(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】計器装置
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20221215BHJP
G01D 11/00 20060101ALI20221215BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20221215BHJP
H01H 13/04 20060101ALI20221215BHJP
H01H 9/04 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G01D11/24 A
G01D11/24 B
G01D11/00 K
B60K35/00 Z
H01H13/04 A
H01H9/04 D
(21)【出願番号】P 2018231273
(22)【出願日】2018-12-11
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮本 雄喜
(72)【発明者】
【氏名】重山 敏
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-85941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00 - 13/28
B60K 35/00 - 37/06
H01H 9/00 - 9/28
H01H 13/00 - 13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に押されることにより入力を受け付けるスイッチを有する回路基板と、
前記スイッチと対向する前記第1方向の一端と、
前記スイッチに対する入力を間接的に受け付ける、前記第1方向の他端と、を有するキートップと、
前記キートップを覆うカバーと、
前記第1方向を軸方向とする筒形状及び前記カバーの内側形状に対応した外形を有し、前記カバーの内側に配置されることにより前記カバーを支持する支持部材と、
を備え
、
前記支持部材は、前記キートップを前記第1方向に動作可能に支持し、前記カバーに面する側の角が面取りされた前記第1方向の一端を有する計器装置。
【請求項2】
前記カバーは、前記他端と対向する頂面を有し、
前記支持部材は、前記頂面に対して隙間を有する前記第1方向の一端を有する、請求項1記載の計器装置。
【請求項3】
前記カバーは、前記頂面から前記キートップに沿って延びる側壁を有し、
前記支持部材の前記一端は、前記側壁が他の部材に覆われることなく露出する箇所において、前記隙間を大きくする切欠を有する、
請求項2記載の計器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載される計器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の計器装置において、回路基板に設けられたスイッチを間接的に押すため、キートップを設けることが知られている。このキートップは、カバーで覆われ、使用者はカバーを介してキートップを押すことで、間接的にスイッチを押す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カバーは、例えばケース部材、表示板、見返し部材、最前面に配置される透光板等の、スイッチよりも前面側に設けられる各種部材により支持される。しかし、スイッチと、使用者より入力操作を受け付ける地点、すなわちキートップのスイッチと対向する端部とが遠くなった場合、これに合わせてカバーの長さも長くなる。スイッチよりも前面側に設けられる各種部材がカバーを支持するが、カバーの長さが長くなった場合には、カバーを十分に支持できない虞がある。特に、カバーがゴムなどの柔軟性を有する素材で形成される場合、カバーを支持する部材がないと、カバーの形状を維持できず、カバーが変形する虞がある。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、設計の自由度を損なうことがない計器装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る計器示装置は、上述した課題を解決するために、第1方向に押されることにより入力を受け付けるスイッチを有する回路基板と、前記スイッチと対向する前記第1方向の一端と、前記スイッチに対する入力を間接的に受け付ける、前記第1方向の他端と、を有するキートップと、前記キートップを覆うカバーと、前記第1方向を軸方向とする筒形状及び前記カバーの内側形状に対応した外形を有し、前記カバーの内側に配置されることにより前記カバーを支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記キートップを前記第1方向に動作可能に支持し、前記カバーに面する側の角が面取りされた前記第1方向の一端を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る計器装置においては、設計の自由度を損なうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る計器装置の実施形態である計器装置の正面図。
【
図6】(a)は支持部材を前端側から示す斜視図、(b)は鍔側から示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る計器装置の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本発明に係る計器装置は、例えば自動車や二輪車等の車両や、船舶、農業機械、建設機械に搭載される。
【0010】
図1は、本発明に係る計器装置の実施形態である計器装置1の正面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿う断面図である。
図3は、
図1のIII-III線に沿う断面図である。
【0011】
以下の説明において、「前(前面)」、「後(背面)」、「上」、「下」、「右」、及び「左」は、
図1から
図3における定義「Fr.」、「Re.」、「To.」、「Bo.」、「R」、及び「L」に従う。
【0012】
計器装置1は、速度計、ワーニング表示部、表示パネル等で実現される表示部2を有し、これらを介して各種情報を表示する。
【0013】
計器装置1は、回路基板10と、ケース20と、スイッチユニット30と、を主に有する。
【0014】
回路基板10は、スイッチ11と、スイッチ11や表示部2のドライバ等を含む制御部と、を主に有する。
【0015】
スイッチ11は、回路基板10の前面10a上に半田付けされて設けられ、第1方向としての前から後方向に押されることにより入力を受け付ける。スイッチ11は、例えば表示部2の表示内容を変更する指示を受け付ける。
【0016】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有し、例えば、ROMに書き込まれたプログラムに従って所定の演算処理を実行する。制御部は、例えば、車両のECU(Electronic Control Unit)を介して各種センサ等から各種車両情報を取得する。制御部は、スイッチ11からの指示を含む、取得した各種情報に基づき、表示部2を駆動する。
【0017】
ケース20は、下ケース21と、上ケース22と、中ケース23と、見返し部材24と、を有する。
【0018】
下ケース21及び上ケース22は、樹脂(例えば黒色のポリプロピレン)からなる。下ケース21及び上ケース22は、例えば嵌め合い構造により互いに強固に固定される。これにより、下ケース21及び上ケース22は内部空間を形成し、この内部空間に表示部2、回路基板10、及びスイッチユニット30を収容する。
【0019】
上ケース22は、透光板25に覆われる開口22aを有する。透光板25は、透光性の樹脂(例えばポリカーボネート樹脂)からなり、ケース20の内部の表示部2や回路基板10を塵埃等の侵入から保護するために設けられる。透光板25は、表示部2の表示領域と略対応する領域に形成される。
【0020】
中ケース23は、樹脂(例えば白色のポリプロピレン)からなり、内部構造である表示部2、回路基板10、及び支持部材40(後述)をケース20の内部空間内に固定したり、支持したりする。
【0021】
見返し部材24は、遮光性の樹脂(例えば黒色のABS樹脂)からなり、透光板25の透過領域以外の遮光領域を覆ったり、不要な構造物を遮蔽したりする。
【0022】
スイッチユニット30は、スイッチ11に対する入力操作を使用者から受け付けるために設けられる。スイッチユニット30は、キートップ31と、カバー35と、支持部材40と、を有する。
【0023】
ここで、
図4は、キートップ31を操作受付面33側から示す斜視図である。
図5は、カバー35を頂面36側から示す斜視図である。
図6(a)は、支持部材40を前端41a側から示す斜視図、(b)は鍔42側から示す斜視図である。
【0024】
キートップ31は、樹脂(例えば白色のポリプロピレン)からなり、本体32と、操作受付面33と、被支持片34と、を有する。
【0025】
本体32は、前端32a及び後端32bを有する、第1方向としての前後方向に延びた棒状部材である。本体32は、スイッチ11から、使用者から入力操作を受け付ける地点に対応する長さを有する。後端32bは、スイッチ11と対向する第1方向の一端として機能する。
【0026】
操作受付面33は、本体32の前端32aに本体32に対して略垂直に設けられる。操作受付面33は、スイッチ11に対する入力を間接的に受け付ける、第1方向の他端として機能する。
【0027】
被支持片34は、支持部材40に支持される部分であり、支持部材40に対して本体32が回転しないようにする。
【0028】
カバー35は、柔軟性を有する、変形可能なゴム(例えば黒色のエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM))からなり、キートップ31を覆う。カバー35は、頂面36と、側壁37と、鍔38と、を有し、頂面36と対向する面が開口した構造を有する。
【0029】
頂面36は、キートップ31の操作受付面33と対向し、操作受付面33を覆う面であり、主に使用者に押される面である。
【0030】
側壁37は、頂面36からキートップ31に沿って延びる。具体的には、側壁37は、頂面36からキートップ31の本体32の延びる方向に沿って、略前後方向に面方向を有する。本実施形態においては、カバー35のうち、前後方向に直交する面を頂面36とし、前後方向に沿う面及び前後方向に直交する面と前後方向に沿う面とを繋ぐ面を側壁37とする。
【0031】
鍔38は、側壁37の頂面36側の前端37aと前後方向において対向する後端37b(
図5)に形成される。鍔38は、支持部材40の鍔42に支持される支持面である。
【0032】
支持部材40は、樹脂(例えば白色のポリプロピレン)からなり、カバー35の内側に配置されることにより、カバー35を支持する。また、支持部材40は、キートップ31を前後方向に動作可能に支持する。支持部材40は、中ケース23に支持される。支持部材40は、筒部41と、鍔42と、を有する。
【0033】
筒部41は、前後方向を軸方向とする略台形状の筒形状を有し、前端41aと、後端41b(
図6)と、を有する。筒部41は、カバー35の内側形状に対応した外形を有する。前端41aは、前後方向の一端であり、カバー35の頂面36に対して隙間43を有する。また、前端41aは、側壁37が他の部材に覆われることなく露出する箇所において、隙間43を大きくする切欠44を有する。側壁37を覆う他の部材は、例えば計器装置1が固定される車両のインストルメントパネル50(
図2)である。切欠44は、例えばU字形であり、インストルメントパネル50で覆われる境界51まで切り欠かれるのが好ましい。更に、前端41aは、カバー35に面する側の角41cが面取りされる。これにより、カバー35に支持部材40を挿入する際の作業性を向上させることができる。
【0034】
筒部41は、キートップ31を支持するための支持構造46を内側に有する。支持構造46は、本体32及び被支持片34の外形に対応した、若干のあそびを有する空間を有する。支持構造46のうち本体32を支持する構造46aは、筒部41の後端41bから突出する。これにより、支持構造46は、キートップ31を前後方向に直立させると同時に、前後方向を軸にした回転を規制する。
【0035】
鍔42は、筒部41の後端41bに形成される。鍔42は、中ケース23に支持される支持面である。
【0036】
このようなスイッチユニット30は、次のように組み立てられる。
【0037】
まず、支持部材40が鍔42を介して中ケース23に支持される。次に、支持部材40の支持構造46にキートップ31が支持される。その後、支持部材40にカバー35が被せられ、支持部材40の鍔42の前側にカバー35の鍔38が配置される。最後に上ケース22の凸部22bがカバー35の鍔38と嵌まり合うことにより、スイッチユニット30は固定される。
【0038】
このような計器装置1は、上述したスイッチユニット30を有することにより、設計の自由度を損なうことがない。すなわち、計器装置1は、キートップ31の前後方向長さが長くなることに伴いカバー35も長くなったとしても、カバー35の形状を支持部材40が支持することにより、カバー35の変形を低減することができる。このため、スイッチ11からカバー35の頂面36までの距離によって、スイッチユニット30をはじめとする計器装置1の設計の自由度が制限されることがない。
【0039】
また、スイッチユニット30を組み立てる際、支持部材40がない場合には、キートップ31にカバー35を被せた状態で、上ケース22を嵌め合わせるまでキートップ31を作業者が支持しておく必要がある。この場合、キートップ31が脱落する虞があり、組み立て時の作業性を損なう虞がある。これに対し、本実施形態における計器装置1は、支持部材40がキートップ31を支持することができるため、組み立て時の作業性を向上させることができる。
【0040】
更に、使用者が入力操作をする際に、押す地点がカバー35の頂面36から側壁37側にずれてしまう、すなわち、前後方向にカバー35が押されない場合が起こりうる。これに対し、筒部41の前端41aは隙間43を有するため、カバー35の側壁37を押す力が前端41aに遮られることなく、キートップ31の操作受付面33に伝えられる。特に、カバー35の側壁37が一部のみ露出する箇所に対応する前端41aは、U字状に切り欠かれ、隙間43を他の隙間43よりも大きくする切欠44を有する。このため、使用者が触れることのできるカバー35の領域(カバー35がケース20やインストルメントパネル50から露出した領域)において入力操作を受け付けることができる。よって、計器装置1は、支持部材40を有する場合であっても、操作性を低下させることがない。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1 計器装置
2 表示部
10 回路基板
11 スイッチ
20 ケース
21 下ケース
22 上ケース
22a 開口
22b 凸部
23 中ケース
24 見返し部材
25 透光板
30 スイッチユニット
31 キートップ
32 本体
32a、37a、41a 前端
32b、37b、41b 後端
33 操作受付面
34 被支持片
35 カバー
36 頂面
37 側壁
38、42 鍔
40 支持部材
41 筒部
41c 角
43 隙間
44 切欠
46 支持構造
50 インストルメントパネル
51 境界