(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-13
(45)【発行日】2022-12-21
(54)【発明の名称】太陽電池及び光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0216 20140101AFI20221214BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20221214BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H01L31/04 240
H01L21/316 X
H01L21/316 S
H01L21/318 B
(21)【出願番号】P 2022078217
(22)【出願日】2022-05-11
(62)【分割の表示】P 2021152725の分割
【原出願日】2021-09-19
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】202110963291.4
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521376620
【氏名又は名称】上海晶科緑能企業管理有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】リ ウン チー
(72)【発明者】
【氏名】余丁
(72)【発明者】
【氏名】楊潔
(72)【発明者】
【氏名】ヂァン シン ウ
(72)【発明者】
【氏名】金浩
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112259615(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109216473(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108962999(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109004038(CN,A)
【文献】国際公開第2017/057618(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1表面及び第2表面を有する基板と、
前記第1表面に設けられた第1パッシベーション積層体と、
前記第2表面に設けられたトンネル酸化層と、
前記トンネル酸化層の表面に設けられたドープ導電層と、
前記ドープ導電層の表面に設けられた第2パッシベーション層とを備え、
前記基板は、シリコン基板材料であり、
前記第1パッシベーション積層体は、前記第1表面から離れる方向に順次設置される
、酸素原子分率が40%~70%である第1酸素リッチ誘電体層
と、
酸素原子分率が0%を超えかつ10%以下である第1ケイ素リッチ誘電体層
と、
酸素原子分率が50%~80%である第2酸素リッチ誘電体層
と、酸素原子分率が0%を超えかつ10%以下である第2ケイ素リッチ誘電体層
とを含み、
前記第1酸素リッチ誘電体層の材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ガリウム、酸化チタン、又は酸化ハフニウムのうちの1つ又は複数の組み合わせを含み、前記第1ケイ素リッチ誘電体層の材料は、第1窒化ケイ素材料を含み、第2酸素リッチ誘電体層の材料は、酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素のうちの少なくとも1つを含み、前記第2ケイ素リッチ誘電体層の材料は、第2窒化ケイ素材料を含み、
そのうち、前記第1酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率は、前記第2酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率よりも小さく、
前記第1表面に垂直な方向において、前記第1酸素リッチ誘電体層の厚さは、1nm~20nmであり、前記第2酸素リッチ誘電体層の厚さは、5nm~20nmであり、前記第1ケイ素リッチ誘電体層の厚さ
が前記第2酸素リッチ誘電体層の厚さよりも大きい、
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記第1酸素リッチ誘電体層は、酸化ケイ素材料を含み、前記第1酸素リッチ誘電体層の屈折率は1.58~1.61であり、前記第1表面に垂直な方向において、前記第1酸素リッチ誘電体層の厚さは2nm~15nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記第1酸素リッチ誘電体層は、酸窒化ケイ素材料を含み、前記第1酸素リッチ誘電体層の屈折率は、1.61~1.71であり、前記第1表面に垂直な方向において、前記第1酸素リッチ誘電体層の厚さは、8nm~20nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1酸素リッチ誘電体層は、酸化アルミニウム材料を含み、前記第1酸素リッチ誘電体層の屈折率は、1.71~1.81である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第2酸素リッチ誘電体層は、酸窒化ケイ素材料を含み、前記第2酸素リッチ誘電体層の屈折率は、1.56~1.62である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1ケイ素リッチ誘電体層の屈折率は、2.02~2.2であり、前記第2ケイ素リッチ誘電体層の屈折率は、1.98~2.06である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第1窒化ケイ素材料におけるケイ素原子数と窒素原子数との比は、0.66~2.3である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第1ケイ素リッチ誘電体層の屈折率は、2.02~2.2であり、前記第1表面に垂直な方向において、前記第1ケイ素リッチ誘電体層の厚さは、20nm~50nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第2窒化ケイ素材料におけるケイ素原子数と窒素原子数との比は、0.46~1.87である、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第2ケイ素リッチ誘電体層の屈折率は、1.98~2.06であり、前記第1表面に垂直な方向において、前記第2ケイ素リッチ誘電体層の厚さは、20nm~50nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第2パッシベーション層の屈折率は、2.04~2.2であり、前記第2表面に垂直な方向において、前記第2パッシベーション層の厚さは、60nm~100nmである、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項12】
複数の請求項1乃至
11のいずれか一項に記載の太陽電池を接続することで形成された電池ストリングと、
前記電池ストリングの表面を被覆するための封止用接着フィルムと、
前記封止用接着フィルムの前記電池ストリングから離れた表面を覆うためのカバープレートとを備える、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、光起電力の分野に関し、特に、太陽電池及び光起電力モジュール(photovoltaic module)に関する。
【背景技術】
【0002】
電位誘起減衰(PID、potential induced degradation)とは、外部電圧の長期にわたる作用下で、光起電力モジュールに電力減衰が発生する現象を指す。PIDの故障メカニズムについては、現在、PID-s及びPID-p理論が公知されている。前者は、モジュール封止用材料におけるエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA、Ethylene Vinyl Acetate)は水蒸気と反応して加水分解して酢酸を生成し、酢酸はガラス表面と反応して遊離可能なナトリウムイオンNa+を生成し、電界の作用下で、Na+イオンはパッシベーション層を通過してPN接合に入り、漏れ電流経路を形成することを指す。後者は、特にNa+が裏面の少数キャリアを吸引することによってキャリアを再結合させてしまうことを指す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の実施例には、太陽光に対する吸収効率を向上させることに有利である太陽電池及び光起電力モジュールが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の問題を解決するために、本発明の実施例には、太陽電池が提供され、太陽電池は、対向する第1表面及び第2表面を有する基板と、前記第1表面に設けられた第1パッシベーション積層体と、前記第2表面に設けられたトンネル酸化層と、前記トンネル酸化層の表面に設けられたドープ導電層と、前記ドープ導電層の表面に設けられた第2パッシベーション層とを備え、前記第1パッシベーション積層体は、順次設置される第1酸素リッチ誘電体層、第1ケイ素リッチ誘電体層、第2酸素リッチ誘電体層及び第2ケイ素リッチ誘電体層を含み、そのうち、前記第1酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率は、前記第2酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率よりも小さい。
【0005】
また、前記第1酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率は、40%~70%であり、前記第1ケイ素リッチ誘電体層は酸素原子を含み、ここで、酸素原子分率は0%を超えかつ10%以下であり、前記第2酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率は30%~80%であり、前記第2ケイ素リッチ誘電体層は酸素原子を含み、ここで、酸素原子分率は0%を超えかつ10%以下である。
【0006】
また、前記第1酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率は、40%~60%であり、前記第1ケイ素リッチ誘電体層における酸素原子分率は、0%を超えかつ7%以下であり、前記第2酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率は、50%~80%であり、前記第2ケイ素リッチ誘電体層における酸素原子分率は、0%を超えかつ7%以下である。
【0007】
また、前記第1酸素リッチ誘電体層の材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ガリウム、酸化チタン、又は酸化ハフニウムのうちの1つ又は複数の組み合わせを含む。
【0008】
また、前記第1酸素リッチ誘電体層は酸化アルミニウム層と酸窒化ケイ素層とを含み、前記酸化アルミニウム層は、前記酸窒化ケイ素層と前記基板との間に位置する。
【0009】
また、前記酸化アルミニウムにおける酸素原子数とアルミニウム原子数の比は、[0.6~2.4]である。
【0010】
また、前記第1酸素リッチ誘電体層の屈折率は、前記第2酸素リッチ誘電体層の屈折率よりも大きい。
【0011】
また、前記第1酸素リッチ誘電体層は、酸化ケイ素材料を含み、前記第1酸素リッチ誘電体層の屈折率は1.58~1.61であり、前記第1表面に垂直な方向において、前記第1酸素リッチ誘電体層の厚さは2nm~15nmである。
【0012】
また、前記第1酸素リッチ誘電体層は、酸窒化ケイ素材料を含み、前記第1酸素リッチ誘電体層の屈折率は、1.61~1.71であり、前記第1表面に垂直な方向において、前記第1酸素リッチ誘電体層の厚さは8nm~20nmである。
【0013】
また、前記第1酸素リッチ誘電体層は、酸化アルミニウム材料を含み、前記第1酸素リッチ誘電体層の屈折率は、1.71~1.81であり、前記第1表面に垂直な方向において、前記第1酸素リッチ誘電体層の厚さは、1nm~20nmである。
【0014】
また、前記第2酸素リッチ誘電体層は、酸窒化ケイ素材料を含み、前記第2酸素リッチ誘電体層の屈折率は、1.56~1.62であり、前記第1表面に垂直な方向において、前記第2酸素リッチ誘電体層の厚さは、5nm~20nmである。
【0015】
また、前記第1ケイ素リッチ誘電体層の屈折率は、前記第2ケイ素リッチ誘電体層の屈折率よりも大きい。
【0016】
また、前記第1ケイ素リッチ誘電体層の屈折率は、2.02~2.2であり、前記第2ケイ素リッチ誘電体層の屈折率は、1.98~2.06である。
【0017】
また、前記第1ケイ素リッチ誘電体層の材料は、第1窒化ケイ素材料を含み、前記第1窒化ケイ素材料におけるケイ素原子数と窒素原子数との比は、0.66~2.3である。
【0018】
また、前記第1ケイ素リッチ誘電体層の屈折率は、2.02~2.2であり、前記第1表面に垂直な方向において、前記第1ケイ素リッチ誘電体層の厚さは、20nm~50nmである。
【0019】
また、前記第2ケイ素リッチ誘電体層の材料は、第2窒化ケイ素材料を含み、前記第2窒化ケイ素材料におけるケイ素原子数と窒素原子数との比は、0.46~1.87である。
【0020】
また、前記第2ケイ素リッチ誘電体層の屈折率は、1.98~2.06であり、前記第1表面に垂直な方向において、前記第2ケイ素リッチ誘電体層の厚さは、20nm~50nmである。
【0021】
また、前記第2パッシベーション層の屈折率は、2.04~2.2であり、前記第2表面に垂直な方向において、前記第2パッシベーション層の厚さは、60nm~100nmである。
【0022】
それに対応して、本発明の実施例には、光起電力モジュールがさらに提供され、光起電力モジュールは、複数の上記のいずれか一項に記載の太陽電池を接続することで形成された電池ストリングと、前記電池ストリングの表面を被覆するための封止用接着フィルムと、前記封止用接着フィルムの前記電池ストリングから離れた表面を覆うためのカバープレートとを備える。
【0023】
従来技術と比べて、本発明の実施例に提供された技術考案は、以下の利点を有する。
【0024】
上記の技術考案において、酸素リッチ誘電体層及びケイ素リッチ誘電体層は順次設置されており、ケイ素リッチ誘電体層と比べて、酸素リッチ誘電体層は、高い緻密性、弱い正電荷性、低い硬度を有し、外部のイオンが基板に拡散して入ることを遮断し、エミッタの欠陥密度及び応力損傷を低減することに有利であり、又は、強い負電荷性を有し、基板に対してフィールドパッシベーションを形成することに有利であり、キャリアの選択的な輸送を実現する。少なくとも2層の酸素リッチ誘電体層を設置することで、上記のいずれか一方の技術的効果を強化したり、太陽電池に2つの効果を同時に持たせたりすることに有利である。また、酸素リッチ誘電体層と比べて、ケイ素リッチ誘電体層は通常屈折率が高いという特徴を有し、2層のケイ素リッチ誘電体層を間隔をあけて設置することにより、2つの屈折率の勾配を形成することに有利であり、異なる波長の光をいずれも基板に効果的に入射させることができ、太陽電池の吸収効率を向上させることに有利である。また、第2酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率を第1酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率よりも大きく設定することで、第2酸素リッチ誘電体層に高い密度を持たせることに有利であり、外部のイオン又は他の不純物を更なる外層に遮断し、第1ケイ素リッチ誘電体層の反射防止性能が損なわれることを回避し、太陽電池の高い光吸収効率を確保することに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明され、特に断りのない限り、添付の図面における図は比例上の制限を形成しない。
【
図1】
図1は、本発明の実施例に係る太陽電池の断面構造を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例に係る太陽電池の部分断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例に係る太陽電池の位置-原子分率(atomic fraction)を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例に係る光起電力モジュールの構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例に係る光起電力モジュールの構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施例の目的、技術考案及び利点をより明確にするために、以下、本発明の各実施例について図面を組み合わせて詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本発明の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施例に基づく種々の変更や修正がなくても、本発明が保護しようとする技術考案を実現することができる。
【0027】
本発明の実施例には、太陽電池及び光起電力モジュールが提供され、以下、図面を組み合わせて本発明の実施例に係る太陽電池を詳しく説明する。
図1は、本発明の実施例に係る太陽電池の断面構造を示す図である。
図2は、本発明の実施例に係る太陽電池の部分断面図である。
図3は、本発明の実施例に係る太陽電池の位置-原子分率を示す図である。
【0028】
図1を参照して、太陽電池は、対向する第1表面10a及び第2表面10bを有する基板10と、第1表面10aに設けられた第1パッシベーション積層体と、第2表面10bに設けられたトンネル酸化層121と、トンネル酸化層121の表面に設けられたドープ導電層122と、ドープ導電層122の表面に設けられた第2パッシベーション層123とを備え、第1パッシベーション積層体は、第1表面10aから離れる方向に順次設置される第1酸素リッチ誘電体層111、第1ケイ素リッチ誘電体層112、第2酸素リッチ誘電体層113及び第2ケイ素リッチ誘電体層114を含み、そのうち、第1酸素リッチ誘電体層111における酸素原子分率は、第2酸素リッチ誘電体層113における酸素原子分率よりも小さい。
【0029】
なお、酸素リッチ誘電体層及びケイ素リッチ誘電体層は相対的な概念であり、これらに対するものは、酸素プア誘電体層及びケイ素プア誘電体層であり、一部の環境において、一部の酸素原子分率が高い誘電体層を酸素リッチ誘電体層と呼び、一部の酸素原子分率が低い又は酸素を含まない誘電体層を酸素プア誘電体層と呼び、同様に、一部のケイ素原子分率が高い誘電体層をケイ素リッチ誘電体層と呼び、一部のケイ素原子分率が低い又はケイ素を含まない誘電体層をケイ素プア誘電体層と呼び、本発明では、酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率の値及びケイ素リッチ誘電体層におけるケイ素原子分率の値を限定しない。
【0030】
ケイ素リッチ誘電体層と比べて、酸素リッチ誘電体層は、高い緻密性、弱い正電荷性、低い硬度を有することができ、外部のイオンが基板に拡散して入ることを遮断し、基板に対する応力損傷を低減することに有利であり、又は、強い負電荷性を有し、基板に対してフィールドパッシベーションを形成することに有利であり、キャリアの選択的な輸送を実現する。少なくとも2層の酸素リッチ誘電体層を設置することで、上記のいずれか一方の技術的効果を強化したり、太陽電池に2つの効果を同時に持たせたりすることに有利である。また、酸素リッチ誘電体層と比べて、ケイ素リッチ誘電体層は通常屈折率が高いという特徴を有し、2層のケイ素リッチ誘電体層を間隔をあけて設置することにより、2つの屈折率の段階的勾配、即ち、第2ケイ素リッチ誘電体層及び外部膜層(例えば、封止用膜層及びカバープレート)からなる第1屈折率段階的勾配及び第1ケイ素リッチ誘電体層と第2酸素リッチ誘電体層からなる第2屈折率段階的勾配を形成することに有利であり、異なる波長の光をいずれも基板に効果的に入射させることができ、太陽電池の吸収効率を向上させることに有利である。
【0031】
また、第1酸素リッチ誘電体層111における酸素原子分率は、第2酸素リッチ誘電体層113における酸素原子分率よりも小さい。酸素原子分率が高いほど、対応する膜層の緻密性が強くなり、外部のイオン又は他の不純物に対する遮断性能がより良好になり、第2酸素リッチ誘電体層113における酸素原子分率を大きく設定することで、外部のイオン又は他の不純物を更なる外層に遮断し、第1ケイ素リッチ誘電体層112の反射防止性能が損なわれることを回避し、太陽電池の高い光吸収効率を確保することに有利である。
【0032】
以下、図面を組み合わせて
図1に示される太陽電池をさらに詳しく説明する。
【0033】
幾つかの実施例では、基板10は、シリコン基板材料であり、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン又は微結晶シリコンの1種又は複数種であり、他の実施例では、基板の材料は、炭素単体、有機材料又は多元系化合物であってもよく、多元系化合物は、ペロブスカイト、ガリウムヒ素、テルル化カドミウム、銅インジウムセレン等の材料を含むことができるが、これらに限らない。
【0034】
幾つかの実施例では、第1表面10aは、受光表面であり、第2表面10bは受光表面と対向する裏面であり、第1表面10aの光線に対する反射を低減し、光線の吸収利用率を高め、太陽電池の変換効率を向上させるように、第1表面10aはピラミッドテクスチャード加工表面として設定されることができる。幾つかの実施例では、太陽電池が両面電池である場合、前記第2表面10bを受光表面とすることもできる。
【0035】
基板10は、ベース領域101とエミッタ102とを含み、幾つかの実施例において、太陽電池は、N型電池、例えばTOPCon(Tunnel Oxide Passivated Contact:トンネル酸化膜パッシベーションコンタクト)電池であり、ベース領域101はN型ドーピング元素(例えば、リン、ヒ素、アンチモン等)を含み、エミッタ102は、P型ドーピング元素を含み、エミッタ102とベース領域101とはPN接合を形成し、第1酸素リッチ誘電体層111は、第1表面10aを覆う。他の実施例において、電池は、P型電池、例えばPERC(Passivated Emitter and Rear Cell、不動態化エミッタ及びリアセル)電池であり、ベース領域は、P型ドーピング元素(例えば、ホウ素、インジウム等)を含み、エミッタは、N型ドーピング元素を含み、エミッタとベース領域とはPN接合を形成し、第1酸素リッチ誘電体層は第2表面を覆う。以下、太陽電池がTOPCon電池であることを例として詳しく説明する。
【0036】
幾つかの実施例では、第1酸素リッチ誘電体層111の材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ガリウム、酸化チタン、又は酸化ハフニウムのうちの1つ又は複数の組み合わせを含む。第1酸素リッチ誘電体層111が異なる電気特性の材料から構成されることができ、異なる電気特性の材料の機能・作用が異なるため、異なる材料の組成に基づいて第1酸素リッチ誘電体層111の機能・作用を解釈することができ、具体的には、以下の通りである。
【0037】
幾つかの実施例では、第1酸素リッチ誘電体層111は負電荷性を示し、第1酸素リッチ誘電体層111の材料は、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化チタン又は酸化ハフニウムのうちの1つ又は複数の組み合わせを含み、これによって、基板10に対してフィールドパッシベーションを形成し、キャリアの選択的な輸送を実現することに有利であり、キャリアの再結合を低減し、光電変換効率を向上させる。これを基にして、第1酸素リッチ誘電体層111の酸素原子分率を40%~70%、例えば45%、50%、55%、60%又は65%に設定することができ、酸素原子分率が低すぎると、第1酸素リッチ誘電体層111の負電荷性が弱くて硬度が高く、負電荷性が弱いと、界面でのダングリングボンドを飽和させること及びキャリアの再結合を抑制することに不利になり、硬度が高いと、基板10と第1酸素リッチ誘電体層111との間の応力損傷を低減することに不利になる。酸素原子分率が高すぎると、第1酸素リッチ誘電体層111の負電荷性が強くなり、外部の正イオンの基板10への移動、浸透を遮断することに不利になる。好ましくは、第1酸素リッチ誘電体層111の酸素原子分率は、40%~60%である。
【0038】
光起電力モジュールの周縁が湿ると、モジュール封止用材料のうちのEVA材料は水蒸気と反応して加水分解して酢酸を生成し、酢酸はカバープレートガラスと反応して遊離可能なNa+を生成し、電界の作用下で、Na+はパッシベーション層を通過し、PN接合を損傷して、漏電チャネルを形成する。酸化アルミニウム等の負電荷性を示した材料を用いて第1酸素リッチ誘電体層111を構成する場合、第1酸素リッチ誘電体層111によって運ばれる電荷の極性がNa+の極性と逆であるため、極性反発によりNa+の浸透、移動を遮断することができず、さらにNa+を基板へ移動させるように促す可能性があり、PN接合を保護することに不利である。第1酸素リッチ誘電体層111の成分を合理的なものにし、第1酸素リッチ誘電体層111の負電荷性を一定範囲内に制御することで、第1酸素リッチ誘電体層111のNa+に対する吸引力を抑制し、PN接合の電気的特性を改良することに有利である。
【0039】
幾つかの実施例では、第1酸素リッチ誘電体層111の材料は、酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素のうちの少なくとも1つを含む。ベース領域101が主にケイ素元素等の半導体元素から構成される場合、第1酸素リッチ誘電体層111と基板10に特性が近い元素が含まれるため、第1酸素リッチ誘電体層111の材料特性は基板10の材料特性と近く、このように、第1酸素リッチ誘電体層111と基板10との間の材料特性の違いによる応力損傷及び界面欠陥を低減し、光生成キャリアの輸送効率を向上させることに有利である。
【0040】
また、酸化ケイ素及び酸窒化ケイ素は、一般的に正電荷性を示しかつ高い緻密性を有し、酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素のうちの少なくとも1つを用いて第1酸素リッチ誘電体層111の主材料とすることで、第1酸素リッチ誘電体層111は正電荷性を示すようになり、かつ高い密度を有し、Na+の浸透を遮断することに有利である。これに基づいて、第1酸素リッチ誘電体層111の酸素原子分率を40%~70%、例えば、45%、50%、55%、60%又は65%に設定することができ、酸素原子分率が低すぎると、第1酸素リッチ誘電体層111は強い正電荷性を示し、殆どのキャリア電子は、第1酸素リッチ誘電体層111における正孔を埋めたり、ドープされた水素イオンと反応したりするおそれがあり、キャリアの再結合を抑制することに不利になる。酸素原子分率が高すぎると、第1酸素リッチ誘電体層111の屈折率が低くなり、入射光線の反射及び出射を促進するおそれがあり、光線の吸収効率の向上に不利になる。
【0041】
幾つかの実施例では、第1酸素リッチ誘電体層111において、正電荷性材料の酸化ケイ素及び負電荷性材料の酸化アルミニウム等の両方を含み、かつ、酸素原子分率は40%~70%であり、例えば45%、50%、55%、60%又は65%であり、このように、第1酸素リッチ誘電体層111に上記の2つの材料の利点を有させることができ、即ち、第1酸素リッチ誘電体層111は負電荷性を示し、基板10に対してフィールドパッシベーションを形成し、キャリアの選択的な輸送を実現することができ、同時に、第1酸素リッチ誘電体層111は高い緻密性を示し、ナトリウムイオンの浸透を遮断することに有利である。また、第1酸素リッチ誘電体層111の材料特性が基板10の材料特性に近くて、第1酸素リッチ誘電体層111の基板10に対する応力損傷が小さい。さらに、大量に含んだ酸素原子が第1表面10aの未飽和のケイ素原子と結合することができ、ダングリングボンドの密度を小さくし、キャリアの再結合を抑制し、光電変換効率を向上させる。
【0042】
幾つかの実施例では、第1酸素リッチ誘電体層111における正電荷性材料と負電荷性材料とは互いに混合し、明らかな限界がない。他の幾つかの実施例では、第1酸素リッチ誘電体層111は積層構造であり、
図2を参照すると、第1酸素リッチ誘電体層111は酸化アルミニウム層と酸窒化ケイ素層とを含み、酸化アルミニウム層は、酸窒化ケイ素層と基板10との間に位置する。
【0043】
図3は、一実施例に記載の太陽電池の第1パッシベーション積層体の元素分析を示す例であり、
図3を参照すると、位置区間0~37.5nmにおいて、主な元素はケイ素元素であり、基板10を意味し、位置区間37.5~50nmにおいて、主な元素は酸素元素及びアルミニウム元素であり、第1酸素リッチ誘電体層111における酸化アルミニウム層を意味し、位置区間50~53nmにおいて、酸素原子分率とアルミニウム原子分率が徐々に減少し,ケイ素原子分率と窒素原子分率が徐々に増加し、酸化アルミニウム層に窒化ケイ素層を形成することを意味し、なお、52nm付近において、窒素原子分率が急激に減少し、これは、特定の含有量を有する窒素イオン源とケイ素イオン源との衝突により、酸化アルミニウム層における酸素元素がスパッタリングされて窒素イオンとケイ素イオンと混合し、最終的に薄い酸窒化ケイ素層を形成するからである。位置区間53~85nm及び位置区間90~125nmにおいて、主な元素は窒素元素及びケイ素元素であり、それぞれ第1窒化ケイ素材料からなる第1ケイ素リッチ誘電体層112と第2窒化ケイ素材料からなる第2ケイ素リッチ誘電体層114を意味する。位置区間85~90nmにおいて、主な元素は酸素元素とケイ素元素であり、かつ、ケイ素原子分率は両側と比べてある程度減少し、第2酸素リッチ誘電体層113を意味し、かつ、第2酸素リッチ誘電体層113における酸素原子分率が第1ケイ素リッチ誘電体層112及び第2ケイ素リッチ誘電体層114におけるケイ素元素の原子分率よりも大きいことを意味する。また、第1酸素リッチ誘電体層111も第2酸素リッチ誘電体層113も、その酸素原子分率はいずれもピーク状を呈しており、これは、酸素元素が隣接する膜層へ移動浸透することを意味し、同様に、第1ケイ素リッチ誘電体層112及び第2ケイ素リッチ誘電体層114における窒素原子分率も徐々に増加したり、徐々に減少したりし、これは、窒素元素も隣接する膜層へ移動浸透することを意味する。酸窒化ケイ素層の存在により、酸化アルミニウム層と窒化ケイ素層との間の応力損傷及び界面欠陥を低減し、キャリアの再結合を抑制し、太陽電池の光電変換効率を向上させることに有利である。
【0044】
なお、第1酸素リッチ誘電体層111が単層構造であっても、積層構造であっても、第1酸素リッチ誘電体層111が主に酸化アルミニウム材料からなる場合、負電荷性及び硬度の両方の観点から、第1表面10aを覆う酸化アルミニウム材料の組成比を制限する必要があり、例えば、酸素原子数とアルミニウム原子数の比を[0.6~2.4]とし、例えば、1、1.5、又は2とする。このように、第1酸素リッチ誘電体層111の負電荷性を合理的な範囲内に制御することで、酸化アルミニウム材料の基板10に対するフィールドパッシベーション作用及びNa+に対する吸引力を均衡させることに有利であり、かつ、第1酸素リッチ誘電体層111が高い密度及び低い硬度を有することを確保し、第1酸素リッチ誘電体層111は、Na+に対して良好な遮断効果を有し、かつ基板10に小さい応力を加える。
【0045】
ここで、第1酸素リッチ誘電体層111の屈折率は1.71~1.81、例えば1.173、1.76及び1.79とすることができ、第1表面10aに垂直な方向において、第1酸素リッチ誘電体層111の厚さは、1nm~20nmとすることができ、第1酸素リッチ誘電体層111の厚さは、5nm~10nm、例えば6nm、7nm、8nm又は9nmとすることができる。
【0046】
また、第1酸素リッチ誘電体層111が酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素のうちの少なくとも1つからなる場合、正電荷性及び密度の両方の観点から、第1酸素リッチ誘電体層111における異なる元素の含有量を制限する必要があり、具体的には、第1酸素リッチ誘電体層111の屈折率を制限する。同時に、酸化ケイ素の密度が酸窒化ケイ素よりも高いため、遮断性能が良好であり、酸窒化ケイ素からなる第1酸素リッチ誘電体層111は、予め設定された遮断の要求を満たすように、大きな厚さを有する必要がある。
【0047】
例示すると、第1酸素リッチ誘電体層111は、酸化ケイ素材料を含み、第1酸素リッチ誘電体層111の屈折率は1.58~1.61、例えば1.59又は1.60であり、第1表面10aに垂直な方向において、第1酸素リッチ誘電体層111の厚さは2nm~15nm、例えば5nm、8nm、10nm又は13nmである。又は、第1酸素リッチ誘電体層111は、酸窒化ケイ素材料を含み、第1酸素リッチ誘電体層111の屈折率は1.61~1.71であり、例えば1.62、1.65又は1.68であり、第1表面10aに垂直な方向において、第1酸素リッチ誘電体層111の厚さは8nm~15nm、例えば10nm、12nm又は14nmである。
【0048】
幾つかの実施例では、基板10を酸素リッチ雰囲気中で酸化することで酸化ケイ素材料からなる第1酸素リッチ誘電体層111を形成することができ、工程の温度は450°C~500°Cであってもよく、例えば460°C、470°C、480°C又は490°Cであり、工程の時間は、15min~30minであってもよく、例えば18min、23min又は28minであり、酸化ケイ素材料の高い密度を確保するように、酸素リッチ雰囲気における酸素の体積比は21%を超えるようにすることができる。同時に、酸化ケイ素材料は、オゾン酸化、笑気ガス酸化、硝酸パッシベーション等の方法で基板10の表面に形成されてもよい。負電荷性層が高い密度を有するように、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化チタン又は酸化ハフニウムの少なくとも幾つかからなる負電荷性層又は第1酸素リッチ誘電体層111は、原子層堆積及びプラズマ増強堆積によって形成されることができる。
【0049】
幾つかの実施例では、第2酸素リッチ誘電体層113の材料は、酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素のうちの少なくとも1つを含み、第2酸素リッチ誘電体層113における酸素原子分率を30%~80%、例えば40%、50%、60%又は70%に制御することにより、第2酸素リッチ誘電体層113に適切な屈折率の範囲を持たせることに有利であり、屈折率が小さすぎると、第2ケイ素リッチ誘電体層114を介して入射した太陽光に内部反射及び出射が発生し、屈折率が大きすぎると、短波の屈折及び吸収の実現に不利になる。理解できるように、短波の吸収率が低い場合、光起電力モジュールが青色又は暗い青色を示し、黒色外観の光起電力モジュールを製造することに不利になる。好ましくは、第2酸素リッチ誘電体層113の酸素原子分率は、50%~80%である。
【0050】
幾つかの実施例では、太陽光を基板10に可能な限り垂直に入射させるために、第2酸素リッチ誘電体層113の屈折率を小さく設定し、即ち、第1酸素リッチ誘電体層111の屈折率を第2酸素リッチ誘電体層113の屈折率よりも大きく設定し、かつ、第1ケイ素リッチ誘電体層112の屈折率を第2酸素リッチ誘電体層113の屈折率よりも大きく設定し、これにより、第2酸素リッチ誘電体層113を介して入射した太陽光は第1ケイ素リッチ誘電体層112及び第1酸素リッチ誘電体層111を通過した後に垂直な角度で基板10に入射し、太陽光の内部反射及び出射を低減し、太陽電池の光線に対する吸収効率を向上させることに有利である。ここで、第1酸素リッチ誘電体層111の屈折率の範囲は、1.58~1.78、例えば1.63、1.68又は1.73とすることができ、第2酸素リッチ誘電体層113の屈折率は、1.56~1.62、例えば1.57又は1.59とすることができる。
【0051】
ここで、上記の屈折率の関係と合わせるように、第1表面10aに垂直な方向において、第1酸素リッチ誘電体層111の厚さを第2酸素リッチ誘電体層113の厚さよりも大きく設定し、かつ、第1ケイ素リッチ誘電体層112の厚さを第2酸素リッチ誘電体層113の厚さよりも大きく設定することができる。これにより、第1ケイ素リッチ誘電体層112は重点的に長波光線を吸収し、第1酸素リッチ誘電体層111及び第2酸素リッチ誘電体層113は異なる波長の短波光線を吸収し、太陽電池の異なる波長帯域の光線に対する高い吸収効率を確保し、光起電力モジュールの外観を黒く見せる。
【0052】
幾つかの実施例では、第2酸素リッチ誘電体層113は、酸窒化ケイ素材料を含み、第2酸素リッチ誘電体層113の屈折率は1.56~1.62であり、例えば1.57又は1.59であり、第1表面10aに垂直な方向において、第2酸素リッチ誘電体層113の厚さは5nm~20nmであり、さらに、第2酸素リッチ誘電体層113の厚さは、5nm~18nm、例えば7nm、10nm、13nm又は16nmとすることができる。第2酸素リッチ誘電体層113の屈折率の制限により、酸窒化ケイ素材料における酸素原子数と窒素原子数との比は、2.58~7.58、例えば、3.5、4.5、5.5又は6.5とすることができ、酸窒化ケイ素材料における窒素元素は、製造工程に由来してもよいし、隣接する膜層の元素の拡散に由来してもよく、窒素元素の存在により、第2酸素リッチ誘電体層113の屈折率を向上させ、小さい屈折率による内部反射を抑制することができると共に、第2酸素リッチ誘電体層113と隣接する窒化ケイ素材料を含めた膜層とのマッチ度を高め、第2酸素リッチ誘電体層113と隣接する膜層との接触応力を低減することができる。
【0053】
幾つかの実施例では、第1ケイ素リッチ誘電体層112の屈折率は、第2ケイ素リッチ誘電体層114の屈折率よりも大きい。これにより、第2ケイ素リッチ誘電体層114と第2酸素リッチ誘電体層113との屈折率の差を小さくすることに有利であり、屈折率の差による内部反射及び出射を低減することに有利であり、また、第1ケイ素リッチ誘電体層112の屈折率を第2酸素リッチ誘電体層113の屈折率よりも大きくすることに有利であり、屈折率勾配の上昇を図り、光線の基板10内への効果的な入射を確保し、太陽電池の光線に対する吸収効率を向上させる。ここで、第1ケイ素リッチ誘電体層112の屈折率は、2.02~2.2、例えば2.04、2.06、2.10、2.14又は2.18とすることができ、第2ケイ素リッチ誘電体層114の屈折率は、1.98~2.06、例えば2.00、2.02又は2.04とすることができる。
【0054】
それに対応して、上記の屈折率の関係と合わせるように、基板10の表面に垂直な方向において、第1ケイ素リッチ誘電体層112の厚さを第2ケイ素リッチ誘電体層114の厚さよりも大きく設定することができる。これにより、第1ケイ素リッチ誘電体層112及び第2ケイ素リッチ誘電体層114は重点的に異なる波長の長波光線を吸収し、太陽電池の異なる波長帯域の光線に対する吸収効率を向上させることに有利である。
【0055】
幾つかの実施例では、第1ケイ素リッチ誘電体層112の材料は、窒素ケイ化物を含み、第1ケイ素リッチ誘電体層112の原子分率を設定する場合、第1ケイ素リッチ誘電体層112の正電荷性が強すぎることに起因して第1酸素リッチ誘電体層111のフィールドパッシベーション効果及び/又はエミッタの電気的特性に影響を及ぼすことを防止する必要があり、同時に、第1ケイ素リッチ誘電体層112の正電荷性が弱すぎ、屈折率が低すぎ、又は緻密性が低すぎることを防止する必要があり、正電荷性が弱すぎると、電気的反発によってNa+を遮断することに不利であり、屈折率が低すぎると、内部反射及び出射が発生しやすくなり、密度が低すぎると、同様にNa+を遮断することに不利である。上記の観点から、第1ケイ素リッチ誘電体層112が第1窒化ケイ素材料を含み、第1窒化ケイ素材料におけるケイ素原子数と窒素原子数との比が0.66~2.3、例えば1.1、1.6又は2.1であるように設定されることができる。
【0056】
異なる膜層に重点的に異なる波長の光線を吸収させ、第2酸素リッチ誘電体層113を介して入射した光線をより良く基板10に入らせるために、上記の原子分率の制限の下で、第1ケイ素リッチ誘電体層112の屈折率を2.02~2.2、例えば2.04、2.06、2.10、2.14、又は2.18とすることができ、第1表面10aに垂直な方向において、第1ケイ素リッチ誘電体層112の厚さは、20nm~50nmであり、さらに、20nm~40nm、例えば25nm、30nm、又は35nmとすることができる。第1ケイ素リッチ誘電体層112の厚さが薄すぎると、光線を基板10内に屈折させることに不利であり、第1ケイ素リッチ誘電体層112の厚さが厚すぎると、第1酸素リッチ誘電体層111に過大な応力を加え、界面欠陥が生じてしまうおそれがあり、太陽電池全体の小型化に不利である。
【0057】
ここで、第1ケイ素リッチ誘電体層112は、酸素ドープ窒化ケイ素層であってもよく、酸素原子分率が低く、即ち、第1ケイ素リッチ誘電体層112はケイ素リッチ酸素プア誘電体層(第1ケイ素リッチ酸素プア誘電体層とも呼ばれる)である。幾つかの実施例において、酸素原子は隣接する酸素リッチ誘電体層に由来し、隣接する酸素リッチ誘電体層における酸素原子は、設定された工程により第1ケイ素リッチ誘電体層112に拡散し、例えば、濃度差又は熱処理工程により付与された熱エネルギーを利用して第1ケイ素リッチ誘電体層112に拡散する。他の幾つかの実施例において、酸素原子は反応チャンバに残された酸素源ガス又は意図的に残された酸素源ガスである。
【0058】
ここで、同一の反応チャンバを用いて第1酸素リッチ誘電体層111及び第1ケイ素リッチ誘電体層112を順に形成することができ、第1ケイ素リッチ誘電体層112を形成する前に、パージ工程の時間が不十分であり、又は一部の反応物が反応チャンバの側壁に付着される場合、反応チャンバ内に酸素原子が残存する可能性があり、第1ケイ素リッチ誘電体層112を形成する過程において、酸素原子は、窒化ケイ素材料にドープされる可能性があり、それにより、酸素ドープ窒化ケイ素を形成する。第1酸素リッチ誘電体層111の材料が酸化ケイ素である場合、酸化ケイ素の堆積工程を行った後に、酸素源ガスを直接に窒素源ガスに置き換えて、窒化ケイ素を形成し、窒素源ガスに置き換える前に、反応チャンバ内に酸素源ガスがある場合、最終的に酸素ドープ窒化ケイ素を形成する。なお、第1ケイ素リッチ誘電体層112における酸素原子分率を制御するように、反応チャンバにおける酸素源ガスは、意図せずに残されてもよいし、意図的に残されてもよい。
【0059】
第1ケイ素リッチ誘電体層112を酸素ドープ窒化ケイ素層とすることを例示して、第1ケイ素リッチ誘電体層112をケイ素リッチ酸素プア誘電体層として設定すると、第1ケイ素リッチ誘電体層112における酸素原子分率を、0%よりも大きくかつ10%以下、例えば2%、4%、6%又は8%に制御する必要があり、これによって、第1酸素リッチ誘電体層111と第1ケイ素リッチ誘電体層112の間の材料の特性をより近くし、両者の間の界面特性を改良することに有利である。具体的には、第1酸素リッチ誘電体層111の材料が酸化アルミニウム等の負電荷性材料である場合、ドープされた酸素原子により第1酸素リッチ誘電体層111と第1ケイ素リッチ誘電体層112とは同じ元素を有するようになり、両者の結晶格子特性を互いに近接させ、このように、第1酸素リッチ誘電体層111と第1ケイ素リッチ誘電体層112との界面欠陥及び応力損傷を低減することに有利である。
【0060】
幾つかの実施例では、第1酸素リッチ誘電体層111の材料が酸化ケイ素である場合、第1ケイ素リッチ誘電体層112内に酸素原子がドープされなくてもよく、それは、2つの膜層に共通のケイ素元素が含まれているからであり、この場合、酸素原子分率は0%であってもよい。他の幾つかの実施例において、第1ケイ素リッチ誘電体層112における酸素原子分率は、0%を超えかつ7%以下である。
【0061】
また、ドープされた酸素原子は、第1ケイ素リッチ誘電体層112の正電荷性の強弱及び屈折率の大きさを調整することにも用いられ、酸素原子が多いほど、正電荷性は弱くなり、屈折率は小さくなり、酸素原子を一定量でドープすることにより、第1ケイ素リッチ誘電体層112に比較的強い正電荷性を持たせ、第1ケイ素リッチ誘電体層112の正電荷性が強すぎることに起因して第1酸素リッチ誘電体層111のフィールドパッシベーション効果及びエミッタ102の電気的特性に影響を及ぼしてしまうことを回避し、かつ、第1ケイ素リッチ誘電体層112の屈折率が高すぎることを回避し、さらに第1ケイ素リッチ誘電体層112と第1酸素リッチ誘電体層111の屈折率の差が大きすぎることに起因して内部反射が生じることを回避することに有利である。
【0062】
幾つかの実施例では、第2ケイ素リッチ誘電体層114の材料は、窒素ケイ化物を含み、第2ケイ素リッチ誘電体層114の原子分率を設定する場合、第2ケイ素リッチ誘電体層114を介して入射した光線が基板10内に垂直に入射できるように、第2ケイ素リッチ誘電体層114が高い屈折率を有するように制御する必要があり、同時に、第2ケイ素リッチ誘電体層114と第2酸素リッチ誘電体層113との屈折率の差を小さく制御する必要があり、これによって、光線の内部反射及び出射を抑制する。上記の観点から、第2ケイ素リッチ誘電体層114が第2窒化ケイ素材料を含み、第2窒化ケイ素材料におけるケイ素原子数と窒素原子数との比を3.82~6.37、例えば、4.35、4.85、5.35、又は5.85とすることができる。
【0063】
それに対応して、第1ケイ素リッチ誘電体層112と第2ケイ素リッチ誘電体層114に重点的に異なる長波光線を吸収させ、かつ、異なる膜層を通過する際の光線の内部反射及び出射をできる限り抑制するために、上記の原子分率の制限の下で、第2ケイ素リッチ誘電体層114の屈折率を1.98~2.06、例えば2.00、2.02、2.04とすることができ、第1表面10aに垂直な方向において、第2ケイ素リッチ誘電体層114の厚さは、20nm~50nmであり、さらに、20nm~40nm、例えば25nm、30nm又は35nmとすることができる。また、第2ケイ素リッチ誘電体層114の厚さが薄すぎる場合、光線を基板10内に屈折させることに不利であり、第2ケイ素リッチ誘電体層114の厚さが厚すぎると、第2酸素リッチ誘電体層113に過大な応力を加え、界面欠陥が生じてしまうおそれがあり、太陽電池全体の小型化に不利である。
【0064】
幾つかの実施例では、第2ケイ素リッチ誘電体層114内に酸素原子がドープされているが、ドープされた酸素原子数が少なく、即ち、第2ケイ素リッチ誘電体層114はケイ素リッチ酸素プア誘電体層(第2ケイ素リッチ酸素プア誘電体層とも呼ばれる)であり、ドープされた酸素原子は、第2ケイ素リッチ誘電体層114と第2酸素リッチ誘電体層113との間の応力を緩和することに用いられ、例示すると、第2ケイ素リッチ誘電体層114における酸素原子分率は、0%を超えかつ10%以下であり、好ましくは、酸素原子分率は、0%を超えかつ7%以下であり、例えば、2%、4%又は6%である。
【0065】
幾つかの実施例では、第1ケイ素リッチ誘電体層112及び第2ケイ素リッチ誘電体層114は、酸素ドープ窒化ケイ素層以外のケイ素リッチ層であり、例えば、炭化ケイ素層又は酸素ドープ炭化ケイ素層であり、又は、第1ケイ素リッチ誘電体層112及び第2ケイ素リッチ誘電体層114には、酸素、窒素及びケイ素以外の他の元素が含まれており、第1ケイ素リッチ誘電体層112及び第2ケイ素リッチ誘電体層114の高い屈折率を確保するために、第1ケイ素リッチ誘電体層112及び第2ケイ素リッチ誘電体層114におけるケイ素原子分率を30%~70%、例えば40%、50%又は60%に制御することができる。
【0066】
幾つかの実施例では、第1ケイ素リッチ誘電体層112におけるケイ素原子分率は、第2ケイ素リッチ誘電体層114におけるケイ素原子分率よりも大きく、このように、第1ケイ素リッチ誘電体層112の屈折率をより大きくし、小さいから大きくなる屈折率の勾配を形成し、光線の内部反射及び出射を抑制する。例示すると、第2ケイ素リッチ誘電体層114におけるケイ素原子分率は、30%~60%、例えば35%、40%、45%、50%、55%であってもよく、ケイ素原子分率と窒素原子分率の比は、0.46~1.87、例えば0.8、1.1、1.4又は1.7であってもよく、第1ケイ素リッチ誘電体層112におけるケイ素原子分率は40%~70%、例えば45%、50%、55%、60%又は65%であってもよく、ケイ素原子分率と窒素原子分率の比は、0.66~2.3、例えば1、1.3、1.6、1.9又は2.2であってもよい。
【0067】
幾つかの実施例では、太陽電池は、基板10から離れる方向に設置される少なくとも1つの積層構造をさらに備え、積層構造は、順次積層される酸素リッチ誘電体層及び酸素プア誘電体層を含む。つまり、幾つかの実施例において、酸素リッチ誘電体層の電気的特性及び酸素プア誘電体層の電気的特性を向上させるように、太陽電池の表面には、少なくとも3層の積層構造が設置されてもよい。
【0068】
幾つかの実施例では、第2表面10bには、パッシベーション接触構造がさらに設けられ、パッシベーション接触構造は、少なくとも、基板10から離れる方向に順次設置されたトンネル酸化層121及びドープ導電層122を含む。ここで、トンネル酸化層121の材料は、誘電体材料、例えば酸化ケイ素であり、第2表面10bの界面パッシベーションを実現することに用いられ、裏面10bに垂直な方向において、トンネル酸化層121の厚さは、0.5~3nm、例えば1nm、1.5nm、2nm又は2.5nmとすることができ、トンネル酸化層121が厚すぎると、キャリアの通過に不利になり、薄すぎると、パッシベーション効果が悪くなる。ドープ導電層122の材料はフィールドパッシベーションを形成することに用いられ、例えば、ケイ素をドープし、具体的に、多結晶シリコン、微結晶シリコン、又はアモルファスシリコンのうちの1つ又は複数をドープし、ドープ導電層122のドーパントイオンの種類は、ベース領域101のドーパントイオンの種類と同じであり、裏面10bに垂直な方向において、ドープ導電層122の厚さの範囲は、80nm~160nm、例えば100nm、120nm或140nmであり、ドープ導電層122の屈折率の範囲は3.5~4.5、例えば3.75、4又は4.25である。
【0069】
幾つかの実施例では、ドープ導電層122には、第2パッシベーション層123がさらに設けられ、第2パッシベーション層123は、電池裏部における入射光の反射効果を高めることに用いられ、第2パッシベーション層123は、単層構造又は積層構造とすることができ、積層構造における異なるサブ層は、材料が同じであるが、屈折率が異なっていてもよい。ここで、第2パッシベーション層123は複数層のサブ層を含んでもよく、第2表面10bからドープ導電層122に向かう方向において、異なるサブ層の屈折率が徐々に小さくなり、このように、内部反射を利用して電池裏部における入射光の反射効果を高めることに有利である。第2パッシベーション層123の材料が窒化ケイ素である場合、屈折率の高い窒化ケイ素サブ層は、より多くの水素イオンを有し、水素イオンは、濃度差によって形成された拡散動力又は熱処理工程によって形成された熱出力の下で第2表面10bまで移動することができ、これによって、基板10とパッシベーション接触構造との界面欠陥を不動態化し、キャリアの再結合を抑制し、光電変換効率を向上させる。
【0070】
具体的に、第2パッシベーション層123は、順次設置された下層パッシベーション層、中間パッシベーション層及び上層パッシベーション層を含むことができ、下層パッシベーション層はドープ導電層122の表面を覆い、下層パッシベーション層の屈折率は2.12~2.2、例えば2.14、2.16又は2.18とすることができ、第2表面10bに垂直な方向において、厚さは10~20nm、例えば13nm、15nm又は18nmであり、中間パッシベーション層の屈折率は2.10~2.12、例えば2.13、2.15又は2.18とすることができ、厚さは20~30nm、例えば23nm、25nm又は28nmであり、上層パッシベーション層の屈折率は2.09~2.10とすることができ、厚さは30~50nmであり、例えば、35nm、40nm又は45nmである。総じて、第2パッシベーション層123の平均屈折率は、2.04~2.2、例えば2.08、2.12又は2.16とすることができ、第2表面10bに垂直な方向において、第2パッシベーション層123の厚さは、60nm~100nm、例えば70nm、80nm又は90nmとすることができる。
【0071】
また、太陽電池は、第1電極115及び第2電極124をさらに備え、第1電極115はエミッタ102と電気的に接続されており、第2電極124は第2パッシベーション層123を貫通してドープ導電層122と電気的に接続されている。いくつかの実施例において、第1電極115及び/又は第2電極124は、導電性ペースト(銀ペースト、アルミニウムペースト又は銀アルミニウムペースト)を焼結印刷することで形成されることができる。
【0072】
幾つかの実施例では、酸素リッチ誘電体層及びケイ素リッチ誘電体層は順次設置されており、ケイ素リッチ誘電体層と比べて、酸素リッチ誘電体層は、高い緻密性、弱い正電荷性、低い硬度を有し、外部のイオンが基板に拡散して入ることを遮断し、エミッタの欠陥密度及び応力損傷を低減することに有利であり、又は、強い負電荷性を有し、基板に対してフィールドパッシベーションを形成することに有利であり、キャリアの選択的な輸送を実現する。少なくとも2層の酸素リッチ誘電体層を設置することで、上記のいずれかの技術的効果を強化したり、太陽電池に2つの効果を同時に持たせたりすることに有利である。また、酸素リッチ誘電体層と比べて、ケイ素リッチ誘電体層は通常屈折率が高いという特徴を有し、2層のケイ素リッチ誘電体層を間隔をあけて設置することにより、2つの屈折率の勾配を形成することに有利であり、異なる波長の光を基板に効果的に入射させることができ、太陽電池の吸収効率を向上させることに有利である。また、第2酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率を第1酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率よりも大きく設定することで、外部のイオン又は他の不純物を更なる外層に遮断し、第1ケイ素リッチ誘電体層の反射防止性能が損なわれることを回避し、太陽電池の高い光吸収効率を確保することに有利である。
【0073】
本発明の実施例には、光起電力モジュールがさらに提供され、光起電力モジュールは、受け取った光エネルギーを電気エネルギーに変換することに用いられる。
図4を参照すると、光起電力モジュールは、電池ストリング(図示せず)、封止用接着フィルム2及びカバープレート3を備え、電池ストリングは複数の太陽電池1を接続することで形成され、太陽電池1は、上記のいずれかの太陽電池(
図1に示される太陽電池を含むが、これに限らない)であってもよく、隣接する太陽電池1の間は伝導バンド(図示せず)によって電気的に接続されており、それと共に、隣接する太陽電池1の間の位置関係は、部分的に積層されてもよいし、互いに接合されてもよい。封止用接着フィルム2は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)接着フィルム、ポリビニルオクテン共エラストマー(POE)接着フィルム、又はポリエチレンテレフタレート(PET)接着フィルム等の有機封止用接着フィルムであってもよく、封止用接着フィルム2は、電池ストリングの表面を被覆して封止する。カバープレート3は、ガラスカバープレート又はプラスチックカバープレート等の透明又は半透明のカバープレートであってよく、カバープレート3は、封止用接着フィルム2の電池ストリングから離れた表面において覆われている。幾つかの実施例において、入射光の利用率を高めるように、カバープレート3に光トラップ構造が設けられており、異なるカバープレート3の光トラップ構造が異なってもよい。光起電力モジュールは、高い電流収集能力と低いキャリア再結合率を有し、高い光電変換効率を実現することができ、それと共に、光起電力モジュールの前面は暗い青色、さらに黒色を示し、より多くのシーンに適用できる。
【0074】
幾つかの実施例では、封止用接着フィルム2及びカバープレート3は太陽電池1の前面のみに位置し、裏面に位置する封止用接着フィルム2及びカバープレート3の弱い光線に対する更なる遮断及び削弱を防止する。また、光起電力モジュールは、側辺全包囲方法で封止することができ、即ち、封止用接着フィルム2が光起電力モジュールの側辺を完全に被覆するという方法を用い、これによって、光起電力モジュールは積層過程において積層ずれが発生することを防止し、かつ、外部環境が光起電力モジュールの側辺を介して太陽電池の性能を損なってしまい、例えば水蒸気の侵入を回避する。
【0075】
幾つかの実施例では、
図5を参照すると、光起電力モジュールは、エッジシール部材6を含み、当該エッジシール部材6は、少なくとも光起電力モジュールの側辺に固定封止されており、さらに、エッジシール部材6は、少なくとも光起電力モジュールのコーナー近傍の側辺に固定封止されている。エッジシール部材6は、耐高温テープであってもよく、耐高温テープの耐高温特性に基づいて、太陽電池は、積層過程及び使用過程において分解又は脱落が発生しないため、光起電力モジュールに対する確実な封止を確保することに有利である。幾つかの実施例において、耐高温テープは、光起電力モジュールの側面だけでなく、光起電力モジュールの前面及び裏面にも貼り付けられており、このように、積層過程における光起電力モジュールの積層ずれの発生を抑制し、応力作用の下での光起電力モジュールの応力変形を抑制することに有利である。本発明の実施例には、太陽電池の製造方法がさらに提供される。
図6~10及び
図1を参照して、
図6~10及び
図1は本発明の実施例に係る太陽電池の製造方法の各ステップに対応する構成を示す図である。
【0076】
図6を参照して、ベース領域101を提供して両面テクスチャード加工を行う。
【0077】
具体的には、N型ベース領域101を洗浄し、ウェット化学エッチングによってピラミッドテクスチャード加工表面を作製し、ピラミッドテクスチャード加工表面は、ベース領域101の表面における光線の反射を低減し、ベース領域101の光線に対する吸収利用率を高め、太陽電池の変換効率を向上させることができる。幾つかの実施例において、ベース領域101の材料は単結晶シリコンであり、ベース領域101の厚さは60um~240umであり、具体的に60um、80um、90um、100um、120um、150um、200um又は240um等であり、ベース領域101の抵抗率の範囲は、0.3~2ohm.cmである。
【0078】
なお、本発明には、テクスチャード加工の具体的な操作方法を限定しない。例えば、ウェットテクスチャード加工工程を選択してテクスチャード加工を行うことができるが、ウェットテクスチャード加工工程に限らない。ベース領域101がN型単結晶シリコンである場合に、水酸化カリウム溶液等のアルカリ性溶液を用いてテクスチャード加工を行うことができ、NaOH溶液の腐食が異方性を有するため、ピラミッド状の微細構造を作製して得られることに有利である。ピラミッド状の微細構造は、四面体、近似四面体、五面体、近似五面体等の構造であってもよい。また、テクスチャード加工工程は、化学エッチング、レーザーエッチング、機械的方法、プラズマエッチング等であってもよく、ピラミッド状の微細構造は金属ペーストをスクリーン印刷して電極を形成する際に前記微細構造により良好に充填されることができ、優れた電極接触を実現し、電池の直列抵抗を効果的に低減し、充填率を向上させることができる。ピラミッド状の微細構造の形態を制御することにより、太陽電池全体の反射率を10%未満にすることができる。
図7を参照して、P型エミッタ102を形成する。
【0079】
両面テクスチャード加工した後、ベース領域101の第1表面10aをホウ素拡散処理してP型エミッタ102を形成し、P型エミッタ102は、ベース領域101における受光側の一部の表層空間を占め、P型エミッタ102とN型ベース領域101は、基板10を構成し、ここで、P型エミッタ102の拡散シート抵抗(Diffusion sheet Resistance)の範囲は、130~150Ωにあり、表面拡散濃度は、E18~E19にある。
【0080】
なお、ホウ素拡散処理において、ベース領域101の前面(即ち、第1表面10a)、裏面及び側面に余分なホウ珪酸ガラスも同時に生成し、ホウ珪酸ガラスは、ベース領域101に対してある程度の保護作用を果たし、何らかの製造工程のベース領域101の表面に対する損傷の発生を回避することができる。換言すれば、余分なホウ珪酸ガラスは、ベース領域101のマスク層としてもよい。ホウ素拡散処理に使用されるホウ素源は、液体三臭化ホウ素を含み、ホウ素拡散処理を行うときに、微結晶シリコン相が多結晶シリコン相に変換される。
【0081】
図8を参照して、ベース領域101の裏面に対して平坦化工程(例えば、研磨)を行う。
【0082】
裏面は太陽電池の太陽に背く面であり、平坦化工程は、裏面膜層の堆積に必要な平坦な表面、即ち第2表面10bを形成することができる。平坦化工程を行う過程では、裏面のホウ珪酸ガラスが同時に除去される。
【0083】
幾つかの実施例では、研磨工程を行う前に、以下のステップをさらに含む。
調合された混酸でベース領域101の裏面10bのホウ珪酸ガラスを除去し、混酸には、質量分率が0.1%~10%のフッ化水素酸溶液、質量分率が10%~20%の硫酸溶液、及び質量分率が25%~50%の硝酸溶液が含まれ、酸洗浄の時間は10s~180sである、酸洗浄の温度は7°C~20°Cであるステップ、
酸洗浄後の裏面10bに対して水洗、乾燥処理を行うステップ。
なお、酸洗浄後の基板10の裏面10bには、多孔質構造が現れる。
【0084】
幾つかの実施例では、アルカリ溶液を用いて裏面10bに対して研磨処理を行う。具体的に、質量分率が5%~15%のアルカリ溶液を用いて裏面10bを洗浄し、多孔質シリコンを除去する。スプレー方法でアルカリ溶液の微小液滴を裏面10bに滴下して粗面化処理を行い、次いで、質量分率が5%~10%のフッ化水素酸で予備洗浄を行う。裏面10bを研磨液で研磨し、研磨温度が70°C~80°Cであり、研磨時間が<260sであり、そのうち、研磨液は、質量分率が1%~15%のNaOHと、質量分率が1%~15%のKOHと、質量分率が0.5%~2.5%の添加剤とを含む。エッチング液中の有機成分は、質量分率が5%~15%の水酸化カリウムと質量分率が15%~40%のオキシドールの混合液で除去される。研磨された基板10に対して水洗、乾燥処理を行う。
【0085】
幾つかの実施例では、裏面10bのホウ素濃度が低いため、アルカリ溶液を用いてエッチングすることにより、エッチング効率を効果的に高めることができる。アルカリ溶液には、有機塩基及び/又は無機塩基が含まれ、無機塩基は、NaOH、KOH、Ga(OH)2、NH3.H2Oとすることができ、有機塩基は、トリエチルアミン、ニトロフェノール、ピリジン、キニーネ、コルヒチン等とすることができる。研磨液における添加剤は、スルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸、アルキル配糖体等からなる緩衝液とすることができる。幾つかの実施例において、基板10の研磨による重量減少量は、0.3g未満であり、研磨時間及び研磨温度を制御することにより、裏面10bは所定の構造を有することができる。
【0086】
図9を参照して、トンネル酸化層121及びドープ導電層122を形成する。
【0087】
幾つかの実施例では、堆積工程を用いてトンネル酸化層121を形成し、具体的には、トンネル酸化層121の材料は酸化ケイ素を含み、堆積工程は化学気相堆積工程を含み、第2表面10bに垂直な方向において、トンネル酸化層121の厚さは、1~2nm、例えば1.2nm、1.4nm、1.6nm又は1.8nmである。他の実施例において、In-situ(その場)生成工程を用いてトンネル酸化層を形成してもよく、具体的には、シリコン基板に、熱酸化工程及び硝酸不動態化等の工程を用いてトンネル酸化層をIn-situ生成してもよい。
【0088】
幾つかの実施例では、変温式工程及び化学気相堆積法を用いて裏面10bにトンネル酸化層121を堆積して形成する。堆積の過程において、昇温速度を0.5°C/min~3°C/min、例えば1.0°C/min、1.5°C/分、2.0°C/min又は2.5°C/min等にし、堆積温度を560°C~620°C、例えば570°C、590°C又は610°C等にし、堆積時間を3min~10min、例えば4min、6min又は8min等にするように制御する。
【0089】
幾つかの実施例では、トンネル酸化層121を形成した後に、真性多結晶シリコンを堆積して多結晶シリコン層を形成し、イオン注入及びソース拡散によりリンイオンをドープしてN型の多結晶シリコンドープ層を形成し、多結晶シリコンドープ層をドープ導電層122とする。第2表面10bに垂直な方向において、ドープ導電層122の厚さは、80~160nm、例えば100nm、120nm又は140nmとすることができる。
【0090】
トンネル酸化層121及びドープ導電層122を堆積工程により形成する場合、前面にホウ珪酸ガラスがマスク層としてベース領域101の第1表面10aを保護するため、堆積工程を行う際に堆積領域をマスクにより裏面に限定する必要がなく、後で前面におけるホウ珪酸ガラスと、前面に堆積された酸化ケイ素及び多結晶シリコンとを同時に同一の工程により除去することができる。このように、別途のマスクを設ける必要がなく、工程のステップの削減、工程のプロセスの短縮、工程コストの低減に有利である。他の実施例において、界面パッシベーション層をIn-situ生成工程で形成する場合、基板の前面に堆積されたホウ珪酸ガラスの表面には、多結晶シリコンのみがある。
【0091】
幾つかの実施例では、トンネル酸化層121及び多結晶シリコン層の堆積及び多結晶シリコン層のドーピングはいずれも低圧化学気相堆積装置に形成されている。具体的なステップは、以下を含む。
まず、アルカリ研磨後の基板10を堆積装置に置き、酸素源(例えば、酸素、亜酸化窒素、オゾンであってもよい)を20L~60L導入し、昇温速度0.5°C/min~3°C/minに従って堆積装置内の温度を560°C~620°Cに加熱し、堆積時間を3min~10minとし、トンネル酸化層121を形成し、酸素導入の終了後、恒温段階に入り、その後、適量のシランガスを導入し、多結晶シリコン層を形成し、最後に、多結晶シリコン層をIn-situドープし、ドープ導電層122を形成する。
【0092】
図10を参照して、基板10の第1表面に第1パッシベーション積層体を形成し、第1パッシベーション積層体は、順次設置される第1酸素リッチ誘電体層111、第1ケイ素リッチ誘電体層112、第2酸素リッチ誘電体層113及び第2ケイ素リッチ誘電体層114を含み、第1酸素リッチ誘電体層111は第1表面10aを覆う。
【0093】
幾つかの実施例では、第1パッシベーション積層体を形成する前に、基板10の第1表面10aに巻取りメッキされた余分なホウ珪酸ガラス、酸化ケイ素及び多結晶シリコンを除去する必要がある。他の実施例において、第1パッシベーション積層体を形成する前に、基板の第1表面に巻取りメッキされた余分なホウ珪酸ガラス及び多結晶シリコンを除去する必要がある。
【0094】
さらに、他の実施例において、余分な材料を除去した後に、基板の第1表面にも薄い酸化ケイ素層を成長させる。薄い酸化ケイ素層の形成工程は、自然酸化、熱酸化、ウェット酸化、原子層堆積、プラズマ増強化学気相成長等の工程を含み、基板の表面に垂直な方向において、薄い酸化ケイ素層の厚さは0~3nmであり、例えば1nm、1.5nm又は2nmである。
【0095】
幾つかの実施例では、化学気相堆積、低圧化学気相堆積、プラズマ増強化学気相成長(直接プラズマ堆積と間接プラズマ堆積を含む)及びマグネトロンスパッタ等の工程を用いて第1酸素リッチ誘電体層111、第1ケイ素リッチ誘電体層112、第2酸素リッチ誘電体層113及び第2ケイ素リッチ誘電体層114を形成することができるが、上記の工程に限らず、ここで、第2酸素リッチ誘電体層113の酸素原子分率は第1酸素リッチ誘電体層111の酸素原子分率よりも大きい。
【0096】
幾つかの実施例では、第1酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率は、40%~70%、好ましくは40%~60%であり、第1ケイ素リッチ誘電体層における酸素原子分率は0%を超えかつ10%以下、好ましくは0%を超えかつ7%以下であり、第2酸素リッチ誘電体層における酸素原子分率は30%~80%、好ましくは50%~80%であり、第2ケイ素リッチ誘電体層における酸素原子分率は0%を超えかつ10%以下、好ましくは0%を超えかつ7%以下である。
【0097】
第1酸素リッチ誘電体層111は少なくとも2つのサブ酸素リッチ層から構成されていてもよい。第1酸素リッチ誘電体層111の材料は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸窒化ケイ素等を含む。ここで、第1酸素リッチ誘電体層111が酸窒化ケイ素である場合、その反応物はシラン、笑気ガス及びアンモニアガスとすることができ、第1酸素リッチ誘電体層111の屈折率の範囲は1.61~1.71とすることができ、厚さの範囲は8~20nmにある。第1酸素リッチ誘電体層111の材料が酸化ケイ素である場合、その反応物はシラン、笑気ガス、酸素ガスのうちの1種又は複数種であり、第1酸素リッチ誘電体層111の屈折率の範囲は1.58~1.61である、厚さの範囲は2~15nmである。第1酸素リッチ誘電体層111の材料が酸化アルミニウムである場合、その反応物はトリメチルアルミニウムと水であり、第1酸素リッチ誘電体層111の屈折率の範囲は1.71~1.78であり、厚さの範囲は1~20nmである。
【0098】
第1ケイ素リッチ誘電体層112の材料は、窒化ケイ素又は炭化ケイ素の少なくとも1つであってもよい。第1ケイ素リッチ誘電体層112が窒化ケイ素層である場合、実際の必要に応じてそれを2~3層の段階的屈折層に設定することができ、即ち、基板10から離れる方向において、異なる窒化ケイ素サブ層の屈折率が徐々に低くなる。また、その反応物はシランとアンモニアガスとすることができ、第1ケイ素リッチ誘電体層112におけるケイ素原子数と窒素原子数との比は0.66~2.3とすることができ、屈折率の範囲は2.02~2.2であり、厚さの範囲は20~50nmである。
【0099】
第2酸素リッチ誘電体層113の材料は、酸化ケイ素及び酸窒化ケイ素のいずれかとすることができ、その反応物は、シラン、笑気ガス、及びアンモニアを含む。第2酸素リッチ誘電体層113における酸素原子数と窒素原子数との比は2.58~7.58であり、屈折率の範囲は1.56~1.62であり、厚さの範囲は5~20nmにある。
【0100】
第2ケイ素リッチ誘電体層114の材料は、窒化ケイ素又は炭化ケイ素のいずれかであってもよい。第2ケイ素リッチ誘電体層114が窒化ケイ素層である場合、実際の必要に応じてそれを2~3層の段階的屈折層に設定することができ、即ち、基板10から離れる方向において、異なる窒化ケイ素サブ層の屈折率が徐々に低くなる。また、その反応物はシランとアンモニアガスとすることができ、第2ケイ素リッチ誘電体層114におけるケイ素原子数と窒素原子数との比は0.46~1.78とすることができ、屈折率の範囲は1.98~2.06であり、厚さの範囲は20~50nmである。
【0101】
図1を参照して、ドープ導電層122には、第2パッシベーション層123を形成し、かつ第1電極115及び第2電極124を形成する。
【0102】
第2パッシベーション層123が窒化ケイ素層である場合、実際の必要に応じてそれを2~4層の段階的屈折層に設定することができ、即ち、基板10から離れる方向において、異なる窒化ケイ素サブ層の屈折率が徐々に低くなる。また、その反応物はシランとアンモニアガスとすることができ、第2パッシベーション層123におけるケイ素原子数と窒素原子数との比は3.82~6.37とすることができ、屈折率の範囲は2.04~2.2であり、厚さの範囲は60~100nmである。
【0103】
第2パッシベーション層123を形成した後、金属化処理、スクリーン印刷及び高温焼結等の工程により第1電極115及び第2電極124を形成する。また、電極を形成した後に、光アニール処理(photo-annealing treatment)を行う必要があり、即ち、太陽電池セルを、400~700°Cの温度、例えば、500°C又は600°Cで、1~6min、例えば2min、3min、4min又は5min加熱し、その後、電池セルに対して、150℃~400℃、例えば、200℃、250℃、300℃及び350℃の温度下及び1~6個の太陽光照射強度、例えば、2、3、4又は5個の太陽光照射強度下で同時に1min~6minの処理を行う。
【0104】
当業者であれば、上記の各実施形態は本発明を実現する具体的な実施例であるが、実際の応用において、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、形式及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本発明の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本発明の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準とすべきである。
【要約】
【課題】吸収効率を向上させることに有利な太陽電池を提供する。
【解決手段】太陽電池は、順次設置される第1酸素リッチ誘電体層111、第1ケイ素リッチ誘電体層112、第2酸素リッチ誘電体層113及び第2ケイ素リッチ誘電体層114を含む第1パッシベーション積層体を備え、第1酸素リッチ誘電体層111の材料が酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化ガリウム、酸化チタン、又は酸化ハフニウムのうちの1つ又は複数の組み合わせを含み、第1ケイ素リッチ誘電体層112の材料が第1窒化ケイ素材料を含み、第2酸素リッチ誘電体層113の材料が酸化ケイ素又は酸窒化ケイ素のうちの少なくとも1つを含み、第2ケイ素リッチ誘電体層114の材料が第2窒化ケイ素材料を含み、そのうち、第1酸素リッチ誘電体層111における酸素原子分率は、第2酸素リッチ誘電体層113における酸素原子分率よりも小さい。
【選択図】
図1