(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】フィルタ装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/01 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
A61F2/01
(21)【出願番号】P 2019553326
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(86)【国際出願番号】 US2018024560
(87)【国際公開番号】W WO2018183321
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2020-03-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-18
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518122652
【氏名又は名称】トランスバース メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Transverse Medical, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】ザンディ アブドルラヒーム
(72)【発明者】
【氏名】ゴスラウ ジェイ.エリック
(72)【発明者】
【氏名】ファリアビ セファー
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】安井 寿儀
【審判官】倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/177322(WO,A1)
【文献】特表2012-501704(JP,A)
【文献】特表2016-533228(JP,A)
【文献】国際公開第2017/042808(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B17/00-17/94
A61F 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸アームと、
前記延伸アームの終端に接続され、前記延伸アームの終端から片持ち形状で延伸するフレームと、
外周の周辺で終端する表面領域及び裏面領域を有するシートを備えるフィルタであって、前記外周で前記フレームに接続され、前記フレームが前記フレーム間で延伸する前記フィルタの前記表面領域及び前記裏面領域と共に膨張する展開状態で前記フレームと共に膨張し、前記展開状態において、前記延伸アームが管状組織の内側壁の表面の複数箇所で係合し、前記係合により、前記フレーム及び前記フィルタの前記外周に前記内側壁の開口に前記フィルタをシールする力が加わることで、前記表面領域及び前記裏面領域のうち1つを前記管状組織の前記内側壁に順応させるように前記フレーム及び前記延伸アームと共に構成並びに配置されるフィルタと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記延伸アームに接続され、カテーテル内をスライドし、前記フレームに前記力を加えるために、前記延伸アーム、前記フレーム、及び前記フィルタを、前記管状組織の前記内側壁に対して位置決めするように構成並びに配置されるシャフトを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カテーテルを更に備え、前記シャフトは、前記フレーム及び前記フィルタをつぶれた状態につぶし、前記つぶれた状態の前記フレーム及び前記フィルタを前記カテーテル内に退避するように構成並びに配置される、ことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記シャフトは、前記フィルタがつぶれることにより、前記内側壁に順応した前記表面領域及び前記裏面領域の一方と反対側の前記表面領域及び前記裏面領域の他方上で捕捉されたパーティクルを捕捉し、前記管状組織から除去するために前記カテーテル内に前記捕捉したパーティクルを引き抜くように前記フレームと共に構成並びに配置される、ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記フレーム及び前記延伸アームは、つぶれた状態となるようにつぶれ、前記つぶれた状態で、前記管状組織から引き抜くためにカテーテル内に退避されるよう構成並びに配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記フレームは、前記フィルタを前記内側壁に対してシールするように構成並びに配置される内側フレームと、外側フレームと、前記内側フレームを前記外側フレームに接続し、前記延伸アームを介して前記外側フレームに加えられる力を、前記内側フレームに伝達し、前記内側フレームを前記内側壁に対して柔軟に順応するように構成並びに配置された複数のストラットと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ストラットは、前記内側フレームの前記外側フレームに対する屈曲を、ばね力を提供することで容易にし、前記内側壁の物理的特徴に対する前記外側フレームの順応を容易にするように構成並びに配置される、ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記フィルタは、前記内側フレームの外周内、及び前記内側フレームと前記外側フレームとの間で延伸し、
前記ストラットは、前記外側フレームと前記内側フレームとの間へ力を加え、内側血管壁及びその内部の開口の周囲に対して前記内側及び外側フレームを押圧することで、前記内側血管壁の前記開口をシールするように構成並びに配置されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記ストラットは、前記内側フレーム及び外側フレームの外周を、互いに対して変位距離で維持するように構成並びに配置され、前記変位距離は、前記加えられた力に応じて変化する、ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記延伸アームは、前記内側壁の湾曲によって、前記延伸アームに加えられる入力された力を、前記フレームに伝わる力に抗する方向で前記フレームに加えられる出力の力に変換するばね力を加えることで、前記フレームへ前記力を加えるように構成並びに配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
近端から遠端に延伸し、管状組織に挿入されるように構成並びに配置されるカテーテルと、
前記近端から前記遠端まで前記カテーテル内で延伸し、前記カテーテル内を移動するように構成並びに配置されるシャフトと、
前記シャフトの前記遠端に接続され、前記シャフトの前記遠端から片持ち形状で延伸し、つぶれた状態で前記カテーテル内に退避され、展開状態で前記カテーテル外へ延伸するように構成並びに配置されるフレームと、
外周の周辺で終端する表面領域及び裏面領域を有するシートを備えるフィルタであって、前記フレームに前記外周で接続され、また、前記展開状態で前記フレームと共に膨張し、前記展開状態において、前記表面領域及び前記裏面領域のうちのいずれかを前記管状組織の内側壁に対して順応させ、前記つぶれた状態に前記フレームと共につぶれるように前記フレームと共に構成並びに配置されるフィルタと、
を備え、
前記シャフトは、前記展開状態において、前記管状組織の前記内側壁の各表面
の複数個所に係合し、前記係合により、前記フレームへ力を加えることで、前記フレーム及び前記フィルタの外周を前記内側壁
の開口にシールするように前記フレーム及び前記フィルタと共に構成並びに配置される延伸アームを備える、
ことを特徴とする装置。
【請求項12】
前記フレーム及び前記フィルタは、前記展開状態で人間の大動脈弓内に展開されたことに応じて、前記フレームに前記力を加えることで前記人間の大動脈弓の前記内側壁内の動脈開口の周囲で前記フィルタの外周をシールし、前記動脈開口を流れる血液をろ過するように前記シャフト及び前記延伸アームと共に構成並びに配置されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記延伸アームは、前記シャフトと前記フレームとを接続する前記延伸アームの一部に沿って少なくとも2つの屈曲を有し、前記屈曲は、それぞれ、内側壁の対向部分と相互作用し、前記力を前記フレームへ加えるように向けて前記内側壁に対する前記フレーム及び前記フィルタの外周のシールを容易にするように構成並びに配置されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記延伸アームは、前記延伸アームに前記シャフトを介して加えられる入力された力を、前記延伸アームから前記フレームに加えられる出力される力に変換するばね力を加えることで、前記フレームに前記力を加えるように構成並びに配置されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記フレーム及び前記延伸アームは、前記つぶれた状態につぶれることで前記フィルタの表面上のパーティクルを捕捉し、前記つぶれた状態において、前記管状組織から引き抜くために前記カテーテル内に退避するように前記シャフト及び前記カテーテルと共に構成並びに配置されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記フレームは、前記フィルタを前記内側壁に対してシールするように構成並びに配置される内側フレームと、外側フレームと、前記内側フレームを前記外側フレームに接続し、前記延伸アームを介して前記内側フレームに加えられる力を、前記内側フレームに伝達し、前記内側フレームを前記内側壁に対して柔軟に順応するように構成並びに配置された複数のストラットと、を備えることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記ストラットは、前記内側フレームの前記外側フレームに対する屈曲を、前記内側壁の湾曲に対向するばね力を提供することで容易にし、前記内側壁の物理的特徴に対する前記外側フレームの順応を容易にするように構成並びに配置される、ことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記フィルタは、前記内側フレームの外周内、及び前記内側フレームと前記外側フレームとの間で延伸し、前記ストラットは、前記外側フレームと前記内側フレームとの間へ力を加え、前記延伸アームによる加圧に応じて曲がり、前記内側壁及び前記内側壁の開口の周囲に対して前記内側及び外側フレームをシールするように構成並びに配置されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記ストラットは、前記内側
フレーム及び外側
フレームの外周を、互いに対して変位距離で維持するよう構成並びに配置され、前記変位距離は、前記加えられた力に応じて変化する、ことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記カテーテルは、人間の大動脈弓に挿入されるように構成並びに配置され、前記シャフトは、前記フレームが前記大動脈弓の内壁及び少なくとも1つの動脈の周囲に対して押圧された状態で、前記大動脈弓の前記内壁に対して前記フィルタを順応させ、少なくとも1つの動脈につながる大動脈の開口を覆うように前記フレームと共に構成並びに配置されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項21】
前記シャフト及びフレームは、前記表面領域及び前記裏面領域のほぼ全て又は1つが前記内壁に接触、又は前記内壁の少なくとも1つの開口を超えて延伸した状態で、前記フィルタを前記内壁に対して順応させ、前記少なくとも1つの開口を覆うように構成並びに配置されることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
カテーテルと共に用いる装置であって、
フレーム及びフィルタシートを有するフィルタであって、前記フレームは、前記フィルタの外周を形成し、前記フィルタシートの表側面領域と裏側面領域とを分けるフィルタと、
前記フレームに接続され、管状組織内に展開された際に、前記管状組織の対向する内側壁部と係合し、力を前記フレームに加えることで、前記内側壁部の表面の複数個所で係合し、前記内側壁の開口に対してフィルタをシールする多関節アームと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項23】
前記多関節アームは、各ストラットと共に構成され、各ストラットは、関節の1つを形成し、対向する内側壁部と係合した際、前記フレーム及び前記フィルタシートを前記内側壁に対してシールするばね力を提供する剛性を有するように構成並びに配置される、ことを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記各ストラットは、U字状の屈曲によって結合され、当該屈曲は、結合されたストラットが前記対向する内側壁部と係合することに応じて前記ばね力を提供するように構成並びに配置されることを特徴とする請求項
23に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な様態に係る実施の形態は、カテーテルベースの装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冠動脈性心疾患、動脈瘤、及びその他の様々な病状の治療には、様々な処置が有用であり得る。これらの処置は、組織の除去、修復、あるいは治療等の組織への介入をしばしば含み得る。例えば、冠動脈性心疾患は、場合によっては、心臓弁障害を含み、弁が修復あるいは置換される介入技術によって解決することができる。
【0003】
様々な状態の治療に有用な方法の1つは、患者の動脈に入り、かつ様々な技術のためのアクセスを提供するカテーテルの使用を含む。例えば、組織の修復若しくは除去、又は組織若しくは他の装置の移植等の様々な方法を、カテーテルを介して行うことができる。心疾患を解決するための当該アプローチの1つは、経カテーテル大動脈弁置換又は移植セラピー(TAVR/TAVI)を含む。これら及び他の経血管アプローチは、カテーテルを介して患者の心臓に人工又は動物の組織片/弁を送ることを含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの治療アプローチが有用ではものの、それらの安全な実施に対しては多くの課題がある。ガイドワイヤ、カテーテル、さや、ガイドカテーテル等の様々な経皮的装置、及び、冠状血管、冠状静脈弁、又は他の血管生体組織へのアクセスを得て治療を行うための付加的な技術を導入、交差、及び置換することが一般的である。組織の修復あるいは置換のためのこれら及び他のアプローチは、血管壁及び構造から解放される(リリースされる)パーティクル/デブリ(塞栓)、及び非制御及び非保護の浮遊塞栓を除去し、自由に動けるようにする。この解放された塞栓、及び自由に浮遊する非制御の塞栓は、血流を介して遠方に(離間)運ぶことができ、冠状動脈、末梢部位及び神経血管の閉鎖あるいは閉塞等の問題を引き起こす場合がある。例えば、(TAVR/TAVI)処置の間に、自然の組織が、置換装置のための場所を設けるために大動脈壁内へ圧縮される。この行為は、装置が大動脈弓を横断するので、動脈プラーク、カルシウムあるいは血栓の移動を引き起こし得る。これらのパーティクルは、脳卒中を引き起こす、等の悪影響を有する。これら及び他の問題は、様々な治療アプローチに対して課題を提示する。
【0005】
様々な実施の形態は、フィルタベースの装置及びその実施例に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの例示的な実施の形態によれば、装置及び/又は方法は、延伸アームと、延伸アームに接続されたフレームと、外周の周辺で終端する対向面領域を有するフィルタと、を備える。フィルタは、外周でフレームに接続され、展開状態でフレームと共に膨張し、展開状態において、延伸アームを管状組織の内側壁の各表面に係合させ、係合によりフレーム及びフィルタの外周を内側壁に対してシールする力を加えることで、対向面領域のうち1つを管状組織の内側壁に順応させるようにフレーム及び延伸アームと共に構成並びに配置される。この装置は、カテーテルの一部として実施してよく、さやから延伸した状態で膨張するよう操作され、さや内に退避するようにつぶれる(例えば、フィルタ内にパーティクルを捕捉する)。さやを介して延伸するワイヤ又は他の制御機構を、フィルタの膨張/収縮、又は順応のために実施してもよい。
【0007】
様々な実施の形態は、TAVR等の左心処置の間に脳を卒中から保護するように設計された塞栓保護装置を対象とする。装置の動的かつ二端シーリングの機能的な様態は、心拍出量サイクルの間のシステムの挙動、及び展開の前並びに後の正確かつ予測可能なろ過挙動を制御することで容易となる。
【0008】
様々な実施の形態は、近端から遠端に延伸するカテーテルと、カテーテル内にあり、カテーテル内を移動するように動作可能なシャフトと、シャフトに接続され、カテーテルの遠端内に退避可能なフィルタ部材と、を備える装置として実施し得る。フィルタ部材は、メッシュ等のフィルタと、ストラットを介して接続された内側及び外側フレームと、を備え、延伸アームがフレームに接続される。フィルタの外周は、内側フレームに(場合によっては、外側フレームに)結合され、内側フレーム及び外側フレームは、互いに対して延伸する。ストラットは、例えば、組織(例えば、血管組織内)に対して内側フレーム及びメッシュを押圧する力を加えることで、延伸アームを介して外側フレームと内側フレームとの間に加えられる力を伝達するよう動作する。
【0009】
様々な実施例において、本明細書において特徴が説明される、フレーム、フィルタ、及び延伸アームを備えるカテーテルは、人間の大動脈弓に挿入され、フィルタ部材は、大動脈弓内の少なくとも1つの動脈開口上に配置される。フィルタ材料は、少なくとも1つの動脈開口の周囲の大動脈弓の内壁の一部にシールされ、少なくとも1つの動脈開口に流れ込む血液内のパーティクルを捕捉するために用いられる。更なる実施の形態において、フィルタ材料、フレーム、及びストラットは、その内部に捕捉したパーティクルと共につぶれ、メッシュ、フレーム、ストラット、及びパーティクルは、カテーテル内に退避され、次にカテーテルが除去される。
【0010】
上記の説明/要約は、本開示の各実施の形態または全ての実施例を説明することを意図していない。以下の図面及び詳細な説明は、様々な実施の形態を例示する。
【0011】
様々な例示的な実施の形態については、同時に提出された別表と共に添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を考慮することでより完全に理解可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の1つ以上の例示的な実施の形態に係る、フィルタ支持装置を示す。
【
図2】
図2は、本開示の1つ以上の例示的な実施の形態に係る、カテーテル装置を示す。
【
図3】
図3A乃至3Dは、それぞれ、本開示の1つ以上の例示的な実施の形態に係る、カテーテル装置の図である。
【
図4】
図4は、本開示の1つ以上の例示的な実施の形態に係る、フィルタ支持装置を示す。
【
図5】
図5A乃至5Cは、それぞれ、本開示の1つ以上の例示的な実施の形態に係るフィルタ支持装置の図である。
【
図6】
図6は、本開示の1つ以上の例示的な実施の形態に係る、退避したメッシュを備えるカテーテル装置を示す。
【
図7】
図7A乃至7Gは、それぞれ、本開示の1つ以上の例示的な実施の形態に係る、フィルタ支持製造装置を示す図である。
【
図8】
図8は、様々な実施の形態において実施され得るフィルタ部材を示す。
【
図9】
図9は、1つ以上の実施の形態において実施され得る装置のブラシ機能を示す。
【
図10】
図10は、1つ以上の実施の形態に係る、フィルタ/フレームへ力を加える延伸アームと共に、人間の大動脈弓内で展開された装置を示す。
【
図11】
図11は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、延伸アームの図である。
【
図12】
図12は、1つ以上の実施の形態に係る、人間の大動脈弓内での装置の位置決めを示す。
【
図13】
図13は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、フレーム、延伸アーム、及びフィルタ構成部材を示す。
【
図14】
図14は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、大動脈圧のプロットを示す。
【
図15】
図15は、1つ以上の実施の形態に係る、フレームのモデル化された加力を示す。
【
図16】
図16A乃至16Dは、1つ以上の実施の形態に係る、カテーテル装置の組み立て図である。
【
図17】
図17は、1つ以上の実施の形態に係る、フレーム及びメッシュフィルタを示す。
【
図18】
図18は、1つ以上の実施の形態で設定され得るフィルタ構成及び関連する多孔性の様子をそれぞれ示す。
【
図19】
図19は、1つ以上の実施の形態に係る、孔の選択を容易にするために用いることができる要因のプロットを示す。
【
図20】
図20は、1つ以上の実施の形態に係る、孔の選択を容易にするために用いることができる孔形状係数を示す。
【
図21】
図21は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、形状係数、孔径、及び最大パーティクル寸法のプロットを示す。
【
図22】
図22は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、孔伸び性を示す。
【
図23】
図23は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、フィルタ生体反応特性を示す。
【
図24】
図24は、1つ以上の実施の形態においてフィルタと共に実施され得る生体材料反応を示す。
【
図25】
図25は、1つ以上の実施の形態においてフィルタ材料と共に実施され得る表面活性化効果を示す。
【
図26】
図26は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、材料の凝固時間を示す。
【
図27】
図27は、1つ以上の実施の形態に係る、各フィルタ部材に対応する様態を示す。
【
図28】
図28は、1つ以上の実施の形態に係る、フレーム製造用の固定具を示す。
【
図29】
図29は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、フレーム及び延伸アームを備える装置を示す。
【
図30】
図30は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、フレームを形成するための製造用部材を示す。
【
図31】
図31は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、フレームを形成するための製造用部材を示す。
【
図32】
図32は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、延伸アームを形成するための製造用固定具を示す。
【
図33】
図33は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、延伸アーム及びフレームを示す。
【
図34】
図34は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、延伸アームを形成するための製造用固定具を示す。
【
図35】
図35は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、製造用固定具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で説明する様々な実施の形態については、変更及び代替的な形態が可能であり、その様態を、図面において例示し、詳細に説明する。しかしながら、本発明は、本発明を以下に説明する特定の実施の形態に限定することを意図していない。一方で、本発明は、特許請求の範囲によって画定される技術的範囲を含む、本開示の技術的範囲内の全ての応用、均等並びに代替を包含するものである。また、本明細書において用いる用語「例」は、説明を目的とするもので、限定と目的としていない。
【0014】
本開示の様態は、フィルタを含み、カテーテルベースの装置及び方法を用いて配置され得る様々な異なる種類の装置、システム、及び方法に適用可能である。様々な例示的な実施の形態は、維管束組織への血流をろ過することを対象とし、血流が流れることを許容しつつパーティクルを捕捉するのに有用である。特定の実施の形態においては、装置は、血流からのパーティクルをろ過するフィルタ式の材料を備え、これは、フレームに接続される。延伸アームは、フレームへ力を加え、血管の内側壁の等の表面にフレーム及びフィルタ式材料をシールする。これら及び他の実施の形態に係る状況においては、フレーム及び延伸アームの利用が、側壁にフレーム及びフィルタをシールすることが容易となる点、及びこのアプローチが、特に、維管束組織の開口の周囲にフィルタを順応させてシールするのに有用である点、認識/発見されている。従って、このアプローチは、当該開口内へのパーティクルの通過を低減することに用いることができ、これは、外科手術的処置の間に特に有用である。更に、剛性という観点を利用することで、フィルタは、血管自体の内部を流れる物質を遮る又はろ過する必要なく、側壁に正確にシールされる。このようなアプローチは、圧縮によって止血及び外部固定(「ロック」)の両方として機能する可変圧縮ガスケットシールを提供することを含んでよい。剛性は、フレーム及び/または延伸アームにわたって可変であってよく、所望の力を加えること及びフィルタをシールすることを容易にする。限定の必要はないが、この状況を用いて例を説明することで、様々な実施例が理解され得る。
【0015】
リストアップされる特定の寸法、材料及び他の特徴と共に、図面及び補足説明(及び補足説明における図面)において、様々な実施の形態の特徴を示す。当該特徴は、具体的な適用の例であり、それに従って実施され得るものと考慮される様々な実施例と共に他の適用の代表例であり得る。
【0016】
1つ以上の実施の形態によれば、装置は、延伸アームと、延伸アームに接続されたフレームと、対向表面領域を有するフィルタ(例えば、メッシュや他の材料)であって、当該対向表面領域がフィルタの外周で終端するフィルタと、を備える。フィルタは、外周でフレームに接続され、展開状態でフレームと共に膨張し、展開状態において、延伸アームを管状組織の内側壁の各表面に係合させ、係合により、フレーム及びフィルタの外周を内側壁に対してシールする力を加えることで、対向面領域のうち1つを管状組織の内側壁に順応させるようにフレーム及び延伸アームと共に構成並びに配置される。シャフトは、延伸アームに接続されてよく、カテーテル内でスライドし、フレームへ力を加えるために、延伸アーム、フレーム、及びフィルタを、管状組織の内側壁に対して位置決めするように動作可能である。シャフトは、更に、フレームと共に動作して、フレーム及びフィルタをつぶれた状態につぶし、つぶれた状態のフレーム及びフィルタをカテーテル内に退避させる。これは、外科手術的処置の間に移動したもの等のパーティクルの捕捉及び除去を容易にすることができる。例えば、大動脈弓の側壁の開口にフィルタをシールした状態で、大動脈弓の内部領域に対向するフィルタの一部は、側壁を介して、フィルタを通って動脈へ流れる血液からパーティクルを捕らえることが可能であり、これらのパーティクルは、その後、除去することができる。
【0017】
なお、様々なフィルタを用いることができる。様々な実施例は、対向する面を有するフィルタであって、フィルタの外周の境界となる周縁を備えるフィルタを含む。例えば、メッシュ又は他の材料のシートを、フィルタに用いることができる。当該材料は、平坦にされた際、フィルタの縁周に沿って合う下及び上面を有する。この縁周は、フレームに結合され、血管の内側壁に対してシールするために用いることができる。
【0018】
フレームは、様々な手法で実施可能である。いくつかの実施例においては、フレームは、内側壁に対してフィルタをシールするように構成及び配置される内側フレームと、外側フレームと、外側フレームに内側フレームを接続する複数のストラットと、を備える。このストラットは、延伸アームを介して外泡フレームに加えられる力を、内側フレームに伝達し、それによって、内側フレームを内側壁に対してフレキシブルに順応させるように動作する。ストラットは、ばね力を供給して外側フレームの内側フレームの物理的特徴に対する順応を容易にするように、外側フレームに対する内側フレームの屈曲を容易にするように動作し得る。
【0019】
フィルタは、様々な態様で結合されてよい。いくつかの実施例においては、フィルタは、内側フレームの外周内で、内側フレームと外側フレームとの間で延伸する。ストラットは、外側フレームと内側フレームとの間へ力を加え、内側及び外側フレームを内部血管壁及びその開口の周囲へ押圧することで、内部血管壁の開口をシールする。ここで説明するように、ストラットは、流体が流れる、血管壁が移動する等の、圧力が変化する状況におけるシールを容易にし得る。例えば、内側及び外側フレームは、加わる力によって変化する、互いに対する移動距離に維持され得る。
【0020】
上記及び本明細書において特徴が説明される様々な実施の形態は、様々な上記の構成部材のいくつかあるいは全てを備え得る。例えば、いくつかの実施の形態は、本明細書で説明したフレームに応じて動作可能なフレームを含む。他の実施の形態は、フレーム及び当該フレームに結合されたフィルタを備える、フレーム及び当該フレームに結合された延伸アームを備える、又はフレーム、フィルタ及び延伸アームを備える。更に他の実施の形態は、また、カテーテル内で移動するように動作可能であり、上記のようにフレームに結合されたシャフトを備える。更に別の実施の形態は、また、近端から遠端まで延伸し、シャフト、フレーム、及び他の構成部材を受けるように動作可能なカテーテルを備える。フレームの展開、内側壁に対するフレームのシール、及びカテーテル内へのフレームの退避に関する様々な機能は、様々な構成部材と一体化できる。例えば、シャフトをフレームに接続する延伸アームの一部分に沿って少なくとも2つの屈曲を有する延伸アームにおいて、屈曲は、内壁と係合し、フレーム及びそれに伴うフィルタに圧力を加えるために用いることができる。従って、側壁は、延伸アームのばね等の特徴と共に利用可能であり、側壁の開口のシールを容易にする。
【0021】
様々な様態は、カテーテルと共に用いる装置を対象とし、フレームと、フレームに接続される多関節腕と、を有するフィルタを備える。フレームは、フィルタの外周を形成し、フィルタの対向面を分離する。多関節腕は、管状組織内に展開された際、管状組織の対向する内側壁部分に係合し、フレームへ力を加えることで内側壁に対してフィルタをシールするように内側壁部分を利用する。
【0022】
様々な実施の形態は、カテーテルの構成部材に関連し、ベクトルベースのフィルタ及び隔離領域上での制御を提供し、送りカテーテルルーメンへの挿入を容易にし、フィルタ/フレームの流出を含むカテーテルの構成部材への潜在的なダメージを低減し、無空気状態を維持し、ベクトルベースの装置を規制された状態にパッキングして送りカテーテル内に移送し、送りカテーテルルーメン内への挿入は、自動化され得る。当該アプローチは、フィルタ及びフレームを備えるカテーテルの構成部材を収容する保護部材を備えてよい。充填部は、制御され、送りカテーテルルーメンへと移すことができる状態にカテーテルの構成部材を規制し、保護部材と共に、構成部材内に捕らえられた空気の存在を示す視覚的なインジケータと共に無空気状態を提供するように動作可能である。これは、除菌、運搬、及び取り扱う際の組み立ての間の大ざっぱな取扱いから、保護を提供することができる。ハンドル部は、充填部から送りカテーテルルーメン内へのカテーテルの構成部材の挿入を容易にする。ハンドル部は、更に、カテーテルの構成部材のシャフトを固定及び解放し、シャフトに沿って移動し、固定された場合に操作者からのハンドルを介したトルク並びに押し引きする力をシャフト、ひいてはフィルタ/フレームに伝達するよう動作可能である。当該アプローチは、図示(例えば、
図16に示す)するようにハンドル部と共に実施可能である。
【0023】
ある実施の形態は、本明細書において特徴が説明される様々な構成部材を含む方法ベースの適用を含み、製造方法及び/または使用方法を含んでよい。1つ以上の実施の形態によれば、装置を製造する方法は、以下のように実施され得る。延伸アームと、延伸アームに接続されたフレームと、フィルタと、を用意する。フィルタは、フィルタ(例えば、メッシュあるいは他の材料)の外周で終端する対向表面領域を備え、フィルタは外周でフレームに接続される。フィルタは、フレームと延伸アームと共に動作し、展開された状態でフレームと共に、フィルタを膨張させる。展開された状態において、対向面領域のうちの1つは、延伸アームを管状組織の内側壁の各表面に係合させることで管状組織の内側壁に順応し、係合を介して、フレームへ力を加えてフレーム及びフィルタの外周を内側壁に対してシールさせる。いくつかの実施の形態においては、フレームの機械的特性は、フレーム及びフィルタの管状組織内への展開、管状組織の内側壁に対するフレーム及びフィルタのシールを容易にするような剛性のレベルを設定するために、フレームに熱機械的なプロセスを行うことで最適化される。フレームを熱機械的に処理することは、フレームの冷間加工(例えば、ニチノール)、熱処理温度を設定する形状の採用、及びフレームを形成する合金の化学成分の選択、の1つ以上の組み合わせによって剛性のレベルを設定することを含んでよい。
【0024】
使用の場面における1つ以上の実施の形態は、以下のように、本明細書で特徴が説明されるフィルタ及びフレームを用いて、血液または他の流れをろ過することを含む。フィルタは、展開状態でフレームと共に膨張し、展開された状態において、対向面領域のうちの1つは、管状組織の内側壁の各表面に対して延伸アームを係合させることで管状組織の内側壁に順応する。係合によって、フレームに力が加わり、フレーム及びフィルタの外周を内側壁に対してシールする。当該動作上の特徴は、側壁に係合する延伸アームを利用する等により、本明細書における1つ以上の実施の形態に従って実施され得る。
【0025】
様々な実施の形態は、TAVR等の左心房処置の間に脳を卒中及び塞栓の砕片から保護するように設計された塞栓の保護装置を対象とする。装置の動的ダブルエッジシールは、心拍出量(CO)サイクルの間にシステム剛性と固有周波数とを制御することによって達成される。血流力学的な環境における実施のため、固有周波数は、心臓周期の頻度と比較して高く設定することができる。当該高い固有周波数は、フレームのより低い移動を容易にすることができ、それによってシールが増す。装置は、基準点(LA)に対する(遠位端での)最大移動(Ds)の関数である固有周波数(N)と、延伸アームの関節と、その特性とを有するフレームを備える。様々な実施例においては、剛性ばね特性及びフレームの他の様態は、COサイクルの間に屈曲するよう動作可能であり、フレーム及び結合されたフィルタが大動脈弓の側壁の開口をシールする場所に維持される。様々な異なるフィルタが、フレームに取り付け可能であり、大動脈弓の側壁の開口を通過する物質のろ過に用いることができる。ある実施例においては、ストラットが、フレームの剛性と共に、それぞれのフレーム構成材間に用いられて、フィルタを側壁に対してシールし、大動脈弓と共に柔軟に動きつつ、変化する圧力状態下でシールを維持するる。延伸アームは、大動脈弓の内側壁と相互作用するように関節接合し、フレームに対して圧力を加え、柔軟に場所に維持され得る。
【0026】
図面を参照し、最初に、
図10を参照して、フレーム/フィルタ及び延伸アーム(EA)のアセンブリ/システムを示す。基準点A、B、及びCは、EAを支持し、力(F)及びトルク(T)を生成する。システムは、その外周に巻回された薄いフィルタを備え、近端で延伸アームを支持するフレームアセンブリを備える。これは、フレーム/フィルタセンブリに影響を及ぼす血流力学的な力に打ち勝つことができる機械的な力を生成する。支持するEAは、フレームアセンブリの近位端を接続する。延伸アーム及びシャフトの主要な機能は:a)カテーテルを介してフレームアセンブリを押す、引く、及び回転させるための押す力及びトルクを伝達こと;b)シール及びろ過のために、意図した位置にフレーム/メッシュアセンブリを展開して位置決めすること;c)大動脈弓(AA)壁に対して必要なシール力を提供すること;d)心拍出量サイクル及び動脈パルスの間にフレーム/フィルタセンブリに十分な剛性を提供すること;e)フレーム/フィルタの移動を支持及び低減するように、
下行大動脈に沿って様々な基準点を提供すること、である。
図10は、フレーム/フィルタアセンブリと、AA及び
下行大動脈に展開したその多関節延伸体「を示す。基準点A、B、及びCは、フレームアセンブリを支持し、展開の間に必要なシール力(F)及び維持トルク(T)を生成する。様々な可能性のある組み合わせが、タイプI、タイプII、又はタイプIII弓状ジオメトリで実施し得る。
【0027】
特定の実施の形態に適するように、様々な手法で関節を実施可能である。いくつかの実施例においては、EAは、
下行大動脈上の様々なポイント(A、B、C等)に固定され、フレームのシール面に物理的な支持及び機械的なばね力を提供する。EAは、
図11に示すように、特定の幅の、短い、角張ったセグメントを含み、これは、連続的な実体を形成するように接続される。各セグメントは、互いに関節接合及び回転し、それぞれがEAの全体的な剛性に寄与する。
【0028】
EAの総ばね力(F)及びトルク(T)は、各関節接合セグメントのすべての個別の力及びトルクの和である。各セグメントの関節は、セグメント長(L)、セグメント剛性(K)、及びセグメントジオメトリ(幅及び厚さ)で特徴付けされる。EAの関節接合セグメントは、EAの屈曲してねじられたセグメントと共に、シャフトとフレームアセンブリの近端との間の移行セクションが、下行大動脈の曲線的な構造に対してより正確に動いて順応することを許容する。フレーム/フィルタの総剛性(K)、端移動(D)、シール力(F)、トルク(T)、及び最終的な固有周波数(N)は、EAの関節的特性によって制御される。
【0029】
図11を再び参照すると、延伸アームの関節接合されたセグメントは、Dsを最小限にするために必要なシールF及びTを提供する。延伸アームのその特性を制御する設計パラメータは、1)セグメント長さ(L1、L2、L3、等)、2)相対的な回転角(Φ1、Φ2、等)、3)セグメント相対剛性(K)、及び4)シャフトに対する時計回り/反時計回りの(CW/CCW)各セグメントの回転傾向、である。更に、アーム材料の物理的特性、線形性、及び腐食は、用途に影響を与え得る。最適な設計は、(正しい組み合わせ及びLAのシーケンスが与えられた)EAが、AA壁に対してフレーム/フィルタをシールするために利用可能な正味の正のF及びTを常に有することを確実にするように実施され得る。
【0030】
剛性及び固有周波数については、上記のようにシールを達成するように実施され得る。主要な機能は、AA壁に対して動的なダブルエッジシールを生成し、3つの弓状血管の循環から塞栓症の動的破片をろ過することである。この目的を達成するために、関節接合されたEAのK(Dsに対するFの割合)は、心拍出量及び各サイクルにおける衝撃的フロー/圧力プロファイルに起因する正味の力打ち勝つ必要がある。フレーム/フィルタセンブリは、外力が加わった際、AAからの振動あるいは分離のなしに0のDに近づくように挙動することが望ましい。EAの総剛性(K)は、フレーム/フィルタセンブリがそのシール位置からどの程度移動するかを制御するように設定することができる。フレーム/フィルタアセンブリの高いNは、(LAに対する)EAの対応する高いKを示し、従ってDは無又は最小である。LAに対する、EAの低い総剛性係数は、低い周波数を示し、従って、
図12と一致し得るように、高いDsとなる。
【0031】
フレーム/フィルタセンブリと、AA壁との間の任意の分離は、漏出の可能性である。CO環境におけるフレームのNは、EAのKがどの程度フレーム/フィルタを支持するかを示す。EAの剛性及び減衰特性は、フレーム構造が、突発的なCO力あるいは動脈パルス式(1)にさらされた後にどの程度なだらかにその安定したシール位置に戻るかを決定する。例えば、任意の構造の基本的な固有周波数は、おおまかに、次の:
【数1】
式(1)
のように近似可能であり、ここで、fnは、ラジアン/秒における固有周波数と等しく、Kは剛性(力/移動)であり、mは構造のバランスのとれた質量である。ラジカル下の用語は、最大移動(真に静的な移動)Δに対する動的な加速度の割合として表現することができ、地球の重力(G)加速の対象であり、fn=3.13(1/Δ)0.5)である。しかしながら、フレーム/フィルタ構造の真のかつ実際のN及びKは、様々な血流力学的な力の対象であり、実験的に決定する必要がある。遠端(Ls)に対するLaの位置は、また、重要なパラメータである。Lsが短くなると、Dsは小さくなり、フレーム/フィルタのN及びEAのKは増加し、振動の可能性、ひいては漏出が低減する。
【0032】
AA環境におけるフレーム/フィルタ構造の安定性、ひいては、シール効率は、その剛性及び固有周波数の一次関数である。本明細書で特徴が説明される多関節延伸アームは、フレームが、それ自体が下行大動脈上で安定して固定され、複雑なジオメトリを通過し、人間の心拍出量の自然の血流力学的な力に打ち勝つために十分なシール力及びトルクを生成することを可能とする。
【0033】
本明細書の実施例におけるフレームアセンブリの固有周波数(N)、剛性(K)、及び時定数(Tau)は、人体の大動脈弓環境への適用を容易にするために用いられる。様々な実施の形態において、これらの態様を利用する塞栓性装置は、TAVR処置において着目される左心房処置の間に脳を卒中から保護するために実施される。装置の動的、ダブルエッジシールの機能的な要求は、心拍出量に対する反応として、システム時定数上の制御を要する。フレームの反応は、構造の固有周波数及び剛性と直接的な関係がある。システムは、その外周に巻回された薄膜状のフィルタメッシュと、近端における支持延伸体と、を備えるフレームアセンブリを備え、機械的な力を生成する。その膨張(又は展開した)状態では、大動脈弓の3本の主要な人間の動脈をカバーし、到来する塞栓をそらす。そのつぶれた(あるいはパッケージにされた)状態では、展開に先立ってカテーテルの内部に完全に適合する。AA内で展開された際、フレーム及びメッシュアセンブリは、複数のベクトル力にさらされる。それらは、a)心拍出量(CO)による血流力学的な力、b)振動するAA壁の動的及び構造的な力、c)薄膜メッシュの浮力、及びd)壁に対するシール力を生成する、フレームアセンブリ及びその延伸体の機械的なばね力、を含む。
図13は、主要な機械的及び血流力学的なベクトル力を経験する、自由空間における装置の実施例を示す。
【0034】
機能的な態様は、例えば、これらの:1.大動脈弓壁に対して動的な、ダブルエッジシールを生成する、2.弓状血管循環から塞栓性の破片をろ過あるいはそらす、3.ろ過メッシュフィルム上の流れ、圧、メッシュ浮遊、及び引っ張りの血流力学的な力に抗する。4.典型的な大動脈弓の解剖学的な屈曲のバリエーションに順応する。5.装置の周囲のろ過されていない血液の流れを最小限にする。6.大きな弓状血管に関して適切な面積及びろ過被覆率を提供する、及び77.各COサイクルインパルスの間におけるシステム反応時間を減らす適切なばね力及び剛性を提供する、そして、88.低減された倍率を有する、COとのシステム同相振動を防止する。
【0035】
各心臓周期における、FNET(例えば、フレームアセンブリ及びろ過メッシュ)が付与された力の正味のバランスは、3本の大動脈が発生する位置であるAAの上面に対するシステムの付着及びシールをもたらす。大動脈の壁は、各サイクルの間、放射状に膨張及び収縮する。従って、この振動は、弓の径を拡大あるいは縮小させる。フレームは、壁に対するフレームの縁のシールが完全に維持されるように動的に心臓周期に適合し、漏出を防止する。
【0036】
動的なエッジシールに加え、上記のように、組み合わされた弓状の動脈の外周の周りの適切な被覆率は、各心臓周期出力(CO)でのFNETの変化によるフレーム/メッシュアセンブリの小さな移動がシール界面を介して血液の漏出を生じさせないように、確保される。正味のシステムベクトル力(機械的及び非機械的)、FNETは、フレーム/AAのシール界面に対して押すように構成され、それにより、ろ過メッシュは、漏出による流体の損失なくその機能を発揮し得る。
【0037】
大動脈における圧力-時間プロファイルは、連続する滑らかなカーブではなく;様々な実施の形態は、大動脈弓等の血管の側壁に対するシールを維持しつつ、この問題を解決する。各COサイクル(APライン)は、大動脈内で生成される3つの個別の圧力プロファイルを生成し、その結果、フレーム/メッシュアセンブリに対して段階的な圧又は力を加える機能が生成される。各ゾーン(DP)における圧力の変化は、大動脈における血流割合(Q)、及び流速(V)をもたらす。流量(リットル/分)は、Q=VAとして近似することができ、ここで、Aは、関心のある点位置における大動脈の断面積を表す。
【0038】
図14は、例示的な大動脈圧(AP)曲線を示し、領域「2-3」、「3-5」、及び「5-6」については、個別のプロファイルがあると識別可能であり、これらは、当該実施の形態が解決しようとするものである。大動脈内で、圧力ステップ機能は:a)大動脈弁がスナップして開き、LVからの圧力が大動脈内へ送り込まれる(約0.15秒、100Mm-HG、領域「2-4」)。b)大動脈弁が閉じた状態にスナップし、大動脈内の圧力が、膨張した壁の弾性エネルギ(重複隆起は、約0.1秒、領域「4-5」)により、LV内の圧力値よりもわずかに上昇する、及びc)圧力が徐々に低下(約0.2秒、90Mm-HG秒、領域「5-6」)する等容性膨張、の条件において生じる。重複隆起は、心室が弛緩する際の大動脈半月弁を閉ざす血液の短時間の逆流による、なだらかな流れの阻害を示す。各領域は、フレームアセンブリ上で強制関数を生成する。各強制関数の絶対値は、(|FCO|)である。|FCO|がフレーム/メッシュアセンブリと相互作用すると、正味の結果は、その固有周波数の周辺で増幅されることなく、|FCO|<FNETとなる。各段階的な力入力は、数学的には、
【数2】
(1)
のように表現できる。
【0039】
様々な実施の形態において、組み合わされた力であるFNETの影響によるフレーム/メッシュアセンブリの挙動は、二次オーダーシステムとして表すことができる。システムの反応に関し、システムは、各領域において段階的な圧力(あるいは力)の連続へと活性化させることで示されることが可能である。段階的な入力は、早い初期上昇時間(T)及び平坦な安定期(F0=0、F1=|FCO|)として特徴付けされる。二次オーダーシステムの挙動は、加速、質量、減衰係数、及び剛性パラメータの組み合わせとしてモデル化可能である。システムは、時定数(Tau)及び低減した増幅又は高い/低い振幅の無い振動のいずれかに収束することで早い上昇入力の力に反応する。大動脈内において、フレーム/メッシュアセンブリの挙動(反応)は、
図15に示すように、質量(m)、減衰因数(c)、及び剛性係数(K)を用いてモデル化することができる。「Y0」のゼロの値が搭載(カテーテルからリリースされた直後)されていないフレーム(ばね)の位置に対応する場合、フレーム/メッシュアセンブリを距離yだけ移動させるのに要する力Fsは、Fs=kYで与えられ、kは、システムのばね定数又は剛性である。パラメータ「Y」は、フレームアセンブリの遠端の移動に対応する。式(2)は、段階的な力の入力(|FCO|)に対するシステムの周波数レスポンスを規定し、「wn」は、システムの非減衰(自然な)固有周波数であり、「ζ」は、減衰係数であり、減衰因数(c)に関連する。1つ以上の実施の形態においては、直接的あるいは周期的な移動(Yの変化)がなく、最短の可能性のある時間内の安定した状態が得られる。「非常に減衰」されたシステム(ζ=1)は、安定点(最小のフレーム移動、周期的な動作がなく、最短の時間)への最も速い経路を表わす。しかしながら、これらの要因は、適切な減衰係数、固有周波数、及び突き詰めた剛性パラメータをシステム安定性のために選択する前に、他の設計要因が考慮されるので、増加され得る。
【0040】
システムは、段階的な圧力の入力の対象となった時に最速で振動無しで0の移動(Dy=0)となるように挙動することが望ましい。この状態を「非常に減衰」されたと言ってよく、
【数3】
(2)
【数4】
【数5】
【数6】
のように表すことができる。
【0041】
フレーム/メッシュアセンブリの主要な剛性(K)は、延伸アームの連続的な短い屈曲部(関節部)を取り入れることで実施され得る。血流力学的な力(例えば、メッシュに渡る流体圧の差分)ではなく機械的なばね力に依存する力ベースのシステムは、従って、大動脈の壁に対するシール力を生成するように用いることができる。関節部は、互いに対して及びフレームに対して鋭角を有する。これは、フレームのより良好な操縦性を許容し、所望の方向にシステムの剛性を同時に制御することを許容する。方向性及び剛性の値は、機能的及び機械的な要件のバランスを取ることで実施し得る。システム剛性(k)は、フレーム/メッシュアセンブリが、カテーテル内部に存在(例えば、AAへパッケージ化され、事前に配置)している場合に、カテーテルの案内及び次元的な規制への適合を容易にするように、適切な強度及び方向で適用される。関節部の長さ及び角度は、カテーテル内で所望の量の摩擦を提供し、AA、並びにその湾曲部及びカテーテルへ案内する曲がりくねった経路内の小さな径への順応を容易にするように、調整される。周期的に拡大する大動脈の壁に対する一定のシール力が、従って、維持される。固有周波数は、増幅せず、その剛性が段階的な力の関数に反応するときに動的に変化する壁に順応するように、設定される。更に、安定点に到達する時間は、次の力の関数の開始とオーバーラップしないように、調整される。安定に達する時間は、力の関数(t)の最小の時間ステップより小さくなるように、設定される。
【0042】
剛性は、特定の実施例に適応するように設定可能である。機能性は、上部(フレーム)及び下部(延伸)部分が手術の間にどのように機能し、互いに補完しあうか、に応じて設定可能である。アセンブリのフレーム及び延伸部は、共に、異なる平面上で方向性のある剛性及び関節点を有する。フレーム部は、その中心線の両側に、複数のレール及びブレースを備え、単一の丸線と比較して、より広い表面積を形成する。ブレースは、レールを互いに接続し、心臓周期により膨張及び縮小するので大動脈の壁に常に接している動的なばね係数を形成する。同時に、「連続」及び「平行」ばね(ブレース)のこの組み合わせは、フレームアセンブリへ埋め込まれ、3次元的な空間に渡り多くの自由度に適合することが可能である。アセンブリの延伸部は、同様に固有の機能性を有する。その機能は、弓状部分の下側部内でナビゲートし、上部分(フレーム)を支持することである。これは、その長さに沿って様々なジオメトリ及び材料特性(従って剛性)を有する、様々な連続的な大小の径の屈曲を含む。その曲線的な経路に沿った延伸の剛性及びその空間的位置(つまり、側壁に対する基準点を目標とする)、そしてフレームの固有周波数のねじれ挙動を制御することで、それ自体が所望の設計範囲に留まることができる。フレームの固有周波数の範囲は、2から15Hz内であってよいが、より狭い帯域を、フレーム及び延伸の異なる部分で剛性を制御することで得ることができる。フレーム及び延伸は、統合システムとして機能し得るが、それらの間のクロストークを回避するために特定の動作上の独立性(分離)を実現することもできる。フレームの固有周波数及び剛性は、フレーム及びシール性が、フレームが所望の位置に配置された後に延伸部が心拍出量あるいはユーザー入力により経験する外乱による悪影響を(大きく)受けないように、設定される。
図13等に示す関節部の機能は、フレーム及び延伸の全体的な剛性に「緩く」連係するように設定可能であり、同時に、連係性が強く維持されるように(例えば、自動車の軸の自由継手のように)、それら2つの間でなだらかな移行を許容する。
【0043】
一般に、延伸またはフレームの任意の部分の剛性を制御することは、次の:a)材料特性及び化学/物理的組成。b)形態及び寸法の関数であるジオメトリ。c)所望の材料剛性を生成可能な形状設定パラメータ及びプロセス、の1つ以上の要因に応じて設定することができる。各カテゴリの組み合わせ及び選択によって、各部分におけるフレーム及び延伸の両方の連続的な多関節特性を得ることができる。
【0044】
いくつかの実施例においては、所望の設計は、システムが振動せずその最終状態値(y=KF1)にゆっくりかつ単調に近づくように、また同時に、機能的条件を満たすように、特徴を設定することで達成できる。yがその最終値に近づく速度は、ζの値に依拠する。ζが高いほど、値yは振動無しでゆっくりと変化する。減衰係数は、減衰因数(c)、フレーム/ろ過メッシュの質量、及び剛性係数に応じて設定される。しかしながら、減衰因数(c)は、メッシュ密度の因数、多孔性、及び血流力学的な環境における浮力の要因の値である可変因数として実施可能である。浮力の力(この場合)は、また、大動脈内に配置された血液の量及びろ過メッシュの表面積の関数でもある。ろ過メッシュに影響を与える血流力学的な引きずり力は、血液の粘性、メッシュ表面積、及び引っ張り係数の関数である。メッシュの表面積が小さいほど、各段階的な力関数の間の引張力は小さくなり、カテーテル内部でより小さな摩擦を生成する。血液よりも高い密度を有するろ過メッシュは、フレームのばね力に対する力を生成する。軽量のメッシュは、壁に対するシール力を補強するよう実施可能である。式(3)は、「過剰に減衰された」システムを表し、ζ>1である。システムは、階段的な入力の対象となる場合、振動しない。F1=|FCO|は、大動脈弁が開いた際の段階的な力関数による初期の力である。
【数7】
(3)
【0045】
wnの高い値は、システムを、その最終的な停止点に、係数「Tau=ζwn」で迅速に到達させる。1の時定数(1×Tau)は、その最終値の62.8%に達するシステムの移動の値に要する時間として規定される。従って、値K、ζ、及びwnを制御かつ注意深く選択することにより、システムは、摩擦及び浮力の力の影響を考慮して最適化することができる。
【0046】
図14に示すAPプロファイルのうちの領域2から領域6までの総時間スパンは、約0.50秒である。各COサイクルにおいて、AAの各領域からの時間的貢献は、従って、約0.15、0.10、及び0.25秒である。総システム時定数(Tau)は、大動脈内の力関数の最短の上昇時間よりも常に短い(この例では、<0.10秒)。また、追加の安全マージンは、次の力関数が開始する前にシステムを完全に安定させるように設定され得る。これは、例えば、FNETがFCOと同じ大きさのオーダーにある場合に、振動を回避可能である。(|FCO|=FNET)。
【0047】
フレーム及び/または延伸アームの様々な態様は、特定の需要、例えば、カテーテル内への構造の搭載、チューブ内の摩擦の低減、より大きな被覆率のためのメッシュの膨張、カテーテルの屈曲、折り曲げの克服、送りシャフトの押し引き力に対する抵抗、配置された際のメッシュの浮遊力の解決、カテーテル内を移動する際のメッシュの引きずり力の解決、に適合するように更に調整され得る。フレームは、その形状及び特性が1つの寸法から他に維持される(つまり、形状は、異なる実施例において8Fから10F等に同じように維持される)ように、拡張性を有する。当該形状は、平面(例えばニチノール)材料から始める、又はレーザ切断若しくは他の切断方法の対象となるハイポチューブから始めることで達成し得る。フレームアセンブリの形状は、更に、フレームアセンブリの中間又は側面の追加のバックボーン等の追加の特徴を備えることもできる。FA形状は、更に、様々な大動脈弓生体組織及び寸法に適応するように、軸方向及び横断方向の両方に、様々な寸法及び角度を有し得る。フレームは、ねじり力(例えば、AAのねじれに対する抵抗)、鉛直力(3本の動脈の被覆率に対して押しつけてシールを形成)、横力(例えば、AAの平面に垂直)、交差軸方向における横の血流力学的/液体力、及びAAの平面に対する軸方向の横の力、及び心拍出量/血流力学的な力による流体力に対する抵抗の1つ以上を提供/向けるように実施され得る。
【0048】
本明細書で説明するフィルタに関し、所望の結果を得るために様々な製造アプローチ及びプロセスを採用してよい。いくつかの実施例においては、AF=32℃を達成する、室温より上のオーステナイト最終移行温度が用いられる。様々なニチノールシャフト特性は、特定のオーステナイト最終温度、ひいては所望の剛性及び押し込み性を得るために、ニチノールワイヤ/ロッドの冷間加工及び熱プロセスを制御することで得ることができる。
【0049】
本明細書で特徴が説明されるシャフトは、特定の需要に適応するための柔軟性に関する特徴と共に設計することができる。例えば、シャフトは、タイトな径の周囲を通り抜け、チューブ内の押し引き力/引きずり力に抗し、1対1のトルク・アビリティを提供し、フレーム及びアイソレーション領域の組み合わせ剛性に対する所望の剛性(K値)を提供し、曲がりくねった生体組織を介してフレームを良好に通して送り出すために最適な剛性を得るために低減した超弾性を提供し、被覆率に対する主要な垂直の力を生成し、メッシュ接続の基準点を提供し、フレームにねじり力を提供するように、形成される。
【0050】
特定の製造アプローチにおいては、目標とする最終フレーム厚み、例えば、0.008から0.020インチ、を有する平坦な超弾性ニチノールシートが用いられる。次に、レーザ切断、電気エッチングプロセス、又は他の同様の技法により、最終的なメッシュパターンを生成する前にメッシュ表面被覆率を得るために、ニチノールシートの厚さは、約0.001インチに選択的に減らされる。最後に、レーザ切断又は電気化学的プロセスのいずれかにより、最終的なメッシュパターンが生成される。これは、最終的な形状設定に先立って1つのニチノールフレームアセンブリを提供する。最終的な形状設定プロセスは、適切な熱形状設定固定具及び約400℃から600℃、例えば約500℃の温度での加熱によって達成できる。
【0051】
フィルタアセンブリは、COに対して非同期移動(位相外れ)をしてよく、これは、COによるフレーム移動の増幅を除去する一助となる。関節点は、様々な種類の大動脈弓にわたって規制されたジオメトリに適合するように、曲率及び剛性を変化させるように設定することができる。これは、AAの様々に変化する径に対する動的な順応/シールを容易にし得る。例えば、CWの力は、AA、事後配置に影響を与える。関節は、また、送りシャフトの移動に平衡(ユーザ移動の影響を減らす)し、AAの湾曲に近似して順応し、カテーテル内での退避においてその寸法を最小限にし、またその形状を減少させる。
【0052】
なお、ストラットは、本明細書で特徴を説明するように、側壁に対するフィルタのシールを容易にするよう実施し得る。幅に対する断面高さの割合をアルファと称し、全体的なフレーム剛性、及びフレームによって生じた力の方向性を特徴付けするよう用いることができる。堅固なフレームの用途においては、アルファ>2を用いることができる。中間的な剛性については、アルファは、約1.5と2との間であってよく、適度な心拍出量(COが4-5リットル/分)及び/又はジオメトリの規制が若干小さく、動脈を横切った移行領域が滑らか(AAにおけるより少ない急カーブ)な用途に適用し得る。より堅固なフレームは、カテーテルの内部の適度なメッシュ浮力の力、より薄い/より軽量なメッシュ、及び摩擦に対応できる。低い剛性については、約1.25と1.5との間のアルファを用いることができ、これは、低い心拍出量(COが<3.5リットル/分)及び/又はジオメトリが動脈にわたって非常に急峻な移行領域を有する用途に適用でき、カテーテルの内部で低摩擦を提供し、血流力学的な環境におけるメッシュによって生じた力に対して高められた感度を有する。
【0053】
従って、フレームアセンブリの軸の力、横の力、及びねじりの力の組み合わせは、フレームアセンブリが血液の血流力学的な力に対してシールするように機能するように、分離/減衰システム(例えば、自動車のサスペンションシステムと類似)を形成し得る。シールレール及びストラットの組み合わせは、横の力及びねじりの力を制御する。分離領域の形状及び寸法は、軸の力及び垂直の力を制御する。フレームアセンブリの固有周波数は、減衰システムがどのように機能しているかについてのインジケータとして用いることができる。FAの固有周波数が高いほど、弓状部分に対するシールが良好となる。連続的に変化する剛性は、分離領域の始まりから近端まで、送りシャフトに対してFAと共に用いることができ、心拍出量の間及びその結果である大動脈の脈動においてより自然なクッションを提供する。また、大動脈弓の実際の湾曲に対して「近位」を提供する。FAの剛性の値は、送りシャフトから遠端へ向けて増加し、フレームアセンブリの剛性の組み合わせが常に送りシャフトの剛性より小さい。FAの機械的な力及びメッシュ血流力学的なメッシュの組み合わせは、心拍出量による血流力学的な力より大きく、心拍出量の周波数に対してずれている。
【0054】
様々な種類の関節特徴を、FAの展開及び良好なシールを容易にするため用いることができる。1つには、大動脈弓のより規制されたより短い長さに対してより良好に順応するFA自体の機械的な関節を含む。その他には、フレームの近端からシャフトへの接続までの分離領域あるいは延伸アームの関節がある。関節は、弯曲に対してより良好に通過し、また大動脈壁の壁に対して正の時計回りの力を提供するように用いることができる。更に別には、材料剛性を含む。フレームの、軸の力及び鉛直の力の組み合わせは、ストラットの剛性、ひいては、血流力学的な力に対する抵抗性の力を決定する。
【0055】
本明細書で特徴が説明されるフレームの様々な態様は、軸方向の特徴と共に以下のように実施してよい。フレームの見かけ上の長さ半径は、湾曲した動脈弓の生体組織内に展開された際、形状規制力に対応する。大動脈弓の半径は、フレームの半径より小さい。これは、大動脈弓の湾曲の小さな半径により、規制された状態を提供し、フレーム構造の内のポテンシャルエネルギを構築するために用いられる。生体組織が許容するのであれば、弓状部分の動きを介して、ポテンシャルエネルギは、フレーム矯正による運動エネルギにリリースされる。この動きは、血流における生体組織的及び長さ方向の剛性と共にシール接触を維持する。
【0056】
本明細書で特徴が説明されるフレームの様々な態様は、以下のように径方向の特徴として実施し得る。フレームの特定の幅は、フレーム構造の各端における2つのピボット点からそれぞれ始まる。これらのピボット点は、フィルタの放射状の被覆率についての拡散動きを初期化する。フレームの見かけ上の幅は、大動脈の径より大きい。フレームが生体組織によって規制される場合、ポテンシャルエネルギが蓄積される。生体組織が許容するのであれば、大動脈の拡径を介して、ポテンシャルエネルギが運動エネルギにリリースされ、フレームがその見かけ上の状態まで広くなる。この動きは、フィルタの幅方向の被覆率を維持し、また、生体組織に対するシール接触を支持するよう、作用する。
【0057】
本明細書で特徴が説明されるフレームの様々な態様は、以下のように実施し得る。シャフト、延伸アーム、及びフレーム構造は、それぞれ、フレームに持ち上がる力を加えるように構成され、これは、大動脈弓側壁との相互作用を容易にする。構成部材の仕様については、シャフト素材の特性及び生体組織の寸法を利用してこの蓄積エネルギを生成するようにされる。生体組織が許容するのであれば、弓状部分の動きを介して、ポテンシャルエネルギが運動エネルギにリリースされ、フレーム構造が支持される。
【0058】
本明細書で特徴が説明されるフレームの様々な態様は、パルス特性と共に以下のように実施し得る。径方向ベクトルの延長として、フレーム構造の見かけ上の形状は、シールのため大動脈の壁内に向かう力を加える。心臓周期、及び関連する大動脈の膨張及び収縮の間に、抵抗(運動エネルギへのポテンシャルエネルギ)は、大動脈の壁への力に基づく接触を維持し、従って動的な心臓環境の全体にわたってシールを維持する。
【0059】
様々な実施の形態において、様々な種類のフィルタを用いることができる。フィルタメッシュは、以下のような挙動、物理的及び機械的特性、多孔性、並びに化学及び血流力学的な効果と共に実施し得る。更に、メッシュの化学、生物学、及びジオメトリックな態様は、特定の用途に適するようにメッシュの一般的な特性と組み合わせることができる。当該メッシュは、本明細書で特徴が説明されるような、フレームアセンブリの外周に巻回される、及び/または付着される薄い金属あるいはプラスチックフィルムを含んでよい。メッシュは、近端で、フレームの外周及びサポート延伸に巻回されてもよい。これは、フレーム/メッシュアセンブリへ加わる血流力学的な力を克服可能な機械的なシール力を生成する。ろ過メッシュは、フレームアセンブリに、補強及び包含構造を提供し、また、不適切な寸法の塞栓パーティクルを主要な大動脈から遮断して逸らすろ過のメカニズムを提供するように用いられる。プラスチックメッシュは、押し出されている、適応されている、膨らまされている、織られている、又は管であってよい。ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、PVC又はPTFE、熱硬化性樹脂又は熱可塑性の材料から形成することができる。金属メッシュは、スチール又はTAVR用途用の他の外来の金属から織られる、編み込まれる、溶接される、膨らまされる、光化学的エッチングされる、又は電気鋳造(スクリーンフィルタ)される。メッシュの厚さもまた重要であり、フレームアセンブリの押すあるいは引く力に対する弱さ又は強度に寄与する。
【0060】
TAVR用途におけるろ過メッシュの機能は:a)望ましくない塞栓をブロック及びそらすこと;b)3本の動脈に対する流れの最小の閉塞及び抵抗を許容すること;c)カテーテル内部(最小の量/つぶれた寸法を得る)及びカテーテル外部(フレームの動きを許容して制限しない)での十分な柔軟性を提供すること;d)せん断力(引き裂き)に対する十分な抵抗を提供すること;e)流れ抵抗を低減するための最大の多孔性を提供すること;f)強い自己接着強度を有するようにすること;g)血流おけるバイオフローに抗すること;h)血液密度に対する浮力を有すること(それによってフレームのシール力を増す);i)(フレーム構造に対して、心臓周期かつカテーテル内におけるその動的な移動に続いて)ストレッチ可能であること;j)疎水性であること;及びk)血流力学的な環境に対して物理的に化学的に不活性であること、を含む。
【0061】
図17は、フレーム及び多孔性フィルタアセンブリと共に実施し得る関連する実施の形態を示す。メッシュフィルムは、その動的な動き及びシール機能を阻害せずにフレームに完全に固定される。フレーム及びメッシュアセンブリの柔軟性は、タイプI、タイプII、又はタイプIII大動脈弓ジオメトリのいずれかにおいて生じ得る多くのサブセット及び組み合わせに対するシールを許容する。
【0062】
図18は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、フィルムの貫通セル形状及び全面積に対する開口のパーセンテージ(%多孔性)を示す。例えば、貫通薄膜の六角形のセル形状は、一つの方向にパターニングされた場合、50%以上の多孔性が達成可能である。様々な実施例は、最大の多孔性を利用可能に提供して、血液が動脈に入る際の血流と流速に対する抵抗を最小限にする。多孔性の値が増加するほど、各セル間の距離が短くなり、結果として、ストレッチ又は引っ張り力によって生じるせん断応力が大きくなり、薄膜の引き裂きを生じる場合がある。せん断応力は、メッシュフィルムの厚さに対して反比例な関係を有する。各セル間の空間が小さいほど、また狭いほど、金属フレームに対するスライドや摩擦に加えて引っ張り、ストレッチ、折り曲げによってメッシュに大きなせん断応力が生じる。そのため、様々な実施例は、これらの態様に応じて設定されるフィルムを用いる。
【0063】
本明細書における実施の形態に係る、ろ過可能なパーティクル寸法の範囲は、複数のグループに分類することができ、各グループは、膜の孔に対する寸法によって規定される。1つのグループは、(任意の分散された孔又はファイバーマトリックスに適合するには大きすぎる)より大きなパーティクルを含み、別のグループは、膜の大きな孔又はファイバーの間隙のうち、小さなものを除いてそれらを通過するのに十分小さいパーティクルを含んでいる。また、孔の機能と合致するパーティクルの寸法軸は、ろ過に関して所望のパーティクル寸法に適合するように設定される。血流速度、粘性、及び引きずりによる確率係数(例えば、パーティクルの軸方向の配列)は、開口を通過又は横切るように位置し得るより延伸した形状(針形状)を生じさせる。従って、一般的に大きすぎて孔又はファイバーマトリックスの間隙を通過することができないとされるパーティクルの混合物においては、ろ過状態によって又はチャンスによって、流れのパターンがどのように方向付けされるかに応じて、ある形状では通貨するようになり得る。
【0064】
従って、
図18は、セル寸法、形状、及び多孔性が、塞栓捕捉手法の機能的な需要毎に設計され得るフィルタに応じた一般的なジオメトリカルパターンを示す。パーティクル寸法及び形状は、従って、特定のパーティクル寸法についてのろ過効率に関して用いられ、有効ろ過面積(EFA)は、パーティクル寸法分布によって対応する孔寸法又は保有分布によってマーキングされる。フィルタ効率hは、ベータ比BXに関連し、これは、特定のパーティクル寸法(x)に関連する、ろ過の前(NIN)及び後(NOUT)のパーティクルの数として規定可能である。
【数8】
従って、フィルタ効率h(%)は、
【数9】
のようにベータ比(BX)と関連する。
【0065】
BXが増加すると、効率もまた向上する。例えば、BX=200については、h=99.50%であり、BX=1000については、h=99.90%である。分布密度関数は、パーティクルの数の平均及びピーク(BX)を決定する。特性についての確率分布関数(PDF)は、定量的に、当該特性の値が、どのように、全母集団におけるパーティクルの中に分散されるか規定する。いくつかの実験に基づいた分布関数は、実際上、多くのパーティクル母集団における寸法の分布を非常に正確に表わすよう実施可能であり、これらは、いくつかの実施の形態において有用である。1つ以上の実施の形態において実施される機能の例は、以下を含む。
a.
【数10】
のように規定されるロジン-ラムラー分布関数であり、ここで、D=63.2は、分布関数が0.632の値を有する寸法である。
b.
【数11】
のように規定される対数正規分布であり、ここで、G(x)は、
【数12】
【数13】
のように規定される関数であり、これは、ガウス又は正規分布関数と呼ばれる。多くの数学、統計的参考書において表にされており、関数についての値を得るのが容易である。この分布においては、D50は、パーティクル寸法であり、PD50=0.5である。これは、メジアン寸法と呼ばれる。
c.
【数14】
によって規定されるロジスティック分布であり、これらの3つの分布は、2つのパラメータ関数であり、測定された寸法、及び、カーブフィッティング技術によってそれらがどのように分布されるか、に密接に適合可能である。従って、それぞれの特性(寸法、形状、質量、速度等)についてパーティクルの分布を決定することで、フィルタ効率の評価のため最もあり得そうなパーティクル分布が決定でき、様々な実施の形態において説明された特徴を設定することに利用可能である。
【0066】
図19は、1つ以上の実施の形態に係る、孔寸法を設定する際に考慮される要因を示す。フィルムの用途に応じて、織物又はプラスチック薄物の孔構造を変えることができる。孔の断面は、短軸d及び長軸(n*d)を有する楕円であってよい。軸比nに異なる数を割り当てることで、様々な孔断面を表現し得る。楕円形の横断面を有する孔については、測定された孔径はDであり、
【数15】
のように推測することができる。
例えば、125ミクロンの孔寸法、並びにn=1、1.5及び2については、通過し得ないパーティクル寸法は、従って、125、147、及び158ミクロンである。楕円の孔を通過できる最大のパーティクルはdである。通過できる最大のパーティクルの直径dと測定された孔径Dの比は、孔形状係数であり、
【数16】
のように与えられる。
【0067】
図20は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、様々なセル形状に近似する孔形状係数を示す。
図21は、織物のファイバー径及びメッシュ数、及びポロメーターで測定された孔径から得られた、孔を通過可能なパーティクルの最大径の比較を示す。カテーテル内のメッシュ性能及びその摩擦及び動的な搭載に対する反応は、大動脈弓内にフレーム及びメッシュアセンブリを配置する前に変化させることができる。1つ以上の実験的な実施の形態によれば、ファイバー径及びメッシュ数から算出されたポリアミド織物の開口の平均寸法は、ポロメーターで測定された孔径から算出される通過可能な最大のパーティクルと良好に合致する。測定された孔径は、乗率を含めることでdと比較可能になり得る。
【0068】
フィルム(又は織物/非織物材料)の機械的特性を、フィルタの第1の態様を決定することに用いることができる。これらの特性は、降伏応力、強度(応力/ひずみカーブ下の面積)、ひずみ、弾性エネルギ係数(弾性エネルギ係数=(降伏応力)2/2*ヤング率)、硬度(体積上の機械的変形のエネルギ)、及び密度を含む。孔あきフィルム又は織物に関する特性は、伸び性、柔軟性、及び引き裂き抵抗を含み得る。(メッシュに関する)物理的又はジオメトリカルのいずれか、又は両方に関するフィルム特性は、特定の用途に適するように設定可能である。
【0069】
孔あきフィルム又は織物の伸び性は、材料の線形応力限界を超える前の、オリジナルの長さ(E)に対する、フィルムの延伸及び方向の組み合わせ率として規定することができる。当該応力限界に達すると、延伸(s=ε+β)により、せん断応力、セル位置での引き裂き、更にメッシュセルの最大形状変化(β)が生じる場合がある。材料のひずみ(ε)は、基準長さで除算した移動の比率として規定され、フィルム材料の固有特性と関連する。形状変化βは、メッシュのジオメトリ、及び、セル位置近傍に材料の引き裂きを生じさせる最大応力に達する前のオリジナルの孔寸法(β=1-L0/LS)に対してどの程度延伸/延長されるか、と関連する。従って、様々な実施の形態は、せん断及び引き裂きの解決に関する。
【0070】
図22は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、孔の伸び特徴を示す。引き裂きは、伸びの量又はひずみの値に応じたβあるいはεのいずれかにより生じる。高い歩留り、剛性、硬度、及び低い多孔性(25%未満)を有する厚いフィルムについては、材料のひずみによるせん断応力及び引き裂きの発生の可能性は高い(多孔性が小さいポリエステルメッシュ)。これに対して、材料の機械的特性が低いが厚さが同一で多孔性が同一である場合、セルの引き裂きは、セル形状変形及び伸び(β)により生じる。従って、フィルタ設計は、この点に関して潜在的な問題を解決するように実施される。
【0071】
本明細書における実施の形態で実施されるフィルタの柔軟性は、特定の用途に適合するように設定可能である。孔あき薄膜の柔軟性は、材料を弾性的に変形し、加えられた力が除去又は反転されると元の形状に戻る能力である。フィルムは、外的変更(折り畳み、曲げ、ねじれ)に弾性的に適応する。物体が柔軟であるほど、その硬度は低い。孔あき薄膜の柔軟性は、形状変化(フィルムの内部応力は無視できる)の間に材料内に非常に小さなひずみ(ε=0)を生じさせる。これは、フィルムの形状変化及び多くの自由度内で屈曲及び移動する能力による。柔軟性は、非常に機械的に、剛性(1/K)の逆数として定量化でき、ここで、K=力/変形である。しかしながら、薄い柔軟及び孔あきフィルムについては、他の要因も含まれ得る。熱可塑性又は熱硬化性の薄膜は、例えば、自重で折り畳める。一方の側に保持されると、孔あき薄膜は、折り畳まれて屈曲し、重力によって形状を変化させる。一方の側に保持された状態で、伸び及び応力がせん断応力及び引き裂きを引き起こす前に、複数回ねじることができる。従って、折り畳み性(NF)、曲げ性(NB)、及びねじれ性の定義は、孔あき薄膜がどの程度柔軟であり得るか、を規定するために取り入れることができる。また、多孔性のパーセンテージが増加すれば、薄膜は、より多くの外的変化に適応(より多くの自由度に適合)可能である点、明らかである。フィルム材料の比重は、また、流動性の浮力又は重力環境の要因である。曲げ性(NB=r/t)は、フィルムに引き裂き又は永久的なひずみを生じさせずに、膜厚(t)に対する最小曲げ半径(r)の比として規定される。折り畳み性(NF)は、同一の方向に、薄膜片の長さ(L)を半分に折ることができる最大の回数として規定される。単一方向の折り畳みについては、正確かつ必要な片の長さ(L)は、
【数17】
であり、「t」は、折り畳まれる材料の厚さを表わし、「L」は、一方向のみに折り畳まれるフィルムの長さであり、nは、所望の折り畳み回数である。
【0072】
交互方向の折り畳みに要する実際の紙幅の上界及び近似は、
【数18】
であり、Wは、厚さtの正方形の1片の紙の幅であり、nは、交互方向に行われる折り畳みの所望の回数である。上記の式は、薄い材料の厚さ及び長さについての近似値NFを与える。しかしながら、実際の値は、実験によって決定することができる。
【0073】
ねじれ性(NT)は、フィルムに伸び又は応力を生じる前に、同一方向に薄膜の片をねじることができる最大の回数である。1つのねじれは、フィルムの対称軸を中心とした360度の回転と等しい。ねじれの間に、フィルムの初期長さは、ねじれの回数が増加するほど、フィルムをこれ以上ねじることができなくなるまで、全体的にねじられた物体が曲がり始めることなく短くなる。要約すると、孔あき薄いメッシュの柔軟性(FL)は、上記のように因数の乗算として規定することができ、従って、薄膜のб、希薄な多孔性、及び比重は、
【数19】
である。
【0074】
引き裂き抵抗は、材料がせん断応力に抵抗できる能力である。熱硬化性の材料は、高い歩留まり応力及び弾性率を有し得る。従って、引き裂きに対するそれらの抵抗は、熱可塑性物質と比べると高い。外力による材料の最大せん断応力の分析において、孔の形状による応力拡大係数(KF)を考慮することができる。円形状の孔は、六角形のものと比べて、少ない応力拡大係数を有する。6つの頂点を有する六角形の孔は、円形状のものと比較して、形状変化(例えば、曲げ、屈曲及び伸び)における高い応力に弱い。引き裂き力(F)は、
【数20】
のように推定可能であり、Sはフィルムのせん断強度であり、Tは厚さであり、Lはフィルムの長さであり、KFは、応力拡大係数(これは、分析的又は実験的に決定することができる)である。
【0075】
フィルタ材料の生分解を、特定の実施の形態及び実施例を解決するように設定することができる。生物学的環境における生分解は、特定の生物学的活動による材料の徐々の破壊と規定してもよい。 酸化、加水分解、及び酵素機構は、生分解において生じ得る。材料が体液にさらされることで、材料と周辺環境との間における化学的、物理的、機械的、及び生物学的相互作用のため、物理化学的特性に変化が生じ得る。生分解プロセスは、化学的、物理的、及び生物学的相互作用によって進行する。組織における生分解率は、フィルタ(例えば、重合体)特性及びフィルタがさらされる身体内の配置位置に関連する。化学的生分解は、組成、分子構造、多分散性、結晶化度、表面積、親水性、又は疎水性の影響を受ける。一般に、化学生分解は、ランダムな共有結合の開裂、線状重合体の交差結合又は解重合、規則的に配列された鎖及び結晶化度の干渉、特定の機械的特性の低下により、主重合鎖の劣化を引き起こす。生分解は、表面生分解又はバルク生分解であり得る。バルク生分解の場合は、親水性重合体による水摂取が、重合体から水溶性の材料への変換の速度より速く、バルク生分解は、生分解プロセスがその体積全体にわたって生じるので、材料全体の崩壊を生じさせる。表面生分解は、内部構造に損傷なく、疎水性の重合体に現われ、これらの重合体は、生体分解率の良好な制御を提供する。生分解特徴は、免疫系及びそれらの特殊な細胞との相互作用を容易にするように設定することができる。
【0076】
図23は、材料の生体反応を示し、これは、フィルタ材料の選択及び実施と関連して考慮することができる。生体材料の血液適合性は、身体内での生体材料の全体的な成功を容易にするように設定することができる。移植された生体材料は、宿主組織によって免疫学的反応を引き起こす場合がある。フィルムの機械的及び物理的特性は、従って、血液PH及び粘性が存在する状態で不活性であるように、設定することができる。様々な実施の形態において実施され得る重合体材料は、一般的に、それらの原材料に応じて3つの異なるクラス:植物及び動物由来の両方を含む自然の原材料から得られた天然の重合体;完全に合成の原材料に基づいた合成重合体、;自然に生ずる重合体を模倣、するが、必ずしも同一ではない、合成された材料を含む生物学的に示唆された重合体、に分類可能である。血液-材料相互作用は、プロテイン吸収、血小板粘着及び活性、凝固及び血栓症を含む一連の複雑なイベントを生じさせる。例えば、生体材料の表面上の血小板粘着及び活性は、エネルギ、帯電、及び組成等の表面特性の影響を受ける。反応強度は、材料自体の特性を包む多くの要因に依拠する。生体材料に対する血流力学的の反応は、異なる経路に続くものである。凝固、血栓形成、及び血小板粘着は、フィルムによるプロテイン吸収に直ちに続く。これは、フィブリノゲンの吸収量の影響を受け、血小板、白血球粘着が吸収されたプロテインの層によって影響を受けること、と共に生体材料に自然に生じるが、それらは、活性化した血小板及び損傷した細胞によって放出された信号によって回復される。
【0077】
図24は、移植された生体材料に対する免疫学的な反応の間における、プロテイン吸収、血小板粘着、及び白血球粘着の近似時間スケールを示し、1つ以上の実施の形態に係る、材料特性の設定に用いることができる。
図25は、重合体の表面上での様々な活性化因子の単一層堆積の表面適合性と、様々な実施例におけるフィルタの設計において考慮することができる重合体の血液適合性の様々な表面活性の効果と、を示す。凝固(補体及び血小板)の2つの異なる経路は、互いに独立していない。外因性の経路によって凝固が生じる場合、内因性の経路は、血栓形成にも寄与し、反応の伝達に重要な役割を果たす。白血球と血小板とは互いに共同刺激し合う。活性化された白血球は、増加した血小板凝集を促進し、これによって白血球活性が増加する。従って、白血球の粘着及び活性化は、血小板粘着及び活性に影響し、これは、凝固カスケードに影響する。しかしながら、生体材料と共に、この反応は、材料の生分解及び持続的な炎症性反応を誘発する。従って、重合体フィルムは、凝固、及び表面の血液スラッジ又はろ過メッシュの孔の閉塞に対して活性化(表面あるいはバルクのいずれか)される。血液パーティクルを引きつけて取り付ける表面の湿潤性及びその親和性は、フィルタ設計において考慮することができる適合性の別の観点である。表面の機能化は、従って、塞栓による多孔性材料の捕捉又は連続的な衝撃を許容するが、生分解を緩和又は防止するように選択することができる。
【0078】
改善された血液適合性を有する重合体膜を応用するアプローチは:a.重合体材料のバルクの改質、及びその後の改質した膜の用意;b.改質した膜の表面改質、;c.表面改質とも考慮することができるブレンディング、を含む。原位置架橋重合化は、同一の質量比で、、AA、VP、及びNaSSの異なるモノマーを用いてPES膜の改質に用いることができる。
【0079】
図26は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、材料についての凝固時間を示す。膜の抗凝固特性は、従って、活性部分的トロンボプラスチン時間(APTT)及びトロンビン時間(TT)によって評価することができる。PAA、PNVP、NaSS、及び共重合によって改質された膜についての活性部分的トロンボプラスチン時間(APTT)及びトロンビン時間(TT)が示される。
【0080】
図27は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、選択された重合体の機械的特性間での比較を示す。例示的な特性は、引き裂きに対する抵抗、より高い極限強度、破壊に至る前の伸び及び弾性率を含む。上記の特性に加えて、バルク、表面、及びジオメトリカルに依拠する特性は、塞栓保護装置を含む用途に関して重要である。これらの追加の特性は、バイオファウリングに対する抵抗、バイオ適合性、柔軟性、折り畳み性、第2のライナーの補助なしでの材料のそれ自体への結合能力を含む。最後のカテゴリは、重合体の組み合わせが、追加の結合及び間接容量を生じずに、フレーム構造にそれ自体が固定されるようにすることを容易にする。
【0081】
本明細書で特徴が説明されるフィルタセンブリの製造及び実施について、様々なアプローチ及び装置を実施し得る。
図28は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、フレーム製造用の固定具を示す。固定具は、大動脈弓等の管状組織の側壁フィルタの適用の順応を容易にするジオメトリに対するフレーム及び延伸アームに対応する各部を備える。
【0082】
図29は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、フレームと延伸アームとを備える装置を示す。例えば、
図28に示されるような装置を用いて、
図29の装置を製造し得る。左上の上面図は、ストラット間のフィルタ部(内側/外側)を示す。左下の側面図は、延伸アームの屈曲が側壁と相互作用するように、大動脈弓内に挿入され得るフレームと延伸アームとを示す。詳細な断面図を、左下に示す。
【0083】
図30、31、及び32は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、フレームを形成するための製造用部材を示す。
図30及び31は、フレーム形成のために、一緒に実施され得る固定具(例えば、
図28に関連する下/上部)のそれぞれの態様を示し、
図32は、延伸アームと共に実施され得る湾曲部を示す。
図33は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、平面状態の延伸アームとフレームとを示す。
【0084】
図34は、延伸アームの形成のための態様を含む装置の図及び様々な断面を示す。
図35は、1つ以上の実施の形態において実施され得る、製造固定具であり、1つ以上の実施の形態において実施され得るフレーム及び延伸アーム製造についての態様を支持する。
【0085】
1つ以上の実施の形態と一致して、フィルタ装置は、栓塞が、大きな血管(上腕と頭との間/腕頭、左総頸動脈、及び左の鎖骨下動脈)を通過することを緩和又は防止し、大動脈弓からの手術中に実施され得る。当該大動脈弓は、上行及び下行大動脈の間で曲がる主要な動脈の一部である。大動脈弓は、心臓を去って上昇し、次に、下降してアーチを生成する。大動脈は、心臓の左心室から身体の残りの部位に血液を送り、大動脈弓領域の血流力学がしばしば圧及び速度の非均一な分散を示す状態で、様々なフロー特性を示す。栓塞等のパーティクルは、フィルタリング傘として機能する、周期的な圧力変化の間に大動脈弓の様々なジオメトリに適合するフィルタ部材を用いて、当該条件下でろ過される。集められた塞栓は、例えば、フィルタ部材をつぶしてさや内へ引き入れることによって、送りチューブを介して、身体の外部へ抽出されて除去される。
【0086】
特定の実施の形態においては、上記のフィルタ構造は、フレームに固定的に取り付けされるフレームアセンブリ(FA)及びメッシュ傘を備える。フレーム及びメッシュは、単1つのピース/部材として、あるいは2つ以上のピース/部材として一体化されてよい。FAは、FAが壁に順応した状態で、維管束組織の内壁の開口に対する機械的なシールを提供するよう動作する。従って、FAが順応する維管束組織内で非規制された血流を許容しつつ、ミクロの塞栓及び他のパーティクルが開口に入ることを防止することができる。様々な実施例においては、FAは、外科的手術に関するものを含む様々な条件下での人間、及び様々な大動脈弓系及び/又は寸法又はプラークの蓄積の変化に関するものを含む様々な生態構造並びに条件に関する周期的な血圧の変化の下で順応及び機械的シールを維持するように動作可能である。例えば、メッシュは、覆われるようになる任意の開口又は複数の開口よりも少なくとも2倍の大きさの領域で展開し得る。そのため、FAの様々な態様が、FAがつぶれ/ミクロ栓塞等のパーティクルを捕捉し、また手術の完了によって除去のためパーティクルをカテーテル内に移動させるように動作可能な状態で、カテーテルの配置を介して手術中に当該捕捉を容易にするように実施され得る。また、機械ばね力を介して圧力を制御することにより、高すぎる圧力が加わることを回避可能であり、これは、血管壁の効果や動脈瘤が存在し得る場面において有用である。
【0087】
別の例示的な実施の形態においては、装置は、近端から遠端まで延伸するカテーテルと、カテーテル内で移動するよう動作可能なシャフトと、シャフトの端に接続され、カテーテルの遠端に対して延伸又は退避するよう動作可能なフィルタ部材と、を備える。フィルタ部材は、メッシュと、内側及び外側フレームであって、ストラットに接続され、メッシュが内側及び外側フレームのいずれか又は両方に結合される内側及び外側フレームと、を備える。外側フレームは、内側フレーム(例えば、同心配置)に沿って延伸する。ストラットは、主にフレーム間の方向(フレームを互いに離れるように押す傾向が)に外側フレームと内側フレームとの間の力を加えるように動作する。フレームは、楕円、円形、又は矩形で、後者のアプローチが、組織に圧を加える平坦な面の実現を容易にする。メッシュ、フレーム、及びストラットの1つ以上は、連続的な材料から形成することができる。様々な実施の形態においては、ストラットは、維管束組織の内部領域に対して、等の組織に対して内側フレーム及びメッシュを押圧する力を加える。ブラシのような構成を、シールを容易にするために周辺領域に用いることができる。
【0088】
本明細書で説明するように、当該アプローチは、大動脈弓の内壁に対してメッシュを展開し、その1つ以上の動脈開口の周囲をメッシュでシールすることに特に有用である。当該配置は、例えば、カテーテル/シャフトを介して、フィルタセンブリの移動を回転移動に制限すること、を含んでよく、これは、組織の壁に対してメッシュへの加圧を容易にする。更に、これらのアプローチは、大動脈弓の側壁にメッシュ及び支持構造のほとんど全てが順応しつつ、挿入及びろ過を容易にすることができ、血液が自由に流れることを許容し、また覆われている動脈又は複数の動脈に入り込み得るパーティクルを捕捉する。例えば、人間の赤血球より大きな寸法を有するパーティクルの通過を最小限にしつつ、人間の赤血球を通すことができる。これらのパーティクルは、当該パーティクルが血流に更に逃げることなく除去されるように、メッシュ/フレーム内に捕捉される。
【0089】
メッシュは、内部血管壁又は他の組織に様々な態様でシール可能である。いくつかの実施の形態においては、ストラットは、内側フレーム、外側フレーム、及びメッシュと共に動作し、展開された状態で、内部の血管壁上にメッシュの周辺領域を押し付けるように加えられた力を用いることで内部の血管壁に対してメッシュの周辺領域をシールする。これは、例えば、様々なストラットに沿って、また内側及び外側フレーム間の異なる隣接領域で、フレームの間の距離が、1つまたは両方のフレームの組織構造への順応に対して異なるように、力を加えることを含んでよい。この柔軟性は、身体構造上の差異を吸収しつつ、周辺領域に沿って十分なシール力を加えることを許容する。
【0090】
様々な実施例においては、メッシュは、対向面を有し、維管束組織の内壁に順応し、また維管束組織内の少なくとも1つの開口を覆うように、シャフト、フレーム、及びストラットと共に構成並びに配置される。対向面のうちの1つあるいはほぼ全てが、壁に接しする、又は、少なくとも1つの開口上を延伸することができる。これは、主に維管束組織内の血流の外からメッシュの配置を容易にする。
【0091】
メッシュの配置は、これら及び他の状況において、カテーテルの遠端から延伸したフィルタ部材に応じた第1の状態においてメッシュを膨張し、また、カテーテル内に退避されたフィルタ部材に応じた第2の状態にメッシュをつぶすことで、フィルタ部材、シャフト、及びカテーテルによって達成することができる。従って、メッシュは、カテーテル内へのフィッティングのためにつぶれ、ろ過のためにはるかに広い(例えば、カテーテルの直径の2倍以上)被覆を伴って展開することで膨張し得る。
【0092】
力は、フィルタ部材によって様々な方法で伝達され得る。いくつかの実施の形態においては、フィルタ部材は、シャフトの遠端に結合された機械ばねを備える。機械ばねは、メッシュを組織に対して向かわせるばね力を加えるように、シャフト及びカテーテルをベースにして動作する。例えば、機械ばねは、力がストラットを介して外側フレームから内側フレームへと伝達する状態で、内側フレームに向かう方向へ外側フレームにばね力を加えるように、カテーテル及びシャフトと共に動作し得る。いくつかの実施例においては、ばねは、内側フレームへ直接力を加える。ばねは、フィルタ部材をシャフトに接続する支持構造(あるいはフィルタ部材の一部)とは別体、又は一体であってよい。当該アプローチは、人間の大動脈弓内でカテーテルを適用し、大動脈弓の内壁に対してメッシュをシールし、メッシュで人間の大動脈弓中の少なくとも1つの開口を覆うことに用いることができる。
【0093】
本明細書において特徴が説明されるメッシュ又は他のフィルタ材料は、様々な態様で実施し得る。いくつかの実施の形態においては、メッシュは、補強構造を備え、カテーテル内への退避及び展開のそれぞれのため、オーバーラップする層に折り畳まれ及び展開するように動作可能である。補強構造は、例えば、折り畳みの際に低い剛性を示すメッシュ及びその部位上あるいは内部に追加の材料を含んでよい。例えば、メッシュは、異なる寸法の孔及び/又は孔密度でパターニングされてよく、縦方向又は横方向の折り畳み/積み重なり挙動が容易となる。螺旋状パターンは、特定の開閉挙動を容易にすることができる。孔が少ない又は無い領域は、補強モーメントを生じるように実施され得る。
【0094】
再度
図1を参照すると、1つ以上の例示的な実施の形態に係る、フィルタ又はメッシュを支持するように実施され得る装置100を示す。装置100は、内側フレーム110と、内側及び外側フレームを分離するように押す力を加えるように動作可能なストラット130によって結合された外側フレーム120と、を備える。近端140は、シャフトに連結されるように動作可能で、フレームを介して遠端150に結合される。一例として、図示する遠端150は、内側フレーム110に対して角度を持って延伸し、これにより、血管壁内への位置決めが容易となる(例えば、内側フレーム110が、大動脈弓内の内壁上に押圧される)。当該角度は、遠端150が壁内の動脈へ入ることを回避しつつ、大動脈弓内への装置の配置を容易にし得る。特定の実施例においては、熱可塑性のショウ等のカバーを、遠位端150上に配置してよく、維管束組織との相互作用が容易となる。
【0095】
特定の実施例においては、近端140は、機械ばね(例えば、図示する構成と一体化される)を備え、当該ばねは、血管の内壁に対して内側フレーム110を押圧することを容易にすることが可能な上向きの(図示するとおり)ばね力を提供する。例えば、近端140がシャフトに結合され、カテーテルを介して維管束組織に挿入された状態で、シャフト及び近端140は、内側フレーム110を上に押して維管束組織の内壁に対して押圧する傾向を有するばね力を加えることができる。当該アプローチは、例えば、特に大動脈弓内において有用である。いくつかの例においては、両方のフレームが維管束組織の内壁に対して押圧される。メッシュが内側フレーム110の外周にわたって(また、場合によっては外側フレーム120の横たわる外周にわたって)結合された状態で、内側フレームの外周内の内壁の孔を流れる血液が、従ってメッシュによってろ過される。当該メッシュは、例えば、160で示す構成(当該メッシュが内側フレーム110の外周内の全内部領域に充填された状態で部分的に図示)と共に実施され得る。また、近端140のばね力は、様々な血流条件下、及び様々な生体組織において血管壁に対するシールを維持するように用いることができる。
【0096】
様々な実施例においては、当該ばね及び/又はストラット130を介して加えられる機械的な力は、内壁に対して構成部材を順応させる主要な力(例えば、血管を通過する血液の流体力より数倍大きい機械的な力)として実施され得る。この力は、例えば、製造プロセスの間に、特定用途に適合するように調整され得る。例えば、力は、患者の年齢やメッシュが展開されるべき壁の状態、例えば、プラークの寸法や存在、に基づいて、増減されてよい。付着力の制御は、メッシュが任意の当該力を安定させる上でオーバー寸法とならないように、メッシュの寸法の最適化を容易にし得る。
【0097】
装置100は、1つ以上の構成部材から構成され得る。いくつかの実施の形態においては、内側フレーム110、外側フレーム120、及びストラット130は、連続的な材料から形成され、結合の必要がない。様々な実施例においては、内側フレーム110にわたって結合されたメッシュ(例えば、160)は、また、連続的な材料の少なくとも内側フレーム110と共に形成される。例えば、連続的なニチノール材料を、装置100の1つ又は全ての構成部材を形成するように用いてよい。いくつかの実施の形態においては、薄い熱可塑性材料が、メッシュとして用いられて内側フレームと結合される。2つの構成部材を用いる場合、これらは、加熱及び加圧、接着、及びレーザのうちの1つ以上を含む接合方法を用いて一体に接合され得る。フレーム及びストラットは、重合体材料及び/又は金属材料を用いて形成することができる。メッシュは、フレーム及び/又はそれ自体に直接的に取り付け可能である。
【0098】
様々な実施の形態においては、メッシュ160等のメッシュは、メッシュの粗い領域(例えば、大動脈弓の表面)に対するグリップを向上させる、歯や溝のようなブラシを備える。これらのブラシ特徴は、フレームの領域に位置し得る。(血管壁構造に対する)マイクロ特徴等の小さな特徴は、ばね力を受け、血管に対して大幅に圧縮可能で、それによって血管に対してシールする。
【0099】
様々な実施例においては、装置100は、内側及び外側フレーム110/120が展開される際に、組織を張力下に維持(例えば、維管束組織の内部に沿って、及び内部へ)するように動作する。この状況では、血液がメッシュを通過して流れる状態において壁に対する構造のシールを維持するように、十分なシール圧が加えられる。これは、装置と組織(例えば大動脈弓の)の表面との間の界面に沿った滑らかな表面の相互作用を提供すること、を含む。このアプローチは、溶接、接着、オーバーラップ、及び「溝」等の特徴の縮小化/最小化により、バンプ又は高くした断面が少数又は無しの状態で実施することができ、それにより、維管束組織に対するタイトなシールを容易にする。
【0100】
図2は、本開示の1つ以上の例示的な実施の形態に係る装置200を示す。装置200は、フィルタ部材210を備え、これは、
図1に示すような連結ストラットを備える内側及び外側フレームによって実施され得る。フィルタ部材は、カテーテル230を介して延伸するシャフト220(例えば、図示する部分よりも数倍長いシャフト及びカテーテル)に接続される。フィルタ部材210の近端240は、シャフト220に固定されて図示する上方向にばね力を提供することで、血管壁内に展開した際に当該血管壁に対してフィルタ部材210の外周をシールする。
【0101】
図3Aから3Dは、それぞれ、本開示の1つ以上の例示的な実施の形態に係る装置300を示す図である。
図3に示すように、装置300は、フィルタ部材がカテーテル内に退避可能な状態で、カテーテル330内でシャフト320に結合されたフィルタ部材310を備える。メッシュは、各レール(例えば、
図1に示す)にわたり、フィルタ部材310に結合及び/又は一体化され得る。
図3Bは、
図3Aの「A-A」に沿った断面図であり、
図3Cは、フィルタ部材310の近端340に結合されるカテーテルの遠端及びシャフトを示す。様々な実施例においては、近端340の一部は、カテーテル330の端350を越えて延伸しないように、シャフト320上に配置されて固定される。これにより、維管束組織内に配置した際、カテーテル内及び血流の外に構成部材が維持される。
図3Dは、代替的な装置300の図である。
【0102】
様々な実施例においては、近端340の一部は、カテーテル330の端を越えて延伸しないように、シャフト320上に配置されて固定される。維管束組織内に配置した際、カテーテル内及び血流の外に構成部材が維持される。
【0103】
図4は、本開示の1つ以上の例示的な実施の形態において実施され得る、メッシュ又はフィルタを支持する装置400を示す。
図4に示す寸法は、一例であり、特定の実施の形態に関して実施され得る。装置400は、内側フレーム410と、外側フレーム420と、フレームを互いに離れるように押圧するストラット430と、を備える。細部「A」は、これらの部材についての例示的な図示を提供する。遠端440及び近端450は、図示するようにフレームに結合される。
【0104】
図5Aから5Cは、それぞれ、本開示の1つ以上の例示的な実施の形態において実行され得る、メッシュ又はフィルタを支持する装置500を示す。装置500は、
図4の図示と同様に実施され得る。
図5Aの細部「A」内に示すように、内側(510)及び外側(520)フレームは、内側フレームを外側フレームから離し、血管壁上に押圧するストラット530によって接続される。
図5B及び5Cは、それぞれ、装置500の側面及び端面図である。
【0105】
図6は、本開示の1つ以上の例示的な実施の形態に係る、さや620内に退避したメッシュ610を備えるカテーテル装置600を示す。メッシュ610は、例えば、
図1及び2に示すようなフィルタ部材と共に実施され、カテーテル内へ折り畳まれて退避するよう動作可能であってよい。例えば、メッシュは、大動脈弓の内壁上に展開し、メッシュ610によってシールされた動脈への血流からパーティクルをろ過するように用いられた後、図示するようにさや620内に折り畳まれて退避され、パーティクルを捕捉及び除去する。様々な実施例においては、メッシュ610は、さや620内に展開又は退避された際に、特定の所望の方向に折り畳まれる又は広げられることができるようにする補強/リブ構造を有する。
【0106】
図7Aから7Gは、それぞれ、本開示の1つ以上の例示的な実施の形態において実施され得る、フィルタサポート製造装置700を示す。図示するそれぞれの寸法は、一例であり、装置700は、様々な寸法で製造し得る。装置700は、例えば、他の図で示すような1つ以上のフィルタ部材を製造するために用いられる。
図7Aを参照すると、上固定具710及び下固定具720は、それぞれ斜視図で示され、形成領域722が下固定具に示され、フィルタ部材を形成するように動作する。
【0107】
図7B及び7Cは、それぞれ、上及び下固定具710及び720が形成ステージに位置決めされた状態の、装置700の端面及び上面図である。
図7Bからの細部A-Aを、フィルタ部材を形成するための空間を上及び下固定具710/720の間に提供する領域730と共に示す。当該アプローチは、様々なモールディングアプローチによって容易とすることができる。
【0108】
図7D及び7Eは、それぞれ、下固定具720の上面図及び透視図である。
図7Dの一部として、断面A-A、B-B、D-D、及び細部Cは、様々な断面及び関連する詳細が示される。領域730は、フィルタ部材の一部を形成するために、くぼんでいる。
【0109】
図7F及び
図7Gは、それぞれ、上固定具710の上面図及び透視図である。
図7Fの一部として、断面A-A及びB-Bは、それぞれの断面に関して示される。領域740は、フィルタ部材の一部を形成するために、くぼんでいる。
【0110】
製造のための様々な他のアプローチは、特定の実施の形態に適するように実施できる。いくつかの実施の形態においては、出発材料は、メッシュを形成するために処理される。例えば、いくつかの例では、平坦なニチノール材料が使用され、メッシュ領域は、最初に、放電加工(EDM)又は他の技術を用いて0.005インチ未満(又は0.001インチ未満)に低減される。フレームアセンブリ及びメッシュパターンは、次に、例えばレーザを用いてカットされる。いくつかの例では、プロセスの順序は、フレームアセンブリ(フレーム)がEDM及びレーザパターニングに続いてレーザカットされるように、逆になる。
【0111】
様々な実施の形態においては、
図1から5Cの1つ以上に示すフレーム/メッシュ支持構造と共に実施され得るようなフレームアセンブリは、円形の断面に対して方向性のある剛性及びより高い力を提供する矩形の断面を有する。矩形の断面は、所望の表面接触領域、及び、より分散された力を提供し、シールを容易にする。平坦で矩形のフレーム構造は、横並びに軸方向の両方の張力(たるみなく)下で組織を維持するダブルフレーム及びストラットと共に実施可能である。これは、メッシュ及び組織動脈開口上での一定の流体圧を容易とすることができる。
【0112】
図8を参照して、ろ過を含む様々な実施の形態において実施され得る装置800を示す。装置800は、内側及び外側フレーム810及び820と、内側フレームによって規定される外周並びに内側及び外側フレームの間の領域862内の主領域を覆うメッシュ860と、を備える。様々な実施の形態においては、2つのメッシュ層が実施され、第1のメッシュは、内側フレーム810の外周と位置合わせされる外周を有し、第2のメッシュは、第1のメッシュ上に重ねられ外側フレーム820の外周と位置合わせされる外周を有する。様々な実施の形態においては、内側フレーム810及び外側フレーム820は、維管束組織の内壁に対して押圧され、内壁内の動脈を流れる血液をろ過する水平シール又はダブルシールを形成するように動作する。装置800は、例えば
図4に示すような内側及び外側フレームの間のストラットと共に実施され得る。
【0113】
様々な実施の形態においては、フレームアセンブリは、主領域の周囲のダブル水平シールと共に、フレームアセンブリのばね定数を提供するように設計される。これにより、シールの信頼度が向上し、組織(例えば大動脈)の内壁に対して増加した一定の力が提供されると共に、組織と層との間により大きな付着/接着力が提供される。フレーム構造は、メッシュの配置及びつぶれを容易にするばね構成部材と共に実施され得る。フレームアセンブリは、シール、配置、横、ねじり、引き入れ、及び制約のための支持力を提供するため4つの層から形成され得る。これらの態様は、例えば、
図8に示す装置800又は他の図に示すような他のフィルタ構成部材と共に実施され得る。
【0114】
図9は、1つ以上の実施の形態において実施され得る装置900のブラシ機能を示す。例えば、
図9に示す特徴は、
図1のメッシュ160と共に実施し得る。装置900は、フレームを互いに離れるように押す傾向を有するストラット930によって結合される内側及び外側フレーム910及び920を備える。メッシュ940(一部を示す)は、フレームに結合され、ブラシ状の特徴950は、フレーム近傍のメッシュに結合される。フレーム910及び920は、ストラット930と共に、メッシュ940及びブラシ状の特徴950に、図示するように上方向の圧を加え、維管束組織の内壁(例えば、大動脈弓の表面)に対してメッシュをシールする。ブラシ状の特徴950は、メッシュ940と共通の材料から形成されてよく、内壁に対するメッシュのシールを容易にするように圧縮可能である。
【0115】
以上の説明及び図示に基づき、当業者にとって、図示及び本明細書で説明した例示的な実施の形態及び適用に厳格に従うことなく、様々な実施の形態に対して様々な応用及び変更を行なってもよい点、容易に理解されるところである。例えば、異なる種類の材料を本明細書の様々な構成部材に用いてよく、メッシュ型の構造を膨張/つぶして同様の効果を得る他の態様を実施し得る。追加の及び/又は異なる形状のフレーム部あるいはストラットを、特定の生体組織への用途に適するように、用いてもよい。また、本明細書で開示する様々な方法は、異なる種類の動脈、弁及び組織、並びに異なる種類の生物と共に実施し得る。当該応用は、特許請求の範囲で規定される様態を包む、発明の様々な様態に係る真の技術的範囲から逸脱するものではない。