(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】エアロゾル供給デバイス
(51)【国際特許分類】
B05B 17/00 20060101AFI20221214BHJP
A61M 11/00 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
B05B17/00
A61M11/00 A
(21)【出願番号】P 2021513575
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020014316
(87)【国際公開番号】W WO2020209113
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2019074362
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 道弘
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】若松 美紀
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 辰矢
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-187165(JP,A)
【文献】特開平04-236962(JP,A)
【文献】国際公開第2008/015918(WO,A1)
【文献】特開2005-224609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-17/08
A61M 11/00-11/08
A24F 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル供給デバイスであって、
液体を収容する収容部と、
前記液体を霧化してエアロゾルを生成する霧化ユニットと、
該霧化ユニットの霧化量を調整する霧化量調整部
であって、前記エアロゾル供給デバイスの姿勢を検出する姿勢検出センサと、該姿勢検出センサから受信した信号に応じて、前記霧化ユニットに供給する霧化に要する電力を調整する制御部と、を含む、霧化量調整部と、を備
え、
前記霧化量調整部は、前記エアロゾル供給デバイスの少なくとも一定範囲内における姿勢によらずに霧化量を安定化させることを特徴とするエアロゾル供給デバイス。
【請求項2】
前記霧化量調整部
の前記制御部は、
前記姿勢検出センサから受信した信号に応じて、前記霧化ユニットへの前記液体の供給量を調整する
、請求項
1に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項3】
前記霧化ユニットを少なくとも含む内蔵ユニットと、該内蔵ユニットを覆う筐体と、を更に備え、
前記霧化量調整部は、前記エアロゾル供給デバイスの少なくとも一定範囲内における姿勢によらずに、前記内蔵ユニットの姿勢を維持する姿勢維持部を含む請求項1
又は2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項4】
前記霧化ユニットは、
前記液体を留置する留置部と、
該留置部に留置された前記液体を振動させることにより、前記エアロゾルを形成する振動要素と、
電力が供給されることにより前記振動要素を振動させる振動源と、を備え、
前記内蔵ユニットの重心は、前記留置部よりも下方にあり、
前記姿勢維持部は、前記留置部が水平に配置される姿勢に前記内蔵ユニットの姿勢を維持する請求項
3に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項5】
前記エアロゾルを外部に吐出する吐出口を有する吐出部を更に備え、
前記霧化ユニットは、霧化する前記液体を留置する留置部を有し、
前記吐出口は、前記留置部が延在する延在面に対する法線方向に交差する方向に向けられている請求項1
又は2に記載のエアロゾル供給デバイス。
【請求項6】
ユーザーが把持する把持部を更に備え、
前記吐出口は、前記留置部が延在する延在面に対する法線方向において前記把持部から離間した位置に設けられている請求項
5に記載のエアロゾル供給デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイスに係り、外部にエアロゾルを供給するエアロゾル供給デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、たばこ等の香味源を燃焼させることなく、香味を得ることが可能な香味吸引器等のエアロゾル供給デバイスが、一般に普及している。
その他、エアロゾル供給デバイスとしては、超音波を用いて液体を霧化して、ユーザーに供給可能な吸入器が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、カートリッジから霧化領域に供給された液体エアロゾル形成基質を、トランスデューサーにより生成された表面弾性波(SAW)の振動により霧化する喫煙装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第2017/0280771号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の喫煙装置(エアロゾル供給デバイス)では、エアロゾル供給デバイスの姿勢によって液体エアロゾル形成基質(液体)が重力の影響を受けることにより、振動が加わる霧化部分への液体エアロゾル形成基質の供給量が変化し、霧化量が変動しうる。このため、エアロゾル供給デバイスの姿勢によらずに、振動が加わる霧化部分への液体の供給量を安定させ、霧化量を安定させることについて改善の余地があった。
【0006】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、その課題は、姿勢によらずに霧化量を安定させることが可能なエアロゾル供給デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエアロゾル供給デバイスは、液体を収容する収容部と、前記液体を霧化してエアロゾルを生成する霧化ユニットと、該霧化ユニットの霧化量を調整する霧化量調整部と、を備えるエアロゾル供給デバイスであって、前記霧化量調整部は、前記エアロゾル供給デバイスの少なくとも一定範囲内における姿勢によらずに霧化量を安定化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエアロゾル供給デバイスによれば、姿勢によらずに霧化量を安定させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係るエアロゾル供給デバイスの構成を模式的に示す説明図である。
【
図2】液体が霧化されて、エアロゾル供給デバイスの外部に吐出されている状態を示す模式図である。
【
図4】第2実施形態に係るエアロゾル供給デバイスを示す模式図である。
【
図5】エアロゾル供給デバイスを
図4の状態から90度傾けた状態を示す模式図である。
【
図6】第3実施形態に係るエアロゾル供給デバイスの吐出パイプ周りの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
【0011】
<概要>
はじめに、本実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1の概要を、
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1の構成を模式的に示す説明図、
図2は、液体10が霧化されて、エアロゾル供給デバイス1の外部に吐出されている状態を示す模式図である。なお、密閉性の観点から、エアロゾル供給デバイス1を構成する各部材間にガスケットやパッキンが設けられているが、
図2、後述する
図4、
図5及び
図6等においては、理解を容易にするため、その図示を一部省略している。
なお、
図2及び後述する第2実施形態に係る
図4及び
図5等において、後述する電源基板13及びバッテリ14の図示を省略しているが、その配置は任意である。例えば、電源基板13及びバッテリ14は、カートリッジ4の下方に配置されていてもよく、カートリッジ4に対して図面の紙面の奥行き側に配置されていてもよい。
【0012】
本実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1は、液体10を収容する収容部(カートリッジ4)と、液体10を霧化してエアロゾル11を生成する霧化ユニット5と、霧化ユニット5の霧化量を調整する霧化量調整部47(ジャイロセンサ40及び制御部12a)と、を備える。
霧化量調整部47(ジャイロセンサ40及び制御部12a)は、エアロゾル供給デバイス1の少なくとも一定範囲内における姿勢によらずに霧化量を安定化させることを特徴とする。
上記構成によれば、エアロゾル供給デバイス1が霧化量調整部47(ジャイロセンサ40及び制御部12a)を有することで、エアロゾル供給デバイス1の姿勢によらずに霧化量を安定させることができる。
【0013】
ここで、「霧化量調整部」には、後述するように、霧化ユニット5(電極5c)又はポンプ9等に対する供給電力を調整する「電力調整部」が含まれ、液体10を留置する後述する留置部5bが水平状態となるように、霧化ユニット5を含む後述する内蔵ユニット41の姿勢を調整する「姿勢調整部」が含まれる。
さらに、「霧化量調整部」としては、振動が加わることに応じた霧化量を調整するものとして、振動要素(圧電素子基板5a)に対して物理的に当接する位置の変更又は離間することによって、振動を抑制又は許容する「振動調整部」を含んでもよい。
【0014】
さらに、「電力調整部」には、エアロゾル供給デバイス1の姿勢に応じて、後述する電極5cへの供給電力を調整して振動要素(圧電素子基板5a)の振動振幅(振動エネルギー)を調整する「振幅調整部」が含まれ、後述するポンプ9等への供給電力を調整して霧化ユニット5への液体10の供給量を調整する「液量調整部」が含まれる。その他、「電力調整部」には、不図示のヒータへの供給電力を調整して霧化領域の温度を調整する「温度調整部」が含まれる。
【0015】
「霧化量の安定化」とは、具体的には、後述する留置部5bに留置された液体10の表面が水平面上にある状態であり、液体10が偏って留置されず、圧電素子基板5aの振動エネルギーが広く伝播可能な状態を基準状態としたときに、霧化量の調整が無いときよりも、調整があるときの方が当該基準状態により近くなることをいう。
【0016】
<<第1実施形態>>
<各部の構成>
次に、エアロゾル供給デバイス1の各部の構成について、
図1及び
図2に加えて、
図3を参照して説明する。
図3は、霧化ユニット5を示す平面図である。
【0017】
(霧化ユニット)
霧化ユニット5は、
図2及び
図3に示すように、液体10を留置する留置部5b及び圧電体を含む基板(圧電素子基板5a)と、圧電素子基板5aに接触して配置され、圧電素子基板5a上の留置部5bによって留置された液体10に対して表面弾性波を供給する電極5cと、を備える。
【0018】
(圧電素子基板)
本実施形態に係る圧電素子基板5aに設けられた留置部5bは、圧電素子基板5aの上面に形成され、
図3に示すように平面視楕円形状に形成された有底溝である。留置部5bは、少なくとも2箇所に設けられて、電極5cが当該2箇所の間に配置されている。留置部5bの中央部には、貫通孔5dが圧電素子基板5aの厚さ方向に貫通して形成されている。留置部5bには、後述するポンプ9により、カートリッジ4から第1流路6(チューブ6a)、及び貫通孔5dを介して液体10が供給される。
【0019】
(電極)
電極5cは、櫛形電極(Interdigital Transducer、IDTともいう。)から構成されている。電源基板13から制御基板12を介して電極5cに入力された高周波電力は、圧電素子基板5aの圧電現象により表面弾性波(Surface Acoustic Wave、SAWともいう。)に変換され、圧電素子基板5aの表面を櫛歯の並び方向の両側に伝搬する。
電極5cの櫛歯の数は、図示されたものに限定されるものではなく、表面弾性波によるエアロゾル11の霧化効率に基づいて定められる。また、櫛歯の幅及び間隔は、霧化されるエアロゾル11の粒径に基づく周波数に基づいて定められる。
表面弾性波に関しては、電力の周波数等のコントロールが重要となるため、共振周波数をモニタリングする共振周波数モニタセンサや、液体10が霧化される直前の温度を検出可能な不図示の温度センサが設けられていてもよい。
【0020】
本実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1は、外観としては、デバイス本体2と、デバイス本体2の上部に取り付けられて、エアロゾル11を吐出するマウスピース3と、から主に構成されている。
【0021】
(マウスピース)
本実施形態に係るマウスピース3は、正面視において、下端側の端部が広く延在しており、上端にあるエアロゾル11の外部への吐出口3aに向かうにつれて、幅狭となるテーパ状に形成された部位を有して形成されている。
マウスピース3には、
図2に示すように、霧化ユニット5から生じたエアロゾル11を通す流路(第2流路7)が形成されている。流路(第2流路7)は、少なくとも2箇所の留置部5bの液体10から生じるエアロゾル11を通すように別個に2本設けられ、吐出口3aを通る仮想面に対して対称に形成されている。2本の第2流路7は、上端の吐出口3aに至る前に合流して1本となっている。
【0022】
また、別個に設けられた流路(第2流路7)が、異なる長さで形成されていてもよい。つまり、2本の第2流路7は、吐出口3aを通る仮想面に対して対称に形成されているものに限定されず、非対称形状であってもよい。例えば、2本の第2流路7に含有成分の異なるエアロゾル11が通る場合に、これに応じた長さや形状の流路にしてもよい。
特に、別個に設けられた、例えば2本の第2流路7が異なる屈曲率で形成された非対称部を含むと好ましい。
上記構成によれば、2本の第2流路7のうち屈曲率の異なる非対称部を画定する壁面に、エアロゾル11を当接させることで、エアロゾルに含まれる粒子を沈着・低減させ、その粒径を調節することができる。このため、ユーザーは、エアロゾル11の含有成分により喉に不快感を覚えることなくエアロゾル11をスムーズに吸引することが可能となる。
なお、「屈曲」には、鋭敏に曲がったものに限定されず、なだらかに曲がったものをも含む概念である。屈曲率の異なる2本の第2流路7は、双方とも屈曲して形成されたものに限定されず、1本はストレートに形成されたものも含む。
【0023】
(デバイス本体)
本実施形態に係るデバイス本体2の内部には、カートリッジ4、上記の霧化ユニット5、電磁弁8a、ポンプ9、制御部12aを有する制御基板12、
図1に示す電源基板13及びバッテリ14、並びに電源スイッチ15の一部が設けられている。
また、デバイス本体2においては、後述する収容部(カートリッジ4)と霧化ユニット5との間に、液体10の流路(第1流路6)が形成されている。さらに、霧化ユニット5と外部との間において、デバイス本体2及び後述するマウスピース3にかけて、エアロゾル11の流路(第2流路7)が形成されている。
【0024】
(カートリッジ)
本実施形態に係るカートリッジ4は、本体部4aと、本体部4aの底部に一体的に形成された底板4bと、内部に配設されて本体部4aの内壁面に水密に配設されて、本体部4a内を摺動可能な摺動ブロック4dと、から構成されている。
【0025】
底板4bには、厚さ方向に貫通する貫通孔4cが形成されており、後述するポンプ9の押し棒9bが差し込み可能に構成されている。
本実施形態においては、2つのカートリッジ4のそれぞれから、霧化ユニット5の圧電素子基板5aに設けられた2つの留置部5bの1つずつに、液体10を別個に供給可能な構成である。
しかしながら、本発明はこのような構成に限定されず、1つのカートリッジ4から2つの留置部5bに液体10を供給する構成であってもよい。このような構成によれば、後述する電磁弁8aの数を少なくすることが可能である。つまり、2つの留置部5bに向けて分岐する前のカートリッジ4側のチューブ6aに、電磁弁8aを設けるようにすればよい。
【0026】
このような構成によれば、1つの電磁弁8aによって、2つの留置部5bへの液体10の供給及び供給停止を調整することが可能である。
なお、エアロゾル供給デバイス1は、更に複数のカートリッジ4を備える構成であってもよい。また、2以上のカートリッジ4を用いる場合には、カートリッジ4には味又は香り等の成分の異なる液体10を収容してもよい。
【0027】
なお、本発明に係る収容部としては、取り外し可能なカートリッジ4に限定されず、デバイス本体2に備え付けられた容器(つまり、リフィルタイプ)であってもよい。このように備付けの容器を用いる場合でも、容器と外部とに通じる他の流路を形成しておき、他の流路を通じて容器に液体10を注入するようにして、容器に液体10を充填するようにすればよい。
このような構成によれば、液体10を補充する際に、ユーザー側で、備付けの電磁弁8a、カートリッジ4、及びこれらを接続するチューブ6aを取り外して新たに付け直す必要がない。
【0028】
(液体)
液体10は、水、グリセリン、プロピレングリコール、エタノール等の溶媒を含んでよく、味又は香り等の成分を含む溶質を含んでいてもよい。例えば、溶質は、たばこ抽出物、メントール、リナロール、リモネン、バニリン等の揮発性成分、又はフルクトース、グルコース、スクロース若しくはラクトース等の糖類、リンゴ酸若しくはクエン酸等の酸類又は塩類等の不揮発性成分である。
液体10は、乳化剤によって乳化された状態であってもよく、分散剤によって懸濁された状態であってもよい。
【0029】
デバイス本体2内における、カートリッジ4と霧化ユニット5とを接続するチューブ6a間には、電磁弁8aが接続されている。
電磁弁8aは、液体10の流路(第1流路6)を開閉可能に動作する不図示の開閉部を備える。
上記構成によれば、制御部12aが電磁弁8aの開閉部を動作させて、第1流路6を塞ぐことで、収容部(カートリッジ4)から液体10が揮発することを防止できる。また、制御部12aが電磁弁8aの開閉部を動作させて、第1流路6を開くことで、液体10を霧化ユニット5に供給し、ひいてはエアロゾル11をユーザーに供給することが可能となる。
【0030】
本実施形態に係るダックビル弁8bは、軟質樹脂材料で作成された対向する平板で構成された弁であり、当該平板の対向間隔が下流(吸引)側に向かって狭まっている弁である。ダックビル弁8bは、自然状態において平板同士が当接することで流路を閉塞し、下流側からの吸引圧によって平板同士が離間することで流路を開放する。
【0031】
ダックビル弁8bは、小型の逆止弁として機能することで、エアロゾル11の流路を細くすることができ、マウスピース3を小型化でき、ひいてはエアロゾル供給デバイス1を小型化することができる。また、ダックビル弁8bによれば、重力方向の影響を受けず、弱い吸引力で開くことができ、吸引を停止すれば弾性復元力により開閉部を自然に閉止できるため好適である。ダックビル弁8bは、留置部5bと吐出口3aとの間に設けられている。
【0032】
(ポンプ)
エアロゾル供給デバイス1は、霧化ユニット5に液体10を供給可能なポンプ9を更に備える。本実施形態に係るポンプ9は、霧化ユニット5から収容部(カートリッジ4)側に液体10を引き戻すことが可能なシリンジポンプである。
【0033】
具体的には、ポンプ9は、モーター9aと、モーター9aの回転動作に応じて、前進及び退入可能な押し棒9bと、を備えて構成されている。ポンプ9が動作することで、押し棒9bが貫通孔4cを通って摺動ブロック4dを上方に押し込んだときには、液体10が摺動ブロック4dにより押し込まれて霧化ユニット5に供給されることになる。
しかしながら、本発明に係るポンプはこのような構成に限定されず、例えば、不図示のピエゾポンプであってもよい。ピエゾポンプであれば、消費電力の低い製品を供給することが可能となる。
【0034】
(霧化量調整部)
霧化量調整部47は、エアロゾル供給デバイス1の姿勢を検出する姿勢検出センサ(ジャイロセンサ40)と、姿勢検出センサから受信した信号に応じて、霧化ユニット5に供給する霧化に要する電力を調整する制御部12aと、を含む。
上記構成によれば、姿勢に応じて霧化ユニット5(電極5c)に供給する電力を調整することで、電力の大小により振動振幅を調整して、エアロゾル供給デバイス1の通常の姿勢時の霧化量からの変動の少ない状態に、霧化量を安定化させることができる。
つまり、霧化量調整部47は、エアロゾル供給デバイス1の姿勢に応じて、圧電素子基板5aの振幅に関わる電極5cへの供給電力を調整する電力調整部であり、また、圧電素子基板5aの振幅(振動エネルギー)を調整する振幅調整部である。
【0035】
(姿勢検出センサ)
ジャイロセンサ40は、エアロゾル供給デバイス1(霧化ユニット5)の姿勢(傾き)を検出するものであり、制御基板12に搭載されている。本実施形態に係るジャイロセンサ40は、「振動式」のものであり、不図示のシリコン基板上にある不図示の振動子と、振動子の周りにある不図示の電極と、を内部に備える。ジャイロセンサ40は、振動子が揺らされたときに電極との間に生じるコリオリ力による、静電容量の変化に係る電気的な差を検出することにより、揺れ(傾き)を検出するというものである。
なお、ジャイロセンサ40は、静電容量方式に限定されず、ピエゾ方式であってもよく、更には、振動式の他、光学式等であってもよい。
【0036】
なお、姿勢検出センサとしては、ジャイロセンサ40に限定されず、例えば、複数の電極で構成される不図示の液量センサであってもよい。
例えば、この液量センサに関しては、エアロゾル供給デバイス1が傾斜したときに、一部の電極が液体10に触れるように構成されている。一対の電極が液体10に接触することにより通電されれば、一対の電極からの電気信号を受信した制御部12aが、一対の電極の位置に液体10があることを判断し、液体10の位置からエアロゾル供給デバイス1の姿勢を判断するというものである。
【0037】
(制御基板)
エアロゾル供給デバイス1は、ポンプ9、電磁弁8aや、不図示の電力調整器等の各電子機器を制御する制御部12aを有する制御基板12を備える。
【0038】
本実施形態に係る制御部12aは、電源スイッチ15がユーザーにより操作されて、エアロゾル供給デバイス1が稼働状態になったことを、電源基板13から送信された信号を受信したときに、電磁弁8aを平常状態である閉塞状態から開放状態に変更する。
制御部12aは、霧化ユニット5を制御して、電極5cに電力を供給するようにし、圧電素子基板5aの表面上に表面弾性波を生じさせる。
【0039】
さらに、制御部12aは、ポンプ9のモーター9aを作動させて、押し棒9bにより、カートリッジ4の容積を縮める方向(上方)に摺動ブロック4dを押し込む。これにより、第1流路6を介して留置部5bに液体10が供給されることになり、圧電素子基板5aの表面において、液体10が表面弾性波に共振して霧化することになる。
ユーザーは、この状態で、吐出口3aからエアロゾル供給デバイス1の内部空気を吸い込むことでダックビル弁8bの吐出口3a側が負圧となる。これにより、ダックビル弁8bが開き、ユーザーは、ダックビル弁8bを通ったエアロゾル11を吸い込むことができる。
また、制御部12aは、エアロゾル供給デバイス1の不使用状態、例えば、電源スイッチ15がオフにされたときに、電磁弁8aを動作させて液体10の流路を閉塞する。
【0040】
また、制御部12aは、制御基板12に搭載されたジャイロセンサ40からの信号により、エアロゾル供給デバイス1(圧電素子基板5a)が傾斜しているか否かを判定する。制御部12aは、エアロゾル供給デバイス1が傾斜していると判定したときには、霧化ユニット5(電極5c)に供給する電力を、通常の姿勢のときよりも大きくするように制御する。
このようにして、本実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1は、圧電素子基板5aの傾斜により、圧電素子基板5aの振動が伝播する液体10が少量になったとしても、液体10の霧化量を安定させることができる。具体的には、エアロゾル供給デバイス1は、制御部12aによる霧化ユニット5(電極5c)の制御により液体10に伝播させる振動エネルギーを大きくすることにより、液体10の霧化量を安定させることができる。
【0041】
また、霧化量調整部47は、姿勢検出センサ(ジャイロセンサ40)から受信した信号に応じて、霧化ユニット5への液体10の供給量を調整する制御部12aを含むものであってもよい。
上記構成によれば、姿勢に応じて、霧化ユニット5に供給する液体10の供給量を調整することで、霧化量を安定化させることができる。
つまり、霧化量調整部47は、エアロゾル供給デバイス1の姿勢に応じて、ポンプ9等への供給電力を調整する電力調整部であり、また、霧化ユニット5への液体10の供給量を調整する液量調整部である。
【0042】
例えば、制御部12aは、制御基板12に搭載されたジャイロセンサ40からの信号により、エアロゾル供給デバイス1(圧電素子基板5a)が傾斜していると判定したときには、霧化ユニット5(留置部5b)への液体10の供給量を通常の姿勢のときよりも大きくするようにポンプ9を制御する。
【0043】
このようにして、圧電素子基板5aが傾斜し、圧電素子基板5aの振動が伝播する液体10が少量になったときに、制御部12aによるポンプ9の制御により、霧化ユニット5への液体10の供給量を大きくすることができる。これにより、液体10の霧化量が安定することになる。
このように液体10の供給量を調整するための制御部12aによる制御対象としては、ポンプ9に限定されず、例えば、流路を絞ったり、拡張させたりする電磁弁8aその他の電子機器であってもよい。
【0044】
なお、上記の霧化量調整部47は、霧化ユニット5に供給する電力の調整と液体10の量の調整とを、霧化量に応じて、個別に調整しても、同時に調整してもよい。
例えば、エアロゾル供給デバイス1は、液体10を加熱することにより、霧化量を上昇させるための不図示のヒータを備えるものとし、ヒータに供給する電力を調整することで、霧化量を調整させるようにしてもよい。
【0045】
<<第2実施形態>>
次に、第2実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1Aについて、
図4及び
図5を主に参照して説明する。
図4は、第2実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1Aを示す模式図、
図5は、エアロゾル供給デバイス1Aを
図4の状態から90度傾けた状態を示す模式図である。
なお、エアロゾル供給デバイス1Aにおいては、
図4に示すように、第2流路7上にダックビル弁8bを設けていない構成を示しているが、第1実施形態と同様にダックビル弁8bを設けるようにしてもよい。
【0046】
本実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1Aは、霧化ユニット5を少なくとも含む内蔵ユニット41と、内蔵ユニット41を覆う筐体42と、を更に備える。
霧化量調整部48は、エアロゾル供給デバイス1Aの少なくとも一定範囲内における姿勢によらずに、内蔵ユニット41の姿勢を維持する姿勢維持部(ボールトランスファ43)を含む。
そして、霧化量調整部48は、液体10を留置する留置部5bが水平状態となるように、霧化ユニット5を含む内蔵ユニット41の姿勢を調整する「姿勢調整部」として機能する。
【0047】
「エアロゾル供給デバイス1Aの姿勢によらず」とは、本実施形態に関しては、筐体42と内蔵ユニット41との相対的な傾きによらずという意味である。また、「エアロゾル供給デバイス1Aの姿勢によらずに、内蔵ユニット41の姿勢を維持する」とは、筐体42が一定範囲の傾きにあるときのみに、内蔵ユニット41の姿勢を維持するものも含むものとする。
【0048】
上記構成によれば、霧化ユニット5を含む内蔵ユニット41がボールトランスファ43により、エアロゾル供給デバイス1Aの姿勢によらず、その姿勢を維持可能に構成されていることで、霧化量を安定させることができる。
【0049】
内蔵ユニット41は、
図1及び
図2に示して説明した霧化ユニット5、電磁弁8a、ポンプ9、制御基板12、電源基板13及びバッテリ14と、これらを覆う球状(略球状)のケース41aと、を備える。なお、ケース41aの形状としては、後述する筐体42に対してボールトランスファ43を介して接続される外面形状が球状であればよく、内面形状は任意であり直方体状等に形成されていてもよい。なお、ケース41aの外面形状は完全な球状であるものに限定されず、筐体42に対向する少なくとも一部が球面形状に形成されていればよい。
ケース41aの上部には、圧電素子基板5aに設けられた2つの留置部5bと同じ間隔で、上下方向に貫通する通し孔41bが形成されている。この通し孔41bは、霧化ユニット5から生じたエアロゾル11を後述するスペース44を介して第2流路7に通す機能を有する。
【0050】
筐体42は、滴状の形状を有し、内蔵ユニット41よりも一回り大きく形成されて、内蔵ユニット41を内蔵している。なお、筐体42の形状としては、ケース41aに対してボールトランスファ43を介して接続される内面形状が球状であればよく、外面形状は任意であり直方体状等に形成されていてもよい。なお、筐体42の内面形状は完全な球状であるものに限定されず、ケース41aに対向する少なくとも一部が球面形状に形成されていればよい。
筐体42の内面には、ボールトランスファ43が埋設されている。内蔵ユニット41は、筐体42のボールトランスファ43により、任意の方向に相対的に回動可能に支持されている。
【0051】
本実施形態に係る内蔵ユニット41は、筐体42に対して、ロール軸、ピッチ軸及びヨー軸のいずれの軸方向を中心として回転させたとしても360度回転可能に構成されている。
図5に示すように、筐体42を傾斜させたときでも、ユーザーが吐出口3aからエアロゾル供給デバイス1A内部の空気を吸い込み、陰圧を印加することで、エアロゾル11をスペース44に通させて吐出口3aから吐出させることが可能となる。
【0052】
本実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1Aは、上記実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1と一部同様の構成を有する。具体的には、エアロゾル供給デバイス1Aは、振動により液体10を霧化してエアロゾル供給デバイス1Aを供給するエアロゾル供給デバイス1Aである。霧化ユニット5は、液体10を留置する留置部5bと、留置部5bに留置された液体10を振動させることにより、エアロゾル11を形成する振動要素(圧電素子基板5a)と、電力が供給されることにより圧電素子基板5aの表面に表面弾性波を発生させる櫛形の電極5c(振動要素を振動させる振動源)と、を備える。留置部5bは、圧電素子基板5aを挟んで、一対設けられている。
そして、内蔵ユニット41は、一対の留置部5bのそれぞれの中心点を結んだ仮想線分45の中点の下方であって、つまり、留置部5bよりも下方に、圧電素子基板5aの表面に対する法線方向に重心46を有する。
【0053】
なお、荷重分布を重心46部分においてより密にするため、一対の留置部5bのそれぞれの中心点を結んだ仮想線分45の中点の下方(本実施形態においては一対のモーター9aの間)に、不図示の錘を更に備える構成であってもよい。なお、錘としては、重量バランスを安定させる機能を有するものであればよく、他の機能を備えるか否かは任意である。
このような構成によれば、一対の留置部5bのそれぞれの中心点を結んだ仮想線分45の中点の下方に重心46を確実に位置させるようにすることができる。そして、当該構成によれば、エアロゾル供給デバイス1Aの姿勢の変化に対して、不図示の錘を含んだ内蔵ユニット41の自重によって、内蔵ユニット41の姿勢矯正の応答性を高めることができる。
【0054】
上記構成によれば、内蔵ユニット41は、その重心により、一対の留置部5bを水平面上に保持できることで、留置部5bが一対設けられていたとしても、双方から霧化する液体10の霧化量を安定させることができる。
例えば、
図5に示すように、エアロゾル供給デバイス1Aを、
図4に示す状態から90度傾けたときには、筐体42のみが傾くことになる。このとき、内蔵ユニット41は、その重心によりその姿勢を維持しようとし、筐体42のボールトランスファ43が、内蔵ユニット41の外面に接しながら転がるように回転することにより、筐体42のみが傾くことになる。
つまり、ボールトランスファ43は、転動することにより、エアロゾル供給デバイス1Aの姿勢によらず、留置部5bが水平に配置される姿勢に内蔵ユニット41の姿勢を維持する。このように、ボールトランスファ43は、留置部5bの水平状態に保つことで、霧化量を安定させる霧化量調整部48(姿勢調整部)として機能することになる。
【0055】
上記構成において、霧化ユニット5は、ポンプ9及び留置部5bを一対ずつ備えるものとして説明したが、本発明に係る霧化ユニットは、このような構成に限定されない。例えば、ポンプ9及び留置部5bを1つずつ備えるものであってもよい。
この場合、内蔵ユニット41は、留置部5bの下方であって、圧電素子基板5aの表面に対する法線方向に重心を有するようにすればよい。
このような構成によれば、内蔵ユニット41の重心により、留置部5bを水平面上に保持できることで、液体10の霧化量を安定させることができる。
【0056】
ボールトランスファ43は、図示している大きな大ボールの他、大ボールに接触して転動する、大ボールよりも小さい小ボールを備えるものであってもよい。このような構成によれば、大ボールの転がり性が良好になり、大ボールの転がり性を維持するための潤滑剤使用の必要性も低減するため好適である。この場合、小ボールは、大ボールを保持する穴の一部に収容されていればよい。
【0057】
その他、上記実施形態においては、ボールトランスファ43によって内蔵ユニット41の姿勢を維持させるものであったが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、内蔵ユニット41と筐体42との間の一部に水等の液体が収容されており、内蔵ユニット41が当該液体に浮かべられている構成であってもよい。この場合、内蔵ユニット41が当該液体よりも密度の低い空気袋や発泡スチロール等を備えるようにすることで、内蔵ユニット41の浮力を大きくするようにすると好適である。
【0058】
なお、本実施形態に係る内蔵ユニット41は、筐体42に対して、ロール軸、ピッチ軸及びヨー軸のいずれの軸を中心としても360度回転可能に構成されるものであったが、このような構成に限定されない。例えば、内蔵ユニット41は、一部の角度のみ、例えば一方向において180度の範囲のみ、3次元においては半球範囲のみを、回転可能な範囲としてもよい。
この場合に、例えば、回転可能な範囲を越えて傾斜しているとき、つまり留置部5bが水平面上に位置しないときには、制御部12aが、他の霧化量安定のための上記の制御(供給電力の制御又は液体10の供給量の制御)を行うようにしてもよい。
【0059】
<<第3実施形態>>
最後に、第3実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1Bについて、
図6を主に参照して説明する。
図6は、第3実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1Bの吐出パイプ50周りの構成を示す模式図である。
【0060】
本実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1Bは、エアロゾル供給デバイス1Bを外部に吐出する吐出口50aを有する吐出部(吐出パイプ50)を更に備える。また、霧化ユニット5は、上記の実施形態と同様に、霧化する液体10を留置する留置部5bを有する。
そして、吐出口3aは、留置部5bが延在する延在面に対する法線方向に交差する方向に向けられている。
具体的には、吐出パイプ50は、直角(略直角を含む。)に折れ曲がった形状を有し、マウスピース3に鉛直に差し込まれて、溶接等によりマウスピース3に固定されている。
【0061】
ユーザーは、吐出口3aを咥える位置とエアロゾル供給デバイス1Bのデバイス本体2を把持する位置とは、ユーザーが首を突き出さない限り斜めの位置となる。このため、仮に、吐出口3aが、留置部5bの延在面に対する法線方向に向けられている場合には、霧化ユニット5が傾斜した状態となりやすい。
【0062】
そこで、上記構成にように、吐出口3aが、留置部5bが延在する延在面に対する法線方向に交差する方向に向けられていることで、留置部5b(霧化ユニット5)を傾けた状態で、エアロゾル供給デバイス1Bを吸引することを避けやすくなる。つまり、留置部5bの水平状態を保ちやすくなり、液体10の霧化量を安定させることができる。
また、留置部5bを含む水平面上に吐出パイプ50が延在し、その流路及び吐出口3aが当該水平面上に設けられていてもよい。
【0063】
エアロゾル供給デバイス1Bは、ユーザーが把持する把持部(デバイス本体2の外面)を更に備える。
吐出口3aは、留置部5bが延在する延在面に対する法線方向において把持部(デバイス本体2の外面)から離間した位置に設けられている。
上記構成によれば、吐出口3aが、留置部5bが延在する延在面に対する法線方向において把持部(デバイス本体2の外面)から離間した位置に設けられていることで、使用時に自然に上記法線方向(つまり、デバイス本体2の向き)を鉛直向きにさせやすくなる。
具体的には、ユーザーがエアロゾル供給デバイス1B(デバイス本体2)を把持して、エアロゾル11を吐出口3aから吸おうとしたときに、デバイス本体2の向きを鉛直向きにさせやすくなり、留置部5bを水平に保ちやすくなり、霧化量を安定させやすくなる。
吐出口3aが法線方向に交差する方向に向いていればよく、吐出パイプ50が直角に曲がった形状を有するものに限定されず、円弧状に湾曲した形状であってもよい。
【0064】
上記実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1においては、霧化量を調整するために、霧化ユニット5又はポンプ9等に供給する電力を調整するための構成(ジャイロセンサ40及び制御部12a)が必要である。また、エアロゾル供給デバイス1Aにおいては、筐体42に対する内蔵ユニット41の姿勢を調整可能な構成(ボールトランスファ43)が必要である。
一方で、本実施形態に係るエアロゾル供給デバイス1Bは、このような構成を必要とせず、部品点数の増加を抑制でき、商品価格を低廉にすることが可能となる。
【0065】
本発明に係るエアロゾル供給デバイスは、SAWを用いて霧化するものに限定されず、ヒータ等の加熱器によるものや、超音波発振器を用いるもの等によって霧化するものであってもよい。
また、エアロゾル供給装置としては、電子シガレットの他、溶液を噴出させる吸入器や香りを拡散するディフューザー等であってもよい。
また、上記実施形態においては、圧電素子基板5aに向けて下方から液体10を供給する構成を例に説明したが、このような構成に限定されず、圧電素子基板5aに上方から液体10を滴下する構成であってもよい。
【0066】
なお、本発明のエアロゾル供給デバイスにおける各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はない。複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること等を許容する。
この出願は、2019年4月9日に出願された日本出願特願2019-074362を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【0067】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)液体を収容する収容部と、
前記液体を霧化してエアロゾルを生成する霧化ユニットと、
該霧化ユニットの霧化量を調整する霧化量調整部と、を備えるエアロゾル供給デバイスであって、
前記霧化量調整部は、前記エアロゾル供給デバイスの少なくとも一定範囲内における姿勢によらずに霧化量を安定化させることを特徴とするエアロゾル供給デバイス。
(2)前記霧化量調整部は、前記エアロゾル供給デバイスの姿勢を検出する姿勢検出センサと、該姿勢検出センサから受信した信号に応じて、前記霧化ユニットに供給する霧化に要する電力を調整する制御部と、を含む(1)に記載のエアロゾル供給デバイス。
(3)前記霧化量調整部は、前記エアロゾル供給デバイスの姿勢を検出する姿勢検出センサと、該姿勢検出センサから受信した信号に応じて、前記霧化ユニットへの前記液体の供給量を調整する制御部と、を含む(1)又は(2)に記載のエアロゾル供給デバイス。
(4)前記霧化ユニットを少なくとも含む内蔵ユニットと、該内蔵ユニットを覆う筐体と、を更に備え、
前記霧化量調整部は、前記エアロゾル供給デバイスの少なくとも一定範囲内における姿勢によらずに、前記内蔵ユニットの姿勢を維持する姿勢維持部を含む(1)から(3)のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
(5)前記霧化ユニットは、
前記液体を留置する留置部と、
該留置部に留置された前記液体を振動させることにより、前記エアロゾルを形成する振動要素と、
電力が供給されることにより前記振動要素を振動させる振動源と、を備え、
前記内蔵ユニットの重心は、前記留置部よりも下方にあり、
前記姿勢維持部は、前記留置部が水平に配置される姿勢に前記内蔵ユニットの姿勢を維持する(4)に記載のエアロゾル供給デバイス。
(6)前記エアロゾルを外部に吐出する吐出口を有する吐出部を更に備え、
前記霧化ユニットは、霧化する前記液体を留置する留置部を有し、
前記吐出口は、前記留置部が延在する延在面に対する法線方向に交差する方向に向けられている(1)から(3)のいずれか一項に記載のエアロゾル供給デバイス。
(7)ユーザーが把持する把持部を更に備え、
前記吐出口は、前記留置部が延在する延在面に対する法線方向において前記把持部から離間した位置に設けられている(6)に記載のエアロゾル供給デバイス。
【符号の説明】
【0068】
1、1A、1B エアロゾル供給デバイス
2 デバイス本体(把持部)
3 マウスピース
3a 吐出口
4 カートリッジ(収容部)
4a 本体部
4b 底板
4c 貫通孔
4d 摺動ブロック
5 霧化ユニット
5a 圧電素子基板(振動要素)
5b 留置部
5c 電極(振動源)
5d 貫通孔
6 第1流路(液体の流路)
6a チューブ
7 第2流路(エアロゾルの流路)
8a 電磁弁
8b ダックビル弁
9 ポンプ
9a モーター
9b 押し棒
10 液体
11 エアロゾル
12 制御基板
12a 制御部
13 電源基板
14 バッテリ
15 電源スイッチ
40 ジャイロセンサ(姿勢検出センサ)
41 内蔵ユニット
41a ケース
41b 通し孔
42 筐体
43 ボールトランスファ(姿勢維持部、姿勢調整部)
44 スペース
45 仮想線分
46 重心
47 霧化量調整部(電力調整部、振幅調整部、液量調整部)
48 霧化量調整部(姿勢調整部)
50 吐出パイプ(吐出部)
50a 吐出口