース501が、支持板510としても機能する。カバー505は、任意に設けることができる。
【0037】
支持板510には、ロボット(図1参照、マニピュレータ10)がシャフトカップリング30を横方向から挿入できる凹部511が設けられている。図示の例では、シャフトカップリングは、凹部511にy方向に挿入される(図10の矢印を参照)。凹部511の後端は、円形の輪郭を有し得る。さらに、凹部511の上縁は面取りされ得る。傾斜面部512は、円錐形を形成し、この上にシャフトカップリング30の第1のカップリング部310を搭載可能である。より具体的には、2つのカップリング部310、350の間の接続が解除されている場合に、第1のカップリング部310の中空シャフト320のコーン345(例えば、図7を参照)が、傾斜面部512上に置かれる。研削機械11のモータシャフトの回転軸Rの位置(図2参照)も図10に同様に示されている(シャフトカップリング30が凹部511に挿入されている状況で)。
【0038】
少なくとも1つのストップ520および近接スイッチ521(例えば、接触スイッチ)が、支持板510上に配置される。ストップおよび近接スイッチ521の機能は、図11の描写において明確である。図11は、ロック要素352の外端がストップ520に接するように、シャフトカップリング30がちょうど回転された状況を示している。ストップに対するシャフトカップリング30の回転は、図8を参照して説明されている。図11に示す位置では、回転角度が(一般性を制限することなしに)例えば、φ=0°として定義される。この位置で、ストップ520は、ロック要素352を第2のカップリング部350へ押し込み、シャフト330とのロックが解放される。シャフト接続が解除された後、第1のカップリング部310とともに工具11は、交換ステーション50内に留まり、後で(例えば、手動で)新しい工具11と交換することができる。
【0039】
新しい工具を結合するために、ロボットは、研削板11のモータの回転軸Rが結合される工具の回転軸と同軸になるように、取り付けられた新しい研削板11(第1のカップリング部310を含む)とともに研削機械10を交換ステーション50に移動する(図3参照)。結合の手順は、図3から図7を参照して既に詳細に説明されている。プロセスを監視するために、マニピュレータ10は、ロック要素352の外端が近接スイッチ521の方向を指すように(φ=90°)シャフトカップリングを回転させ、近接スイッチ521がロック要素352を検出するようにする。この回転は、マニピュレータ自体によって、または研削機械のモータの駆動によって実行できる。
【0040】
結合中、ロック要素352は、近接スイッチ521から距離dだけ離れるように移動し(図4図5参照)、次に、開始位置に戻る(図6図7参照)。ロック要素352のこの移動(前方、後方、再び前方)は、近接スイッチ521によって検出することができ、このようにして2つのカップリング部310、350の適切な結合を監視することができる。近接スイッチ521は、通常、機械的接触を介してロック要素352の存在を検出する。しかしながら、非接触型(例えば、誘導式、容量式、または光学式)の近接スイッチを使用することもでき、これらは一般に近接センサとも呼ばれる。
【0041】
安全性の特徴は、支持板510のベース501上への弾力的な取り付けにある。シャフトカップリング30の解放が(何らかの理由で)失敗した場合、ロボットが第2のカップリング部350で研削機械10を持ち上げようとすると、解放されていない第1のカップリング部310が凹部511内に挿入されているときには支持板を持っていくので、同時にバネ515のバネ力に抗して支持板510を持ち上げることになる。支持板510のこの上昇は、センサによって検出することができる。これに適したセンサは、例えば、接点スイッチ、近接センサ、光センサ(上昇していないときは支持板で覆われている)などがある。
【0042】
図12は、シャフト交換の手順のシーケンス、すなわち、例えば図3乃至図7に示されるようなシャフトカップリングの係合、および例えば図11に示されるようなシャフトカップリングの解放を示すフローチャートである。初期状態として、(第1のカップリング部310の)シャフト(図3参照)が交換ステーションに準備されていると仮定する(第1のカップリング部310は交換ステーション50の凹部511にある、図10参照)。マニピュレータ1(図1参照)により、第2のカップリング部を備えた研削機械は、2つのカップリング部が本質的に同軸に整列するように交換ステーションに向かって移動する(図12、ステップS1参照)。次に、マニピュレータは、第2のカップリング部のロック要素が第1のカップリング部のシャフト肩部339に係合するまで、2つのカップリング部を互いに押し付け得る(図12のステップS2、図6図7参照、ロック要素352がシャフト肩部339に係合する)。
次に、マニピュレータは、第2のカップリング部(したがって、工具を含むシャフトカップリング全体)を持ち上げ、それを交換ステーションから取り外すことができる(図12、ステップS3)。図10に示す例では、第2のカップリング部は、凹部511の外に移動される。結合された工具は、ワークピースの自動機械加工に使用され得る(図12、ステップS4参照)。機械加工プロセス(またはその一部)の終了後、シャフトカップリングを交換ステーションに(前と同じまたは別の方法で)再度、搬入することができ、これにより、搬入の際に、交換ステーションのストップを介して(図10、ストップ520参照)、ロック要素が作動され、その結果、ロックが解放される(図7の解放前の状態、図6の解放後の状態を参照)(図12のステップS5参照)。最後に、マニピュレータは、解放された第2のカップリング部を交換ステーションから外に移動させることができ、(使用された)工具を備えた第1のカップリング部は交換ステーションに残る(図12、ステップS6)。
【0043】
ここで説明するシャフトカップリングと交換ステーションの例示的な実施形態は、固有のエネルギー供給(例えば、電力または圧縮空気)を必要としない。従って、シャフトカップリングは、電気、圧縮空気等の供給ラインを必要とせず、コネクタ、摺動接点等を回避することができる。交換ステーション(図10を参照)も独自の駆動装置を必要としない。
【0044】
ここで説明する例示的な実施形態のいくつかの態様を以下に要約する。これは、完全なものではなく、関連する技術的特徴を純粋に例示的に列挙したものである。一実施形態は、シャフトと円錐状のシャフト部を有する第1のカップリング部を有するシャフトカップリングに関するものである(例えば、図3参照)。シャフトの第1の端部には工具(例えば、砥石、ドリルなど)が固定でき、シャフトの第2の端部にはシャフト肩部が配置されている。前記シャフトカップリングは、第2のカップリング部を有しており、第2のカップリング部は、円錐形のハブを有し、このハブに、前記第1のカップリング部の円錐形のシャフト部が円錐形座部を形成するために挿入可能である。また、第2のカップリング部は、シャフトカップリングの回転軸に対して横方向に変位可能であり、シャフト肩部に係合可能なように配置されたロック要素を有している(図6及び図7参照)。少なくとも1つのバネが、シャフトカップリングに配置され、ロック装置が係合されたときに、円錐形座部に軸方向に作用するように付勢する。
【0045】
円錐形座部を付勢するバネは、第1のカップリング部(図3参照、バネ334)または第2のカップリング部(図9参照、バネ334´)のいずれかに設けることができる。一実施形態によれば(例えば、図3参照)、第1のカップリング部は、軸方向に変位可能にシャフトに取り付けられた中空シャフトを有する。円錐形のシャフト部分は、中空シャフトの一部である(図3、中空シャフト320の外側のシャフト部分321を参照)。バネは、第1のカップリング部に含まれ、円錐形のシャフト部分が円錐形ハブに挿入されると、中空シャフトがバネのバネ力に抗してシャフト上で変位するように配置される(図4乃至図6を参照)。中空シャフトとシャフトとの間の相対的な動きにより、ロック要素がシャフト肩部に係合してロックを形成することができるまで、シャフトのシャフト肩部を第2のカップリング部に侵入させる。
【0046】
シャフトは、中空シャフトのエンドストップを形成するさらなるシャフト肩部を有することができ、バネのバネ力は、中空シャフトをエンドストップに押し付ける。シャフトと中空軸との間には、フェザーキーを配置することができ、これにより、シャフトと中空シャフトとの間の軸方向の変位(相対移動)は可能であるが、シャフトと中空軸との間の回転は阻止される。
【0047】
前述したように、円錐形座部を付勢するバネを第2のカップリング部に配置することもできる(図9参照、バネ334´)。この場合、第2のカップリング部は、下側部と、下側部に対して軸方向に変位可能な上側部とを有する。円錐形ハブは上側部に配置され、少なくとも1つのバネが下側部と上側部との間に配置され、円錐形シャフト部分が、バネのバネ力に抗して円錐形ハブに挿入されると、下側部が上側部に向かって移動する(たとえば、図9を参照、ばね334´は、下側部351と上側部361との間に作用し、円錐形座部を付勢する)。
【0048】
ロック要素の外端部は、第2のカップリング部から突出していてもよい。さらに、ロック要素は、(中央の)開口部を有することができ、この開口部にロック要素がシャフトのシャフト肩部に係合するまでシャフトを押し込むことができ、このロックにより、シャフトが開口部から引き戻されるのを防ぐことができる。係合時には、例えば、ロック要素の中央開口部の縁は、シャフトのシャフト肩部の後方に変位する(シャフトカップリングの回転軸に対して横方向、図6乃至図7参照)。ロック要素が係合している際には、バネ力が円錐形シャフト部分を円錐ハブに対して付勢する。ロック要素の開口部の縁およびシャフトの周縁は、それぞれ面取りされ得る。シャフトの開口部の端にある傾斜面と開口部の端にある傾斜面は、シャフトを開口部に挿入する際に、ロック要素が移動している間、互いに摺動可能である。
【0049】
他の実施形態は、マニピュレータと、工具を駆動するためのモータシャフトを有する工作機械とを備えたシステムに関する。工作機械はマニピュレータに連結されており、マニピュレータによって位置決めできる。工作機械のモータシャフトを工具に結合するために、システムは、ここで説明した例示的な実施形態の1つに従って構成することができるシャフトカップリングを含む。
【0050】
他の実施形態は、ここに記載された実施形態の1つに従って構成することができるシャフトカップリングと、少なくとも1つの交換ステーションとを有するシステムに関する。交換ステーションには、凹部を有する支持板を有する。凹部は、シャフトカップリングの第1のカップリング部分が凹部に挿入され得る格納位置を規定する。第1のカップリング部の円錐形シャフト部分は、支持板から突出している。システムはまた、支持板上に配置されたストップを有することができる。ロック要素の一端は、第2のカップリング部から横方向に突出することができ、ストップがロック要素の突出した端部を第2のカップリング部に押し込み、それにより、ロックが解除されるように、ストッパが、格納位置に対して配置され得る。システムは、2つのカップリング部分が結合されている間、ロック要素の変位を検出できるように配置された近接センサを有することができる。支持板は、ベースに弾性的に取り付けることができ(例えば、図10、バネ515参照)、そのために、支持プレートをベースに対して持ち上げることができる(安全機能)。
【0051】
他の実施形態は、方法に関し、この方法では、まず、マニピュレータを使用して、シャフトカップリングの第2のカップリング部分を、交換ステーションに既に置かれている(例えば、図11を参照)シャフトカップリングの第1のカップリング部分と同軸に位置合わせする(例えば、図3を参照)。次に、第2のカップリング部のロック要素が第1のカップリング部のシャフト肩部に係合してロックを形成するまで、第2のカップリング部が第1のカップリング部に押し付けられる(例えば、図6図7図9参照)。結合後、第2のカップリング部を持ち上げることにより、第1のカップリング部も(工具とともに)交換ステーションから持ち上げることができる。第1のカップリング部に装着された工具を用いて、マニピュレータによりワークピースに対して自動的に加工を行うことができる。次に、シャフトカップリングが、その交換ステーション(または別の交換ステーション)に挿入され、第2のカップリング部のロック要素がそれぞれの交換ステーションのストップを介して作動し、その結果、ロックが解除される。切り離した後、マニピュレータにより、第2カップリング部がそれぞれの交換ステーションから取り外され、一方、第1のカップリング部は交換ステーションに残される。
【0052】
第2のカップリング部を第1のカップリング部に押し付けることにより、第1のカップリング部の円錐形のシャフト部分を第2のカップリング部の円錐形ハブに挿入することができ、それにより円錐形座部が形成される。バネ力の作用に抗して、ロック要素がシャフト肩部に係合するまで第1のカップリング部のシャフト肩部を第2のカップリング部に押し込むことができ、それにより、バネ力が係合状態の円錐形座部を付勢する。係合の際に、ロック要素はシャフトカップリングの回転軸に対して横方向に移動し、この移動は近接センサによって検出され得る。ロックの解除の際には、シャフト肩部は、バネによってロック要素から離れる方向に押し付けられ得る(例えば、図7、バネ334、又は、図9、バネ334´参照)。シャフトカップリングを、この交換ステーション(または別の交換ステーション)に挿入した後、シャフトカップリングは、第2のカップリング部から突き出たロック要素の端が交換ステーションのストップに当たるまで、その回転軸を中心に回転され得る。
【符号の説明】
【0053】
1…マニピュレータ
10…工作機械
11…工具
30…シャフトカップリング
50…交換ステーション
310…第1のカップリング部
320…中空シャフト
321…円錐形シャフト部分
330…シャフト
334、334´…バネ
336…フェザーキー
338、339…シャフト肩部
350…第2のカップリング部
351…下側部分
352…ロック要素
355…開口部
361…上側部分
362…円錐形ハブ
501…ベース
510…支持板
511…凹部
520…ストップ
521…近接センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図12