(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】報知システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20221214BHJP
【FI】
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2021050868
(22)【出願日】2021-03-24
【審査請求日】2021-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】518163150
【氏名又は名称】株式会社サードアイズ
(74)【代理人】
【識別番号】100133802
【氏名又は名称】富樫 竜一
(74)【代理人】
【識別番号】100197181
【氏名又は名称】森下 泰子
(72)【発明者】
【氏名】北川 政知
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-146519(JP,A)
【文献】特開2013-054627(JP,A)
【文献】特開2011-164776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を販売する店舗に配置される商品の代金決済を行うPOS端末と、
前記POS端末から前記商品の販売データを取得して監視する監視サーバを有し、
前記監視サーバは、前記POS端末に登録されている商品から選択した一又は複数の商品について店頭在庫数を取得可能に構成するとともに、当該店頭在庫数の変動に基づいて警報を生成するよう構成し、
前記警報を前記POS端末または当該POS端末に接続されたPOS管理サーバ
および複数の
前記POS管理サーバに接続されたPOS統括サーバによって取得可能に構成
し、
前記選択した商品の商品展示エリアを撮影するカメラを設け、当該カメラによって撮影した映像情報を前記POS管理サーバ若しくは前記POS統括サーバによって閲覧可能に構成
し、
前記監視サーバは、前記POS端末に登録されている商品から選択された商品を監視対象として登録する登録手段を
有するとともに、製造した当日に販売される商品について、販売可能な在庫数が一定数を下回った場合に警報を発するように構成し、
前記登録手段は、登録した商品を販売する店舗を特定する識別情報および登録した商品が展示されている売り場を特定する売り場情報を含む商品情報を登録情報として含むものであり、
前記売り場情報を指定することによって、当該売り場を撮影するカメラの映像を選択して視聴できるように構成
し、
商品に貼り付ける商品登録番号を符号化したバーコードラベルの発行とバーコードラベルを発行した商品に関する商品数を監視サーバに対して送信するラベルプリンタを有し、店舗で製造され売り場に出された商品の商品登録番号および商品数を監視サーバに登録するよう構成したことを特徴とする報知システム。
【請求項2】
商品を販売する店舗に配置される商品の代金決済を行うPOS端末と、
前記POS端末から前記商品の販売データを取得して監視する監視サーバを有し、
前記監視サーバは、前記POS端末に登録されている商品から選択した一又は複数の商品について店頭在庫数を取得可能に構成するとともに、当該店頭在庫数の変動に基づいて警報を生成するよう構成し、
前記警報を前記POS端末または当該POS端末に接続されたPOS管理サーバ
および複数の
前記POS管理サーバに接続されたPOS統括サーバによって取得可能に構成
し、
前記選択した商品の商品展示エリアを撮影するカメラを設け、当該カメラによって撮影した映像情報を前記POS管理サーバ若しくは前記POS統括サーバによって閲覧可能に構成
し、
前記監視サーバは、前記POS端末に登録されている商品から選択された商品を監視対象として登録する登録手段を
有するとともに、製造した当日に販売される商品について、製造時刻から起算した販売可能時間を監視条件として設定するとともに、販売可能な在庫数が一定数を下回った場合に警報を発するように構成し、
前記登録手段は、登録した商品を販売する店舗を特定する識別情報および登録した商品が展示されている売り場を特定する売り場情報を含む商品情報を登録情報として含むものであり、
前記売り場情報を指定することによって、当該売り場を撮影するカメラの映像を選択して視聴できるように構成
し、
商品に貼り付ける商品登録番号を符号化したバーコードラベルの発行とバーコードラベルを発行した商品に関する商品数を監視サーバに対して送信するラベルプリンタを有し、店舗で製造され売り場に出された前記販売可能時間を監視条件として設定した商品の商品登録番号および商品数を監視サーバに登録するよう構成したことを特徴とする報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売する商品の販売動向を検出し、店頭在庫が減少した場合若しくは欠品が予測される場合に警報を発生して商品の補充を促す報知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
店舗で販売する商品に関して、在庫を可能な限り抑えつつも欠品発生を回避するための機動的な在庫管理技術として特許文献1記載の技術が知られている。これは、店舗の陳列棚に配置された商品をカメラ搭載モバイル端末で撮影し、撮影画像をデータベースに登録してある画像等と照合して商品の特定と数量を取得し、これを在庫情報データベースと比較することで店舗の在庫を確認するものである。在庫情報データベースは、店舗に新たに販売が有った場合、POSシステムより小売店舗に関する販売情報を受信し、陳列数から販売情報を減算して更新するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々な小売り店舗があるが、スーパーマーケットのような店舗では納品されたものをそのまま販売するような商品の他に、加工して販売する食品のような商品がある。例えば、弁当や惣菜等は、日々の販売計画に基づいて生産し販売することが基本であるが、実際の売れ行きは様々な要因によって変化するものであり、正確に予測することは困難である。したがって、通常の在庫管理の手法を用いても、特定の商品の売れ行きが急増したような場合には欠品を免れず販売の機会を逃してしまう可能性がある。本発明はこのような事情に鑑み発明されたものであって、特定の商品についての販売動向をリアルタイム若しくは定時間ごとに取得して、欠品が生じそうな商品の補充が円滑に行われるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、
商品を販売する店舗に配置される商品の代金決済を行うPOS端末と、
前記POS端末から前記商品の販売データを(直接若しくは他のコンピュータ手段を介して)取得して監視する監視サーバを有し、
前記監視サーバは、前記POS端末に登録されている商品から選択した一又は複数の商品について店頭在庫数を取得可能に構成するとともに、当該店頭在庫数の変動に基づいて警報を生成するよう構成し、
前記警報を前記POS端末または当該POS端末に接続されたPOS管理サーバの何れか若しくは双方によって取得可能に構成したことを特徴とする報知システム。
【0006】
前記報知システムにおいて、
前記警報を複数のPOS管理サーバに接続されたPOS統括サーバによって取得可能に構成したことを特徴とする。
【0007】
前記報知システムにおいて、
前記選択した商品の商品展示エリアを撮影するカメラを設け、当該カメラによって撮影した映像情報を前記POS管理サーバ若しくは前記POS統括サーバによって閲覧可能に構成したことを特徴とする。
【0008】
前記報知システムにおいて、
前記監視サーバは、前記POS端末に登録されている商品から選択された商品を監視対象として登録する登録手段を有し、
前記登録手段は、登録した商品を販売する店舗を特定する識別情報および登録した商品が展示されている売り場を特定する売り場情報を含む商品情報を登録情報として含むものであり、
前記売り場情報を指定することによって、当該売り場を撮影するカメラの映像を選択して視聴できるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、登録した特定の商品について、商品在庫の減少によって欠品の可能性が生じた場合に警報を発生することで、欠品の発生前に商品を供給することが可能であるという効果を有している。また、特定の商品について商品を展示する売り場を特定する情報、その売り場を特定する情報と売り場を撮影するカメラの映像を関連付けることで、特定の商品を展示した売り場の映像を確認できるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る報知システムの構成を表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を図を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る報知システム1の構成を表した説明図である。報知システム1は、店舗において惣菜や弁当などの調理食品を逐次作りながら販売する部門を有したスーパーマーケットを、複数店舗(店舗1、店舗2・・・)管理する場合に適したシステムである。惣菜や弁当などの調理食品は、季節、天候、時間帯、地域、品質、商品の展示の仕方、売り場作りなどの様々な要因によって日々売り上げが変動する。そして、急速に商品が売れて欠品が生じてしまうと、欠品以降の商品の販売機会を喪失することになり好ましくない。報知システム1は、このような欠品による販売機会の喪失回避、売り場の検証などに使用可能なシステムである。
【0012】
報知システム1は、最低限の構成としてPOS端末2、POS管理手段3、売り場をモニターする動画撮影用のカメラ3が店舗に設けられる。POS端末2は所謂レジスター機能を有した端末装置であり、店舗を特定する識別情報、商品の販売記録、販売時の代金決済や金銭出納の記録を中心とした処理を行うものである。販売する商品にはすべて商品登録番号が付与されており、バーコード化された商品登録番号を読み取ることで予め登録されている商品と販売価格を読み込み、支払い金額を計算して精算処理を行う。このようなPOS端末によって行われた処理の記録は、POS端末に記録されるとともにPOS端末に接続されたPOS管理手段3によって取得されるようになっている。POS管理手段3は、ディスプレイを有するコンピュータ端末によって構成されている。
【0013】
複数のPOS端末2を設置している店舗の場合には、店舗ごとにPOS管理手段3を設けるのが好ましいが、ネットワークを介して複数のPOS端末2と一つのPOS管理手段3を接続するように構成してもよい。
また、本実施の形態では、管理対象となるすべてのPOS端末の情報を取得して閲覧、分析等を行うことができるPOS統括サーバ5を設けている。POS統括サーバ5は、POS管理手段3によって管理されているPOS端末についてはPOS管理手段3から情報を取得し、POS管理手段3を設けていないPOS端末2についてはPOS端末2から情報を取得する。POS統括サーバ5は、ディスプレイを有するコンピュータ端末によって構成されている。
【0014】
また、カメラ4は防犯カメラとして店内の各所に設置されているものが用いられる。通常は複数のカメラが店内の必要各所に設置されているが、本明細書においては報知システム1に必要なカメラ4についてのみ説明する。
本実施の形態ではこのような防犯カメラの少なくとも一台を、特定の売り場における販売動向を映像として取得するために売り場モニター用カメラとして使用する。カメラ4の映像は、各店舗に設けられた映像記録サーバに記録されるようになっており、接続が許可された他のコンピュータ端末(POS管理手段3やPOS統括サーバ5)によって映像の視聴ができるようになっている。なお、映像記録サーバはPOS管理手段3によって制御されるストレージによって構成してもよいし、メディアサーバ7としてインターネット上に配置されるものでもよい。カメラ4によって撮影された映像は、そのカメラ4によって撮影されている売り場(若しくは売り場にリンクされた情報)を選択することで視聴できるようになっている。なお、サーバに記録されたもののみならず、リアルタイムで売り場の映像を視聴できるように構成してもよい。
【0015】
POS端末2によって生成された販売情報は、一定期間POS端末2やPOS管理手段に記録される。記録された販売情報の一部は、監視サーバ6として設けられたコンピュータ手段からのリクエスト若しくはPOS管理手段に設定された自動処理によって監視サーバ6に送信されるようになっている。監視サーバ6のハードウエアとしての構成はスタンドアローン型の端末形態に限らず、監視サーバとしての機能を有するインターネットに接続されたサーバの形態でもよい。
【0016】
販売情報には、少なくとも販売された商品に割り当てられた商品コード、商品名称、販売価格、販売数量が含まれている。また、監視サーバ6が販売情報を取得する際には、店舗やPOS端末を特定する情報も含まれる。
販売情報が監視サーバ6に送信されるタイミングは、POS端末2が売り上げ処理を行った際若しくは設定された時間ごとである。本実施の形態では、設定された時間というのは、一例として毎正時若しくは送信が行われた後60分ごとである。この設定された時間は、監視サーバ6に生じる負荷を考慮して定められるものであり、監視サーバ6の機能を阻害しない範囲においてできるだけ短い時間であることが好ましい。
【0017】
監視サーバ6は、販売動向の調査を行う対象商品を指定する指定手段を有し、指定された商品に関する販売動向を取得して監視するものである。指定手段は、POS管理手段3若しくはPOS統括サーバ5から提供される商品登録番号を選択して「商品登録」機能を実行することで商品を指定し登録することができる。
図2は、商品登録した商品に関する商品リスト10をディスプレイ上に一覧表示したものを表している。
この商品リスト10は、POS管理手段3若しくはPOS統括サーバ5からもアクセス可能である。
【0018】
図3は商品登録画面11を表している。商品登録では、商品登録番号12を入力することにより商品13が特定される。商品登録番号12が不明な場合には「商品検索」メニューを用いて商品名、メーカー、商品分類等(図示せず)から商品を特定することで商品登録番号を取得する。取得した商品登録番号は、そのまま商品登録画面11に反映させることができる。
商品登録では監視条件14を設定することができる。最も基本的な監視条件は、売り場に展示されている商品の在庫数であり、販売可能な在庫数が一定数を下回った場合に警報を発するようにすることができる。また、特定の商品について販売終了時刻を条件にするなど、様々な条件を設けることも可能である。
【0019】
また、多数の店舗を有する大手企業の場合、監視する店舗やその店舗の売り場を指定することで、監視区域を限定して監視を行うことができるようにしてもよい。監視条件は、前述したものの他、商品の特徴に合わせて各種の項目を設けてもよい。
【0020】
報知システム1の最も適した用途は、小売り店舗で生産して販売する商品について、その商品の売れ行きを監視して、その結果に従って売り場への商品の投入数を加減させることである。店舗で生産して販売する商品の最も一般的なものは、スーパーマーケットで販売されている惣菜や弁当などである。惣菜や弁当などの食品は、原則として製造した当日に販売しなくてはならない。また、製造時刻から起算した販売可能時間は商品によるものの3~6時間以内が好ましい。このような事情から、小売り店舗で販売している商品は作り置きができないものであり、販売動向に合わせて商品を製造し補充する必要がある。
【0021】
店舗で商品が製造され売り場に出された場合、監視サーバ6にその商品の数を登録する。具体的な登録方法の一例として、監視サーバ6とFTPを経由して通信可能に接続されたラベルプリンタ8を使用することができる。ラベルプリンタ8は商品に貼り付ける商品登録番号を符号化したバーコードラベルの発行とバーコードラベルを発行した商品に関する商品数を監視サーバ6に対して送信する装置である。この操作は、売り場に商品を追加する度に行われるものであり、在庫情報などの商品の最新情報が商品リスト10にも反映されるようになっている。
【0022】
前述したように、本実施例に係る報知システム1は、登録した商品について設定した条件に至った場合に、指定された端末に指定された手段で警報を報知するようになっている。また、報知システムは販売データを様々な形態で閲覧できるようになっている。例えば、各商品の売上をランキング形式で表示したり、店舗、日付、時刻範囲を選択して各商品の販売数、生産数、各商品の販売数のグラフを表示したり、1時間ごとの売上個数の変化を折れ線グラフ等にグラフ化して表示させることが可能になっている。
【0023】
報知システム1は、POS管理手段3、POS統括サーバ5などに設定されたアクセス権限に応じて、報知システムが提供する各種データの表示や、設定を行うことができるようになっている。
また、報知システム1は店舗に設置したカメラ4とも連動しており、商品を展示した売り場を選択することで、その売り場若しくは商品と関連づけられたカメラの映像をモニターに表示させることができるようになっている。このようなカメラの映像も、報知システム1を使用してPOS管理手段3、POS統括サーバ4等によって閲覧できるようになっている。
【0024】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、これは一例であって発明の技術的範囲の限定を意図したものではない。また、例示した各例および技術的要素は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において適宜組み合わせ、省略、置き換え、変更、追加を伴って使用することができるものであり、これらについても本明細書に記載されているものであり本発明の技術的範囲に属するものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は惣菜や弁当といったスーパーマーケットにおいて製造し販売する商品の在庫管理に利用可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 報知システム
2 POS端末
3 POS管理サーバ
4 カメラ
5 POS統括サーバ
6 監視サーバ
7 メディアサーバ
8 ラベルプリンタ
10 商品リスト
11 商品登録画面