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特許7194363ロボットシステム、ハンド、ハンドの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ロボットシステム、ハンド、ハンドの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20221215BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B25J15/08 C
B25J19/00 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021562211
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2019047027
(87)【国際公開番号】W WO2021111498
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2021-07-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】見須 恵次郎
(72)【発明者】
【氏名】日野 志
(72)【発明者】
【氏名】長尾 淳志
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-061013(JP,A)
【文献】特開2017-080819(JP,A)
【文献】特開2017-109271(JP,A)
【文献】特開2016-147344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能に設けられた複数のフィンガを有するハンドと、
前記ハンドを移動させるロボットと、
少なくとも前記ハンドを制御するコントローラと、を有し、
前記ハンドは、
前記複数のフィンガを開閉させるモータと、
前記複数のフィンガの各々の位置を保持するブレーキ装置と、を有し、
前記コントローラは、
前記複数のフィンガによりワークを所定の把持力で把持するように、前記モータを制御する第1制御部と、
前記複数のフィンガの各々の位置を保持するように、前記ワークを前記所定の把持力で把持した状態で前記ブレーキ装置を作動させる第2制御部と、を有し、
前記複数のフィンガは、
第1フィンガと第2フィンガを有しており、
前記ハンドは、
前記モータにより回転され、前記第1フィンガが連結された第1ナットが軸方向に移動可能に結合された第1ねじ軸と、
前記モータにより回転され、前記第1ねじ軸と略平行に配置され、前記第2フィンガが結合された第2ナットが軸方向に移動可能に連結された第2ねじ軸と、を有し、
前記ブレーキ装置は、
前記第1ねじ軸又は前記第2ねじ軸のいずれか一方に連結され、前記第1ねじ軸又は前記第2ねじ軸よりも径が大きい回転体と、
前記回転体を押圧する押圧装置と、を有する
ロボットシステム。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記ブレーキ装置を作動させた状態で、前記モータが発生するトルクを前記ブレーキ装置の作動前よりも小さくするように前記モータを制御する第3制御部を有する
請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記第1制御部は、
前記複数のフィンガにより前記ワークを把持する際に、定格トルクよりも大きいトルクを発生するように前記モータを制御し、
前記第3制御部は、
前記ブレーキ装置を作動させた状態で、前記モータが発生するトルクを前記定格トルク以下とするように前記モータを制御する
請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記第3制御部は、
前記ブレーキ装置を作動させた状態で、前記モータが発生するトルクを0とするように前記モータを制御する
請求項2又は3に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記モータが発生するトルクを0とした後に前記ハンドを移動させるように、前記ロボットを制御する第4制御部を有する
請求項4に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記ブレーキ装置は、エアを駆動源とする
請求項1~5のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記ブレーキ装置は、
前記回転体の外周に交換可能に設置された摩擦材を有し、
前記押圧装置は、前記摩擦材を押圧する
請求項1~6のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項8】
前記押圧装置は、
前記回転体の外周を押圧する押圧部材と、
前記押圧部材を前記回転体の径方向に移動させる移動装置と、を有する
請求項1~7のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項9】
前記押圧部材は、
前記移動装置に対して交換可能に連結されている
請求項に記載のロボットシステム。
【請求項10】
前記第1ねじ軸及び前記第2ねじ軸は、
前記モータと並列に配置されている
請求項のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項11】
前記ハンドは、
前記ロボットの先端に取り付けられるベース部材と、
前記ベース部材に固定され、前記複数のフィンガを移動可能に支持する支持部材と、を有し、
前記モータ及び前記ブレーキ装置は、
前記支持部材に対し前記ベース部材が配置される側である第1のサイドに配置されており、
前記複数のフィンガは、
前記支持部材に対し前記第1のサイドとは反対側である第2のサイドに配置されている
請求項1~10のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項12】
ワークを把持するハンドであって、
開閉可能に設けられた複数のフィンガと、
前記複数のフィンガを開閉させるモータと、
前記複数のフィンガの各々の位置を保持するブレーキ装置と、を有し、
前記複数のフィンガは、
第1フィンガと第2フィンガを有しており、
前記モータにより回転され、前記第1フィンガが連結された第1ナットが軸方向に移動可能に結合された第1ねじ軸と、
前記モータにより回転され、前記第1ねじ軸と略平行に配置され、前記第2フィンガが結合された第2ナットが軸方向に移動可能に連結された第2ねじ軸と、をさらに有し、
前記ブレーキ装置は、
前記第1ねじ軸又は前記第2ねじ軸のいずれか一方に連結され、前記第1ねじ軸又は前記第2ねじ軸よりも径が大きい回転体と、
前記回転体を押圧する押圧装置と、を有する
ハンド。
【請求項13】
開閉可能に設けられた複数のフィンガと、
前記複数のフィンガを開閉させるモータと、
前記複数のフィンガの各々の位置を保持するブレーキ装置と、を有し、
前記複数のフィンガは、
第1フィンガと第2フィンガを有しており、
前記モータにより回転され、前記第1フィンガが連結された第1ナットが軸方向に移動可能に結合された第1ねじ軸と、
前記モータにより回転され、前記第1ねじ軸と略平行に配置され、前記第2フィンガが結合された第2ナットが軸方向に移動可能に連結された第2ねじ軸と、をさらに有するハンドの制御方法であって、
前記第1フィンガ及び前記第2フィンガによりワークを所定の把持力で把持するように、前記モータを制御することと、
前記第1フィンガ及び前記第2フィンガの各々の位置を保持するように、前記ワークを前記所定の把持力で把持した状態で、前記第1ねじ軸又は前記第2ねじ軸のいずれか一方に連結され、前記第1ねじ軸又は前記第2ねじ軸よりも径が大きい回転体と、前記回転体を押圧する押圧装置と、を有する前記ブレーキ装置を作動させることと、を有する
ハンドの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、ロボットシステム、ハンド、ハンドの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハンド装置の把持装置への電源供給が遮断された場合に、把持装置が把持力を維持することができ、ワークを把持している場合にはワークを落下させることがない産業用ロボットのハンド装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-73823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のハンド装置は、構造が複雑で部品点数が多いため、重量が大きくなるという課題がある。ハンド装置の重量はロボットの可搬重量に影響するため、ブレーキ装置を備えたハンド装置において更なる軽量化が要望されていた。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、ブレーキ装置を備えたハンドの軽量化が可能なロボットシステム、ハンド、ハンドの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、開閉可能に設けられた複数のフィンガを有するハンドと、前記ハンドを移動させるロボットと、少なくとも前記ハンドを制御するコントローラと、を有し、前記ハンドは、前記複数のフィンガを開閉させるモータと、前記複数のフィンガの各々の位置を保持するブレーキ装置と、を有し、前記コントローラは、前記複数のフィンガによりワークを所定の把持力で把持するように、前記モータを制御する第1制御部と、前記複数のフィンガの各々の位置を保持するように、前記ワークを前記所定の把持力で把持した状態で前記ブレーキ装置を作動させる第2制御部と、を有するロボットシステムが適用される。
【0007】
また、本発明の別の観点によれば、ワークを把持するハンドであって、開閉可能に設けられた複数のフィンガと、前記複数のフィンガを開閉させるモータと、前記複数のフィンガの各々の位置を保持するブレーキ装置と、を有し、前記ブレーキ装置は、前記モータにより回転される回転軸に連結され、前記回転軸よりも径が大きい回転体と、前記回転体を押圧する押圧装置と、を有するハンドが適用される。
【0008】
また、本発明の別の観点によれば、開閉可能に設けられた複数のフィンガと、前記複数のフィンガを開閉させるモータと、前記複数のフィンガの各々の位置を保持するブレーキ装置と、を有するハンドの制御方法であって、前記複数のフィンガによりワークを所定の把持力で把持するように、前記モータを制御することと、前記複数のフィンガの各々の位置を保持するように、前記ワークを前記所定の把持力で把持した状態で前記ブレーキ装置を作動させることと、を有するハンドの制御方法が適用される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のロボットシステム等によれば、ブレーキ装置を備えたロボットハンドを軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ロボットシステム及びロボットの構成の一例を概念的に表す概念図である。
図2】ハンドの構成の一例を表す斜視図である。
図3】ハンドの構成の一例を表す斜視図である。
図4】ディスクの外周に摩擦材が着脱可能であることを表す説明図である。
図5】移動装置に押圧部材が交換可能に連結されることを表す説明図である。
図6】コントローラの機能構成の一例を表すブロック図である。
図7】ワークの搬送時にコントローラが実行する制御内容の一例を表すフローチャートである。
図8】ハンドの把持動作の一例を表す説明図である。
図9】ブレーキ装置の作動時の動作の一例を表す説明図である。
図10】定格トルクよりも大きなトルクを発生させる変形例において、ワークの搬送時にコントローラが実行する制御内容の一例を表すフローチャートである。
図11】ディスクをモータの出力軸に連結させる変形例における、ハンドの構成の一例を表す斜視図である。
図12】ディスクを第2ねじ軸に連結させる変形例における、ハンドの構成の一例を表す斜視図である。
図13】コントローラのハードウェア構成の一例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<1.ロボットシステム及びロボットの構成>
まず、図1を参照しつつ、実施形態に係るロボットシステム及びロボットの構成の一例について説明する。図1は、ロボットシステム及びロボットの構成の一例を概念的に表す概念図である。
【0013】
図1に示すように、ロボットシステム1は、ロボット3と、コントローラ5とを有する。
【0014】
ロボット3は、例えば6つの関節部を備えた垂直多関節型の6軸ロボットであり、その先端には、エンドエフェクタとしてハンド7が取り付けられている。ロボット3は、ハンド7によりワークWを把持し、移動、載置、組み付け等の作業を行う。なお、ロボット3を6軸以外(例えば5軸や7軸等)のロボットとしてもよい。また、水平多関節型やパラレルリンクロボット等、ロボット3を垂直多関節型以外のロボットとしてもよい。さらに、汎用ロボット以外にも、例えば、XYZθ方向等に移動可能なアクチュエータを備えた専用作業機等としてもよい。
【0015】
コントローラ5は、ロボット3及びハンド7の動作を制御する。コントローラ5は、ロボット3のボディ(例えば基台9)に取り付けられてもよいし、ロボット3と分離して別の場所に配置されてもよい。また、コントローラ5を、例えばロボット3を制御するコントローラとハンド7を制御するコントローラとに分けたり、例えば各種指令を出力する上位コントローラと、当該指令に基づいてロボット3やハンド7の各アクチュエータに駆動源(電力やエア)を供給するコントローラとに分ける等、複数の制御装置で構成してもよい。
【0016】
図1に示すように、ロボット3は、基台9と、旋回部11と、アーム13と、ハンド7とを有する。基台9は、例えば床や壁、天井等に固定される。
【0017】
旋回部11は、基台9の上端部に、上下方向に略平行な回転軸心Ax1まわりに旋回可能に支持されている。この旋回部11は、基台9との間の関節部に設けられたアクチュエータAc1の駆動により、基台9の上端部に対し、回転軸心Ax1まわりに旋回駆動される。
【0018】
アーム13は、旋回部11の例えば一方側の側部に支持されている。このアーム13は、下腕部15と、上腕部17と、手首部19と、フランジ部21とを有する。
【0019】
下腕部15は、旋回部11の一方側の側部に、回転軸心Ax1に略垂直な回転軸心Ax2まわりに旋回可能に支持されている。この下腕部15は、旋回部11との間の関節部に設けられたアクチュエータAc2の駆動により、旋回部11の一方側の側部に対し、回転軸心Ax2まわりに旋回駆動される。
【0020】
上腕部17は、下腕部15の先端側に、回転軸心Ax2に略平行な回転軸心Ax3まわりに旋回可能且つ回転軸心Ax3に略垂直な回転軸心Ax4回りに回動可能に支持されている。この上腕部17は、下腕部15との間の関節部に設けられたアクチュエータAc3の駆動により、下腕部15の先端側に対し、回転軸心Ax3まわりに旋回駆動される。また上腕部17は、アクチュエータAc3との間に設けられたアクチュエータAc4の駆動により、下腕部15の先端側に対し、回転軸心Ax4まわりに回動駆動される。
【0021】
手首部19は、上腕部17の先端側に、回転軸心Ax4に略垂直な回転軸心Ax5まわりに旋回可能に支持されている。この手首部19は、上腕部17との間の関節部に設けられたアクチュエータAc5の駆動により、上腕部17の先端側に対し、回転軸心Ax5まわりに旋回駆動される。
【0022】
フランジ部21は、手首部19の先端側に、回転軸心Ax5に略垂直な回転軸心Ax6まわりに回動可能に支持されている。このフランジ部21は、手首部19との間の関節部に設けられたアクチュエータAc6の駆動により、手首部19の先端側に対し、回転軸心Ax6まわりに回動駆動される。
【0023】
ハンド7は、フランジ部21の先端に取り付けられており、フランジ部21の回転軸心Ax6まわりの回動と共に、回転軸心Ax6まわりに回動する。このハンド7は、開閉可能に設けられた2つのフィンガ23,24を備えており、ワークWを把持することを初めとして、各種の操作や作業をすることが可能である。
【0024】
以上の構成であるロボット3は、6つのアクチュエータAc1~Ac6を備えた6つの関節部を有する6軸ロボットである。各関節部を駆動するアクチュエータAc1~Ac6は、モータM1~M6、減速機(図示省略)及びブレーキ(図示省略)等により構成されている。なお、モータM1~M6、減速機及びブレーキ等は、必ずしも回転軸心Ax1~Ax6上に配置される必要はなく、これらの回転軸心Ax1~Ax6から離れた位置に配置されてもよい。
【0025】
なお、上記では、アーム13の長手方向(あるいは延材方向)に沿った回転軸心まわりの回転を「回動」と呼び、アーム13の長手方向(あるいは延材方向)に略垂直な回転軸心まわりの回転を「旋回」と呼んで区別している。
【0026】
<2.ハンドの構成>
次に、図2図5を参照しつつ、ハンドの構成の一例について説明する。図2及び図3は、ハンドの構成の一例を表す斜視図である。図4は、ディスクの外周に摩擦材が着脱可能であることを表す説明図である。図5は、移動装置に押圧部材が交換可能に連結されることを表す説明図である。
【0027】
図2及び図3に示すように、ハンド7は、フィンガ23,24と、ベース部材25と、支柱部材27,28と、リニアガイド29と、モータ31と、動力伝達機構33と、送りねじ機構35と、ブレーキ装置37等を有する。なお、以下では説明の便宜上、送りねじ機構35の軸方向を「幅方向」、フィンガ23,24の延設方向を「高さ方向」、これら幅方向と高さ方向に垂直な方向を「奥行き方向」、という。
【0028】
ベース部材25は、例えば略長方形状の板状の部材である。ベース部材25の高さ方向他方側、すなわちフィンガ23,24等が配置される側とは反対側の表面25aは、アーム13のフランジ部21(図2及び図3では図示省略)に直接又は他の部材を介して間接的に固定されている。
【0029】
支柱部材27,28は、ベース部材25の高さ方向一方側、すなわちフランジ部21に固定される側とは反対側の表面25bに立設されている。支柱部材27は、ベース部材25の幅方向一方側の端部に配置されており、支柱部材28は、ベース部材25の幅方向他方側の端部に配置されている。
【0030】
支柱部材27は、支持部27aと、脚部27bと、軸受部27cとを有する。支持部27aは、奥行き方向に沿って延設され、ベース部材25の表面25bに固定されている。脚部27bは、支持部27aの略中央部分に略直角に接合されており、高さ方向に沿って延設されている。軸受部27cは、脚部27bの支持部27aとは反対側の端部に略直角に接合されており、奥行き方向に沿って延設されている。軸受部27cには、奥行き方向の一方側及び他方側の2箇所に、後述するねじ軸57,59を回転可能に支持する軸受39が設けられている。
【0031】
同様に、支柱部材28は、支持部28aと、脚部28bと、軸受部28cとを有する。支持部28aは、奥行き方向に沿って延設され、ベース部材25の表面25bに固定されている。脚部28bは、支持部28aの略中央部分に略直角に接合されており、高さ方向に沿って延設されている。軸受部28cは、脚部28bの支持部28aとは反対側の端部に略直角に接合されており、奥行き方向に沿って延設されている。軸受部28cには、奥行き方向の一方側及び他方側の2箇所に、後述するねじ軸57,59を回転可能に支持する軸受41が設けられている。
【0032】
リニアガイド29(支持部材の一例)は、ベース部材25に2つの支柱部材27,28を介して固定され、2つのフィンガ23,24を移動可能に支持する。リニアガイド29は、ベース板43と、2本のレール45,46と、2つのスライダ47,48とを有する。
【0033】
ベース板43は、例えば略長方形状の板状の部材であり、支柱部材27,28のベース部材25とは反対側の端部に架け渡されている。2本のレール45,46は、ベース板43の高さ方向一方側の表面43aに幅方向に沿って延設されており、互いに略平行となるように奥行き方向に並んで配置されている。スライダ47はレール45に係合しており、レール45に沿って移動する。スライダ48はレール46に係合しており、レール46に沿って移動する。
【0034】
フィンガ23,24は、2つのスライダ47,48の各々に、連結具49,50を介して連結されている。以下では説明の便宜上、スライダ47に連結具49を介して連結されたフィンガ23を第1フィンガ23、スライダ48に連結具50を介して連結されたフィンガ24を第2フィンガ24ともいう。
【0035】
第1フィンガ23は、支持部23aと指部23bとが略直角に接合された、略L字状の部材である。支持部23aは、連結具49の幅方向一方側の端部に連結されており、奥行き方向に沿ってレール46側に向けて突出するように延設されている。指部23bは、支持部23aの奥行き方向他方側の端部に接合されており、高さ方向一方側に向けて突出するように延設されている。指部23bの長さは、ハンド7が把持するワークWのサイズに応じて適宜の長さに設定されている。
【0036】
同様に、第2フィンガ24は、支持部24aと指部24bとが略直角に接合された、略L字状の部材である。支持部24aは、連結具50の幅方向他方側の端部に連結されており、奥行き方向に沿ってレール45側に向けて突出するように延設されている。指部24bは、支持部24aの奥行き方向一方側の端部に接合されており、高さ方向一方側に向けて突出するように延設されている。指部24bの長さは、ハンド7が把持するワークWのサイズに応じて適宜の長さに設定されている。
【0037】
上記構成により、第1フィンガ23と第2フィンガ24とは、互いに遠近するように移動し開閉される。また、スライダ47とスライダ48、並びに、連結具49と連結具50は、第1フィンガ23と第2フィンガ24とが近づいても互いに干渉しないように構成されている。一方で、第1フィンガ23と第2フィンガ24とは、支持部23a,24aの張り出しにより、指部23b,24bの奥行き方向における位置が略一致しており、第1フィンガ23と第2フィンガ24とが閉じた際に、指部23b,24bが当接又は所定の間隙を空けて対峙するように構成されている。
【0038】
モータ31は、第1フィンガ23と第2フィンガ24とを開閉させる。モータ31は、コントローラ5により、検出器(図示省略)で検出した制御量(回転角度、回転速度、トルク等)が目標値(位置、速度、トルク等の指令)に追従するように制御されるサーボモータである。但し、サーボモータ以外のモータを使用してもよい。モータ31は、支柱部材27,28の間において、回転軸方向が幅方向と略平行となるように、ベース部材25の表面25bに取付部材(図示省略)を介して取り付けられている。モータ31は、筐体の負荷側端部が支柱部材28の近傍に位置するように配置されている。モータ31の出力軸31aは、支柱部材28の支持部28aに対し高さ方向一方側、且つ、脚部28bに対し奥行方向一方側の空間Sを通って、支柱部材28の外側(幅方向他方側)に突出するように延設されている。
【0039】
動力伝達機構33は、支柱部材28の幅方向他方側に配置されており、駆動ギア51と、2つの従動ギア53,55とを有する。駆動ギア51は、モータ31の出力軸31aの幅方向他方側の端部に同軸となるように連結されている。駆動ギア51は従動ギア53と噛み合っており、従動ギア53は従動ギア55と噛み合っている。従動ギア53は、ねじ軸57の幅方向他方側の端部に同軸となるように連結されており、従動ギア55は、ねじ軸59の幅方向他方側の端部に同軸となるように連結されている。これにより、従動ギア53,55は、支柱部材28の軸受部28cに設けられた軸受41によりねじ軸57,59と共に回転可能に支持されている。従動ギア53,55は、互いに歯数及び直径が等しくなるように形成されており(ギア比1:1)、駆動ギア51よりも歯数及び直径が大きくなるように形成されている。このように構成される動力伝達機構33により、モータ31の回転力(トルク)が増大されて2本のねじ軸57,59に伝達され、2本のねじ軸57,59は互いに反対の回転方向に同じ回転速度で回転する。
【0040】
なお、従動ギア53,55のギア比は1:1に限定されるものではなく、必要に応じてギア比を変更してもよい。また、動力伝達機構33はギアに限定されるものではなく、例えばベルトとプーリ又はチェーンとスプロケット等で構成してもよい。また、図示は省略するが、動力伝達機構33はギアケースに収容されてもよい。
【0041】
送りねじ機構35は、2本のねじ軸57,59と、2つのナット61,63とを有する。ねじ軸57,59は、支柱部材27,28に設けられた軸受39,41により回転可能に支持されている。ねじ軸57,59は、支柱部材27,28の間で幅方向に沿って延設されており、互いに略平行となるように奥行き方向に並んで配置されている。その結果、ねじ軸57,59は、リニアガイド29やモータ31とも並列となるように配置されている。以下では説明の便宜上、奥行き方向一方側に配置されたねじ軸57を第1ねじ軸57、奥行き方向他方側に配置されたねじ軸59を第2ねじ軸59ともいう。
【0042】
ナット61,63は、ねじ軸57,59の各々に結合しており、ねじ軸57,59の回転に伴って軸方向に移動する。なお、ねじ軸57,59とナット61,63との接触が面接触である送りねじ機構としてもよいし、ボール(硬球)を介した点接触であるボールねじ機構としてもよい。以下では説明の便宜上、第1ねじ軸57の回転により移動するナット61を第1ナット61、第2ねじ軸59の回転により移動するナット63を第2ナット63ともいう。第1ナット61は、連結部材65(図3参照)により連結具49に連結されており、第1ナット61の移動に伴って第1フィンガ23が軸方向(幅方向)に移動する。同様に、第2ナット63は、連結部材67により連結具50に連結されており、第2ナット63の移動に伴って第2フィンガ24が軸方向(幅方向)に移動する。
【0043】
ブレーキ装置37は、支柱部材27の幅方向一方側に配置されており、ディスク69と、押圧装置71とを有する。すなわち、ブレーキ装置37は、モータ31に内蔵されたブレーキ(電磁ブレーキ等)ではなく、モータ31とは別体として構成されている。ディスク69(回転体の一例)は、円盤状の部材であり、モータ31により回転される第1ねじ軸57(回転軸の一例)の幅方向一方側の端部に同軸となるように連結されている。これにより、ディスク69は、支柱部材27の軸受部27cに設けられた軸受39により第1ねじ軸57と共に回転可能に支持されている。ディスク69の直径は、少なくとも第1ねじ軸57の直径よりも大きく形成されており、所望のブレーキ力が得られるように適宜の値に設定されている。
【0044】
ディスク69の外周には、摩擦材73が交換可能に設置されている。図4に示すように、ディスク69の外周には溝69aが形成されており、摩擦材73は当該溝69aに対して着脱される。摩擦材73は、摩擦係数が大きな材質とすることで、大きなブレーキ力を得ることができる。また摩擦材73は、柔軟性を有する材質とすることで、ディスク69の溝69aへの着脱が容易となる。したがって、摩擦材73を例えばゴム材や樹脂材料等で構成してもよい。本実施形態では、摩擦材73として例えばOリングを使用することで、接着剤を使用せずに簡単に溝69aに装着することができる。
【0045】
押圧装置71は、支柱部材27の幅方向一方側に取付部材(図示省略)を介して取り付けられており、ディスク69の外周に設けられた摩擦材73を押圧する。押圧装置71は、ディスク69の外周を押圧する押圧部材75と、押圧部材75をディスク69の径方向(この例では高さ方向)に移動させる移動装置77とを有する。押圧装置71は、ディスク69を押圧して回転を静止できればよく、例えばエアシリンダ、電動シリンダ、ソレノイドアクチュエータ、油圧シリンダ等の様々なアクチュエータを使用することができる。本実施形態では、ブレーキ装置37の駆動源にエアを採用し、押圧装置71としてエアシリンダを用いることで、ハンド7の軽量化及び低コスト化を図っている。
【0046】
押圧部材75は、移動装置77に対して交換可能に連結されている。例えば図5に示すように、移動装置77のロッド77aの先端にねじを形成しておき、押圧部材75をねじ込むことにより連結する構成としてもよい。なお、ねじ締結以外の手法(例えば嵌合やジョイント等)で連結してもよい。押圧部材75が交換可能であるため、押圧部材75を例えば面粗度や材質等が異なる別の種類のものに変更することで、押圧部材75とディスク69(摩擦材73)との間の摩擦力(押圧力×摩擦係数)を変更することができる。また、押圧部材75が摩耗した場合には容易に交換できるので、メンテナンス性を向上できる。
【0047】
ブレーキ装置37が作動すると、押圧部材75がディスク69の外周を押圧してディスク69が回転しないように制動する。これにより、ねじ軸57,59の回転が禁止され、フィンガ23,24の各々の位置が保持される。したがって、モータ31により所定の把持力でワークWを把持している状態でブレーキ装置37を作動させた場合には、把持力が維持される。このように、ハンド7は、電気駆動のモータ31とエア駆動のブレーキ装置37とを組み合わせて有することで、把持力及びブレーキ力を精度良く制御しつつ、軽量化を図っている。
【0048】
以上のように構成されるハンド7では、モータ31及びブレーキ装置37は、リニアガイド29に対しベース部材25が配置される側(高さ方向他方側。第1のサイドの一例)に配置されており、フィンガ23,24は、リニアガイド29に対しベース部材25が配置される側とは反対側(高さ方向一方側。第2のサイドの一例)に配置されている。さらに、リニアガイド29のベース部材25が配置される側では、支柱部材27,28の間にモータ31と送りねじ機構35、支柱部材27の幅方向一方側にブレーキ装置37、支柱部材28の幅方向他方側に動力伝達機構33が配置されている。このような配置により、ベース部材25とリニアガイド29との間のスペースを有効活用すると共に、機器配置を最適化することができる。したがって、ハンド7を小型化できる。
【0049】
<3.コントローラの機能構成>
次に、図6を参照しつつ、コントローラ5の機能構成の一例について説明する。図6は、コントローラ5の機能構成の一例を表すブロック図である。
【0050】
図6に示すように、コントローラ5は、第1制御部79と、第2制御部81と、第3制御部83と、第4制御部85とを有する。コントローラ5は、例えばサーボアンプ、モーションコントローラ、パーソナルコンピュータ(PC)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)等のうちの少なくとも1つにより構成される。
【0051】
第1制御部79は、フィンガ23,24によりワークWを所定の把持力で把持するようにモータ31を制御する。このとき、第1制御部79はモータ31に対してトルク制御を行ってもよいし、例えばフィンガ23,24に力センサ(図示省略)を設けておき、その検出値に基づく力制御を行なってもよい。
【0052】
第2制御部81は、フィンガ23,24の各々の位置を保持するように、ワークWを所定の把持力で把持した状態でブレーキ装置37を作動させる。具体的には、第2制御部81は、例えばエアコンプレッサ等のエア源に接続された電磁弁を制御し、押圧装置71にエアを供給する。これにより、移動装置77が押圧部材75を高さ方向一方側に移動させてディスク69の外周を押圧し、ディスク69が回転しないように制動する。これにより、ねじ軸57,59の回転が禁止され、フィンガ23,24の各々の位置が保持される。その結果、ワークWを把持した際の把持力が維持される。
【0053】
なお、上記のエア源に接続された電磁弁は、停電等により電源供給が遮断された場合には、押圧装置71にエアを供給する状態を維持するように構成されている。これにより、ハンド7がワークWを把持した状態で停電等によりハンド7や電磁弁等への電源供給が遮断された場合でも、ブレーキ装置37は作動を継続し、ワークWを把持した際の把持力を維持することができる。したがって、ワークWの落下を防止することができる。
【0054】
第3制御部83は、ブレーキ装置37を作動させた状態で、モータ31が発生するトルクをブレーキ装置37の作動前よりも小さくするように、モータ31を制御する。このとき、モータ31が発生するトルクを所定の目標値まで低下させてもよいし、例えばモータ31への電力供給を遮断してモータ31が発生するトルクを0としてもよい(いわゆるサーボオフ)。これにより、ブレーキ作動中の消費電力を削減できる。なお、このようにモータ31のトルクを低減させても、上述のようにブレーキ装置37によりフィンガ23,24による把持力は維持される。
【0055】
第4制御部85は、モータが発生するトルクを低減した後に(例えば0とした後に)、ハンド7を所望の位置に移動させるように、ロボット3の各モータM1~M6を制御する。これにより、ハンド7で把持したワークWを所望の場所へ移動させることができる。
【0056】
なお、上述した第1制御部79、第2制御部81、第3制御部83、第4制御部85等における処理等は、これらの処理の分担の例に限定されるものではなく、例えば、更に少ない数の処理部(例えば1つの処理部)で処理されてもよく、また、更に細分化された処理部により処理されてもよい。また、コントローラ5は、モータに駆動電力を給電する部分(インバータ等)のみ実際の装置により実装され、その他の機能は後述するCPU901(図13参照)が実行するプログラムにより実装されてもよいし、その一部又は全部がASICやFPGA、その他の電気回路等の実際の装置により実装されてもよい。
【0057】
<4.コントローラの制御内容及びハンドの動作>
次に、図7図9を参照しつつ、ワークWの搬送時にコントローラ5が実行する制御内容の一例及びハンド7等の動作の一例について説明する。図7は、ワークWの搬送時にコントローラ5が実行する制御内容の一例を表すフローチャートである。図8は、ハンド7の把持動作の一例を表す説明図であり、図9は、ブレーキ装置37の作動時の動作の一例を表す説明図である。
【0058】
図7に示すように、ステップS10では、コントローラ5は、ロボット3の各モータM1~M6を制御して、ハンド7をワークWの把持位置に移動させる。
【0059】
ステップS20では、コントローラ5は、第1制御部79によりモータ31を制御して、フィンガ23,24によりワークWを所定の把持力で把持する。このとき、第1制御部79はモータ31に対してトルク制御を行ってもよいし、力センサの検出値に基づく力制御を行なってもよい。
【0060】
図8に、このときのハンド7の動作の一例を示す。なお、通常はフィンガ23,24を下方又は水平方向等に向けてワークWを把持するが、図8ではハンド7の各機構の動作を分かり易くするためにフィンガ23,24を上方に向けた状態で図示している。図8に示すように、モータ31が回転して従動ギア53,55がそれぞれ矢印Ar1,Ar2の方向に回転することにより、第1ねじ軸57に結合した第1ナット61が矢印Ar3方向に移動すると共に、第2ねじ軸59に結合した第2ナット63が矢印Ar4方向に移動する。これにより、第1フィンガ23と第2フィンガ24とが互いに近づく方向(矢印Ar5,Ar6方向)に移動して閉じ、ワークWを把持する。
【0061】
図7に戻り、ステップS30では、コントローラ5は、第2制御部81により、フィンガ23,24がワークWを所定の把持力で把持した状態で、ブレーキ装置37を作動させて、フィンガ23,24の各々の位置を保持する。
【0062】
図9に、このときのブレーキ装置37の動作の一例を示す。図9に示すように、押圧装置71は、移動装置77により押圧部材75をディスク69側(矢印Ar7方向)に移動させて、ディスク69の外周に装着された摩擦材73を押圧する。これにより、ディスク69が回転しないように制動されると共に、ねじ軸57,59の回転が禁止され、フィンガ23,24の各々の位置が保持される。その結果、ワークWを把持した際の把持力が維持される。
【0063】
図7に戻り、ステップS40では、コントローラ5は、第3制御部83により、ブレーキ装置37を作動させた状態で、モータ31が発生するトルクをブレーキ装置37の作動前よりも低下させる。このとき、モータ31が発生するトルクを所定の目標値まで低下させてもよいし、例えばモータ31への電力供給を遮断してモータ31が発生するトルクを0としてもよい(いわゆるサーボオフ)。
【0064】
ステップS50では、コントローラ5は、第4制御部85により、ロボット3の各モータM1~M6を制御して、ワークWを把持した状態で、ハンド7を所望の位置に移動させる。そして、コントローラ5は、ハンド7の移動先において、モータ31を制御してフィンガ23,24を開き、ワークWを所定の場所に載置する。以上により、本フローチャートを終了する。
【0065】
<5.実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のロボットシステム1は、開閉可能に設けられた2つのフィンガ23,24を有するハンド7と、ハンド7を移動させるロボット3と、ロボット3及びハンド7を制御するコントローラ5と、を有し、ハンド7は、フィンガ23,24を開閉させるモータ31と、フィンガ23,24の各々の位置を保持するブレーキ装置37と、を有し、コントローラ5は、フィンガ23,24によりワークWを所定の把持力で把持するように、モータ31を制御する第1制御部79と、フィンガ23,24の各々の位置を保持するように、ワークWを所定の把持力で把持した状態でブレーキ装置37を作動させる第2制御部81と、を有する。
【0066】
本実施形態のハンド7は、フィンガ23,24でワークWを所定の把持力で把持し、その状態でブレーキ装置37を作動させてフィンガ23,24の各々の把持位置を保持する。これにより、ワークWを把持した状態で例えば停電や非常停止、アラーム発生等によりハンド7等への電源供給が遮断された場合でも、ワークWを把持した際の把持力を維持することが可能となり、ワークWの落下を防止することができる。また、ブレーキ装置37によりフィンガ23,24の把持位置を保持することによって把持力を維持するので、モータ31は所定の把持力を出力するためのトルクをワークWの把持中に継続的に発生する必要がない。これにより、当該トルクをワークWの把持中に継続的に発生することが可能なモータを使用する場合に比べて、モータ容量を小さくすることが可能になる。したがって、ハンド7の小型化、軽量化を図ることができる。
【0067】
また、本実施形態では特に、コントローラ5は、ブレーキ装置37を作動させた状態で、モータ31が発生するトルクをブレーキ装置37の作動前よりも小さくするようにモータ31を制御する第3制御部83を有する。
【0068】
本実施形態では、ブレーキ装置37の作動後にモータ31が発生するトルクを小さくするので、モータ31はブレーキ装置37を作動させることが可能な短い時間だけ所定の把持力を出力するためのトルクを発生できればよい。したがって、当該トルクをワークWの把持中に継続的に発生することが可能なモータを使用する場合に比べて、モータ容量を小さくすることができる。したがって、ハンド7の小型化、軽量化を図ることができる。
【0069】
また、本実施形態では特に、第3制御部83は、ブレーキ装置37を作動させた状態で、モータ31が発生するトルクを0とするようにモータ31を制御する。これにより、モータ31の小容量化により小型化、軽量化を図りつつ、消費電力を削減できるハンド7を実現できる。
【0070】
また、本実施形態では特に、コントローラ5は、モータ31が発生するトルクを0とした後にハンド7を移動させるように、ロボット3を制御する第4制御部85を有する。これにより、ブレーキ装置37により把持力を維持した状態でハンド7を移動できるので、ワークWをより安全に移動させることができる。
【0071】
また、本実施形態では特に、ブレーキ装置37は、モータ31とは別体として構成されている。これにより、フィンガ23,24の開閉にブレーキ付きでないモータ31を使用することができる。ブレーキ付きのモータは電磁力を利用したものが一般的であり、ブレーキ付きでないモータに比べて重量が大きくなりやすい。したがって、ブレーキ付きでないモータ31を使用できることで、ハンド7を軽量化できる。
【0072】
また、本実施形態では特に、ブレーキ装置37は、エアを駆動源とする。一般にエアを駆動源とするアクチュエータは電気を駆動源とするアクチュエータよりも軽量で低コストである。したがって、低コストで軽量化が可能なハンド7を実現できる。
【0073】
また、本実施形態では特に、ブレーキ装置37は、モータ31により回転される第1ねじ軸57に連結され、当該第1ねじ軸57よりも径が大きいディスク69と、ディスク69を押圧する押圧装置71と、を有する。
【0074】
第1ねじ軸57の回転運動がフィンガ23,24の開閉運動に変換されると推進力が増大されるため、第1ねじ軸57の回転運動がフィンガ23,24の開閉運動に変換された後にブレーキ力を作用させる場合、大きなブレーキ力が必要となる場合がある。本実施形態では、第1ねじ軸57に連結されたディスク69を押圧することでブレーキ力を作用させるため、第1ねじ軸57の回転運動がフィンガ23,24の開閉運動に変換される前にブレーキ力を作用させることができる。これにより、小さな押圧力で大きなブレーキ力を得ることが可能となり、押圧装置71を小型化、軽量化できる。また、ブレーキトルクの大きさは、第1ねじ軸57の回転中心から押圧箇所(この例では外周)までの距離と摩擦力(押圧力×摩擦係数)の積となることから、ディスク69の径を大きくすることで、押圧装置71を大型化することなく得られるブレーキ力を大きくすることができる等、ディスク69の径の変更によりブレーキ力を容易に調整することができる。さらに、回転体であるディスク69はどの角度位置にあっても押圧することが可能であるため、フィンガ23,24がどのような把持位置であってもブレーキをかけることができる。したがって、ハンド7のストロークの範囲内であれば、ワークWの大小を問わずにブレーキを作動させることが可能なハンド7を実現できる。
【0075】
また、本実施形態では特に、ブレーキ装置37は、ディスク69の外周に交換可能に設置された摩擦材73を有し、押圧装置71は、摩擦材73を押圧する。
【0076】
これにより、押圧装置71とディスク69との間の摩擦力(押圧力×摩擦係数)を増大できるので、より大きなブレーキトルクを得ることができる。また、摩擦材73が摩耗した場合には容易に交換できるので、メンテナンス性を向上できる。さらに、ディスク69の外周に溝69aを設けておき、摩擦材73としてOリングを使用することにより、接着剤を使用せずに簡単に摩擦材を取り付けることが可能となる。
【0077】
また、本実施形態では特に、押圧装置71は、ディスク69の外周を押圧する押圧部材75と、押圧部材75をディスク69の径方向に移動させる移動装置77と、を有する。
【0078】
ディスク69を押圧してブレーキ力を作用させる場合、ブレーキトルクは押圧箇所の半径×摩擦力(押圧力×摩擦係数)となる。本実施形態では、ディスク69の最も径方向外側である外周を押圧するので、より大きなブレーキトルクを得ることができる。また、押圧部材75をディスク69の径方向に移動させる構造とすることにより、押圧部材75を軸方向(第1ねじ軸57の軸方向)に移動させる構造に比べて、ハンド7の幅方向の寸法を小さくでき、ハンド7を小型化できる。
【0079】
また、本実施形態では特に、押圧部材75は、移動装置77に対して交換可能に連結されている。
【0080】
押圧部材75とディスク69との間の摩擦力の大きさは、押圧力と摩擦係数との積となる。したがって、押圧部材75をより摩擦係数の大きいもの(例えば面粗度がより粗い部材や、摩擦係数がより大きな材質で構成された部材等)に交換することで、押圧装置71を大型化することなく、得られるブレーキ力を大きくすることができる。このように、押圧部材75を交換することでブレーキ力を容易に調整することができる。また、押圧部材75が摩耗した場合には容易に交換できるので、メンテナンス性を向上できる。
【0081】
また、本実施形態では特に、ディスク69は、モータ31と並列に配置され、モータ31の回転力が伝達される第1ねじ軸57に連結されている。
【0082】
本実施形態では、第1ねじ軸57をモータ31と並列に配置するので、ハンド7の軸方向(幅方向)の寸法が増大するのを抑制でき、ハンド7をコンパクト化できる。また、第1ねじ軸57の長さを確保できるので、ハンド7のストロークを大きく確保できる。
【0083】
また、本実施形態では特に、ハンド7は、第1フィンガ23及び第2フィンガ24と、第1フィンガ23が連結された第1ナット61が軸方向に移動可能に結合された第1ねじ軸57と、第1ねじ軸57と略平行に配置され、第2フィンガ24が結合された第2ナット63が軸方向に移動可能に連結された第2ねじ軸59と、を有しており、ディスク69は、第1ねじ軸57に連結されている。
【0084】
本実施形態では、ねじ軸57,59を2つのフィンガ23,24にそれぞれ対応させた2本構成として平行に配置するので、例えば1本のねじ軸において一方側と他方側でねじ方向を反対としてフィンガ23,24を開閉させる構成に比べて、より大きなストロークを得ることができる。また、第1ねじ軸57と第2ねじ軸59のうち、モータ31による駆動側(駆動ギア51)により近い第1ねじ軸57にディスク69を連結させることで、ブレーキの安定性を向上できる。
【0085】
また、本実施形態では特に、ハンド7は、ロボット3のアーム13の先端に取り付けられるベース部材25と、ベース部材25に固定され、フィンガ23,24を移動可能に支持するリニアガイド29と、を有し、モータ31及びブレーキ装置37は、リニアガイド29に対しベース部材25が配置される側である第1のサイドに配置されており、フィンガ23,24は、リニアガイド29に対し第1のサイドとは反対側である第2のサイドに配置されている。
【0086】
これにより、ベース部材25とリニアガイド29との間のスペースを有効活用して機器配置を最適化することができる。したがって、ハンド7を小型化できる。
【0087】
<6.変形例>
なお、開示の実施形態は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例について説明する。
【0088】
(6-1.定格トルクよりも大きなトルクを発生させる場合)
モータには、定格トルクよりも大きなトルクを一時的に発生させることが可能なものがある。このようなモータ31Aをハンド7に使用して、定格トルクより大きなトルクを発生させてワークWを把持し、その状態でブレーキ装置37を作動させることにより、定格トルクより大きなトルクによる把持力を維持するようにしてもよい。
【0089】
図10は、ワークWの搬送時に本変形例のコントローラ5Aが実行する制御内容の一例を表すフローチャートである。
【0090】
図10に示すように、ステップS110では、コントローラ5Aは、ロボット3の各モータM1~M6を制御して、ハンド7をワークWの把持位置に移動させる。
【0091】
ステップS120では、コントローラ5Aは、第1制御部79により、定格トルクよりも大きいトルクを発生するようにモータ31Aを制御して、フィンガ23,24によりワークWを所定の把持力で把持する。
【0092】
ステップS130では、コントローラ5Aは、第2制御部81により、フィンガ23,24がワークWを所定の把持力で把持した状態で、ブレーキ装置37を作動させて、フィンガ23,24の各々の位置を保持する。
【0093】
ステップS140では、コントローラ5Aは、第3制御部83により、ブレーキ装置37を作動させた状態で、モータ31Aが発生するトルクを定格トルク以下となるように低下させる。このとき、モータ31Aが発生するトルクを所定の目標値まで低下させてもよいし、例えばモータ31Aへの電力供給を遮断してモータ31Aが発生するトルクを0としてもよい(いわゆるサーボオフ)。
【0094】
ステップS150では、コントローラ5Aは、第4制御部85により、ロボット3の各モータM1~M6を制御して、ワークWを把持した状態で、ハンド7を所望の位置に移動させる。そして、コントローラ5は、ハンド7の移動先において、モータ31Aを制御してフィンガ23,24を開き、ワークWを所定の場所に載置する。以上により、本フローチャートを終了する。
【0095】
本変形例によれば、次のような効果を得る。すなわち、一般に、定格トルク以上のトルクを発生可能なモータは、定格トルクよりも大きなトルクを継続的に発生することはできず、時間制限が設けられている。本変形例では、その時間制限内にブレーキ装置37を作動させることにより、定格トルクより大きなトルク(例えば定格トルクの150%)で把持した際の把持力を継続的に維持することが可能となる。これにより、モータ容量をさらに小さくでき、ハンド7の小型化、軽量化を図ることができる。
【0096】
(6-2.ディスクをモータの出力軸に連結させる場合)
上記実施形態では、ディスク69を第1ねじ軸57に連結する構成としたが、ディスク69をモータ31の出力軸31aに連結してもよい。
【0097】
図11は、本変形例のハンド7Aの構成の一例を表す斜視図である。図11に示すように、ハンド7Aでは、支柱部材28の幅方向他方側に、動力伝達機構33と共にブレーキ装置37が配置されている。ディスク69は、モータ31の出力軸31a(回転軸の一例)の幅方向他方側の端部(例えば駆動ギア51のさらに幅方向他方側の端部)に同軸となるように連結されている。押圧装置71は、支柱部材28の幅方向他方側に取付部材(図示省略)を介して取り付けられている。移動装置77は、押圧部材75をディスク69の径方向(この例では奥行き方向)に移動させる。なお、ハンド7Aの上記以外の構成は、前述の実施形態に係るハンド7と同様であるため説明を省略する。
【0098】
本変形例によれば、ディスク69をモータ31の出力軸31aに直接連結することができるので、例えばディスク69を第1ねじ軸57や第2ねじ軸59に連結する場合のように、モータ31の出力軸31aに対して間接的に連結する場合に比べて、ブレーキの安定性をさらに向上できる。また、支柱部材27の幅方向一方側のスペースが空くので、このスペースに例えばセンサ等の別の機器を設置することが可能となり、さらに高機能なハンドを実現できる。
【0099】
(6-3.ディスクを第2ねじ軸に連結させる場合)
上記実施形態では、ディスク69を第1ねじ軸57に連結する構成としたが、送りねじ機構35のもう一方のねじ軸である第2ねじ軸59に連結してもよい。
【0100】
図12は、本変形例のハンド7Bの構成の一例を表す斜視図である。図12に示すように、ハンド7Bでは、支柱部材27の幅方向一方側において、ディスク69は、第2ねじ軸59(回転軸の一例)の幅方向一方側の端部に同軸となるように連結されている。これに対応して、押圧装置71は、支柱部材27の幅方向一方側における奥行き方向他方側寄りに、取付部材(図示省略)を介して取り付けられている。移動装置77は、押圧部材75をディスク69の径方向(この例では高さ方向)に移動させる。なお、ハンド7Bの上記以外の構成は、前述の実施形態に係るハンド7と同様であるため説明を省略する。
【0101】
本変形例のハンド7Bによれば、モータ31が奥行き方向一方側寄りに配置されるのに対して、ブレーキ装置37を奥行き方向他方側寄りに配置できるので、ハンド7Bの重量バランスを向上できる。
【0102】
(6-4.その他)
以上では、送りねじ機構35が2本のねじ軸57,59を有する構成としたが、例えば1本のねじ軸において一方側と他方側でねじ方向を反対としてフィンガ23,24を開閉させる構成としてもよい。この場合には、ハンドのストロークは小さくなるが、構造が簡素となり部品点数も少なくなるので、さらなる軽量化、小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0103】
また以上では、押圧装置71でディスク69の外周を径方向に押圧する構成としたが、押圧箇所や方向はこれに限定されるものではない。例えば、ディスク69の端面を幅方向一方側又は他方側に向けて押圧する構成としてもよい。
【0104】
また以上では、ハンドが2本のフィンガを有する場合について説明したが、例えば3本のフィンガが120度間隔の放射方向に沿って移動する構成等、3本以上のフィンガを有するハンドとしてもよい。
【0105】
<7.コントローラのハードウェア構成例>
次に、図13を参照しつつ、上記で説明したCPU901が実行するプログラムにより実装された各制御部79,81,83,85等による処理を実現するコントローラ5のハードウェア構成例について説明する。なお、図13中では、コントローラ5のモータに駆動電力を給電する機能に係る構成を適宜省略して図示している。
【0106】
図13に示すように、コントローラ5は、例えば、CPU901と、ROM903と、RAM905と、ASIC又はFPGA等の特定の用途向けに構築された専用集積回路907と、入力装置913と、出力装置915と、記録装置917と、ドライブ919と、接続ポート921と、通信装置923とを有する。これらの構成は、バス909や入出力インターフェース911を介し相互に信号を伝達可能に接続されている。
【0107】
プログラムは、例えば、ROM903やRAM905、ハードディスク等により構成される記録装置917等に記録しておくことができる。
【0108】
また、プログラムは、例えば、フレキシブルディスクなどの磁気ディスク、各種のCD・MOディスク・DVD等の光ディスク、半導体メモリ等のリムーバブルな記録媒体925に、一時的又は非一時的(永続的)に記録しておくこともできる。このような記録媒体925は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することもできる。この場合、これらの記録媒体925に記録されたプログラムは、ドライブ919により読み出されて、入出力インターフェース911やバス909等を介し上記記録装置917に記録されてもよい。
【0109】
また、プログラムは、例えば、ダウンロードサイト・他のコンピュータ・他の記録装置等(図示せず)に記録しておくこともできる。この場合、プログラムは、LANやインターネット等のネットワークNWを介し転送され、通信装置923がこのプログラムを受信する。そして、通信装置923が受信したプログラムは、入出力インターフェース911やバス909等を介し上記記録装置917に記録されてもよい。
【0110】
また、プログラムは、例えば、適宜の外部接続機器927に記録しておくこともできる。この場合、プログラムは、適宜の接続ポート921を介し転送され、入出力インターフェース911やバス909等を介し上記記録装置917に記録されてもよい。
【0111】
そして、CPU901が、上記記録装置917に記録されたプログラムに従い各種の処理を実行することにより、上記の第1制御部79、第2制御部81、第3制御部83、第4制御部85等による処理が実現される。この際、CPU901は、例えば、上記記録装置917からプログラムを直接読み出して実行してもよいし、RAM905に一旦ロードした上で実行してもよい。更にCPU901は、例えば、プログラムを通信装置923やドライブ919、接続ポート921を介し受信する場合、受信したプログラムを記録装置917に記録せずに直接実行してもよい。
【0112】
また、CPU901は、必要に応じて、例えばマウス・キーボード・マイク(図示せず)等の入力装置913から入力する信号や情報に基づいて各種の処理を行ってもよい。
【0113】
そして、CPU901は、上記の処理を実行した結果を、例えば表示装置や音声出力装置等の出力装置915から出力してもよく、さらにCPU901は、必要に応じてこの処理結果を通信装置923や接続ポート921を介し送信してもよく、上記記録装置917や記録媒体925に記録させてもよい。
【0114】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0115】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさ、形状、位置等が「同一」「同じ」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「同じ」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0116】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0117】
1 ロボットシステム
3 ロボット
5 コントローラ
5A コントローラ
7 ハンド
7A ハンド
7B ハンド
23 第1フィンガ
24 第2フィンガ
25 ベース部材
29 リニアガイド(支持部材)
31 モータ
31a 出力軸(回転軸)
31A モータ
37 ブレーキ装置
57 第1ねじ軸(回転軸)
59 第2ねじ軸
61 第1ナット
63 第2ナット
69 ディスク(回転体)
71 押圧装置
73 摩擦材
75 押圧部材
77 移動装置
79 第1制御部
81 第2制御部
83 第3制御部
85 第4制御部
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
図12
図13