(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
B65D81/34 T
(21)【出願番号】P 2021014063
(22)【出願日】2021-02-01
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2020015963
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】516339667
【氏名又は名称】有限会社山本商事
(74)【代理人】
【識別番号】100182121
【氏名又は名称】三宅 紘子
(72)【発明者】
【氏名】山本 潤一
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-157133(JP,A)
【文献】特開2001-299248(JP,A)
【文献】特開平11-346923(JP,A)
【文献】特開2006-304661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1内容物を収容する第1収容空間が設けられ、該第1収容空間に連通する第1開口部が開閉可能に設けられた外袋体と、
前記外袋体の内部に配置されて、第2内容物を収容する第2収容空間が設けられ、該第2収容空間に連通する第2開口部が開閉可能に設けられた内袋体とを備え、
前記第1開口部と前記第2開口部とは、前記外袋体が自立した状態で、鉛直方向の上端部に隣接して配置されて、
前記外袋体は、前記第1収容空間の内部圧力を低減するための気体排出口を備え、
前記第2開口部とは別に設けられ、前記第2収容空間に収容された前記第2内容物を外部へ排出する第2排出口をさらに備え、
前記第2排出口は、前記外袋体が自立した状態で、前記外袋体の水平方向の一側端部から外方へ突出する第2凸部を有することを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記第1開口部とは別に設けられ、前記第1収容空間に収容された前記第1内容物を外部へ排出する第1排出口をさらに備え、
前記第1排出口は、前記外袋体が自立した状態で、前記外袋体の水平方向の他側端部から外方へ突出する第1凸部を有し、
前記第1排出口と前記第2排出口とは、前記外袋体が自立した状態で鉛直方向に対称に配置されることを特徴とする
請求項1記載の包装袋。
【請求項3】
前記外袋体が自立した状態で、前記第2排出口は前記外袋体の水平方向の一側端部に配置されて、前記気体排出口は前記外袋体の水平方向の他側端部に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を加熱することができるとともに内容物の運搬用にも使用することができる包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
災害時等のライフラインが断絶された状況において、飲食物を温めたり湯を沸かしたりするための加熱方法として水と反応する発熱剤を用いたものがある。
【0003】
この発熱剤を用いた加熱処理パックとして例えば特許文献1に記載のものがある。特許文献1記載の加熱処理パックは、外装体と、外装体との間に密閉空間を形成するように外装体の内側に支持された状態で収容され被加熱対象物を収容する内装体とを備え、該密閉空間内に反応水を収容する反応水収容体と、発熱剤を収容する発熱剤収容体を配置する。この加熱処理パックは、パックに所定圧力をかけると反応水収容体から密閉空間内に水が流れ込み、この水が発熱剤収容体内に入り込んで発熱剤と反応して内装体に配置された被加熱対象物を加熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の加熱処理パックでは、一度しか使用することができない。そのため、緊急時に備えて複数の加熱処理パックを用意する必要があり、コストがかかるうえにその保管場所を確保する必要がある。併せて、再利用することができない使用済みの加熱処理パックは廃棄する他なく、災害ごみを増加させる観点からも好ましくない。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みて発明されたものであって、加熱処理を繰り返し実施して再利用することができるとともに、加熱目的以外にも使用することができ、災害時等のライフラインが断絶された状態において有用に使用することができる包装袋を提供することをその主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の包装袋は、第1内容物を収容する第1収容空間が設けられ、該第1収容空間に連通する第1開口部が開閉可能に設けられた外袋体と、前記外袋体の内部に配置されて、第2内容物を収容する第2収容空間が設けられ、該第2収容空間に連通する第2開口部が開閉可能に設けられた内袋体とを備え、前記第1開口部と前記第2開口部とは隣接して配置されて、前記外袋体は、第1収容空間の内部圧力を低減するための気体排出口を備えることを特徴とする。
【0008】
上述の構成により、外袋体の第1収容空間に連通する第1開口部及び内袋体の第2収容空間に連通する第2開口部が開閉可能に設けられているので、該第1開口部から第1収容空間に発熱剤及び発熱剤と反応する反応水を入れるとともに、内装体の第2収容空間に連通する第2開口部から被加熱対象物を入れて、第1開口部及び第2開口部を閉じて第1収容空間及び第2収容空間を密閉すれば、発熱剤と反応水との反応によって被加熱対象物を加熱することができる。このとき、発熱剤の反応によって発生する蒸気を気体排出口から逃がすことで、第1収容空間の内部圧力を下げて外袋体が破裂することを防止する。また、使用後は第1収容空間に配置されていた発熱剤及び反応水を第1開口部から取り出して、新たに発熱剤及び反応水を入れれば再度加熱を行うことができ、何度でも包装袋を使用することができる。また、本発明の包装袋は、被加熱対象物が収容される第2収容空間と、発熱剤及び反応水が収容される第1収容空間とが区切られて別々に配置されているので、発熱剤によって被加熱対象物が汚れることを防止できる。
【0009】
さらに、本発明の包装袋は、加熱処理を行わない場合には、第1収容空間および第2収容空間に例えば自治体や自衛隊等から配給される水等を入れて運搬することもでき、災害時等において有用に活用することができる。
【0010】
本発明の包装袋の具体的な一態様としては、前記第1収容空間に収容された前記第1内容物を外部へ排出する第1排出口と、前記第2収容空間に収容された前記第2内容物を外部へ排出する第2排出口とが設けられているものを挙げることができる。
【0011】
このように構成すれば、第1内容物又は第2内容物の少なくともいずれか一方が液体であった場合に、該液体で構成される内容物を収容する収容空間に接続された第1排出口又は第2排出口の少なくともいずれかから液体をより容易に外部へ排出することができる。また、加熱処理時には、加熱処理の対象が液体であった場合、加熱された液体を第2排出口から容易に排出することができ、使用者が加熱された液体によって火傷すること等を防止することができるとともに、第1収容空間に配置された反応後の発熱剤が含まれた反応水をより容易に第1排出口から排出して後片付けの手間を省くことができる。
【0012】
本発明の包装袋の具体的な一態様としては、前記第1排出口は、前記外袋体の一方側端部に配置されるとともに、前記第2排出口は、前記外袋体の他方側端部に配置されるものを挙げることができる。
【0013】
このように構成すれば、第1排出口の排出方向と第2排出口の排出方向とが異なるので、例えば第1排出口から排出される加熱後の発熱剤を含む反応水が誤って第2排出口から排出される飲食物に付着して飲食物が汚染されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、繰り返し加熱処理を行うことができるとともに、加熱処理以外にも運搬用として使用することができる包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図6】第2実施形態に係る包装袋において
図3のAA線で切断した断面図。
【
図7】第2実施形態に係る包装袋の使用状態を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の包装袋の一実施形態について、以下図面を用いながら詳細に説明する。
【0017】
<第1実施形態>
第1実施形態の包装袋1は、災害時等のライフラインが使用できない状況において、包装袋に入れた内容物の加熱処理を行うとともに、包装袋に入れた内容物を運搬するものであって、
図1に示すように、第1内容物を収容する第1収容空間4が設けられ、該第1収容空間4に連通する第1開口部6が開閉可能に設けられた外袋体2と、外袋体2の内部に配置されて第2内容物を収容する第2収容空間5が設けられ、該第2収容空間5に連通する第2開口部7が開閉可能に設けられた内袋体3とを備える。
【0018】
外袋体2は、矩形状をなす複数のフィルムの側端縁部及び下縁部を重ね合わせて、シールすることにより袋状に形成されている。本実施形態では
図2に示すように、2つのフィルム8a、8bを重ね合わせて、その両側端縁部および両下縁部を例えば熱溶着等でシールすることによって袋状に形成されている。このとき、2つのフィルム8a、8bの上縁部で囲まれる部分が第1開口部6となり、2つのフィルム8a、8bの側端縁部及び下縁部がシールされて形成された空間が第1収容空間4となる。そのため、第1開口部6は第1収容空間4に連通している。本実施形態における第1収容空間4の内容量は、約3.5リットルである。
【0019】
この外袋体2は自立袋であっても良いし非自立袋であってもよいが、本実施形態では、2つのフィルム8a、8bの下縁部が略コの字形状に折り曲げられた折り曲げ部分を有し(不図示)、この折り曲げ部分を重ね合わせてシールすることにより包装袋1の底部とした自立袋となっている。なお、この底部を山型に折り曲げれば、包装袋1を折り畳んで包装袋1の厚みを薄く構成することができ、包装袋1の収容スペースを小さくすることができる。
【0020】
内袋体3は、
図2に示すように、一枚のフィルム9を2つに折り曲げた状態で外袋体2の内部に配置するとともに、該フィルム9の両側端縁部を外袋体2の2つのフィルム8a、8bの側端縁部でそれぞれ挟み込むように配置してこれらをシールすることによって外袋体2の内部に袋状に形成される。このとき、フィルム9の折り曲げられた上縁部及び下縁部は隣接して配置されて、この上縁部及び下縁部で囲まれる部分が第2開口部7となる。また、折り曲げたフィルム9の両側端縁部をシールして形成された空間が第2収容空間5となる。そのため、第2開口部7は第2収容空間5に連通している。本実施形態における第2収容空間5の内容量は約1.8リットルである。
【0021】
ここで、内袋体3の折り曲げられたフィルム9の上縁部及び下縁部は、外袋体2の2つのフィルム8a、8bの上縁部にもそれぞれ隣接して配置されている。本実施形態においては、フィルム8bの上縁部と、フィルム8bに隣接したフィルム9の下縁部とがシールされている。このとき、フィルム8bの上縁部とフィルム9の下縁部はその端縁のみがシールされており、互いに隣接するフィルム8b及びフィルム9の一面はシールされずに配置される。上述の構成により、包装袋1においては、第1開口部6と第2開口部7とが隣接して配置されるとともに、平面視において包装袋1には第1開口部6及び第2開口部7の2つの開口が設けられる。
【0022】
外袋体2のフィルム8a、8b及び内袋体3のフィルム9を構成する材料としては、直接食品を収容可能な食品衛生法に規定されているものであればよく、この具体例としては耐熱性を有するプラスチック素材やアルミ箔等の金属素材、また、耐熱性、耐水性、耐油性を備える紙素材等を用いることができ、本実施形態ではポリエチレンが用いられている。また、このフィルムは単層フィルムであっても良いし、2層以上からなる積層フィルムであってもよい。さらにこのフィルムはガスバリアー性を備えた複合フィルムであってもよい。
【0023】
第1開口部6及び第2開口部7を開閉可能にする構成としては、外袋体2及び内袋体3の上縁端部を折り曲げてその開閉を行うものであっても良いし、例えば外付けのクリップ等を用いて開閉を行うものであってもよい。外袋体2及び内袋体3の上縁端部を折り曲げてその開閉を行うものにあっては、折り曲げ線が設けられていることが好ましい。さらに、第1開口部6及び第2開口部7の端縁にチャック等の開閉自在な留め具を設けてこれにより開閉を行ってもよい。
【0024】
また、第1開口部6及び第2開口部7を閉じる外付けのクリップには取っ手が設けられていてもよい。さらに、
図3に示すように、外袋体2を第1開口部6及び第2開口部7が配置する位置(図面の点線部分)から上方に延設して、この延設された部分に対向するように2つの孔部を設けることにより取っ手30を設けてもよい。この場合、第1開口部6及び第2開口部7の端縁は、例えばチャック等の開閉自在な留め具が設けられていてもよいし、外付けのクリップ等で留めることで開閉可能に設けられていてもよい。
【0025】
外袋体2には第1収容空間4の内部圧力を低減するための気体排出口10が設けられている。気体排出口10は、例えば
図1、
図2、
図3等に示すように、外袋体2を構成するフィルム8a、8bの一方側端縁部から内方に張り出して設けられている。気体排出口10は、易開封性シールによって構成されて、所定圧力がかかると剥離後退して開封するイージーオープン部11と、該イージーオープン部11に設けられた孔部12とを備え、本実施形態ではイージーオープン部11は半円形状に構成されている。なお、イージーオープン部11は、例えばイージーオープンテープ等を用いて構成することができる。この気体排出口10は、第1収容空間4の内部圧力が上昇すると、イージーオープン部11が剥離後退して第1収容空間4と孔部12が連通する。これにより、第1収容空間4で発生する蒸気等の気体が孔部12から排出されて、第1収容空間4の内部圧力が低減する。なお、イージーオープン部11の構成は上述のものに限られず、適宜所望の形状に構成することができる。
【0026】
また、気体排出口10は、
図4に示すように、外袋体2を構成するフィルム8a、8bに設けられたスリット30によって構成することもできる。この場合、スリット30は、例えばフィルム8a、8bの一方側端縁部近傍にそれぞれ設けられ、クロス形状に構成される。これにより、第1収容空間4の内部圧力が上昇すると、このスリット30から第1収容空間4で発生する蒸気等の気体が排出されて、第1収容空間4の内部圧力が低減する。なお、スリット30の形状や位置は上述のものに限られない。またスリット30は、フィルム8a、8bのいずれか一方にのみ形成されたものであってもよい。加えて、フィルム8a、8bに形成されるスリット30の個数も1個であってもよいし、複数設けられたものであってもよい。
【0027】
さらに、気体排出口10は上述の構成に限られず、例えば第1収容空間4から蒸気等の気体を流出させるとともに、第1収容空間4が所定の圧力に達すると気体の流出を停止する調整弁(不図示)等の弁をフィルム8a、8bに設けることによって構成することもできる。加えて、気体排出口10として、外袋体2を構成するフィルム8a、8bに孔部を設けても良い。この場合、孔部の形状や大きさ、個数等については、適宜調整することができる。
【0028】
上述のように構成した第1実施形態の包装袋1の使用態様について、以下説明する。
【0029】
・加熱処理時の使用態様
使用者は、第1開口部6から第1収容空間4に発熱剤を入れる。ここで発熱剤としては生石灰を用いたものや酸化カルシウムとアルミ粉末を用いたもの等があるが、特に限定されず水と反応して発熱する材料であれば好適に使用することができる。次に、第2開口部7に加熱したい内容物(例えば食品や水等)を入れる。最後に、第1開口部6に所定量の反応水を入れた後、第1開口部6及び第2開口部7の開口端を折り曲げてクリップ等で留めることにより、第1開口部6及び第2開口部7を閉じて第1収容空間4及び第2収容空間5を密封する。発熱剤は水に触れるとすぐに化学反応を起こし、第2収容空間5に配置された内容物が加熱される。このとき、該化学反応により発生する蒸気によって第1収容空間4の内部圧力が上昇するが、気体排出口10から蒸気が外部へと排出されるので、第1収容空間4内の圧力が低減される。加熱処理終了後、使用者は第2開口部7から内容物を取り出し、第1開口部6から発熱剤及び反応水を取り出す。使用者は再度加熱処理を行いたい場合には、上述した手順を最初から行うことで繰り返し加熱処理を行うことができる。
【0030】
・加熱処理時以外での使用態様
使用者は、加熱処理を行わない場合には、第1実施形態の包装袋1の第1開口部6又は第2開口部7の少なくともいずれか一方に所望の内容物を入れて第1開口部6及び第2開口部7を例えば外付けのクリップ等で閉じて、第1収容空間4又は/及び第2収容空間5に該内容物を収容して、この内容物を保存または運搬する。ここで、運搬時の使用態様としては例えば自治体や自衛隊等から配給される水の運搬が考えられる。本実施形態の包装袋1は、外袋体2のフィルム8a、8b及び内袋体3のフィルム9に直接食品を収容可能な食品衛生法に規定されている材料が用いられているので、第1収容空間4又は第2収容空間5に食料品を直接入れることができ、食料品として水を選択した場合には給水袋として包装袋1を利用することができる。
【0031】
上述のように構成した第1実施形態における包装袋1は、第1開口部6が開閉可能に設けられているので、加熱処理使用後に第1収容空間4に配置されていた発熱剤及び反応水を取り出して、新たに発熱剤及び反応水を入れれば再度加熱を行うことができ、何度でも使用することができる。また、発熱剤が反応する際に発熱剤が飛び散って被加熱対象物が汚染される場合があったが、本実施形態の包装袋1は被加熱対象物が収容される第2収容空間5と、発熱剤及び反応水が収容される第1収容空間4とが区切られて別々に配置されているので、発熱剤が飛び散ったとしても被加熱対象物が汚染されることを防止できる。
【0032】
また、外袋体2を構成するフィルム8a、8b及び内袋体3を構成するフィルム9に直接食品を収容可能な食品衛生法に規定されている材料が用いられているので、第1収容空間4又は第2収容空間5に直接食品を入れることができる。これにより、第1収容空間4であれば最大で3.5リットル、第2収容空間5であれば最大で1.8リットルの食料品を直接入れて保存・運搬することができる。さらに、外付けクリップ又は外袋体2に取っ手30が設けられていれば、簡便に運搬を行うことができる。また、この食料品が水であった場合、第2収容空間5に直接水を入れて加熱処理を行えば、最大で約1.8リットルの湯を生成することができ、緊急非常時においては、粉ミルクの作成や清拭用として十分な量の湯を生成することができる。
【0033】
加えて、気体排出口10をスリット30によって構成した場合に、スリット30を開口を狭めたクロス形状に構成することにより、必要以上に第1収容空間4から蒸気が排出されることを防いで第2収容空間5に収容された食品等の加熱効率が低下することを防止できる。さらに、気体排出口10を第1収容空間4が第1圧力以上になると開口し、第2圧力以下となると閉塞する調整弁(不図示)で構成すれば、より確実に第1収容空間4から加熱に必要な蒸気が流出することを防止して、加熱効率の低下を防止できる。
【0034】
<第2実施形態>
次に第2実施形態における包装袋20において以下図面を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成を備える部分については同一の符号を付し、説明を省略する。また説明のため、気体排出口10は、イージーオープン部11と、該イージーオープン部11に設けられた孔部12とで構成されるものとする。
【0035】
第2実施形態の包装袋20は、
図5に示すように、第1収容空間4に収容された第1内容物を外部へ排出する第1排出口21と、第2収容空間5に収容された第2内容物を外部へ排出する第2排出口22とが設けられている点が第1実施形態と異なっている。
【0036】
第1排出口21は、外袋体2の気体排出口10が設けられた一方側端縁部において、該一方側端部から外方に突出して設けられた第1凸部23を有し、第1凸部23の上端及び下端には切欠25が対称に設けられている。
【0037】
この第1凸部23は、
図6に示すように外袋体2を構成する2つのフィルム8a、8b及び内袋体3を構成するフィルム9の側端縁部に予め設けられた略凸状形状の第1突出部26により構成される。
【0038】
第1突出部26は、内袋体3のフィルム9の折り曲げられた両側端縁部を外袋体2の2つのフィルム8a、8bの側端縁部でそれぞれ挟み込むように配置してこれらをシールする際に、フィルム8bの側端縁部と折り曲げられた2つのフィルム9の両側端縁部とをシールして構成される。これにより、フィルム8aとフィルム8aに隣接するフィルム9のとの間に第1排出口21が形成される。この第1排出口21は、第1収容空間4に連通する。そして、フィルム8aとフィルム8aに隣接するフィルム9の端縁をシールすることによって、第1排出口21を密閉する。
【0039】
第2排出口22は、外袋体2の気体排出口10が設けられていない他方側端部において、該他方側端部から外方に突出して設けられた第2凸部24を有し、第2凸部24の上端及び下端には切欠25が対称に設けられている。この第2排出口22と第1排出口21とは、包装袋20を自立させた際の鉛直方向に対称となるように配置されている。
【0040】
この第2凸部24は、
図6に示すように外袋体2を構成する2つのフィルム8a、8b及び内袋体3を構成するフィルム9の側端縁部に予め設けられた略凸状形状の第2突出部27により構成される。
【0041】
第2突出部27は、内袋体3のフィルム9の折り曲げられた両側端縁部を外袋体2の2つのフィルム8a、8bの側端縁部でそれぞれ挟み込むように配置してこれらをシールする際に、フィルム8aとフィルム8aに隣接する2つのフィルム9の一方、及びフィルム8bとフィルム8bに隣接する2つのフィルム9の他方とをシールして構成される。これにより、2つのフィルム9の間に第2排出口22が形成される。この第2排出口22は、第2収容空間5に連通する。そして、第2排出口22を形成する2つのフィルム9の両端縁をシールすることによって、第2排出口22を密閉する。
【0042】
上述のように構成した第2実施形態における包装袋20は、第1収容空間4に液体が収容されている場合には、第1排出口21に設けられた切り欠き25から第1凸部23を切り取れば、第1排出口21が開封されて第1収容空間4に収容する液体を排出することができる。また、第2収容空間5に液体が収容されている場合には、
図7に示すように第2排出口22に設けられた切欠25から第2凸部24を切り取れば第2排出口22が開封されて、第2収容空間5に収容する液体を外部へ取り出すことができ、容易に液体を外部へと送出することができて使用者の使い勝手を向上させることができる。
【0043】
また、第1凸部23又は第2凸部24を切り取った状態であっても、第2収容空間5に被加熱対象物を入れて、第1収容空間4に発熱剤及び反応水を入れれば被加熱対象物を加熱することができ、被加熱対象物が例えば水であった場合には加熱後の湯を簡単に第2排出口22から外部へ取り出すことができ、使用者が火傷等することなく安全に使用することができる。
【0044】
さらに、加熱後の反応水を第1排出口21から排出した後に、第1収容空間4に残留する発熱剤を取り出せば、加熱処理後の後片付けも簡便に行うことができ、使用者の使い勝手をさらに向上できる。
【0045】
加えて、本実施形態の包装袋20においては、第1排出口21と第2排出口22とが包装袋20を自立させた鉛直方向に対称に設けられているので、第1排出口21から排出される内容物と、第2排出口22から排出される内容物とが接触することがない。そのため、例えば第2収容空間5に飲食物を収容するとともに第1収容空間4に発熱剤と反応水が収容されていた場合に、誤って飲食物が加熱処理後の発熱剤や反応水に触れて汚染されることを防止できる。
【0046】
また、外袋体2において一方側端部に気体排出口10を配置するとともに、他方側端部に第2排出口22を配置したことにより、気体排出口10と第2排出口22の排出方向がそれぞれ異なる。そのため、第2収容空間5に収容されて加熱処理された液体を第2排出口22から排出するときに、誤って第1収容空間4に収容された反応水が気体排出口10から漏れて、加熱処理された液体と混ざることを防ぎ、より確実に汚染を防止することができる。
【0047】
本発明は上述の実施形態に限られたものではない。
【0048】
上述した実施形態において第2収容空間は1つのみ設けられていたが、複数の第2収容空間を設けてもよい。この方法としては、例えば、内袋体を構成する折り曲げたフィルムを外袋体の内部に複数配置してもよいし、内袋体を構成する折り曲げたフィルムの中に区切りを設けて複数の収容空間を設けてもよい。上述のように構成すれば、例えば飲食物を加熱する際に例えば一方は水、他方はおにぎり等のように複数種類の飲食物を同時に加熱することができるので、使用者の使い勝手をさらに向上できる。なお、複数の第2収容空間を設けた場合に、第2実施形態で説明した第2排出口を設ける際には、1つの第2収容空間のみに第2排出口を設けてもよいし、複数の第2収容空間のそれぞれに第2排出口を設けてもよい。
【0049】
また、第1排出口及び第2排出口は第2実施形態にとらわれず、例えば外袋体の片側側端部のみに設けられていてもよい。この場合、上下方向に第1排出口及び第2排出口がそれぞれ設けられていてもよいし、第1排出口及び第2排出口が同位置に設けられ、第1排出口と第2排出口とが隣り合うように設けられていてもよい。なお、この場合であっても外袋体の一方側端部に第1排出口及び第2排出口を設け、他方側端部に易開封性シール部を設ける。これにより、易開封性シール部から反応水が漏れて、第2排出口から排出される液体が汚染されることを防止する。
【0050】
さらに、第1開口部及び第2開口部は開閉可能に設けられていればよく、上記実施形態では外付けのクリップ等を用いて第1開口部及び第2開口部の開口を閉じていたが、例えば第1開口部及び第2開口部に開閉自在なテープ等の留め具を設けてもよい。また、第1排出口及び第2排出口が開閉可能に設けられていてもよい。この場合は上述の方法の他に例えばキャップ等を設けてもよい。
【0051】
気体排出口は第1収容空間の内部圧力を低減するものであれば良く、その構成は上述した構成に限られず、形状、大きさ、位置、個数等を適宜変更することができる。例えば、上記実施形態では外袋体を構成するフィルムの一方端縁部、またはその近傍に気体排出口を設けていたが、両縁端部に気体排出口を形成しても良い。また、気体排出口の構成として、イージーオープン部、スリット、弁、孔部を適宜組み合わせて構成してもよいし、これ以外の構成を使用することもできる。
【0052】
さらに、第2実施形態では、説明のため気体排出口10を、イージーオープン部11と、該イージーオープン部11に設けられた孔部12とで構成したが、スリットや弁、孔部によって構成してもよい。この場合、例えばスリットであれば、スリットが近傍に配置される外袋体の一方側端縁部に第1排出口を設けて、スリットと離間して配置される外袋体の他方側端縁部に第2排出口を設ける。これにより、スリットから誤って第1収容空間4に収容された反応水が漏れて、第2排出口から排出される液体と混ざることを防止できる。
【0053】
加えて、切欠の構成も上述の実施形態にとらわれたものではなく、第1突出部及び第2突出部を切り取って、第1排出口及び第2排出口の密封状態を開封するものであればよく、例えば切り取り線などが用いられていてもよい。また、第1突出部及び第2突出部の構成も上述の実施形態に捉われない。
【0054】
さらに、上述の実施形態ではフィルム8bの上端部とフィルム9の下端部において端縁がシールされていたが、シールされていなくてもよい。この場合、平面視において第2開口部を挟んで第1開口部が2つ配置されることになる。
【0055】
また、第1排出口及び第2排出口はエンボス加工等のプレス加工が施されていてもよい。このように構成することで第1収容空間や第2収容空間からの液体の排出を容易にすることができる。
【0056】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0057】
1・・・包装袋
2・・・外袋体
3・・・内袋体
4・・・第1収容空間
5・・・第2収容空間
6・・・第1開口部
7・・・第2開口部
10・・・気体排出口