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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】電気化学反応セルスタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0258 20160101AFI20221214BHJP
   H01M 8/24 20160101ALI20221214BHJP
   H01M 8/0273 20160101ALI20221214BHJP
   H01M 8/0206 20160101ALI20221214BHJP
   H01M 8/026 20160101ALI20221214BHJP
   C25B 1/042 20210101ALI20221214BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20221214BHJP
   C25B 9/65 20210101ALI20221214BHJP
   C25B 9/70 20210101ALI20221214BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20221214BHJP
   H01M 8/242 20160101ALN20221214BHJP
   H01M 8/2483 20160101ALN20221214BHJP
【FI】
H01M8/0258
H01M8/24
H01M8/0273
H01M8/0206
H01M8/026
C25B1/042
C25B9/23
C25B9/65
C25B9/70
H01M8/12 101
H01M8/12 102A
H01M8/242
H01M8/2483
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021147671
(22)【出願日】2021-09-10
【審査請求日】2022-10-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519322392
【氏名又は名称】森村SOFCテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】特許業務法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森川 哲也
【審査官】守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第6945035(JP,B1)
【文献】特開2020-009744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02
H01M 8/24
H01M 8/12
C25B 9/00
C25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する燃料極および空気極と、を含む単セルと、
前記単セルに接続される導電性部材である特定導電性部材と、
前記単セルに電気的に接続される導電性のインターコネクタであって、前記第1の方向において前記特定導電性部材と対向する導電性部分であるインターコネクタ導電性部分を備えるインターコネクタと、
をそれぞれ有し、前記第1の方向に並べて配置された複数の電気化学反応単位を備え、
各前記電気化学反応単位において、前記燃料極に面する燃料室と、前記空気極に面する空気室と、が形成され、
前記燃料室と前記空気室との少なくとも一方である特定ガス室の少なくとも一部である第1のガス流路が、前記第1の方向視で前記単セルに対して外側において、前記特定導電性部材と前記インターコネクタ導電性部分とによって画定されており、
少なくとも1つの前記電気化学反応単位である特定電気化学反応単位は、前記第1のガス流路内に位置する導電性のガス流通部材であって、前記第1のガス流路の一部である第2のガス流路が形成されたガス流通部材を有する、電気化学反応セルスタックにおいて、
前記特定電気化学反応単位は、前記ガス流通部材と、前記特定導電性部材と前記インターコネクタ導電性部分との少なくとも一方との間に位置する絶縁性部材を備える、
ことを特徴とする電気化学反応セルスタック。
【請求項2】
請求項1に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、
前記ガス流通部材は、金属によって構成され、
前記ガス流通部材に、前記第2のガス流路を構成する複数の溝が形成され、
前記第1の方向視において、
前記複数の溝は、前記ガス流通部材から最も近い前記単セルの辺に沿った第2の方向に並んでおり、
各前記溝は、前記第2の方向に交差する方向に延伸している、
ことを特徴とする電気化学反応セルスタック。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、
前記第1の方向に沿い、かつ、前記単セルを含む少なくとも1つの断面において、
前記第1のガス流路を画定する前記特定導電性部材と前記インターコネクタ導電性部分とのうちの一方には、前記ガス流通部材を収容する収容溝が形成され、
前記特定導電性部材と前記インターコネクタ導電性部分とのうちの他方と前記ガス流通部材との間に位置する前記絶縁性部材は、前記特定導電性部材と前記インターコネクタ導電性部分とのうちの上記一方から離隔している、
ことを特徴とする電気化学反応セルスタック。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、
前記特定電気化学反応単位は、さらに、前記ガス流通部材と前記絶縁性部材とについての前記第1の方向に直交する面方向の相対位置の位置決めをする位置決め機構を備える、
ことを特徴とする電気化学反応セルスタック。
【請求項5】
請求項4に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、
前記第1の方向視において、前記ガス流通部材の全体は、前記絶縁性部材に重なっている、
ことを特徴とする電気化学反応セルスタック。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電気化学反応セルスタックにおいて、
前記ガス流通部材の前記第1の方向の長さは、前記絶縁性部材の前記第1の方向の長さよりも長い、
ことを特徴とする電気化学反応セルスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、電気化学反応セルスタックに関する。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の種類の1つとして、固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という。)が知られている。SOFCは、一般に、複数の構成単位(以下、「発電単位」という。)が所定の方向(以下、「第1の方向」という。)に並べて配置された燃料電池スタックの形態で利用される。各発電単位は、燃料電池単セル(以下、単に「単セル」という。)と、単セルに接続される単セル用セパレータと、インターコネクタとを有する。単セルは、固体酸化物を含む電解質層と、電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極とを備える。単セル用セパレータは、空気室(空気極に面する空間)と燃料室(燃料極に面する空間)とを区画する導電性部材である。インターコネクタは、単セルに電気的に接続される導電性部材である。インターコネクタは、第1の方向において単セル用セパレータと対向する導電性部分(以下、「インターコネクタ導電性部分」という。)を備える。燃料室と空気室との少なくとも一方(以下、「特定ガス室」という。)の少なくとも一部(以下、「第1のガス流路」という。)は、第1の方向視で単セルの外側において、単セル用セパレータとインターコネクタ導電性部分とによって画定されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-62655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の燃料電池スタックの構成では、発電運転中に、燃料室内のガスの圧力と空気室内のガスの圧力との間に差が生じる。例えば、空気室におけるガスの圧力が、燃料室におけるガスの圧力より高くなる。そのため、従来の燃料電池スタックの構成では、燃料室と空気室との間のガスの圧力差に起因して単セル用セパレータに応力が生じ、単セル用セパレータにおける単セルや他の部材に支持されていない部分(比較的変形しやすい部分)が変形するおそれがある。このような変形が、単セル用セパレータに発生すると、第1のガス流路におけるガスの流れが阻害されて燃料電池スタックの性能が低下するおそれがある。
【0005】
なお、このような課題は、単セル用セパレータを、単セルに接続される他の導電性部材に置き換えた構成においても共通の課題である。また、当該課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」という。)の構成単位である電解セル単位を複数備える電解セルスタックにも共通の課題である。なお、本明細書では、燃料電池単セルと電解単セルとをまとめて電気化学反応単セルと呼び、燃料電池発電単位と電解セル単位とをまとめて電気化学反応単位と呼び、燃料電池スタックと電解セルスタックとをまとめて電気化学反応セルスタックと呼ぶ。また、このような課題は、SOFCやSOECに限らず、他のタイプの電気化学反応セルスタックにも共通の課題である。
【0006】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0008】
(1)本明細書に開示される電気化学反応セルスタックは、電解質層と、前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する燃料極および空気極と、を含む単セルと、前記単セルに接続される導電性部材である特定導電性部材と、前記単セルに電気的に接続される導電性のインターコネクタであって、前記第1の方向において前記特定導電性部材と対向する導電性部分であるインターコネクタ導電性部分を備えるインターコネクタと、をそれぞれ有し、前記第1の方向に並べて配置された複数の電気化学反応単位を備え、各前記電気化学反応単位において、前記燃料極に面する燃料室と、前記空気極に面する空気室と、が形成され、前記燃料室と前記空気室との少なくとも一方である特定ガス室の少なくとも一部である第1のガス流路が、前記第1の方向視で前記単セルに対して外側において、前記特定導電性部材と前記インターコネクタ導電性部分とによって画定されており、少なくとも1つの前記電気化学反応単位である特定電気化学反応単位は、前記第1のガス流路内に位置する導電性のガス流通部材であって、前記第1のガス流路の一部である第2のガス流路が形成されたガス流通部材を有する、電気化学反応セルスタックにおいて、前記特定電気化学反応単位は、前記ガス流通部材と、前記特定導電性部材と前記インターコネクタ導電性部分との少なくとも一方との間に位置する絶縁性部材を備える。
【0009】
本電気化学反応セルスタックでは、ガス流通部材を備えることにより、特定導電性部材やインターコネクタ導電性部分が変形して特定導電性部材とインターコネクタ導電性部分とが接触することが抑制される。そのため、本電気化学反応セルスタックによれば、特定導電性部材とインターコネクタ導電性部分とが接触することに起因してガスの流れが阻害されることを抑制することができる。
【0010】
さらに、本電気化学反応セルスタックによれば、導電性を有するガス流通部材と特定導電性部材とインターコネクタ導電性部分との少なくとも一方との間に位置する絶縁性部材を備えることにより、特定導電性部材とインターコネクタ導電性部分とが、導電性を有するガス流通部材を介して短絡することを抑制することができる。
【0011】
(2)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記ガス流通部材は、金属によって構成され、前記ガス流通部材に、前記第2のガス流路を構成する複数の溝が形成され、前記第1の方向視において、前記複数の溝は、前記ガス流通部材から最も近い前記単セルの辺に沿った第2の方向に並んでおり、各前記溝は、前記第2の方向に交差する方向に延伸している構成としてもよい。
【0012】
本電気化学反応セルスタックにおいては、上記のような構成である複数の溝が形成されていることにより、ガスが第1の方向視における第2の方向に交差する方向に拡散しやすくなり、ひいては、上記電気化学反応セルスタックの発電性能を向上させることができる。さらに、ガス流通部材は、金属によって構成されるものであるため、他の材料(例えば、セラミックス)によって構成されるものと比較して、上記の複数の溝を容易に形成(例えば、プレス機を用いて形成)することが可能である。
【0013】
(3)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記第1の方向に沿い、かつ、前記単セルを含む少なくとも1つの断面において、前記第1のガス流路を画定する前記特定導電性部材と前記インターコネクタ導電性部分とのうちの一方には、前記ガス流通部材を収容する収容溝が形成され、前記特定導電性部材と前記インターコネクタ導電性部分とのうちの他方と前記ガス流通部材との間に位置する前記絶縁性部材は、前記特定導電性部材と前記インターコネクタ導電性部分とのうちの上記一方から離隔している構成としてもよい。
【0014】
仮に、第1のガス流路やガス流通部材(特に、溝)が上記のような構成であり、かつ、絶縁性部材が特定導電性部材とインターコネクタ導電性部分とのうちの一方に接触している構成(以下、「比較構成」という。)においては、絶縁性部材の存在によって、ガスの流路が塞がれることにより、ガスの流れが阻害される。これに対し、本電気化学反応セルスタックにおいては、上記断面(第1の方向に沿い、かつ、単セルを含む少なくとも1つの断面)において、ガスの流れは、絶縁性部材が特定導電性部材とインターコネクタ導電性部分とのうちの一方から離隔しているため、上記の比較構成のようにガスの流れが阻害されることはなく、ガスの良好な流通性を確保することができる。
【0015】
(4)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記特定電気化学反応単位は、さらに、前記ガス流通部材と前記絶縁性部材とについての前記第1の方向に直交する面方向の相対位置の位置決めをする位置決め機構を備える構成としてもよい。
【0016】
仮に位置決め機構を備えない従来の構成においては、ガス流通部材と絶縁性部材とについての第1の方向に直交する面方向の相対位置がずれやすく、これにより第1の方向視において絶縁性部材がガス流通部材と重ならない部分の面積が大きくなり、ひいてはガスの流通性が阻害されるといった問題が生じやすい。これに対し、本電気化学反応セルスタックにおいては、ガス流通部材と絶縁性部材とについての第1の方向に直交する面方向の相対位置の位置決めをする位置決め機構を備えることにより、上記のような問題が生じることが抑制される。
【0017】
(5)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記第1の方向視において、前記ガス流通部材の全体は、前記絶縁性部材に重なっている構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックでは、上述したような第1の方向視においてガス流通部材が絶縁性部材と重ならない部分が、より生じにくくなる。従って、本電気化学反応セルスタックによれば、特定導電性部材とインターコネクタ導電性部分とが短絡することを、より効果的に抑制することができる。
【0018】
(6)上記電気化学反応セルスタックにおいて、前記ガス流通部材の前記第1の方向の長さは、前記絶縁性部材の前記第1の方向の長さよりも長い構成としてもよい。本電気化学反応セルスタックにおいては、ガス流通部材の第1の方向の長さが絶縁性部材の第1の方向の長さ以下である構成と比較して、ガス流通部材の第1の方向の長さが大きいことにより、効率的に、第2のガス流路を通るガスの流通性を向上させることができ、ひいては上記電気化学反応セルスタックの発電性能を向上させることができる。
【0019】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電気化学反応セルスタック(燃料電池スタックまたは電解セルスタック)、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図
図2図1のII-IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図
図3図1のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図
図4図1のIV-IVの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図
図5図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図
図6図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図
図7図4に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図
図8図5から図7のVIII-VIIIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図
図9図5から図7のIX-IXの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図
図10図5から図7のX-Xの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図
図11】ガス流通部材50の外観構成を概略的に示す説明図
図12】発電単位102の一部(図6のXpの部分)のXY断面(図9および図10のXII-XII断面)構成を拡大して示す説明図である。
図13】発電単位102の一部のXY断面(図10のXIII-XIII断面)構成を拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
A.実施形態:
A-1.構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1(および後述する図8および図9)のII-IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1のIII-IIIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図4は、図1のIV-IVの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図5以降についても同様である。
【0022】
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)燃料電池発電単位(以下、単に「発電単位」という。)102と、下端用セパレータ189と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106のうちの一方(以下、「上側エンドプレート104」という。)は、7つの発電単位102と下端用セパレータ189とから構成される集合体(以下、「発電ブロック103」という。)の上側に配置されており、一対のエンドプレート104,106のうちの他の(以下、「下側エンドプレート106」という。)は、発電ブロック103の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102と下端用セパレータ189とから構成される集合体(以下、「発電ブロック103」という。)を上下から挟むように配置されている。なお、上記配列方向(Z軸方向、上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向の一例である。
【0023】
図1および図4に示すように、燃料電池スタック100を構成する各層(上側エンドプレート104、各発電単位102、下端用セパレータ189)のZ軸方向回りの外周の4つの角部付近には、各層を上下方向に貫通する孔が形成されており、下側エンドプレート106のZ軸方向回りの外周の4つの角部付近における上側の表面には、孔(ネジ孔)が形成されている。これらの各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、上下方向に延びるボルト孔109を構成している。以下の説明では、ボルト孔109を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、ボルト孔109と呼ぶ場合がある。
【0024】
各ボルト孔109にはボルト22が挿入されている。各ボルト22の下端部は下側エンドプレート106に形成されたネジ孔に螺号しており、各ボルト22の上端部にはナット24が嵌められている。ナット24の下側の表面は、絶縁シート26を介してエンドプレート104の上側の表面に当接している。このような構成のボルト22およびナット24により、燃料電池スタック100の各層が一体に締結されている。なお、絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
【0025】
また、図1から図3に示すように、燃料電池スタック100を構成する各層(各発電単位102、下端用セパレータ189、下側エンドプレート106)のZ軸方向回りの周縁部には、各層を上下方向に貫通する4つの孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、最上部の発電単位102から下側エンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、連通孔108と呼ぶ場合がある。
【0026】
図1および図2に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周を構成する1つの辺(Y軸に平行な2つの辺のうちのX軸正方向側の辺)の付近に位置する1つの連通孔108は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102の後述する空気室166に供給するガス流路である酸化剤ガス供給マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺のうちのX軸負方向側の辺)の付近に位置する1つの連通孔108は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へ排出するガス流路である酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、酸化剤ガスOGとしては、例えば空気が使用される。
【0027】
また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100のZ軸方向回りの外周を構成する辺のうち、上述した酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する連通孔108に最も近い辺の付近に位置する他の1つの連通孔108は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102の後述する燃料室176に供給するガス流路である燃料ガス供給マニホールド171として機能し、上述した酸化剤ガス供給マニホールド161として機能する連通孔108に最も近い辺の付近に位置する他の1つの連通孔108は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へ排出するガス流路である燃料ガス排出マニホールド172として機能する。なお、燃料ガスFGとしては、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。
【0028】
図2および図3に示すように、燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。図2に示すように、酸化剤ガス供給マニホールド161の位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス供給マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、図3に示すように、燃料ガス供給マニホールド171の位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス供給マニホールド171に連通しており、燃料ガス排出マニホールド172の位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。なお、各ガス通路部材27と下側エンドプレート106の表面との間には、絶縁シート26が介在している。
【0029】
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、Z軸方向視での外形が略矩形の平板状の部材であり、例えばステンレス等の導電材料により形成されている。一対のエンドプレート104,106の中央付近には、それぞれ、Z軸方向に貫通する孔32,34が形成されている。Z軸方向視で、一対のエンドプレート104,106のそれぞれに形成された孔32,34の内周線は、後述する各単セル110を内包している。そのため、各ボルト22およびナット24による締結によって生じるZ軸方向の圧縮力は、主として各発電単位102の周縁部(後述する各単セル110より外側の部分)に作用する。また、本実施形態では、上側エンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側エンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
【0030】
(下端用セパレータ189の構成)
下端用セパレータ189は、Z軸方向視での外形が略矩形の平板状の部材であり、例えば金属により形成されている。下端用セパレータ189の周縁部は、最も下側の発電単位102と下側エンドプレート106との間に挟み込まれた状態で、下側エンドプレート106と例えば溶接により接合されており、下側エンドプレート106と電気的に接続されている。
【0031】
(発電単位102の構成)
図5は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図6は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図7は、図4に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。また、図8は、図5から図7のVIII-VIIIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図であり、図9は、図5から図7のIX-IXの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図である。
【0032】
図5から図7に示すように、発電単位102は、燃料電池単セル(以下、「単セル」という。)110と、単セル用セパレータ120と、空気極側フレーム130と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電部材144と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ190および一対のIC用セパレータ180とを備えている。単セル用セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、IC用セパレータ180におけるZ軸方向回りの周縁部には、各マニホールド161,162,171,172として機能する各連通孔108を構成する孔と、各ボルト孔109を構成する孔とが形成されている。なお、単セル用セパレータ120は、特許請求の範囲における特定導電性部材の一例である。
【0033】
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んでZ軸方向に互いに対向する空気極114および燃料極116と、電解質層112と空気極114との間に配置された反応防止層118とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で単セル110を構成する他の層(電解質層112、空気極114、反応防止層118)を支持する燃料極支持形の単セルである。
【0034】
電解質層112は、Z軸方向視で略矩形の平板形状部材であり、固体酸化物(例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア))を含むように構成されている。すなわち、本実施形態の単セル110は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。空気極114は、Z軸方向視で電解質層112より小さい略矩形の平板形状部材であり、例えばペロブスカイト型酸化物(例えば、LSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物))を含むように構成されている。燃料極116は、Z軸方向視で電解質層112と略同じ大きさの略矩形の平板形状部材であり、例えば、Ni(ニッケル)、Niとセラミック粒子からなるサーメット、Ni基合金等により形成されている。反応防止層118は、Z軸方向視で空気極114と略同じ大きさの略矩形の平板形状部材であり、例えばGDC(ガドリニウムドープセリア)とYSZとを含むように構成されている。反応防止層118は、空気極114から拡散した元素(例えば、Sr)が電解質層112に含まれる元素(例えば、Zr)と反応して高抵抗な物質(例えば、SrZrO)が生成されることを抑制する機能を有する。
【0035】
単セル用セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の貫通孔121が形成されたフレーム状の導電性部材であり、例えば、金属により形成されている。単セル用セパレータ120の板厚は、比較的薄く、例えば0.05mm以上、0.2mm以下程度である。単セル用セパレータ120における貫通孔121を取り囲む部分(以下、「貫通孔周囲部」という。)は、単セル110(電解質層112)の周縁部における上側の表面に対向している。単セル用セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、単セル110(電解質層112)と接合されている。従って、単セル用セパレータ120は、接合部124を介して単セル110に電気的に接続されていると言える。単セル用セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリーク(クロスリーク)が抑制される。
【0036】
単セル用セパレータ120は、単セル用セパレータ120の貫通孔周囲部(貫通孔121を取り囲む部分)を含む内側部126と、内側部126より外側に位置する外側部127と、内側部126と外側部127とを連結する連結部128とを備える。本実施形態では、内側部126および外側部127は、Z軸方向に略直交する方向に延びる略平板状である。また、連結部128は、内側部126と外側部127との両方に対して下側に突出するように湾曲した形状となっている。連結部128における下側(燃料室176側)の部分は凸部となっており、連結部128における上側(空気室166側)の部分は凹部となっている。このため、連結部128は、Z軸方向における位置が内側部126および外側部127とは異なる部分を含んでいる。
【0037】
単セル用セパレータ120における貫通孔121付近には、ガラスを含むガラスシール部125が配置されている。ガラスシール部125は、接合部124に対して空気室166側に位置しており、単セル用セパレータ120の貫通孔周囲部の表面と、単セル110(本実施形態では電解質層112)の表面との両方に接触するように形成されている。ガラスシール部125により、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリーク(クロスリーク)が効果的に抑制される。
【0038】
インターコネクタ190は、略矩形の平板形状の平板部150と、平板部150から空気極114側に突出した複数の略柱状の空気極側集電部134とを有する導電性の部材であり、金属(例えば、フェライト系ステンレス)により形成されている。本実施形態では、インターコネクタ190の表面(空気室166に面する表面)に、例えばスピネル型酸化物により構成された導電性の被覆層194が形成されている。以下では、被覆層194に覆われたインターコネクタ190を、単に「インターコネクタ190」という。各発電単位102において、上側のインターコネクタ190(の平板部150)は、単セル110に対して空気室166を挟んで上側に配置されている。上側のインターコネクタ190(の各空気極側集電部134)は、例えばスピネル型酸化物により構成された導電性接合材196を介して、単セル110の空気極114に接合されており、これにより単セル110の空気極114に電気的に接続されている。また、各発電単位102において、下側のインターコネクタ190は、単セル110に対して燃料室176を挟んで下側に配置されており、後述する燃料極側集電部材144を介して、単セル110の燃料極116に電気的に接続されている。インターコネクタ190は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を抑制する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ190は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ190は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ190と同一部材である。また、燃料電池スタック100は下端用セパレータ189を備えているため、燃料電池スタック100において最も下側に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ190を備えていない(図2から図4参照)。
【0039】
IC用セパレータ180は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の貫通孔181が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。IC用セパレータ180の板厚は、比較的薄く、例えば0.05mm以上、0.2mm以下程度である。IC用セパレータ180は、Z軸方向において単セル用セパレータ120と対向している。IC用セパレータ180における貫通孔181を取り囲む部分(以下、「貫通孔周囲部」という。)は、インターコネクタ190の平板部150の周縁部における上側の表面に例えば溶接により接合されている。ある発電単位102に含まれる一対のIC用セパレータ180のうち、上側のIC用セパレータ180は、該発電単位102の空気室166と、該発電単位102に対して上側に隣り合う他の発電単位102の燃料室176とを区画する。また、ある発電単位102に含まれる一対のIC用セパレータ180のうち、下側のIC用セパレータ180は、該発電単位102の燃料室176と、該発電単位102に対して下側に隣り合う他の発電単位102の空気室166とを区画する。このように、IC用セパレータ180により、発電単位102の周縁部における発電単位102間のガスのリークが抑制される。なお、燃料電池スタック100において最も上側に位置する発電単位102の上側のインターコネクタ190に接合されたIC用セパレータ180は、上側エンドプレート104に電気的に接続されている。
【0040】
IC用セパレータ180は、IC用セパレータ180の貫通孔周囲部(貫通孔181を取り囲む部分)を含む内側部186と、内側部186より外側に位置する外側部187と、内側部186と外側部187とを連結する連結部188とを備える。本実施形態では、内側部186および外側部187は、Z軸方向に略直交する方向に延びる略平板状である。また、連結部188は、内側部186と外側部187との両方に対して下側に突出するように湾曲した形状となっている。連結部188における下側(空気室166側)の部分は凸部となっており、連結部188における上側(燃料室176側)の部分は凹部(後述する収容溝129)となっている。このため、連結部188は、Z軸方向における位置が内側部186および外側部187とは異なる部分を含んでいる。
【0041】
以下において、インターコネクタ190とIC用セパレータ180とからなる複合体を、単に「インターコネクタ190」という。なお、IC用セパレータ180を含むインターコネクタ190は、特許請求の範囲におけるインターコネクタの一例である。また、IC用セパレータ180は、特許請求の範囲におけるインターコネクタ導電性部分の一例である。
【0042】
図5から図8に示すように、空気極側フレーム130は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。空気極側フレーム130は、単セル用セパレータ120の周縁部における上側の表面と、上側のIC用セパレータ180の周縁部における下側の表面とに接触しており、両者の間のガスシール性(すなわち、空気室166のガスシール性)を確保するシール部材として機能する。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のIC用セパレータ180間(すなわち、一対のインターコネクタ190間)間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス供給マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通流路132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通流路133もとが形成されている。
【0043】
図5から図7および図9に示すように、燃料極側フレーム140は、中央付近にZ軸方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム140は、単セル用セパレータ120の周縁部における下側の表面と、下側のIC用セパレータ180の周縁部における上側の表面とに接触している。また、燃料極側フレーム140には、燃料ガス供給マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通流路142と、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通流路143とが形成されている。
【0044】
図5から図7に示すように、燃料極側集電部材144は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電部材144は、インターコネクタ対向部146と、電極対向部145と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。電極対向部145は、燃料極116の下側の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ190(の平板部150)の上側の表面に接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下側に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ190を備えていないため、該発電単位102における燃料極側集電部材144のインターコネクタ対向部146は、下端用セパレータ189に接触している。燃料極側集電部材144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ190(または下端用セパレータ189)とを電気的に接続する。なお、燃料極側集電部材144の電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサー149が配置されている。そのため、燃料極側集電部材144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電部材144を介した燃料極116とインターコネクタ190(または下端用セパレータ189)との電気的接続が良好に維持される。
【0045】
A-2.ガス流通部材50および絶縁性部材56の構成:
本実施形態の燃料電池スタック100は、さらにガス流通部材50および絶縁性部材56を備える。以下、ガス流通部材50および絶縁性部材56の構成について説明する。上述したように、図9は、図5から図7のIX-IXの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図である。図10は、図5から図7のX-Xの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図である。図11は、ガス流通部材50の外観構成を概略的に示す説明図である。図12は、発電単位102の一部(図6のXpの部分)のXY断面(図9および図10のXII-XII断面)構成を拡大して示す説明図である。図13は、発電単位102の一部のXY断面(図10のXIII-XIII断面)構成を拡大して示す説明図である。なお、図12および図13に示された燃料電池スタック100の断面は、燃料電池スタック100における、Z軸方向に沿い、かつ、単セル110を含む断面であると言える。
【0046】
図9から図13までに示すように、燃料室176は、Z軸方向視において、燃料室176のうち、単セル110に重なる部分(以下、「単セル重複流路」という。)177と、単セル110に重ならない部分(換言すれば、単セル110に対して外側に位置する部分)(以下、「単セル非重複流路」という。)178とを有する。単セル非重複流路178は、主に単セル用セパレータ120とインターコネクタ190(より具体的には、IC用セパレータ180)とによって画定されている。なお、燃料室176の一部である単セル非重複流路178は、特許請求の範囲における第1のガス流路の一例である。
【0047】
(ガス流通部材50について)
図9および図11に示すように、ガス流通部材50は、全体として所定の方向(本実施形態ではY軸方向)に延びる長尺状の導電性部材であり、例えば金属により形成されている。ガス流通部材50は、その略全体を占める中央部53と、中央部53のY軸方向の両端それぞれに位置する端部54,55とを有している。なお、図11では、ガス流通部材50の中央部53の一部が図示されており、ガス流通部材50の中央部53における延伸方向(Y軸方向)の両端部、およびガス流通部材50の端部54,55の図示が省略されている。
【0048】
ガス流通部材50の中央部53は、板材の中央部を断面が波形になるように折り曲げ加工して作製された部分であり、ガス流通部材50の端部54,55は、当該板材の端部により構成される平板状部分である。すなわち、ガス流通部材50の中央部53は、ガス流通部材50全体の延伸方向(Y軸方向)に直交する方向(XZ面内方向)に延伸する平板状の複数の部分(以下、「第1の部分51」という。)と、それぞれ、隣り合う2つの第1の部分51の端部間を接続する平板状の複数の第2の部分52とが、ガス流通部材50全体の延伸方向(Y軸方向)に交互に並んだ構成を有している。ガス流通部材50の中央部53はこのような構成であるため、ガス流通部材50の中央部53には、上側および下側に、ガス流通部材50全体の延伸方向(Y軸方向)に交差(本実施形態では直交)する方向(本実施形態ではX軸方向)に延びる複数の溝179が形成されていると言える。なお、第1の部分51の延伸方向(XZ面内方向)は、Z軸方向に直交する方向(XY面内方向)に平行ではない。換言すれば、第1の部分51の延伸方向は、Z軸方向に直交する方向(XY面内方向)に交差する方向である。また、本実施形態では、各第2の部分52は、上下方向(Z軸方向)に直交する方向(XY面内方向)に延伸する平板状の部分である。
【0049】
ガス流通部材50の板厚t1は、0.05mm以上、0.2mm以下程度であり、例えば0.1mmである。また、ガス流通部材50の高さh1(Z軸方向の大きさ)は、0.4mm以上、1.0mm以下程度であり、例えば0.7mmである。なお、ガス流通部材50に形成された溝179の深さd1は、ガス流通部材50の高さh1と板厚t1との差分(h1-t1)である。また、ガス流通部材50の幅W1(X軸方向の大きさ)は、1mm以上、7mm以下程度であり、例えば4mmである。また、ガス流通部材50における隣り合う2つの第1の部分51の間の距離l1は、例えば5mm以上、15mm以下程度であり、例えば10mmである。
【0050】
図9図10図12および図13に示すように、ガス流通部材50は、発電単位102における燃料室176(より具体的には、単セル非重複流路178)内に配置されている。本実施形態では、ガス流通部材50は、IC用セパレータ180(より具体的には、連結部188)上に載置されている。また、本実施形態では、燃料電池スタック100に含まれるすべての発電単位102の燃料室176に、それぞれ2つのガス流通部材50(第1のガス流通部材50aおよび第2のガス流通部材50b)が配置されている。なお、図12および図13では、2つのガス流通部材50のうちの第1のガス流通部材50a側の断面が示され、第2のガス流通部材50b側の断面の図示は省略されているが、第2のガス流通部材50b側の断面の構成(特に、ガス流通部材50や、後述する絶縁性部材56の構成)は、第1のガス流通部材50a側の断面の構成と同様である。また、図13では、ガス流通部材50が有する2つの端部54,55のうちの一方54側の断面が示されているが、2つの端部54,55のうちの他方55側の断面の構成(特に、ガス流通部材50や、後述する絶縁性部材56の構成)は、2つの端部54,55のうちの一方54側の断面の構成と同様である。
【0051】
図9に示すように、Z軸方向視において、複数の溝179は、ガス流通部材50(50a、50b)から最も近い単セル110の辺(SI1、SI2)に沿った方向であるY軸方向に並んでいる。具体的には、第1のガス流通部材50aに形成された複数の溝179は、第1のガス流通部材50aから最も近い単セル110の辺SI1に沿った方向であるY軸方向に並んでおり、第2のガス流通部材50bに形成された複数の溝179は、第2のガス流通部材50bから最も近い単セル110の辺SI2に沿った方向であるY軸方向に並んでいる。
【0052】
また、図5および図6に示すように、各発電単位102において、2つのガス流通部材50は、Z軸方向視で、単セル用セパレータ120およびIC用セパレータ180と重なる位置に配置されている。より具体的には、2つのガス流通部材50は、Z軸方向視で、単セル用セパレータ120およびIC用セパレータ180の各連結部128、188と重なる位置に配置されている。
【0053】
また、図9に示すように、第1のガス流通部材50aは、Z軸方向視で、燃料ガス供給連通流路142と単セル110およびインターコネクタ190の平板部150との間に配置され、第2のガス流通部材50bは、Z軸方向視で、燃料ガス排出連通流路143と単セル110およびインターコネクタ190の平板部150との間に配置されている。
【0054】
また、本実施形態では、第1のガス流通部材50a全体の延伸方向(Y軸方向)は、単セル110における燃料ガス供給連通流路142に対向する辺である第1の辺SI1と平行である。また、第1の辺SI1に平行な方向(Y軸方向)に沿った第1のガス流通部材50aの長さL0は、第1の辺SI1の長さL1の2分の1以上となっている。より具体的には、第1のガス流通部材50aの長さL0は、第1の辺SI1の長さL1以上となっている。同様に、第2のガス流通部材50b全体の延伸方向(Y軸方向)は、単セル110における燃料ガス排出連通流路143に対向する辺である第2の辺SI2と平行である。また、第2の辺SI2に平行な方向(Y軸方向)に沿った第2のガス流通部材50bの長さL0は、第2の辺SI2の長さL1の2分の1以上となっている。より具体的には、第2のガス流通部材50bの長さL0は、第2の辺SI2の長さL1以上となっている。
【0055】
上述したように、各ガス流通部材50には、X軸方向に延びる複数の溝179が形成されている。各溝179の延伸方向(X軸方向)は、燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向と一致している。燃料ガス供給マニホールド171から燃料ガス供給連通流路142を介して燃料室176に供給された燃料ガスFGの少なくとも一部は、第1のガス流通部材50aに形成された各溝179内を通過して単セル110(燃料極116)に面する位置に至り、また、単セル110に面する位置から第2のガス流通部材50bに形成された各溝179内を通過して燃料ガス排出連通流路143に面する位置に至り、燃料ガス排出連通流路143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出される。すなわち、溝179の存在により、ガス流通部材50を燃料室176内に配置しても、燃料室176における燃料ガスFGの流れが阻害されることを抑制することができる。なお、各ガス流通部材50に形成された複数の溝179は、単セル非重複流路178の一部であり、特許請求の範囲における第2のガス流路の一例である。
【0056】
また、図9に示すように、本実施形態の燃料電池スタック100では、各発電単位102は、さらに、ガス流通部材50をIC用セパレータ180(より具体的には、連結部188)に固定するための4つの固定部60を備えている。固定部60は、第1のガス流通部材50aの両端部54,55側に1つずつ、第2のガス流通部材50bの両端部54,55側に1つずつ配置されている。各固定部60は、所定の方法(例えば、ロウ付けや溶接等)により形成され、IC用セパレータ180(の連結部188)上に固定された部分であり、例えば、ガラス、ロウ材、溶接痕によって形成される。さらに、ガス流通部材50の各端部54,55は、Z軸方向視において、IC用セパレータ180上に固定された固定部60の周囲の少なくとも一部を囲む(換言すれば、把持する)形状をなしており、これにより、IC用セパレータ180に対するガス流通部材50のXY面内方向(特に、Y軸方向、X軸方向)の位置ずれが抑制される。
【0057】
また、本実施形態の燃料電池スタック100のIC用セパレータ180は、上述したように、内側部186と外側部187と連結部188とを備え、連結部188は、内側部186と外側部187との両方に対して下側に突出するように湾曲した形状となっている。より詳細には、図12および図13に示すように、IC用セパレータ180の連結部188は、第1部分1881と、第2部分1882と、第3部分1883とから構成されている。第1部分1881は、内側部186に繋がり、かつ、X軸正方向に向かうにつれてZ軸正方向に位置するようにX軸に対して傾斜する方向に延伸している。第2部分1882は、外側部187に繋がり、かつ、X軸正方向に向かうにつれてZ軸負方向に位置するようにX軸に対して傾斜する方向に延伸している。第3部分1883は、第1部分1881と第2部分1882とを連結し、かつ、X軸方向に延伸している。なお、本実施形態では、単セル用セパレータ120の連結部128についても、同様の形状である第1部分1281と第2部分1282と第3部分1283とから構成されている。
【0058】
また、図12および図13に示すように、ガス流通部材50は、IC用セパレータ180の連結部188により画定された溝(以下、「収容溝」という。)129に収容されている。なお、本実施形態では、ガス流通部材50の全体が収容溝129に収容されている。そのため、ガス流通部材50のX軸方向の最大長さは、収容溝129のX軸方向の最大長さよりも短く、ガス流通部材50のY軸方向の最大長さは、収容溝129のY軸方向の最大長さよりも短い。
【0059】
(絶縁性部材56について)
図10図12および図13に示すように、絶縁性部材56は、全体として、ガス流通部材50における延伸方向(Y軸方向)に延びる長尺板状の絶縁性部材であり、例えばマイカにより形成されている。
【0060】
図9および図10に示すように、Z軸方向視において、絶縁性部材56は、ガス流通部材50の全体に重なるように位置している。換言すれば、Z軸方向視において、ガス流通部材50の全体は、絶縁性部材56に重なっている。
【0061】
また、図10に示すように、本実施形態では、絶縁性部材56全体の延伸方向(Y軸方向)は、単セル110における燃料ガス供給連通流路142に対向する辺である第1の辺SI1と平行である。また、第1の辺SI1に平行な方向(Y軸方向)に沿った第1の絶縁性部材56aの長さL10は、第1の辺SI1の長さL1の2分の1以上となっている。より具体的には、第1の絶縁性部材56aの長さL10は、第1の辺SI1の長さL1より長くなっている。同様に、第2の絶縁性部材56b全体の延伸方向(Y軸方向)は、単セル110における燃料ガス排出連通流路143に対向する辺である第2の辺SI2と平行である。また、第2の辺SI2に平行な方向(Y軸方向)に沿った第2の絶縁性部材56bの長さL10は、第2の辺SI2の長さL1の2分の1以上となっている。より具体的には、第2の絶縁性部材56bの長さL10は、第2の辺SI2の長さL1以より長くなっている。
【0062】
図12および図13に示すように、絶縁性部材56は、ガス流通部材50と単セル用セパレータ120との間に位置している。なお、本実施形態では、絶縁性部材56は、ガス流通部材50と単セル用セパレータ120のそれぞれに接触している。
【0063】
図10図12および図13に示すように、絶縁性部材56は、その略全体を占める中央部57と、中央部57のY軸方向の両端それぞれに位置する端部58,59とを有している。図12および図13に示すように、絶縁性部材56の各端部58,59のX軸方向(換言すれば、絶縁性部材56の全体の延伸方向(Y軸方向)に直交する方向)の長さは、中央部57のX軸方向の長さよりも長くなっている。なお、本実施形態では、絶縁性部材56の中央部57のX軸方向の長さは、収容溝129の底面(IC用セパレータ180の連結部188の第3部分1883により画定される面)のX軸方向の長さよりも短い。また、絶縁性部材56の各端部58,59のX軸方向の長さは、収容溝129の底面のX軸方向の長さよりも長い。
【0064】
図12に示すように、絶縁性部材56のうち、比較的X軸方向の長さが短い部分である中央部57はIC用セパレータ180から離隔している。そのため、絶縁性部材56の中央部57とIC用セパレータ180との間には隙間がある。この隙間は、ガス流通部材50に形成された各溝179に連通しており、燃料ガスFGが流れる流路として機能する。なお、収容溝129の底面(IC用セパレータ180の連結部188の第3部分1883により画定される面)の延伸方向は、燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向(X軸方向)と一致している。また、収容溝129の一対の側面(IC用セパレータ180の連結部188の第1部分1881や第2部分1882により画定される面)の延伸方向は、燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向(X軸方向)に方向に沿っている。換言すれば、燃料電池スタック100のXZ断面における収容溝129の一対の側面の延伸方向は、燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向(X軸方向)と一致はしていないが、当該方向に直交する方向とは異なっている。収容溝129の一対の側面の延伸方向がこのようなものであることにより、収容溝129において燃料ガスFGの流れが阻害されることがある程度抑制される。
【0065】
図13に示すように、絶縁性部材56のうち、比較的X軸方向の長さが長い部分である端部58,59は、IC用セパレータ180(より具体的には、IC用セパレータ180の連結部188の第1部分1881と第2部分1882)上に載置されている。上述したように、IC用セパレータ180の連結部188の第1部分1881は、X軸正方向に向かうにつれてZ軸正方向に位置するようにX軸に対して傾斜する方向に延伸し、第2部分1882は、X軸正方向に向かうにつれてZ軸負方向に位置するようにX軸に対して傾斜する方向に延伸している。このような形状であるIC用セパレータ180の連結部188に絶縁性部材56が載置されているため、IC用セパレータ180に対する絶縁性部材56のXY面内方向(特に、X軸方向)の位置ずれが抑制される。
【0066】
上述したように、ガス流通部材50の各端部54,55は、IC用セパレータ180上に固定された固定部60の周囲の少なくとも一部を囲む形状をなしており、これにより、IC用セパレータ180に対するガス流通部材50のXY面内方向の位置ずれが抑制される。さらに、上述した形状であるIC用セパレータ180の連結部188に絶縁性部材56が載置されているため、絶縁性部材56のXY面内方向の位置ずれが抑制される。これらの結果、ガス流通部材50と絶縁性部材56とについてのXY面内方向の相対位置のずれが抑制される。従って、本実施形態において、固定部60、ガス流通部材50の端部54,55、および絶縁性部材56の端部58,59は、ガス流通部材50と絶縁性部材56とについてのXY面内方向(換言すれば、Z軸方向に直交する面方向)の相対位置の位置決めをする位置決め機構であると言える。
【0067】
また、図12および図13に示すように、本実施形態では、ガス流通部材50のZ軸方向の長さGLは、絶縁性部材56のZ軸方向の長さILよりも長い。
【0068】
A-3.燃料電池スタック100の動作:
図2および図5に示すように、酸化剤ガス供給マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス供給マニホールド161に供給され、酸化剤ガス供給マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通流路132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図6に示すように、燃料ガス供給マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス供給マニホールド171に供給され、燃料ガス供給マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通流路142を介して、燃料室176に供給される。燃料ガスFGは、燃料室176において、単セル非重複流路178の内の燃料ガス供給連通流路142側(換言すれば、第1のガス流通部材50a側)、単セル重複流路177、単セル非重複流路178の内の燃料ガス供給連通流路142側(換言すれば、第2のガス流通部材50b側)の順に流れる。その過程において、燃料ガスFGはガス流通部材50の溝179内を流れる(図12および図13参照)。
【0069】
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGおよび燃料ガスFGの電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は上側のインターコネクタ190に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電部材144を介して下側のインターコネクタ190(または、下端用セパレータ189)に電気的に接続されている。すなわち、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。また、最も上側に位置する発電単位102の上側のインターコネクタ190およびIC用セパレータ180は、上側エンドプレート104に電気的に接続されており、最も下側に位置する発電単位102の燃料極側集電部材144に電気的に接続された下端用セパレータ189は、下側エンドプレート106に電気的に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
【0070】
図2および図5に示すように、各発電単位102の空気室166から酸化剤ガス排出連通流路133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出された酸化剤オフガスOOGは、酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、図3および図6に示すように、各発電単位102の燃料室176から燃料ガス排出連通流路143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出された燃料オフガスFOGは、燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
【0071】
なお、本実施形態の燃料電池スタック100では、図8および図9に示すように、Z軸方向視で、酸化剤ガス供給マニホールド161に連通する酸化剤ガス供給連通流路132と、燃料ガス排出マニホールド172に連通する燃料ガス排出連通流路143とが、単セルの一の辺(図8および図9に示される第2の辺SI2)に(同じ方向に)対向するように配置されており、かつ、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通する酸化剤ガス排出連通流路133と、燃料ガス供給マニホールド171に連通する燃料ガス供給連通流路142とが、単セルの上記第2の辺SI2に対して単セル110の中心点を挟んで対向する他の辺(図8および図9に示され第1の辺SI1)に(同じ方向に)対向するように配置されている。すなわち、本実施形態の発電単位102(燃料電池スタック100)は、空気室166における酸化剤ガスOGの主たる流れ方向(X軸正方向からX軸負方向へ向かう方向)と燃料室176における燃料ガスFGの主たる流れ方向(X軸負方向からX軸正方向へ向かう方向)とが略反対方向(互いに対向する方向)である、カウンターフロータイプのSOFCである。
【0072】
A-4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の燃料電池スタック100は、Z軸方向に並べて配置された複数の発電単位102を備える。各発電単位102は、単セル110と、単セル用セパレータ120と、インターコネクタ190とを有する。単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んでZ軸方向に互いに対向する燃料極116および空気極114とを含む。単セル用セパレータ120は、単セル110に接続される導電性部材である。インターコネクタ190は、単セル110に電気的に接続される導電性部材である。インターコネクタ190は、Z軸方向において単セル用セパレータ120と対向する導電性部分であるIC用セパレータ180を備える。各発電単位102において、燃料極116に面する燃料室176と、空気極114に面する空気室166とが形成されている。燃料室176の一部である単セル非重複流路178は、Z軸方向視で単セル110に対して外側において、単セル用セパレータ120とIC用セパレータ180とによって画定されている。各発電単位102は、単セル非重複流路178内に位置する導電性のガス流通部材50(50a、50b)を有する。ガス流通部材50には、単セル非重複流路178の一部である複数の溝179(ガス(燃料ガスFG)が流れる流路)が形成されている。各発電単位102は、ガス流通部材50と、単セル用セパレータ120との間に位置する絶縁性部材56を備える。
【0073】
本実施形態の燃料電池スタック100では、ガス流通部材50を備えることにより、単セル用セパレータ120やIC用セパレータ180が変形して単セル用セパレータ120とIC用セパレータ180とが接触することが抑制される。そのため、本実施形態の燃料電池スタック100によれば、単セル用セパレータ120とIC用セパレータ180とが接触することに起因してガス(燃料ガスFG)の流れが阻害されることを抑制することができる。
【0074】
さらに、本実施形態の燃料電池スタック100によれば、導電性を有するガス流通部材50と単セル用セパレータ120との間に位置する絶縁性部材56を備えることにより、単セル用セパレータ120とIC用セパレータ180とが、導電性を有するガス流通部材50を介して短絡することを抑制することができる。
【0075】
本実施形態の燃料電池スタック100では、ガス流通部材50は、金属によって構成されている。ガス流通部材50に、ガス(燃料ガスFG)の流路である単セル非重複流路178を構成する複数の溝179が形成されている。Z軸方向視において、複数の溝179は、ガス流通部材50(50a、50b)から最も近い単セル110の辺(SI1、SI2)に沿った方向であるY軸方向に並んでいる。各溝179は、Y軸方向に交差する方向であるX軸方向に延伸している。本実施形態の燃料電池スタック100においては、上記のような構成である複数の溝179が形成されていることにより、ガス(燃料ガスFG)がX軸方向(Z軸方向視におけるY軸方向に交差する方向)に拡散しやすくなり、ひいては、燃料電池スタック100の発電性能を向上させることができる。さらに、ガス流通部材50は、金属によって構成されるものであるため、他の材料(例えば、セラミックス)によって構成されるものと比較して、上記の複数の溝179を容易に形成(例えば、プレス機を用いて形成)することが可能である。
【0076】
本実施形態の燃料電池スタック100では、Z軸方向に沿い、かつ、単セル110を含む少なくとも1つの断面(例えば、図12および図13に示す断面)において、単セル非重複流路178を画定するIC用セパレータ180には、ガス流通部材50を収容する収容溝129が形成されている。単セル用セパレータ120とガス流通部材50との間に位置する絶縁性部材56は、IC用セパレータ180から離隔している。仮に、単セル非重複流路178やガス流通部材50(特に、溝179)が上記のような構成であり、かつ、絶縁性部材56がIC用セパレータ180に接触している構成(以下、「比較構成」という。)においては、絶縁性部材56の存在によって、ガス(燃料ガスFG)の流路が塞がれることにより、ガス(燃料ガスFG)の流れが阻害される。これに対し、本実施形態の燃料電池スタック100においては、上記断面(Z軸方向に沿い、かつ、単セル110を含む少なくとも1つの断面)において、ガス(燃料ガスFG)の流れは、絶縁性部材56がIC用セパレータ180から離隔しているため、上記の比較構成のようにガス(燃料ガスFG)の流れが阻害されることはなく、ガス(燃料ガスFG)の良好な流通性を確保することができる。
【0077】
本実施形態の燃料電池スタック100では、各発電単位102は、さらに、ガス流通部材50と絶縁性部材56とについてのZ軸方向に直交する面方向であるXY面内方向の相対位置の位置決めをする位置決め機構(固定部60、ガス流通部材50の端部54,55、絶縁性部材56の端部58,59)を備える。仮に位置決め機構を備えない従来の構成においては、ガス流通部材50と絶縁性部材56とについてのXY面内方向(Z軸方向に直交する面方向)の相対位置がずれやすく、これによりZ軸方向視において絶縁性部材56がガス流通部材50と重ならない部分の面積が大きくなり、ひいてはガス(燃料ガスFG)の流通性が阻害されるといった問題が生じやすい。これに対し、本実施形態の燃料電池スタック100においては、ガス流通部材50と絶縁性部材56とについてのXY面内方向(換言すれば、Z軸方向に直交する面方向)の相対位置の位置決めをする位置決め機構を備えることにより、上記のような問題が生じることが抑制される。
【0078】
本実施形態の燃料電池スタック100では、Z軸方向視において、ガス流通部材50の全体は、絶縁性部材56に重なっている。そのため、本実施形態の燃料電池スタック100では、上述したようなZ軸方向視においてガス流通部材50が絶縁性部材56と重ならない部分が、より生じにくくなる。従って、本実施形態の燃料電池スタック100によれば、単セル用セパレータ120とIC用セパレータ180とが短絡することを、より効果的に抑制することができる。
【0079】
本実施形態の燃料電池スタック100では、ガス流通部材50のZ軸方向の長さGLは、絶縁性部材56のZ軸方向の長さILよりも長い。本実施形態の燃料電池スタック100においては、ガス流通部材50のZ軸方向の長さGLが絶縁性部材56のZ軸方向の長さIL以下である構成と比較して、ガス流通部材50のZ軸方向の長さGLが大きいことにより、効率的に、複数の溝179を通るガス(燃料ガスFG)の流通性を向上させることができ、ひいては燃料電池スタック100の発電性能を向上させることができる。
【0080】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0081】
上記実施形態における燃料電池スタック100の構成や燃料電池スタック100を構成する各部分の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、2つのガス流通部材50および2つの絶縁性部材56が、Z軸方向視で、単セル用セパレータ120およびIC用セパレータ180の各連結部128、188と重なる位置に配置されているが、ガス流通部材50や絶縁性部材56は、Z軸方向視で、単セル用セパレータ120およびIC用セパレータ180における各連結部128、188以外の部分と重なる位置に配置されていてもよい。また、上記実施形態では、単セル用セパレータ120およびIC用セパレータ180が、連結部128,188を有しているが、単セル用セパレータ120およびIC用セパレータ180が、連結部128,188を有さなくてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、燃料室176内における、Z軸方向視で、燃料ガス供給連通流路142と単セル110との間に1つのガス流通部材50(第1のガス流通部材50a)および絶縁性部材56(第1の絶縁性部材56a)が配置されているが、該位置に複数のガス流通部材50および複数の絶縁性部材56が配置されていてもよい。同様に、上記実施形態では、燃料室176内における、Z軸方向視で、燃料ガス排出連通流路143と単セル110との間に1つのガス流通部材50(第2のガス流通部材50b)および絶縁性部材56(第2の絶縁性部材56b)が配置されているが、該位置に複数のガス流通部材50および複数の絶縁性部材56が配置されていてもよい。また、ガス流通部材50および絶縁性部材56は、Z軸方向視で単セル110に重なる領域に配置されていてもよい。
【0083】
また、ガス流通部材50の長さは種々変更可能である。例えば、上記実施形態では、第1の辺SI1に平行な方向(Y軸方向)に沿った第1のガス流通部材50aの長さL0と、第2の辺SI2に平行な方向(Y軸方向)に沿った第2のガス流通部材50bの長さL0とが同等であるが、各ガス流通部材50の長さが異なっていてもよい。また、Z軸方向視において、第1の辺SI1に平行な方向(Y軸方向)に沿った第1のガス流通部材50aの長さL0は、第1の辺SI1の長さL1未満であるとしてもよいし、第1の辺SI1の長さL1の2分の1未満であるとしてもよい。第2のガス流通部材50bの長さL0についても同様である。また、上記実施形態では、ガス流通部材50のZ軸方向の長さGLは絶縁性部材56のZ軸方向の長さILよりも長いが、ガス流通部材50のZ軸方向の長さGLが絶縁性部材56のZ軸方向の長さIL以下であってもよい。
【0084】
ガス流通部材50の各部の延伸方向、絶縁性部材56の各部の延伸方向、溝179の延伸方向は種々変更可能である。
【0085】
また、上記実施形態では、ガス流通部材50および絶縁性部材56が、燃料室176内における、Z軸方向視で、燃料ガス供給連通流路142および燃料ガス排出連通流路143と単セル110との間に配置されているが、ガス流通部材50および絶縁性部材56が、燃料室176内における、Z軸方向視で、燃料ガス供給連通流路142と燃料ガス排出連通流路143との一方と、単セル110との間に配置されているとしてもよい。
【0086】
上記実施形態では、絶縁性部材56はガス流通部材50と単セル用セパレータ120との間に位置しているが、絶縁性部材56はガス流通部材50とIC用セパレータ180との間に位置していてもよい。この構成においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0087】
上記実施形態では、絶縁性部材56は単セル用セパレータ120やIC用セパレータ180と接触しているが、絶縁性部材56は単セル用セパレータ120やIC用セパレータ180と接触していなくてもよい。
【0088】
上記実施形態では、ガス流通部材50の全体が収容溝129に収容されているが、ガス流通部材50の一部のみが収容溝129に収容されていてもよい。ガス流通部材50が収容溝129に収容されていない構成であってもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、燃料電池スタック100に含まれるすべての発電単位102がガス流通部材50および絶縁性部材56を備えているが、必ずしも燃料電池スタック100に含まれるすべての発電単位102がガス流通部材50および絶縁性部材56を備えている必要はなく、少なくとも1つの発電単位102がガス流通部材50や絶縁性部材56を備えていればよい。なお、ガス流通部材50および絶縁性部材56を備える発電単位102は、特許請求の範囲における特定電気化学反応単位の一例である。
【0090】
また、上記実施形態では、ガス流通部材50および絶縁性部材56が、燃料室176内における、Z軸方向視で、燃料ガス供給連通流路142および燃料ガス排出連通流路143とインターコネクタ190との間に配置されると共に、IC用セパレータ180と重なって配置されているが、必ずしもこのような構成である必要はない。また、燃料電池スタック100がIC用セパレータ180を備えている必要はなく、インターコネクタ190が燃料電池スタック100の周縁部(Z軸方向視で空気極側フレーム130や燃料極側フレーム140と重なる部分)まで延伸していてもよい。
【0091】
上記実施形態では、ガス流通部材50および絶縁性部材56は燃料室176内に配置されているが、ガス流通部材50および絶縁性部材56が空気室166(例えば、燃料室176のうち、Z軸方向視で単セル110に重ならない部分であり、主に空気極114と単セル用セパレータ120)とによって画定される部分)内に配置されていてもよい。この構成においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0092】
また、ガス流通部材50の構成は種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、ガス流通部材50は、ガス流通部材50の中央部53は、板材の中央部を断面が波形になるように折り曲げ加工して作製された部分であり、ガス流通部材50の端部54,55は、当該板材の端部により構成される平板状部分であるが、このような構成とは異なる構成であってもよい。
【0093】
また、上記実施形態では、ガス流通部材50に、ガス(燃料ガスFG)の流路である単セル非重複流路178を構成する複数の溝179が形成されているが、ガス流通部材50に、溝以外のガス流路(例えば、貫通孔)が形成されていてもよい。
【0094】
上記実施形態では、単セル用セパレータ120とガス流通部材50との間に位置する絶縁性部材56がIC用セパレータ180から離隔しているが、IC用セパレータ180とガス流通部材50との間に位置する絶縁性部材56が単セル用セパレータ120から離隔している構成としてもよい。この構成においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0095】
また、上記実施形態では、ガス流通部材50が、板状部材を加工した構成を有しているが、ガス流通部材50は、ガスが流れる多数の孔が形成されたメッシュ状の部材であってもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、一対のエンドプレート104,106に孔32,34が形成されているが、一対のエンドプレート104,106の少なくとも一方について該孔32,34が形成されていなくてもよい。また、上記実施形態では、一対のエンドプレート104,106がターミナルプレートとして機能するが、一対のエンドプレート104,106とは別に、ターミナルプレートを設けてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、インターコネクタ190は導電性の被覆層194を含んでいるが、インターコネクタ190が該被覆層194を含んでいなくてもよい。また、上記実施形態では、単セル110が反応防止層118を有しているが、単セル110が反応防止層118を有さないとしてもよい。また、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる単セル110の個数(発電単位102の個数)は、あくまで一例であり、単セル110の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。また、上記実施形態における各部材を構成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により構成されていてもよい。
【0098】
上記実施形態では、インターコネクタ190は、平板部150等からなる本体部分に、Z軸方向において単セル用セパレータ120と対向している部分であるIC用セパレータ180が接合された構成であるが、一体の部材であるインターコネクタ190の一部がZ軸方向において単セル用セパレータ120と対向する構成としてもよい。この構成においては、一体の部材であるインターコネクタ190の一部であり、Z軸方向において単セル用セパレータ120と対向する部分が、特許請求の範囲における特定導電性部材に相当する。
【0099】
また、本発明を、特開2018-195414号公報に記載されているような、金属支持型(メタルサポート型)の単セル110を備える構成に適用してもよい。この構成においても、上記実施形態と同様の効果が得られる。この構成においては、金属支持体が特許請求の範囲における特定導電性部材に相当し、金属支持体により画定される空間が特許請求の範囲における第1のガス流路に相当する。
【0100】
また、上記実施形態の燃料電池スタック100は、カウンターフロータイプのSOFCであるが、本明細書に開示される技術は、コフロータイプのSOFCにも同様に適用可能である。なお、コフロータイプのSOFCでは、Z軸方向視で、燃料ガス供給連通流路142と酸化剤ガス供給連通流路132とは、単セル110の一の辺に対向するように配置され、かつ、燃料ガス排出連通流路143と酸化剤ガス排出連通流路133とは、単セル110の該一の辺に対して単セル110の中心点を挟んで対向する他の辺に対向するように配置されているような構成を有している。また、本明細書に開示される技術は、クロスフロータイプのSOFCにも同様に適用可能である。
【0101】
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池スタック100を対象としているが、本明細書に開示される技術は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解セル(SOEC)の構成単位である電解単セルを複数備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの基本的な構成は、例えば特開2016-81813号公報に記載されているように公知であるが、おおよそ以下の通りである。すなわち、電解セルスタックの構成は、上述した実施形態の燃料電池スタック100の構成において、「発電単位」を「電解セル単位」と読み替え、「単セル」を「電解単セル」と読み替え、「酸化剤ガス供給マニホールド」を「空気排出マニホールド」と読み替え、「酸化剤ガス排出マニホールド」を「空気供給マニホールド」と読み替え、「燃料ガス供給マニホールド」を「水素排出マニホールド」と読み替え、「燃料ガス排出マニホールド」を「水蒸気供給マニホールド」と読み替え、「酸化剤ガス供給連通流路」を「空気排出連通流路」と読み替え、「酸化剤ガス排出連通流路」を「空気供給連通流路」と読み替え、「燃料ガス供給連通流路」を「水素排出連通流路」と読み替え、「燃料ガス排出連通流路」を「水蒸気供給連通流路」と読み替えた構成である。
【0102】
電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極(水素極)116がマイナス(陰極)となるように、電解セルスタックに電圧が印加される。また、ガス通路部材27を介して水蒸気供給マニホールドに原料ガスとしての水蒸気が供給される。なお、供給される水蒸気に、水素ガスが含まれていてもよい。水蒸気供給マニホールドに供給された水蒸気は、水蒸気供給マニホールドから各電解セル単位の水蒸気供給連通流路を介して燃料室176に供給され、各電解単セルにおける水の電気分解反応に供される。各電解単セルにおける水の電気分解反応により燃料室176で発生した水素ガスは、余った水蒸気と共に水素排出連通流路を介して水素排出マニホールドに排出され、水素排出マニホールドからガス通路部材27を経て電解セルスタックの外部に取り出される。
【0103】
また、電解セルスタックの運転の際には、電解セルスタックの温度の制御等のために、必要により空気が電解セルスタックの内部に供給される。この場合には、ガス通路部材27を介して空気供給マニホールドに供給された空気が、空気供給マニホールドから各電解セル単位の空気供給連通流路を介して、空気室166に供給される。空気室166に供給された空気は、空気極114で生成される酸素とともに空気排出連通流路を介して空気排出マニホールドに排出され、空気排出マニホールドからガス通路部材27を経て電解セルスタックの外部に排出される。
【0104】
このような構成の電解セルスタックにおいても、上記実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成を採用することにより、上記実施形態における燃料電池スタック100の作用効果と同様の作用効果を奏する。
【0105】
また、上記実施形態では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に説明したが、本明細書に開示される技術は、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)といった他のタイプの燃料電池(または電解セル)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0106】
22:ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 32,34:孔 50:ガス流通部材 50a:第1のガス流通部材 50b:第2のガス流通部材 51:(ガス流通部材の中央部の)第1の部分 52:(ガス流通部材の中央部の)第2の部分 53:(ガス流通部材の)中央部 54,55:(ガス流通部材の)端部 56:絶縁性部材 56a:第1の絶縁性部材 56b:第2の絶縁性部材 57:(絶縁性部材の)中央部 58,59:(絶縁性部材の)端部 60:固定部 100:燃料電池スタック 102:発電単位 103:発電ブロック 104,106:エンドプレート 104:上側エンドプレート 106:下側エンドプレート 108:連通孔 109:ボルト孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 118:反応防止層 120:単セル用セパレータ 121:貫通孔 124:接合部 125:ガラスシール部 126:(単セル用セパレータの)内側部 127:(単セル用セパレータの)外側部 128:(単セル用セパレータの)連結部 1281:(単セル用セパレータの連結部の)第1部分 1282:(単セル用セパレータの連結部の)第2部分 1283:(単セル用セパレータの連結部の)第3部分 129:収容溝 130:空気極側フレーム 131:孔 132:酸化剤ガス供給連通流路 133:酸化剤ガス排出連通流路 134:空気極側集電部 140:燃料極側フレーム 141:孔 142:燃料ガス供給連通流路 143:燃料ガス排出連通流路 144:燃料極側集電部材 145:(燃料極側集電部材の)電極対向部 146:(燃料極側集電部材の)インターコネクタ対向部 147:(燃料極側集電部材の)連接部 149:スペーサー 150:平板部 161,161:酸化剤ガス供給マニホールド 162:酸化剤ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料ガス供給マニホールド 172:燃料ガス排出マニホールド 176:燃料室 177:単セル重複流路 178:単セル非重複流路 179:溝 180:IC用セパレータ 1881:(IC用セパレータの連結部の)第1部分 1882:(IC用セパレータの連結部の)第2部分 1883:(IC用セパレータの連結部の)第3部分 181:貫通孔 186:(IC用セパレータの)内側部 187:(IC用セパレータの)外側部 188:(IC用セパレータの)連結部 189:下端用セパレータ 190:インターコネクタ 194:被覆層 196:導電性接合材 FG:燃料ガス FOG:燃料オフガス OG:酸化剤ガス OOG:酸化剤オフガス
【要約】
【課題】燃料室内のガスの流れの阻害を抑制しつつ、単セルに接続される導電性部材の変形に起因して電気化学反応セルスタックの性能が低下することを抑制する。
【解決手段】電気化学反応セルスタックは、単セルと、単セルに接続される特定導電性部材と、単セルに電気的に接続される導電性のインターコネクタと、を有する電気化学反応単位を複数備える。電気化学反応単位は、第1の方向視で単セルに対して外側において特定導電性部材とインターコネクタ導電性部分とによって画定されている第1のガス流路内に位置する導電性のガス流通部材を有する。ガス流通部材に、第1のガス流路の一部である第2のガス流路が形成されている。電気化学反応単位は、ガス流通部材と、特定導電性部材とインターコネクタ導電性部分との少なくとも一方との間に位置する絶縁性部材を備える。
【選択図】図12
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