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特許7194232ナイフエッジを使用したデュアル光学式変位センサのアライメント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】ナイフエッジを使用したデュアル光学式変位センサのアライメント
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
G01B11/06 101H
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021094308
(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公開番号】P2021193373
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】63/035,371
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/229,537
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・コンヨー・ヒュージス
(72)【発明者】
【氏名】シュドヒル・タロレ
(72)【発明者】
【氏名】イアン・シャルルス・バロン
(72)【発明者】
【氏名】マヤンク・カルラ
(72)【発明者】
【氏名】タル・ケッズ
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-020025(JP,A)
【文献】特表2002-533661(JP,A)
【文献】特表2000-515625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光軸(OA)を有する第1ビームを供給するための第1光学式変位センサ(140a)を含む第1スキャナヘッド(191)と、第2OAを有する第2ビームを供給するための第2光学式変位センサ(140b)を含む第2スキャナヘッド(192)と、を備える、スキャナ(190)を含む、デュアル光学式変位センサ用の光学アライメントシステム(100)において、
少なくとも1つのアライメント目標(182)であって、前記第1ビーム及び前記第2ビームと相互作用させるために、前記第1スキャナヘッドと前記第2スキャナヘッドとの間に配置され、前記第1OA及び前記第2OAと本質的に垂直である前記アライメント目標の第1平面内の線に沿って配向された、第1ナイフエッジと、離間されている第2ナイフエッジと、を含む、少なくとも1つのナイフエッジ対を備える、少なくとも1つのアライメント目標と、
前記第1ビームの経路での前記アライメント目標に関連する測定値と、前記第2ビームの経路での前記アライメント目標に関連する測定値とを含む時間対位置データを収集するための、前記第1スキャナヘッド及び第2スキャナヘッドの少なくとも1つにおける光検出器(140a5、140b5)と、
前記第2OAに対する前記第1OAのアライメントの程度を決定するために、前記時間対位置データを受信かつ分析するための少なくとも1つの方程式を実装するコンピューティングデバイス(140a1)、又はプログラムされた回路と、を含む、光学アライメントシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアライメント目標が、それぞれが前記第1平面と平行である異なる平行面に沿って共に配向され、共に一体型構造である、第1アライメント目標と第2アライメント目標とを備え、前記第1アライメント目標と前記第2アライメント目標がそれぞれ、前記ナイフエッジ対を含み、前記ナイフエッジ対の前記第1ナイフエッジと前記第2ナイフエッジが共に、互いに対して50~125°で角度付けられている、請求項1に記載の光学アライメントシステム。
【請求項3】
第1光軸(OA)を有する第1ビームを供給するための第1光学式変位センサ(140a)を含む第1スキャナヘッド(191)と、第2OAを有する第2ビームを供給するための第2光学式変位センサ(140b)を含む第2スキャナヘッド(192)とを備える、スキャナ(190)を含むデュアル光学式変位センサシステム(100)を位置合わせする方法において、
それぞれが第1ナイフエッジと、離間されている第2ナイフエッジと、を含む、第1ナイフエッジ対及び第2ナイフエッジ対を提供する、少なくとも1つのアライメント目標(182)を位置決めすることであって、前記ナイフエッジ対が両方とも、前記第1ビーム及び前記第2ビームと相互作用させるために、前記第1スキャナヘッドと前記第2スキャナヘッドとの間に配置され、前記第1OA及び前記第2OAと本質的に垂直である前記アライメント目標によって画定される第1平面内の線に沿って配向されることと、
前記第1OAに沿ったビーム経路での前記アライメント目標に関連する第1測定、及び前記第2OAに沿った第2ビーム経路での前記アライメント目標に関連する第2測定を実行することで、時間対位置データを収集することと、
前記時間対位置データから、少なくとも1つの方程式を使用して、前記第2OAに対する前記第1OAのアライメントの程度を決定することと、
前記第1OAと第2OAが更に同一直線上になるよう、前記第1スキャナヘッドと前記第2スキャナヘッドの少なくとも一方の位置を調整することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、2020年6月5日付けで出願された「DUAL-OPTICAL DISPLACEMENT SENSOR ALIGNMENT USING KNIFE EDGE」と題する仮出願第63/035,371号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、デュアル光学式変位センサシステムのそれぞれのスキャナヘッドから送信され、本明細書ではビームと称する集束光の軸のアライメントに関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオンバッテリでは、アノード及びカソード電極用のコーティング処理されたシート材を使用する。一般に、リチウムイオンバッテリの製造プロセスは、アノード用のグラファイト化合物と、バッテリセル内のイオン流中に電子コレクタとして作用するカソード用のリチウム金属酸化物化合物とを含む電気化学スラリーを混合することを含む、電極製造プロセスから始まる。次に、このスラリーは、大抵の場合、概してスロットダイコーティングと称されるプロセスを通じて、電極を形成するためのシート材(又は、基材)として金属箔上に均一に広げられる。リチウムイオンバッテリの場合、シート材は、アノード用の銅箔と、カソード用のアルミニウム箔とを含むことが多い。
【0004】
金属箔の片面又は両面をスラリーで均一にコーティング処理したら、オーブンに入れてスラリーを乾燥させる。アノード及びカソードが乾燥されて電極を形成すると、各電極は、カレンダロール間で所望の厚さに圧縮される。これらの電極の厚さは、100μm~300μm以上であってよい。バッテリを形成するために、金属容器内のアノードとカソードとの間にセパレータを配置してから、電解質を加え、最後にアノードとカソードをリード線へと電気的に接続する。電極製造プロセスのプロセス制御の一環として、コーティングの正確な厚さ測定がアノードとカソード共に必要となる。
【発明の概要】
【0005】
本概要は、提示される図面を含む以下の「発明を実施するための形態」で更に詳述される、簡潔に選定された開示の概念を単純な形態で紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の範囲を限定することを意図するものではない。
【0006】
開示の態様は、通常、既知の非接触厚さ(又は、キャリパ)測定が、それぞれ光学式変位センサを含む、頂部と底部のスキャナヘッド(複数可)を含むスキャナを備えるデュアル光学式変位センサシステムによって通常提供されることを認識している。この場合ヘッドは、時に「ウェブ製品」と称されるコーティング処理済みシート材の反対側に配置される。厚さ測定プロセス中、スキャナは測定対象のシート材サンプルに対して移動され、全般的に、スキャナは縦方向と称する一方向に移動する一方、ヘッドは、横方向と称する縦方向に垂直な方向で移動される。ヘッドから送信されるそれぞれのビームの光軸(OA)は、厚さ測定誤差を最小限に抑えるために、最大限同一直線上にある必要がある。厚さ測定誤差は、コーティング処理済みシート材の面積寸法に対するOAの角度が異なることに起因する共線形性の欠如、及びそれぞれの光学式変位センサがコーティング処理済みシート材の反対側の異なる位置(面積)を測定することから生じ得る。
【0007】
更に、それぞれのOAを整列させるために、最初にヘッドを位置合わせしてから、次にOAを整列させた後、アライメントが機械的な力(温度変化に起因する等)の影響を受けたかどうかを判断することも困難である。光学デバイスメーカの中には、このアライメントを実行するソフトウェアやハードウェアによるアライメントツールを提供している企業もある。しかし、こうした既知のアライメントツールは、一部の厚さ測定用途では一般には精度が不十分であり、それぞれのビームのOAのアライメントが50μmに満たないこともある。
【0008】
開示の態様は、リチウムイオンバッテリ電極市場で電極製造のプロセス制御に一般に使用される等の、コーティング処理済みシート材の高精度の厚さ測定を可能にする、デュアル光学式変位センサシステムのアライメント方法を含む。上述のとおり、リチウムイオンバッテリの場合、電極は、一般に金属箔であるシート材の少なくとも片側に電極コーティングを含む、コーティング処理済みシート材を含む。
【0009】
開示のビームアライメントシステム、方法、並びに開示のデュアル光学式変位センサシステムは、デュアル光学式変位システムがスキャンしている間に、コーティング処理済みシート材の反対側に配置された頂部と底部ヘッドから送信されたそれぞれのビームのOAが適切に位置合わせされているかどうか分からないという問題を解決する。開示のビームアライメントシステムは、以下を含む。
1)第1ナイフエッジ及び第2ナイフエッジを含む少なくとも1つのナイフエッジ対を含む4つのナイフエッジを提供する少なくとも1つのアライメント目標。ナイフエッジ対(複数可)は、時間対位置データを取得するためにヘッド間に配置された第1OA及び第2OAと本質的に垂直であるアライメント目標の平面内で配向されている。本明細書で使用される本質的に垂直とは、90°±10°を意味し、典型的には、90°±3°の角度を意味する。アライメント目標は、OAの整列を可能にするために、第2OAに対する第1OAのアライメントの程度を測定可能にするデータを取得するためのものである。また、開示のビームアライメントシステムは、必要に応じて、ビームアライメントが適切であるかどうかを定期的、かつ自動的に点検し、再アライメントが必要であると判断された際にはOAのアライメントを調整できるようにするために使用することもできる。
2)走査型デュアル光学式センサシステム用の自動ビームアライメントプロセス。走査型デュアル光学式変位センサシステムのユーザが開示のビームアライメントプロセスを完了させる指示を提供するよう、コンピュータシステムをプログラムされ得る(例えば、ファームウェアやソフトウェアによって)。相対的なビームアライメントを正確に測定して継続的に記録し、この相対的なビームアライメントを再アライメントで使用可能とすることにより、デュアル光学式変位センサシステムにより提供される厚さ測定の主な誤差源を取り除くことができる。
【0010】
ビーム再アライメントに関して、ビームアライメントデータが生成されると、角度、更に一般には他方のヘッドに対する一般的な一方のヘッドのx位置及びy位置もまた移動可能である。本明細書で使用される場合、ヘッドは、OAの意図された方向でもあるz方向で離間していると見なされる。開示のOAアライメントを達成するには、一方のヘッドをx方向に移動し、もう一方のヘッドをy方向に移動すると機械的に最適になり得る。したがって、一般には、開示のOAアライメントを達成する上で、両方のヘッドを動かす必要はない。ヘッド(複数)ではなく、ヘッド(複数可)内のレンズ(複数可)を調整して、開示のビームアライメントは達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】並進機構を含むスキャナを備えるコーティング処理済みシート材の厚さを測定するための、例示的なデュアル光学式変位センサシステムの上面斜視図を示す図である(並進機構は、図1Bに並進段として示されている)。
【0012】
図1B】頂部ヘッド及び底部ヘッドを含むスキャナ、並びにCフレームをスキャンするように構成された並進段として示される並進機構を示すデュアル光学式変位センサシステムをより詳細に示す。
【0013】
図1C】コーティング処理済みシート材のサンプルの厚さを測定するために位置決めした際、頂部ヘッドと底部ヘッドの光学式変位センサからのビームのOAが互いに位置ずれしている状況を示す模式図である。
【0014】
図2】ナイフエッジテストがどのように機能するかを実証する光学式変位センサを含む頂部ヘッドとして示される分光計と共にナイフエッジを備える、ナイフエッジテスト用の基本要素を示す。ナイフエッジの右側へのビーム部は検出されないため、光学式変位センサ(又は、分光計)では認識されず、光学式変位センサは、ナイフエッジで反射されて頂部ヘッドに戻るビームからの光のみを検出する。光学式変位センサへと優先的に反射された光は、ナイフエッジの線を含むアライメント目標の平面からのものである。
【0015】
図3A】コーティング処理済みシート材の厚さ測定(複数可)を可能にするそれぞれの測定を行うために共に構成される頂部ヘッドと底部ヘッドとして示される第1ヘッド及び第2ヘッドを示す。ナイフエッジは、dとして示される底部ヘッドまでの距離と比較して、dとして示す頂部ヘッドの近くに配置されて示されている。
【0016】
図3B】互いに対して約90°の角度で示される第1ナイフエッジと第2ナイフエッジとを含むナイフエッジ対を含む、統合された(一体型)目標として構成された例示的なアライメント目標を示す。
【0017】
図4A】測定範囲の中心が範囲の中心(COR)として示されるそれぞれのヘッドの範囲の終端で示される、測定範囲が重なり合っている頂部ヘッドと底部ヘッドとして示される2つの対向するヘッドを示す。
【0018】
図4B】同じく図4Aに示されるCORでxy平面に沿って見た側面図であり、ここでは、アライメント目標がアライメント目標1とアライメント目標2として示され、アライメント目標1がアライメント目標2よりも高く、更に、第1標準化タイル及び第2標準化タイルがSTDZ1とSTDZ2としてCORに沿って示される。
【0019】
図4C図4Bで示される各アライメント目標(目標1と目標2として図示)が互いに90度に、ビームの進行方向(OA)に対して45度に配向された2つのナイフエッジを備えることを示す、図4Bに示されるのと同じ配置の上面図を示す。
【0020】
図4D】ヘッドH及びHが標準化タイルを横断する際、これらヘッドに関して示されている、上面におけるヘッドの位置ずれの一例のタイミング図であり、この図のy軸は受信強度を示す。
【0021】
図4E】現時点での下面にあるH、Hの頂部から見たビームの位置ずれを示す。
【0022】
図5】異なるナイフエッジのZ軸エッジ位置(「エッジ位置」として単位mmで示される、プロットのx軸)にて、ひいては任意単位を用いた、測定された反射強度の読み取り値(プロットのy軸)を示す。CORに対してzとして報告される3つの異なるナイフエッジ位置が存在する(+はヘッドに近く、-はヘッドから離れ、位置はz=3mm、z=-3mm、及びz=0.6mmとして示される)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付の図面を参照して、開示の態様について説明する、類似又は同等の要素を示すために、図面を通じて類似の参照番号を使用する。図面は、縮尺どおりに描かれておらず、それらは、本明細書に開示される態様を単に例示するために提供される。いくつかの開示される態様は、例証のための例示的な用途に言及しながら以下に記載される。本明細書で開示の態様について十分理解できるよう、多数の具体的な詳細、関係、及び方法が示されていることを理解されたい。
【0024】
本開示の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるが、特定の例で示された数値はできる限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。更に、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に包含される任意の及び全てのサブ範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「10未満」の範囲は、ゼロの最小値と10の最大値との間の任意の及び全てのサブ範囲、すなわち、ゼロ以上の最小値及び10以下の最大値、例えば、1~5の任意の及び全てのサブ範囲を含むことができる。
【0025】
当技術分野において既知であるように、「レーザ三角測量センサ」は、レーザ光源及び光検出器を含む。レーザビームは目標に投影され、反射信号は、通常、電荷結合素子(CCD)、相捕型金属酸化膜半導体(CMOS)、又は位置検出器(PSD)である光検出器で検出される。色共焦点センサの場合、光源は波長のスペクトル(範囲)を供給するか、センサ内に発光ダイオード(LED)やレーザダイオードなどの単色光源があり、この光源では、多色又は「白色」光は、単色光源からの狭スペクトル光を一般に蛍光体で変換することで生成され、複数のLED又はレーザダイオードが存在する場合がある。多色光や白色光は、ピンホールとも称されるヘッドの光学素子の小さな開口部、又は目標に投影される光ファイバの先端等の仮想ピンホールの類似物から生成され、目標から反射された光は、反射モード動作で、同じ開口部(又は、光学的に同等の開口部から)を通じて光検出器によって検出される。
【0026】
こうした色共焦点センサでは、光検出器を含む分光計を使用して、開口部を通る各波長で測定された光の強度を分析するが、スペクトル(波長)情報によって目標の位置を決定することがある。色共焦点センサに欠かせない機能は、光の各波長がOAに沿って狭い範囲に集束されるよう、光が色分散性の高いレンズを通ることである。アライメント目標が特定波長の焦点面にある場合、その波長での反射光強度が最大になる。この特性を使用すると、通常、1つの目標までの距離を正確に測定できる(例えば、センサの目標距離6mmで0.01マイクロメートルの解像度)。
【0027】
図1Aは、並進機構(以下に説明する図1Bの並進機構195を参照)を含むCフレーム198として示されるスキャナ190を更に備える、コーティング処理済みシート材180の厚さを測定するためのセンサシステム100の上面斜視図を示す。代替的には、図示のCフレームは、O-フレームでもよい。光学式変位センサ140aは、スキャナ190の頂部ヘッド191として示されるヘッド内に収容される。
【0028】
光学式変位センサ140aは、デュアル光学式変位センサシステムの一部であり、光学式変位センサ140aは、デュアル光学式変位センサシステムから提供される光源により供給される光から集束ビームを生成するための少なくとも1つのレンズ(一般には、複数のレンズ)を含む。更に、センサシステム100は、入射光を検出するための光検出器、及びナイフエッジを使用し、開示のOAアライメントアルゴリズムを実装するコンピューティングデバイス又はプログラムされた回路を含み、このコンピューティングデバイス又はプログラムされた回路は、スキャナ190内に配置可能であるか、あるいは、一般に、センサシステム100内の任意の場所に配置してもよい。更に、光検出器はヘッドに存在する必要はない。例えば、光検出器は、長い光ファイバケーブルでヘッドに通信可能に接続することができる。
【0029】
光学式変位センサ140aは、光学式変位センサ、又はレーザ三角測量センサ等の別の種類の光学式変位センサを含み得る。色共焦点センサを使用して本明細書で一般的に説明されているが、本開示は、開示の態様がレーザ三角測量センサでも実施可能である。
【0030】
図1Bは、センサシステム100内のスキャナ190に関するより詳細な図を示しており、頂部ヘッド191、更にここでは、底部ヘッド192、及びCフレーム198のモータ駆動スキャン用に構成された並進機構195が示されている。並進機構や並進段として一般に知られているものに加えて、Cフレーム198を移動させる既知の様々な方法がある。この構成において、頂部ヘッド191と底部ヘッド192は共に、頂部ヘッド191内の光学式変位センサ140aとして示される光学式変位センサと、底部ヘッド192で示される光学式変位センサ140bとを含む。頂部ヘッド191と底部ヘッド192との間の距離はz方向で示され、これは、本明細書ではこの距離について総じて使用される。開示のアライメント目標182は、z方向のヘッド同士の間隔の中心近くの頂部ヘッド191と底部ヘッド192との間で配置された簡略化形態で示されている。
【0031】
プロセッサ140a2と、開示のアルゴリズム140a4を格納するように示されるメモリ140a3とを含むコンピューティングデバイス140a1へと通信可能に接続された光検出器140a5を備える、光学式変位センサ140aが図示されている。同様に、プロセッサ140b2と、開示のアルゴリズム140b4を格納するように示されるメモリ140b3とを含むコンピューティングデバイス140b1へと通信可能に接続された光検出器140b5を備える、光学式変位センサ140bが図示されている。コンピューティングデバイスの代替として、開示のアルゴリズムを実装するようにプログラムされたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラムされた回路もあり得る。
【0032】
図1Cは、頂部ヘッドの光学式変位センサ140aからのビームのOAがOAとして示されるビームを発していることを示し、底部ヘッドの光学式変位センサ140bからのビームのOAがOAとして示されるビームを発していることを示し、これらのOAがコーティング処理済みシート材のサンプルの厚さを測定する際に互いに対して位置がずれている(コーティング処理済みシート材はヘッド間にあるが、図示されていない)状況を示す概略図である。開示のアライメント目標の全体的な性質は、各アライメント目標の第1ナイフエッジ及び第2ナイフエッジの相対的な位置が既知であり、一定に保たれていることである。アライメント目標は、鋼等を含む薄い圧延金属で製造可能であり、鏡のような表面にする必要はない。ナイフエッジを含むアライメント目標を形成するためのパターンは、ウォータージェットを使用して切り出すことができるが、これは、開示のアライメント目標用のナイフエッジを製造するための一例にすぎない。1つの材料片から4つのナイフエッジ全て(第1アライメント目標用に2つ、第2アライメント目標用に2つ)を作成できるが、第1アライメント目標用の1片と、第2アライメント目標用のもう一片という、2つの片を作る方が一般的には簡単である。
【0033】
ここで、図1A図1Bで示すスキャナ190のようなスキャナによって、複数のナイフエッジを含む少なくとも1つのアライメント目標を備える開示の厚さ測定システムを使用する方法について説明する。リチウムバッテリメーカなどの塗工シート材メーカは、電極等の製品の総キャリパ(厚さ)を常時把握したいと考えていることが多い。両面(2ヘッド)光学測定では、コーティング処理済みシート材製品の厚さを測定できる。厚さ測定の誤差を無くすために、第1光学式変位センサ及び第2光学式変位センサからのビームのそれぞれのOAが互いに十分に整列していることが重要であるので、スキャンでCフレーム198を使用することができる。Cフレーム198では、頂部ヘッド191と底部ヘッド192は互いに良好に整列されて、これらは個々に移動しないので、それぞれのビームのOAは整列している。Cフレーム198全体で、並進段等の並進機構195に取り付けられた際に概ねシート状のコーティング処理済みシート材180の面積をスキャンする。
【0034】
厚さ測定を行うには、一般に、頂部ヘッド191と底部ヘッド192との間のz方向で図示された距離を知る必要がある。この距離決定は、機械設計、及び既知の厚さの基準標準化「タイル」に対する定期的な標準化によって実行できるか、又はホール効果センサ、巨大磁気抵抗(GMR)センサ、フラックスゲートセンサ等の磁気zセンサにより、定期的な標準化も使用して測定できる(フレームの剛性が低い場合)。剛性が低いフレームでは、本質的に剛性が無限であっても、熱膨張/収縮はヘッド間の分離距離を変え得る。
【0035】
図2は、光線のOAを決定するための単一ナイフエッジ試験の基本要素を示す。これらの基本要素は、ナイフエッジテストがどのように機能するかを実証する頂部ヘッドにある上記の光学式変位センサ140aとして示される分光計と共に、ナイフエッジ215を備える。ナイフエッジ215の右側へのビーム部は検出されないため、光学式変位センサ140a(又は、光学式変位センサ140aの位置にある分光計)では認識されず、光学式変位センサは、ナイフエッジ215で反射されて頂部ヘッドに戻るビームからの光のみを検出する。光学式変位センサ140aへ優先的に反射された光は、ナイフエッジ215で画定された線を含むアライメント目標の平面にある。
【0036】
頂部ヘッド内の光検出器のナイフエッジ215からの影響を受けた後の反射光の強度、又は頂部ヘッドの反対側のナイフエッジ215の右側にある光検出器によってナイフエッジ215からの影響を受けた後の透過光の強度を監視することで、時間対位置のデータを取得して、焦点位置の中心を決定できるようにすることができる。
【0037】
色共焦点センサでは、上記のとおり、多色光線はOAに沿って集束されるが、その様々な波長はOAに沿った異なる位置に集束される。一般に、より赤い光(より長い波長)は、より青い光(より短い波長)よりも前の(レンズに近い方の)ヘッドのレンズによって集束される。様々な位置でそれぞれの焦点位置を定める線がOA上にあり、この線は直線である必要がある。
【0038】
デュアル光学式変位センサシステムがコーティング処理済みシート材の厚さを正確に測定できるようにするには、第1色共焦点測定及び第2色共焦点測定などからの2つの光学式変位センサ測定が必要である。上記のとおり、第1レーザ三角測量センサ及び第2レーザ三角測量センサを使用してコーティング処理済みシート材の厚さを測定することもできるが、この説明において第1色共焦点センサ及び第2色共焦点センサを使用するのは、例示にすぎない。一般的にデュアル光学式変位センサシステムの厚さ測定の精度を最大限に高めるには、図3Aで更に詳しく説明するように、図3Aで頂部ヘッド191と底部ヘッド192として示す2つのヘッドからのビームのOAが単一のOA325で示されるように同一直線上にある必要がある。
【0039】
この方法は、第1ヘッドと第2ヘッドとの間のクロストークを軽減するステップを含む。時間対位置データを収集する際、第1時点で、第1光学式変位センサからの第1ビームをオンに制御し、第2光学式変位センサからの第2ビームをオフに制御する。第2時点で、第2光学式変位センサからの第2ビームをオンに制御し、第1光学式変位センサからの第1ビームをオフに制御する。クロストーク緩和手段がないと、第2ヘッドは第1ヘッドからの光を認識することになり、またその逆も同様であり、クロストークに起因する誤差が発生する。ヘッド間のクロストークを本質的に無くす方法の1つとしては、互いに位相外れで動作するよう、両光源をパルス化することである。つまり、ある時点において、第1光学式変位センサの光源と検出器がオンで、第2光学式変位センサの光源と検出器がオフになり、その後、1/2周期(T)後の時点において、第2光学式変位センサがオンで、第1光学式変位センサがオフとなる。
【0040】
図3Aは、コーティング処理済みシート材の厚さ測定(複数可)を可能とするためのそれぞれの測定を行うよう共に構成される、光学式変位センサ140aを含む頂部ヘッド191、及び光学式変位センサ140bを含む底部ヘッド192として再度図示されている第1色共焦点ヘッド及び第2色共焦点ヘッドを示す。ナイフエッジ215は、dとして示す底部ヘッド192までの距離と比較して、dとして示されるように、共焦点頂部ヘッド191の近くに配置されて図示されている。コーティング処理済みシート材の厚さ測定の精度を最大限にするには、それぞれのヘッド191、192によって送信されるビームのOAが同一直線上にある必要があり、これは、複数のナイフエッジ215を含む少なくとも第1アライメント目標を含む開示の光学アライメントシステムによって可能となる。ビームのOAを同一直線上に配置するための測定を行うには、後述の図4Bで示す等のように、それぞれが本質的にOAに垂直である2つの異なる平行面(一方のナイフエッジ対が使用され得るように、同時に配置されることは必要としない)のナイフエッジ対に関連付けられたアライメント目標を位置決めする必要がある。
【0041】
4つのナイフエッジでヘッドの位置ずれを判断することが多く、結果、4つを超える追加のナイフエッジにより、冗長なアライメント情報が一般には得られる。上述のように、ビームの鏡面反射を提供するようにナイフエッジが構成される必要はない。開示の態様では、ヘッドがナイフエッジ上にある際、ナイフエッジは、所与の時間でビームの1つのみと相互作用する。干渉の影響を避けるために、一度に1つのヘッドで測定することが知られている。しかし、この方法は、ビームパルスを含むことがあり、測定は、使用されている2つのヘッド間にて短時間で交互に行われる。
【0042】
ナイフエッジとビームの相互作用に関して、ヘッド間に配置されたナイフエッジを使用して、ビーム強度の半分が戻る場所に対応する、ビームの焦点の中央の点を決定する。ナイフエッジを有するアライメント目標をヘッドに対して(xy面、及び/又はz方向/OAで)移動できるが、本明細書では、ヘッドは概してナイフエッジに対して移動するものとして述べられており、この場合、アライメント目標(複数可)を、「タイルホルダ」とも称されるホルダ内で保持可能である。本明細書では、概ね反射を使用して説明しているが、開示の態様は、透過を使用しても実施できる。
【0043】
一般に、開示のアライメント目標のナイフエッジでは、任意の鋭敏な直定規を使用できる。同じz位置(コーティング処理済みシート材の厚さ方向)での反射が両側から本質的に同じになるよう、つまり、アライメント目標の両側のヘッドから入射するビームに同じ光学効果が得られるよう、ナイフエッジを薄くする必要がある。
【0044】
図3Bは、第1ナイフエッジ351と第2ナイフエッジ352とを含むナイフエッジ対を備える統合された(一体型)目標として構成された例示的なアライメント目標350を示し、この図では、ナイフエッジ351、352は、互いに対して約90°の角度で示されており、一般には互いに対して80~100度等、50°~125°である。アライメント目標の平面は、xy方向(ページの平面内)に向けて示される。それぞれ2つのナイフエッジを含むナイフエッジ対を含む第1アライメント目標及び第2アライメント目標等の4つのナイフエッジをまとめて提供する、第1ナイフエッジ対及び第2ナイフエッジ対を有する少なくとも1つのアライメント目標を使用して、開示のシステムと方法について(以下に説明する図4C図4Dにおいて)概ね説明しているが、ビームが第1xy平面の目標を横断した後、アライメント目標を再配置し、再度、ビームが第2xy平面にてこれを横断するよう、単一のアライメント目標(アライメント目標350など)を再配置可能であり、アライメント目標の平面は、OAの方向に対して本質的に垂直に方向付けられて、2つの異なる平行面をカバーする4つのナイフエッジを有するのと同じ効果が得られる。しかし、上述のとおり、実際には、異なるz距離で提供される2つのアライメント目標350を使用することで可能となるように、2つのナイフエッジを含むナイフエッジ対をそれぞれ有する第1アライメント目標及び第2アライメント目標を使用する方が簡単であることが多い。
【0045】
また、共焦点測定を行う場合、光検出器を使用して、開示のアライメント目標を光学式変位センサの間に配置した時から反射して戻ってきた光を測定することも可能である。ゼロと見なせるアライメント目標が配置されていない場合に対応して生成された基準強度の読み取り値が存在し、アライメント目標がヘッド間に完全に配置されると、強度読み取り値が存在する。(以下に説明する図5で示されるナイフエッジ強度測定データを参照)。アライメント目標を配置せずに基準強度を読み取る必要はないが、測定精度を高めるために、基準強度レベルを考慮に入れることが望ましい場合がある。強度を測定するヘッド内の光検出器のアレイに反射して戻る強度が、これら2つの強度値(ヘッド間にアライメント目標がある場合と、ない場合の測定強度)の中間にある場合、ナイフエッジはOA上に配置される。
【0046】
上述のとおり、他のヘッドで透過強度を測定することも可能であるが、その配置はあまり望ましくない場合がある。ビームを供給する同じヘッドに反射光を戻すことを使用する利点は、ナイフエッジが焦点位置(共焦点位置による)にあることである。代わりに透過光を使用すると、一般に、焦点の外れた光によってバックグラウンドレベルが著しくなる。また、もう片方のヘッドが上手く整列していないと、ヘッドの縁周囲の光を失う場合がある。2つのヘッドのOAが同一線上にあることを知るには、ナイフエッジがOAに沿った2つの位置にて同じ場所で強度が半分の地点を通過することを知るだけで十分である。
【0047】
それぞれのヘッドが適切に整列されるようにそれぞれのヘッドを互いに位置合わせした後、OAアライメントを監視するには一般的には有用であり、したがって、機械的な力によってそれぞれのヘッドの相対的な移動が生じ、結果OAが位置ずれ状態であるかどうかを検出することができる。位置ずれが検知された場合、これにより、デュアル光学式変位センサから提供されるコーティング処理済みシート材の厚さ測定の精度を維持するために、スキャナのメンテナンスが必要であるというプロンプトアラートを送信できる。それ故、1構成では、デュアル光学式変位センサシステムは、少なくとも1つのナイフエッジにわたりスキャンされる(2つの色共焦点ヘッドによる)。単一ナイフエッジをスキャンしてアライメントの変化を検出できるが、完全なアライメントを実施するには、一般に、第1ナイフエッジ対を備える第1アライメント目標と、第2ナイフエッジ対を備える第2アライメント目標とを使用して開示の測定を行う。この場合、それぞれのヘッドからのOAに関する完全なアライメント決定を行うために、それぞれのアライメント目標は、本質的にOAに垂直な異なる平面内で配向される。
【0048】
アライメント目標、ひいては、ナイフエッジで画定される線が85~95°の角度等のOAと略垂直な平面で配向される場合、ナイフエッジと垂直な方向であり、更にはOAと垂直な方向で、ビームのOAの相対的な位置ずれを決定できる。それ故、少なくとも、ビームが同一直線上にあることを確認するため、又はそれぞれのビームのOAの相対的な位置ずれを測定するために、各ヘッドから送信されたビームを4つのナイフエッジのそれぞれへと、一度に1つずつ通過させる必要がある。2つのナイフエッジ位置のそれぞれに1パスとして、2つのパスを使用できる。測定範囲の最も近いエッジ等の、ナイフエッジをヘッドに近づける第1パスと、2つのナイフエッジ間の最大距離を提供するための測定範囲の最も離れたエッジ等の、ナイフエッジをヘッドから遠ざける第2パスで、最高の角度解像度が得られる。
【0049】
レーザ三角測量センサの場合におけるビームアライメント手順は、色共焦点変位センサについて本明細書で記載されているものと同じでよい。三角測量装置では、光検出器に入射する強度を監視するモードで使用できるが、これはいずれの技術でも通常動作モードではない。
【0050】
一例のスキャナ設計において、開示のアライメント目標を保持するため、更に、標準化タイルを保持するために使用できるプラスチック材料を一般に含むタイルホルダにわたってヘッドを通過させる。上記のとおり、タイルホルダの主な目的は、標準化タイルの厚さを定期的に測定し、厚さ測定が正確であることを確認できるよう、タイルを保持することである。タイルホルダには、それぞれナイフエッジ対を有するアライメント目標として機能できる薄い板金製の2片を追加できる。以下で述べる図4B図4Cは、それぞれがナイフエッジ対を提供する目標1と目標2として示される第1アライメント目標及び第2アライメント目標、並びにSTDZ1とSTDZ2として示される第1標準化目標及び第2標準化目標を示しており、これらの目標は、全般的に単一タイルホルダによって所定位置に保持される。目標1と目標2はそれぞれ、図3Bで示すアライメント目標350を含み得る。
【0051】
関連する適切なメモリを有するコンピューティングデバイスを含むプリント回路基板アセンブリ(PCBA)上に実装された回路、あるいは全般的にPCBAがスキャナ内に配置される回路上で実行するソフトウェア等のソフトウェアにより、スキャナのヘッドの少なくとも1つの位置、及び/又は角度を変更することによって、OA(複数可)の動きを制御できる。PCBAは、PCB上ではんだペーストを印刷した後、用途に応じて、抵抗器、マイクロプロセッサ等のコンピューティングデバイスを含む集積回路(IC)、コンデンサ、並びに変圧器等の他の構成要素を取り付けた後で得られるボードである。このソフトウェアは、スキャナの並進機構を駆動するモータエンコーダに接続できる。一般に、モータエンコーダは解像度が十分高いので、任意の低速で移動するように命令できる(エンコーダカウントは数ミクロンと小さい)。次に、スキャンの速さによって、タイミングを物理的位置ずれに関連付けることができる。
【0052】
図4Aは、頂部ヘッド191(H1)と底部ヘッド192(H2)として示される2つの対向するヘッドを示し、測定範囲の中心がH1/H2の範囲の中心(COR)として示されるそれぞれのヘッドの範囲191、192の終端で示される測定範囲が重なり合っている。全ての測定範囲は、上述のとおりz軸が紙面に沿っているので、本明細書に記載の全ての平面が、シートに対して垂直である(かくして、xy平面に沿って配向される)ことにより、紙面に対して垂直である同じ平面において異なる高さ(z次元)にある。したがって、それぞれの範囲の3つの平面は、z次元の異なる位置にあるので、互いに平行であり、同じxy平面ではない。
【0053】
図4Bは、同じく図4Aに示されるCORにて、xy平面に沿って見た側面図であり、ここでは、アライメント目標が目標1と目標2として示され、目標1が目標2よりも高く示され、更には標準化タイルがSTDZ1とSTDZ2として示されている。目標1と目標2は、互いに対して約90°(80°~100°、より一般的には、50°~125°等)、ひいては、OAに沿ったスキャナの進行方向に対して約45度の角度で配向された第1ナイフエッジ及び第2ナイフエッジを有するナイフエッジ対を含む、図3Bに示されるアライメント目標350を含み得る。
【0054】
したがって、目標1は、頂部ヘッド191に近く、底部ヘッド192から離れて配置されて示され、一方、目標2は、頂部ヘッド191から離れ、底部ヘッド192の近くに配置される。上述のとおり、位置ずれ測定の最大角度解像度を実現するために、あるアライメント目標を測定範囲の始点に配置でき、更にはあるアライメント目標を測定範囲の終点に配置できる。STDZ1とSTDZ2もCORに沿って配置されており、STDZの厚さはそれぞれ異なる。
【0055】
標準化は、厚さ測定値と厚さ値が既知である標準化タイルと呼ばれる測定用サンプルと比較し、次に標準化タイルがセンサシステムによって再度測定された際、正しい(既知の)厚さ値を読み取るように、センサシステムのオフセットや傾斜を調整するプロセスとして知られている。通常、標準化は、例えば、20分ごと等、定期的に実施される。標準化を実行する前後は、通常、それぞれのOAのアライメントをチェックするのに都合が良い時期である。標準化タイルは、既知でありかつ面積全体にわたって均一である厚さを有し、研磨金属や半導体材料等を含む。
【0056】
図4Cは、図4Bと同じ配置の平面図を示す。この図では、各アライメント目標(目標1と目標2として図示)は、互いに対して90度、及び「移動経路」として示されている1次元でのスキャナの移動方向に対して45度で配向された2つのナイフエッジを有する、ナイフエッジ対を含む。
【0057】
図4Dは、ヘッド191、192が標準化用のアライメントタイル上を横断する際に示される上面における例示的なヘッドのずれのタイミング図であり、図のy軸では、一般に反射のみを使用して実行可能な共焦点測定用の受信強度が示されている。図中のH1とH2は、相対的なヘッドの位置ずれである。ナイフエッジで画定された線を含む、アライメント目標のxy平面に垂直なビームアライメントは、式dx’=vel・dt/cos(45度)により、それぞれのヘッド191、192で受信される強度信号のタイミングの差(dt)(受信時間の差である)から決定可能であり、式中、dx’がナイフエッジに垂直な方向で長さが短くなるよう、x’はナイフエッジの地点に垂直な方向であり、更「vel」はスキャナの速度(速さ)である。この式は、OAに対する45°の目標角度を変更すると汎用できる。
【0058】
図4Eは、現時点で下面にあるH1とH2の相対的なビームの位置ずれを示す。図4Eには、このタイミング図につながる位置ずれのある2つの点がある。
【0059】
それぞれが第1ナイフエッジ及び第2ナイフエッジを有する第1アライメント目標及び第2アライメント目標を有するデュアル光学式変位センサにおいて、各ヘッドからのビームのOAの初期アライメントを実行するために、以下の例示的ステップを実施できる。
【0060】
4つのナイフエッジ全てにわたってヘッドをスキャンして、dx’1、dy’1、dx’2、dy’2を決定する。上記において、dx’は、第1方向のナイフエッジに垂直な位置ずれ方向であり、dy’は、第1方向に垂直な他の方向の位置ずれであり、下付き文字1、2は、上位アライメント目標、又は下位アライメント目標のいずれかを示す。
【0061】
ヘッドは、x方向及びy方向の双方で並進移動するようにされているが、これはヘッドに関してはスキャン移動(この場合、コーティング処理済みシート材の面積寸法に対する面内移動を意味する)ではないことを意味しており、更に回転することで所望のそれぞれのOAを調整するようにされていると認識される。アライメントの調整を行うために、センサヘッドの少なくとも1つの位置を調整できる。簡易なアルゴリズムを使用して、OAアライメントを実行するようにユーザを誘導するアライメント位置を決定できる。一般には、これは4工程プロセスである。
【0062】
十分高い強度の読み取り値に到達するまで、エンコーダ位置を使用し、ヘッド間の少なくとも1つのアライメント目標で1つのヘッドの角度や位置を調整するようユーザを指示し、適宜、他のヘッドについても繰り返して、モータで駆動される並進段によりスキャナを位置決めできる。強度読み取り値は、アライメントが十分良好であることを緑光で示す等により、コンピュータ画面に表示されるグラフを介してユーザに通知できる。これは、必要であると判断された場合、他のナイフエッジで繰り返すことができる。これを数回繰り返して、アライメントを一層改善できる。
【0063】
この例示セクションでは、必要と思われる回数だけビームアライメントを提供するために反復可能な開示のアライメントアルゴリズムを示す。これを複数回行う必要があるのは、角度を変更する際、開示のアルゴリズムにおける原因となるヘッドの並進移動もあることが多いからである。十分に解明できない誤差も起こり得る。したがって、この反復操作を実行する1つの理由は、ユーザエラーが起こり得るからである。アライメントに対する強度応答を、以下の図5で示す。この上記手順に従うことによって、基本的に不慣れなデュアル光学式変位センサシステムのユーザに、システムのそれぞれのビームのOAを位置合わせするよう、自動で指示することができる。
【0064】
OAが位置合わせされると、開示のアライメント構成を使用して、ビームアライメントを監視することもできる。CフレームやOフレームの熱膨張、又は予期しない機械的な力により、ヘッドの位置がずれる恐れが出る。一般に、開示のアライメント構成により、約20分ごとに標準化測定を実行できる。この時点で、光学式変位センサのOA位置ずれを測定し、測定したOA位置ずれを、最大x値、最大y値、及び最大角度値を含む閾値と比較することができる。測定された位置ずれがこれらの3つの閾値のいずれかを超えると、ヘッドのアライメントが調整されていない場合に測定が不正確である可能性があることをユーザに通知するアラームを出すことができる。
【0065】
更に、開示の態様は、上記のように単一ビームを供給するのではなく、それぞれが正方形グリッド内に4つのピンホールを有する等の、複数の別個のビームスポットを提供する複数のピンホールを有するヘッドを備えるデュアル光学式変位センサシステムへの応用も含む。アライメント原理は本質的に同じであり、アライメント目標も同じで、同じ単一測定パスを含むが、複数のピンホールのデータを提供する目的のみで改良される。本開示の態様において、第1ヘッドはそれぞれ、第1複数のピンホールを含み、第2ヘッドは、第2複数のピンホールを含み、各グリッドは、複数の別個のビームスポットを提供するためのものであり、更に、この方法は、第1グリッドが第2グリッドと整列するよう、第1ヘッドと第2ヘッドの1つをそのOA中心に直接回転させるために、単一パスで情報を生成することを含み、位置の調整は、第1グリッドを第2グリッドに回転的に整列させることも更に含む。
【0066】
それ故、実際のところ、本開示態様には、複数のピンホールを備えるそれぞれのグリッドが回転的に整列される必要があることが主に追加される。これは、第1ヘッド及び第2ヘッドのピンホールのグリッドが同じ平面上にあるようにヘッドの1つが捻れていることである。第1ヘッド及び第2ヘッドのグリッドを位置合わせするための回転アライメントが完了した後、全てのピンホールに必要なアライメントの動きを平均化することで、アライメントを実施できる。
【0067】
したがって、1つのピンホールに各ヘッド内で1つのビームを供給させるのではなく、そのヘッドは、複数のビームスポットを供給する複数のピンホールを含み得る。ピンホールの間隔が狭く、同じ平面(OAに垂直)にある場合、同じ光学素子を使用して各ピンホールのヘッドからの距離を検出できる。ヘッドごとに4つのピンホールを有するグリッドの場合におけるこのような設定では、測定の基礎となる最適な2つ又は3つのピンホールを選択することができる(例えば、範囲の中央での2測定)。これでは、他のヘッドのピンホールに対応するように全てのピンホールを位置合わせする必要があり、より複雑になる。
【0068】
光学素子が正しく選択されれば、複数のピンホールの間隔はzに対して一定のままであり、かくして、一方のヘッドにおける複数のピンホールの間隔は、他方のヘッドからの間隔と一致することが分かっている。これが正しい場合、それぞれのヘッドからの全てのピンホール(例えば、8つのピンホール)の位置を平面内で決定できる。次のステップは、ピンホールがもう一方のヘッドのピンホールと一致するよう、ある一方のヘッドをOA中心に回転させることである。これは、見つけられる一方のヘッドからの2つの隣接する点を通る線、次にもう一方のヘッドからの2つの隣接する点を通る線、並びにこれらの線が成す角度として、極めて簡単に計算できる。このアライメント手順の説明は、オペレータの表示画面に表示される。
【実施例
【0069】
本発明の開示態様は、以下の特定実施例によって更に例証され、これは、いかなる方法であっても、本開示の範囲や内容を制限するものとして解釈しないものとする。
【0070】
図5は、図4Aで示すアライメント目標の配置に対応する、OAに沿った異なる位置(エッジの位置をmm単位で図示)での反射強度の測定値(データプロットのy軸)を示す。示される3つの位置は、CORに対してzとして報告される(+zはヘッドに近く、-zはヘッドから遠い)。ビーム経路にナイフエッジがない場合、その強度は<10である。ナイフエッジからの反射により、ナイフエッジのいずれかがビーム経路に完全に配置されている場合、測定された強度読み取り値は、>80である。したがって、OAは読み取り値が約45である場所(2つの読み取り値の平均であり;ビームを1/2貫通するものとして)である。共焦点ヘッドからのビームのこのスポットサイズは、約40ミクロンであった。
【0071】
図5等の強度対位置のデータを使って、第1ヘッド及び第2のヘッドからのそれぞれのビームのOAをどのように位置合わせするかについて、それぞれのヘッドのOAを表す2本の線(へッドごとに1本)を数学的に定義できる。目標は、片方、又は両方のヘッドを回転、移動することにより、これらの線がより同一直線上になるようにすることである。以下の例示セクションでは、オペレータがビームアライメントを支援するために使用できる、ビームのOAを同一直線上に配置するために必要な動きの計算方法について説明する。
【0072】
以下は、オペレータ向けのヘッドアライメント支援の例であり、これは、MATLABコードで実装可能であり、ビームのそれぞれのOAを同一直線上に配置するために必要な動きを計算するために使用される。図5のようなデータを使用することで、ヘッドのOAを表す直線の方程式をヘッドごとに求められる。これらの線を理想的な線と比較する。この比較から、x方向(1.5mm等)、y方向(2.7mm等)、及び角度(1.1°等)でのヘッド(複数可)の必要な動きが決まる。次に、オペレータはこれらの移動値でヘッド(複数可)を移動させ、それぞれのOAを位置合わせできる。ある構成では、上記のとおり、1つのヘッドを移動させて、y方向の位置合わせを修正し、更に、もう1つのヘッドを移動させて、y方向の位置合わせを修正する。一般に、角度を2次元で調整する必要がある。角度調整は、例えば、mm単位のVernierインジケータを用いて精密なネジで実施できる。通常、角度と目盛り読み取り値との変換は、システムに入力されるので、ユーザは、ネジを0.xxxmm移動させるなど、ネジを移動するように指示される、なお、xは1から9までの数字を示す。
【0073】
様々な開示態様について上述してきたが、それらは単なる例として提示されており、限定を意味するものではないことを理解されたい。開示態様への多数の変更は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本開示に従ってなされ得る。したがって、本開示の広範性及び範囲は、上述した態様のいずれにも限定されるべきではない。むしろ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従って定義されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5