(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】ユーティリティビークルのパワーユニット
(51)【国際特許分類】
F02B 67/00 20060101AFI20221214BHJP
F02B 67/04 20060101ALI20221214BHJP
F16H 9/18 20060101ALI20221214BHJP
B60R 16/03 20060101ALI20221214BHJP
B60K 17/06 20060101ALI20221214BHJP
B60K 17/02 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
F02B67/00 J
F02B67/04 G
F16H9/18 B
B60R16/03 K
B60K17/06 J
B60K17/06 L
B60K17/02 F
(21)【出願番号】P 2021573232
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(86)【国際出願番号】 JP2020023426
(87)【国際公開番号】W WO2021039036
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-12-09
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 正司
(72)【発明者】
【氏名】松田 義基
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2021-518828(JP,A)
【文献】特開2017-219138(JP,A)
【文献】特開2010-144894(JP,A)
【文献】特開2004-338675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/00
F16H 9/00
H02K 7/10
F02B 67/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転動力を出力する駆動軸を有する走行動力源と、
前記走行駆動源の前記駆動軸から前記回転動力が入力されるCVT入力軸と、前記回転動力を出力するCVT出力軸と、前記CVT入力軸に設けられたドライブプーリーと、前記CVT出力軸に設けられたドリブンプーリーと、前記ドライブプーリー及び前記ドリブンプーリーに巻き掛けられたベルトと、を有する無段変速機と、
前記走行駆動源の前記駆動軸と平行に配置され、前記CVT入力軸と同一軸線上に配置された減速軸と、
前記駆動軸の回転動力を前記減速軸に伝達する減速ギヤと、
前記CVT入力軸及び前記減速軸を含む軸体に設けられた発電機と、を備え、
前記駆動軸、前記軸体、前記CVT入力軸及び前記CVT出力軸は、第1方向に延びており、
前記発電機は、前記第1方向に直交する第2方向に前記走行駆動源に対して並んで配置され、
前記第1方向における前記発電機の位置は、前記第1方向における前記走行駆動源の位置と重なっている、ユーティリティビークルのパワーユニット。
【請求項2】
前記軸体に駆動されるポンプを更に備え、
前記発電機は、前記軸体のうち前記CVT入力軸側とは反対側の端部に設けられ、
前記ポンプは、前記ドライブプーリーと前記発電機との間に配置されている、請求項1に記載のユーティリティビークルのパワーユニット。
【請求項3】
前記走行駆動源又は前記無段変速機が出力する回転動力が入力されるギヤ変速機と、
前記ギヤ変速機から出力される回転動力を駆動輪に向けて出力する出力機構と、を更に備え、
前記ギヤ変速機は、前記第1方向に前記無段変速機に対して並んで配置され、かつ、前記第2方向に前記走行駆動源に対して並んで配置され、
前記発電機は、前記第2方向における前記駆動軸と前記ギヤ変速機との間に配置されている、請求項1又は2に記載のユーティリティビークルのパワーユニット。
【請求項4】
前記ギヤ変速機は、
前記CVT出力軸から前記回転動力が入力されるGT入力軸と、
前記出力機構に前記回転動力を出力するGT出力軸と、
前記GT入力軸から前記GT出力軸に前記回転動力を伝達する第1GT中間軸と、
前記GT入力軸から前記GT出力軸に前記回転動力を伝達する第2GT中間軸と、
前記GT入力軸及び前記第1GT中間軸に設けられた第1変速ギヤと、
前記GT入力軸及び前記第2GT中間軸に設けられた第2変速ギヤと、
前記第1GT中間軸に設けられ、前記GT出力軸に動力伝達する第1伝達ギヤと、
前記第2GT中間軸に設けられ、前記GT出力軸に動力伝達する第2伝達ギヤと、を有し、
前記駆動軸、前記CVT入力軸、前記CVT出力軸、前記GT入力軸、前記第1GT中間軸、前記第2GT中間軸及び前記GT出力軸は、前記第1方向に延びており、
記第1方向に直交する第2方向に前記走行駆動源に対して並んで配置され、
前記第1GT中間軸は、前記第2方向における前記GT入力軸の一方側に配置され、前記第2GT中間軸は、前記第2方向における前記GT入力軸の他方側に配置され、
前記発電機は、前記減速軸に設けられている、請求項3に記載のユーティリティビークルのパワーユニット。
【請求項5】
前記ギヤ変速機は、前記GT出力軸に設けられた共用出力ギヤを有し、
前記第1伝達ギヤ及び前記第2伝達ギヤは、前記第2方向において互いに並んで配置されて前記共用出力ギヤに噛合している、請求項4に記載のユーティリティビークルのパワーユニット。
【請求項6】
前記第1方向における前記減速ギヤの位置は、前記第1方向における前記第1伝達ギヤ及び前記第2伝達ギヤの位置と重なっている、請求項5に記載のユーティリティビークルのパワーユニット。
【請求項7】
前記走行動力源と前記ギヤ変速機との間に介設された第1クラッチと、
前記無段変速機と前記ギヤ変速機との間に介設された第2クラッチと、を備え、
前記ギヤ変速機は、
前記減速軸から前記回転動力が入力され、前記CVT入力軸及び前記減速軸と同一軸線上に配置された第1GT入力軸と、
前記CVT出力軸から前記回転動力が入力される第2GT入力軸と、
前記出力機構に前記回転動力を出力するGT出力軸と、
前記第1GT入力軸から前記GT出力軸に前記回転動力を伝達する第1GT中間軸と、
前記第2GT入力軸から前記GT出力軸に前記回転動力を伝達する第2GT中間軸と、
前記第1GT入力軸及び前記第1GT中間軸に設けられた第1変速ギヤと、
前記第2GT入力軸及び前記第2GT中間軸に設けられた第2変速ギヤと、
前記第1GT中間軸に設けられ、前記GT出力軸に動力伝達する第1伝達ギヤと、
前記第2GT中間軸に設けられ、前記GT出力軸に動力伝達する第2伝達ギヤと、を有し、
前記第1クラッチは、前記走行駆動源から前記第1GT入力軸への動力伝達を切断可能に構成されており、
前記第2クラッチは、前記CVT出力軸から前記第2GT入力軸への動力伝達を切断可能に構成されており、
前記軸体は、前記CVT入力軸及び前記減速軸とともに前記第1GT入力軸を更に含み、
前記発電機は、前記第1GT入力軸に設けられている、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のユーティリティビークルのパワーユニット。
【請求項8】
前記ギヤ変速機は、前記GT出力軸に設けられた共用出力ギヤを有し、
前記第1伝達ギヤ及び前記第2伝達ギヤは、前記第2方向において互いに並んで配置されて前記共用出力ギヤに噛合している、請求項7に記載のユーティリティビークルのパワーユニット。
【請求項9】
前記第1クラッチは、前記第1GT入力軸の軸線周りに配置され、
前記第1方向における前記第1クラッチの位置は、前記第1方向における前記第1伝達ギヤの位置と重なっている、請求項7又は8に記載のユーティリティビークルのパワーユニット。
【請求項10】
前記第2クラッチは、前記第2GT入力軸の軸線周りに配置され、
前記第1方向における前記第2クラッチの位置は、前記第1方向における前記第2伝達ギヤの位置と重なっている、請求項7乃至9のいずれか1項に記載のユーティリティビークルのパワーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーティリティビークルのパワーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
US 8,613,336 B2には、不整地を走行可能なユーティリティビークルが開示されている。一般的に、ユーティリティビークルでは、エンジン及びCVT(無段変速機)を有するパワーユニットが車体に搭載されている。
【0003】
ユーティリティビークルの設計要求によっては、パワーユニットの軸方向のサイズに制限が生じる場合がある。その際、パワーユニットの構成要素のレイアウト変更を行うことが考えられる。しかし、エンジンのクランク軸の端部に結合された発電機を別の場所に移動させるとしても、ユーティリティビークルの挙動を考慮して発電機に悪影響が出ないようにする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、ユーティリティビークルのパワーユニットの大型化を防ぎながら発電機の寿命を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るユーティリティビークルのパワーユニットは、回転動力を出力する駆動軸を有する走行動力源と、前記走行駆動源の前記駆動軸から前記回転動力が入力されるCVT入力軸と、前記回転動力を出力するCVT出力軸と、前記CVT入力軸に設けられたドライブプーリーと、前記CVT出力軸に設けられたドリブンプーリーと、前記ドライブプーリー及び前記ドリブンプーリーに巻き掛けられたベルトと、を有する無段変速機と、前記走行駆動源の前記駆動軸と平行に配置され、前記CVT入力軸と同一軸線上に配置された減速軸と、前記駆動軸の回転動力を前記減速軸に伝達する減速ギヤと、前記CVT入力軸及び前記減速軸を含む軸体に設けられた発電機と、を備え、前記駆動軸、前記軸体、前記CVT入力軸及び前記CVT出力軸は、第1方向に延びており、前記発電機は、前記第1方向に直交する第2方向に前記走行駆動源に対して並んで配置され、前記第1方向における前記発電機の位置は、前記第1方向における前記走行駆動源の位置と重なっている。
【0007】
前記構成によれば、発電機が効率良く配置され、パワーユニットを第1方向(軸方向)においてコンパクト化できる。しかも、発電機は、走行駆動源から駆動輪までの動力伝達の流れにおける無段変速機の上流側に配置されるので、駆動輪が路面から受けるバックトルクが無段変速機のベルトで吸収され、発電機に伝達されることを抑制できる。よって、パワーユニットの大型化を防ぎながら発電機の寿命を高めることができる。
【0008】
本開示の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るユーティリティビークルの斜視図である。
【0010】
【
図2】
図2は、
図1に示すユーティリティビークルのパワーユニットの展開図である。
【0011】
【0012】
【
図4】
図4は、
図2に示すパワーユニットの制御系統のブロック図である。
【0013】
【
図5】
図5は、第2実施形態のパワーユニットの
図2相当の図面である。
【0014】
【
図6】
図6は、第3実施形態のパワーユニットの展開図である。
【0015】
【0016】
【
図8】
図8は、
図6に示すパワーユニットの制御系統のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示に係る実施形態を図面を参照して説明する。
【0018】
(第1実施形態)
【0019】
図1は、第1実施形態に係るユーティリティビークル1の斜視図である。
図1に示すように、ユーティリティビークル1は、車体フレーム2の前部に支持された左右一対の前輪3と、車体フレーム2の後部に支持された左右一対の後輪4とを備える。左右の前輪3の間のスペースは樹脂製のボンネット5により上方から覆われている。ボンネット5の後側には、車体フレーム2の前後方向中央付近において、一対の乗員シート6(運転席及び助手席)が配置されている。
【0020】
車体フレーム2は、キャビンフレーム部2a及び左右一対のリヤガセットフレーム部2b等を有する。車体フレーム2は、複数のパイプ部材を互いに接続してなるパイプフレームである。キャビンフレーム部2aは、乗員シート6が設置された乗員空間を囲むように形成されている。キャビンフレーム部2aに囲まれた乗員空間は、外部に露出している。リヤガセットフレーム部2bは、キャビンフレーム部2aの上部をリヤフレーム部(図示せず)の後部に連結している。乗員シート6の後方には、凹状の積載空間を形成するカーゴキャリア7が設けられている。カーゴキャリア7の下方には、後述するパワーユニット10が搭載されている(
図1ではパワーユニット10の図示が省略されている)。ユーティリティビークル1が二輪駆動の場合は後輪4が駆動輪であり、四輪駆動である場合には前輪3及び後輪4が駆動輪である。
【0021】
図2は、
図1に示すユーティリティビークル1のパワーユニット10の展開図である。
図2に示すように、パワーユニット10は、エンジンE(走行動力源)、減速軸11、無段変速機12、ギヤ変速機13、出力機構14、クラッチ15、ポンプ16、発電機G、パワーユニットケース17等を備える。エンジンEは、多気筒(例えば、4気筒)の内燃機関である。エンジンEは、気筒部Eaと、気筒部Eaの下側に位置するクランク軸Eb(駆動軸)とを有する。クランク軸Ebは、例えば、左右方向(第1方向)に延びている。クランク軸Ebは、気筒部Eaで生成された回転動力を出力する。なお、走行動力源として、エンジン(内燃機関)が用いられる代わりに電動モータが用いられてもよい。
【0022】
減速軸11は、エンジンEのクランク軸Ebと平行な状態でクランク軸Ebの後方に配置されている。クランク軸Eb及び減速軸11には、クランク軸Ebの回転を減速して減速軸11に伝達する減速ギヤ対20が設けられている。減速軸11には、ポンプ16が設けられている。即ち、減速軸11の回転によりポンプ16が駆動される。ポンプ16は、減速軸11上において無段変速機12と後述の発電機Gとの間に配置されている。ポンプ16は、例えば、エンジンE及び無段変速機12を潤滑する潤滑油を送り出すためのオイルポンプである。左右方向におけるポンプ16の位置は、左右方向におけるクランク軸Ebの位置と重なっている。ポンプ16は、クランク軸Ebよりも左右方向外側に食み出していない。なお、ポンプ16は、走行駆動源としてエンジンEを用いる場合には、エンジンEを冷却するためのウォーターポンプでもよい。
【0023】
減速軸11における無段変速機12側とは反対側の端部には、発電機Gが設けられている。発電機Gは、前後方向(第2方向)にエンジンEに対して並んで配置されている。発電機Gは、前後方向におけるクランク軸Ebとギヤ変速機13との間に配置されている。左右方向における発電機Gの位置は、左右方向におけるクランク軸Ebの位置と重なっている。発電機Gは、クランク軸Ebよりも左右方向外側に食み出していない。なお、発電機Gは、減速軸11及びCVT入力軸21を含む軸体に設けられていればよく、例えば、CVT入力軸21に設けられてもよい。
【0024】
無段変速機12は、エンジンEの左右方向外側に配置されている。無段変速機12は、CVT入力軸21、CVT出力軸22、ドライブプーリー23、ドリブンプーリー24、ベルト25等を備える。CVT入力軸21には、クランク軸Ebから回転動力が入力される。CVT入力軸21は、減速軸11と同一軸線上に配置されて減速軸11と共回転する。CVT入力軸21は、減速軸11に直接的に接続されていてもよいし、減速軸11に間接的に接続されていてもよいし、減速軸11と一体成形されていてもよい。
【0025】
CVT出力軸22は、回転動力をギヤ変速機13に出力する。CVT入力軸21及びCVT出力軸22は、左右方向に延びている。ドライブプーリー23は、CVT入力軸21に設けられている。ドリブンプーリー24は、CVT出力軸22に設けられている。ベルト25は、ドライブプーリー23及びドリブンプーリー24に巻き掛けられている。ベルト25は、例えば、非金属材料(例えば、ゴムや樹脂等)で形成されている。
【0026】
ギヤ変速機13は、無段変速機12に対して左右方向に並んで配置され、かつ、エンジンEに対して前後方向に並んで配置されている。ギヤ変速機13は、ドッグクラッチ式の変速機である。ギヤ変速機13は、GT入力軸31、GT出力軸32、第1GT中間軸33、第2GT中間軸34、第1変速ギヤ対35A,35B、第2変速ギヤ対36A,36B、第1伝達ギヤ37、第2伝達ギヤ38、共用出力ギヤ39等を備える。
【0027】
GT入力軸31には、CVT出力軸22から回転動力が入力される。GT入力軸31は、CVT出力軸22と同一軸線上に配置されている。CVT出力軸22は、GT入力軸31に回転自在に挿入されていてもよい。GT入力軸31は、後述のクラッチ15が切断されるとCVT出力軸22に対して回転自在となり、後述のクラッチ15が接続されるとCVT出力軸22と共回転する。
【0028】
GT出力軸32は、回転動力を出力機構14に出力する。第1GT中間軸33は、GT入力軸31からGT出力軸32に回転動力を伝達する。第2GT中間軸34も、GT入力軸31からGT出力軸32に回転動力を伝達する。第1GT中間軸33は、GT入力軸31よりも前方に配置され、第2GT中間軸34は、GT入力軸31よりも後方に配置されている。即ち、第1GT中間軸33及び第2GT中間軸34は、前後方向においてGT入力軸31を基準として互いに反対側に配置されている。GT入力軸31、GT出力軸32、第1GT中間軸33及び第2GT中間軸34は、左右方向に延びている。
【0029】
GT入力軸31及び第1GT中間軸33には、複数組(例えば、2組)の第1変速ギヤ対35A,35Bが設けられている。GT入力軸31及び第2GT中間軸34には、複数組(例えば、2組)の第2変速ギヤ対36A,36Bが設けられている。即ち、GT入力軸31の回転が、第1変速ギヤ対35A,35B及び第2変速ギヤ対36A,36Bの何れかで変速されてGT出力軸32に伝達される。例えば、第1変速ギヤ対35Aが「3速」、第1変速ギヤ対35Bが「リバース」、第2変速ギヤ対36Aが「2速」、第2変速ギヤ対36Bが「1速」である。なお、各ギヤ対と変速段との関係は、これに限られない。
【0030】
第1伝達ギヤ37は、第1GT中間軸33と共回転するように第1GT中間軸33に設けられている。第2伝達ギヤ38は、第2GT中間軸34と共回転するように第2GT中間軸34に設けられている。共用出力ギヤ39は、GT出力軸32と共回転するようにGT出力軸32に設けられている。第1伝達ギヤ37及び第2伝達ギヤ38は、前後方向において互いに並んで配置され、共用出力ギヤ39に噛合している。
【0031】
即ち、第1GT中間軸33の回転は、第1伝達ギヤ37及び共用出力ギヤ39を介してGT出力軸32に伝達され、かつ、第2GT中間軸34の回転は、第2伝達ギヤ38及び共用出力ギヤ39を介してGT出力軸32に伝達される。よって、GT入力軸31とGT出力軸32との間には、第1GT中間軸33を通る第1変速ルートと、第2GT中間軸34を通る第2変速ルートとが並列的に設けられている。即ち、GT入力軸31の回転は、前記第1変速ルート又は前記第2変速ルートの何れかを通ってGT出力軸32に伝達される。
【0032】
GT入力軸31の軸線周りには、クラッチ15が設けられている。クラッチ15は、CVT出力軸22からGT入力軸31への動力伝達を切断及び接続できるように構成されている。クラッチ15は、例えば、多板クラッチである。左右方向におけるクラッチ15の位置は、左右方向における第1伝達ギヤ37及び第2伝達ギヤ38の位置と重なっている。
【0033】
出力機構14は、ギヤ変速機13から出力される回転動力を駆動輪(前輪3及び/又は後輪4)に向けて出力する。出力機構14は、GT出力軸32と平行に配置されたファイナル軸41と、GT出力軸32及びファイナル軸41に設けられたファイナルギヤ対42とを有する。ファイナル軸41及びファイナルギヤ対42は、GT出力軸32の後方に配置されている。
【0034】
減速ギヤ対20、第1伝達ギヤ37、クラッチ15、第2伝達ギヤ38及び共用出力ギヤ39は、互いに左右方向の位置が重なるように配置されている(
図2では、互いに左右方向の位置が同じである。)。ポンプ16、第1変速ギヤ対35A、第2変速ギヤ対36A及びファイナルギヤ対42は、互いに左右方向の位置が重なるように配置されている(
図2では、互いに左右方向の位置が同じである。)。第1変速ギヤ対35B及び第2変速ギヤ対36Bは、互いに左右方向の位置が重なるように配置されている(
図2では、互いに左右方向の位置が同じである。)。即ち、
図2の例では、ギヤ変速機13のギヤ列は3列である。
【0035】
図3は、
図2に示すパワーユニット10の側面図である。
図3に示すように、パワーユニット10は、エンジンEの後側に連続するパワーユニットケース17を備える。パワーユニットケース17は、クランク軸Eb、減速軸11、無段変速機12、ギヤ変速機13、出力機構14、クラッチ15、ポンプ16等を収容する。パワーユニットケース17は、ケース本体17aと、ケース本体17aの下部に設けられたオイルパン17bとを有する。オイルパン17bには、潤滑油が貯留され、その潤滑油がポンプ16の吸引力によりストレーナ18から吸い上げられる。
【0036】
CVT入力軸21(減速軸11)は、クランク軸Ebの後方に配置されている。CVT入力軸21は、クランク軸Ebより下方に配置されている。GT入力軸31(CVT出力軸22)は、CVT入力軸21の後方に配置されている。GT入力軸31は、クランク軸Ebより上方に配置されている。第1GT中間軸33及び第2GT中間軸34は、GT入力軸31より下方に配置されている。第1GT中間軸33及び第2GT中間軸34は、CVT入力軸よりも上方に配置されている。第1GT中間軸33は、CVT入力軸21とGT入力軸31との間に配置されている。
【0037】
GT出力軸32は、第1GT中間軸33及び第2GT中間軸34より下方に配置されている。GT出力軸32は、第1GT中間軸33よりも後方で且つ第2GT中間軸34よりも前方に配置されている。GT出力軸32は、クランク軸Ebよりも下方に配置されている。ファイナル軸41は、GT出力軸32よりも後方かつ下方に配置されている。減速ギヤ対20及び共用出力ギヤ39は、オイルパン17bよりも上方に配置されている。なお、ファイナルギヤ対42の一部は、オイルパン17bの内部に進入している。
【0038】
図4は、
図1に示すパワーユニット10の制御系統のブロック図である。ユーティリティビークル1は、コントローラ50を備える。ユーティリティビークル1は、コントローラ50の入力側において、アクセルセンサ51、回転数センサ52、車速センサ53、シフト操作センサ54等を備える。アクセルセンサ51は、運転者によるアクセル操作部材(例えば、アクセルペダル)の操作量を検出するセンサである。回転数センサ52は、エンジン回転数(具体的には、クランク軸Ebの回転数)を検出するセンサである。車速センサ53は、ユーティリティビークル1の走行速度を検出するセンサである。シフト操作センサ54は、運転者による変速操作部材(例えば、シフトレバー)の操作位置(変速位置指令)を検出するセンサである。
【0039】
ユーティリティビークル1は、コントローラ50の出力側において、エンジンE、ギヤ変速アクチュエータ55、クラッチアクチュエータ56等を備える。ギヤ変速アクチュエータ55は、ギヤ変速機13の変速動力を発生する。即ち、ギヤ変速アクチュエータ55は、シフトドラム(図示せず)を回転駆動することで、シフトフォーク(図示せず)を介してドッグ(図示せず)を移動させて変速動作を実現する。ギヤ変速アクチュエータ55は、例えば電動モータである。クラッチアクチュエータ56は、クラッチ15を作動させる動力を発生する。例えば、クラッチ15は、油圧で作動するクラッチであり、クラッチアクチュエータ56は油圧ポンプである。
【0040】
コントローラ50は、アクセルセンサ51、回転数センサ52、車速センサ53等の検出信号に基づいてエンジンEを制御する。コントローラ50は、シフト操作センサ54の検出信号に基づいてギヤ変速アクチュエータ55及びクラッチアクチュエータ56を制御する。コントローラ50は、シフト操作センサ54から変速位置指令を受信すると、クラッチ15が切断状態になるようにクラッチアクチュエータ56を制御する。次いで、コントローラ50は、第1変速ギヤ対35A,35B及び第2変速ギヤ対36A、36Bのうち目的の変速ギヤ対が選択されるようにギヤ変速アクチュエータ55を制御する。次いで、コントローラ50は、クラッチ15が接続状態に戻るようにクラッチアクチュエータ56を制御する。コントローラ50は、シフト操作センサ54からニュートラル指令を受信すると、クラッチ15が切断状態になるようにクラッチアクチュエータ56を制御する。
【0041】
以上に説明した構成によれば、発電機Gが効率良く配置され、パワーユニット10を左右方向においてコンパクト化できる。しかも、発電機Gは、エンジンEからクランク軸Ebまでの動力伝達の流れにおける無段変速機12の上流側に配置されるので、駆動輪(前輪3及び/又は後輪4)が路面から受けるバックトルクが無段変速機12のベルト25で吸収され、発電機Gに伝達されることを抑制できる。よって、パワーユニット10の大型化を防ぎながら発電機Gの寿命を高めることができる。
【0042】
また、発電機Gが減速軸11の端部に設けられ且つポンプ16がドライブプーリー23と発電機Gとの間に配置されているので、発電機G及びポンプ16が効率良く配置され、パワーユニット10を左右方向においてコンパクト化できる。
【0043】
また、発電機Gは、前後方向におけるクランク軸Ebとギヤ変速機13との間に配置されているので、エンジンEとギヤ変速機13との間に挟まれた空間を有効に利用して発電機Gを効率良く配置でき、パワーユニット10を前後方向においてコンパクト化できる。
【0044】
また、ギヤ変速機13を複数のGT中間軸33,34を有する構成として発電機Gを減速軸11に設けるようにレイアウトが工夫されているので、パワーユニット10を左右方向においてコンパクト化できる。
【0045】
また、第1伝達ギヤ37及び第2伝達ギヤ28は、前後方向において互いに並んで配置されて共用出力ギヤ39に噛合しているので、第1伝達ギヤ37、第2伝達ギヤ38及び共用出力ギヤ39が占有するスペースの左右方向のサイズが小さくて済み、パワーユニット10を左右方向においてコンパクト化できる。
【0046】
また、左右方向における減速ギヤ20の位置は、左右方向における第1伝達ギヤ37及び第2伝達ギヤ38の位置と重なっているので、各ギヤが効率良く配置され、パワーユニット10を左右方向においてコンパクト化できる。
【0047】
(第2実施形態)
【0048】
図5は、第2実施形態のパワーユニット210の
図2相当の図面である。なお、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、第2実施形態のパワーユニット110は、第1実施形態に比べ、クラッチ115の配置が異なっている。GT入力軸131は、第1実施形態のものよりも長い。GT入力軸131は、第1GT中間軸33及び第2GT中間軸34よりも左右方向における無段変速機12と反対側(
図5の左側)に突出している。
【0049】
クラッチ115は、GT入力軸131のうち無段変速機12側とは反対側の端部(
図5の左端部)に設けられている。クラッチ115は、第1GT中間軸33及び第2GT中間軸34に対して左右方向にずれて配置されている。クラッチ115は、第1実施形態のものよりも大径である。クラッチ115は、左右方向から見て第1GT中間軸33及び第2GT中間軸34に重なる。これにより、クラッチ115の存在にかかわらず前後方向に第1GT中間軸33及び第2GT中間軸34をGT入力軸131に近づけて配置でき、パワーユニット110を前後方向においてコンパクト化できる。発電機Gは、クラッチ215の左右方向外側の端縁よりも、左右方向内側に配置されている。即ち、クラッチ215は、発電機Gよりも左右方向外側に位置する。なお、他の構成は前述した第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0050】
(第3実施形態)
【0051】
図6は、第3実施形態のパワーユニット210の展開図である。なお、第1実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明を省略する。
図6に示すように、パワーユニット210は、エンジンE(走行動力源)、無段変速機12、ギヤ変速機213、第1クラッチ214、第2クラッチ215、出力機構14、ポンプ16、パワーユニットケース17等を備える。
【0052】
ギヤ変速機213は、無段変速機12に対して左右方向に並んで配置され、かつ、エンジンEに対して前後方向に並んで配置されている。具体的には、ギヤ変速機213は、無段変速機12の左側かつエンジンEの後側に配置されている。ギヤ変速機213は、ドッグクラッチ式の変速機である。ギヤ変速機213は、第1GT入力軸231、第2GT入力軸232、GT出力軸233、第1GT中間軸234、第2GT中間軸235、第1変速ギヤ対236、第2変速ギヤ対237A,237B,237C、第1伝達ギヤ238、第2伝達ギヤ239、共用出力ギヤ240等を備える。第1GT入力軸231、第2GT入力軸232、GT出力軸233、第1GT中間軸234及び第2GT中間軸235は、左右方向に延びている。
【0053】
第1GT入力軸231は、減速軸11及びCVT入力軸21と同一軸線上に配置されている。第1GT入力軸231は、減速軸11に回転自在に挿入されていてもよい。第1GT入力軸231は、後述の第1クラッチ214が切断されると減速軸11に対して回転自在となり、後述の第1クラッチ214が接続されると減速軸11と共回転する。
【0054】
第1GT入力軸231には、ポンプ16が設けられている。即ち、第1GT入力軸231の回転によりポンプ16が駆動される。左右方向におけるポンプ16の位置は、左右方向におけるクランク軸Ebの位置と重なっている。ポンプ16は、第1GT入力軸231に設けられている。ポンプ16は、クランク軸Ebよりも左右方向外側に食み出していない。ポンプ16は、左右方向において後述の発電機Gと第1クラッチ214との間に配置されている。
【0055】
第1GT入力軸231における無段変速機12側とは反対側の端部には、発電機Gが設けられている。発電機Gは、前後方向にエンジンEに対して並んで配置されている。発電機Gは、前後方向におけるクランク軸Ebとギヤ変速機13との間に配置されている。左右方向における発電機Gの位置は、左右方向におけるクランク軸Ebの位置と重なっている。発電機Gは、クランク軸Ebよりも左右方向外側に食み出していない。なお、発電機Gは、減速軸11、CVT入力軸21及び第1GT入力軸231を含む軸体に設けられていればよく、例えば、減速軸11又はCVT入力軸21に設けられてもよい。
【0056】
第2GT入力軸232には、CVT出力軸22から回転動力が入力される。第2GT入力軸232は、CVT出力軸22と同一軸線上に配置されている。CVT出力軸22は、第2GT入力軸232に回転自在に挿入されていてもよい。第2GT入力軸232は、後述の第2クラッチ215が切断されるとCVT出力軸22に対して回転自在となり、後述の第2クラッチ215が接続されるとCVT出力軸22と共回転する。
【0057】
GT出力軸233は、回転動力を出力機構14に出力する。第1GT中間軸234は、第1GT入力軸231からGT出力軸233に回転動力を伝達する。第1GT中間軸234は、第1GT入力軸231よりも後方に配置され、第2GT入力軸232よりも前方に配置されている。第1GT入力軸231及び第1GT中間軸234には、1以上(
図6では1個)の第1変速ギヤ対236が設けられている。
【0058】
第1GT入力軸231の軸線周りには、第1クラッチ214が設けられている。第1クラッチ214は、エンジンEとギヤ変速機213との間に介設されている。第1クラッチ214は、減速軸11から第1GT入力軸231への動力伝達を切断及び接続できるように構成されている。第1クラッチ214は、例えば、多板クラッチである。第1クラッチ214は、左右方向において、減速ギヤ対20と第1変速ギヤ対236との間に配置されている。
【0059】
第2GT中間軸235は、第2GT入力軸232からGT出力軸233に回転動力を伝達する。第2GT中間軸235は、第2GT入力軸231よりも後方に配置されている。第2GT入力軸232及び第2GT中間軸235には、複数組(例えば、3組)の第2変速ギヤ対237A,237B,237Cが設けられている。
【0060】
第2GT入力軸232の軸線周りには、第2クラッチ215が設けられている。第2クラッチ215は、無段変速機12とギヤ変速機213との間に介設されている。第2クラッチ215は、CVT出力軸22から第2GT入力軸232への動力伝達を切断及び接続できるように構成されている。第2クラッチ215は、例えば、多板クラッチである。第2クラッチ215は、左右方向において、ドリブンプーリー24と第2変速ギヤ対237A,237B,237Cとの間に配置されている。左右方向における第2クラッチ215の位置は、左右方向における第2伝達ギヤ239の位置と重なっている。
【0061】
第1クラッチ214が接続状態で且つ第2クラッチ215が切断状態である場合には、クランク軸Ebから減速軸11に伝達された回転動力は、第1GT入力軸231に伝達されて第1変速ギヤ対236で変速されてGT出力軸232に伝達される。この際、減速軸11からCVT入力軸21に伝達された回転動力は、第2クラッチ215で遮断されて第2GT入力軸232には伝達されない。
【0062】
第1クラッチ214が切断状態で且つ第2クラッチ215が接続状態である場合には、クランク軸Ebから減速軸11に伝達された回転動力は、無段変速機12に伝達されて無段変速されてから第2GT入力軸232に伝達される。この際、減速軸11の回転動力は、第1クラッチ214で遮断されて第1GT入力軸231には伝達されない。そして、第2GT入力軸233の回転は、第2変速ギヤ対237A,237B,237Cの何れかで変速されてGT出力軸232に伝達される。例えば、第1変速ギヤ対237A、237B,237Cは、無段変速機12による変速が行われている状態において、それぞれ「ロー段」「ハイ段」「リバース段」である。第1変速ギヤ対236は、前記ロー段よりも低速段、前記ロー段と前記ハイ段との間の変速段、又は、前記ハイ段よりも高速段のいずれか1つである。各ギヤ対と変速段との関係は、これに限られない。
【0063】
第1伝達ギヤ238は、第1GT中間軸234と共回転するように第1GT中間軸234に設けられている。第2伝達ギヤ239は、第2GT中間軸235と共回転するように第2GT中間軸235に設けられている。共用出力ギヤ240は、GT出力軸233と共回転するようにGT出力軸233に設けられている。第1伝達ギヤ238及び第2伝達ギヤ239は、前後方向において互いに並んで配置され、共用出力ギヤ240に噛合している。
【0064】
即ち、第1GT中間軸234の回転は、第1伝達ギヤ238及び共用出力ギヤ240を介してGT出力軸233に伝達され、かつ、第2GT中間軸235の回転は、第2伝達ギヤ239及び共用出力ギヤ240を介してGT出力軸233に伝達される。よって、減速軸11とGT出力軸233との間には、第1GT入力軸231及び第1GT中間軸234を通る第1変速ルートと、無段変速機12、第2GT入力軸232及び第2GT中間軸235を通る第2変速ルートとが並列的に設けられている。即ち、GT入力軸231の回転は、前記第1変速ルート又は前記第2変速ルートの何れかを通ってGT出力軸232に伝達される。
【0065】
減速ギヤ対20、第1伝達ギヤ238、第2クラッチ215、第2伝達ギヤ239及び共用出力ギヤ240は、互いに左右方向の位置が重なるように配置されている(
図6では、互いに左右方向の位置が同じである。)。第1クラッチ214、第2変速ギヤ対237A及びファイナルギヤ対42は、互いに左右方向の位置が重なるように配置されている(
図6では、互いに左右方向の位置が同じである。)。第1変速ギヤ対236及び第2変速ギヤ対237Bは、互いに左右方向の位置が重なるように配置されている(
図6では、互いに左右方向の位置が同じである。)。ポンプ16及び第2変速ギヤ対237Cは、互いに左右方向の位置が重なるように配置されている。即ち、
図6の例では、ギヤ変速機213のギヤ列は4列である。
【0066】
図7は、
図6に示すパワーユニット210の側面図である。
図7に示すように、第1GT入力軸231(減速軸11及びCVT入力軸21)は、クランク軸Ebの後方に配置されている。第1GT入力軸231は、クランク軸Ebより下方に配置されている。第2GT入力軸232(CVT出力軸22)は、第1GT入力軸231及びCVT入力軸221の後方に配置されている。第2GT入力軸232は、クランク軸Ebより上方に配置されている。第1GT中間軸234は、第1GT入力軸231より後方に配置されている。第1GT中間軸234は、第1GT入力軸231よりも下方に配置されている。第2GT中間軸235は、第2GT入力軸232より下方に配置されている。第2GT中間軸235は、クランク軸Eb及び第1GT入力軸231よりも上方に配置されている。
【0067】
GT出力軸233は、第2GT中間軸235より下方に配置されている。GT出力軸233は、第1GT中間軸234よりも後方に配置されている。GT出力軸233は、第1GT中間軸234よりも前方に配置されている。GT出力軸233は、クランク軸Ebよりも下方に配置されている。ファイナル軸41は、GT出力軸233よりも後方かつ下方に配置されている。減速ギヤ対20及び共用出力ギヤ240は、オイルパン17bよりも上方に配置されている。なお、ファイナルギヤ対42の一部は、オイルパン17bの内部に進入している。
【0068】
図8は、
図6に示すパワーユニット210の制御系統のブロック図である。ユーティリティビークルは、コントローラ250を備える。ユーティリティビークルは、コントローラ250の入力側において、アクセルセンサ51、回転数センサ52、車速センサ53、シフト操作センサ54等を備える。ユーティリティビークルは、コントローラ250の出力側において、エンジンE、ギヤ変速アクチュエータ255、第1クラッチアクチュエータ256及び第2クラッチアクチュエータ257等を備える。ギヤ変速アクチュエータ255は、ギヤ変速機213の変速動力を発生する。第1クラッチアクチュエータ256は、第1クラッチ214を作動させる動力を発生する。第2クラッチアクチュエータ257は、第2クラッチ215を作動させる動力を発生する。例えば、第1及び第2クラッチ214,215は、油圧で作動するクラッチであり、第1及び第2クラッチアクチュエータ256,257は、油圧ポンプである。
【0069】
コントローラ250は、アクセルセンサ51、回転数センサ52、車速センサ53等の検出信号に基づいてエンジンEを制御する。コントローラ250は、シフト操作センサ54の検出信号に基づいて、ギヤ変速アクチュエータ255、第1クラッチアクチュエータ256及び第2クラッチアクチュエータ257を制御する。コントローラ250は、シフト操作センサ54からニュートラル指令を受信すると、第1クラッチ214及び第2クラッチ215が切断状態になるように第1クラッチアクチュエータ256及び第2クラッチアクチュエータ257を制御する。
【0070】
コントローラ250は、シフト操作センサ54から変速位置指令を受信すると、第1クラッチ214及び第2クラッチ215が切断状態になるように第1クラッチアクチュエータ256及び第2クラッチアクチュエータ257を制御する。次いで、コントローラ250は、第1変速ギヤ対236及び第2変速ギヤ対237A,237B,237Cのうち目的の変速ギヤ対が選択されるようにギヤ変速アクチュエータ255を制御する。次いで、コントローラ250は、第1クラッチ214及び第2クラッチ215のうち前記選択された変速ギヤ対の上流にある方のクラッチが接続状態に戻るように第1クラッチアクチュエータ256又は第2クラッチアクチュエータ257を制御する。即ち、第1クラッチ214及び第2クラッチ215のうち前記選択された変速ギヤ対の上流にない方のクラッチは切断状態のままとなる。
【0071】
以上に説明した構成によれば、発電機Gが効率良く配置され、パワーユニット210を左右方向においてコンパクト化できる。しかも、発電機Gは、エンジンEから駆動輪(前輪3及び/又は後輪4)までの動力伝達の流れにおける無段変速機12の上流側に配置されるので、駆動輪が路面から受けるバックトルクが無段変速機12のベルト25で吸収され、発電機Gに伝達されることを抑制できる。よって、パワーユニット210の大型化を防ぎながら発電機Gの寿命を高めることができる。
【0072】
また、発電機Gが第1GT入力軸231の端部に設けられ且つポンプ16がドライブプーリー23と発電機Gとの間に配置されるので、発電機G及びポンプ16が効率良く配置され、パワーユニット210を左右方向においてコンパクト化できる。
【0073】
また、発電機Gが前後方向におけるクランク軸Ebとギヤ変速機213との間に配置されるので、エンジンEとギヤ変速機213との間に挟まれた空間を有効に利用して発電機Gを効率良く配置でき、パワーユニット210を前後方向においてコンパクト化できる。
【0074】
また、ギヤ変速機213を前述した構成として且つ発電機G第1GT入力軸231に設けられるので、ギヤ変速機213において2つの動力経路を使い分けでき、パワーユニット210の変速レンジをワイド化しながらも、発電機Gを効率良く配置できる。
【0075】
また、第1伝達ギヤ238及び第2伝達ギヤ239は、前後方向において互いに並んで配置されて共用出力ギヤ240に噛合しているので、第1伝達ギヤ238、第2伝達ギヤ239及び共用出力ギヤ240が占有するスペースの左右方向のサイズが小さくて済み、パワーユニット210を左右方向においてコンパクト化できる。
【0076】
また、左右方向における第1クラッチ214の位置は、左右方向における第1伝達ギヤ238の位置と重なっているので、第1クラッチが効率良く配置され、パワーユニット210を左右方向においてコンパクト化できる。
【0077】
また、左右方向における第2クラッチ215の位置は、左右方向における第2伝達ギヤ239の位置と重なっているので、第2クラッチ215が効率良く配置され、パワーユニット210を左右方向においてコンパクト化できる。
【0078】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。