(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】放射線漏洩検査方法および放射線漏洩検査システム
(51)【国際特許分類】
G21K 5/02 20060101AFI20221215BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20221215BHJP
G21K 1/04 20060101ALI20221215BHJP
G21F 7/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
G21K5/02 X
A61B6/00 390E
G21K1/04 P
G21F7/00 Z
(21)【出願番号】P 2019022821
(22)【出願日】2019-02-12
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】594052755
【氏名又は名称】サンレイズ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099977
【氏名又は名称】佐野 章吾
(74)【代理人】
【識別番号】100104259
【氏名又は名称】寒川 潔
(72)【発明者】
【氏名】西澤 賢志
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-016190(JP,A)
【文献】特開昭60-000400(JP,A)
【文献】特開平10-282298(JP,A)
【文献】特開2006-288554(JP,A)
【文献】特開平11-160487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 5/02
A61B 6/00
G21K 1/04
G21F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線漏洩検査を実施する被検査室に水平方向の全周にX線を照射する全周照射式のポータブルX線発生装置を配置するとともに、このポータブルX線発生装置のX線照射口と対面する位置に通過するX線量を調節する線量調節機構を備えた放射線遮蔽カバーで前記ポータブルX線発生装置の少なくともX線照射口周りを囲繞し、かつ、前記線量調節機構の外側に線量調節機構を通過したX線を散乱させる散乱体を配置し、この状態で前記ポータブルX線発生装置からX線を連続照射しつつ、前記被検査室の区画壁からの漏洩放射線量を被検査室の区画壁の外側で測定することを特徴とする放射線漏洩検査方法。
【請求項2】
前記漏洩放射線量の測定にあたり、前記被検査室の区画壁の内周面側のX線の強さが1.0~1000μSv/hの範囲内となるように前記線量調節機構を調節することを特徴とする請求項1に記載の放射線漏洩検査方法。
【請求項3】
水平方向の全周にX線を連続照射可能な全周照射式のポータブルX線発生装置と、
前記ポータブルX線発生装置の少なくともX線照射口周りを囲繞可能な形状を有し、かつ、前記ポータブルX線発生装置のX線照射口と対面する位置に、通過するX線量を調節可能な線量調節機構を備えた放射線遮蔽カバーと、
前記放射線遮蔽カバーの外側に配置され、前記線量調節機構を通過したX線を散乱させる散乱体とを備えていることを特徴とする放射線漏洩検査システム。
【請求項4】
前記線量調節機構は、X線が通過する経路の開口面積を可変することによって通過するX線量を調節する構造を備えていることを特徴とする請求項3に記載の放射線漏洩検査システム。
【請求項5】
前記線量調節機構は、X線が通過する経路を塞ぐ放射線遮蔽材の厚さを変更することによって通過するX線量を調節する構造を備えていることを特徴とする請求項3に記載の放射線漏洩検査システム。
【請求項6】
前記線量調節機構は、X線が通過する経路の開口面積を可変することによって通過するX線量を調節する構造と、X線が通過する経路を塞ぐ放射線遮蔽材の厚さを変更することによって通過するX線量を調節する構造の双方を備えていることを特徴とする請求項3に記載の放射線漏洩検査システム。
【請求項7】
前記散乱体は、少なくとも前記放射線遮蔽カバーを囲み得る筒状を呈していることを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の放射線漏洩検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院等の医療機関におけるX線検査やラジオアイソトープ(放射線同意元素)を用いた治療等において放射線源が配置される部屋からの放射線の漏洩を検査する方法およびそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、病院等の医療関係では、放射線を用いた検査・治療が広く行われている。たとえば、画像診断用のX線撮影や放射線照射によるがん治療(放射線治療)などが例示される。このような放射線を用いた検査・治療は、放射線漏洩防止策が施された専用の部屋(たとえば、レントゲン室、CT室、放射線治療室などが挙げられる。以下、放射線を用いた検査・治療を行う部屋を「放射線室」と総称する。)で行われる。
【0003】
放射線室の周囲は、廊下や他の検査室、待合室であったり、また上下の階が廊下や病室、診察室であったりする。そのため、放射線室から放射線が漏れ出すことがあると、これらの廊下や部屋にいる者が放射線に被曝してしまうので、放射線の漏出を防止する放射線漏洩防止策の徹底が非常に重要となる。
【0004】
ここで、放射線室を構築する際の放射線漏洩防止策として一般的に普及しているのは、放射線室の区画壁(具体的には、区画壁を構成するパネル材)に放射線の透過を阻止する鉛板を貼付する方法である。しかしながら、放射線室の構築にあたっては、区画壁に出入口となる扉を設けたり、あるいは照明器具やコンセントボックスなどの電気設備を設けたりする必要があり、区画壁に穴(開口部)を開ける工事が必要となる。このような開口部には、当該開口部からの放射線漏洩を防止するために、放射線遮蔽材(たとえば、鉛板など)の敷設工事が個別に行われるが、工事作業員の技能差や施工ミス等の人為的要因によって放射線漏れが発生するおそれがある。
【0005】
そのため、放射線室の構築にあたっては、上述した放射線遮蔽材の敷設工事が完了し、室内に放射線を発生させる医療機器(たとえば、X線撮影装置や放射線治療装置などの放射線源)を搬入・設置した後に、搬入した医療機器を使って放射線を発生させ、区画壁の外側に配置した放射線測定器で漏洩放射線量の測定(放射線漏洩検査)を行っている。なお、この検査方法については、「X線治療室の管理区域漏洩線量測定マニュアル(一般社団法人日本画像医療システム工業会 平成25年3月発行)」に詳しく記載されている(非特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、このような従来の放射線漏洩検査は、放射線室に搬入した医療機器を放射線源として実施することから、機器によっては放射線照射時間が極めて短い(たとえば、1秒以下)ものがあり、このように放射線照射時間が短い医療機器の場合、区画壁の全面について放射線漏洩検査を実施するのが困難であった。具体的には、このような場合、区画壁の一部についてのみスポット的に放射線漏洩検査を実施していたため、その他の部位については放射線漏洩検査が実施されないという問題があった。
【0007】
このような放射線漏洩検査の検査漏れを解消するため、出願人は、従来の放射線漏洩検査に代わる検査方法として、放射線源に産業用のポータブルX線発生装置(医療用以外の用途に用いられるX線発生装置)を用いる検査方法を提案している(特許文献1参照)。
【0008】
特許文献1に示す検査方法は、非破壊検査に用いるポータブルX線発生装置を、放射線の照射口のみを開口した放射線遮蔽材からなるカバーで囲繞するとともに、放射線の照射口の前方に人体の代わりとなる水を入れた容器で構成されたファントムを配置することによって、ポータブルX線発生装置から照射される放射線をファントムで拡散させる一方、ポータブルX線発生装置とファントムとの間に放射線の絞り機構を配置し、検査時に区画壁に照射する放射線量を抑制しながら、区画壁の全面に対して放射線漏洩検査を実施するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】X線治療室の管理区域漏洩線量測定マニュアル(一般社団法人日本画像医療システム工業会 平成25年3月発行)
【文献】特許5751602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の放射線漏洩検査には以下の問題があり、その改善が求められていた。
【0011】
すなわち、特許文献1に示す検査方法は、使用するポータブルX線発生装置が非破壊検査用の一般的なX線発生装置、つまり、小型化にあまり重点をおいていない装置であることから、X線発生装置のサイズに応じてX線発生装置を囲繞するカバーや絞り機構も大型化する傾向があり、これら装置等の搬入・設置作業に2~3人の要員が必要であった。そのため、たとえば、放射線遮蔽材の敷設工事を1人で行うような小さな現場(敷設工事の手間が少ない現場など)においても、X線発生装置等の搬入・設置用の要員が別途必要になるという問題があった。
【0012】
また、非破壊検査用の一般的なX線発生装置は放射線を一方向にのみ照射するものであることから、X線発生装置の放射線照射方向とカバーにおける放射線の照射口(開口部)および当該照射口とファントムとが直線状に配置されるように位置合わせを行う必要があった。そのため、これらの装置の設置作業に手間がかかるという問題があった。
【0013】
さらには、一方向に照射された放射線をファントムで四方八方に均等に散乱させる必要があるため、ファントム自体が大型化する一方で、ファントムに照射する放射線量も大きくなる傾向があった。
【0014】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、搬入・設置作業を容易かつ少人数で行え、しかも、検査作業員が被曝するおそれの少ない放射線漏洩検査方法および放射線漏洩検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る放射線漏洩検査方法は、放射線漏洩検査を実施する被検査室に水平方向の全周にX線を照射する全周照射式のポータブルX線発生装置を配置するとともに、このポータブルX線発生装置のX線照射口と対面する位置に通過するX線量を調節する線量調節機構を備えた放射線遮蔽カバーで上記ポータブルX線発生装置の少なくともX線照射口周りを囲繞し、かつ、上記線量調節機構の外側に線量調節機構を通過したX線を散乱させる散乱体を配置し、この状態で上記ポータブルX線発生装置からX線を連続照射しつつ、上記被検査室の区画壁からの漏洩放射線量を被検査室の区画壁の外側で測定することを特徴とする。
【0016】
そして、その好適な実施態様として、上記漏洩放射線量の測定にあたり、上記被検査室の区画壁の内周面側のX線の強さが1.0~1000μSv/hの範囲内となるように上記線量調節機構を調節することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る放射線漏洩検査方法では、放射線源となるX線発生装置として全周照射式のポータブルX線発生装置が用いられるので、当該ポータブルX線発生装置から出力されるX線はポータブルX線発生装置を中心として水平方向に向かって360度(全周に)照射される。
【0018】
ポータブルX線発生装置から照射されたX線は、放射線遮蔽カバーに備えられた線量調節機構によって放射線遮蔽カバーを通過するX線の線量が調節される。具体的には、放射線遮蔽カバーを通過するX線の線量が、放射線漏洩検査の実施に必要な最低限の線量または最低限の線量を下回らない範囲で可及的に低くなるように調節される。なお、このX線量の調節にあたっては、被検査室の区画壁の内周面側のX線の強さが1.0~1000μSv/hの範囲内となるように調節することで、放射線漏洩検査の確実な実施を確保した上で、検査作業員が被曝するおそれを抑制することができ、安全かつ確実に放射線漏洩検査を実施することができるようになる。
【0019】
そして、線量調節機構を通過したX線は、線量調節機構の外側に配置された散乱体で散乱し、被検査室の区画壁の内周面に照射される。これにより、検査作業員が被検査室の区画壁の外側でX線の線量を測定することによって、放射線漏洩の有無を検査することができる。このときポータブルX線発生装置からはX線が連続照射されるので、この間に放射線量の測定器を区画壁に沿って走査(移動)することで、X線の漏洩の有無だけでなく漏洩箇所の特定までを行うことができる。なお、その際、ポータブルX線発生装置からはX線が360度全周に照射されているので、散乱体はそのX線を主に上下方向に散乱させる機能があればよい。そのため、散乱体自体の厚みを薄くすることができる。
【0020】
また、本発明に係る放射線漏洩検査システムは、水平方向の全周にX線を連続照射可能な全周照射式のポータブルX線発生装置と、上記ポータブルX線発生装置の少なくともX線照射口周りを囲繞可能な形状を有し、かつ、上記ポータブルX線発生装置のX線照射口と対面する位置に、通過するX線量を調節可能な線量調節機構を備えた放射線遮蔽カバーと、上記放射線遮蔽カバーの外側に配置され、上記線量調節機構を通過したX線を散乱させる散乱体とを備えていることを特徴とする。
【0021】
そして、その好適な実施態様として、上記線量調節機構は、X線が通過する経路の開口面積を可変することによって通過するX線量を調節する構造を備えていることを特徴とする。また、他の好適な実施態様として、上記線量調節機構は、X線が通過する経路を塞ぐ放射線遮蔽材の厚さを変更することによって通過するX線量を調節する構造を備えていることを特徴とする。また、他の好適な実施態様として、上記線量調節機構は、X線が通過する経路の開口面積を可変することによって通過するX線量を調節する構造と、X線が通過する経路を塞ぐ放射線遮蔽材の厚さを変更することによって通過するX線量を調節する構造の双方を備えていることを特徴とする。さらに、他の好適な実施態様として、上記散乱体は、少なくとも上記放射線遮蔽カバーを囲み得る筒状を呈していることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る放射線漏洩検査システムでは、X線発生装置として全周照射式のポータブルX線発生装置を使用しているので、たとえば、小径の金属パイプの継ぎ目の溶接検査などに用いられる全周照射式の小型X線発生装置(具体的には、一人で持ち運びや検査作業を行える程度の小型のX線発生装置。たとえば、管径(内径)が150mmのパイプの溶接検査が実施可能なX線発生装置)を、本発明のポータブルX線発生装置として用いることができる。
【0023】
また、本発明に係る放射線漏洩検査システムでは、放射線遮蔽カバーにおいて、ポータブルX線発生装置のX線照射口と対面する位置に通過X線量を調節する線量調節機構が備えられているので、放射線遮蔽カバーを通過するX線量を任意に調節することができる。そのため、検査に必要な最小限度のX線量で放射線漏洩検査を実施することができ、検査作業員の被曝のおそれを最小化することができる。
【0024】
さらに、本発明に係る放射線漏洩検査システムでは、放射線遮蔽カバーの外側に配置する散乱体を放射線遮蔽カバーを囲み得る筒状に形成しておくことで、放射線遮蔽カバーの上から散乱体を被せるようにして容易に配置することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、放射線源となるポータブルX線発生装置として小型の産業用X線発生装置を用いることができるので、これを囲繞する放射線遮蔽カバーや放射線遮蔽カバーの外側に配置する散乱体を小型化することができる。そのため、放射線漏洩検査にあたり、これらの装置の搬入・設置を一人で行うことができるようになり、放射線遮蔽材の敷設工事を一人で行うような小さな現場において、敷設工事から放射線漏洩検査までの工程を一人で行うことが可能になる。
【0026】
また、ポータブルX線発生装置として全周照射式のX線発生装置を用いるとともに、ポータブルX線発生装置の外側に散乱体を配置するようにしているので、散乱体の設置にあたり厳密な位置合わせが不要となる。そのため、散乱体等の設置作業を容易かつ迅速に行えるようになる。
【0027】
さらには、ポータブルX線発生装置からは当該ポータブルX線発生装置を中心として360度全周にX線が照射されるので、散乱体が果たすべき役割を軽減でき、散乱体を厚みの薄いコンパクトなものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る放射線漏洩検査システムにおける各装置等の配置例を模式的に示した横断面平面図である。
【
図2】同放射線漏洩検査システムにおける各装置等の配置例を模式的示した縦断面側面図である。
【
図3】同放射線漏洩検査システムにおける線量調節機構の一例を模式的に示しており、
図3(a)は線量調節機構の横断面平面図を、
図3(b)は線量調節機構の側面図を示している。
【
図4】同放射線漏洩検査システムにおける線量調節機構の他の一例(実施形態2)を模式的に示しており、
図4(a)は線量調節機構の横断面平面図を、
図4(b)は線量調節機構の側面図を示している。
【
図5】同放射線漏洩検査システムにおける線量調節機構の他の一例(実施形態3)を模式的に示しており、
図5(a)は線量調節機構の横断面平面図を、
図5(b)は線量調節機構の側面図を示している。
【
図6】同放射線漏洩検査システムにおける線量調節機構の他の一例(実施形態4)を模式的に示しており、
図6(a)は線量調節機構の横断面平面図を、
図6(b)は線量調節機構の側面図を示している。
【
図7】同放射線漏洩検査システムにおける線量調節機構の他の一例(実施形態5)を模式的に示しており、
図7(a)は線量調節機構の横断面平面図を、
図7(b)は線量調節機構の側面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
本発明に係る放射線漏洩検査システムは、放射線室からの放射線漏洩の有無を検査する放射線漏洩検査に用いる器具および装置で構成されており、ポータブルX線発生装置1、放射線遮蔽カバー2、散乱体3および放射線測定器4を主要部として構成されている。
【0030】
ポータブルX線発生装置1は、放射線漏洩検査において放射線源を構成する装置であって、本発明では、このポータブルX線発生装置1として、水平方向の全周にX線を連続照射可能な全周照射式のX線発生装置が用いられる。
【0031】
本実施形態では、このポータブルX線発生装置1として、小径(たとえば、管径が150mm程度)の金属パイプの継ぎ目の溶接検査に用いる全周照射式のX線発生装置、すなわち、溶接検査用として市販されている産業用の小型かつ軽量のX線発生装置が放射線源として用いられる。
【0032】
この種の全周照射式のX線発生装置の構造は公知であるので詳細な説明は省略するが、本実施形態で使用するX線発生装置は、円筒状の筐体内にX線を発生させる機構が備えられるとともに、筐体の全周にわたって帯状に開口されたX線照射口11(
図4参照)が備えられた構造とされており、筐体を起立状態で使用することによって、X線を水平方向に360度全周に照射可能な構造とされている。そして、このポータブルX線発生装置1のX線照射口11からは、
図3(b)に示すように、上下に約45°の広がりをもってX線が照射されるようになっている。
【0033】
なお、本実施形態では、ポータブルX線発生装置1として、X線を数分間(たとえば、3分間)連続照射できるX線発生装置を使用する。このようにX線の連続照射が可能な装置を使用するのは、放射線測定器4を用いた区画壁Bの走査にあたり(詳細は後述する)、一定範囲についての走査(移動)ができる時間を確保するためである。したがって、連続照射時間としては、少なくとも数秒程度、好ましくは十秒以上の連続照射ができることが望ましい。要は、X線の照射が一瞬(たとえば1秒未満)で終わってしまうと放射線測定器4での走査ができないので、走査時間が確保できる程度の連続照射が可能なX線発生装置が用いられる。
【0034】
放射線遮蔽カバー2は、ポータブルX線発生装置1から照射されるX線が後述する線量調節機構5以外の場所から外部に漏れだすのを防止するための器具であって、本実施形態では、ポータブルX線発生装置1を収容可能な形状を有する放射線遮蔽機能を備えた容器で構成されている。本実施形態では、この放射線遮蔽カバー2は、
図1および
図2に示すように、ポータブルX線発生装置1と同様の略円筒形状を有しており、たとえば、カバー本体の全面に鉛板などの放射線遮蔽材を貼付することによって放射線遮蔽機能が付与されている。
【0035】
本実施形態では、この放射線遮蔽カバー2は、カバー本体の上下方向へのX線の漏洩を防止し得るように有底、有蓋の形態とされる。つまり、ポータブルX線発生装置1は、放射線遮蔽カバー2によってその全体が囲繞されるようになっている。そして、たとえば、カバー本体の底部または蓋部を着脱可能に構成することによって、放射線遮蔽カバー2内へのポータブルX線発生装置1の出し入れができるように構成される。
【0036】
また、この放射線遮蔽カバー2は、ポータブルX線発生装置1のX線照射口11と対面する位置に、ポータブルX線発生装置1から照射されるX線を通過させる開口部21(
図4参照)が形成されており、この開口部21に、通過するX線の線量を調節するための線量調節機構5が備えられている。
【0037】
本実施形態では、この線量調節機構5は、上記開口部21を覆うように設けられた縦型の可動ルーバー機構51で構成される。具体的には、
図3に示すように、可動ルーバー機構51は、放射線遮蔽カバー2の円筒外周面の全周に複数の縦長の羽根板52を周回配置してなる構成とされ、これら羽根板52,52,…の傾きを調節することによって、X線が通過する経路となる羽根板52,52の間の開口面積を可変し、これにより通過するX線量(X線の強度)を調節するように構成されている。
【0038】
また、各羽根板52は、いずれも放射線遮蔽機能を有している。すなわち、各羽根板52には、たとえば、その表面又は裏面に鉛板などの放射線遮蔽材が貼付されており、X線が羽根板52を透過しないように構成されている。
【0039】
なお、本実施形態では、線量調節機構5が放射線遮蔽カバー2に取り付けられた場合を示したが、線量調節機構5は、放射線遮蔽カバー2に備えられる構成であれば、放射線遮蔽カバー2とは別体に構成することも可能である。すなわち、線量調節機構5は、放射線遮蔽カバー2の開口部21を通じて外部に照射されるX線の利用線錐方向に配置され、散乱体3に到達するX線の線量を調節可能なように放射線遮蔽カバー2と組をなして備えられていれば、放射線遮蔽カバー2とは別体に構成されていてもよい。
【0040】
散乱体3は、線量調節機構5を通過したX線を散乱させるための器具であって、放射線遮蔽カバー2の外側に配置される。より具体的には、この散乱体3は、透過するX線を散乱させる材質で構成され、少なくとも放射線遮蔽カバー2の外周を囲み得る筒状を呈して構成されている。
【0041】
本実施形態では、この散乱体3は、
図2に示すように、放射線遮蔽カバー2の外周および天井部を覆うように構成された有蓋の略円筒形状をした樹脂成型品で構成されている。ちなみに、本実施形態では、ポータブルX線発生装置1として全周照射式のX線発生装置を使用しているので、この散乱体3を構成する樹脂部分の厚みを薄くしても(たとえば、厚みを数mm程度にしても)散乱体としての機能を十分に果たし得る。したがって、散乱体3を軽量に製作することができる。
【0042】
なお、本実施形態では散乱体3を樹脂のみで構成した場合を示したが、たとえば、散乱体3の円筒状の周壁部分を、内部に空間を有する二重構造で構成し、周壁の内部に水などの液体を充填するようにしてもよい。また、本実施形態では、散乱体3を蓋を備えた構造としているが、蓋を省略し放射線遮蔽カバー2の外周のみを散乱体3で囲うように構成してもよい。さらには、本実施形態では、散乱体3を略円筒形状に構成した場合を示したが、散乱体3は放射線遮蔽カバー2の外側を囲むように配置し得る形状であればよく、たとえば、矩形筒状に構成することなども可能である。
【0043】
放射線測定器4は、被検査室の区画壁の外側に漏れだす放射線量を測定するための測定器であって、携帯可能で、かつ、被検査室の区画壁の外側壁面に沿って走査しながら線量測定を実施できる公知のサーベイメータで構成される。
【0044】
次に、このように構成された放射線漏洩検査システムを用いた放射線漏洩検査の手順について説明する。
【0045】
放射線漏洩検査にあたっては、
図1および
図2に示すように、被検査室(具体的には、レントゲン室、CT室、放射線治療室など、放射線を用いた検査・治療を行う放射線室)Aに、レントゲン撮影機器やCT撮影機器、放射線治療装置など放射線を発生させる医療機器を設置する前に、これら医療機器の設置予定位置または被検査室Aの中央付近に、医療機器に代わる放射線源としてポータブルX線発生装置1を配置する。
【0046】
その際、ポータブルX線発生装置1は、上述したように、放射線遮蔽カバー2によって囲繞された状態、つまり、放射線遮蔽カバー2内に収容され、かつ、ポータブルX線発生装置1のX線照射口11と線量調節機構5とが対面するようにして被検査室A内に配置する。これにより、ポータブルX線発生装置1から照射されるX線は、線量調節機構5を通じて放射線遮蔽カバー2の外側に放射されるようになる。
【0047】
そして、ポータブルX線発生装置1および放射線遮蔽カバー2の配置が完了すると、次に、ポータブルX線発生装置1のX線出力の設定値に基づいて、線量調節機構5の羽根板52,52,…の傾きを調節し、被検査室Aの区画壁Bの内周面に照射されるX線の強度が1.0~1000μSv/hの範囲になるようにする。具体的には、たとえば、ポータブルX線発生装置1のX線出力と線量調節機構5の羽根板52の傾き(X線の通路の開口面積)とによって決定される区画壁BへのX線照射量を、実験または計算によってあらかじめデータ化しておき、当該データに基づいて、ポータブルX線発生装置1のX線出力の設定および線量調節機構5の羽根板5の傾きを調節する。なお、このデータ化にあたっては、ポータブルX線発生装置1から区画壁Bまでの距離や散乱体3の構造(材質、厚み)などを加味してもよい。
【0048】
ここで、区画壁Bの内周面に照射されるX線の強度を1.0~1000μSv/hの範囲としているのは、区画壁Bに照射されるX線の強度が1.0μSv/hに満たない場合には、区画壁Bに放射線漏洩箇所があったとしても、区画壁Bの外側でX線を検出することが難しいからである。つまり、区画壁Bに照射されるX線の強度を1.0μSv/h以上とすることで、X線の漏洩があった場合の検出をミスなく確実に行えるようにしている。一方、区画壁Bに照射されるX線の強度が1000μSv/hを超える場合には、区画壁Bから外部へ漏洩したX線によって、検査作業員等の健康を害する被曝を招くおそれがある。つまり、区画壁Bに照射されるX線の強度を1000μSv/h以下とすることで、放射線漏洩検査を安全に行えるようにしている。なお、区画壁Bの外側で測定されるX線量は、自然状態で観測されるX線量(約0.05μSv/h)の10倍以上であることが望ましい。
【0049】
そして、ポータブルX線発生装置1のX線出力の設定および線量調節機構5の調節が完了すると、次に、線量調節機構5の外側に散乱体3を配置する。本実施形態では、散乱体3は有蓋の略円筒形状をしているので、散乱体3の配置にあたっては、放射線遮蔽カバー2の上から散乱体3を被せるようにして配置することで、線量調節機構5の外側に散乱体3を配置することができる。
【0050】
散乱体3の配置が完了すると、次に、ポータブルX線発生1を起動し、ポータブルX線発生装置1からX線を出力させる。ポータブルX線発生装置1から出力されたX線は、放射線遮蔽カバー2の線量調節機構5を通過して散乱体3に照射される。
【0051】
このとき、放射線遮蔽カバー2は、線量調節機構5以外からX線ができるだけ漏出しないように機能する。一方、ポータブルX線発生装置1から出力されたX線は、ポータブルX線発生装置1の利用線錐方向では線量調節機構5の羽根板52,52,…に照射されることになる。そのため、ポータブルX線発生装置1からの一次放射線がそのまま散乱体3や区画壁Bに照射されることはなく、散乱体3を介して散乱し、
図1および
図2の矢符に示すように、被検査室Aの区画壁Bの全体に拡散照射される。
【0052】
このようにして、被検査室Aの区画壁Bの内周面にX線が照射されると、この状態で、検査作業員は区画壁Bの外側の面(被検査面)を放射線測定器4で縦または横に走査(移動)しながら、被検査面についてX線漏洩の有無を検査する。
【0053】
本実施形態では、ポータブルX線発生装置1はX線を連続照射できるようになっていることから、X線を連続照射しつつ、この間に放射線測定器4で被検査面を走査することで、X線漏洩の有無だけでなく、漏洩箇所をピンポイントで検出することができる。なお、X線の照射時間内で被検査面の走査が完了しないときは、インターバルをとりながら被検査面の走査を継続することで、被検査面の全面を漏れなく検査することができる。
【0054】
このように、本発明に係る放射線漏洩検査システムを用いた放射線漏洩検査では、医療機器を放射線室内に設置する前に放射線漏洩検査を実施することができるので、放射線遮蔽材の敷設工事が施工ミスなく施工されたことを確認した後に医療機器を搬入・設置することができる。
【0055】
また、放射線漏洩検査に用いるポータブルX線発生装置1は小型かつ軽量であり、それに伴って放射線遮蔽カバー2や散乱体3も小型軽量に製作できるので、放射線漏洩検査システムの搬入から検査までを一人の検査作業員で実施することができる。
【0056】
しかも、放射線漏洩検査にあたり、被検査室Aの区画壁Bの内周面に照射されるX線の量が所定の範囲(1.0~1000μSv/h)になるようにしているので、検査作業員等が被曝により健康を害することがなく、確実に放射線漏洩検査を実施することができる。
ちなみに、本発明では、放射線遮蔽カバー2は、開口部21を除く全体に放射線遮蔽材が配されているので、ポータブルX線発生装置1から照射されるX線は、線量調節機構5以外から外部に照射されることはほとんどない。したがって、線量調節機構5を調節することによって、被検査室A内に散乱するX線の線量を確実かつ容易にコントロールすることが可能であり、安全かつ確実な検査を行うことができる。
【0057】
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態を
図4に基づいて説明する。
第2の実施形態では、放射線遮蔽カバー2および線量調節機構5を改変している。具体的には、線量調節機構5の可動ルーバーを縦型から横型に変更するとともに、これに伴って放射線遮蔽カバー2を略円筒形状から略矩形筒状に変更している。その他の構成は上述した実施形態1と共通するので、共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
上述したように、本実施形態の放射線遮蔽カバー2は、カバー本体が有蓋の略矩形筒状に構成される。そして、4面の各周壁において、ポータブルX線発生装置1のX線照射口11と対面する位置には、ポータブルX線発生装置1から照射されるX線を通過させる開口部21が形成されており、これらの開口部21のそれぞれに、通過するX線の線量を調節するための線量調節機構5が備えられている。なお、カバー本体の全面に放射線遮蔽材が貼付等される点は実施形態1と同様である。
【0059】
そして、線量調節機構5を構成する可動ルーバー機構51は、上述したように横型のルーバ機構で構成される。具体的には、
図4に示すように、可動ルーバー機構51は、各開口部21に複数の横長の羽根板53をそれぞれ配置してなる構成とされ、これら羽根板53,53,…の傾きを調節することによって、X線が通過する経路となる羽根板53,53の間の開口面積を可変し、これにより通過するX線量(X線の強度)を調節するように構成される。なお、この横型の可動ルーバー機構51を構成する各羽根板53が放射線遮蔽機能を有している点は実施形態1と同様である。
【0060】
このように構成された第2の実施形態に示す放射線漏洩検査システムは、可動ルーバー機構51が放射線遮蔽カバー2の4面の周壁のそれぞれに備えられる構成となっているので、実施形態1に示す縦型の可動ルーバー機構に比して製作が容易であり、放射線遮蔽カバー2を安価に製作することができる。
【0061】
実施形態3
次に、本発明の第3の実施形態を
図5に基づいて説明する。
第3の実施形態は、上述した実施形態1における線量調節機構5の改変例を示している。この第3の実施形態では、線量調節機構5として、放射線遮蔽カバー2の開口部21の外側に、放射線遮蔽機能を有する2基の筒状体54を内外二重構造で備えている(
図5(a)参照)。その他の構成は上述した実施形態1と共通するので、共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
具体的には、この線量調節機構5は、放射線遮蔽カバー2の開口部21と対面する位置に配置される小径の筒状体54aと、その外側に配置される大径の筒状体54bとを主要部として備えており、これら筒状体54a,54bは、周方向に相対回転可能に構成されている(本実施形態では、小径の筒状体54aを固定側とし、大径の筒状体54bを回転側として構成することで、内外の筒状体54の相対回転を実現している)。
【0063】
そして、各筒状体54には、それぞれ全周に縦長の矩形開口窓55が略一定間隔で複数設けられており、筒状体54を周方向に相対回転させることによって、内外の矩形開口窓55,55同士の重なり合いによって形成される開口窓部(X線が通過する経路)の開口面積を可変できるように構成している。
【0064】
このように、本実施形態に示す放射線漏洩検査システムでは、筒状体54を相対回転させることによって、放射線遮蔽カバー2から外部に照射されるX線の線量を調節するようにしている。なお、本実施形態では、線量調節機構5の構造がシンプルであることから、線量調節機構5を安価に製造することができる。
【0065】
実施形態4
次に、本発明の第4の実施形態を
図6に基づいて説明する。
第4の実施形態は、上述した実施形態1における線量調節機構5の改変例を示している。この第4の実施形態では、線量調節機構5として、放射線遮蔽カバー2の開口部21の外側に、放射線遮蔽機能を有する筒状体56を上下に分割した状態で配置するように構成している。その他の構成は上述した実施形態1と共通するので、共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
具体的には、この線量調節機構5は、上側の筒状体56aと下側の筒状体56bが上下方向に相対移動可能に構成されている(たとえば、本実施形態では、下側の筒状体56bを固定側とし、上側の筒状体56aを移動側として構成することで、上下に配設された筒状体56の相対移動を実現している)。
【0067】
そして、通過するX線の線量の調節にあたっては、上側の筒状体56aと下側の筒状体56bとの間に形成される隙間(X線が通過する経路)の間隔を変更することによって、X線が通過する経路の開口面積を可変できるように構成している。
【0068】
このように、本実施形態に示す放射線漏洩検査システムでは、筒状体56を相対的に上下に移動させることによって、放射線遮蔽カバー2から外部に照射されるX線の線量を調節するようにしている。なお、本実施形態では、線量調節機構5の構造がシンプルであることから、線量調節機構5を安価に製造することができる。
【0069】
実施形態5
次に、本発明の第5の実施形態を
図7に基づいて説明する。
第5の実施形態は、上述した実施形態1における線量調節機構5の改変例を示している。この第5の実施形態では、線量調節機構5として、放射線遮蔽カバー2の開口部21の外側(X線の経路を塞ぐ位置)に配置する筒状体57の厚さを変更することによって、通過する通X線量を調節する構造を採用している。その他の構成は上述した実施形態1と共通するので、共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
具体的には、本実施形態では、線量調節機構5は、内径の異なる複数の筒状体57,57,…で構成される。各筒状体57は、いずれも単独ではX線の透過を完全に阻止できない程度の薄い鉛板など(放射線遮蔽材)で構成され、これらの筒状体57,57,…を径方向に1または複数基配置することによって、全体として筒状体57,57,…の厚さを調節するように構成している。すなわち、筒状体57を単独または複層に配置することによって、X線が通過する経路を塞ぐ位置に配置された放射線遮蔽材の厚さを変更し、これにより、筒状体57を透過するX線量を調節できるように構成している。
【0071】
このように、本実施形態に示す放射線漏洩検査システムでは、筒状体57の配設数、すなわち筒状体57全体での厚さを変更することによって、放射線遮蔽カバー2から外部に照射されるX線の線量を調節するようにしている。なお、本実施形態に示す線量調節機構5は、構造がシンプルであることから、線量調節機構5を安価に製造することができる。
【0072】
なお、上述した実施形態はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0073】
たとえば、上述した実施形態では、放射線遮蔽カバー2を略円筒状または略矩形筒状に構成した場合を示したが、放射線遮蔽カバー2は、ポータブルX線発生装置1のX線照射口11の周りを囲繞可能で、かつ、開口部21が備えられる形状であれば適宜変更可能である。たとえば、放射線遮蔽カバー2を5角形、6角形、あるいはそれ以上の多角形の筒状に構成することも可能であり、その場合、各周壁にそれぞれ放射線遮蔽機構5が備えられる。
【0074】
また、上述した実施形態では、放射線遮蔽カバー2を有底、有蓋の筒状体で構成した場合を示したが、開口部21以外からカバー外部に漏れ出すX線量を十分に低く抑えることができるのであれば、底または蓋のいずれか一方または双方を省略した構造を採用することも可能である。すなわち、放射線カバー2の構造としては、少なくともX線照射口11の周りを囲繞する構造であればよく、たとえば、蓋のみを有する底のない筒状体や、蓋および底の双方を省略した完全な筒状体構造を採用することも可能である。
【0075】
また、上述した実施形態では、線量調節機構5として、X線が通過する経路の開口面積を可変する構造(実施形態1~4参照)のものと、X線が通過する経路を塞ぐ放射線遮蔽材の厚さを変更する構造(実施形態5参照)のものをそれぞれ単独で用いた場合を図示したが、これら実施形態1~5に示す各構造を適宜組み合わせて線量調節機構5を構成することも可能である。たとえば、
図7に示す線量調節機構5の外側に
図5に示す線量調節機構5を配置することによって線量を調節するように構成したり、あるいは、反対に
図5に示す線量調節機構5の外側に
図7に示す線量調節機構5配置したりすることも可能である。つまり、X線が通過する経路を塞ぐ放射線遮蔽材の厚さを変更する構造の線量調節機構5と、X線が通過する経路の開口面積を可変する構造の線量調節機構5の双方を組み合わせて線量調節機構を構成することも可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 ポータブルX線発生装置
11 X線照射口
2 放射線遮蔽カバー
21 開口部
3 散乱体
4 放射線測定器
5 線量調節機構
51 可動ルーバー機構
52,53 羽根板
54,56,57 筒状体
A 被検査室
B 区画壁