(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】飲料容器携帯具
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
B65D81/38 N
(21)【出願番号】P 2021006822
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000111867
【氏名又は名称】パール金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】高波 文雄
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-145510(JP,A)
【文献】特開2004-217275(JP,A)
【文献】特開平10-324341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
B65D 23/00
B65D 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器を収納する容器本体と、容器本体の上方開口部に、容器本体に収納した飲料容器の栓部分を外方へ突出させた状態で装着するキャップ体で構成される飲料容器携帯具であって、キャップ体が、容器本体に装着する筒状装着部と、頂部に前記栓部分を突出させる頂部開口部を
備えるキャップ部とからなり、前記キャップ部が、前記頂部開口部と筒状装着部との間を、多段の輪状板部と前記輪状板部間を可撓部で連結して山形斜面となるように形成し、前記輪状板部の折畳みで容器抑え箇所の高さ変更を可能としたことを特徴とする飲料容器携帯具。
【請求項2】
頂部開口部の開口下縁に飲料容器の抑え突部を突設してなる請求項1記載の飲料容器携帯具。
【請求項3】
山形斜面を上段板部、中段板部、下段板部の三段の板部で構成すると共に、頂部開口部と上段板部、及び下段板部と筒状装着部の間も可撓部で連結してなる請求項1又は2記載の飲料容器携帯具。
【請求項4】
容器本体が断熱容器である
請求項1又は2記載の飲料容器携帯具。
【請求項5】
容器本体へのキャップ体の装着構造を螺合構造としてなる
請求項1又は2記載の飲料容器携帯具。
【請求項6】
容器本体へのキャップ体の装着構造を嵌合構造としてなる
請求項1又は2記載の飲料容器携帯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットボトルのような飲料容器の携帯に供する携帯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の飲料は、その流通のために適宜な容器が使用されており、容器としては近年ペットボトルが多用されている。また飲料容器は水筒同様に携帯して喫飲するために、従前より種々の構造の飲料容器携帯具(ペットボトルホルダー)が知られている。例えば特許文献1には、断熱構造の容器本体と容器本体に収納した飲料容器(ペットボトル)の首部を抑えて前記容器本体に装着するキャップ体とで構成し、保温保冷状態のままペットボトルの開閉栓が可能な保温携帯具が開示されている。
【0003】
また特に近年多数流通している500mlから600mlの容量の範囲のペットボトルは、その形状が相違しており、これらの形状の相違に対応できる携帯具も知られている。特許文献2には、容器本体の底部にバネ部材を内装し、収納したペットボトルを押し上げてキャップ体に飲料容器の首部が当接して対応する手段が開示されており、また特許文献3には、底部にフランジ部を備えた筒状スペーサーを配置し、前記のスペーサーの上下切り替え配置で対応する手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-194360号公報。
【文献】特開2018-773号公報。
【文献】登録実用新案3229902号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
飲料容器(ペットボトル等)の形状相違(首部高さの相違)に対応する手段として、上記特許文献2,3に示された構成では、容器本体内の底部に調整用部材(バネ部材又はスペーサー)を組み込む必要があり、特に部材の増加は、製造コストに直接影響する。
【0006】
操作性においても、特許文献2記載の手段では、バネ部材のバネ反発力を高めておくとバネ反発力に抗してのキャップ体の装着となり、キャップ体装着が煩瑣であり、逆に弱いと収納した飲料容器の押上力が不足することになる。特許文献3記載の手段では、いちいちスペーサーを容器本体から取り出しての変更となるので、非常に煩瑣である。
【0007】
そこで本発明は、形状の相違する飲料容器に対応できるキャップ体を備えた新規な飲料容器携帯具を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1記載に係る飲料容器携帯具は、飲料容器を収納する容器本体と、容器本体の上方開口部に、容器本体に収納した飲料容器の栓部分を外方へ突出させた状態で装着するキャップ体で構成される飲料容器携帯具であって、キャップ体が、容器本体に装着する筒状装着部と、頂部に前記栓部分を突出させる頂部開口部を備えるキャップ部とからなり、前記キャップ部が、前記頂部開口部と筒状装着部との間を、多段の輪状板部と前記輪状板部間を可撓部で連結して山形斜面となるように形成し、前記輪状板部の折畳みで容器抑え箇所の高さ変更を可能としたことを特徴とするものである。
【0009】
而して容器本体に飲料容器(通常はペットボトル)を収納し、頂部開口部から飲料容器の栓部を外方に突出させる状態でキャップ体を容器本体に装着するもので、前記装着に際してキャップ体の山形斜面を必要に応じて可撓部で折畳むと、山形斜面の高さを変更できるので、ペットポトルの形状の相違(肩部の高さの相違)に対応できるものである。
【0010】
また本発明の請求項2記載に係る飲料容器携帯具は、上記の飲料容器携帯具において、特に頂部開口部の開口下縁に飲料容器の抑え突部を突設してなり、前記抑え突部が容器本体に収納された飲料容器の肩部に当接して、飲料容器を容器本体内に抑え込み、飲料容器の安定した携帯を実現する。
【0011】
また本発明の請求項3記載に係る飲料容器携帯具は、上記の飲料容器携帯具において、特に山形斜面を上段板部、中段板部、下段板部の三段の板部で構成すると共に、頂部開口部と上段板部、及び下段板部と筒状装着部の間も可撓部で連結してなるもので、山形斜面の非折畳み時、上段板部のみを押し込んだ折畳み状態時、下段板部のみを押し込んだ折畳み状態時、上段板部及び下段板部を押し込んだ折畳み状態時の各頂部開口部の高さ位置を選択できる。
【0012】
また本発明の請求項4記載に係る飲料容器携帯具は、上記の飲料容器携帯具において、特に容器本体を断熱容器としたもので、従前の他の保温保冷携帯具と同様に、飲料の保温保冷状態での携帯が可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構成は上記のとおり容器本体とキャップ体で構成される飲料容器携帯具において、キャップ体を容器本体に装着した際の頂部開口部の高さを変更可能としたもので、特に別部材を採用することなく、キャップ体の改良で形状の相違するペットボトルに対応できたものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態のキャップ体の全体図及び断面図。
【
図3】同使用状態の全体斜視図及び一部拡大断面図(非折畳み状態時)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に本発明の実施形態について説明する。実施形態に示した飲料容器携帯具は、市販され流通している500mlから600mlの容量の範囲のペットボトル(飲料容器)A~D(全高・胴部径、肩部形状が相違する)を対象としたもので、容器本体1とキャップ体2で構成している。
【0016】
容器本体1は、ステンレス製の真空二重容器で、前記ペットボトルA~Dのうち胴部径が最大のものが収納できる内径を備え、且つ最低高の栓部aが突出可能である高さに形成した筒状容器で、上方開口部11の外周面に螺合連結部12を設けてなる。
【0017】
キャップ体2は、硬質樹脂で形成した円筒状のべース部(筒状装着部)2aと、ベース部2aの上方に連設したキャップ部2bからなり、ベース部2aの内周面には前記螺合連結部12に装着されるネジ部21を設けてなる。
【0018】
キャップ部2bは、頂部の輪状部22と、ベース部(筒状装着部)2aと連結している裾部との間を山形斜面で連結した構成で、輪状部22は、ペットボトルA~Dの栓部aが突出可能としたφ37mmの頂部開口部221が形成され、頂部開口部221の内周下縁に抑え突部222を突設してなる。
【0019】
山形斜面は、上段板部23、中段板部24、下段板部25の三段の輪状板部と、前記輪状部22と上段板部23の間を連結する第一可撓部26、上段板部23と中段板部24の間を連結する第二可撓部27、中段板部24と下段板部25の間を連結する第三可撓部28、下段板部25とベース部2aとの間を連結する第四可撓部29の各可撓部で連結してなるもので、各可撓部は、薄く形成して各板部の折畳みを可能としたものである。特に第一可撓部26及び第三可撓部28は、谷折り(押し込んでV状に折畳む)となるように薄い部分を形成し、第二可撓部27及び第四可撓部29は、山折りとなるように薄い部分を形成したものである。
【0020】
而して上記携帯具は、ペットボトルA~Dの何れかを容器本体1に収納し、キャップ体2を被冠装着して、保温・保冷状態での携帯に供するもので、携帯対象のペットボトルA~Dの形状の相違に対応してキャップ体2を適宜折畳み調整して使用するものである。
【0021】
具体的には、全高が最も高いペットボトルAを携帯する場合は、キャップ体2の山形斜面部分をそのままとして、ペットボトルAを容器本体1に収納した後にキャップ体2を容器本体に装着すると、
図3に示すように、ペットボトルAの栓部が頂部開口部221から外方に突出し、輪状部22の抑え突部222と第三可撓部28がペットボトルAの肩部に当接した状態となり、ペットボトルAの携帯状態となる。
【0022】
またキャップ体2の山形斜面の折畳みで高さの異なるペットボトルB~Cの携帯も可能となるもので、
図4に示すように、輪状部22を押し込むと、上段板部23が折り込まれた状態となり、
図3の場合よりも輪状部22が低位置となり、ペットボトルAより高さが低いペットボトルBの肩部に抑え突部222が当接してペットボトルBの携帯状態となる。
【0023】
また
図5,6に示すように、輪状部22を押し込まずに下段板部25のみを下方に押し込んだ場合(
図5)、前記押し込み状態で更に輪状部22を押し込む状態のように、山形斜面の折畳み状態を選択でき、高さの異なるペットボトルC,Dの携帯に供することができる。
【0024】
なお本発明は、前記のように上下三段の板部23、24,25で形成せずに、上下二段の板部として二段階切り替えの構造としても良いし、また
図7に示すように、容器本体1Aの上方開口部11の外周に螺合連結部12を形成せずに、ベース部2cを柔軟樹脂で形成したキャップ体2Aを採用し、キャップ体2Aに容器本体1Aを嵌合装着する構造を採用しても良い。
【符号の説明】
【0025】
1,1A 容器本体
11 上方開口部
12 螺合連結部
2,2A キャップ体
2a,2c べース部(筒状装着部)
2b キャップ部
21 ネジ部
22 輪状部
221 頂部開口部
222 抑え突部
23 上段板部
24 中段板部
25 下段板部
26 第一可撓部
27 第二可撓部
28 第三可撓部
29 第四可撓部
A,B,C,D ペットボトル(飲料容器)