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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 5/30 20060101AFI20221215BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20221215BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20221215BHJP
   G06K 7/14 20060101ALI20221215BHJP
   B41J 3/01 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B41J5/30 C
G06F3/12 304
G06F3/12 331
G06K19/06 028
G06K7/14 013
B41J3/01
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018180294
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020049740
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中 敬之
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-316857(JP,A)
【文献】特開平11-283126(JP,A)
【文献】特開2001-005905(JP,A)
【文献】特開2002-352182(JP,A)
【文献】特開2017-040991(JP,A)
【文献】特開2017-154345(JP,A)
【文献】米国特許第09171193(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 5/30
G06F 3/12
G06K 19/06
G06K 7/14
B41J 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印字媒体を搬送させるための搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に対し印字を行う印字手段と、
バーコードリーダへの接続ケーブルが着脱される着脱部と、
前記搬送手段及び前記印字手段を制御する制御手段と、
前記バーコードリーダにおける所定の設定情報を記憶した記憶手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記搬送手段及び前記印字手段を制御し、記憶された前記設定情報を表す設定バーコードが形成された第1バーコード印刷物を作成する第1バーコード印刷物作成処理;
作成された前記第1バーコード印刷物の前記設定バーコードを読み取って前記設定情報に対応した設定がなされた状態の前記バーコードリーダからの、任意のバーコードの読み取り結果に対応したバーコード情報を取得するバーコード情報取得処理;
取得した前記バーコード情報に応じて前記搬送手段及び前記印字手段を制御し、対応する印字オブジェクトが形成されたオブジェクト印刷物を作成するオブジェクト印刷物作成処理;
を実行し、
前記設定情報は、
前記バーコードリーダから前記制御手段への通信に係わる複数の通信設定項目を含み、
前記第1バーコード印刷物作成処理では、
1つの前記通信設定項目に対応した1つの前記設定バーコードをそれぞれ形成した、複数の前記第1バーコード印刷物を所定の順番で順次作成し、
かつ、
各第1バーコード印刷物において、前記1つの設定バーコードに加え、次の順番の前記第1バーコード印刷物の作成開始を指示するための指示バーコードが形成される
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
前記制御手段は、さらに、
前記着脱部に装着された前記接続ケーブルを介し前記バーコードリーダが接続されたことを契機に前記搬送手段及び前記印字手段を制御し、当該バーコードリーダにおける設定状態を確認するための確認バーコードが形成された第2バーコード印刷物を作成する第2バーコード印刷物作成処理;
作成された前記第2バーコード印刷物の前記確認バーコードの読み取り結果に対応した、前記バーコードリーダからのバーコード読み取り信号を受信するバーコード読み取り信号受信処理;
受信された前記バーコード読み取り信号の内容に基づき、前記バーコードリーダに対する新たな設定実行の要否を判定する設定判定処理;
を実行し、
前記第1バーコード印刷物作成処理は、
前記設定判定処理で前記新たな設定実行が必要と判定された場合に、実行される
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の印刷装置において、
前記複数の通信設定項目は、
プリフィックス設定、及び、サフィックス設定、のうち少なくとも一方を含む
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の印刷装置において、
前記設定情報は、
前記バーコードリーダにおけるバーコード読み取り性能に係わる読み取り設定項目を含み、
前記第1バーコード印刷物作成処理では、
前記読み取り設定項目に対応した前記設定バーコードを形成した、前記第1バーコード印刷物を作成する
ことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印字媒体に対し印字を形成する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置は、印字手段によって、被印字媒体に対し印字を形成することで、印刷物を形成する。例えば、特許文献1等に記載の印刷装置は、バーコードリーダが接続され、そのバーコードリーダが読み取ったバーコード情報を取得することにより、そのバーコード情報に対応する印字を、被印字媒体に形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-154345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1等に記載の印刷装置では、新たに接続されたバーコードリーダとの間でバーコード情報等の通信を行うために、そのバーコードリーダに対する設定作業をユーザが行う必要があった。その設定作業は煩雑でユーザの操作労力が大きかった。
【0005】
本発明の目的は、新たに接続されるバーコードリーダに対する設定作業をより容易に行うことが可能な、印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、被印字媒体を搬送させるための搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に対し印字を行う印字手段と、バーコードリーダへの接続ケーブルが着脱される着脱部と、前記搬送手段及び前記印字手段を制御する制御手段と、前記バーコードリーダにおける所定の設定情報を記憶した記憶手段と、を有し、前記制御手段は、前記搬送手段及び前記印字手段を制御し、記憶された前記設定情報を表す設定バーコードが形成された第1バーコード印刷物を作成する第1バーコード印刷物作成処理、作成された前記第1バーコード印刷物の前記設定バーコードを読み取って前記設定情報に対応した設定がなされた状態の前記バーコードリーダからの、任意のバーコードの読み取り結果に対応したバーコード情報を取得するバーコード情報取得処理、及び、取得した前記バーコード情報に応じて前記搬送手段及び前記印字手段を制御し、対応する印字オブジェクトが形成されたオブジェクト印刷物を作成するオブジェクト印刷物作成処理、を実行することを特徴とする。
【0007】
本願発明においては、印刷装置に備えられた着脱部に装着される接続ケーブルによって、印刷装置とバーコードリーダとが接続される。そして、バーコードリーダによるバーコードの読み取り結果に応じて、印刷装置により印刷物が作成される。この構成において、例えばバーコードリーダが故障して交換したり、新しいバーコードリーダに買い換えたり、等の際には、新たに接続されるバーコードリーダにおいて、元のバーコードリーダと同等に使用可能とするための適宜の設定を行う必要がある。
【0008】
本願発明においては、その必要な設定に対応した所定の設定情報が記憶手段に記憶されている。そして、制御手段が実行する第1バーコード印刷物作成処理において、上記記憶された設定情報を表す設定バーコードが被印字媒体に形成され、バーコード印刷物(第1バーコード印刷物)が作成される。
【0009】
これにより、その作成された第1バーコード印刷物の設定バーコードに対し上記新たなバーコードリーダが読み取りを行うことで、当該バーコードリーダにおける各種設定を上記設定情報に対応した内容に変更することができる。この結果、当該設定がなされた新たなバーコードリーダを、元のバーコードリーダと同等に使用することができる。
【0010】
すなわち、制御手段が実行するバーコード情報取得処理において、新たなバーコードリーダによる任意のバーコードの読み取り結果に対応したバーコード情報が取得される。その後、オブジェクト印刷物作成処理において、そのバーコード情報に応じた印字オブジェクトを備えた、オブジェクト印刷物が作成される。
【0011】
以上のようにして、本願発明においては、新たに印刷装置に接続されるバーコードリーダにおける各種設定を、印刷装置が作成するバーコード印刷物(第1バーコード印刷物)に表記された設定バーコードへの読み取りを行うだけで、迅速かつ簡便に行うことができる。この結果、例えば、一覧表記された多数のバーコードの中から必要なバーコードを適宜に選択した後、バーコードリーダでその選択されたバーコードを所定の順序で読み取る必要がある従来手法に比べ、ユーザにとっての労力負担を低減し、利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、新たに接続されるバーコードリーダに対する設定作業をより容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るラベルプリンタとバーコードリーダとを表す説明図である。
図2】ラベルプリンタの筐体の内部を表す説明図である。
図3】ラベルプリンタの筐体の内部を表す説明図である。
図4】ラベルプリンタの機能構成を表す説明図である。
図5】ラベルプリンタが形成した印字ラベルの一例を表す説明図である。
図6】ラベルプリンタが形成した印字ラベルの一例を表す説明図である。
図7】バーコードリーダを使用したラベルプリンタによる印字動作を表す説明図である。
図8】通常の手法による、バーコードリーダに対する初期設定を表す説明図である。
図9】通常の手法による、バーコードリーダに対する初期設定を表す説明図である。
図10】通常の手法による、バーコードリーダに対する初期設定を表す説明図である。
図11】通常の手法による、バーコードリーダに対する初期設定を表す説明図である。
図12】ラベルプリンタにおけるバーコードリーダに対する初期設定を表す説明図である。
図13】ラベルプリンタにおけるバーコードリーダに対する初期設定を表す説明図である。
図14】ラベルプリンタにおけるバーコードリーダに対する初期設定を表す説明図である。
図15】第1の変形例に係るラベルプリンタにおけるバーコードリーダに対する初期設定を表す説明図である。
図16】第2の変形例に係るラベルプリンタにおけるバーコードリーダに対する初期設定を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面では、実質的に同一の機能を有する構成要素は、原則として同一の符号で表す。そして、これらの構成要素についての重複説明は、適宜省略する。
【0015】
<実施形態の構成概要>
図1は、本発明の一実施形態に係るラベルプリンタとバーコードリーダとを表す説明図である。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係るラベルプリンタ100(印刷装置の一例に相当)は、筐体101を有し、筐体101の上面部には、開閉可能(又は着脱可能としてもよい)に設けられた開閉蓋102が設けられている。筐体101の前面部には、テープ排出口104が設けられている。テープ排出口104は、筐体101内で作成された印字済みラベル用テープ423(後述の図3参照)を筐体101外へ排出するためのものである。
【0017】
また、ラベルプリンタ100は、バーコードリーダBRへのUSBケーブル9(接続ケーブルの一例に相当)が着脱されるUSBコネクタ103(着脱部103の一例に相当)を有する。バーコードリーダBRは、USBケーブル9以外の規格の有線により接続されてもよい。
【0018】
バーコードリーダBRは、ラベルプリンタ100で使用可能な複数のカートリッジ410の保管場所(例えば倉庫、物置等)に設けられ、各カートリッジ410に設けられたバーコードBCから光学的に情報読み取りを行う。バーコードリーダBRによって読み取られた情報(各カートリッジ410の識別情報であるカートリッジIDやカートリッジの種類を表す種類情報など)は、上記USBケーブル9を介してラベルプリンタ100へ出力される。
【0019】
図2及び図3は、本実施形態に係るラベルプリンタの筐体の内部を表す説明図である。図2では、ラベルプリンタ100の開閉蓋102を開いた状態で、筐体101の内部のカートリッジホルダ427及びそれに装着させるカートリッジ410の外観構成を、斜視図として表している。この図2では、図示の煩雑を避けるため上方に開いた状態の開閉蓋102の図示は省略している。図3では、カートリッジ410を装着した状態のカートリッジホルダ427の周辺部分を、カートリッジ410とともに表している。
【0020】
図2及び図3に示すように、ラベルプリンタ100の筐体101内部には、カートリッジ410を着脱可能なカートリッジホルダ427と、印字ヘッド419(印字手段の一例に相当)と、テープ送りローラ駆動軸430(搬送手段の一例に相当)と、リボン巻取りローラ駆動軸431とが設けられている。カートリッジ410は、この例では、全体が略直方体形状に形成された箱体であり、その一部には表裏両面を貫通するヘッド挿通開口439が形成されている。
【0021】
カートリッジ410は、基材テープ416を巻回した基材テープロール417と、カバーフィルム411(被印字媒体の一例に相当)を巻回したカバーフィルムロール412と、印字用のインクリボン413(但し被印字媒体が感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール414と、印字後のインクリボン413を巻取るリボン巻取りローラ415と、テープ送りローラ418とを有している。
【0022】
基材テープロール417は、基材テープ用スプール417aの周りに、上記基材テープ416を巻回している。
【0023】
基材テープ416は、複数層(この例では4層)の積層構造を備えている(図3中部分拡大図参照)。すなわち、内側に巻かれる側(部分拡大図中右側)よりその反対側(部分拡大図中左側)へ向かって、適宜の粘着剤からなりカバーフィルム411を貼り合わせるための粘着剤層416a、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)等からなるテープ基材層416b、適宜の粘着剤からなる粘着剤層416c、剥離紙416dの順序で積層され構成されている。
【0024】
剥離紙416dは、最終的に完成した印字ラベル(後述の図5図6等参照)が所定の物品等の貼り付け対象物に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着剤層416cにより当該貼り付け対象物に接着できるようにしたものである。
【0025】
カバーフィルムロール412は、カバーフィルム用スプール412aの周りに、この例では基材テープ416と略同じ幅であるカバーフィルム411を巻回している。カバーフィルム411は、上述の通り、被印字媒体の一例で、例えば、フィルム、シート、テープ等で構成される。
【0026】
リボン供給側ロール414は、リボン供給側スプール414aの周りに、上記インクリボン413を巻回している。
【0027】
リボン巻取りローラ415は、リボン巻取りスプール415aを備えており、カートリッジホルダ427側のリボン巻取りローラ駆動軸431により駆動されることで、印字済み(使用済み)のインクリボン413を巻取り、リボン巻取りスプール415aに巻回する。
【0028】
テープ送りローラ418は、カートリッジホルダ427側のテープ送りローラ駆動軸430により駆動されることで、基材テープ416とカバーフィルム411とを押圧し接着させ印字済みラベル用テープ423としつつ、図3中矢印Tで示す方向にテープ送りを行う。
【0029】
なお、リボン巻取りローラ415及びテープ送りローラ418は、それぞれカートリッジ410外に設けた例えばパルスモータであるテープ送りモータ433(後述の図4参照)の駆動力が図示しないギヤ機構を介しリボン巻取りローラ駆動軸431及びテープ送りローラ駆動軸430に伝達されることによって連動して回転駆動される。
【0030】
一方、カートリッジホルダ427は、印字ヘッド419と、リボン巻取りローラ駆動軸431と、テープ送りローラ駆動軸430と、ローラホルダ422とを有している。
【0031】
印字ヘッド419は、多数の発熱素子を備えており、カバーフィルムロール412から繰り出されて搬送されるカバーフィルム411に対し、印字形成を行う。
【0032】
テープ送りローラ駆動軸430は、カートリッジホルダ427に装着されたカートリッジ410のカバーフィルムロール412から繰り出される(供給される)カバーフィルム411と、基材テープロール417から繰り出される基材テープ416とを、テープ送りローラ418を駆動させることにより搬送する。
【0033】
ローラホルダ422は、支持軸429により回動可能に枢支され、切換機構により印字位置とリリース位置に切換可能とされている。このローラホルダ422には、プラテンローラ420及びテープ圧接ローラ421が回転可能に配設されており、ローラホルダ422が印字位置に切り換えられたときに、それらプラテンローラ420及びテープ圧接ローラ421が印字ヘッド419及びテープ送りローラ418に対し圧着されるようになっている。
【0034】
さらに、カートリッジホルダ427には、カートリッジ410の排出口(図示せず)に隣接してカッタ428が配設されている。このカッタ428は、ソレノイド435(後述の図4参照)が励磁されることにより作動し、印字済みラベル用テープ423を厚さ方向に全切断し、後述の印字ラベルLを生成する(後述する図5参照)。
【0035】
上記構成において、カートリッジ410がカートリッジホルダ427に装着された後、テープ送りモータ433(後述の図4参照)の駆動力によってリボン巻取りローラ駆動軸431及びテープ送りローラ駆動軸430がそれぞれ同期して回転駆動される。テープ送りローラ駆動軸430の駆動に伴いテープ送りローラ418、プラテンローラ420、及びテープ圧接ローラ421が回転し、基材テープロール417から基材テープ416が繰り出され、上述のようにテープ送りローラ418へ供給される。一方、カバーフィルムロール412からはカバーフィルム411が繰り出されるとともに、印字ヘッド駆動回路432(後述の図5参照)により印字ヘッド419の複数の発熱素子が通電される。このとき、インクリボン413が、印字ヘッド419に押圧されることで当該カバーフィルム411の裏面に接触させられる。この結果、カバーフィルム411の裏面の所定の印字領域に、所望の印字(鏡像印字)がされる。そして、基材テープ416と印字が終了したカバーフィルム411とがテープ送りローラ418及びテープ圧接ローラ421により接着されて一体化されて印字済みラベル用テープ423として形成され、カートリッジ410外へと搬出される。そして、カッタ428によって印字済みラベル用テープ423が切断され、所望の印字がされた印字ラベルL(印刷物の一例に相当)が生成される。
【0036】
<実施形態の機能構成>
図4は、本実施形態に係るラベルプリンタの機能構成を表す説明図である。図4に示すように、ラベルプリンタ100は、制御基板(図示せず)上に、上記のテープ送りローラ駆動軸430及び印字ヘッド419等を制御する制御回路440(制御手段の一例に相当)を有する。
【0037】
制御回路440には、CPU444が設けられており、このCPU444に、データバス442を介し、入出力インターフェース441、ROM446、メモリ447(記憶手段の一例に相当)、RAM448、及び通信用インターフェース443Hが接続されている。通信用インターフェース443Hは、USBコネクタ103に装着されたUSBケーブル9を介しバーコードリーダBRに接続されている。
【0038】
ROM446には、制御上必要な各種のプログラム(後述の図12に示す制御手順を実行する印刷処理プログラムを含む)が格納されている。CPU444は、このようなROM446に記憶されている各種プログラムに基づいて各種の演算を行う。RAM448は、CPU444により演算された各種の演算結果等を一時的に記憶する。メモリ447は、制御上必要な各種の設定情報を記憶する。特に本実施形態に係るメモリ447は、バーコードリーダBRにおける所定の設定情報を記憶する。
【0039】
入出力インターフェース441には、印字ヘッド419を駆動するための印字ヘッド駆動回路432と、テープ送りモータ駆動回路434と、ソレノイド435を駆動するソレノイド駆動回路436と、が接続されている。
【0040】
テープ送りモータ駆動回路434は、テープ送りモータ433を駆動することにより、前述のテープ送りローラ駆動軸430及びリボン巻取りローラ駆動軸431を駆動し、基材テープ416、カバーフィルム411、及び印字済みラベル用テープ423の搬送を行う。
【0041】
ソレノイド駆動回路436は、カッタ428を駆動して切断動作を行わせるソレノイド435を励磁する。
【0042】
<印字ラベルの例>
図5及び図6は、本実施形態に係るラベルプリンタが形成した印字ラベルの一例を表す説明図である。上記のようにしてラベルプリンタ100により印字済みラベル用テープ423の切断が完了し形成された印字ラベルLの一例を、図5及び図6により説明する。
【0043】
図5及び図6において、印字ラベルLは、前述したように図3に示した4層構造にカバーフィルム411が加わった5層構造となっている。すなわち、カバーフィルム411側(図6中上側)よりその反対側(図6中下側)へ向かって、カバーフィルム411、粘着剤層416a、テープ基材層416b、粘着剤層416c、剥離紙416dで5層が構成されている。この例では、カバーフィルム103に備えられる印字領域S(詳細にはその裏面)に、所望の印字R(この例では「ABC」の文字。印字オブジェクトの一例に相当)が印刷されている。
【0044】
<バーコードリーダ交換時等の状況>
以上、本発明の実施形態に係るラベルプリンタの構成概要及び機能構成について説明した。ここで、本実施形態に係るラベルプリンタの作用効果について理解を容易にするために、図7図11を使用して、バーコードリーダ交換時等の状況について説明する。
【0045】
図7は、バーコードリーダを使用したラベルプリンタによる印字動作を表す説明図である。図7の(a)及び(b)は、バーコードリーダBR1のスキャンによって印字ラベルLが作成される挙動を表している。一方、図7の(c)及び(d)は、バーコードリーダBR1が交換され、新たなバーコードリーダBR2の接続時に起こりうる不具合を表している。
【0046】
図7(a)に示すように、ラベルプリンタ100とすでに接続が確立しているバーコードリーダBR1により、例えばバーコードラベルLbcに印字された任意のバーコードやLCD等の表示画面に表示されたバーコード等を読み取ると、その読み取られたバーコード情報(テキストや画像等の印刷指令の一例に相当)は、ラベルプリンタ100に送信される。すると、図7(b)に示すように、ラベルプリンタ100は、その送信されたバーコード情報に応じて、テキストや画像等の印字オブジェクトをカバーフィルム411に印字し、印字ラベルLを作成する。図7(a)では、バーコード情報として、バーコードラベルLbcには、テキストデータ「ABC」が印字されており、当該テキストデータを受け取ったラベルプリンタ100が、「ABC」というテキストを形成した印字ラベルLを作成した例を示している。
【0047】
図7(a)及び(b)におけるバーコード情報を送受信では、バーコードリーダBR1とラベルプリンタ100とでは、どのような形式でバーコード情報の送受信を行うか等を定めた同一の通信形式が予め決定されている。図7(a)に示すように、ここでは、通信形式として、データの戦闘にプリフィックス「$」を必ず添付して、「プリフィックス+データ」でバーコード情報の送受信を行うことが相互に決定されている例を示している。したがって、バーコードリーダBRは、読み取ったバーコード情報であるテキストデータ「ABC」に対して、上記通信形式に応じてプリフィックスを添付した「$ABC」というデータを、ラベルプリンタ100に送信している。一方で、ラベルプリンタ100は、「$ABC」というデータを受け取ると、上記通信形式に応じてプリフィックスを解読することでテキストデータ「ABC」を復元し、「ABC」というテキストを形成した印字ラベルLを作成している。
【0048】
ここで、例えば、すでに接続が確立しているバーコードリーダBR1が故障した場合、又は、新製品が登場した場合等、新しいバーコードリーダBR2に交換されることがあり得る。
【0049】
図7(c)に示すように、ラベルプリンタ100は、通信形式としてプリフィックス「$」をバーコード情報の先頭に添付することが設定されている一方で、仮に、新しいバーコードリーダBR2は、通信形式としてプリフィックス「¥」をバーコード情報の先頭に添付することが設定されているものとする。すると、図7(c)に示すように、バーコードリーダBRは、「¥ABC」というデータを送信するが、図7(d)に示すように、ラベルプリンタ100は、その情報を解釈することができず、「ABC」というテキストを形成した印字ラベルLを作成することができない。
【0050】
このようなバーコードリーダBRの新規接続時や交換時に発生し得る不具合を解決するためには、新しいバーコードリーダBR2に対して、ラベルプリンタ100に設定されている通信形式と同様の通信形式を、設定する必要がある。この通信形式を確立する設定を行う処理を、ハンドシェーク処理や初期設定処理と呼ぶ。
【0051】
図8図11は、従来技術におけるバーコードリーダに対する初期設定を表す説明図である。従来技術におけるバーコードリーダの場合、初期設定処理は、予め用意された設定バーコードを新しいバーコードリーダに読み取らせることで行われていた。図8図11には、この予め用意された設定バーコードとその説明書き等を含む複数の通信設定項目の一例を示している。
【0052】
図8は、プリフィックスやサフィックスを設定するための設定表の例である。なお、ここでは、プリフィックスは、データの前に添付される情報を意味し、サフィックスは、データの後に添付される情報を意味する。バーコードBC1は、プリフィックスを指定することを表し、バーコードBC2は、サフィックスを指定することを表す。図9は、数値を入力するための換算表の例である。バーコードBC10は「0」を表し、バーコードBC11は「1」を表し、バーコードBC12は「2」を表し、BC13は「3」を表し、バーコードBC14は「4」を表し、バーコードBC15は「5」を表し、バーコードBC16は「6」を表し、バーコードBC17は「7」を表し、BC18は「8」を表し、バーコードBC19は「4」を表す。図10は、通信形式の種類を選択するための設定表の例である。通信形式の種類として、バーコードリーダBC21は「データのみ」を表し、バーコードBC22は「データ+サフィックス」を表し、バーコードBC23は「プリフィックス+データ」を表し、バーコード24は「プリフィックス+データ+サフィックス」を表す。図11は、プリフィックス又はサフィックスとして指定する情報と、その情報を指定するための設定値の換算表を意味する。つまり、例えば、プリフィックス又はサフィックスとしての「$」は設定値「1036」に対応する。
【0053】
これらの設定用バーコードとその説明書き等は、一例に過ぎず、その他多数の設定情報が存在する。そして、これらの大量の設定用バーコード等は、例えば取扱説明書やマニュアル等において、厚みのある冊子の各ページや大きなシート状の様々な箇所に散りばめられて記載される。したがって、新しいバーコードリーダBR2に対して初期設定処理を行う場合、従来技術では、ユーザは、マニュアル等を読み解き、各所に散りばめられた設定表等から必要なバーコードを選択しつつ決められた順番を間違えぬように最新の注意を払いながら、バーコードリーダBR2に複数のバーコードを読ませていく必要があった。したがって、ユーザは、初期設定処理において、非常に煩雑で労力負担の大きい作業を行うことを強いられていた。
【0054】
例えば、図7(c)及び(d)に示す不具合を解消するために、図7(a)及び(b)と同様のプリフィックス「$」を新しいバーコードリーダBR2に設定する必要がある。この場合、ユーザは、まずマニュアル等読み解きながら、プリフィックスを設定するために、バーコードリーダBR2に図8のバーコードBC1(プリフィックス指定)を読み読み取らせる。次に、ユーザは、図11をマニュアル中から探し出し、「$」が「1036」であることを特定する。そして、ユーザは、図9の換算表を使用して、「1036」を入力すべく、バーコードリーダBR2に、バーコードBC11、バーコードBC10、バーコードBC13及びバーコードBC16を順番を間違えないように細心の注意を払って読み取らせる。最後に、図10の設定表を使用して、ユーザは、バーコードBC23(「プリフィックス+データ」の通信形式を指定)を読み込ませる。従来技術では、これらの一連の手順により、初期設定処理を行う必要があった。
【0055】
<実施形態の要部>
これに対して、本発明の実施形態に係るラベルプリンタ100は、バーコードリーダBR1の設定情報をメモリ447に予め記憶しておき、新しいバーコードリーダBR2が接続されたことを検出すると、設定情報に応じた設定用バーコードを印刷する(なお、上記設定情報は、ラベルプリンタ100がバーコードリーダBR1から取得してメモリ447に記憶するようにしてもよい)。したがって、ユーザは、ラベルプリンタ100により印刷される設定用バーコードを、新しいバーコードリーダBR2に順次スキャンさせて読み取らせるだけで、初期設定を行うことが可能である。よって、スキャンさせるバーコードを間違えたり、順番を取り違えてスキャンさせることなく、最後まで確実に正しいバーコードを正しい順番でスキャンさせることができ、簡単に初期設定を行うことが可能である。以下、この本発明の実施形態に係るラベルプリンタ100について、図12図14を参照しつつ詳細に説明する。
【0056】
図12図14は、本実施形態に係るラベルプリンタにおけるバーコードリーダに対する初期設定を表す説明図である。それぞれ一例として、図12は、初期設定等の処理フローを表し、図13は、当該処理フローの概念を表し、図14は、本実施形態の初期設定時に印字される設定バーコードラベルを表す。
【0057】
図12に処理フローを示すように、ラベルプリンタ100とバーコードリーダBR(例えば新しいバーコードリーダBR2)との初期設定及びそれに続く印刷ラベル作成処理において、ラベルプリンタ100の制御回路440は、確認バーコードラベル作成処理SL10と、バーコード読み取り信号受信処理SL30と、設定判定処理SL40と、設定バーコードラベル作成処理SL50と、バーコード情報取得処理SL90と、印字ラベル作成処理SL100とを実行する。一方で、バーコードリーダBRは、確認バーコードラベル読み取り処理SR20と、設定バーコードラベル読み取り処理SL60と、読み取り結果に応じた設定変更処理SR70と、任意のオブジェクトバーコード読み取り処理SR80とを実行する。
【0058】
<実施形態による設定処理等>
本実施形態に係るラベルプリンタ100は、上述の通り、メモリ447に、バーコードリーダBRにおける所定の設定情報を記憶する。所定の設定情報としては、交換前のバーコードリーダBR1との間ですでに初期設定済みの設定情報と、ここで説明する一連の処理に必要な、確認バーコードラベル及び設定バーコードラベル等に印字される設定用の印字オブジェクト(確認バーコード及び設定バーコード)等とが含まれる。なお、本実施形態ではメモリ447に設定された設定情報として、『データの先頭にプリフィックス「$」を必ず添付し「プリフィックス+データ」でデータを送信する』通信形式が記憶される。
【0059】
図12及び図13(a)に示すように、ラベルプリンタ100に新しいバーコードリーダBR(例えばバーコードリーダBR2)がUSBケーブル9とUSBコネクタ103を介して装着されると、まず接続状態が確立する。すると、確認バーコードラベル作成処理SL10が処理される。
【0060】
確認バーコードラベル作成処理SL10(第2バーコード印刷物作成処理の一例に相当)では、図13(b)に示すように、制御回路440が、USBコネクタに装着されたUSBケーブル9を介しバーコードリーダBRが接続されたことを契機に、テープ送りローラ駆動軸530及び印字ヘッド419等を制御し、予めメモリ447に記憶された確認バーコードが形成された確認バーコードラベルLk(第2バーコード印刷物の一例に相当)を作成する。確認バーコードは、バーコードリーダBRにおける設定状態を確認するための印字オブジェクトであり、通信データがラベルプリンタ100で解釈可能かどうか確認するために用いされる。本実施形態では、図13(b)に示すように、確認バーコードは、例えばテキストデータである「AAA」を意味するものとする。確認バーコードラベルLkが作成された後、確認バーコードラベル読み取り処理SR20が実行される。
【0061】
確認バーコードラベル読み取り処理SR20では、図13(c)に示すように、ユーザが、バーコードリーダBRを使用して、確認バーコードラベルLkの確認バーコードを読み取る。バーコードリーダBRは、バーコード読み取り信号を、現在設定されている通信形式により、ラベルプリンタ100に送信する。本実施形態では、図13(c)に示すように、バーコードリーダBRには、通信形式の種類として「プリフィックス+データ」が設定され、プリフィックスとして「¥」が設定されている場合を例示している。確認バーコードラベルLkの読み取りが行われた後、バーコード読み取り信号受信処理SL30が実行される。
【0062】
バーコード読み取り信号受信処理SL30では、制御回路440が、作成され確認バーコードラベルLkの確認バーコードの読み取り結果に対応した、バーコードリーダBRからのバーコード読み取り信号を受信する。その後、設定判定処理SL40が実行される。
【0063】
設定判定処理SL40では、制御回路440が、受信されたバーコード読み取り信号の内容に基づき、バーコードリーダBRに対する新たな設定実行の要否を判定する。例えば、バーコードリーダBRの設定が正しい場合、制御回路440は、バーコードリーダBRから送信されたバーコード読み取り信号を正常に解釈(解読、復号等)することができ、確認バーコードラベル作成処理SL10で作成させた確認バーコードに表示させた印字オブジェクトと一致することが確認できる。したがって、この場合、制御回路440は、バーコードリーダBRに対する新たな設定実行は不要であると判定して、後続のバーコード情報取得処理SL90が処理させる。一方で、バーコードリーダBRの設定が正しくない場合、制御回路440は、バーコード読み取り信号を正常に解釈できず、印字オブジェクトとの一致を確認できない。したがって、この場合、制御回路440は、新たな設定実行が必要であると判定して、設定バーコードラベル作成処理SL50を実行する。
【0064】
なお、確認バーコードラベル作成処理SL10~設定判定処理SL40は、新たに接続が確立されたバーコードリーダBRに対して初期設定が必要か否かの判定処理のために実行される。したがって、初期設定が必要なことが明らかな場合、例えば、新しいバーコードリーダBRとの間に接続が確立されたときや、ユーザにより所定の操作がなされたときなどに、制御回路440は、直ちに以下の設定バーコードラベル作成処理SL50を実行してもよい。
【0065】
設定バーコードラベル作成処理SL50(第1バーコード印刷物作成処理の一例に相当)では、図13(d)に示すように、制御回路440が、テープ送りローラ駆動軸430及び印字ヘッド419等を制御し、予めメモリ447に記憶された設定バーコードが形成された設定バーコードラベルLs(第1バーコード印刷物の一例に相当)を作成する。設定バーコードは、バーコードリーダBRに対する設定情報を表す印字オブジェクトである。
【0066】
本実施形態に係る設定情報は、バーコードリーダBRから制御回路440への通信に係わる複数の通信設定項目を含む。そして、本実施形態に係る設定バーコードラベルLsは、1枚の中に、これら複数の通信設定項目それぞれに対応した複数の設定バーコードを含む。本実施形態に係る設定バーコードラベルLsの一例を、図14に示す。
【0067】
図14に示すように、本実施形態に係る設定バーコードラベルLsは、図7等を使用して説明したバーコードリーダBR2に対する初期設定で読み込ませた複数のバーコードBCが、読み込まれるべき順番に並んで印刷されている。つまり、設定バーコードラベルLsには、バーコードBC1,バーコードBC11,バーコードBC10,バーコードBC13,バーコードBC16及びバーコードBC23が順番に配置されている。なお、図14では、各バーコードが並列に配置されている場合を例示しているが、各バーコードの配置は特に限定されるものではなく、例えば、直列に配置されてもよい。
【0068】
バーコードBC1は、プリフィックスを指定することを表す。バーコードBC11,バーコードBC10,バーコードBC13及びバーコードBC16は、それぞれ「1」、「0」、「3」及び「6」を表し、全体として「$」に対応する「1036」を表す。そして、バーコードBC23は、「プリフィックス+データ」の通信形式を指定することを表す。このように、本実施形態に係る設定バーコードラベルLsは、複数の通信設定項目として、プリフィックス設定(バーコードBC1)及びサフィックス設定(バーコードBC2)のうち少なくとも一方を含む。設定バーコードラベルLsが作成された後、設定バーコードラベル読み取り処理SR60が実行される。
【0069】
設定バーコードラベル読み取り処理SR60では、図13(e)に示すように、ユーザが、バーコードリーダBRを使用して、設定バーコードラベルLsの複数の設定バーコードを順番に読み取る。設定バーコードラベルLsの読み取りが行われた後、読み取り結果に応じた設定変更処理SR70が実行される。
【0070】
読み取り結果に応じた設定変更処理SR70では、バーコードリーダBRが、設定バーコードラベル読み取り処理SR60で読み取った設定バーコード、つまり設定情報に従って、通信形式の初期設定を行う。図14に示す設定バーコードラベルLsの場合、バーコードリーダBRは、通信形式の種類として「プリフィックス+データ」を設定し、そのプリフィックスとして「$」を設定する。この初期設定処理が実行された後、任意のオブジェクバーコード読み取り処理SR80が実行される。なお、新しいバーコードリーダBRに対する初期設定処理は、この読み取り結果に応じた設定変更処理SR70で完了する。これ以降は、初期設定が完了したバーコードリーダBRを使用した任意のオブジェクトの印刷処理が実行される。
【0071】
任意のオブジェクトバーコード読み取り処理SR80では、図13(f)に示すように、ユーザが、バーコードリーダBRを使用して、任意の印字オブジェクトに対応するバーコードが作成されたバーコードラベルLbcを読み取る。印字オブジェクトとしては、例えば、テキストや画像などが使用される。本実施形態では、印字オブジェクトとしてテキストデータである「ABC」が使用される場合を例示している。任意のバーコードの読み取りが行われた後、バーコード情報取得処理SL90が実行される。
【0072】
バーコード情報取得処理SL90では、制御回路440が、任意のバーコードの読み取り結果に対応したバーコード情報を取得する。この際、バーコード情報は、作成された設定バーコードラベルLsの設定バーコードを読み取って設定情報に対応した設定がなされた状態のバーコードリーダBRから送信される。したがって、ラベルプリンタ100とバーコードリーダBRとは、同一の通信形式が設定されており、バーコードリーダBRからは、ラベルプリンタ100で解読可能なバーコード情報が送信され、それをラベルプリンタ100の制御回路440が受け取る。図13(f)では、バーコード情報「$ABC」が取得される例を示している。バーコード情報取得処理SL90が実行された後、印字ラベル作成処理SL100が実行される。
【0073】
印字ラベル作成処理SL100(オブジェクト印刷物作成処理の一例に相当)では、図13(g)に示すように、制御回路440が、取得したバーコード情報に応じて、テープ送りローラ駆動軸430及び印字ヘッド419等を制御し、対応する印字オブジェクト(本実施形態ではテキストデータ「ABC」)が形成された印字ラベルLを作成する。
【0074】
<実施形態による効果の例>
以上、本発明の実施形態に係るラベルプリンタ100等について説明した。本実施形態においては、ラベルプリンタ100に備えられたUSBコネクタ103に装着されるUSBケーブル9によって、ラベルプリンタ100とバーコードリーダBRとが接続される。そして、バーコードリーダBRによるバーコードBCの読み取り結果に応じて、ラベルプリンタ100により印字ラベルLが作成される。この構成において、例えばバーコードリーダBRが故障して交換したり、新しいバーコードリーダBRに買い換えたり、等の際には、新たに接続されるバーコードリーダBR2において、元のバーコードリーダBR1と同等に使用可能とするための適宜の設定を行う必要がある。本実施形態においては、その必要な設定に対応した所定の設定情報がメモリ447に記憶されている。そして、制御回路440が実行する設定バーコードラベル作成処理SL50において、上記記憶された設定情報を表す設定バーコードがカバーフィルム411に形成され、設定バーコードラベルLsが作成される。
【0075】
これにより、その作成された設定バーコードラベルLsの設定バーコードに対し上記新たなバーコードリーダBR(バーコードリーダBR2等)が読み取りを行うことで、当該バーコードリーダBRにおける各種設定を上記設定情報に対応した内容に変更することができる。なお、ラベルプリンタ100がLCD等の表示画面を備えている場合には、設定バーコードラベルLsの内容をその表示画面に表示させてもよい。その場合には、その表示内容に対しバーコードリーダBR2等により読み取りを行えば足りる。以上の結果、当該設定がなされた新たなバーコードリーダBR(バーコードリーダBR2等)を、元のバーコードリーダBR(バーコードリーダBR1等)と同等に使用することができる。
【0076】
すなわち、制御回路440が実行するバーコード情報取得処理SL90において、新たなバーコードリーダBRによる任意のバーコードBCの読み取り結果に対応したバーコード情報が取得される。その後、印字ラベル作成処理SL100において、そのバーコード情報に応じた印字オブジェクトを備えた、印字ラベルLが作成される。
【0077】
以上のようにして、本実施形態においては、新たにラベルプリンタ100に接続されるバーコードリーダBRにおける各種設定を、ラベルプリンタ100が作成する設定バーコードラベルLsに表記された設定バーコードへの読み取りを行うだけで、迅速かつ簡便に行うことができる。この結果、例えば、一覧表記された多数のバーコードの中から必要なバーコードを適宜に選択した後、バーコードリーダBRでその選択されたバーコードを所定の順序で読み取る必要がある従来手法に比べ、ユーザにとっての労力負担を低減し、利便性を向上することができる。
【0078】
また、本実施形態においては、確認バーコードラベル作成処理SL10、バーコード読み取り信号受信処理SL30及び設定判定処理SL40が制御回路440等により実行される。その結果、設定バーコードラベル作成処理SL50は、設定判定処理SL40で新たな設定実行が必要と判定された場合に、実行される。これにより、新たに接続されたバーコードリーダBRにおける設定内容が、元のバーコードリーダBRと同等に使用できる内容となっているかどうかを確認し、当該内容になっていない場合に、改めて元のバーコードリーダBRと同等に使用するための設定に変更することができる。
【0079】
また、本実施形態においては、設定情報は、バーコードリーダBRから制御回路440への通信に係わる複数の通信設定項目を含み、設定バーコードラベル作成処理SL50では、その複数の通信設定項目それぞれに対応した複数の設定バーコード(例えば、バーコードBC1,BC11,BC10,BC13,BC16及びBC23)を形成した、1つの設定バーコードラベルLsを作成する。したがって、設定バーコードラベル作成処理SL50で1つの設定バーコードラベルLsが作成され、その1つの設定バーコードラベルLsに、複数の通信設定項目それぞれに対応した複数の設定バーコードがすべて形成されている。これにより、ユーザは、作成された1つの設定バーコードラベルLsにおける複数の設定バーコードに対し、例えばバーコードリーダBRによって順次読み取りを行うことで、必要な上記通信設定項目すべての設定を容易に行うことができる。またその際、1つの設定バーコードラベルLsにすべての設定バーコードが形成されているので、それら設定バーコードに対する読み取り漏れが生じるのを防止することができる。
【0080】
また、本実施形態においては、複数の通信設定項目は、プリフィックス設定(例えばバーコードBC1)及びサフィックス設定(例えばバーコードBC2)のうち少なくとも一方を含む。これにより、バーコードリーダBRからラベルプリンタ100へ読み取り結果のデータ通信を行う際に、予め定められた所定の通信方式に適合したプリフィックスやサフィックスを付して当該データ通信を行うように、バーコードリーダの設定を変更することができる。
【0081】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明した。しかしながら、本発明の技術的思想の範囲は、ここで説明した実施の形態に限定されないことは言うまでもない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想の範囲内において、様々な変更や修正、組み合わせなどを行うことに想到できることは明らかである。従って、これらの変更や修正、組み合わせなどの後の技術も、当然に本発明の技術的思想の範囲に属するものである。
【0082】
例えば、本発明の実施形態では、図14に示すように、1枚の設定バーコードラベルLsに、複数の通信設定項目にそれぞれ対応する複数の設定バーコードが形成されている場合を例示したが、本発明はこの例に限定されるものではない。この設定バーコードラベルLsの作成の変形例について、図15及び図16を参照して説明する。
【0083】
<第1変形例>
図15は、本発明の第1の変形例に係るラベルプリンタにおけるバーコードリーダに対する初期設定を表す説明図である。本変形例では、設定バーコードラベル作成処理SL50において、制御回路440が、図15に示すように、1つの通信設定項目に対応した1つの設定バーコード(バーコードBC1,BC11,BC10,BC13,BC16,BC23)をそれぞれ形成した複数の設定バーコードラベルLs1~Ls6を所定の順番で順次作成する。
【0084】
すなわち、図15(a)~(f)に示す例では、図14に対応して、バーコードBC1を備えた設定バーコードラベルLs1、バーコードBC11を備えた設定バーコードラベルLs2、バーコードBC10を備えた設定バーコードラベルLs3、バーコードBC13を備えた設定バーコードラベルLs4、バーコードBC16を備えた設定バーコードラベルLs5、バーコードBC23を備えた設定バーコードラベルLs6の順で、6枚の設定バーコードラベルLs1~Ls6が作成される。なお、この際、各設定バーコードラベルLs1~Ls6は、所定の時間間隔(例えば5秒刻み等)で自動的に順次作成されてもよい。
【0085】
本変形例においては、設定バーコードラベル作成処理SL50で、複数の設定バーコードラベルLs1~Ls6が所定の順番で順次作成され、各バーコードラベルLs1~Ls6には、各通信設定項目に対応した1つの設定バーコード(バーコードBC1,BC11,BC10,BC13,BC16,BC23)が形成されている。これにより、ユーザは、順次作成される複数の設定バーコードラベルLs1~Ls6それぞれの設定バーコードに対し、その作成される順番に例えばバーコードリーダBRによって読み取りを行うことで、必要な複数の上記通信設定項目すべての設定を容易に行うことができる。またその際、順次作成される各設定バーコードラベルLs1~Ls6ごとに1つの設定バーコードが形成されているので、複数の設定バーコードに対して適正な順番で読み取りを行い、順番間違いを防止することができる。
【0086】
<第2変形例>
図16は、本発明の第2の変形例に係るラベルプリンタにおけるバーコードリーダに対する初期設定を表す説明図である。本変形例は、上記第1変形例と同様に、各通信設定項目に対応した1つの設定バーコードが形成された複数の設定バーコードラベルLs1~Ls6が所定の順番で順次作成される。しかし、上記第1変形例では、複数の設定バーコードラベルLs1~Ls6が所定の時間間隔で自動的に作成される場合について説明したが、本変形例では、1枚の設定バーコードの読み取りが終わる度に、ラベルプリンタ100に対して次の設定バーコードラベルLsの作成開始指示を行うことにより、複数の設定バーコードラベルLs1~Ls6が所定の順番で順次作成される。
【0087】
そのために、本変形例では、図16(a)~(f)に示すように、各設定バーコードラベルLs1~Ls6において、1つの設定バーコードに加え、次の順番の設定バーコードの作成開始を指示するための指示バーコードBCnが形成される。そこで、ユーザは、現在作成された設定バーコードラベルLs(例えば、設定バーコードラベルLs2)に形成された設定バーコード(例えば、バーコードBC11)を、例えばバーコードリーダBRに読み取らせた後、更に同一の設定バーコードラベルLsに形成された指示バーコードBCnを読み取らせる。すると、指示バーコードBCnに表された次の順番の設定バーコードラベル(例えば、設定バーコードラベルLs3)の作成開始指示が、バーコードリーダBRからラベルプリンタ100に送信される。ラベルプリンタ100は、受信した作成開始指示をトリガとして、次の順番の設定ラベルが形成された設定バーコードラベルを作成する。
【0088】
したがって、本変形例によれば、順次作成される複数の設定バーコードラベルLs1~Ls6それぞれにおいて、上記設定バーコードに加え、指示バーコードBCnが形成されることになるため、1つの設定バーコードラベルLs1~Ls6における上記設定バーコードの読み取りが完了した後、指示バーコードBCnに対する読み取りを行ったときに、その次の順番の設定バーコードラベルLs1~Ls6の作成を実行することができる。したがって、設定バーコードラベルLs1~Ls6の印刷タイミングをユーザが自由にコントロールでき、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0089】
なお、作成開始指示を送信する際、バーコードリーダBRに対する通信形式の初期設定は完了していない一方、作成開始指示の送信データは、印字オブジェクト等のバーコード情報に比べてデータ量が少ない。そこで、この作成開始指示は、バーコード情報を送信するデータ転送用の通信ではなく、上記通信形式の取り決めが不要な簡易な通信方法で、ラベルプリンタ100から送信されることが望ましい。このような簡易な通信方法は、ラベルプリンタ100が必ず解釈できるとわかっていれる形式であればどのような通信方式であっても良いが、例えば、コマンド等を送受信する通信方式が使用可能である。
【0090】
<第3変形例>
上記実施形態、第1変形例及び第2変形例では、上述のように、設定バーコードラベル作成SL50等の各処理により、バーコードリーダBRに対して、通信形式の設定を行った。しかし、この設定バーコードラベル作成SL50等の各処理は、通信形式の設定に限るものではなく、バーコードリーダBRに対して読み取り性能自体を設定することに適用することも可能である。
【0091】
本変形例では、設定情報は、バーコードリーダBRにおけるバーコード読み取り性能に係わる読み取り設定項目を含み、設定バーコードラベル作成処理SL50では、制御回路440が、その読み取り設定項目に対応した設定バーコード(図示せず)を形成した、設定バーコードラベルLsを作成する。そして、ユーザは、その読み取り設定項目に対応した設定バーコードを、バーコードリーダBRに読み取らせる。すると、バーコードリーダBRは、その読み取り設定項目を、自身の読み取り設定に反映させる。なお、この読み取り設定項目としては、例えば、分解能・濃淡レベルの認識性能・バーコードの棒の間隔の認識性能等が挙げられるが、この例に限定されるものではない。これにより、新たにラベルプリンタ100に接続されるバーコードリーダBR(例えばバーコードリーダBR2)の読み取り性能を、元のバーコードリーダBR(例えばバーコードリーダBR1)と同等の性能とすることができる。
【0092】
<その他>
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0093】
また、以上の説明において、外観上又は信号処理上の寸法や大きさ、長さについて「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上、データ処理上の公差、誤差、変更、ゆらぎ等が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0094】
なお、以上において、図4等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0095】
また、図12等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0096】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0097】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0098】
100 ラベルプリンタ(印刷装置の一例に相当)
103 USBコネクタ(着脱部の一例に相当)
410 カートリッジ
411 カバーフィルム(被印字媒体の一例に相当)
419 印字ヘッド(印字手段の一例に相当)
420 プラテンローラ
430 テープ送りローラ駆動軸(搬送手段の一例に相当)
440 制御回路(制御手段の一例に相当)
444 CPU
446 ROM
447 メモリ(記憶手段の一例に相当)
448 RAM
9 USBケーブル(接続ケーブルの一例に相当)
BC1,BC2 バーコード
BC10~19 バーコード
BC21~24 バーコード
BCn 指示バーコード
BR バーコードリーダ
BR1 バーコードリーダ
BR2 バーコードリーダ
L 印字ラベル(印刷物及びオブジェクト印刷物の一例に相当)
Lbc バーコードラベル
Lk 確認バーコードラベル(第2バーコード印刷物の一例に相当)
Ls 設定バーコードラベル(第1バーコード印刷物の一例に相当)
Ls1~6 設定バーコードラベル(第1バーコード印刷物の一例に相当)
R 印字(印字オブジェクトの一例に相当)
S 印字領域
SL10 確認バーコードラベル作成処理(第2バーコード印刷物作成処理の一例に相当)
SR20 確認バーコードラベル読み取り処理
SL30 バーコード読み取り信号受信処理
SL40 設定判定処理
SL50 設定バーコードラベル作成処理(第1バーコード印刷物作成処理の一例に相当)
SR60 設定バーコードラベル読み取り処理
SR70 読み取り結果に応じた設定変更処理
SR80 任意のオブジェクトバーコード読み取り処理
SL90 バーコード情報取得処理
SL100 印字ラベル作成処理(オブジェクト印刷物作成処理の一例に相当)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16