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特許7194418タイル係合金物、金物付きタイル、タイル係合金物を用いた壁構造
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  • 特許-タイル係合金物、金物付きタイル、タイル係合金物を用いた壁構造 図1
  • 特許-タイル係合金物、金物付きタイル、タイル係合金物を用いた壁構造 図2
  • 特許-タイル係合金物、金物付きタイル、タイル係合金物を用いた壁構造 図3
  • 特許-タイル係合金物、金物付きタイル、タイル係合金物を用いた壁構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】タイル係合金物、金物付きタイル、タイル係合金物を用いた壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
E04F13/08 102H
E04F13/08 101F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018146765
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2020020232
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】591051209
【氏名又は名称】株式会社日本陶業
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】深谷 献一
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-340062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の当接部と、
前記当接部の下端を折曲して形成した係合部と、からなり、
前記係合部は、前記当接部の下端を折曲して突出した突出部と、前記突出部の突出端を下方に折曲した裏足係合部を有し、
前記突出部の横方向の中央付近には、前記当接部から離れる方向に折曲して立ち上げた複数の係止片を有し、
それぞれの前記係止片の高さが異なることを特徴とする、タイル係合金物。
【請求項2】
請求項1に記載のタイル係合金物を裏足内部に配置した、金物付きタイル。
【請求項3】
壁面材の表面に設けたリブ又はレールに、請求項1に記載のタイル系合金物を裏足内部に配置したタイルを固定した、タイル係合金物を用いた壁構造であって、
前記タイルの前記裏足の上端を前記リブ又は前記レールの上部に係合し、
前記タイル係合金物の前記係止片を前記リブ又は前記レールの下部に係合することを特徴とする、タイル係合金物を用いた壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物の壁面にタイルを取り付ける際に用いるタイル係合金物、該タイル係合金物を取り付けた金物付きタイル、該タイル係合金物を用いた壁構造およびその構築方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁面をタイル張りで仕上げた建物は高級感があり人気である。
壁面にタイルを配置する工法としては、壁面にモルタルや接着剤を塗布し、モルタル面にタイルを張り付ける湿式タイル工法が一般的であったが、最近は、壁面にステンレス製のレールを配置し、タイルの裏足とレールとを嵌合して配置するカーニバル工法に代表される乾式タイル工法も広く普及している。
【0003】
また、近年は外壁を押出成形セメント板により構成する建築物が増加している。
押出成形セメント板からなる壁面材は表面にリブを有しており、タイルの裏足を掛止することにより、タイルを表面に配置する(図7)。
このとき、裏足と壁面材との間には接着剤を配置して、接着剤を固化することで、タイルと壁面材とを一体としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来の押出成形セメント板へのタイルの配置方法には、以下のような課題があった。
(1)接着剤による固定のため、接着剤が劣化して剥がれてしまうと、タイルが剥離するおそれがある。
(2)接着剤による固定のため、10年毎の外壁全面打診検査が必要となる。
【0005】
本発明の目的は、容易に乾式構造によりタイルを壁面に取り付けることができるタイル係合金物と、タイル係合金物付きタイル及び、タイル係合金物を用いた壁構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本願の第1発明は、平板状の当接部と、前記当接部の下端を折曲して形成した係合部と、からなり、前記係合部は、前記当接部の下端を折曲して突出した突出部と、前記突出部の突出端を下方に折曲した裏足係合部を有し、前記突出部の横方向の中央付近には、前記当接部から離れる方向に折曲して立ち上げた複数の係止片を有し、それぞれの前記係止片の高さが異なることを特徴とする、タイル係合金物を提供する。
本願の第2発明は、第1発明のタイル係合金物を裏足内部に配置した、金物付きタイルを提供する。
本願の第発明は、壁面材の表面に設けたリブ又はレールに、第1発明のタイル係合金物を裏足内部に配置したタイルを固定した、タイル係合金物を用いた壁構造であって、前記タイルの前記裏足の上端を前記リブ又は前記レールの上部に係合し、前記タイル係合金物の前記係止片を前記リブ又は前記レールの下部に係合することを特徴とする、タイル係合金物を用いた壁構造を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)タイルの裏足にタイル係合金物を配置して壁面材のリブ又はレールに係止するものであり、誰でも容易に固定作業を行うことができる。
(2)複数の係止片の突出長さを変えることにより、タイルの裏足の形状や壁面のリブの精度誤差を吸収することができる。
(3)接着剤を用いないため、接着剤が劣化してタイルが剥離するおそれがない。
(4)接着剤を用いない乾式構造のため、10年毎の外壁全面打診検査が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の壁構造の説明図
図2】タイル係合金物の説明図
図3】タイル係合金物の配置状態の説明図
図4】タイル係合金物を用いたタイルの固定の説明図
図5】係止片の説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【実施例
【0010】
(1)壁構造の概要
本発明の壁構造は、建物の壁仕上げをタイル1により行うものである。
タイル1は裏足11内にタイル係合金物2を配置する。そして、建物の壁面材Wに設けたリブRにタイル1の裏足11とタイル係合金物2とを組み合わせて嵌合することで、建物の壁面材Wにタイル1を固定する。(図1
リブRは壁面材Wと一体成形されており、蟻状に壁面材Wから突設している。
【0011】
(2)タイル
タイル1は平面視矩形の板体である。
タイル1の裏面には水平方向に連続する裏足11を形成する。
裏足11の高さ方向の断面は、タイル1の裏面から表面に向けて、タイル1の両外側方向に広がる形状とする。このような形状とすることにより、裏足11の上端と下端には係合空間12ができる。
本実施例のタイル1は相じゃくり状としたが、断面視矩形状でもよい。
【0012】
(3)タイル係合金物
タイル係合金物2は、アルミやステンレスからなる。
タイル係合金物2は、平板状の当接部21と、当接部21の下端を略ク字状に折曲して形成した係合部22と、からなる(図2)。
係合部22は、当接部21の下端を折曲して突出した突出部221と、突出部221の突出端を下方に折曲した裏足係合部222を有する。
また、突出部211の横方向の中央付近には、当接部21から離れる方向に折曲して立ち上げた係止片223a、bを設ける。係止片223a、bは複数都市、それぞれの突出長さを、異なるように形成することが好ましい。
【0013】
(3.1)タイル係合金物の配置
タイル係合金物2は、タイル1の裏足11内部に配置する(図3)。
タイル係合金物2の当接部21を裏足11の深さ方向の底面に当接し、係合部22の下端の裏足係合部222を、裏足11の下端の係合空間12に係合することにより、安定した状態で裏足11内部に配置することができる。
ただし、より安定した状態とするために、当接部21を裏足11の深さ方向の底面に接着剤等と用いて固定してもよい。
タイル係合金物2は、一枚のタイル1に少なくとも一個設ける。
【0014】
(4)タイル係合金物付きタイルの壁面への配置
裏足11にタイル係合金物2を配置したタイル1(図4a)は、裏足11の上端の係合空間12をリブRの上部に係合するように押し当てながら、下部をリブRに押し込む。
タイル係合金物2の係止片223a、bは、弾性を有し、蟻状のリブRの下端により突出部221側に押し込まれる(図4b)。そして、そして、リブRの下端を通過すると、弾性により係止片223a、bは元の状態に戻り、リブRの下部と係合してストッパーとなり、タイル係合金物2と取り付けたタイル1は壁面材Wに固定される。
タイル1の裏足11にタイル係合金物2を配置して壁面材WのリブRに係止するものであり、誰でも容易に固定作業を行うことができる。
また、接着剤を用いない構造のため、接着剤が劣化してタイルが剥離するおそれがない。そして、接着剤を用いない乾式構造のため、10年毎の外壁全面打診検査が不要となる。
タイル1の裏足11の形状や、壁面材WのリブRは精度にバラツキがあり、均一な形状ではない。
このため、係止片223a、bの突出長さを異なるように形成する。
例えば裏足11に対してリブRが下に位置しており、長い係止片223aがリブRに押されて立ち上がらない場合であっても、短い係止片223bが立ち上がって係合する(図5a)。また、裏足11の下部とリブRとの間隔が大きければ長い係止片223aが立ち上がり係合する(図5b)。
このように、突出長さの異なる係止片223a、bにより、精度誤差を吸収することができる。
【0015】
上記実施例においては、壁面材WにはリブRを有するが、リブRの代わりに略同形状のレールを設けて、レールにタイル1およびタイル係合金物2を係止することもできる。
【符号の説明】
【0016】
1…タイル、11…裏足、12…係合空間
2…タイル係合金物、21…当接部、22…係合部、221…突出部、222…裏足係合部、223…係止片
図1
図2
図3
図4
図5