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特許7194273リグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの製造方法および軟質ポリウレタンフォーム材の製造へのリグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの応用
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  • 特許-リグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの製造方法および軟質ポリウレタンフォーム材の製造へのリグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの応用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】リグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの製造方法および軟質ポリウレタンフォーム材の製造へのリグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの応用
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/00 20060101AFI20221214BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20221214BHJP
   C08G 81/00 20060101ALI20221214BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20221214BHJP
【FI】
C08G65/00
C08G18/00 F
C08G81/00
C08G101:00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021520134
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2020109384
(87)【国際公開番号】W WO2021243851
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2021-04-07
(31)【優先権主張番号】202010484459.9
(32)【優先日】2020-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521146609
【氏名又は名称】ゼージアン グローリ ホーム ファーニシングス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GLORY HOME FURNISHINGS CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.555, West Kangxing Road, Dayun Industrial Zone, Jiashan, Jiaxing City, Zhejiang, 314113,China
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】デン ゼーファ
(72)【発明者】
【氏名】チャン レイ
(72)【発明者】
【氏名】チュウ グオハオ
(72)【発明者】
【氏名】グオ ハイリン
(72)【発明者】
【氏名】ゼン チェン
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105399962(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102675582(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/00-65/48
C08G 18/00-18/87
C08G 81/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの製造方法であって、基本材料としてリグノスルホン酸塩を使用し、ポリエーテルポリオールの溶媒化効果を利用し、リグニンスルホネートの分子鎖を切断しそこに埋め込むことで、リグノスルホン酸塩の芳香族ポリマーセグメントとポリエーテルポリオールの脂肪族ポリマーセグメントの重合によって、分子レベルの複合ポリエーテルを形成させ、即ちリグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルを形成させ
さらに、
1)リグノスルホン酸塩の前処理:
リグノスルホン酸塩と前処理試薬を1:(2~10)の重量比で混合させ、100~140℃の温度と10~15MPaの圧力で60~240分間にわたり前処理を行うステップと、
2)前処理試薬の除去:
前処理後に得られたリグノスルホン酸塩は、減圧蒸留を経て前処理試薬を除去するステップと、
3)リグノスルホン酸塩とポリエーテルポリオールとの硬軟共重合:
リグノスルホン酸塩とポリエーテルポリオールを1:(1~5)の重量比で共重合させ、共重合温度は120~180℃、時間は1~4時間であり、この共重合反応によって、リグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルを得るステップと、
を含むこと
を特徴とするリグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの製造方法。
【請求項2】
前記リグノスルホン酸塩は、リグノスルホン酸ナトリウム、リグノスルホン酸カルシウム、およびリグノスルホン酸マグネシウムのうちの1種または複数種であることを特徴とする請求項1に記載のリグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの製造方法。
【請求項3】
前記ポリエーテルポリオールは、ポリエチレングリコール(PEG)、およびポリプロピレングリコール(PPG)のうちの1種または2種であることを特徴とする請求項1に記載のリグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの製造方法。
【請求項4】
前記ポリエーテルポリオールは、PEG200、PEG400、PPG200およびPPG400から選択された1種または複数種であることを特徴とする請求項1に記載のリグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの製造方法。
【請求項5】
ステップ3)の共重合プロセスでは、硫酸またはリン酸が触媒として使用され、添加される触媒の量は、リグノスルホン酸塩とポリエーテルポリオールの総重量の2~7wt%であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項6】
前処理試薬は、メタノール、エタノール、プロピレングリコールおよび1-4ブタンジオールのうちの1つまたは複数であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項7】
ステップ3)における減圧蒸留の条件は、温度が80~120℃、圧力が750~1mmHgであり、作業時間が30~120分であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載のリグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの製造方法によって製造されたリグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルを、軟質ポリウレタンフォーム材の製造に使用することを特徴とするリグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合ポリエーテルの製造方法に関し、特に、リグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテル、その製造方法、および軟質ポリウレタンフォーム材の製造へのリグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの応用に関する。つまり、本発明は、軟質ポリウレタンフォーム材の生産分野に属する。
【背景技術】
【0002】
リグニンは、一種の天然高分子であり、自然界で唯一の芳香族天然高分子であり、植物の構造において強力な支持作用を有する。リグノスルホン酸塩は、製紙工業の主な廃棄物であり、その総合利用により大きな社会利益および経済効果が得られる。しかし、リグノスルホン酸塩は、特殊な芳香族の基本構造単位と強力な結合エネルギーにより、その分解と加工が極めて困難である。
【0003】
ポリウレタン工業における大半の原料は、活性水素を有する物質であり、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、水酸基を有する植物油などである。これらの物質は、ポリウレタン構造において、ソフトセグメント材料とハードセグメント材料としてのイソシアネートが重合して軟硬共重合のポリウレタンを形成しているため、ポリウレタンは優れた機械的性能を示す。
【0004】
とはいえ、特殊な応用分野では、ポリウレタンという軟硬共重合の構造は、依然として産業上の要求を十分に満たすことができない。この問題は、ポリウレタンのソフトフォームという分野に現れている。軟質ポリウレタンフォーム材は、マットレス、ソファーマットなどの製品において、弾性材料として用いられている。なお、人体の複雑な感覚により、弾力性材料に対して、柔軟性および強支持性という二重特性が求められている。しかし、これらの二重特性がときどき互いに矛盾している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
柔軟性と支持性は、軟質ポリウレタンフォーム材にとって、特に重要な二つの指標である。しかし、柔軟性と支持性は互いに矛盾しており、両立は難しい。そのため、ポリウレタン材料には、柔軟性とともに強力な支持性も求められるようになった。
【0006】
本発明の目的は、リグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルを提供することで、従来技術の課題を解決することにある。
本発明は、さらに、グニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの製造方法を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した従来技術の課題を解決するために本発明が採択する解決案は、次の通りである。
まず、リグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルを提供する。このリグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルは、リグノンスルホン酸塩を基礎材料として使用している。ポリエーテルポリオールの溶媒化効果を利用して、リグノスルホン酸塩の分子鎖を切断してそこに埋め込むことによって、リグノスルホン酸塩の芳香族ポリマーセグメントとポリエーテルポリオールの脂肪族ポリマーセグメントとの重合によって構成された分子レベルの複合ポリエーテルを形成させ、つまり、リグニン基のブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルを形成させる。
【0008】
柔軟性かつ強支持性という二重の特性を備えた軟質ポリウレタンフォーム材を製造するために、軟質ポリウレタンフォーム材の構造において、より微視的なレベルで硬軟共重合を行う必要がある。本発明では、特別な分子設計が提案され、実施されている。リグノスルホン酸塩は、中温および高圧の酸触媒プロセスを経て、ポリエーテルポリオールによって解重合されて、小分子芳香族ポリマーフラグメントが形成され、次にポリエーテルポリオールとブロック共重合されて、分子レベルで硬軟共重合の複合ポリエーテルを形成する。後に、この複合ポリエーテルとイソシアネートの共重合で軟質ポリウレタンフォーム材を形成させる。これにより、従来技術に記載されている欠陥を解決することができる。
【0009】
好ましくは、リグノスルホン酸塩は、リグノスルホン酸ナトリウム、リグノスルホン酸カルシウム、およびリグノスルホン酸マグネシウムのうちの1つまたは複数である。
好ましくは、ポリエーテルポリオールは、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)のうちの1種または2種である。
好ましくは、ポリエーテルポリオールは、PEG200、PEG400、PPG200、およびPPG400のうちの1つまたは複数である。
【0010】
リグニン基ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの製造方法は、次のステップを含む。
1)リグノスルホン酸塩の前処理:
リグノスルホン酸塩と前処理試薬を1:(2~10)の重量比で混合させ、100~140°Cの温度と10~15 MPaの圧力で60~240分間にわたり前処理を行う。
2)前処理試薬の除去:
前処理後に得られたリグノスルホン酸塩は、減圧蒸留を経て前処理試薬を除去する。
3)リグノスルホン酸塩とポリエーテルポリオールの硬軟共重合:
リグノスルホン酸塩とポリエーテルポリオールを1:(1~5)の重量比で共重合させる。共重合温度は120~180℃であり、時間は1~4時間であった。反応を経て、リグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルが得られた。
【0011】
好ましくは、ステップ3)に記載の共重合プロセスにおいて、硫酸またはリン酸が触媒として使用され、触媒の添加量は、リグノスルホン酸塩およびポリエーテルポリオールの総重量の2~7重量%である。
好ましくは、前処理試薬は、メタノール、エタノール、プロピレングリコールおよび1~4ブタンジオールから選択される1つまたは複数である。
好ましくは、ステップ3)に記載の減圧蒸留プロセスの条件は、80~120℃および750~1mmHgであり、減圧蒸留時間は30~120分である。
好ましくは、リグノスルホン酸塩とポリエーテルポリオールの重量比は1:(1~5)である。
本発明は、また、リグニン基ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルを軟質ポリウレタンフォーム材の製造に用いることに関する。
【発明の効果】
【0012】
従来技術と比較して、本発明の利点は次のとおりである。
1.本発明は、特殊な構造を有する一種の分子を混合させる技術を使用して、微視的なハードセグメントのリグニン分子フラグメントを巨視的なソフトセグメントのポリマーポリオールと(再編およびスプライス)接合させ、ブロック共重合法によって、分子レベルの複合ポリエーテルを得る。この分子レベルの複合ポリエーテルは、強力な支持性と柔軟性という二つの特性を備えており、軟質ポリウレタンフォーム材の強支持性と柔軟性との両立困難さを完全に解決することができる。
2.一般的な軟質ポリウレタンフォーム材の快適指数は2.1~2.3であり、本発明によって製造された軟質ポリウレタンフォーム材の快適指数は2.6を超えることができる。これは、2.6という快適指数を超える数少ない軟質ポリウレタンフォーム材の1つである。
【0013】
本発明の実施形態または先行技術への技術的解決策をより明確に説明するために、以下は、本発明の実施形態または先行技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。以下の説明用図面は、幾つかの本発明の実施形態に過ぎず、当業者は、創造的な作業なしに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】概略的なプロセスフロー図であり、リグノスルホン酸塩から分子レベルの複合ポリエーテルを製造し、これによって軟質ポリウレタンフォーム材を生産する特定の実施形態を示している。
図2】本発明における軟質ポリウレタンフォーム材の一次元密度関数曲線を示している。
図3】構造図であり、SAXSマップから推測される軟質ポリウレタンフォーム材の構造を示している。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明における技術的解決策は、以下の特定の実施形態を通じてさらに詳細に説明される。なお、本発明の実施は、以下の実施形態に限定されず、本発明に加えられるいかなる修正および/または変更も、本発明の保護範囲に含まれることを理解されたい。
【0016】
本発明では、特に明記しない限り、すべての重量部およびパーセンテージは重量単位であり、使用される機器および原材料は、市場から購入可能であり、または当業者が一般的に使用可能なものである。以下の実施例の方法は、特に明記しない限り、当該技術分野における従来の方法である。
【0017】
以下の例で使用される試薬は、特に明記されていない限り、従来の生化学試薬店から購入できる。以下の例の定量的データは、すべて3回の繰り返し実験に使用され、結果は平均化されている。
標本は、軟質ポリウレタンフォーム材であり、浙江高裕家居科学技術有限公司から、型番l3324で購入した。
【0018】
本発明の中心アイデアは、リグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルの製造方法にある。すなわち、本発明方法のプロセスフローの模式図は、図1に示されている。この方法は以下のステップを含む。
【0019】
1)リグノスルホン酸塩の前処理:
リグノスルホン酸塩と前処理試薬を1:(2~10)の重量比で混合させ、100~140°Cの温度と10~15MPaの圧力で60~240分間にわたり前処理を行う。
2)前処理試薬の除去:
前処理後に得られたリグノスルホン酸塩は、減圧蒸留を経て前処理試薬を除去する。
3)リグノスルホン酸塩とポリエーテルポリオールとの硬軟共重合:
リグノスルホン酸塩とポリエーテルポリオールを1:(1~5)の重量比で共重合させ、共重合温度は120~180℃、時間は1~4時間であった。反応を経て、リグニン系ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルを得た。
【0020】
さらに、前記リグノスルホン酸塩は、リグノスルホン酸ナトリウム、リグノスルホン酸カルシウム、およびリグノスルホン酸マグネシウムのうちの1つまたは複数である。
そして、ポリエーテルポリオールは、ポリエチレングリコール(PEG)およびポリプロピレングリコール(PPG)のうちの1種または2種であり、特に、PEG200、PEG400、PPG200、およびPPG400のうちの1種以上である。
【0021】
製造方法としては、前処理試薬は、メタノール、エタノール、プロピレングリコール、および1~4ブタンジオールのうちの1種または複数種である。
さらに、ステップ2)に記載された減圧蒸留の条件は、蒸留温度が80~120℃、圧力が750~1mmHgであり、蒸留時間は30~120分である。
【0022】
上記の実施例1をベースに、上記の製造方法を改良して特定の実施例2を得た。この特定の実施例と上記の特定の実施例との違いは、ステップ3)に記載の共重合プロセスが、触媒として硫酸を使用することである。触媒の添加量は、リグノスルホン酸塩とポリエーテルポリオールの総重量の2~7wt%である。
【0023】
特定の実施例1をベースに、上記の製造方法を改良して特定の実施例3を得た。この特定の実施例と上記の特定の実施例との違いは、前処理試薬がエタノールであるということである。
【0024】
特定の実施例1をベースに、上記の製造方法を改良して特定の実施例4を得た。この特定の実施例と上記の特定の実施例との違いは、前処理試薬がプロピレングリコールであるということである。
【0025】
特定の実施例1をベースに、上記の製造方法を改良して特定の実施例5、6、および7を得た。製造方法に含まれる原材料の比率、使用される試薬、および各ステップの特定のプロセスは、表1に示すとおりである。
【0026】
【表1】
上記の例で製造したリグニン基ブロック共重分子レベル複合ポリエーテルの性能をテストし、結果を表2に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
分子レベル複合ポリエーテルの性能に大きな影響を与える要因には、溶媒、触媒、反応温度、および反応時間が含まれている。表2のデータによると、硫酸はリン酸よりも優れた触媒であり、低用量でもリグニンの分子鎖を切断できることが証明されている。低温と比較的長い時間は、反応生成物の特性を改善するのに有利である。上記実施例7は、よりよい結果を示している。PPGはPEGよりも優れた溶媒であり、実際の応用時に、同じ比率でも、PPG液化によって形成された分子レベル複合ポリエーテルは粘度が低く、生産性に有利である。
【0029】
[応用実施例1]
軟質ポリウレタンフォーム材の製造には、リグニン基ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルが応用される。この実施例では、実施例7で製造されたリグニン基ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルを使用して、軟質ポリウレタンフォーム材を製造する。軟質ポリウレタンフォーム材の処方は、次の通りである。
【0030】
リグニン基ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテル:100kg;
黒素材TDI:55kg;
水:2.0kg;
シリコーン発泡均一剤580:1.5kg;
オクタン酸第一スズ:0.5kg;
【0031】
上記の原料を高速ミキサーで均一に混合・攪拌し、15~25℃の材料温度で発泡させて軟質ポリウレタンフォーム材を得た。中に、ブラック素材のTDI、MDIはともにイソシアネートの1種である。テストを行った結果、軟質ポリウレタンフォーム材の技術指標は、表3に示した通りである。また、軟質ポリウレタンフォーム材の一次元密度関数曲線は、図2に示しており、SAXSチャートから推測された軟質ポリウレタンフォーム材の構造図は、図3に示されている。
【0032】
【表3】
【0033】
表3のデータは、次のようなことを示している。つまり、リグニン基ブロック共重合分子レベル複合ポリエーテルを使用した軟質ポリウレタンフォーム材が、標準サンプルよりも、押し込み硬度偏差が低く(柔らかく)、反発率が高く(強い支持性)、一定荷重の繰り返し押し込み疲労後の40%の押し込み硬度損失値が低く(強力な支持寿命)、すなわち、より高い快適係数をもっている。
【0034】
本明細書における様々な実施形態は漸進的に説明されており、各実施形態は他の実施形態との違いに焦点を合わせている。また、様々な実施形態間の同じまたは類似の部分は、互いに参照することができる。そして、実施形態に開示された装置については、実施形態に開示された方法に対応しているため、説明は比較的簡単になっており、関連部分は、方法部分の説明を参照すればわかるようになっている。
【0035】
本発明によって提供されたリグニン基ブロック共重合分子レベル複合エーテル、その製造方法、および軟質ポリウレタンフォーム材の製造への応用は、上記で詳細に説明されている。この説明では、具体的な個別例によって本発明の原理と実施方式を説明しており、上記の実施形態の説明は、本発明の方法とコアアイデアを理解するためにのみ使用されるべきである。当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、本発明にいくつかの改良および修正を加えることが可能であり、これらの改良および修正もまた、本発明の特許請求の範囲に入っている。
図1
図2
図3