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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 17/04 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
B62J17/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021509452
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2020013024
(87)【国際公開番号】W WO2020196523
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2019056287
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プーンサワット,パンタウィー
(72)【発明者】
【氏名】ヤィンヨンダムロンクン,ポンサナート
(72)【発明者】
【氏名】石田 慎一郎
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-124808(JP,A)
【文献】特開2016-159719(JP,A)
【文献】特開2015-182734(JP,A)
【文献】特開2017-165383(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0244134(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 17/04
B60J 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドスクリーン(42)と、前記ウインドスクリーン(42)を支持するホルダー部(56)と、前記ウインドスクリーン(42)と共に前記ホルダー部(56)を上下移動可能に支持するとともに車体に固定されたブラケット(53)とを有する鞍乗り型車両において、
前記ブラケット(53)に上下移動可能にシャフト(67)が支持され、前記シャフト(67)は、前記ブラケット(53)の車幅方向外側に設けられた前記ホルダー部(56)の延出部(56d)を貫通し、前記シャフト(67)の端部にスライド可能に操作部(58)が設けられ、
前記操作部(58)は、スライドの際に把持される把持部(58e)と、前記把持部(58e)の車幅方向内側に配置されるフランジ部(58h)とを備え、
前記把持部(58e)は、車幅方向外側に配置される外側把持部(58f)と、前記外側把持部(58f)の車幅方向内側に配置される内側把持部(58g)とからなり、
前記フランジ部(58h)は、前記把持部(58e)と前記ホルダー部(56)との間に配置され、前記内側把持部(58g)よりも大径に形成されることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記内側把持部(58g)は、前記外側把持部(58f)よりも小径に形成されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記ブラケット(53)及び前記ホルダー部(56)に、前記ブラケット(53)と前記ホルダー部(56)とを突き当てる当接部(107,108)が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記ブラケット(53)は、前記ホルダー部(56)の後方にメータ(43)を固定するメータ固定部(53c)を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記メータ(43)は、前記メータ固定部(53c)に形成されたメータ固定用貫通穴(53h)に前記ホルダー部(56)側から挿入された締結部材(74)により固定されることを特徴とする請求項4に記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記ホルダー部(56)と前記ブラケット(53)とを接続するリンク(57)を有し、前記リンク(57)は、前記メータ(43)の組付時に前記締結部材(74)を締め付ける際のツールパスを確保する凹部(57d)が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の鞍乗り型車両。
【請求項7】
前記操作部(58)の前記把持部(58e)は、前記ブラケット(53)の外側面(55f)よりも車幅方向外側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両として、高さを調整可能なウインドスクリーンを備えるものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6332809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、高さ調整可能なウインドスクリーン構造において、部品点数を削減し、簡単で低コストに構成することが望まれる。低コストにするには、ユーザーが手動で高さ調整を行うことが考えられるが、そのような構造にした場合、ユーザーが操作しやすい構成とすることが必要である。
本発明の目的は、低コストで操作性を向上できる可動ウインドスクリーン構造を備えた鞍乗り型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この明細書には、2019年3月25日に出願された日本国特許出願・特願2019-056287の全ての内容が含まれる。
インドスクリーン(42)と、前記ウインドスクリーン(42)を支持するホルダー部(56)と、前記ウインドスクリーン(42)と共に前記ホルダー部(56)を上下移動可能に支持するとともに車体に固定されたブラケット(53)とを有する鞍乗り型車両において、前記ブラケット(53)に上下移動可能にシャフト(67)が支持され、前記シャフト(67)は、前記ブラケット(53)の車幅方向外側に設けられた前記ホルダー部(56)の延出部(56d)を貫通し、前記シャフト(67)の端部にスライド可能に操作部(58)が設けられ、前記操作部(58)は、スライドの際に把持される把持部(58e)と、前記把持部(58e)の車幅方向内側に配置されるフランジ部(58h)とを備え、前記把持部(58e)は、車幅方向外側に配置される外側把持部(58f)と、前記外側把持部(58f)の車幅方向内側に配置される内側把持部(58g)とからなり、
前記フランジ部(58h)は、前記把持部(58e)と前記ホルダー部(56)との間に配置され、前記内側把持部(58g)よりも大径に形成されることを特徴とする。
【0006】
上記構成において、前記内側把持部(58g)は、前記外側把持部(58f)よりも小径に形成されるようにしても良い。
また、上記構成において、前記ブラケット(53)及び前記ホルダー部(56)に、前記ブラケット(53)と前記ホルダー部(56)とを突き当てる当接部(107,108)が形成されるようにしても良い。
【0007】
また、上記構成において、前記ブラケット(53)は、前記ホルダー部(56)の後方にメータ(43)を固定するメータ固定部(53c)を有しても良い。
また、上記構成において、前記メータ(43)は、前記メータ固定部(53c)に形成されたメータ固定用貫通穴(53h)に前記ホルダー部(56)側から挿入された締結部材(74)により固定されるようにしても良い。
【0008】
また、上記構成において、前記ホルダー部(56)と前記ブラケット(53)とを接続するリンク(57)を有し、前記リンク(57)は、前記メータ(43)の組付時に前記締結部材(74)を締め付ける際のツールパスを確保する凹部(57d)が形成されていても良い。
【0009】
また、上記構成において、前記操作部(58)の前記把持部(58e)は、前記ブラケット(53)の外側面(55f)よりも車幅方向外側に配置されていても良い。
【発明の効果】
【0010】
鞍乗り型車両は、ブラケットに上下移動可能にシャフトが支持され、シャフトは、ブラ
ケットの車幅方向外側に設けられたホルダー部の延出部を貫通し、シャフトの端部にスライド可能に操作部が設けられ、操作部は、スライドの際に把持される把持部と、把持部の車幅方向内側に配置されるフランジ部とを備え、把持部は、車幅方向外側に配置される外側把持部と、外側把持部の車幅方向内側に配置される内側把持部とからなり、フランジ部は、把持部とホルダー部との間に配置され、内側把持部よりも大径に形成されるので、操作部を手動で操作する構造とすることで低コスト化を図りながら、フランジ部が把持部とホルダー部との間に配置されることで、フランジ部とホルダー部との間への指の挿入を防止しつつ操作部を操作できるため、操作部の操作性を向上できる。
【0011】
上記構成において、内側把持部は、外側把持部よりも小径に形成されるので、内側把持部を設けることで、把持部に指を掛けやすくでき、操作部の操作性を向上できる。
また、上記構成において、ブラケット及びホルダー部に、ブラケットとホルダー部とを突き当てる当接部が形成されるので、当接部を設けることで、ブラケット及びホルダー部をがたつきなく保持できるため、商品性を向上できるとともに、操作フィーリングを向上できる。
【0012】
また、上記構成において、ブラケットは、ホルダー部の後方にメータを固定するメータ固定部を有するので、ブラケットでメータ固定部を兼ねることができ、部品点数を削減できる。
また、上記構成において、メータは、メータ固定部に形成されたメータ固定用貫通穴にホルダー部側から挿入された締結部材により固定されるので、メータをメータ固定部に裏側から固定するので、メータ周りの外観性を向上でき、また、ブラケットを小型化できる。
【0013】
また、上記構成において、ホルダー部とブラケットとを接続するリンクを有し、リンクは、メータの組付時に締結部材を締め付ける際のツールパスを確保する凹部が形成されているので、メータの組付作業性向上とリンク自体の剛性向上とを図ることができる。
【0014】
また、上記構成において、操作部の把持部は、ブラケットの外側面よりも車幅方向外側に配置されているので、ブラケットの外側面の側方にて前方に手を伸ばして、操作部の把持部を容易に掴むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態に係る自動二輪車を示す左側面図である。
図2図2は、ウインドスクリーン及びその周囲を示す左側面図である。
図3図3は、自動二輪車の車体前部上部を示す正面図である。
図4図4は、ウインドスクリーン昇降機構及びその周囲を示す第1斜視図である。
図5図5は、ウインドスクリーン昇降機構及びその周囲を示す第2斜視図である。
図6図6は、自動二輪車の車体前部を示す断面図である。
図7図7は、操作部の取付構造及び作用を示す断面図である。
図8図8は、固定部材とスクリーン取付部材との低位置当接部を示す斜視図である。
図9図9は、固定部材とスクリーン取付部材との高位置当接部を示す側面図である。
図10図10は、リンクの取付状態を示す斜視図である。
図11図11は、図4のXI矢視図である。
図12図12は、ウインドスクリーン昇降機構及びその周囲を示す要部平面図である。
図13図13は、固定部材を示す左側面図である。
図14図14は、固定部材を示す正面図である。
図15図15は、固定部材を示す背面図である。
図16図16は、ウインドスクリーンの昇降状態を示す作用図である。
図17図17は、ウインドスクリーンの昇降時におけるリンクの作動を示す作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右及び上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示している。
図1は、本発明の実施形態に係る自動二輪車10を示す左側面図である。
自動二輪車10は、車体フレーム、フロントフォーク12、前輪13、パワーユニット14、後輪16、シート17を備えるスクータ型の鞍乗り型車両である。
【0017】
車体フレームの前端部にはフロントフォーク12が操舵可能に支持され、フロントフォーク12の下端部に車軸21を介して前輪13が支持されている。また、フロントフォーク12の上端部には、バーハンドル23が支持されている。
車体フレームの下部にはパワーユニット14が上下揺動可能に支持され、パワーユニット14の後端部に車軸25を介して後輪16が支持されている。車体フレームの後部の上方にはタンデム型のシート17が配置されている。
パワーユニット14の後端部と車体フレームの後部とには緩衝器であるリアクッションユニット27が渡されている。
【0018】
車体フレームは、車体カバー30で覆われている。車体カバー30は、フロントカバー31、フロントインナカバー32、シート前カバー33、左右一対のレッグシールド34、左右一対のフロアステップ36、左右一対のボディカバー37、リアロアカバー38を備える。
フロントカバー31は、車体フレームの前部を前方及び両側方から覆う。フロントカバー31には、ヘッドライト41が配置され、フロントカバー31の上部の上方には可動式のウインドスクリーン42が配置されている。ウインドスクリーン42の下方でフロントカバー31の上方にはメータ43が配置されている。
フロントカバー31は、左右一対のフロントサイドカバー31aと、左右のフロントサイドカバー31aの前面に跨るように配置された横長の前面カバー31bとを備える。
前面カバー31bには、左右一対の開口が形成され、左右の開口からヘッドライト41が露出している。
【0019】
フロントインナカバー32は、車体フレームの前部を後方から覆う。シート前カバー33は、シート17の前部の下方からフロントカバー31側に延びている。左右のレッグシールド34は、シート17に着座した乗員の脚部を前方から覆う。左右のフロアステップ36は、乗員が足を載せる部分である。左右のボディカバー37は、シート前カバー33の下方から後方に延びている。左右のボディカバー37の後部の上方には、同乗者が掴むグラブレール44が配置されている。リアロアカバー38は、左右のボディカバー37の下方に配置されて後輪16の上方の車体後部を下方から覆っている。
前輪13は、上方からフロントフェンダ46で覆われ、後輪16は、上方からリアフェンダ47で覆われている。
【0020】
図2は、ウインドスクリーン42及びその周囲を示す左側面図である。
ウインドスクリーン42は、車体側にウインドスクリーン昇降機構50によって昇降可能且つ傾斜角度変更可能に取付けられている。
ウインドスクリーン42は、車体側にスクリーンステー51により取付けられている。
スクリーンステー51は、車体側に固定された固定部材53と、固定部材53に可動可能に支持された可動部54とから構成されている。
固定部材53には、可動部54の後方に配置されたメータ43が取付けられている。
可動部54は、ウインドスクリーン42が取付けられるスクリーン取付部材56と、固定部材53及びスクリーン取付部材56のそれぞれに揺動可能に連結されたリンク57とを備える。
スクリーン取付部材56の後部の両側部には、ウインドスクリーン42を手動で昇降させる左右一対の操作部58が設けられている。左右の操作部58は、車両側面視で、左右のフロントサイドカバー31aにそれぞれ取付けられた左右一対のフロントウインカ61の前方に配置される。
上記したスクリーンステー51及び左右の操作部58は、ウインドスクリーン昇降機構50を構成する。
【0021】
図3は、自動二輪車10の車体前部上部を示す正面図である。
左右のフロントサイドカバー31aは、左右のフロントウインカ61が取付けられる左右一対のウインカ取付部31cを備える。左右のウインカ取付部31cは、車両正面視でウインドスクリーン42よりも車幅方向外側に設けられ、左右のフロントウインカ61は、左右のウインカ取付部31cからそれぞれ車幅方向外側方に延びている。
前面カバー31bは、左右のフロントサイドカバー31aの前面に跨るように横長に配置され、前面カバー31bには、ヘッドライト41のレンズ63を露出させる左右一対のライト開口31dが形成されている。
【0022】
ヘッドライト41のレンズ62は、左右一対のレンズ主要部63a(複数のドットを描いた部分である。)を備え、左右のレンズ主要部63aが、左右のライト開口31dから露出している。
左右のフロントサイドカバー31a及び前面カバー31bには、フロントフォーク12の下部が延びる下部開口31eが形成されている。
ウインドスクリーン42は、複数のビス65によってスクリーン取付部材56(図2参照)に取付けられている。
【0023】
図4は、ウインドスクリーン昇降機構50及びその周囲を示す第1斜視図であり、斜め前方から見た図である。図5は、ウインドスクリーン昇降機構50及びその周囲を示す第2斜視図であり、斜め後方から見た図である。
図4に示すように、固定部材53は、前部傾斜部53a、左右一対の上下延出部53b、後壁部53c(図6参照)、庇部53d、左右一対の側壁部53e(一方の側壁部53eのみ図示)、左右一対の後側左右下端部53y(一方の後側左右下端部53yのみ図示)を一体に備える。
前部傾斜部53aは、後上がりに傾斜し、前端部の一対の前側左右下端部53fが下方に突出して車体側(後で詳述する前部ブラケット92(図6参照))に取付けられる。
左右の上下延出部53bは、前部傾斜部53aの後端部の両端側から上下に延びている。左右の上下延出部53bには、上下に直線状に延びるガイド穴53gが形成されている。
後壁部53cは、左右の上下延出部53bを車幅方向に接続する部分であり、メータ43が複数のビスで取付けられている。
庇部53dは、後壁部53cの上部から後上がりに延びてメータ43を上方から覆っている。
左右の側壁部53eは、左右の上下延出部53bの後方で庇部53dの前部側部から下方に延びている。左右の後側左右下端部53yは、左右の側壁部53eのそれぞれの下端部から側方及び下方に延び、車体側(詳しくは、前部ブラケット92)に取付けられる。
【0024】
スクリーン取付部材56は、左右一対の下側取付座56a、左右一対の上側取付座56b、取付座接続部56c、左右一対の下側起立部56d(一方の下側起立部56dのみ図示)を備える。
左右の下側取付座56a及び左右の上側取付座56bは、ウインドスクリーン42(図2参照)を取付けるビス65がねじ込まれる部分である。
取付座接続部56cは、枠形状を成し、左右の下側取付座56a及び左右の上側取付座56bを一体に接続する部分である。
左右の下側起立部56dは、左右の上側取付座56bから下方斜め後方に延ばされた部分である。左右の下側起立部56dには、左右の上下延出部53bのガイド穴53gを貫通するシャフト67が通され、シャフト67の両端部に操作部58がスライド可能に設けられている。
【0025】
リンク57は、左右一対のアーム部57a(一方のアーム部57aのみ図示)と、左右のアーム部57aを接続する車幅方向に延びたクロス部57bとを一体に備える。
左右のアーム部57aのそれぞれの後端部は、それぞれ支軸71を介して固定部材53の前部傾斜部53aに揺動可能に連結されている。左右のアーム部57aの前端部は、1本の支軸72を介してスクリーン取付部材56の下部に揺動可能に連結されている。
【0026】
図5に示すように、固定部材53の後壁部53cには、メータ43(図4参照)を固定するためにそれぞれビス74が通される複数のビス挿通穴53hと、メータ43の背面に接続されるコネクタ76を通す切欠き部53jとが形成されている。
図4において、左右のフロントサイドカバー31aの間に設けられる開口部78は、フロントセンターカバー31fによって覆われている。フロントセンターカバー31fは、フロントカバー31の一部を構成し、フロントセンターカバー31fによって、固定部材53の前部傾斜部53aの前側左右下端部53f及び左右の側壁部53eの前部ブラケット92(図6参照)への取付部が覆われる。これにより、外観性を向上させることができる。
【0027】
図6は、自動二輪車10の車体前部を示す断面図であり、車幅方向中央を通る車体中心線に沿って切断した断面を示している。
自動二輪車10は、骨格となる車体フレーム11を備える。車体フレーム11は、その前端部を構成するヘッドパイプ81を備える。
フロントフォーク12は、ステアリングシャフト82、アッパパイプ83、アッパプレート84を備える。
ステアリングシャフト82は、ヘッドパイプ81内に回動可能に挿入されている。アッパパイプ83は、ステアリングシャフト82の上端部にボルト86及びナット87で締結されている。アッパプレート84は、アッパパイプ83の上端部に取付けられている。
【0028】
ヘッドパイプ81の前部には、前方に突出する突出片91が固定され、突出片91に前部ブラケット92が複数のボルト93で取付けられている。
前部ブラケット92は、前部でヘッドライト41を支持し、上部でウインドスクリーン42及びメータ43を支持する。
ウインドスクリーン42及びメータ43は、詳しくは、スクリーンステー51を介して前部ブラケット92に取付けられている。
固定部材53の後壁部53cは、後下がりに傾斜し、メータ43は、後壁部53cに複数のビス74で取付けられている。これにより、メータ43の表示面43aは、後方斜め上方を指向している。
庇部53dは、後壁部53cの上部から後上がりに延び、庇部53dの後端53kは、メータ43の表示面43aの上端よりも後方に位置する。これにより、メータ43の表示面43aへの周囲の景色、空などの映り込みが抑制され、メータ43の視認性を向上できる。
【0029】
図に示したウインドスクリーン42は、最も下方に位置する状態にある。この状態から、左右の操作部58(図4参照)を両手で掴んでガイド穴53gの上端まで移動させることで、ウインドスクリーン42を最も高い状態に配置することが可能になる。この場合、リンク57の揺動に伴い、ウインドスクリーン42の傾斜角度を大きくすることが可能である。
【0030】
メータ43とバーハンドル23との間には警告灯ユニット95が配置され、メータ43と警告灯ユニット95との間には、警告灯ユニット95を覆う警告灯ユニットカバー96が配置されている。
警告灯ユニット95は、警告灯ユニットカバー96の内側に取付けられ、警告灯ユニットカバー96は、左右のフロントサイドカバー31aに取付けられている。
バーハンドル23は、車幅方向中央に最も低い最下端部23aが配置され、最下端部23aから前方に延ばした水平線98を引いたときに、警告灯ユニット95は、水平線98よりも下方に配置されている。
【0031】
図7は、操作部58の取付構造及び作用を示す断面図である。
Aに示す操作部58のロック状態の断面図は、図2のVII-VII線断面図であり、操作部58は、上下延出部53bに対して移動不可能である。また、Bに示す操作部58のアンロック状態では、操作部58は、上下延出部53bに対して移動可能である。
固定部材53の上下延出部53bは、ガイド穴53gの上端部及び下端部に、ガイド穴53gの上下方向中間部53mの前後方向の幅よりも大きい内径を有する大径穴部53nを備える。大径穴部53nの内周面は、車幅方向外側ほど内径が大きくなるテーパー状に形成されている。この大径穴部53nには、シャフト67が貫通している。
スクリーン取付部材56の下側起立部56dは、下端部に車幅方向外側に突出するとともにシャフト67の周囲を囲む円筒部56eと、円筒部56eを下方から覆う下覆い部56fとを備える。
【0032】
操作部58は、内筒58a、底部58b、雄テーパー部58c、小径筒部58d、把持部58eを備える。
内筒58aは、スクリーン取付部材56の円筒部56eに移動可能に挿入されている。雄テーパー部58cは、外周面が車幅方向内側ほど小さくなるテーパー状に形成され、内筒58aの底部58bから車幅方向内側に延び、固定部材53のガイド穴53gの大径穴部53nに嵌る。
小径筒部58dは、内筒58aの底部58bから車幅方向外側に延びている。把持部58eは、内筒58aの車幅方向外側の端部から一旦半径方向外側に延びて、内筒58aの周囲を覆う外筒であり、車幅方向外側から順に、外側把持部58f、内側把持部58g、フランジ部58hを備える。
【0033】
外側把持部58f及び内側把持部58gは、操作するときに手で把持する部分であり、内側把持部58gは、外径を外側把持部58fよりも小さくして、操作部58を、シャフト67の軸方向にスライドさせる際に外側把持部58fに手を掛けやすくする。
フランジ部58hは、外側把持部58f及び内側把持部58gを手で把持する際に、手の指が操作部58(詳しくは、フランジ部58h)とスクリーン取付部材56の下側起立部56dとの間に入るのを防止する部分である。
フランジ部58hの車幅方向内側には、一体に内側筒部58jが設けられる。内側筒部58jは、操作部58の一部を構成する。
内側筒部58jは、スクリーン取付部材56の下覆い部56fとでラビリンス構造を形成して、路面側からの飛散物がスクリーン取付部材56の円筒部56eと把持部58eとの間に入りにくくする部分である。
【0034】
シャフト67は、固定部材53からの抜け止めのために、固定部材53の内側に左右一対の抜け止め部材101が嵌められている。
また、シャフト67の両側の端部には、カラー部材103が嵌められている。カラー部材103は、シャフト67に嵌められた小径の内筒部103aと、内筒部103aの長さ方向中間部から半径方向外側及び車幅方向外側に延びる大径の外筒部103bとを一体に備える。
内筒部103aは、車幅方向外側の端部に、先細りとされた縮径部103cを備える。縮径部103cは、シャフト67の両端部に形成された環状溝67aに嵌められている。
【0035】
外筒部103bの底部103dと、操作部58の内筒58aの底部58bとの間には圧縮コイルばね105が配置され、圧縮コイルばね105の両端部は、底部103dと底部58bとにそれぞれ押し付けられている。
これにより、操作部58は、カラー部材103に対して車幅方向内側に付勢され、操作部58の雄テーパー部58cは、固定部材53のガイド穴53gの大径穴部53nの内周面に押し付けられて、操作部58がロック状態に維持される。
【0036】
Aに示す操作部58のロック状態では、ウインドスクリーン42(図6参照)は、低位置に保持されている。このAに示す操作部58のロック状態から、Bに示す操作部58のアンロック状態にするは、まず、矢印Cで示すように、左右の操作部58の把持部58eをそれぞれ掴んで車幅方向外側へシャフト67に沿ってスライドさせる。これにより、操作部58の雄テーパー部58cが、固定部材53のガイド穴53gの大径穴部53nから外れる。
【0037】
そして、この状態で、矢印Dで示すように、左右の操作部58をガイド穴53gに沿ってガイド穴53gの上端部の大径穴部53nの側方まで移動させる。そして、左右の操作部58を車幅方向内側にスライドさせ、雄テーパー部58cを上側の大径穴部53nに挿入する。このとき、操作部58は、圧縮コイルばね105によって車幅方向内側に付勢されているため、雄テーパー部58cは、ガイド穴53gの大径穴部53nに押し付けられ、操作部58がロック状態になる。これにより、ウインドスクリーン42は、高位置に保持される。
【0038】
図8は、固定部材53とスクリーン取付部材56との低位置当接部107を示す斜視図である。
固定部材53の左右の上下延出部53bのそれぞれの上部の前面53pには、前方に突出した上下に長い固定部上部突出部53qが一体に形成されている。
固定部上部突出部53qは、その前面55bに、下部に形成された平坦面55cと、平坦面55cの上端から後方に湾曲するように延びる湾曲面55dとを備える。
また、スクリーン取付部材56の上側取付座56bの内側面56gの後部には、車幅方向内側に突出して固定部材53の固定部上部突出部53qに当てられる内側部突出部56hが形成されている。
【0039】
上記した固定部上部突出部53qと内側部突出部56hとは、ウインドスクリーン42(図6参照)が低位置にある場合に当接状態となる低位置当接部107を構成する。
ウインドスクリーン42(図6参照)と共にスクリーン取付部材56が、上方から昇降の最下端まで下降する際には、内側部突出部56hが固定部上部突出部53qに当たる。この状態では、スクリーン取付部材56は、固定部材53に対してがたつき無く保持される。
また、スクリーン取付部材56が、昇降の最下端から上昇する際には、内側部突出部56hが固定部上部突出部53qから離れるため、固定部材53に対するスクリーン取付部材56の保持が解除される。
【0040】
固定部上部突出部53qの前面55bは、下端側から上端側へ次第に後側に湾曲しているため、内側部突出部56hが上方から固定部上部突出部53qに当たり始めた後は、固定部上部突出部53qへの内側部突出部56hの当接力が次第に大きくなる。このような構造にすることにより、内側部突出部56hが固定部上部突出部53qへスムーズに当たりやすくできるとともに、固定部材53がスクリーン取付部材56を保持する保持力を確保しやすくできる。
【0041】
図9は、固定部材53とスクリーン取付部材56との高位置当接部108を示す側面図である。
固定部材53の左右の側壁部53eのそれぞれの前面53rは、上下に延びる上下面53sと、上下面53sの上端から前側に湾曲した湾曲面53tとを備え、上下面53sと湾曲面53tとに亘って前方に突出する前方突出部53uが形成されている。
また、スクリーン取付部材56の下側起立部56dの下部に設けられた円筒状の下部筒部56j(詳しくは、下部筒部56jの外周面56k)の後部には、後方に突出して固定部材53の前方突出部53uに当てられる後方突出部56mが形成されている。
上記した固定部材53の前方突出部53uと、スクリーン取付部材56の後方突出部56mとは、ウインドスクリーン42(図6参照)が高位置にある場合に当接状態となる高位置当接部108を構成する。
【0042】
ウインドスクリーン42と共にスクリーン取付部材56が、下方から昇降の最上端まで上昇する際には、後方突出部56mが前方突出部53uに当たる。この状態では、スクリーン取付部材56は、固定部材53に対してがたつき無く保持される。
また、スクリーン取付部材56が、昇降の最上端から下降する際には、後方突出部56mが前方突出部53uから離れるため、固定部材53に対するスクリーン取付部材56の保持が解除される。
【0043】
前方突出部53uは、上下面53sと湾曲面53tとに亘って形成される。前方突出部53uの前面55eは、下端側から上端側へ次第に前方に突出するように湾曲しているため、後方突出部56mが下方から前方突出部53uに当たり始めた後は、前方突出部53uへの後方突出部56mの当接力が次第に大きくなる。このような構造にすることにより、後方突出部56mが前方突出部53uへスムーズに当たりやすくできるとともに、固定部材53がスクリーン取付部材56を保持する保持力を確保しやすくできる。
【0044】
図10は、リンク57の取付状態を示す斜視図である。
リンク57の左右のアーム部57aの前端部同士には支軸72に渡され、支軸72に捩りコイルばね111が嵌められている。
リンク57は、クロス部57bから前方に延びる左右一対のばね覆い部57cを備え、左右のばね覆い部57cによって捩りコイルばね111の一部が前方及び上方から覆われている。支軸72は、左右のアーム部57aに止め輪により抜け止めされている。
捩りコイルばね111は、左右一対のコイルばね本体111aと、左右のコイルばね本体111aを接続するばね接続部111bとを一体に備える。
【0045】
左右のコイルばね本体111aは、それぞれ車幅方向外側にスクリーン取付部材56(図4参照)に係止される外側端部111cを備える。
ばね接続部111bは、左右のコイルばね本体111a側からそれぞれ延びる左右一対の内側端部111dと、左右の内側端部111d同士を接続する車幅方向に延びるクロス接続部111eとからなる。左右の内側端部111dは、左右のばね覆い部57cのそれぞれの内側面に形成された係止部に係止される。
上記した捩りコイルばね111は、リンク57を、左右の支軸71を中心にして上方に揺動させるように付勢している。
【0046】
図11は、図4のXI矢視図である。
固定部材53の後壁部53cには、複数のビス挿通穴53hが開けられ、各ビス挿通穴53hに通されたビス74でメータ43(図4参照)が締結される。
リンク57は、クロス部57bの下部にビス74をビス挿通穴53hまで移動させる経路及びビス74を締め付ける工具(ドライバー等)を移動させる経路(ツールパス)を確保するための左右一対の凹状のリンク凹部57dを備える。
このように、左右のリンク凹部57dを設けることで、メータ43を後壁部53cへ組み付ける際の組付作業性を向上できる。
スクリーン取付部材56は、取付座接続部56cから下方に突出する左右一対の下方突出部56nを備え、左右の下方突出部56nの下端部の内側面に、捩りコイルばね111の左右の外側端部111cを係止する外側係止部56pを備える。
【0047】
図12は、ウインドスクリーン昇降機構50及びその周囲を示す要部平面図である。
左右の操作部58は、固定部材53の左右の上下延出部53bからそれぞれ側方に突出している。
庇部53dの左右の側縁と左右の側壁部53eの外側面55fの上縁とは一致し、左右の操作部58の各把持部58eは、左右の側壁部53eの各外側面55f及び庇部53dよりもそれぞれ車幅方向外側に配置されている。
把持部58eの内端58kは、側壁部53eの外側面55fに対して車幅方向外方に距離Lだけ隔てている。
このように、左右の把持部58eを、左右の側壁部53e及び庇部53dよりも側方に突出させることで、乗車した運転者が、前方に両手を伸ばして左右の把持部58eを操作するときに、左右の側壁部53e及び庇部53dの側方にて、ほぼ真直ぐに前方に両手を伸ばして左右の把持部58eを容易に掴むことができる。
【0048】
図13は、固定部材53を示す左側面図、図14は、固定部材53を示す正面図、図15は、固定部材53を示す背面図である。
図13図15に示すように、左右の上下延出部53bは、それぞれ縦長で長円状の凹部53vと、凹部53vの周囲に形成された周壁53wとを備える。
また、左右の側壁部53eのそれぞれの前壁53xは、前面53rを備え、前壁53xと周壁53wとは、略直角に屈曲しているため、上下延出部53b及び側壁部53eの剛性を向上させることができる。
左右の側壁部53eのそれぞれの下端部には、それぞれ後側左右下端部53yが形成され、左右の後側左右下端部53yが、前部ブラケット92(図6参照)に取付けられている。
【0049】
前部傾斜部53aは、X字状に形成され、Xの中央部53zの車幅方向の幅Wは、左右の前側左右下端部53fの距離L1や左右の後側左右下端部53yの距離L2よりも小さい(W<L1<L2)。
前部傾斜部53aの中央部53zには、リンク57の支軸71(図4参照)を通す軸挿通穴55aが開けられている。
上記したように、前部傾斜部53aの中央部53zの幅Wを小さくすることで、中央部53zに連結されるリンク57を小型にでき、軽量化を図ることができる。
また、中央部53zの幅Wよりも、左右の前側左右下端部53fの距離L1及び左右の後側左右下端部53yの距離L2を大きくすることで、前部ブラケット92に対する固定部材53の支持剛性を向上できる。
【0050】
図16は、ウインドスクリーン42の昇降状態を示す作用図である。
ウインドスクリーン42は、Eに示す低位置状態からFに示す高位置状態まで、手動で昇降可能である。
Eに示す低位置状態では、操作部58の雄テーパー部58cは、ガイド穴53gの下側の大径穴部53nに挿入され、リンク57は、捩りコイルばね111(図10参照)の弾性力に抗して最も前方に揺動した状態にある。
また、Fに示した高位置状態では、操作部58の雄テーパー部58cは、ガイド穴53gの上側の大径穴部53nに挿入され、リンク57は、捩りコイルばね111の弾性力によって、Eに示した低位置状態から矢印で示すように最も後方に揺動した状態にある。
【0051】
ウインドスクリーン42の上端42aでは、Eに示す低位置状態からFに示す高位置状態まで高さH1だけ上昇している。また、ウインドスクリーン42の上部では、水平線113からの傾斜角度が、θ1からθ2に増加している。
このように、ウインドスクリーン昇降機構50では、ウインドスクリーン42の高さ調整に加えて、傾斜角度調整も行うことができる。
【0052】
図17は、ウインドスクリーン42の昇降時におけるリンク57の作動を示す作用図である。
リンク57は、Gに示す最も前方に揺動した状態(操作部58(図16参照)を最も下方に配置した状態)から、Hに示す最も後方に揺動した状態(操作部58を最も上方に配置した状態)に揺動可能である。
この時のリンク57の揺動は、左右の操作部58を上下させた際に、捩りコイルばね111の弾性力によって自動で行われる。
【0053】
Gに示した状態において、捩りコイルばね111の左右の外側端部111cは、スクリーン取付部材56の外側係止部56pに係止され、捩りコイルばね111の左右の内側端部111dは、リンク57のばね覆い部57c(図10参照)に形成された内側係止部57eに係止されている。
捩りコイルばね111は、外側端部111c及び内側端部111dによって外側係止部56p及び内側係止部57eをそれぞれ弾性力F1で押し付けている。この弾性力F1は、リンク57のアーム部57aとスクリーン取付部材56の下方突出部56nとの成す角度α1を大きくする方向に作用する。
【0054】
Hに示した状態では、Gに示した状態から、矢印Jで示すように揺動し、リンク57のアーム部57aとスクリーン取付部材56の下方突出部56nとの成す角度はα2(>α1)に大きくなる。また、外側端部111c及び内側端部111dによって外側係止部56p及び内側係止部57eをそれぞれ押し付ける弾性力はF2(<F1)となる。また、支軸72は、高さH2だけ上昇する。
【0055】
上記したように、ウインドスクリーン昇降機構50に、リンク57を揺動させるように付勢する捩りコイルばね111を設けることで、左右の操作部58を操作するだけで、リンク57を揺動させてウインドスクリーン42の姿勢を変更することができる。これにより、ウインドスクリーン昇降機構50の使い勝手を向上できる。
【0056】
以上の図2及び図7に示したように、鞍乗り型車両としての自動二輪車10は、ウインドスクリーン42と、ウインドスクリーン42を支持するホルダー部としてのスクリーン取付部材56と、ウインドスクリーン42と共にスクリーン取付部材56を上下移動可能に支持するとともに車体に固定されたブラケットとしての固定部材53とを有する。
【0057】
自動二輪車10は、固定部材53に上下移動可能にシャフト67が支持され、シャフト67は、固定部材53の車幅方向外側に設けられたスクリーン取付部材56の延出部としての下側起立部56dを貫通し、シャフト67の端部にスライド可能に操作部58が設けられる。
操作部58は、スライドの際に把持される把持部58eと、把持部58eの車幅方向内側に配置されるフランジ部58hとを備える。把持部58eは、車幅方向外側に配置される外側把持部58fと、外側把持部58fの車幅方向内側に配置される内側把持部58gとからなり、フランジ部58hは、内側把持部58gよりも大径に形成される。
【0058】
この構成によれば、操作部58を手動で操作する構造とすることで低コスト化を図りながら、フランジ部58hが把持部58eとスクリーン取付部材56との間に配置されることで、フランジ部58hとスクリーン取付部材56との間への指の挿入を防止しつつ操作部を操作できるため、操作部の操作性を向上できる。
【0059】
また、図7に示したように、内側把持部58gは、外側把持部58fよりも小径に形成される。
この構成によれば、内側把持部58gを設けることで、把持部58eに指を掛けやすくでき、操作部58の操作性を向上できる。
【0060】
図8及び図9に示したように、固定部材53及びスクリーン取付部材56に、固定部材53とスクリーン取付部材56とを突き当てる当接部としての低位置当接部107及び高位置当接部108が形成される。
この構成によれば、低位置当接部107及び高位置当接部108を設けることで、固定部材53及びスクリーン取付部材56をがたつきなく保持できるため、商品性を向上できるとともに、操作フィーリングを向上できる。
【0061】
図5及び図6に示したように、固定部材53は、スクリーン取付部材56の後方にメータ43を固定するメータ固定部としての後壁部53cを有する。
この構成によれば、固定部材53でメータ固定部を兼ねることができ、部品点数を削減できる。
【0062】
また、メータ43は、後壁部53cに形成されたメータ固定用貫通穴としてのビス挿通穴53hにスクリーン取付部材56側から挿入された締結部材としてのビス74により固定される。
この構成によれば、メータ43を後壁部53cに裏側から固定するので、メータ43周りの外観性を向上でき、また、固定部材53を小型化できる。
【0063】
図2及び図11に示したように、スクリーン取付部材56と固定部材53とを接続するリンク57を有し、リンク57は、メータ43の組付時にビス74を締め付ける際のツールパスを確保する凹部としてのリンク凹部57dが形成されている。
この構成によれば、メータ43の組付作業性向上とリンク57自体の剛性向上とを図ることができる。
【0064】
図10及び図17に示したように、リンク57は、左右一対のアーム部57aと、左右のアーム部57aを車幅方向に連結するクロス部57bと、クロス部57bから前方に延びる前方延出部としてのばね覆い部57cとを備える。
左右のアーム部57aをスクリーン取付部材56に連結する支軸72には、リンク57をウインドスクリーン42が上昇する方向に付勢するリンク付勢部材としての捩りコイルばね111が嵌められている。捩りコイルばね111は、ばね覆い部57cによって前方及び上方から覆われる。
この構成によれば、リンク57に設けられたばね覆い部57cで捩りコイルばね111を覆うことができて外観性を向上できるとともに、リンク57がばね覆い部材を兼ねるので部品数を減らすことができる。
【0065】
図4及び図12に示したように、左右の操作部58の各把持部58eは、固定部材53の左右の側壁部53eの各外側面55fよりも車幅方向外側に配置されている。
この構成によれば、固定部材53の左右の側壁部53eの側方にて前方に手を伸ばして、操作部58の把持部58eを容易に掴むことができる。
【0066】
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上記実施形態において、図7に示したように、操作部58を車幅方向内側に付勢し、操作部58を車幅方向外側にスライドさせることで固定部材53とのロックを解除するようにしたが、これに限らない。例えば、操作部58を車幅方向外側に付勢し、操作部58を車幅方向内側にスライドさせることで固定部材53とのロックを解除するようにしても良い。
【0067】
また、図8及び図9に示したように、低位置当接部107と高位置当接部108とを別の箇所に設けたが、これに限らない。例えば、固定部上部突出部53qを側壁部53eの前面53r(の下部)に設け、この固定部上部突出部53qに後方突出部56mを当てる低位置当接部としても良い。この場合、この低位置当接部と高位置当接部108とは、同一の前面53rに設けられる。
【0068】
また、本発明は、自動二輪車10に適用する場合に限らず、自動二輪車10以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。なお、鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。
【符号の説明】
【0069】
10 自動二輪車(鞍乗り型車両)
42 ウインドスクリーン
43 メータ
53 固定部材(ブラケット)
53c 後壁部(メータ固定部)
53h ビス挿通穴(メータ固定用貫通穴)
55f 外側面
56 スクリーン取付部材(ホルダー部)
56d 下側起立部(延出部)
57 リンク
57a アーム部
57b クロス部
57c ばね覆い部(前方延出部)
57d リンク凹部(凹部)
58 操作部
58e 把持部
58f 外側把持部
58g 内側把持部
58h フランジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17