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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】除塵機
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/08 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
E02B5/08 103C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018148385
(22)【出願日】2018-08-07
(65)【公開番号】P2020023806
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107467
【弁理士】
【氏名又は名称】員見 正文
(72)【発明者】
【氏名】立松 一人
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-191938(JP,A)
【文献】実開平06-034030(JP,U)
【文献】特開2002-155523(JP,A)
【文献】特開昭49-120439(JP,A)
【文献】特開昭62-160312(JP,A)
【文献】登録実用新案第3193868(JP,U)
【文献】特開2004-176320(JP,A)
【文献】特開平10-121440(JP,A)
【文献】特開平08-120648(JP,A)
【文献】特開2012-219960(JP,A)
【文献】登録実用新案第3005224(JP,U)
【文献】実開昭59-127064(JP,U)
【文献】特開2004-270182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水流と直交する方向に並設された複数のバーを備えたスクリーン(120)に堆積している塵芥を除去するスクリーン除塵作業に使用するための除塵機(10)であって、
レーキ(21)および前記レーキが一端部に取り付けられたラック棒(22)を備えた熊手(20)と、
前記スクリーン除塵作業を行う際に前記熊手を取り付けるための引上げ機構(30)とを具備し、
前記引上げ機構が、
ロック付キャスター(31a)が取り付けられた台車(31)と、
前記台車に第1の取付部材(32)を介して取り付けられた、かつ、側面に手動ハンドル(33a)が取り付けられた駆動平歯車(33)と、
前記台車に第2の取付部材(34)を介して前記駆動平歯車と噛合するように取り付けられた従動平歯車(35)と、
前記台車に前記第2の取付部材を介して取り付けられた、かつ、前記従動平歯車の逆回転を防止するためのブレーキ機構(36)とを備え、
前記熊手の前記ラック棒が、複数本のラックピン(22a)によって前記従動平歯車が噛み込む構造とされて前記従動平歯車を介して前記駆動平歯車の駆動力が伝えられるようにされており、
前記スクリーン除塵作業を行う際には、作業員(A)が、前記熊手の前記ラック棒の前記複数本のラックピンが前記従動平歯車に噛み込むように前記熊手を前記引上げ機構に取り付け、前記ブレーキ機構を開放して前記熊手の前記レーキが前記スクリーンの下端部付近までくるように前記熊手を自重で落下させたのち、前記ブレーキ機構によって前記従動平歯車の逆回転を防止した状態で前記駆動平歯車の前記手動ハンドルを回すことにより、前記熊手が前記従動平歯車を介して引き上げられて、前記スクリーンに堆積している前記塵芥を掻き揚げられるようにされている
ことを特徴とする、除塵機。
【請求項2】
前記ブレーキ機構が、
前記第2の取付部材に取り付けられたL型鋼取付部材(36a)と、
前記L型鋼取付部材にL型鋼回転軸(36c)を介して回転可能に取り付けられたL型鋼部材(36b)と、
前記L型鋼部材に取り付けられたブレーキ開放レバー(36d)と、
一端部が前記L型鋼部材に固定されるとともに他端部が前記第2の取付部材に固定された鋼製バネ(36e)と、
前記L型鋼取付部材に取り付けられた、かつ、前記L型鋼部材が前記鋼製バネの付勢力によって回転することを規制するための止め金(36f)とを備える、
ことを特徴とする、請求項1記載の除塵機。
【請求項3】
前記台車に第3の取付部材(37)を介して取り付けられた、かつ、前記スクリーン除塵作業中に前記熊手が前記引上げ機構から脱落することを防止するための脱落防止カバー(40)をさらに具備し、
前記脱落防止カバーが、前記熊手の前記ラック棒を取り付けられるとともに前記熊手の引上げ角度の調整もできる構造とされている、
ことを特徴とする、請求項1または2記載の除塵機。
【請求項4】
前記引上げ機構が、前記スクリーン除塵作業中の転倒を防止するための引上げ機構転倒防止手段(31b,38,39)をさらに備えることを特徴とする、請求項1乃至3いずれかに記載の除塵機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取水口等の規模が比較的小さい箇所での人力によるスクリーン除塵作業に使用するのに好適な除塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
水力発電所の安定した取水量を確保するためには、取水口等のスクリーン(水流と直交する方向に並設された複数のバーとバーの長手方向に並設された複数の板状のスペーサとを備えたバースクリーン)に付着した塵芥を除去する必要がある。
【0003】
そのため、取水口等の規模が大きな箇所には電動式除塵機を設置しているが、取水口等の規模が比較的小さい箇所には、スクリーン上部が狭隘となり場所が制限されるため大装備となる電動式除塵機を設置できないので、図4に示すような熊手110(複数の歯が並設されたレーキ111と、一端部にレーキ111が取り付けられた操作棒112とを備える。)を使って作業員Aが定期的に人力でスクリーン除塵作業を実施している。
【0004】
すなわち、作業員Aは、熊手110の操作棒112の他端部側を手で持って、図4に破線で示すようにレーキ111側をスクリーン120から離れた位置へ投げ出し、レーキ111側を自重で沈ませつつ水流によってスクリーン120の方向に接近させたのちに、操作棒112を徐々に引き上げてレーキ111をスクリーン120の下方側からバーに沿って引き上げていって、スクリーン120に堆積している塵芥を掻き揚げている。
【0005】
しかし、このようなスクリーン除塵作業は、水流による水圧もあり、人力では重労働であるとともに作業効率が悪く、また、危険も伴う。
【0006】
そこで、下記の特許文献1には、水路中に設けられたスクリーンの上方に懸垂レールを水平に支持し、懸垂レールに沿って水路幅方向に移動可能となるよう走行台枠を設け、姿勢制御用のガイドローラ群をパワーシリンダにより水路方向に揺動し得るように支持し、塵芥掻揚具をガイドローラ群により進退動自在に支持するとともに走行台にワイヤードラムを設け、ワイヤーを塵芥掻揚具の下部に結止することによりワイヤードラムの回転によって塵芥掻揚具が昇降して塵芥を取り除くようにした簡易除塵機が開示されている。
【0007】
また、本出願人は、下記の特許文献2において、下部ガイドレールに沿って摺動自在な下部移動体と、上部ガイドレールに沿って摺動自在な上部移動体と、連結バーを介して下部移動体に連結され、熊手の棒状体を摺動自在に支持する下部支持体と、水平軸回りに回動自在に上部移動体に連結され、熊手の棒状体を摺動自在に支持する上部支持体と、熊手のレーキを昇降させる電動チェーンブロックと、連結バーに設けられ、可動自在な開閉レバーとを備え、開閉レバーを動かすことにより上部支持体が回動してスクリーンに対する熊手の角度が変わるようにした除塵装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平11-93144号公報
【文献】特開2017-106217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の特許文献1に開示された簡易除塵機は、以下に示すような問題がある。
(a)スクリーン除塵作業中にワイヤーが塵芥に引っ掛かるとワイヤーの破断につながるおそれがある。
(b)パワーシリンダを要するため設備構造が複雑となる。
(c)ワイヤーの定期的取替えが必要なためメンテナンス費用が高価となる。
(d)現場に常設となるため他の現場で使用できない。
【0010】
また、上記の特許文献2で提案した除塵装置は、電動チェーンブロックによって熊手のレーキを昇降させるため、各レール支持材の下面に上部ガイドレールと平行に延びるケーブルガイドレールを配設し、ケーブルガイドレールに電動チェーンブロックの電源ケーブルに取り付けられた複数のケーブル滑車を移動自在に配設して電源ケーブルがケーブルガイドレールに沿って移動・伸縮自在となるようにする必要があるという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、人力によるスクリーン除塵作業を安全に行えるとともに汎用性を持たせられる除塵機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の除塵機は、水流と直交する方向に並設された複数のバーを備えたスクリーン(120)に堆積している塵芥を除去するスクリーン除塵作業に使用するための除塵機(10)であって、レーキ(21)および前記レーキが一端部に取り付けられたラック棒(22)を備えた熊手(20)と、前記スクリーン除塵作業を行う際に前記熊手を取り付けるための引上げ機構(30)とを具備し、前記引上げ機構が、ロック付キャスター(31a)が取り付けられた台車(31)と、前記台車に第1の取付部材(32)を介して取り付けられた、かつ、側面に手動ハンドル(33a)が取り付けられた駆動平歯車(33)と、前記台車に第2の取付部材(34)を介して前記駆動平歯車と噛合するように取り付けられた従動平歯車(35)と、前記台車に前記第2の取付部材を介して取り付けられた、かつ、前記従動平歯車の逆回転を防止するためのブレーキ機構(36)とを備え、前記熊手の前記ラック棒が、複数本のラックピン(22a)によって前記従動平歯車が噛み込む構造とされて前記従動平歯車を介して前記駆動平歯車の駆動力が伝えられるようにされており、前記スクリーン除塵作業を行う際には、作業員(A)が、前記熊手の前記ラック棒の前記複数本のラックピンが前記従動平歯車に噛み込むように前記熊手を前記引上げ機構に取り付け、前記ブレーキ機構を開放して前記熊手の前記レーキが前記スクリーンの下端部付近までくるように前記熊手を自重で落下させたのち、前記ブレーキ機構によって前記従動平歯車の逆回転を防止した状態で前記駆動平歯車の前記手動ハンドルを回すことにより、前記熊手が前記従動平歯車を介して引き上げられて、前記スクリーンに堆積している前記塵芥を掻き揚げられるようにされていることを特徴とする。
ここで、前記ブレーキ機構が、前記第2の取付部材に取り付けられたL型鋼取付部材(36a)と、前記L型鋼取付部材にL型鋼回転軸(36c)を介して回転可能に取り付けられたL型鋼部材(36b)と、前記L型鋼部材に取り付けられたブレーキ開放レバー(36d)と、一端部が前記L型鋼部材に固定されるとともに他端部が前記第2の取付部材に固定された鋼製バネ(36e)と、前記L型鋼取付部材に取り付けられた、かつ、前記L型鋼部材が前記鋼製バネの付勢力によって回転することを規制するための止め金(36f)とを備えてもよい。
前記台車に第3の取付部材(37)を介して取り付けられた、かつ、前記スクリーン除塵作業中に前記熊手が前記引上げ機構から脱落することを防止するための脱落防止カバー(40)をさらに具備し、前記脱落防止カバーが、前記熊手の前記ラック棒を取り付けられるとともに前記熊手の引上げ角度の調整もできる構造とされていてもよい。
前記引上げ機構が、前記スクリーン除塵作業中の転倒を防止するための引上げ機構転倒防止手段(31b,38,39)をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の除塵機は、以下に示す効果を奏する。
(1)ブレーキ機構による従動平歯車の逆回転防止機能を備えるため、塵芥の重量によって駆動平歯車の手動ハンドルが逆回転することを防げる(人力によるスクリーン除塵作業の安全性)。
(2)熊手の引上げ機構を軽量(5~30kg程度)に構成できるため、他の現場へ持ち運びして使用できる(汎用性)。
(3)引上げ機構を水中に入れないでスクリーン除塵作業ができるとともに、作業終了後には持ち帰って倉庫に保管できるため、延命化が図れる(コスト低減)。
(4)ブレーキ機構を開放することにより熊手を自重降下させられるため、熊手を降下させる労力を削減できる。
(5)構造が簡素化できるとともに、破損箇所を少なくしてメンテナンス費用を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例による除塵機10について説明するための右側面側から見た図(ラック棒22の一部および脱落防止カバー40は断面で示す。)である。
図2図1に示したロック付ブレーキ36について説明するための除塵機10の右側面側から見た図である。
図3】熊手20を引上げ機構30に取り付けた状態について説明するための図であり、(a)は除塵機10の正面側から見た図であり、(b)は除塵機10の背面側から見た図であり、(c)は除塵機10の右側面側から見た図であり、(d)は除塵機10の左側面側から見た図である。
図4】従来の人力によるスクリーン除塵作業について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記の目的を、熊手のラック棒に従動平歯車を介して駆動平歯車の駆動力を伝え、ブレーキ機構によってスクリーン除塵作業中の従動平歯車の逆回転を防止することにより実現した。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明の除塵機の実施例について図面を参照して説明する。
本発明の除塵機は、以下の特徴を有する。
(1)熊手の引上げ機構を簡素化するために、人が持ち運びできるサイズの駆動平歯車および従動平歯車との噛み合わせにより、駆動平歯車に取り付けられた手動ハンドルを回せば熊手を引き上げて塵芥を掻き揚げられるようにする。
(2)熊手のラック棒に複数本のラックピンを設けて従動平歯車が噛み込む構造として、従動平歯車を介して駆動平歯車の駆動力をラック棒に伝えられるようにする。
(3)従動平歯車のブレーキ機構を設けて従動平歯車の逆回転を防止するとともに、ブレーキ機構を開放することにより熊手が自重で降下するようにする。
(4)スクリーン除塵作業中に熊手が引上げ機構から脱落することを防止するために、引上げ機構に脱落防止カバーを備えさせて、熊手のラック棒を脱落防止カバーに取り付けられるとともに熊手の引上げ角度の調整もできる構造とする。
(5)引上げ機構は、転倒防止用ワイヤーの片方の端部を壁の転落防止用手摺等に繋ぐことによりスクリーン除塵作業時の転倒を防止するとともに、転倒防止用ワイヤーの片方の端部を転落防止用手摺等から取り外せば人が持ち運びできるようにする。
【0017】
そのため、本発明の一実施例による除塵機10は、図1に示すように、熊手20と、熊手20の引上げ機構30とを具備する。
【0018】
ここで、熊手20は、複数の歯が並設されたレーキ21と、一端部にレーキ21が取り付けられたラック棒22(鋼製棒)とを備える。
また、引上げ機構30は、平板状の本体を備えた台車31と、台車31の本体の上面に取り付けられた4個の板状の駆動平歯車取付部材32(右側面側の2個の駆動平歯車取付部材32のみ図示)と、右側面に手動ハンドル33aが取り付けられた駆動平歯車33(鋼製)と、台車31の本体の上面に取り付けられた板状の従動平歯車・ブレーキ取付部材34と、従動平歯車35(鋼製)と、ロック付ブレーキ36(鋼製)と、台車31の本体の上面に取り付けられた板状のカバー取付部材37と、転倒防止用ワイヤー38と、転倒防止用ワイヤー38の片方の端部を壁の転落防止用手摺50(作業員Aが安全帯を取り付けて転落を防止するためにスクリーン120の水路幅方向(図1の紙面垂直方向)に沿って壁に従来から取り付けられている。)に固定するためのチルホール39と、熊手20が引上げ機構30から外れて脱落することを防止するための脱落防止カバー40とを具備する。
【0019】
熊手20のラック棒22は、複数本のラックピン22aが従動平歯車35のピッチ間隔の整数倍の間隔でラック棒22の長手方向に沿って並設されている。
これにより、複数本のラックピン22aと従動平歯車35とは噛合するため、従動平歯車35を駆動平歯車33によって図1図示時計回り(以下、「引上げ回り」と称する。)に回転させると、熊手20を同図図示右斜め上方に引き上げることができる。
【0020】
引上げ機構30の台車31の本体には、スクリーン除塵作業をしていないときに引上げ機構30を移動させられるとともにスクリーン除塵作業中には引上げ機構30を移動できないようにするために、ロック付キャスター31aが下面の四隅部に取り付けられている。
【0021】
また、スクリーン除塵作業中の引上げ機構30の転落を防止するために、台車31の本体の裏面(図1図示右側の面)の中央部には転倒防止用ワイヤー38の一端部を取り付けるためのリング状のワイヤー取付金具31bが設けられているとともに、チルホール39を介して転倒防止用ワイヤー38の他端部を転落防止用手摺50に取り付けられるようにされている。
【0022】
なお、スクリーン除塵作業中に熊手20をスクリーン120(図4参照)の水路幅方向に沿って移動する場合には、ロック付キャスター31aをアンロック状態にして台車31およびチルホール39を移動させる。このとき、転倒防止用ワイヤー38の他端部を転落防止用手摺50の長手方向に沿って滑らせることにより、移動中に引上げ機構30が誤って転落することを防止できる。
【0023】
4個の駆動平歯車取付部材32のうち2個の駆動平歯車取付部材32は、上端部が連結されるとともに下端部が所定の間隔をもって台車31の本体の中央部よりも右側面側に立設されている。
また、2個の駆動平歯車取付部材32のうち残りの2個の駆動平歯車取付部材32は、上端部が連結されるとともに下端部が所定の間隔をもって台車31の本体の中央部よりも左側面側に、右側面側の2個の駆動平歯車取付部材32と互いに対向するように立設されている。
【0024】
駆動平歯車33は、一端部が右側面側の2個の駆動平歯車取付部材32の上端部に回転可能に取り付けられるとともに他端部が左側面側の2個の駆動平歯車取付部材32の上端部に回転可能に取り付けられた駆動平歯車回転軸(不図示)に取り付けられている。
【0025】
従動平歯車・ブレーキ取付部材34は、右側面側の2個の駆動平歯車取付部材32よりも正面側寄りに台車31の本体の上面に垂直に立設されている。
【0026】
従動平歯車35は、駆動平歯車33と噛合するように、従動平歯車・ブレーキ取付部材34の上端部の左側面側に回転可能に取り付けられている。
【0027】
これにより、作業員Aは、駆動平歯車33の手動ハンドル33aを手で図1図示反時計回りに回して駆動平歯車33をこの方向に回転させる(図1の矢印参照)と、従動平歯車35が引上げ回りに回転して熊手20を引き上げることができる。
【0028】
ロック付ブレーキ36は、従動平歯車35のブレーキ機構として機能するものであり、図2に示すように、矩形板状のL型鋼取付部材36aと、L型鋼部材36bと、L型鋼回転軸36cと、ブレーキ開放レバー36dと、鋼製バネ36eと、止め金36fとを備える。
【0029】
L型鋼取付部材36aは、裏面(図2図示右側の面)が従動平歯車・ブレーキ取付部材34の表面(図2図示左側の面)に取り付けられている。
【0030】
L型鋼部材36bは、水平片が垂直片の下端部に従動平歯車・ブレーキ取付部材34と反対側に垂直に突出するように一体的に取り付けられたL字板状とされている。
【0031】
L型鋼回転軸36cは、左端部が回転可能にL型鋼取付部材36aの右側面に取り付けられているとともに、右端部がL型鋼部材36bの垂直片の下端部に固定されている。
【0032】
ブレーキ開放レバー36dは、L型鋼部材36bの水平片の右側面に立設されている。
【0033】
鋼製バネ36eは、引張バネであり、一端部がL型鋼部材36bの垂直片の上端部に固定されているとともに、他端部が従動平歯車・ブレーキ取付部材34の右側面に固定されている。
【0034】
止め金36fは、L型鋼部材36bが鋼製バネ36eの付勢力によって図2図示時計回り(以下、「付勢回り」と称する。)に回転することを規制するためのものであり、L型鋼取付部材36aの右側面に取り付けられている。
すなわち、L型鋼部材36bは、鋼製バネ36eの付勢力で付勢回りに回転させられても、L型鋼部材36bの垂直片が止め金36fに当接して垂直になった状態で静止しそれ以上は回転しないようにされている。
【0035】
これにより、通常時には、L型鋼部材36bが鋼製バネ36eによって付勢されて従動平歯車35と当接した状態となるため、従動平歯車35が反引上げ回りに回転できないようにされている。
また、L型鋼部材36bが止め金36fに当接した状態で従動平歯車35を引上げ回りに回転させると、L型鋼部材36bが従動平歯車35によって押されて鋼製バネ36eの付勢力に抗してL型鋼回転軸36cを回転中心として反付勢回り(図2図示反時計回り)に回転して従動平歯車35から離れるため、従動平歯車35が引上げ回りに回転できるようにされている。
さらに、図2に矢印で示すように、作業員Aがブレーキ開放レバー36dを手で持って押し下げると、鋼製バネ36eが伸び、L型鋼部材36bが鋼製バネ36eの付勢力に抗して反付勢回りに回転して、熊手20の重さで従動平歯車35が反引上げ回りに回転することにより、熊手20が自重(レーキ21の重さ)で降下するようにされている。
【0036】
カバー取付部材37は、図1に示すように、従動平歯車・ブレーキ取付部材34よりも正面側寄りに台車31の本体の上面に取り付けられている。
また、カバー取付部材37は、台車31の本体の左側面側に位置するように取り付けられている。
【0037】
カバー取付部材37の上端部には、脱落防止カバー40を蝶ボルト41によってカバー取付部材37の上端部に角度調整可能に取り付けられるようにするために、蝶ボルト41と螺合するネジ穴が左側面から右側面まで形成されている(図3(a)参照)。
【0038】
脱落防止カバー40は、図3(b)に示すように裏面に窓が開けられた筒状であるとともに、同図(d)に示すように左側面側に長手方向に沿って並設された2個の蝶番43で開閉可能に連結された二つ割り構造とされている。
また、脱落防止カバー40は、同図(a),(c)に示すように右側面側に長手方向に沿って並設された2個のパッチン錠42を開錠すれば開けられるとともに2個のパッチン錠42を施錠すれば閉じたままにできるようにされている。
【0039】
次に、除塵機10の使用方法について説明する。
作業員Aは、引上げ機構30を作業位置にセットしたのち、台車30のロック付キャスター31aをロックするとともに、転倒防止用ワイヤー38の他端部を転落防止用手摺50に取り付ける。
【0040】
その後、作業員Aは、2個のパッチン錠42を開錠して脱落防止カバー40を開け、ラックピン22aが従動平歯車35と噛合するように熊手20のラック棒22の一部分を脱落防止カバー40内に入れたのち、脱落防止カバー40を閉じ2個のパッチン錠42を施錠して、熊手20を脱落防止カバー40に取り付ける。
【0041】
その後、作業員Aは、蝶ボルト41を少し緩めて、熊手20がスクリーン120(図4参照)と略平行になるように角度調整したのち、蝶ボルト41を強く締めて熊手20を引上げ機構30に固定する。
【0042】
その後、作業員Aは、ブレーキ開放レバー36dを押し下げてL型鋼部材36bを従動平歯車35から離すことによりロック付ブレーキ36を開放したのち、レーキ21がスクリーン120の下端部付近までくるように熊手20を自重で落下させる。
【0043】
その後、作業員Aは、ブレーキ開放レバー36dを引き上げてL型鋼部材36bを従動平歯車35と当接させたのち、駆動平歯車33の手動ハンドル33aを回して従動平歯車35を引上げ回りに回転させて熊手20を引き上げていくことにより、スクリーン120に堆積している塵芥を掻き揚げていく。
このとき、作業員Aが誤って熊手20から手を離してもロック付ブレーキ36によって従動平歯車35の逆回転を防止できるため、熊手20の落下を防止できる。
【0044】
その後、作業員Aは、この作業位置でのスクリーン除塵作業が終了すると、台車30のロック付キャスター31aのロックを解除したのち、台車31、転倒防止用ワイヤー38およびチルホール39を移動させて、引上げ機構30を次の作業位置にセットする。
【0045】
その後、作業員Aは、同様の手順を繰り返すことにより、スクリーン除塵作業を行う。
【0046】
スクリーン除塵作業が完了すると、作業員Aは、2個のパッチン錠42を開錠して脱落防止カバー40を開けて熊手20を脱落防止カバー40から取り外したのち、脱落防止カバー40を閉じて2個のパッチン錠42を施錠する。
【0047】
その後、作業員Aは、転倒防止用ワイヤー38をチルホール39および転落防止用手摺50から取り外したのち、熊手20および引上げ機構30を持ち運んで、除塵機10をスクリーン除塵作業場所から撤去する。
【符号の説明】
【0048】
10 除塵機
20 熊手
21 レーキ
22ラック棒
22a ラックピン
30 引上げ機構
31 台車
31a ロック付キャスター
31b ワイヤー取付金具
32 駆動平歯車取付部材
33 駆動平歯車
33a 手動ハンドル
34 従動平歯車・ブレーキ取付部材
35 従動平歯車
36 ロック付ブレーキ
36a L型鋼取付部材
36b L型鋼部材
36c L型鋼回転軸
36d ブレーキ開放レバー
36e 鋼製バネ
36f 止め金
37 カバー取付部材
38 転倒防止用ワイヤー
39 チルホール
40 脱落防止カバー
41 蝶ボルト
42 パッチン錠
43 蝶番
50 転落防止用手摺
110 熊手
111 レーキ
112 操作棒
120 スクリーン
A 作業員
図1
図2
図3
図4