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特許7194290ワイドサンプリングレートのための逐次比較型アナログデジタルコンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】ワイドサンプリングレートのための逐次比較型アナログデジタルコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H03M 1/38 20060101AFI20221214BHJP
   H03M 1/12 20060101ALI20221214BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H03M1/38
H03M1/12 A
H03K17/00 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021549454
(86)(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 KR2021003393
(87)【国際公開番号】W WO2022019434
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0090579
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521371164
【氏名又は名称】セミソリューション カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ、チョン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チ ヒョン
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-229304(JP,A)
【文献】特表平10-500820(JP,A)
【文献】特開平4-86125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M1/12-1/88
H03K17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイドサンプリングレートのための逐次比較型アナログデジタルコンバータにおけるアナログスイッチ回路であって、
一端がキャパシタに接続され、他端が第1制御ノードに接続され、第2制御ノードの電圧によって制御される第1PMOSスイッチと、
一端が前記第1制御ノードに接続され、他端が基準電圧を出力する基準電圧源に接続され、制御電圧によって制御される第2PMOSスイッチと、
前記第1制御ノード及び前記第2制御ノードの電圧を制御する第1制御スイッチユニットと、
一端が前記キャパシタに接続され、他端が第3制御ノードに接続され、第4制御ノードの電圧によって制御される第1NMOSスイッチと、
一端が第3制御ノードに接続され、他端が接地に接続され、前記制御電圧によって制御される第2NMOSスイッチと、
前記第3制御ノード及び前記第4制御ノードの電圧を制御する第2制御スイッチユニットと、
を含むことを特徴とする、アナログスイッチ回路。
【請求項2】
前記第2PMOSスイッチがオン状態であるとき、前記第1制御スイッチユニットは、前記第1制御ノードと前記第2制御ノードに同一の電圧が印加されるように制御され、
前記第2NMOSスイッチがオン状態であるとき、前記第2制御スイッチユニットは、前記第3制御ノードと前記第4制御ノードに同一の電圧が印加されるように制御される
ことを特徴とする、請求項1に記載のアナログスイッチ回路。
【請求項3】
前記第1制御スイッチユニットは、
一端が前記キャパシタのノードに接続され、他端が前記第2制御ノードに接続される第1制御スイッチと、
一端が前記接地に接続され、他端が前記第2制御ノードに接続される第2制御スイッチと、
一端が前記第2制御ノードに接続され、他端が前記第1制御ノードに接続される第3制御スイッチと、を含み、
前記第2制御スイッチユニットは、
一端が前記キャパシタのノードに接続され、他端が前記第4制御ノードに接続される第4制御スイッチと、
一端が前記基準電圧源に接続され、他端が前記第4制御ノードに接続される第5制御スイッチと、
一端が前記第4制御ノードに接続され、他端が前記第3制御ノードに接続される第6制御スイッチと、を含む
ことを特徴とする、請求項1に記載のアナログスイッチ回路。
【請求項4】
前記制御電圧が接地電圧に該当する場合、
前記第1制御スイッチ、前記第3制御スイッチ、前記第5制御スイッチはオフ状態に制御され、
前記第2制御スイッチ、前記第4制御スイッチ、前記第6制御スイッチはオン状態に制御される
ことを特徴とする、請求項3に記載のアナログスイッチ回路。
【請求項5】
前記制御電圧が前記基準電圧源の基準電圧に該当する場合、
前記第1制御スイッチ、前記第3制御スイッチ、前記第5制御スイッチはオン状態に制御され、
前記第2制御スイッチ、前記第4制御スイッチ、前記第6制御スイッチはオフ状態に制御される
ことを特徴とする、請求項3に記載のアナログスイッチ回路。
【請求項6】
ワイドサンプリングレートのための逐次比較型アナログデジタルコンバータであって、
出力ビットに対応するキャパシタアレイ及びアナログスイッチ回路を含むキャパシタデジタルアナログ変換器と、
前記キャパシタデジタルアナログ変換器の出力電圧を比較してハイ信号またはロー信号を出力する比較器と、
前記比較器から出力されたハイ信号またはロー信号に基づいて前記キャパシタデジタルアナログ変換器で前記アナログスイッチ回路を制御するデジタルコントローラと、を含み、
前記アナログスイッチ回路は、
一端が基準電圧源に接続され、他端が第1制御ノードに接続され、制御電圧によって制御される第1PMOSスイッチと、
一端が前記第1制御ノードに接続され、他端がキャパシタに接続され、第2制御ノードの電圧によって制御される第2PMOSスイッチと、
前記第1制御ノード及び前記第2制御ノードの電圧を制御する第1制御スイッチユニットと、
一端が接地に接続され、他端が第3制御ノードに接続され、前記制御電圧によって制御される第1NMOSスイッチと、
一端が第3制御ノードに接続され、他端が前記キャパシタに接続され、第4制御ノードの電圧によって制御される第2NMOSスイッチと、
前記第3制御ノード及び前記第4制御ノードの電圧を制御する第2制御スイッチユニットと、を含む
ことを特徴とする、アナログデジタルコンバータ。
【請求項7】
前記第1制御スイッチユニットは、前記第1制御ノードと前記第2制御ノードに同一の電圧が印加されるように制御され、
前記第2制御スイッチユニットは、前記第3制御ノードと前記第4制御ノードに同一の電圧が印加されるように制御される
ことを特徴とする、請求項6に記載のアナログデジタルコンバータ。
【請求項8】
前記第1制御スイッチユニットは、
一端が前記キャパシタのノードに接続され、他端が前記第2制御ノードに接続される第1制御スイッチと、
一端が前記接地に接続され、他端が前記第2制御ノードに接続される第2制御スイッチと、
一端が前記第2制御ノードに接続され、他端が前記第1制御ノードに接続される第3制御スイッチと、を含み、
前記第2制御スイッチユニットは、
一端が前記キャパシタのノードに接続され、他端が前記第4制御ノードに接続される第4制御スイッチと、
一端が前記基準電圧源に接続され、他端が前記第4制御ノードに接続される第5制御スイッチと、
一端が前記第4制御ノードに接続され、他端が前記第3制御ノードに接続される第6制御スイッチと、を含む
ことを特徴とする、請求項6に記載のアナログデジタルコンバータ。
【請求項9】
前記制御電圧が接地電圧に該当する場合、
前記第1制御スイッチ、前記第3制御スイッチ、前記第5制御スイッチはオフ状態に制御され、
前記第2制御スイッチ、前記第4制御スイッチ、前記第6制御スイッチはオン状態に制御される
ことを特徴とする、請求項8に記載のアナログデジタルコンバータ。
【請求項10】
前記制御電圧が前記基準電圧源の基準電圧に該当する場合、
前記第1制御スイッチ、前記第3制御スイッチ、前記第5制御スイッチはオン状態に制御され、
前記第2制御スイッチ、前記第4制御スイッチ、前記第6制御スイッチはオフ状態に制御される
ことを特徴とする、請求項8に記載のアナログデジタルコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイドサンプリングレートのための逐次比較型(Successive Approximation Register、SAR)アナログデジタルコンバータに係り、より具体的には、アナログスイッチから発生するリーク電流を最小限に抑えることにより、ワイドサンプリングレートを実現することができるアナログデジタルコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術をベースに様々な機器間の接続を可能にするモノのインターネット(IoT:Internet of Things)が脚光を浴びている。IoTの実現のために、さまざまなセンサーから迅速に信号を処理して伝送するための技術が紹介されている。特に、様々なセンサーから発生するアナログ信号を迅速かつ低消費電力でデジタル信号に変換するための高効率のアナログデジタルコンバータ(Analog-to-Digital Converter、ADC)が要求されている。
【0003】
アナログ信号をデジタル信号に変換する過程で、時間的に連続したアナログ信号をサンプリングすることにより、デジタル信号が出力される。サンプリングレートは、単位時間当たりのアナログ信号のサンプリング回数で定義され、サンプリングレートは、システムの要求条件によって異なることができる。例えば、サンプリングレートは10Ksps(10K sample per second)になることもあり、10Mspsになることもある。
【0004】
一般的に、アナログデジタルコンバータは、キャパシタとスイッチを含むキャパシタアレイを含むが、システム別に要求されるサンプリングレートごとにスイッチを実現するトランジスタの特性(例えば、サイズ)が異なる。よって、要求されるサンプリングレートごとにアナログデジタルコンバータを個別に設計しなければならず、これは、全般的な費用上昇につながることができる。そして、設計の利便性及び費用低減のために広い範囲のサンプリングレートを有するアナログデジタルコンバータが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、ワイドサンプリングレートを実現するための逐次比較型アナログデジタルコンバータを提供する。
【0006】
また、本発明の実施形態は、アナログスイッチから発生するリーク電流を最小限に抑えることにより、ワイドサンプリングレートを実現することができる逐次比較型アナログデジタルコンバータを提供する。
【0007】
本発明の解決課題は、上述したものに限定されず、上述していない他の解決課題は、以降の記載から当業者に明確に理解できるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係るワイドサンプリングレートのための逐次比較型アナログデジタルコンバータにおけるアナログスイッチ回路は、一端がキャパシタに接続され、他端が第1制御ノードに接続され、第2制御ノードの電圧によって制御される第1PMOSスイッチと、一端が前記第1制御ノードに接続され、他端が基準電圧を出力する基準電圧源に接続され、制御電圧によって制御される第2PMOSスイッチと、前記第1制御ノード及び前記第2制御ノードの電圧を制御する第1制御スイッチユニットと、一端が前記キャパシタに接続され、他端が第3制御ノードに接続され、第4制御ノードの電圧によって制御される第1NMOSスイッチと、一端が第3制御ノードに接続され、他端が接地に接続され、前記制御電圧によって制御される第2NMOSスイッチと、前記第3制御ノード及び前記第4制御ノードの電圧を制御する第2制御スイッチユニットと、を含む。
【0009】
一実施形態において、前記第2PMOSスイッチがオン状態であるとき、前記第1制御スイッチユニットは、前記第1制御ノードと前記第2制御ノードに同一の電圧が印加されるように制御され、前記第2NMOSスイッチがオン状態であるとき、前記第2制御スイッチユニットは、前記第3制御ノードと前記第4制御ノードに同一の電圧が印加されるように制御できる。
【0010】
一実施形態において、前記第1制御スイッチユニットは、一端が前記キャパシタのノードに接続され、他端が前記第2制御ノードに接続される第1制御スイッチと、一端が前記接地に接続され、他端が前記第2制御ノードに接続される第2制御スイッチと、一端が前記第2制御ノードに接続され、他端が前記第1制御ノードに接続される第3制御スイッチと、を含むことができる。また、前記第2制御スイッチユニットは、一端が前記キャパシタのノードに接続され、他端が前記第4制御ノードに接続される第4制御スイッチと、一端が前記基準電圧源に接続され、他端が前記第4制御ノードに接続される第5制御スイッチと、一端が前記第4制御ノードに接続され、他端が前記第3制御ノードに接続される第6制御スイッチと、を含むことができる。
【0011】
一実施形態において、前記制御電圧が接地電圧に該当する場合、前記第1制御スイッチ、前記第3制御スイッチ、前記第5制御スイッチはオフ状態に制御され、前記第2制御スイッチ、前記第4制御スイッチ、第6制御スイッチはオン状態に制御されることができる。
【0012】
一実施形態において、前記制御電圧が前記基準電圧源の基準電圧に該当する場合、前記第1制御スイッチ、前記第3制御スイッチ、前記第5制御スイッチはオン状態に制御され、前記第2制御スイッチ、前記第4制御スイッチ、前記第6制御スイッチはオフ状態に制御されることができる。
【0013】
本発明の実施形態によるワイドサンプリングレートのための逐次比較型アナログデジタルコンバータは、出力ビットに対応するキャパシタアレイ及びアナログスイッチ回路を含むキャパシタデジタルアナログ変換器と、前記キャパシタデジタルアナログ変換器の出力電圧を比較してハイ信号またはロー信号を出力する比較器と、前記比較器から出力されたハイ信号またはロー信号に基づいて前記キャパシタデジタルアナログ変換器で前記アナログスイッチ回路を制御するデジタルコントローラと、を含む。前記アナログスイッチ回路は、一端が基準電圧源に接続され、他端が第1制御ノードに接続され、制御電圧によって制御される第1PMOSスイッチと、一端が前記第1制御ノードに接続され、他端がキャパシタに接続され、第2制御ノードの電圧によって制御される第2PMOSスイッチと、前記第1制御ノード及び前記第2制御ノードの電圧を制御する第1制御スイッチユニットと、一端が接地に接続され、他端が第3制御ノードに接続され、前記制御電圧によって制御される第1NMOSスイッチと、一端が第3制御ノードに接続され、他端が前記キャパシタに接続され、第4制御ノードの電圧によって制御される第2NMOSスイッチと、前記第3制御ノード及び前記第4制御ノードの電圧を制御する第2制御スイッチユニットと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の実施形態によれば、逐次比較型アナログデジタルコンバータからキャパシタに接続されたアナログスイッチの各端の電圧を制御することにより、リーク電流を最小限に抑えることができ、ワイドサンプリングレートを実現することができる。
【0015】
本発明の効果は、上述したものに限定されず、上述していない他の効果は、以降の記載から当業者に明確に理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】逐次比較型アナログデジタルコンバータの構造図である。
図2】従来のキャパシタデジタルアナログ変換器のアナログスイッチ回路図である。
図3】従来のキャパシタデジタルアナログ変換器のアナログスイッチから発生するリーク電流に対するシミュレーション結果を示す図である。
図4】PN接合においてリーク電流が発生する現象について説明するための図である。
図5】PN接合においてリーク電流が発生する現象について説明するための図である。
図6】本発明の実施形態に係るワイドサンプリングのための逐次比較型アナログデジタルコンバータにおけるアナログスイッチ回路図の例を示す。
図7】本発明の実施形態に係るワイドサンプリングのための逐次比較型アナログデジタルコンバータのアナログスイッチから発生するリーク電流に対するシミュレーション結果を示す図である。
図8】本発明の実施形態に係るアナログデジタルコンバータが適用できる分野を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように詳細に説明する。本発明は、様々に異なる形態で実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0018】
本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって、同一又は類似の構成要素については同一の参照符号を付する。
【0019】
また、いくつかの実施形態において、同一の構成を有する構成要素については同一の符号を用いて代表的な実施形態でのみ説明し、それ以外の別の実施形態では代表的な実施形態とは異なる構成についてのみ説明する。
【0020】
明細書全体にわたって、ある部分が他の部分と「連結(または結合)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(または結合)」されている場合だけでなく、別の部材を挟んで「間接的に連結(または結合)」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0021】
他に定義されない限り、技術的または科学的な用語を含めてここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を持っている。一般的に使用される辞典に定義されている用語は、関連技術の文脈上持つ意味と一致する意味を持つものと解釈されるべきであり、本出願において明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0022】
図1は逐次比較型(Successive Approximation Register、SAR)アナログデジタルコンバータ(Analog-to-Digital Converter)の構造図である。逐次比較型アナログデジタルコンバータは、大きく、キャパシタデジタルアナログ変換器(Capacitor Digital-Analog Converter、C-DAC)100、比較器200、及びデジタルコントローラ300を含む。
【0023】
C-DAC100は、入力アナログ電圧Vinをサンプリングし、デジタルコントローラ300から提供される制御信号に基づいて比較器200の反転端子(-)及び非反転端子(+)に第1レベル電圧(V)と第2レベル電圧(V)を出力することができる。C-DAC100は、互いに異なるキャパシタンスを有するキャパシタ及びアナログスイッチを含むアナログスイッチ回路10で構成できる。
【0024】
比較器200は、C-DAC100から出力された出力電圧(第1レベル電圧(V)及び第2レベル電圧(V))を比較して、ハイレベルまたはローレベルを有する比較信号を出力する。デジタルコントローラ300は、比較器200から出力された比較信号を用いてC-DACのアナログスイッチ回路10の各アナログスイッチを制御するための制御信号を出力することができる。デジタルコントローラ300の制御信号は、各キャパシタに接続されたスイッチのオン/オフを制御するための制御信号である。C-DACは、キャパシタとアナログスイッチ回路10から構成されたキャパシタ-アナログユニットのアレイ(キャパシタアレイ)で構成でき、比較器200の反転端子(-)と非反転端子(+)にそれぞれキャパシタアレイが接続できる。図1において、比較器200の反転端子(-)に接続されたキャパシタアレイで構成されたC-DAC100のみが示されるが、比較器200の非反転端子(+)にも同じ形態のキャパシタアレイで構成されたC-DACが存在することができる。
【0025】
C-DAC100のキャパシタアレイにおいて、各キャパシタは、アナログデジタルコンバータから出力されるデジタル信号の各ビットに対応する。図1において、各キャパシタは、10ビットのデジタル信号の各ビットに対応することができるが、例えば、最上位ビットに対応するキャパシタがC10であり、次の上位ビットに対応するキャパシタがCであれば、C=1/2*C10である。つまり、C-DAC100のキャパシタアレイにおいて隣接するキャパシタのキャパシタンスに対して、2の倍数に該当するキャパシタンスを有するキャパシタが配列できる。
【0026】
逐次比較型アナログデジタルコンバータにおいて、入力されるアナログ信号がC-DAC100に一時的に格納された状態でデジタル出力が生成されるが、C-DAC100に格納されたアナログ信号がアナログスイッチのリーク電流により損失するおそれがあり、それによりデジタル出力信号も損傷するおそれがある。
【0027】
また、C-DAC100にアナログ信号を保管して処理する時間が長くなると、その時間だけアナログ信号に多くの損傷が発生するおそれがある。つまり、アナログデジタルコンバータの仕様が10Msps(10M sample per second)であれば、一つのサンプルのデジタル信号が生成される時間が0.1usになる。つまり、0.1usの間、C-DAC100のキャパシタにアナログ信号を格納した状態で加工すると、0.1usの間にリーク電流が抜け出る。
【0028】
もしアナログデジタルコンバータの仕様が10Kspsであれば、一つのサンプルのデジタル信号が生成される時間が0.1msになる。この場合、0.1msの間にC-DAC100のキャパシタに格納されたアナログ信号のリーク電流の量も10Mspsサンプリングレートのアナログデジタルコンバータに比べて1000倍になる。そのため、10Mspsの仕様に設計したアナログデジタルコンバータは、10Kspsの仕様にして使用できず、新しいアナログデジタルコンバータの設計が必要である。
【0029】
しかし、もしC-DAC100に格納されたアナログ信号のリーク電流がないか或いは非常に少ない場合には、正確な値でデジタル信号を出力することができるだけでなく、10Mspsの仕様に設計されたアナログデジタルコンバータを10Kspsに切り替えて使用しても特性に劣化がないだろう。つまり、アナログスイッチから発生するリーク電流を除去する場合、ワイドサンプリングレートの実現が可能である。
【0030】
図2は従来のキャパシタデジタルアナログ変換器のアナログスイッチ回路図であり、図3は従来のキャパシタデジタルアナログ変換器のアナログスイッチから発生するリーク電流に対するシミュレーション結果を示す図である。図2のアナログスイッチ回路において、ポートPとポートNに0Vが印加されると、チャネルAが接続され、チャネルBが切れる。この時、チャネルBのNMOSのソース端には1.2V、ゲート端には0Vが印加されることにより、PN接合に逆電圧1.2Vが印加され、この時、リーク電流が発生することがある。図2の回路に対するシミュレーション結果を考察すると、図3に示すように、NMOSのリーク電流は1.511nAが発生することを確認することができる。
【0031】
逆に、ポートPに1.2V、ポートNに1.2Vが印加されると、チャネルAが切れ、チャネルBが接続され、ノードaには0Vが印加され、チャネルAにあるPMOSのドレイン端に0Vが印加され、ゲート端には1.2Vが印加される。このとき、PMOSのPN接合に逆電圧1.2Vが印加されてリーク電流が発生することがある。図3のシミュレーション結果を考察すると、178.6pAのリーク電流が発生し、これによりキャパシタに格納されたアナログ信号に損傷が発生し、出力されるデジタル信号も損傷することがある。
【0032】
そのため、本発明の実施形態は、C-DAC100のアナログスイッチから発生する電流を最小限に抑えることにより、より良い特性の逐次比較型アナログデジタルコンバータを実現することができ、それにより広い範囲のサンプリングレートで動作することができる。
【0033】
図4及び図5はPN接合においてリーク電流が発生する現象について説明するための図である。図4はPN接合のP型領域(P端)とN型領域(N端)に印加される電圧による電流変化を示すグラフである。例えばP端に0V、N端に1.2Vの電圧が印加されるみたいに逆バイアスが印加される場合には、N端からP端にリーク電流が発生することができる。図4のグラフにおける第3象限が、逆バイアスの印加時に発生するリーク電流に該当する。
【0034】
図5は一般的なMOSFETに対する逆電圧の印加時に発生するリーク電流をシミュレーションした結果である。図5を参照すると、PN接合において0.5Vの逆電圧が印加されると、大量(44.69nA)のリーク電流が発生し、P端とN端の電圧が0Vである場合、すなわち同じ電圧が印加されると、非常に少ない量(5.778fA)のリーク電流が発生することを確認した。
【0035】
そのため、本発明の実施形態は、C-DAC100のアナログスイッチ回路においてアナログスイッチがオフ状態であるときにリーク電流を除去するためにP端とN端の電圧を同一にするために、ソース端、ゲート端、ドレイン端に印加される電圧を同一に制御するための方法を提供する。
【0036】
図6は本発明の実施形態に係るワイドサンプリングのための逐次比較型アナログデジタルコンバータにおけるアナログスイッチ回路図の例を示す。図6の回路において、チャネルAまたはチャネルBを選択的に接続させるためのスイッチ110、115、130、135のオフ状態でソース、ゲート、ドレインに印加される電圧を同一に制御するための制御スイッチ121、122、123、141、142、143が提供される。図6において、電源電圧として1.2Vが印加される場合を例示するが、印加されるDC電圧は、適用される機器ごとに変更できるのは当たり前である。
【0037】
図6を参照すると、本発明の実施形態に係るワイドサンプリングレートのための逐次比較型アナログデジタルコンバータにおけるアナログスイッチ回路は、一端(ソース端)がキャパシタC(ノードa)に接続され、他端(ドレイン端)が第1制御ノードCt1に接続され、第2制御ノードCt2の電圧によって制御される第1PMOSスイッチ110と、一端(ソース端)が第1制御ノードCt1に接続され、他端(ドレイン端)が基準電圧(1.2V)を出力する基準電圧源に接続される第2PMOSスイッチ115と、第1制御ノードCt1及び第2制御ノードCt2の電圧を制御する第1制御スイッチユニット120と、一端(ソース端)がキャパシタC(ノードa)に接続され、他端(ドレイン端)が第3制御ノードCt3に接続され、第4制御ノードC4の電圧によって制御される第1NMOSスイッチ130と、一端(ソース端)が第3制御ノードCt3に接続され、他端が接地に接続される第2NMOSスイッチ135と、第3制御ノードC3及び第4制御ノードC4の電圧を制御する第2制御スイッチユニット140と、を含む。
【0038】
チャネルAが接続され且つチャネルBが切れる場合、及びチャネルAが切れ且つチャネルBが接続される場合に対する各ポートの印加電圧、及び制御スイッチのオン/オフは、表1のとおりである。図6のスイッチを制御するための制御信号は、デジタルコントローラ300によって出力できる。
【0039】
【表1】

図6の回路において、ポートPに0V、ポートNにも0Vが印加されると、チャネルAが接続され、チャネルBが切れ、ノードaには1.2Vが印加される。このとき、第2制御スイッチ122がオンになってチャネルAが活性化され、第4制御スイッチ141と第6制御スイッチ143が接続され、チャネルBにある第1NMOSスイッチ130のソース、ゲート、ドレインにすべてノードaと同一の電圧が印加される。そのため、チャネルBにある第1NMOSスイッチ130のNPN(つまり、PN接合のP端とN端)の電圧が同一になって、理論上、リーク電流が発生しない。
【0040】
逆に、ポートPに1.2V、ポートNに1.2Vが印加されると、チャネルAが切れ、チャネルBが接続されるが、この時、ノードaに0Vが印加され、第5制御スイッチ142がオン状態になり、第1制御スイッチ121及び第3制御スイッチ123がオン状態になることにより、チャネルAにある第1PMOSスイッチ110のPNP(すなわち、PN接合のP端とN端)の電圧が同一になり、理論上、リーク電流が発生しない。
【0041】
本発明の実施形態において、第2PMOSスイッチ115がオン状態であるとき(チャネルAが接続されるとき)、第1制御スイッチユニット120は、第1制御ノードCt1と第2制御ノードCt2に同一の電圧が印加されるように制御し、第2NMOSスイッチ135がオン状態であるとき(チャネルBが接続されるとき)、第2制御スイッチユニット140は、第3制御ノードCt3と第4制御ノードCt4に同一の電圧が印加されるように制御することができる。
【0042】
本発明の実施形態において、第1制御スイッチユニット120は、一端がキャパシタノードノードaに接続され、他端が第2制御ノードCt2に接続される第1制御スイッチ121と、一端が接地0Vに接続され、他端が第2制御ノードCt2に接続される第2制御スイッチ122と、一端が第2制御ノードCt2に接続され、他端が第1制御ノードCt1に接続される第3制御スイッチ123と、を含むことができる。また、第2制御スイッチユニット140は、一端が前記キャパシタノード(ノードa)に接続され、他端が第4制御ノードCt4に接続される第4制御スイッチ141と、一端が基準電圧源(1.2V)に接続され、他端が第4制御ノードCt4に接続される第5制御スイッチ142と、一端が第4制御ノードCt4に接続され、他端が第3制御ノードCt3に接続される第6制御スイッチ143と、を含むことができる。
【0043】
本発明の実施形態において、制御電圧(ポートP、ポートNの電圧)が接地電圧0Vに該当する場合、第1制御スイッチ121、第3制御スイッチ123、第5制御スイッチ142はオフ状態に制御され、第2制御スイッチ122、第4制御スイッチ141、第6制御スイッチ143はオン状態に制御されることができる。
【0044】
また、制御電圧(ポートP、ポートNの電圧)が基準電圧源の基準電圧(1.2V)に該当する場合、第1制御スイッチ121、第3制御スイッチ123、第5制御スイッチ142はオン状態に制御され、第2制御スイッチ122、第4制御スイッチ141、第6制御スイッチ143はオフ状態に制御されることができる。
【0045】
図7は本発明の実施形態に係るワイドサンプリングのための逐次比較型アナログデジタルコンバータのアナログスイッチから発生するリーク電流に対するシミュレーション結果を示す図である。図6の回路に対するシミュレーション結果、非常に小さいリーク電流が発生することを確認した。また、表2に示すように、従来のアナログスイッチ回路に比べて、PMOSは113倍、NMOSは1245倍のリーク電流減少効果があった。
【0046】
【表2】

したがって、10Mspsの仕様に設計された逐次比較型アナログデジタルコンバータは、100倍から1245倍まで、すなわち、100Kspsから10Kspsまでワイドサンプリングレートで動作することができる。
【0047】
図8は本発明の実施形態に係るアナログ-デジタルコンバータが適用できる分野を示す図である。
【0048】
上述したように、ワイドサンプリングレートのためにC-DAC100のリーク電流を最小限に抑えたアナログスイッチを適用したアナログデジタルコンバータは、その特性が改善されるだけでなく、一種類のアナログデジタルコンバータが複数の種類のIoTセンサーに適用されることができる。つまり、サンプリングレートが様々なIoTセンサーに対して、同一のアナログデジタルコンバータが適用できる。
【0049】
特に、本発明によるアナログデジタルコンバータのワイドサンプリングレート特性は、検出された光、音、音声、温度などのアナログ信号をデジタル信号に変換して、システム内の処理ブロックを経てメモリに格納され、ユーザーがアクセスして使用することができる形態のデータを提供することができる。例えば、本発明の実施形態によるアナログデジタルコンバータは、下記表3のようなタイプのセンサーにすべて適用できる。
【0050】
【表3】

本実施形態及び本明細書に添付された図面は、本発明に含まれる技術的思想の一部を明確に示しているものに過ぎず、本発明の明細書及び図面に含まれている技術的思想の範囲内で当業者が容易に類推することができる変形例と具体的な実施形態はいずれも、本発明の権利範囲に含まれることが自明であるというべきである。
【0051】
したがって、本発明の思想は、説明された実施形態に限定されて定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、この特許請求の範囲と均等であるか或いは等価的変形があるすべてのものは、本発明の思想の範疇に属するというべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8