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特許7194343販売促進装置、販売促進方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】販売促進装置、販売促進方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20221215BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021070743
(22)【出願日】2021-04-20
(62)【分割の表示】P 2016217872の分割
【原出願日】2016-11-08
(65)【公開番号】P2021108202
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】江原 誉典
(72)【発明者】
【氏名】関根 瑞人
(72)【発明者】
【氏名】菅野 有香
(72)【発明者】
【氏名】安田 達士
(72)【発明者】
【氏名】北田 正人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 彩加
(72)【発明者】
【氏名】星野 梓
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-099787(JP,A)
【文献】特開2003-256933(JP,A)
【文献】特開2006-195660(JP,A)
【文献】特開2002-074120(JP,A)
【文献】特開2001-250056(JP,A)
【文献】特開平10-188137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客から旅券の提示を受けたと判定した場合に、前記顧客の旅券に搭載された記録媒体から顧客を識別する識別情報を取得する取得部と、
前記顧客から旅券の提示を受けないと判定した場合に、前記顧客の画像を取得し、前記画像に基づいて前記識別情報を抽出する識別部と、
前記識別情報を用いて推薦商品を選択する選択部と、
前記顧客の買い物の合計金額が、免税の条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部において前記免税の条件を満たさないと判定された場合に、前記顧客に前記推薦商品を示す情報を含む購入を促す情報を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする販売促進装置。
【請求項2】
前記買い物に含まれる商品は、前記免税の条件が互いに異なる少なくとも2つの区分に分類され、
前記判定部は、前記区分ごとに算出された前記合計金額が、前記免税の条件を満たすか否かを前記区分ごとに判定し、
前記出力部は、前記区分ごとに前記顧客に購入を促す情報を出力することを特徴とする、請求項1に記載の販売促進装置。
【請求項3】
前記合計金額に基づいて推薦商品を選択する選択部をさらに備え、
前記購入を促す情報は、前記推薦商品を示す情報を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の販売促進装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記免税の条件に対して前記合計金額が不足している金額以上の価格を有する商品を、前記推薦商品として選択することを特徴とする、請求項3に記載の販売促進装置。
【請求項5】
前記選択部は、前記識別情報を用いて前記顧客の購入履歴を取得し、前記購入履歴に基づいて前記推薦商品を選択することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の販売促進装置。
【請求項6】
前記選択部は、前記識別情報から前記顧客の属性を取得し、前記属性に基づいて前記推薦商品を選択することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の販売促進装置。
【請求項7】
前記選択部は、前記識別情報から前記顧客の居住国を取得し、前記居住国に持ち込むことができない商品を除外して前記推薦商品を選択することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の販売促進装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記識別情報を用いて前記買い物と同じ日付を有する前記顧客の購入履歴を取得し、前記同じ日付を有する購入履歴を合算することによって算出された前記合計金額が、前記免税の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の販売促進装置。
【請求項9】
前記購入を促す情報は、前記免税の条件に対して前記合計金額が不足している金額を示す情報を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の販売促進装置。
【請求項10】
前記購入を促す情報を、前記顧客の携帯端末に送信することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の販売促進装置。
【請求項11】
コンピュータによって実行される販売促進方法であって、
顧客から旅券の提示を受けたと判定した場合に、前記顧客の旅券に搭載された記録媒体から顧客を識別する識別情報を取得する工程と、
前記顧客から旅券の提示を受けないと判定した場合に、前記顧客の画像を取得し、前記画像に基づいて前記識別情報を抽出する工程と、
前記識別情報を用いて推薦商品を選択する工程と、
前記顧客の買い物の合計金額が、免税の条件を満たすか否かを判定する工程と、
前記判定する工程において前記免税の条件を満たさないと判定された場合に、前記顧客に前記推薦商品を示す情報を含む購入を促す情報を出力する工程と、
を備えることを特徴とする販売促進方法。
【請求項12】
コンピュータに、
顧客から旅券の提示を受けたと判定した場合に、前記顧客の旅券に搭載された記録媒体から顧客を識別する識別情報を取得する工程と、
前記顧客から旅券の提示を受けないと判定した場合に、前記顧客の画像を取得し、前記画像に基づいて前記識別情報を抽出する工程と、
前記識別情報を用いて推薦商品を選択する工程と、
前記顧客の買い物の合計金額が、免税の条件を満たすか否かを判定する工程と、
前記判定する工程において前記免税の条件を満たさないと判定された場合に、前記顧客に前記推薦商品を示す情報を含む購入を促す情報を出力する工程と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免税に係る販売を促進する装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本および多くの外国において、買い物の際に金額に応じた税(消費税、付加価値税等)を支払う必要がある。さらに日本および多くの外国において、旅行者の誘致等を目的として、非居住者が所定の条件を満たす買い物を行う場合に税を免除する制度が導入されている。例えば日本には、個人用に購入する一般物品又は消耗品の所定の金額範囲内の買い物については免税とする制度がある。
【0003】
通常、顧客又は店員は購入金額が所定の条件(例えば購入金額の合計が五千円以上)を満たすか否かを判断し、条件を満たす場合に免税に必要な書類の作成等の免税手続を行う。免税書類の作成は、手作業又は機械によって行われる。
【0004】
特許文献1に記載の免税書類作成装置は、顧客の旅券の情報を読み取るとともに、POS(Point Of Sale)店舗端末等から商品購入情報を受け取り、それらの情報に基づいて免税書類を出力する。このような技術により、免税書類の作成にかかる手間を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-118966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
顧客の購入金額が免税の条件を満たさない場合には、当然免税は適用されない。このような状況において、追加の商品を購入すると免税の条件を満たす旨を顧客に提示することによって、顧客は免税の恩恵を受けやすくなるとともに、店舗は追加の商品を販売することができる可能性がある。しかしながら、特許文献1に記載の技術は、購入金額の条件を満たす前提で免税書類を作成するものであるため、購入金額の条件を満たさない場合に追加の商品の購入を促す情報を顧客に提供することはできない。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みて行われたものであって、免税の条件を満たさない場合に購入を促す情報を顧客に提示することができる販売促進装置、販売促進方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、販売促進装置であって、旅券に搭載された記録媒体から顧客を識別する識別情報を取得する取得部と、前記識別情報を用いて推薦商品を選択する選択部と、前記顧客の買い物の合計金額が、免税の条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部において前記免税の条件を満たさないと判定された場合に、前記顧客に前記推薦商品を示す情報を含む購入を促す情報を出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様は、コンピュータによって実行される販売促進方法であって、旅券に搭載された記録媒体から顧客を識別する識別情報を取得する工程と、前記識別情報を用いて推薦商品を選択する工程と、前記顧客の買い物の合計金額が、免税の条件を満たすか否かを判定する工程と、前記判定する工程において前記免税の条件を満たさないと判定された場合に、前記顧客に前記推薦商品を示す情報を含む購入を促す情報を出力する工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の態様は、プログラムであって、コンピュータに、旅券に搭載された記録媒体から顧客を識別する識別情報を取得する工程と、前記識別情報を用いて推薦商品を選択する工程と、前記顧客の買い物の合計金額が、免税の条件を満たすか否かを判定する工程と、前記判定する工程において前記免税の条件を満たさないと判定された場合に、前記顧客に前記推薦商品を示す情報を含む購入を促す情報を出力する工程と、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、顧客の買い物の合計金額が免税の条件を満たすか否かを判定し、免税の条件を満たさないと判定された場合には顧客に購入を促す情報を提示する。このような構成により、店員が手作業で免税の条件を満たすか否かを判定する手間を削減することができ、また顧客は免税の条件を知らなくとも免税の適用を受けやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係る販売促進装置による販売促進方法を説明するための模式図である。
図2】第1の実施形態に係る販売促進情報を表示している客側ディスプレイの前面図である。
図3】第1の実施形態に係るPOS端末の概略構成図である。
図4】第1の実施形態に係る商品情報、持込不可情報および購入履歴情報の模式図である。
図5】第1の実施形態に係る販売促進処理のフローチャートを示す図である。
図6】第1の実施形態に係る顧客識別処理のフローチャートを示す図である。
図7】第1の実施形態に係る推薦商品選択処理のフローチャートを示す図である。
図8】第1の実施形態に係る免税関連情報を表示している客側ディスプレイの前面図である。
図9】第2の実施形態に係る販売促進処理のフローチャートを示す図である。
図10】第3の実施形態に係る携帯端末の前面図である。
図11】第3の実施形態に係る携帯端末の概略構成図である。
図12】各実施形態に係るPOS端末の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。なお、以下で説明する図面で、同機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略することもある。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る販売促進装置による販売促進方法を説明するための模式図である。本実施形態において、販売促進装置としてPOS端末(販売時点情報管理端末)100を用いる。販売促進装置は、POS端末100とは別に設けられ、POS端末100から必要な情報を受け取って本実施形態に係る販売促進方法を実施するように構成されてもよい。POS端末100は、店舗に設置され、商品情報の読み取りおよび会計を行う店舗端末である。店舗において、顧客Aと店員Bとの間にPOS端末100が位置する。POS端末100は、顧客A側に向けられた客側ディスプレイ110、および店員B側に向けられた店側ディスプレイ120を備える。
【0015】
POS端末100は、店側ディスプレイ120上に会計中の商品情報、会計の金額、店員Bに向けたメッセージ等を表示する。POS端末100は、客側ディスプレイ110上に会計中の商品情報、会計の金額、後述する販売促進情報および免税関連情報等を表示する。
【0016】
図2は、本実施形態に係る例示的な販売促進情報を表示している客側ディスプレイ110の前面図である。POS端末100は、顧客の購入金額が免税の条件を満たさない場合に、客側ディスプレイ110上に図2のような販売促進情報を表示する。販売促進情報は、免税区分表示110a、免税区分ごとの合計金額110b、免税条件の金額範囲に対する合計金額110bの不足金額を示す差額情報110c、および推薦商品を示す推薦商品情報110dを含む。差額情報110cと推薦商品情報110dとを合わせて販売促進情報110eといい、それらは免税区分ごとに免税条件に対する不足金額および推薦商品を顧客に提示することによって顧客に追加の購入を促す情報である。
【0017】
本実施形態では、商品の免税区分ごとに合計金額が算出され、免税区分ごとの合計金額に基づいて免税の適用可否が判定される。商品は少なくとも2つの免税区分に予め分類されており、免税区分ごとに免税条件が異なる。免税区分は、例えばその商品が一般物品および消耗品のどちらの区分であるかを規定する。また、商品によっては免税区分が設けられなくてよく、その場合には該商品は免税の対象外である。免税区分表示110aは、客側ディスプレイ110に現在いずれの免税区分が表示されているかを示す情報である。図2では、免税区分表示110aは現在表示中の免税区分が消耗品であることを示す「消耗品」という文字列を含む。
【0018】
免税区分が複数ある場合には、店員による操作または所定の時間経過に応じて、POS端末100は免税区分表示110aとして表示される免税区分を切り替えてよい。免税区分表示110aは、文字列以外に記号を用いて表されてよい。免税区分表示110aはここに示したものに限られず、実際の免税の制度に応じて適宜設定される。但し、本実施形態を例に説明する本発明は、前述した構成には限定されない。例えば、免税区分が2つ以上ある場合に、それら免税区分毎に、販売促進情報を、同一の画面に表示する構成を採用してもよい。即ち、POS端末100は、免税区分毎に、販売促進情報を表示することができれば様々な表示態様を取り得る。
【0019】
合計金額110bは、現在表示中の免税区分に該当する商品の価格を合計することによって算出されたものである。実際の免税の制度によって免税区分が定義されない又は1つの免税区分のみ存在する場合には、全ての商品について合計金額110bが算出される。また、免税区分が設けられていない商品は、免税の対象外として合計金額110bの算出から除外される。
【0020】
本実施形態では、免税区分ごとに免税条件の金額範囲が定められており、各免税区分の金額範囲は少なくとも下限を有し、免税区分によっては上限も有する場合がある。差額情報110cは、合計金額110bが表示中の免税区分の金額範囲の下限値未満である場合に表示される。差額情報110cは、表示中の免税区分の金額範囲の下限値から合計金額110bを差し引くことによって算出された差額とともに、該差額以上の商品を購入すると免税の適用が可能になる旨を示す文字列を含む。これにより、店員が免税条件を手作業で判定することなくPOS端末100は自動的に顧客に追加の購入を促すことができ、顧客は免税の適用を受けるのに必要な条件を容易に知ることができる。
【0021】
表示中の免税区分の免税条件の金額範囲に上限があり、かつ合計金額110bが表示中の免税区分の金額範囲の上限値より大きい場合には、POS端末100は、合計金額110bから免税条件の金額範囲の上限値を差し引くことによって算出された差額とともに、免税条件の金額範囲を超えているため免税の適用ができない旨を示す文字列を表示してもよい。
【0022】
推薦商品情報110dは、合計金額110bが表示中の免税区分の金額範囲の下限値未満である場合に表示される。推薦商品情報110dは、後述の推薦商品選択処理によって顧客の購入履歴又は属性に基づいて選択された商品を含む。これにより、顧客は免税の条件を満たすための追加の購入を行いやすくなる。
【0023】
合計金額110bが表示中の免税区分における免税条件の金額範囲を満たす場合には、POS端末100は、販売促進情報110eに代えて、免税が適用可能であることを示す情報を客側ディスプレイ110に表示してよい。
【0024】
さらに、POS端末100は、免税区分表示110a、合計金額110b、差額情報110cおよび推薦商品情報110dの少なくとも一部を、POS端末100が配置された国の言語(図2では日本語)の文字列で表すとともに、顧客の居住国の言語(図2では英語)の文字列で表す。顧客の居住国は、後述の顧客識別処理により、顧客の旅券から読み取られ、あるいは顧客の画像から推定される。これにより、POS端末100は顧客にとってわかりやすい言語で情報を表示することができるため、顧客の理解を促進することができる。
【0025】
図3は、本実施形態に係るPOS端末100の概略構成図である。POS端末100は、上述の客側ディスプレイ110および店側ディスプレイ120に加えて、CPU(Central Processing Unit)101と、メモリ102と、記憶装置103と、通信インターフェース104とを備える。さらに、POS端末100は、入力装置105と、カメラ106と、商品情報読取装置107とを備える。POS端末100は、図3に示す構成に限定されず、その他の部材をさらに備えてよい。POS端末100は1つ又は複数の装置からなってよく、あるいは他の装置と一体に構成されてよい。また、POS端末100は別のサーバに接続され、本実施形態においてPOS端末100によって行われる処理の少なくとも一部は該サーバによって行われてよい。
【0026】
通信インターフェース104は、データの送受信を行う通信部であり、有線通信および無線通信の少なくとも一方の通信方式を実行可能に構成される。通信インターフェース104は、該通信方式に必要なプロセッサ、電気回路、アンテナ、接続端子等を含む。通信インターフェース104は、CPU101からの信号に従って、該通信方式を用いて通信を行う。
【0027】
記憶装置103は、POS端末100が実行するプログラムや、プログラムによる処理結果のデータ等を記憶する。記憶装置103は、読み取り専用のROM(Read Only Memory)や、読み書き可能のハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等を含む。また、記憶装置103は、CD-ROM等のコンピュータ読取可能な可搬記憶媒体を含んでもよい。メモリ102は、CPU101が処理中のデータや記憶装置103から読み出されたデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等を含む。
【0028】
CPU101は、処理に用いる一時的なデータをメモリ102に一時的に記録し、記憶装置103に記録されたプログラムを読み出し、該プログラムに従って該一時的なデータに対して種々の演算、制御、判別などの処理動作を実行するプロセッサである。また、CPU101は、記憶装置103に処理結果のデータを記録し、また通信インターフェース104を介して処理結果のデータを外部に送信する。
【0029】
入力装置105は、処理の実行を指示するキーボード等を含み、主に店員からの入力を受け付け、入力された内容を信号としてCPU101に送信する。
【0030】
カメラ106は、顧客を識別する情報としての旅券(パスポート)の画像又は顧客の画像を読み取る読取装置である。カメラ106は、例えばCCD(Charge Coupled Device)センサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等のイメージセンサによって画像を取得するカメラ又はスキャナ等の撮像装置を備える。
【0031】
カメラ106は、POS端末100とは別の端末に設けられてよい。その場合には、該別の端末は、カメラ106により旅券の画像又は顧客の画像を読み取り、それらの画像をPOS端末100に送信する。
【0032】
カメラ106によって顧客の画像を撮像する場合には、POS端末100は、カメラ106によって取得された顧客の画像に対して人物認識処理を行うことによって、顧客の顔および服装から、顧客を識別する識別子である顧客ID、顧客の居住国、年齢、性別等の顧客識別情報を取得する。顧客IDは例えば顧客の画像から生成した特徴量であり、同じ顧客である確率が高い人物に同じ顧客IDが割り振られる。具体的な人物認識処理としては周知の技術を用いてよい。またPOS端末100は、他の端末に顧客の画像を送信して人物認識処理を行わせ、その結果を受け取ってもよい。
【0033】
カメラ106によって旅券の画像を撮像する場合には、POS端末100は、カメラ106によって取得された旅券の画像に対してOCR(Optical Character Recognition)処理を行うことによって旅券に記載された顧客の旅券番号、氏名、発行国等の旅券情報を取得する。具体的なOCR処理としては周知の技術を用いてよい。またPOS端末100は、他の端末に旅券の画像を送信してOCR処理を行わせ、その結果を受け取ってもよい。
【0034】
POS端末100は、旅券の画像ではなく、旅券に搭載されたIC(Integrated Circuit)チップから旅券情報を読み取ってもよい。その場合には、POS端末100はICチップの記録内容を非接触で読み取る読取機を備える。POS端末100は、読取機によって取得された旅券のICチップの記録内容から、顧客の旅券番号、氏名、発行国等の旅券情報を読み取る。また、POS端末100は、店員又は顧客によって入力装置105を用いて入力された情報を旅券情報として読み取ってもよい。
【0035】
商品情報読取装置107は、商品情報を読み取る読取部であり、CCDカメラ、CMOSカメラ等の任意の撮像装置を含む。本実施形態において、商品情報は商品を識別する情報(例えばJANコード等の識別子)を含み、バーコードを用いて表される。商品情報は、バーコードに限られず、商品に付されたICタグの読み取りや、入力装置105による入力等、任意の方法で取得されてよい。商品情報読取装置107は、POS端末100とは別の端末に設けられてよい。その場合には、該別の端末は、商品情報読取装置107によって商品情報を読み取り、該商品情報をPOS端末100に送信する。
【0036】
客側ディスプレイ110および店側ディスプレイ120は、情報を表示する表示部である。客側ディスプレイ110および店側ディスプレイ120として、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ等の任意の表示装置を用いてよい。客側ディスプレイ110および店側ディスプレイ120は、CPU101からの信号に従って所定の情報を表示する。
【0037】
図4(a)は、本実施形態に係る例示的な商品情報の模式図である。商品情報は、商品を識別する一意の識別子である商品ID、商品名、免税区分を含む。免税区分は、例えばその商品IDを有する商品が一般物品および消耗品のどちらの区分であるか、あるいは免税の対象外であるかを規定する。本実施形態に係る販売促進処理は、商品情報に基づいて、一般物品の商品IDとおよび消耗品の商品IDとを別々に集計する。免税区分はここに示したものに限られず、実際の免税の制度に応じて適宜設定される。図4(a)において免税区分は文字列で示されているが、免税区分を表すコード値等の情報でよい。商品情報はPOS端末100の記憶装置103に予め記録される。
【0038】
図4(b)は、本実施形態に係る例示的な持込不可情報の模式図である。持込不可情報は、商品IDに関連付けられた、持込不可国を含む。商品IDは商品情報に含まれるものと共通である。持込不可国は、その商品IDを有する商品を持ち込むことができない国を規定する。図4(b)において持込不可国は文字列で示されているが、持込不可国を表すコード値等の情報でよい。持込不可情報はPOS端末100の記憶装置103に予め記録される。
【0039】
図4(c)は、本実施形態に係る例示的な購入履歴情報の模式図である。購入履歴情報は、買い物(会計)を行った日付および時刻を含む時間、購入した商品の商品ID、顧客の旅券番号、居住国、年齢および性別を含む。購入履歴情報は会計のたびにPOS端末100で生成され、記憶装置103に記録される。買い物の際に旅券番号が取得されない場合には、旅券番号の代わりに顧客IDを用いて購入履歴情報が記録される。
【0040】
図4(a)~4(c)において、商品情報、持込不可情報および購入履歴情報は視認性のために文字列で表されているが、任意のデータ形式(ファイル形式)で表されてよく、例えばバイナリデータ又はテキストデータでよい。また、商品情報、持込不可情報および購入履歴情報はバイナリファイル又はテキストファイルとして記憶装置103に記録されてよく、あるいはデータベースのテーブルとして記憶装置103に記録されてよい。商品情報、持込不可情報および購入履歴情報はここに示したものに限られず、分割されてよく、併合されてよく、あるいはその他の情報を含んでよい。
【0041】
図5は、本実施形態に係るPOS端末100において実行される販売促進処理のフローチャートを示す図である。販売促進処理は、例えばPOS端末100上で顧客の買い物に対する会計の途中(例えば会計に含まれる全ての商品の商品情報が読み取られたタイミング)で行われる。
【0042】
まずPOS端末100は、図6を用いて後述する顧客識別処理を行い、顧客識別情報を取得する(ステップS110)。次に、POS端末100は、ステップS110で取得された顧客識別情報および買い物の内容に基づいて購入履歴情報を生成し、記憶装置103に記録する(ステップS101)。ステップS110において旅券の提示を受けずに顧客識別処理が行われた場合には、旅券番号が取得されないため、旅券番号の代わりに顧客IDを用いて購入履歴情報が記録される。次に、POS端末100は、免税区分ごとに商品の価格を合計することによって合計金額を算出する(ステップS102)。以降のステップは、免税区分ごとに行われる。
【0043】
POS端末100は、ステップS102で算出された合計金額が、所定の免税条件を満たすか否かを判定する(ステップS103)。免税条件は、例えば免税区分が一般物品の場合には合計金額が5千円以上であることであり、免税区分が消耗品の場合には合計金額が5千円以上50万円以内であることである。
【0044】
買い物が免税条件を満たす場合には(ステップS104のYES)、POS端末100は免税を適用するための処理を行う(ステップS105)。免税を適用するための処理は、例えば免税条件を満たす旨の表示、免税の適用に必要な書類の発行、あるいはPOS端末100自身による免税の実行(還付金の払い出し等)である。
【0045】
買い物が免税条件を満たさない場合には(ステップS104のNO)、POS端末100は、図7を用いて後述する推薦商品選択処理を行い、ステップS110で取得された顧客識別情報に基づいて推薦商品を選択する(ステップS120)。そして、POS端末100は、ステップS102で算出された合計金額およびステップS120で取得された推薦商品情報に基づいて、免税区分ごとの販売促進情報を出力する(ステップS106)。販売促進情報は、免税条件に対する不足金額の情報、および顧客への推薦商品の情報を含む。販売促進情報は、図2に例示したように客側ディスプレイ110に表示されてよく、あるいはスピーカからの音声出力、プリンタからの紙印刷等、顧客に情報を提示することが可能な任意の方法で出力されてよい。
【0046】
図6は、本実施形態に係るPOS端末100において実行される顧客識別処理のフローチャートを示す図である。顧客識別処理は、図5のフローチャート中のステップS110において実行される。
【0047】
まずPOS端末100は、顧客から旅券の提示を受けたか否かを判定する。例えば店員は顧客から旅券の提示を受けた場合に入力装置105から所定の受付操作(ボタン押下、タッチパネル押下等)を行い、POS端末100は該受付操作を検出することによって顧客から旅券の提示を受けたことを判定する。旅券の提示は販売促進処理の開始前に受け付けてよく、あるいは販売促進処理の最中に受け付けてよい。顧客から旅券の提示を受けた場合には(ステップS111のYES)、POS端末100は、カメラ106を用いて、旅券の画像を取得する(ステップS112)。POS端末100は、ステップS112で取得された旅券の画像に対して周知のOCR処理を行い、旅券に記載された顧客の旅券情報を読み取る(ステップS113)。旅券情報は、旅券の画像のほか、旅券に搭載されたICチップから読み取った情報又は入力装置105から入力された情報から取得されてよい。そして、POS端末100は、ステップS113で取得された旅券情報から販売促進処理に必要な旅券番号、居住国(旅券の発行国)、年齢、性別等を含む顧客識別情報を抽出し、メモリ102上に一時的に記録する(ステップS114)。
【0048】
顧客から旅券の提示を受けない場合には(ステップS111のNO)、POS端末100は、カメラ106を用いて、顧客の画像を取得する(ステップS115)。POS端末100は、ステップS115で取得された顧客の画像に対して周知の人物認識処理を行う(ステップS116)。そして、POS端末100は、ステップS116で行った人物認識処理の結果から販売促進処理に必要な顧客ID、居住国、年齢、性別等を含む顧客識別情報を抽出し、メモリ102上に一時的に記録する(ステップS117)。
【0049】
図7は、本実施形態に係るPOS端末100において実行される推薦商品選択処理のフローチャートを示す図である。顧客識別処理は、図5のフローチャート中のステップS120において実行される。
【0050】
まずPOS端末100は、図6に示す顧客識別処理で取得された顧客識別情報を取得する(ステップS121)。次に、POS端末100は、記憶装置103に記録された購入履歴情報のうち、顧客識別情報により示される買い物中の顧客と同一の顧客の購入履歴情報を取得する(ステップS122)。顧客の同一性は、旅券から読み取られる旅券番号又は人物認識処理で割り振られる顧客IDが同じか否かによって判定される。
【0051】
同一顧客の購入履歴情報が有る場合には(ステップS123のYES)、買い物中の顧客の過去の購入履歴に基づいて、推薦商品を選択する(ステップS124)。推薦商品は、例えば同一顧客の過去の購入履歴から無作為に選択された商品、購入履歴に含まれる商品に類似する商品、あるいは購入履歴に含まれる数が最も多い商品等、任意の規則に基づいて選択されてよい。これにより、同一顧客の嗜好に基づいて適切な商品を推薦することができ、顧客の購買意欲を向上させることができる。
【0052】
同一顧客の購入履歴情報が無い場合には(ステップS123のNO)、買い物中の顧客の属性に基づいて、推薦商品を選択する(ステップS125)。顧客の属性は、顧客の居住国、年齢、性別等のうち、少なくとも何れかの顧客が属する特徴を示す情報である。POS端末100は、顧客の属性と、記憶装置103に記録されたそれぞれの購入履歴情報に含まれる属性との類似度を算出し、該類似度が所定の基準値以上である購入履歴から推薦商品を選択する。属性の類似度として、例えば属性に含まれる値間のユークリッド距離を用いてよい。推薦商品は、例えば顧客の属性に対応する購入履歴から無作為に選択された商品、購入履歴に含まれる商品に類似する商品、あるいは購入履歴に含まれる数が最も多い商品等、任意の規則に基づいて選択されてよい。これにより、顧客の属性に基づいて適切な商品を推薦することができ、顧客の購買意欲を向上させることができる。
【0053】
ステップS124およびS125において、推薦商品は、顧客の居住国に持ち込むことができない商品を除外して選択されることが望ましい。各商品が顧客の居住国に持ち込むことができるか否かは、顧客識別処理で取得された顧客識別情報および記憶装置103に記録された持込不可情報に基づいて判定される。具体的には、POS端末100は、会計に含まれる商品の商品IDに関連付けられた持込不可国を持込不可情報から取得し、該持込不可国が顧客識別情報の居住国を含む場合に該商品は持込不可であると判定する。これにより、顧客が居住国に持ち込むことができない推薦商品を表示することを避けることができる。
【0054】
ステップS124およびS125において、免税条件の金額範囲に対する合計金額の不足金額以上の価格を有する推薦商品が選択されることが望ましい。これにより、推薦商品を1つ追加で購入するだけで免税条件を満たすため、顧客の購買意欲を向上させることができる。
【0055】
POS端末100は、ステップS124およびS125で選択された推薦商品の名称、価格等を含む推薦商品情報を出力し、メモリ102上に一時的に記録する(ステップS126)。
【0056】
本実施形態においてPOS端末100のCPU101は、図5~7に示す処理に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。具体的には、CPU101は、ステップS101を実行する記録部、ステップS102を実行する算出部、ステップS103を実行する判定部、ステップS106を実行する出力部、ステップS110を実行する識別部、ステップS120を実行する選択部として機能する。CPU101は、図5~7に示す処理を実行するためのプログラムをメモリ102又は記憶装置103から読み出し、該プログラムを実行してPOS端末100の各部を制御することによって図5~7に示す処理を実行する。また、図5~7に示す処理の少なくとも一部が、CPU101ではなく、専用の装置又は電気回路によって行われてもよい。
【0057】
本実施形態に係るPOS端末100は、販売促進情報に加えて、免税に係る様々な免税関連情報を提示することができる。図8(a)~8(c)は、本実施形態に係る例示的な免税関連情報を表示している客側ディスプレイ110の前面図である。図8(a)に示す免税関連情報は、顧客の居住国に持ち込むことができない商品が会計に含まれる場合に表示され、免税区分表示110a、持込不可表示110f、および持込不可商品110gを含む。持込不可表示110fは、商品を居住国に持ち込むことができない旨を顧客に説明する文字列を含む。持込不可商品110gは、顧客の会計に含まれる商品のうち、顧客の居住国に持ち込むことができない商品の情報である。各商品が顧客の居住国に持ち込むことができるか否かは、顧客識別処理で取得された顧客識別情報および記憶装置103に記録された持込不可情報に基づいて判定される。
【0058】
持込不可商品110gが複数ある場合には、POS端末100は、店員による操作または所定の時間経過に応じて、表示中の持込不可商品110gを切り替えてよい。このように、居住国への持込不可商品の情報を顧客に知らせることができる。持込不可商品と同様に、POS端末100は、免税の対象外の商品を表示してよい。免税の対象外か否かは、記憶装置103に記録された商品情報に基づいて判定される。
【0059】
図8(b)に示す免税関連情報は、合計金額が所定の金額を超える場合に表示され、免税区分表示110a、免税区分ごとの合計金額110b、および旅券要求表示110hを含む。実際の免税の制度において、ある免税区分における合計金額が所定の金額(例えば100万円)を超える場合に旅券の複写の保存が求められる場合がある。そのため、旅券要求表示110hは、旅券の複写が必要である旨の文字列を含む。このように店員又は顧客に注意喚起することによって、旅券の複写を忘れることを防ぐことができる。
【0060】
図8(c)に示す免税関連情報は、合計金額が所定の金額を超える場合に表示され、免税区分表示110a、免税区分ごとの合計金額110b、および免税不可表示110iを含む。実際の免税の制度において、ある免税区分における合計金額が所定の金額(例えば50万円)を超える場合に免税の適用外になる場合がある。そのため、免税不可表示110iは、免税の適用ができない旨の文字列を含む。このように店員又は顧客に注意喚起することによって、合計金額が免税範囲を超えていることによって免税の適用ができなくなる事態を防ぐことができる。
【0061】
図8(a)~8(c)に示すように、本実施形態に係るPOS端末100は、販売促進情報に加えて、販売促進処理と共通の情報を利用して、顧客に対して免税に係る様々な情報を提示することができる。
【0062】
本実施形態に係るPOS端末100は、顧客の買い物が免税の条件を満たすか否かを判定し、満たしていなければ顧客に免税の条件を提示して追加の購入を促す。そのため、店員が免税条件を手作業で判定する手間を削減することができ、また顧客は免税の適用を受けるのに必要な条件を容易に知ることができる。さらに、POS端末100は顧客の過去の購入履歴又は属性に基づいて選択された推薦商品を表示するため、顧客は免税の条件を満たすための追加の購入を行いやすい。
【0063】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では一度の会計について免税条件の判定を行うのに対して、本実施形態では同一顧客の複数の会計について免税条件の判定を行う。これにより実際の免税の制度において同一顧客の会計を合算できる場合であっても、適切に販売促進情報の提示を行うことができる。本実施形態では、第1の実施形態と同様の構成を有するPOS端末100が用いられる。
【0064】
図9は、本実施形態に係るPOS端末100において実行される販売促進処理のフローチャートを示す図である。販売促進処理は、例えばPOS端末100上で顧客の買い物に対する会計の途中(例えば会計に含まれる全ての商品の商品情報が読み取られたタイミング)で行われる。
【0065】
まずPOS端末100は、図6に示す顧客識別処理を行い、顧客識別情報を取得する(ステップS110)。ただし、ここでは同一顧客を高精度に識別する必要があるため、顧客の画像ではなく旅券の画像を用いて顧客を識別する。
【0066】
POS端末100は、ステップS110で取得された顧客識別情報および買い物の内容に基づいて購入履歴情報を生成し、記憶装置103に記録する(ステップS201)。次に、POS端末100は、記憶装置103に記録された当日(すなわち今回の買い物と同一の日付)の購入履歴情報のうち、ステップS110で取得された顧客識別情報により示される買い物中の顧客と同一の顧客の購入履歴情報を取得する(ステップS202)。顧客の同一性は、旅券から読み取られる旅券番号が同じか否かによって判定される。
【0067】
当日の同一顧客の購入履歴情報が有る場合には(ステップS203のYES)、POS端末100は、当日の同一顧客の購入履歴情報に含まれる商品の価格を免税区分ごとに合計することによって、合算された合計金額を算出する(ステップS204)。以降のステップは、免税区分ごとに行われる。POS端末100は、ステップS204で取得された合算された合計金額が、所定の免税条件を満たすか否かを判定する(ステップS205)。免税条件は、例えば免税区分が一般物品の場合には合計金額が5千円以上であることであり、免税区分が消耗品の場合には合計金額が5千円以上50万円以内であることである。
【0068】
当日の同一顧客の購入履歴情報が無い場合には(ステップS203のNO)、POS端末100は、今回の会計に含まれる商品の価格を免税区分ごとに合計することによって、今回の合計金額を算出する(ステップS206)。以降のステップは、免税区分ごとに行われる。POS端末100は、ステップS206で取得された今回の合計金額が、所定の免税条件を満たすか否かを判定する(ステップS207)。免税条件はステップS205と同様である。
【0069】
ステップS205又はS207において免税条件を満たすと判定された場合には(ステップS208のYES)、POS端末100は免税を適用するための処理を行う(ステップS209)。免税を適用するための処理は、例えば免税条件を満たす旨の表示、免税の適用に必要な書類の発行、あるいはPOS端末100自身による免税の実行(還付金の払い出し等)である。
【0070】
ステップS205およびS207において免税条件を満たすと判定されない場合には(ステップS208のNO)、POS端末100は、図7に示す推薦商品選択処理を行い、ステップS110で取得された顧客識別情報に基づいて推薦商品を選択する(ステップS120)。そして、POS端末100は、ステップS120で取得された推薦商品情報に基づいて、販売促進情報を出力する(ステップS210)。販売促進情報は、免税条件に対する不足金額の情報、および顧客への推薦商品の情報を含む。販売促進情報は、図2に例示したように客側ディスプレイ110に表示されてよく、あるいはスピーカからの音声出力、プリンタからの紙印刷等、顧客に情報を提示することが可能な任意の方法で出力されてよい。
【0071】
本実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、同一顧客の複数回の買い物(会計)に基づいて免税条件を判定して販売促進情報を表示することができる。
【0072】
(第3の実施形態)
第1および第2の実施形態ではPOS端末100のディスプレイによって顧客への情報提示を行うのに対して、本実施形態では顧客が所有する携帯端末を用いて顧客への情報提示を行う。本実施形態では、第1の実施形態と同様の構成を有するPOS端末100が用いられる。
【0073】
図10は、本実施形態に係る携帯端末200の前面図である。携帯端末200は前面にディスプレイ210を備える。携帯端末200は、POS端末100から販売促進情報を受信し、該販売促進情報をディスプレイ210上に図10のように表示する。販売促進情報は、免税区分表示210a、免税区分ごとの合計金額210b、免税条件の金額範囲に対する合計金額210bの不足金額を示す差額情報210c、および推薦商品を示す推薦商品情報210dを含む。差額情報210cと推薦商品情報210dとを合わせて販売促進情報210eといい、それらは免税条件に対する不足金額および推薦商品を顧客に提示することによって顧客に追加の購入を促す情報である。免税区分表示210a、合計金額210b、差額情報210cおよび推薦商品情報210dの内容は、第1の実施形態と同様である。
【0074】
携帯端末200は、免税区分表示210a、合計金額210b、差額情報210cおよび推薦商品情報210dの少なくとも一部を、顧客の居住国(あるいは携帯端末200に設定された国)の言語(図10では日本語)の文字列で表す。これにより、携帯端末200は顧客にとってわかりやすい言語で情報を表示することができるため、顧客の理解を促進することができる。第1の実施形態と同様に、POS端末100が配置された国の言語および居住国の言語の両方で販売促進情報を表示してもよい。
【0075】
図11は、本実施形態に係る携帯端末200の概略構成図である。携帯端末200は、上述のディスプレイ210に加えて、CPU201と、メモリ202と、記憶装置203と、移動体通信部204とを備える。さらに、携帯端末200は、入力装置205と、非接触IC通信部206とを備える。携帯端末200は、本実施形態に係る機能を実現できれば図11に示す構成に限定されない。例えば、携帯端末200は販売促進情報の受信および表示が可能な専用端末でよい。
【0076】
移動体通信部204は、データの送受信を行う通信部であり、移動体通信を実行する。移動体通信部204は、移動体通信に必要なプロセッサ、電気回路、アンテナ等を含む。移動体通信部204は、CPU201からの信号に従って、移動体通信を用いて通信を行う。携帯端末200は、移動体通信の代わりに又は加えて、無線LAN等の無線通信によって通信を行ってもよい。
【0077】
記憶装置203は、携帯端末200が実行するプログラムや、プログラムによる処理結果のデータ等を記憶する。記憶装置203は、読み取り専用のROMや、読み書き可能のハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等を含む。また、記憶装置203は、CD-ROM等のコンピュータ読取可能な可搬記憶媒体を含んでもよい。メモリ202は、CPU201が処理中のデータや記憶装置203から読み出されたデータを一時的に記憶するRAM等を含む。
【0078】
CPU201は、処理に用いる一時的なデータをメモリ202に一時的に記録し、記憶装置203に記録されたプログラムを読み出し、該プログラムに従って該一時的なデータに対して種々の演算、制御、判別などの処理動作を実行するプロセッサである。また、CPU201は、記憶装置203に処理結果のデータを記録し、また移動体通信部204を介して処理結果のデータを外部に送信する。
【0079】
ディスプレイ210は、利用者に対して情報を表示する表示部である。ディスプレイ210として、液晶ディスプレイ、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ等の任意の表示装置を用いてよい。ディスプレイ210は、CPU201からの信号に従って、所定の情報を表示する。入力装置205は、ボタンやタッチパネル等を含み、ユーザからの入力を受け付け、入力された内容を信号としてCPU201に送信する。
【0080】
非接触IC通信部206は、POS端末100から販売促進情報を受け取るための通信を行うための通信部である。本実施形態において、非接触IC通信部206は非接触IC通信であるNFC(Near Field Communication)を用いて通信を行うように構成されており、信号や電力の授受を行うアンテナ、および通信を制御する電気回路を含む。また、POS端末100にも同様の非接触IC通信部が設けられる。非接触IC通信部206が実行する通信方式として、店舗に設置されたPOS端末100と顧客の有する携帯端末200とが通信可能な任意の方式を用いてよい。例えば非接触IC通信の代わりに、Bluetooth(登録商標)のような近距離無線通信を用いてもよい。
【0081】
携帯端末200による販売促進情報の表示は、POS端末100における会計が終了したタイミング、顧客が店外に出たタイミング等の所定の時点で行われる。顧客が店外に出たタイミングで販売促進情報を顧客に通知することによって、顧客が追加の購入を忘れることを抑制することができる。顧客が店外に出たことの判定は、GPS(Global Positioning System)やBluetooth等を用いて携帯端末200の測位を行うことによって行われる。携帯端末200による販売促進情報の表示を行う際には、顧客に積極的に通知するために、携帯端末200は振動や音等を発生することが望ましい。
【0082】
本実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、携帯端末200を用いて販売促進情報を表示することができる。そのため、会計のタイミングだけでなく店を出るタイミング等、より多様な時点で販売促進情報の提示を行うことができる。
【0083】
(その他の実施形態)
図12は、上述の各実施形態に係るPOS端末100の概略構成図である。図12には、POS端末100が免税の条件を満たさない場合に購入を促す情報を顧客に提示する販売促進装置として機能するための構成例が示されている。POS端末100は、顧客の買い物の合計金額が、免税の条件を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部において前記免税の条件を満たさないと判定された場合に、前記顧客に購入を促す情報を出力する出力部として機能するCPU101を備える。
【0084】
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0085】
上述の各実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラム(例えば、図5~7および9に示す処理をPOS端末100に実行させるプログラム)を記録媒体に記録させ、該記録媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記録媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のコンピュータプログラムが記録された記録媒体はもちろん、そのコンピュータプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0086】
該記録媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。また該記録媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0087】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0088】
(付記1)
顧客の買い物の合計金額が、免税の条件を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部において前記免税の条件を満たさないと判定された場合に、前記顧客に購入を促す情報を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする販売促進装置。
【0089】
(付記2)
前記買い物に含まれる商品は、前記免税の条件が互いに異なる少なくとも2つの区分に分類され、
前記判定部は、前記区分ごとに算出された前記合計金額が、前記免税の条件を満たすか否かを前記区分ごとに判定し、
前記出力部は、前記区分ごとに前記顧客に購入を促す情報を出力することを特徴とする、付記1に記載の販売促進装置。
【0090】
(付記3)
前記合計金額に基づいて推薦商品を選択する選択部をさらに備え、
前記購入を促す情報は、前記推薦商品を示す情報を含むことを特徴とする、付記1又は2に記載の販売促進装置。
【0091】
(付記4)
前記選択部は、前記免税の条件に対して前記合計金額が不足している金額以上の価格を有する商品を、前記推薦商品として選択することを特徴とする、付記3に記載の販売促進装置。
【0092】
(付記5)
前記顧客を識別する識別情報を取得する識別部と、
前記識別情報を用いて推薦商品を選択する選択部と、をさらに備え、
前記購入を促す情報は、前記推薦商品を示す情報を含むことを特徴とする、付記1又は2に記載の販売促進装置。
【0093】
(付記6)
前記選択部は、前記識別情報を用いて前記顧客の購入履歴を取得し、前記購入履歴に基づいて前記推薦商品を選択することを特徴とする、付記5に記載の販売促進装置。
【0094】
(付記7)
前記選択部は、前記識別情報から前記顧客の属性を取得し、前記属性に基づいて前記推薦商品を選択することを特徴とする、付記5又は6に記載の販売促進装置。
【0095】
(付記8)
前記選択部は、前記識別情報から前記顧客の居住国を取得し、前記居住国に持ち込むことができない商品を除外して前記推薦商品を選択することを特徴とする、付記5~7のいずれか一項に記載の販売促進装置。
【0096】
(付記9)
前記判定部は、前記識別情報を用いて前記買い物と同じ日付を有する前記顧客の購入履歴を取得し、前記同じ日付を有する購入履歴を合算することによって算出された前記合計金額が、前記免税の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする、付記5~8のいずれか一項に記載の販売促進装置。
【0097】
(付記10)
前記購入を促す情報は、前記免税の条件に対して前記合計金額が不足している金額を示す情報を含むことを特徴とする、付記1~9のいずれか一項に記載の販売促進装置。
【0098】
(付記11)
前記購入を促す情報を、前記顧客の携帯端末に送信することを特徴とする、付記1~10のいずれか一項に記載の販売促進装置。
【0099】
(付記12)
顧客の買い物の合計金額が、免税の条件を満たすか否かを判定する工程と、
前記判定する工程において前記免税の条件を満たさないと判定された場合に、前記顧客に購入を促す情報を出力する工程と、
を備えることを特徴とする販売促進方法。
【0100】
(付記13)
コンピュータに、
顧客の買い物の合計金額が、免税の条件を満たすか否かを判定する工程と、
前記判定する工程において前記免税の条件を満たさないと判定された場合に、前記顧客に購入を促す情報を出力する工程と、
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0101】
100 POS端末
101、201 CPU
102、202 メモリ
103、203 記憶装置
104 通信インターフェース
105、205 入力装置
106 カメラ
107 商品情報読取装置
110 客側ディスプレイ
120 店側ディスプレイ
200 携帯端末
204 移動体通信部
206 非接触IC通信部
210 ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12