(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20221215BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20221215BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221215BHJP
G06Q 10/00 20120101ALI20221215BHJP
【FI】
B41J29/38 301
B41J29/38 302
B41J29/46 Z
G03G21/00 500
G03G21/00 388
G06Q10/00 300
(21)【出願番号】P 2018203554
(22)【出願日】2018-10-30
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼月 也寸志
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-298921(JP,A)
【文献】特開2014-164011(JP,A)
【文献】特開2013-028433(JP,A)
【文献】特開2018-050244(JP,A)
【文献】特開2013-030837(JP,A)
【文献】特開2006-130816(JP,A)
【文献】特開2009-222769(JP,A)
【文献】特開2010-058860(JP,A)
【文献】特開2018-031963(JP,A)
【文献】特開2017-151156(JP,A)
【文献】特開2013-166296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/46
G03G 21/00
G06Q 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント機能を有し画像がプリントされたシートを出力する装置本体と、
ジャムシートの排出先とされるエスケープトレイとを備え、
前記装置本体は、所定の障害の発生時に、特定の検査パターンをシートにプリントし、前記検査パターンをプリントされた前記シートを前記エスケープトレイに排出し、
前記装置本体は、前記所定の障害の発生時に、撮影装置でユーザーを撮影して撮影画像を生成し、前記撮影画像をシートにプリントし、前記撮影画像をプリントされた前記シートを前記エスケープトレイに排出すること、
を特徴とす
る画像形成装置。
【請求項2】
プリント機能を有し画像がプリントされたシートを出力する装置本体と、
ジャムシートの排出先とされるエスケープトレイと、
前記エスケープトレイへの物理的なアクセスを制限する開閉自在なカバーと、
前記カバーのロック機構とを備え、
前記装置本体は、所定の障害の発生時に、特定の検査パターンをシートにプリントし、前記検査パターンをプリントされた前記シートを前記エスケープトレイに排出し、
前記装置本体は、前記所定の障害の発生時に、前記ロック機構で、前記カバーを開くことを禁止すること、
を特徴とす
る画像形成装置。
【請求項3】
プリント機能を有し画像がプリントされたシートを出力する装置本体と、
ジャムシートの排出先とされるエスケープトレイとを備え、
前記装置本体は、所定の障害の発生時に、特定の検査パターンをシートにプリントし、前記検査パターンをプリントされた前記シートを前記エスケープトレイに排出し、
前記装置本体は、前記検査パターンをプリントされた前記シートが前記エスケープトレイに排出されると、前記検査パターンをプリントされた前記シートが前記エスケープトレイに排出されたことを所定の宛先に通知することを特徴とす
る画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
あるシステムでは、顧客IT環境の自己診断機能によって診断情報が、コンピューターシステムに送信され、障害が発生したときには、その診断情報に基づいて、顧客IT環境のメンテナンススケジュールが設定されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のシステムでは、障害発生時に、診断情報に基づいて過去の動作状態をサービス側で確認することができるものの、プリンター、複合機などの画像形成装置などにおいて実際にプリントした画像に発生している不具合の原因を特定することは困難である。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、障害発生時に障害の原因を特定しやすくする画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、プリント機能を有し画像がプリントされたシートを出力する装置本体と、ジャムシートの排出先とされるエスケープトレイとを備える。そして、前記装置本体は、所定の障害の発生時に、特定の検査パターンをシートにプリントし、前記検査パターンをプリントされた前記シートを前記エスケープトレイに排出する。さらに、以下の(A)、(B)および(C)のいずれかの構成を有する。(A)前記装置本体は、前記所定の障害の発生時に、撮影装置でユーザーを撮影して撮影画像を生成し、前記撮影画像をシートにプリントし、前記撮影画像をプリントされた前記シートを前記エスケープトレイに排出する。(B)前記エスケープトレイへの物理的なアクセスを制限する開閉自在なカバーと、前記カバーのロック機構とをさらに備え、前記装置本体は、前記所定の障害の発生時に、前記ロック機構で、前記カバーを開くことを禁止する。(C)前記装置本体は、前記検査パターンをプリントされた前記シートが前記エスケープトレイに排出されると、前記検査パターンをプリントされた前記シートが前記エスケープトレイに排出されたことを所定の宛先に通知する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、障害発生時に障害の原因を特定しやすくする画像形成装置が得られる。
【0008】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す正面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す画像形成装置の装置本体1およびブリッジユニット2の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す正面図である。
図1に示す画像形成装置は、複合機、プリンターなどであり、装置本体1、ブリッジユニット2、およびフィニッシャー3を備える。
【0012】
装置本体1は、プリント機能を有し画像がプリントされたシート(プリント用紙など)を出力する。具体的には、装置本体1は、プリント用紙などのシートに対して所定のプリント方式(インクジェット方式、電子写真方式など)で画像(写真画像、文字画像など)をプリントし、画像がプリントされたシートを、装置本体1の排出トレイや、ブリッジユニット2を介してフィニッシャー3に出力する。フィニッシャー3は、装置本体1から出力されたシートに対して所定の後処理(ソート、パンチ穴あけなど)を実行するオプションデバイスである。ブリッジユニット2は、装置本体1とフィニッシャー3との間に設けられたオプションデバイスである。
【0013】
図2は、
図1に示す画像形成装置の装置本体1およびブリッジユニット2の構成を示す図である。
図2において、装置本体1は、画像形成部11、本体搬送路12、ブリッジ搬送路13、コントローラー14、撮影装置15、操作パネル16、および通信装置17を備える。
【0014】
画像形成部11は、給紙カセットから給紙搬送されたシートに対して、所定のプリント方式で画像をプリントする。
【0015】
本体搬送路12は、画像形成部11から出力されたシートを装置本体1の排出トレイへ搬送する搬送路である。
【0016】
ブリッジ搬送路13は、画像形成部11から出力されたシートをブリッジユニット2へ搬送する搬送路である。
【0017】
分岐デバイス13aは、コントローラー14からの制御信号に従って、画像形成部11から搬送されてくるシートの搬送先を、本体搬送路12およびブリッジ搬送路13のうちの1つに設定する。
【0018】
コントローラー14は、装置本体1、ブリッジユニット2、およびフィニッシャー3を制御する内部装置である。コントローラー14は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、所定のプログラムを実行するマイクロコンピューターなどを備える。
【0019】
コントローラー14は、通信装置17を介してホスト装置から、あるいは操作パネル16からジョブ要求を受け付け、装置本体1、ブリッジユニット2、およびフィニッシャー3を使用して、ジョブ要求により指定されたプリント条件(プリント設定、プリントすべき画像など)でジョブを実行する。ジョブ実行の際、コントローラー14は、プリントすべき画像の画像データなどに対して各種画像処理を実行することでプリントデータを生成し、プリントデータに従って、画像形成部11を制御して、シートへのその画像のプリントを実行する。
【0020】
特に、装置本体1のコントローラー14は、ジョブ実行時に所定の障害(ここでは、サービスパーソンによる画像形成プロセスの調整作業が必要な障害)が発生した場合、特定の検査パターンをシートにプリントし、その検査パターンをプリントされたシートをエスケープトレイ23に排出する。この実施の形態では、プリントされたシートをエスケープトレイ23に排出するために、コントローラー14は、分岐デバイス13a,22aを制御して、そのシートがエスケープトレイ23に搬送されるように搬送路を設定する。
【0021】
なお、その所定の障害の発生は、操作パネル16に対するユーザー操作に基づいて検出してもよいし、センサーなどで自動的に検出してもよい。
【0022】
なお、コントローラー14は、上述の所定の障害の発生時に、当該装置本体1の状態情報を収集し、その状態情報をシートにプリントし、その状態情報をプリントされたシートをエスケープトレイ23に排出するようにしてもよい。
【0023】
この実施の形態では、装置本体1のコントローラー14は、装置本体1の分岐デバイス13aおよびブリッジユニット2の分岐デバイス22aを制御して、検査パターンをプリントされたシートを、ブリッジ搬送路13,21からエスケープ搬送路22へ進行させて、エスケープトレイ23に排出する。
【0024】
その検査パターンは、各色の階調特性、濃度特性、色ずれなどを検査するためのパターン画像であり、例えば、階調特性、濃度特性、色ずれなどのキャリブレーション時に使用されるパターン画像である。
【0025】
撮影装置15は、操作パネル16を操作しているユーザーを撮影し、撮影画像を出力する装置である。
【0026】
コントローラー14は、上述の所定の障害の発生時に、撮影装置15でユーザーを撮影して撮影画像を生成し、その撮影画像をシートにプリントし、撮影画像をプリントされたシートをエスケープトレイ23に排出するようにしてもよい。
【0027】
操作パネル16は、装置本体1の筐体表面に設けられ、タッチパネル、ハードキーなどの入力装置およびディスプレイパネル、インジケーターなどの表示装置を備える。
【0028】
通信装置17は、コンピューターネットワークなどを介してデータ通信を行う内部装置である。
【0029】
コントローラー14は、検査パターンをプリントされたシートがエスケープトレイ23に排出されると、検査パターンをプリントされたシートがエスケープトレイ23に排出されたことを、通信装置17を使用して、所定の宛先(管理者の電子メールアドレスなど)に電子メールなどで通知するようにしてもよい。
【0030】
また、
図2において、ブリッジユニット2は、ブリッジ搬送路21、エスケープ搬送路22、分岐デバイス22a、エスケープトレイ23、センサー24、カバー25、およびロック機構25aを備える。
【0031】
ブリッジ搬送路21は、装置本体1からフィニッシャー3へシートを搬送する搬送路である。
【0032】
エスケープ搬送路22は、ブリッジ搬送路21から分岐しエスケープトレイ23まで延びる搬送路である。
【0033】
分岐デバイス22aは、コントローラー14からの制御信号に従って、装置本体1から搬送されてくるシートの搬送先を、ブリッジ搬送路21およびエスケープ搬送路22のうちの1つに設定する。
【0034】
エスケープトレイ23は、上述の搬送路上でジャムによって停止したジャムシートの排出先とされるトレイであり、ブリッジユニット2の筐体内部に配置される。
【0035】
センサー24は、エスケープトレイ23にシートが追加されたことを検出するセンサーである。センサー24は、例えば、フォトインタラプターなどといった光学式のセンサーである。
【0036】
カバー25は、エスケープトレイ23への物理的なアクセスを制限する開閉自在なカバーである。ロック機構25aは、電子錠などといった、カバー25のロック機構である。ロック機構25aは、閉状態のカバー25をロックする。
【0037】
装置本体1のコントローラー14は、上述の所定の障害の発生時に、ロック機構25aを制御して、ロック機構25aで、ユーザーがカバー25を開くことを禁止するようにしてもよい。その場合、コントローラー14は、例えば、サービスパーソンなどによって所定のパスワードが操作パネル16へ入力されると、ロック機構25aによるカバー25のロックを解除する。
【0038】
次に、上記画像形成装置の動作について説明する。
【0039】
装置本体1において、コントローラー14は、ジョブ実行時に、所定の障害が発生したことを検出すると、分岐デバイス13a,22aを制御して、画像形成部11から出力されたシートがエスケープトレイ23へ搬送されるように搬送路を設定し、画像形成部11に、特定の検査パターンの画像をシートに印刷させる。そのシートは、上述のように設定された搬送路に沿って搬送され、エスケープトレイ23に排出される。
【0040】
例えば、サービスパーソンは、障害復旧時に、エスケープトレイ23に排出されている検査パターンのシートを取り出し、その検査パターンのプリント状況に基づいて、障害の原因を特定し、原因を解消するための調整作業などを行う。このようにすることで、特定の設定で常に障害が発生しないような場合でも(つまり、再現性があまりない障害の場合でも)、障害が発生したときの装置本体1の画像形成プロセス状態が、プリントされた検査パターン(例えばキャリブレーション用パッチ画像)からサービスパーソンによって特定され、迅速に、原因除去の作業が行われる。
【0041】
以上のように、上記実施の形態によれば、装置本体1は、プリント機能を有し画像がプリントされたシートを出力する。エスケープトレイ23は、ジャムシートの排出先とされている。そして、装置本体1は、所定の障害の発生時に、特定の検査パターンをシートにプリントし、その検査パターンをプリントされたシートをエスケープトレイ23に排出する。
【0042】
これにより、サービスパーソンが、障害発生時の画像形成プロセス状態を、プリントされた検査パターンから特定できるため、障害発生時に障害の原因が特定されやすくなる。
【0043】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【0044】
例えば、上記実施の形態において、コントローラー14は、ジャム発生時にエスケープトレイ23に排出されたシートのサイズを記憶しておき、上述の検査パターンをプリントするシートに、そのジャム発生時のシートのサイズとは異なる(例えば、大きい)サイズのシートを使用するようにしてもよい。これにより、エスケープトレイ23において、ジャムで排出されたシートから、検査パターンのシートが見分けがつきやすくなる。
【0045】
また、上記実施の形態において、コントローラー14は、エスケープトレイ23に検査パターンのシートが排出されると、サービスマンによる解除操作があるまで、エスケープトレイ23に検査パターンのシートが排出されていることを示すメッセージを操作パネル16に継続的に表示するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、例えば、画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 装置本体
2 ブリッジユニット
3 フィニッシャー
23 エスケープトレイ
25 カバー
25a ロック機構