(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】操作された微生物からのエリオジクチオールの生合成
(51)【国際特許分類】
C12N 1/21 20060101AFI20221215BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20221215BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20221215BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20221215BHJP
C12P 17/06 20060101ALI20221215BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20221215BHJP
C12N 9/02 20060101ALN20221215BHJP
【FI】
C12N1/21 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N5/10
C12P17/06
C12N15/09 Z
C12N9/02
(21)【出願番号】P 2020507067
(86)(22)【出願日】2018-07-12
(86)【国際出願番号】 US2018041745
(87)【国際公開番号】W WO2019032235
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-04-15
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516131979
【氏名又は名称】コナゲン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ, ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ユー, シャオダン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, スティーブン
【審査官】竹内 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/055573(WO,A1)
【文献】特表2010-527242(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0188019(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0047887(US,A1)
【文献】J. Biotechnol., 2014, 176, pp.11-17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-7/08
C12N 15/00-15/90
C12P 1/00-41/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む
Sam5ヒドロキシラーゼポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む第1の核酸と;
(ii)配列番号4、6および8のいずれか一つと少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む
フラビンレダクターゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む第2の核酸と
で形質転換された単離された組換え宿主細胞
であって、
ここで、前記Sam5ヒドロキシラーゼポリペプチドは、ナリンゲニンをヒドロキシル化してエリオジクチオールを形成する能力を有する、単離された組換え宿主細胞。
【請求項2】
前記第1の核酸が、配列番号1と少なくとも95%同一であるポリヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された組換え細胞。
【請求項3】
前記第2の核酸が、配列番号3と少なくとも95%同一であるポリヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された組換え細胞。
【請求項4】
前記第2の核酸が、配列番号5と少なくとも95%同一であるポリヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された組換え細胞。
【請求項5】
前記第2の核酸が、配列番号7と少なくとも95%同一であるポリヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の単離された組換え細胞。
【請求項6】
前記第1の核酸が、配列番号1のポリヌクレオチドを含む、請求項2に記載の単離された組換え細胞。
【請求項7】
前記第2の核酸が、配列番号3のポリヌクレオチドを含む、請求項3に記載の単離された組換え細胞。
【請求項8】
前記第2の核酸が、配列番号5のポリヌクレオチドを含む、請求項4に記載の単離された組換え細胞。
【請求項9】
前記第2の核酸が、配列番号7のポリヌクレオチドを含む、請求項5に記載の単離された組換え細胞。
【請求項10】
前記(i)のポリペプチドが、配列番号2のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離された組換え細胞。
【請求項11】
前記(ii)のポリペプチドが、配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離された組換え細胞。
【請求項12】
前記(ii)のポリペプチドが、配列番号6のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離された組換え細胞。
【請求項13】
前記(ii)のポリペプチドが、配列番号8のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の単離された組換え細胞。
【請求項14】
前記単離された組換え細胞が、細菌、酵母、糸状菌、藍藻類、および植物細胞からなる群より選択される、請求項1に記載の単離された組換え細胞。
【請求項15】
前記単離された組換え細胞が、エシェリキア(Escherichia);サルモネラ(Salmonella);バチルス(Bacillus);アシネトバクター(Acinetobacter);ストレプトマイセス(Streptomyces);コリネバクテリウム(Corynebacterium);メチロシヌス(Methylosinus);メチロモナス(Methylomonas);ロドコッカス(Rhodococcus);シュードモナス(Pseudomonas);ロドバクター(Rhodobacter);シネコシスティス(Synechocystis);サッカロミセス(Saccharomyces);ザイゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces);クリベロマイセス(Kluyveromyces);カンジダ(Candida);ハンセヌラ(Hansenula);デバリオマイセス(Debaryomyces);ムコール(Mucor);ピキア(Pichia);トルロプシス(Torulopsis);アスペルギルス(Aspergillus);アルトボトリス(Arthrobotlys);ブレビバクテリア(Brevibacteria);ミクロバクテリウム(Microbacterium);アルトバクタ-(Arthrobacter);シトロバクター(Citrobacter);エシェリキア(Escherichia);クレブシエラ(Klebsiella);パントエア(Pantoea);サルモネラ・コリネバクテリウム(Salmonella Corynebacterium);クロストリジウム(Clostridium);およびクロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)からなる群から選択される、請求項1に記載の単離された組換え細胞。
【請求項16】
請求項1に記載の単離された組換え宿主細胞を基質とインキュベートすることを含む、ヒドロキシル化フラボノイドの産生方法。
【請求項17】
前記ヒドロキシル化フラボノイドがエリオジクチオールである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記基質がナリンゲニン組成物であり、ナリンゲニンがヒドロキシル化されて酵素的にエリオジクチオールを形成する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記単離された組換え細胞が、酵母、非エリオジクチオール産生植物、藻類、および細菌からなる群より選択される、請求項1に記載の単離された組換え細胞。
【請求項20】
前記単離された組換え細胞がE.Coli細胞である、請求項14に記載の単離された組換え細胞。
【請求項21】
i)前記単離された組換え細胞から前記エリオジクチオールを精製して粗生成物を産生することと、ii)真空下で溶媒を除去して、濃縮されたエリオジクチオール生成物を提供することと、をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記粗生成物が、カラムクロマトグラフィーにより精製される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記粗生成物が、酸塩基抽出により精製される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記粗生成物が、真空蒸留により精製される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
半調製用HPLCを使用して前記エリオジクチオールを精製することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記単離された組換え宿主細胞がE.coli細胞である、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記単離された組換え細胞がピキア・パストリス(Pichia Pastoris)細胞である、請求項1に記載の単離された組換え細胞。
【請求項28】
前記単離された組換え細胞がサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces Cerevisiae)細胞である、請求項1に記載の単離された組換え細胞。
【請求項29】
産生された前記エリオジクチオールが、ピノセンブリン、ホモエリオジクチオール、またはそれらの組み合わせである、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
前記単離された組換え細胞が、大豆;ナタネ;ヒマワリ;綿;トウモロコシ;タバコ;アルファルファ;小麦;大麦;オーツ麦;モロコシ;コメ;ブロッコリ;カリフラワー;キャベツ;パースニップ;メロン;ニンジン;セロリ;パセリ;トマト;ジャガイモ;イチゴ;ピーナッツ;ブドウ;グラスシード穀物;テンサイ;サトウキビ;豆類;エンドウ豆類;ライ麦;亜麻;硬材;軟材;飼料用の草;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana);コメ(Oryza sativa);大麦(Hordeum yulgare);スイッチグラス(Panicum vigratum);ヤマカモジグサ(Brachypodium spp);アブラナ(Brassica spp.);およびクランベ・アビシニカ(Crambe abyssinica)からなる群から選択される植物から単離された細胞である、請求項1に記載の単離された組換え細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月9日に出願された「BIOSYNTHESIS OF ERIODICTYOL FROM ENGINEERED MICROBES」という題名の米国仮特許出願第62/542,843号の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照によりそのすべてが本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の分野は、前駆体分子、特にナリンゲニンからのエリオジクチオールの生成に有用な方法およびプロセスに関する。より具体的には、インビボでの酵素変換を介したナリンゲニンからのエリオジクチオールの産生。
【背景技術】
【0003】
本発明は、ナリンゲニンのエリオジクチオールへの変換に注目している。本開示は、微生物発酵によるエリオジクチオールの合成に関する。
【0004】
フラボノイドは、植物界に存在する最も多数の構造的に多様な天然産物の1つである。それらは、人間の健康に対してさまざまな複数の有益な医薬的効果および化学予防効果を有することが知られている。フラボノイドは、抗酸化剤、抗菌剤、抗炎症剤として作用することが示されており、抗癌特性も実証されている。ただし、これらの化合物の低い水溶性および全体的な不安定性のため、これらの化合物の薬学的用途は限られている。化学的には、フラボンは、2-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-4-オンであり、そのヒドロキシル基は、環のさまざまな位置に存在してもよく、または存在しなくてもよい。フラボンの一例はアピゲニンであり、その化学名は、2-(p-ヒドロキシフェニル)-4H-1-(5,7-ジヒドロキシベンゾピラン-4-オンである。したがって、この定義には、フラバン、フラバン-3-オール(カテコール)、フラバン3,4-ジオール(ロイコアントシアニジン)、フラボン、フラボノール、およびフラボノンが従来の意味で含まれる。本発明において目的のフラボンは、ナリンギン、ナリンゲニン、およびエリオジクチオールである。
【0005】
フラボノイドは、フェニルプロパノイド経路を使用して合成された植物二次代謝物であり(Winkel-Shirley、2001)、多種多様な植物に存在する。フラボノイド由来化合物は、ヒトの食事における健康増進成分としての使用のため、多くの注目を集めている。これは、さまざまなそれらの癌化学予防的活性、抗酸化活性、および抗喘息活性によるものである(Bravo 1998;Lamartiniere 2000; Fileら、2001;およびLe Marchand 2002)。しかし、植物中の特定のフラボノイドの正確なプロファイルと量は、種によって大きく異なる。
【0006】
上記のように、フラボノイドは、多様な生物活性を持つ重要な天然化合物である。柑橘類由来のフラボノイドは、潜在的に医学的に重要な一連のフラボノイドを構成する。ナリンゲニンはこの一連のフラボノイドに属し、哺乳動物系で強力な抗炎症活性および抗酸化活性を示すことが見出されている。いくつかの系統の調査により、別の柑橘類由来のフラボノイド、ナリンギン、およびナリンギン補充物が、ヒトの肥満、糖尿病、高血圧、およびメタボリックシンドロームの治療に有益であることが示唆されている。これらの有益な活性の根底にあるいくつかの分子機序が解明されている。ただし、肥満および代謝障害に対するそれらの効果の機序は、まだ十分には解明されていない。
【0007】
ナリンギン
ナリンギンは、フラバノン-7-O-グリコシドであり、酵素的に修飾されてナリンゲニンとなり得る。ナリンゲニンは、柑橘系の果物、特にグレープフルーツ中に天然に存在し、ナリンギンは、そこで果物の苦味に関与する。市販のグレープフルーツジュースの製造では、酵素ナリンギナーゼを使用して、ナリンギンによって生じる苦味を除去することができる。
【0008】
ナリンギンは、CYP3A4およびCYP1A2を含むいくつかの薬物代謝シトクロムP450酵素を阻害し、全身の薬物間相互作用を引き起こす可能性がある。ナリンギンおよび関連するフラボノイドの摂取は、特定の薬物の腸管吸収にも影響を及ぼし、循環薬物レベルの増加または減少のいずれかをもたらし得る。薬物の吸収および代謝への干渉を避けるために、柑橘類(特にグレープフルーツ)および他のジュースを薬物と共に摂取することは、柑橘類のフラボノイドにより影響を受ける可能性のある薬物を有する患者には禁忌である。
【0009】
ナリンゲニン
ナリンゲニンはフラバノンであり、グレープフルーツ、オレンジ、トマトの皮で見出すことができる。このバイオフラボノイドは、経口摂取で吸収するのが困難である。ただし、摂取されると、ヒトシトクロムP450アイソフォームCYP1A2に対する阻害効果を有することが示されている。この有益な特性は、ベンゾ(a)ピレン代謝酵素であるベンゾ(a)ピレンヒドロキシラーゼ(AHH)の強力な阻害剤となる程度まで拡張できる。同様に、ナリンゲニンは、インビトロおよび動物での研究においてDNAに対する酸化的損傷を軽減することも示されている。ナリンゲニンは、細胞培養において感染した肝細胞(肝臓の細胞)によるC型肝炎ウイルスの産生を減少させることも示されている。これは、細胞による非常に低密度のリポタンパク質の分泌を阻害するナリンゲニンの能力に次ぐようである。ナリンゲニンはまた、高脂肪食の肥満の影響からLDLR欠損マウスを保護する。ナリンゲニンは、高コレステロール食を与えられたラットにおいてHMG-CoAレダクターゼおよびACATを抑制することにより、血漿および肝臓のコレステロール濃度を低下させる。
【0010】
エリオジクチオール
エリオジクチオールは、一部の植物において見出されたフラボノイド化合物でもある。ナリンゲニンと比較して、それは、追加のヒドロキシル化を有する。それはまた、より高い生物活性を有する。エリオジクチオールは、苦味を遮蔽することができ、医薬品および食品の製造に広く使用されている。
【0011】
抽出産業では、エリオジクチオールは、イエルバサンタ(Eriodictyon californicum)植物から採取される(Leyら、2005)。試験で使用されると、エリオジクチオールは、固有の強い風味または味の特徴を示すことなく、カフェインの苦味を有意に減少させることが実証され、これは、食物、飲料、および医薬品の味覚プロファイルの改変に大きな可能性を有した。さらに、エリオジクチオールは、他の多くのフラボノイドよりも高い生物学的活性を保有し、かつより大きな抗癌活性を有することが示された(Leeら、2007;Chuら、2016)。抗癌効果については、エリオジクチオールは、正常な培養ヒト細胞にほとんど、またはまったく効果がないと考えられていたが(Matsuoら、2005)、HL-60白血病細胞においてアポトーシス性DNAラダー形成、クロマチン凝縮、および細胞傷害毒性を誘導することが示された(Ogata 2000)。
【0012】
二次代謝産物として、フラボノイドは特定の植物種で少量または可変量で産出されることが多く、そのため費用対効果の高い単離および幅広い用途が妨げられている。さらに、これらの種のいくつかは、それらの自然生息地で絶滅の危機にさらされているため、商業用途のためのいくつかの植物代謝物の入手可能性はさらに制限されている。
【0013】
薬学的分野における追加の有用性に関して、エリオジクチオールは、TRPV1拮抗薬であり、鎮痛薬として使用できることが見出されている。バニロイド1受容体(TRPV1)は、急性および慢性の疼痛シグナル伝達の伝達および変調に関与するカルシウム透過性チャネルである。そのため、この受容体は、いくつかの疼痛障害の治療の潜在的な標的である。
【0014】
植物では、シトクロムP450依存性モノオキシゲナーゼであるフラボノイド3’-ヒドロキシラーゼ(F3’H)の触媒による植物のナリンゲニンのヒドロキシル化により、エリオジクチオールを誘導できることが知られている(Bruglieraら、1999;Kaltenbachら、1999)。この数十年で、ナリンゲニンの生体触媒によるヒドロキシル化は、植物および微生物からのいくつかのシトクロムP450ヒドロキシラーゼの同定および工学操作により達成された(Kasaiら、2009;Amorら、2010;Chuら、2016)。しかし、P450ヒドロキシラーゼは膜結合タンパク質であるため、その活性はP450レダクターゼおよびヘム生合成に依存しており、そのため、原核生物系でのP450の機能的発現は困難である(Oedaら、1985)。最近になって、ナリンゲニンのエリオジクチオールへの生物変換のための非P450ヒドロキシラーゼを同定するために、努力が払われた。LinおよびYan(2014)は、E.Coliにおいて4-ヒドロキシフェニルアセテートのオルトヒドロキシル化を触媒する2成分モノオキシゲナーゼとして最初に同定されたHpaBCが、ナリンゲニンをエリオジクチオールにヒドロキシル化できることを見出した(LinおよびYan 2014)。Leeら(2014)は、カフェ酸のフェルラ酸へのヒドロキシル化を触媒するサッカロスリックス・エスパナエンシス(Saccharothrix espanaensis)由来のモノオキシゲナーゼであるSAM5がナリンゲニンに対する活性を有することを示した。ただし、これらの非P450ヒドロキシラーゼを介したエリオジクチオールの報告された力価は、スケールアップした生産で使用するには低い。発現したSAM5酵素単独では、E.coli細胞のフラボノイドに対して低い活性を示した。P450レダクターゼの共発現は、活性を高めるための1つの方法であった。しかし、この方法によるフラボノイドのヒドロキシル化の刺激は限定的であり、約34~50%の増強のみが観察された(Leeら、2014)。
【0015】
まとめると、本開示の目的は、生物変換によるナリンゲニンおよびエリオジクチオールの生産を実証することと、そのような化合物の増大した量を産業用途ならびに薬学的分野および機能性化粧品分野の研究に利用可能とする技術を提供すること、である。
【0016】
このように、必要とされる酵素を運搬し、かつ商業的に有意な発酵プロセスを使用するように天然酵素または特定の微生物を改変して、目的のフラボノイドの生産を特に増大させることができる生物変換によって、エリオジクチオールの限られた品質および供給の問題によりよく対処できる。
【0017】
本発明によれば、エリオジクチオールの生産を改善する実用的なアプローチにより、生物変換によるその経済的な生産が可能となる。さらに、特定のフラボノイドを産生することが知られている植物の中でも、組成および量は、気象条件および地理によって大きく異なるため、薬用食品として使用するために、または新薬の開発のための前駆体として使用するために十分な量の特定のフラボノイドを入手するのは困難である。この問題に対処し、十分な量の生理活性フラボノイドを供給するために、実用的で有望なアプローチの1つが、生物変換による生体内変換である(Limら、2004;Kimら、2005)。これにより、植物界からこれらの化合物を調達する際の限られた入手可能性と高コストが逆転する。この相対的に増大された存在量により、食品、医薬品、および化粧品産業で使用するために、いくつかのフラボノイドの生産が可能になる。
【0018】
したがって、本明細書で提供されるフラボノイドが市販品として開発される必要性があり、また出発分子としてのナリンギンなどの比較的一般的な出発基質を利用するためにそのような化合物が必要とされており、そのため、望ましいフラボノイドのそのような生産は、可能な限り商業的に費用対効果を高めることができる。本開示は、ナリンギンおよび/またはナリンゲニンからエリオジクチオールを産生する方法を提供する。
【0019】
さらに、植物からの抽出プロセスでは、通常、回収のためにヘキサン、クロロホルム、およびエタノールなどの溶媒を使用する固液抽出技術を利用している。しかし、溶媒抽出はそれ自体がエネルギー集約型であり、有毒な廃棄物処理の問題をもたらし、植物自体が成長するために広大な作付面積を必要とし、回収される微量成分のさらなる精製を必要とする製品を生み出す。したがって、エリオジクチオールの生産コストを削減し、大規模な栽培および処理の環境への影響を軽減するために、新規の生産方法も必要とされている。そのような潜在的な解決策の1つは、商業用に利用可能な所望のエリオジクチオールの選択性、存在量、および純度を高める、特定の微生物種での生産を可能にする発酵生物変換技術の使用である。
【0020】
上記に加えて、消費者は、食品、飼料、風味成分、または薬用成分の天然および生物源を承認し、積極的に求めているが、一方で、消費者は、調達源、一貫した味のプロファイル、および環境的に持続可能な生産についても懸念している。この状況において、本発明の微生物発酵および生産方法は、無機合成または現在の植物抽出技術よりもより自然な様式で、様々な産業および研究に有用な量で、本発明のフラボノイドを提供する。
【0021】
したがって、人間による産業的使用および消費をさらに可能にするために、経済的かつ便利にエリオジクチオールを生産する新規の方法の開発が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、改変されたE.Coliまたは他の微生物株を介してナリンゲニンからエリオジクチオールを産生する方法を包含する。
【0023】
特に、本発明は、生物変換によるエリオジクチオールの生産を提供する。
【0024】
本方法は、特定の合成経路を使用して、微生物培養におけるエリオジクチオールの生合成のためのアプローチを提供する。
【0025】
製品/商業的有用性に関しては、米国ではエリオジクチオールを含有するいくつかの製品が市場に出回っており、鎮痛剤から害虫忌避剤にわたって、ならびに食品および栄養補助食品としてのあらゆる用途に使用できる。エリオジクチオールを含有する製品は、エアロゾル、液体、または顆粒製剤であり得る。
【0026】
実施形態における細胞系に関しては、それは、細菌、酵母、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるか、または選択された遺伝子による遺伝子形質転換を可能にし、その後ナリンゲニンからエリオジクチオールの生合成産生を可能にする任意の細胞系である。最も好ましい微生物系では、E.coliを使用して、エリオジクチオールおよびジヒドロクエルセチン((「DHQ」)またはタキシフォリン)を生産する。
【0027】
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される:
(項目1)
1つ以上の制御配列に作動可能に連結されたフラビンレダクターゼをコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸構築物で形質転換された単離された組換え宿主細胞であって、前記フラビンレダクターゼが、ナリンゲニンのヒドロキシル化フラボノイドへの生物変換を導くことができる、単離された組換え宿主細胞。
(項目2)
配列番号1、3、5、および7の前記単離された核酸配列を含有するベクターをさらに含む、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目3)
配列番号1および3の前記単離された核酸配列を含有するベクターをさらに含む、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目4)
配列番号1および5の前記単離された核酸配列を含有するベクターをさらに含む、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目5)
配列番号1および7の前記単離された核酸配列を含有するベクターをさらに含む、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目6)
配列番号3の前記単離された核酸配列をさらに含む、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目7)
前記ポリヌクレオチドが、配列番号3のDNA配列と少なくとも90%同一である配列を含む、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目8)
配列番号5の前記単離された前記単離された核酸配列をさらに含む、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目9)
前記ポリヌクレオチドが、配列番号5のDNA配列と少なくとも90%同一である配列を含む、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目10)
配列番号7の前記単離された前記単離された核酸配列をさらに含む、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目11)
前記ポリヌクレオチドが、配列番号7のDNA配列と少なくとも90%同一である配列を含む、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目12)
前記フラビンレダクターゼが、配列番号4からの前記アミノ酸連続配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目13)
前記フラビンレダクターゼが、配列番号6からの前記アミノ酸連続配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目14)
前記フラビンレダクターゼが、配列番号8からの前記アミノ酸連続配列と少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目15)
前記ヒドロキシル化フラボノイドがエリオジクチオールである、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目16)
前記単離された組換え細胞が、細菌、酵母、糸状菌、藍藻類、および植物細胞からなる群より選択される、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目17)
前記単離された組換え細胞が、エシェリキア(Escherichia);サルモネラ(Salmonella);バチルス(Bacillus);アシネトバクター(Acinetobacter);ストレプトマイセス(Streptomyces);コリネバクテリウム(Corynebacterium);メチロシヌス(Methylosinus);メチロモナス(Methylomonas);ロドコッカス(Rhodococcus);シュードモナス(Pseudomonas);ロドバクター(Rhodobacter);シネコシスティス(Synechocystis);サッカロミセス(Saccharomyces);ザイゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces);クリベロマイセス(Kluyveromyces);カンジダ(Candida);ハンセヌラ(Hansenula);デバリオマイセス(Debaryomyces);ムコール(Mucor);ピキア(Pichia);トルロプシス(Torulopsis);アスペルギルス(Aspergillus);アルトボトリス(Arthrobotlys);ブレビバクテリア(Brevibacteria);ミクロバクテリウム(Microbacterium);アルトバクタ-(Arthrobacter);シトロバクター(Citrobacter);エシェリキア(Escherichia);クレブシエラ(Klebsiella);パントエア(Pantoea);サルモネラ・コリネバクテリウム(Salmonella Corynebacterium);クロストリジウム(Clostridium);およびクロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)からなる群から選択される、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目18)
項目15に記載の単離された組換え宿主細胞を基質とインキュベートすることを含む、エリオジクチオール組成物の産生方法。
(項目19)
項目18に記載の方法により産生されたエリオジクチオール組成物。
(項目20)
前記基質がナリンゲニン組成物であり、ナリンゲニンがヒドロキシル化されて酵素的にエリオジクチオールを形成する、項目18に記載の方法。
(項目21)
前記単離された組換え細胞が、酵母、非エリオジクチオール産生植物、藻類、および細菌からなる群より選択される、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目22)
前記単離された組換え細胞がE.Coli細胞である、項目16に記載の単離された組換え細胞。
(項目23)
水と、長引く甘い後味を有する非栄養性甘味料を含む非栄養性甘味料成分と、前記非栄養性甘味料の前記長引く甘い後味を低減するのに有効な量の苦味成分と、を含む低カロリー飲料製品であって、前記苦味成分が、項目18に記載の方法により産生されたエリオジクチオールである、低カロリー飲料製品。
(項目24)
前記苦味成分の濃度が、50ppt(一兆分率)~500ppm(百万分率)である、項目23に記載の低カロリー飲料。
(項目25)
レバウジオシドMをさらに含む、項目23に記載の低カロリー飲料。
(項目26)
化粧用または衛生用製品中で天然化合物を使用する方法であって、微生物宿主細胞からエリオジクチオールを産生する工程と、前記エリオジクチオールを化粧的または衛生的に活性な物質と組み合わせて、所望の皮膚、毛髪、または口腔ケア効果を提供することにより、化粧用または衛生用製品を製造する工程と、を含む方法。
(項目27)
項目26に記載の方法により生成された、化粧用または衛生用組成物。
(項目28)
前記組成物が強力な抗炎症活性を有する、項目27に記載の化粧用または衛生用組成物。
(項目29)
前記組成物が、生物学的利用能の増強剤として利用される、項目28に記載の化粧用または衛生用組成物。
(項目30)
ビタミンCをさらに含む、項目29に記載の化粧用または衛生用組成物。
(項目31)
前記組成物が、フリーラジカルによって引き起こされる皮膚損傷、毛髪損傷、および口腔損傷の少なくとも1つを低減するように、前記組成物が、フリーラジカル分解効果を有する、項目29に記載の化粧用または衛生用組成物。
(項目32)
前記エリオジクチオール成分が、少なくとも50%の純度に精製される、項目26に記載の方法。
(項目33)
前記エリオジクチオールが、70%より高い純度である、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記エリオジクチオールの含有量が、乾燥質量に基づいて約85重量%より多い、項目26に記載の方法。
(項目35)
i)前記単離された組換え細胞から前記エリオジクチオールを精製して粗生成物を産生することと、ii)真空下で溶媒を除去して、濃縮されたエリオジクチオール生成物を提供することと、をさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目36)
前記粗生成物が、カラムクロマトグラフィーにより精製される、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記粗生成物が、酸塩基抽出により精製される、項目35に記載の方法。
(項目38)
前記粗生成物が、真空蒸留により精製される、項目35に記載の方法。
(項目39)
半調製用HPLCを使用して前記エリオジクチオールを精製することをさらに含む、項目35に記載の方法。
(項目40)
前記単離された組換え宿主細胞がE.coli細胞であり、前記方法がE.coli細胞においてHpaCをSam5と共発現することをさらに含み、前記得られた細胞がナリンゲニンをエリオジクチオールに変換する、項目18に記載の方法。
(項目41)
前記単離された組換え細胞がピキア・パストリス(Pichia Pastoris)細胞である、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目42)
前記単離された組換え細胞がサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces Cerevisiae)細胞である、項目1に記載の単離された組換え細胞。
(項目43)
産生された前記エリオジクチオール組成物が、エリオジクチオール、ピノセンブリン、ホモエリオジクチオール、またはそれらの組み合わせである、項目18に記載の方法。
(項目44)
前記エリオジクチオール化合物が、0.01~500ppmの範囲のナトリウム塩またはカリウム塩として食品中に配合され、甘味を低下させることなく前記食品の印象のうち前記苦味を低減または抑制するように作用する、項目19に記載のエリオジクチオール組成物。
(項目45)
前記食品の前記甘味がステビア・レバウジオシドによって提供される、項目44に記載のエリオジクチオール組成物。
(項目46)
前記エリオジクチオール組成物が、他の風味剤を伴い、前記風味剤が、トリロバイン、サクラネチン、フロレチン、およびヘスペレチンを含む群から選択される、項目44に記載のエリオジクチオール組成物。
(項目47)
産生された前記エリオジクチオール組成物が苦味を抑制することができ、前記エリオジクチオール組成物によって抑制された前記苦味が、食品、栄養補助食品、医薬品、消費飲料、薬学的製品、および口腔衛生用製品からなる群から選択された調製物中にあり、場合により、前記方法が、食品、栄養補助食品、医薬品、消費飲料、薬学的製品、または口腔衛生用製品に前記エリオジクチオール組成物を添加することをさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目48)
前記単離された組換え細胞が、大豆;ナタネ;ヒマワリ;綿;トウモロコシ;タバコ;アルファルファ;小麦;大麦;オーツ麦;モロコシ;コメ;ブロッコリ;カリフラワー;キャベツ;パースニップ;メロン;ニンジン;セロリ;パセリ;トマト;ジャガイモ;イチゴ;ピーナッツ;ブドウ;グラスシード穀物;テンサイ;サトウキビ;豆類;エンドウ豆類;ライ麦;亜麻;硬材;軟材;飼料用の草;シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana);コメ(Oryza sativa);大麦(Hordeum yulgare);スイッチグラス(Panicum vigratum);ヤマカモジグサ(Brachypodium spp);アブラナ(Brassica spp.);およびクランベ・アビシニカ(Crambe abyssinica)からなる群から選択される植物から単離された細胞である、項目1に記載の単離された組換え細胞。
本開示は、様々な修飾形および代替的形態の影響を受けやすいが、それらの特定の実施形態は、例として図面に示されており、本明細書で詳細に説明される。ただし、本明細書
で提示される図面および詳細な説明は、開示された特定の実施形態に本開示を限定することを意図するものではなく、その意図は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲内となるすべての修飾形、均等物、および代替物を包含することである。
【0028】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明において明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】主要な構成要素を伴うSam5-pRSFDuetのプラスミドマップを示す。
【
図2】ERI-01株を用いるナリンゲニンのエリオジクチオールへの生物変換のHPLC分析。
【
図3-1】
図3ERI-01株を用いるナリンゲニンの生物変換のLC-MS分析。
【
図3-2】
図3ERI-01株を用いるナリンゲニンの生物変換のLC-MS分析。
【
図4】HpaC、PpFR、およびSeFRの配列アラインメント。
【
図5】精製されたフラビンリダクターゼのSDS-PAGE。レーン1、3、5はタンパク質マーカーであり、対応するサイズが左側に列挙されている。精製されたフラビンレダクターゼが、赤色の矢印で示された。レーン2:SeFR;レーン4:PpFR、およびレーン6:HpaC。
【
図6】HpaC活性と比較した、FADリダクターゼの相対的酵素活性。
【
図7】HpaC-pCDF、PpFR-pCDF、およびSeFR-pCDFのプラスミドのマップ。
【
図8】HPLCによって測定されるような、ER01~ER05株におけるエリオジクチオールの産生。
【
図10】単離されたフラビンレダクターゼ、HpaC、PpFR、およびSeFRの各々を含有するプラスミドマップを示す。
【
図11】ERI-06、ERI-07、およびERI- 08の操作された株を用いるエリオジクチオールの産生。
【
図12】ナリンゲニンについての分子構造を示す。C
15H
12O
5;平均質量:272.253Da;ナリンゲニン-IUPAC名 5,7-ジヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシフェニル)クロマン-4-オン。
【
図13】エリオジクチオールのための分子構造を示す;C
15H
12O
6;平均質量:288.252Da;エリオジクチオール-IUPAC名:(2S)-2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-4-クロマノン。
【発明を実施するための形態】
【0030】
好ましい実施形態の説明
本明細書で使用される用語の説明:
定義:
細胞系は、異所性タンパク質の発現を提供する任意の細胞である。それは、細菌、酵母、植物細胞、および動物細胞を含んだ。それには、原核細胞および真核細胞の両方が含まれる。それには、リボソームなどの細胞成分に基づくタンパク質のインビトロ発現も含まれる。
【0031】
「コーディング配列」は、当業者にその通常かつ慣習的な意味を与えるものであり、それは、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を指すために制限なく使用される。
【0032】
細胞系の成長。成長には、細胞の増殖および分裂を可能にする適切な培地を提供することが含まれる。それには、細胞または細胞成分が翻訳され、組換えタンパク質を作成できるような資源を提供することも含まれる。
【0033】
タンパク質発現。タンパク質の産生は、遺伝子発現後に起こり得る。それは、DNAがメッセンジャーRNA(mRNA)に転写された後の段階で構成される。次に、mRNAはポリペプチド鎖に翻訳され、最終的にタンパク質に折り畳まれる。DNAはトランスフェクション-細胞に意図的に核酸を導入するプロセス-を通じて、細胞内に存在する。この用語は、真核細胞での非ウイルス法についてよく使用される。それは、他の方法および細胞型を指すこともできるが、他の用語が好ましい:「形質転換」は、細菌、植物細胞を含む非動物真核細胞における非ウイルス性DNA移入を記述するために、より頻繁に使用される。動物細胞では、形質転換(transformation)は、これらの細胞の癌状態への進行(発癌)を指すためにも使用されるため、トランスフェクション(transfection)が好ましい用語である。ウイルス媒介DNA移入を記述するために、形質導入がよく使用される。形質転換、形質導入、およびウイルス感染は、本明細書のトランスフェクションの定義に含まれている。
【0034】
酵母。本発明によれば、本明細書で請求される酵母は、真菌界のメンバーとして分類される真核生物の単細胞性微生物である。酵母は、多細胞祖先から進化した単細胞生物であるが、本発明に有用な種は、仮性菌糸または偽菌糸として知られる連結した出芽細胞のストリングを形成することにより多細胞特性を発達させる能力を有するものである。
【0035】
構造的用語:
本明細書で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容が明らかに別のことを示さない限り、複数への参照を含む。
【0036】
「含む」、「有する」などの用語が本明細書または特許請求の範囲で使用される限り、そのような用語は、特許請求の範囲における移行語として使用されるときに「含む」が解釈されるのと同様の方法で「含む」という用語に対して包括的であることが意図される。
【0037】
「例示的」という用語は、本明細書では「一例、事例、または例示として役立つ」ことを意味するために使用される。本明細書で「例示的」として説明される実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有利であるとみなされる必要はない。
【0038】
「相補的」という用語は、当業者にその通常かつ慣習的な意味を与えるものであり、互いにハイブリダイズすることができるヌクレオチド塩基間の関係を説明するために制限なく使用される。例えば、DNAに関しては、アデノシンはチミンと相補的であり、シトシンはグアニンと相補的である。したがって、従属する技術は、添付の配列表に報告されている完全な配列およびそれらの実質的に類似した核酸配列に相補的な単離された核酸断片も含む。
【0039】
用語「核酸」および「ヌクレオチド」は、当業者にそれぞれの通常かつ慣習的な意味を与えるものであり、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、および一本鎖もしくは二本鎖形態のいずれかのそれらのポリマーを指すために制限なく使用される。特に限定されない限り、この用語は、参照核酸と同様の結合特性を有し、かつ天然に発生するヌクレオチドと同様の方法で代謝される天然のヌクレオチドの既知の類似体を含有する核酸を包含する。特に明記しない限り、特定の核酸配列は、明示的に示された配列だけでなく、それらの保存的修飾された変異体または縮重変異体(例えば、縮重コドン置換)および相補配列も暗に包含する。
【0040】
「単離された」という用語は、当業者にその通常かつ慣習的な意味を与えるものであり、単離された核酸または単離されたポリペプチドの文脈で使用される場合、人間の手によって、その自然環境から離れて存在し、したがって自然の産物ではない核酸またはポリペプチドを指すために制限なく使用される。単離された核酸またはポリペプチドは、精製された形態で存在するか、または例えばトランスジェニック宿主細胞などの非自然環境に存在することができる。
【0041】
本明細書で使用する「インキュベートする」および「インキュベーション」という用語は、2つ以上の化学的または生物学的実体(化合物および酵素など)を混合し、エリオジクチオール組成物の産生に有利な条件下でそれらを相互作用させるプロセスを意味する。
【0042】
「縮重変異体」という用語は、1つ以上の縮重コドン置換により参照核酸配列と異なる残基配列を有する核酸配列を指す。縮重コドン置換は、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位置が混合された塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を生成することによって実現できる。核酸配列およびそのすべての縮重変異体は、同じアミノ酸またはポリペプチドを発現する。
【0043】
「ポリペプチド」、「タンパク質」、および「ペプチド」という用語は、当業者にそれぞれの通常かつ慣習的な意味を与えらるものであり、これらの3つの用語は、交換可能に使用されることもあり、サイズや機能に関係なく、アミノ酸のポリマーまたはアミノ酸類似体を指すために制限なく使用される。「タンパク質」は、比較的大きなポリペプチドに関してしばしば使用され、「ペプチド」は、小さなポリペプチドに関して使用されることが多いが、当技術分野におけるこれらの用語の使用は重複し、変化する。本明細書で使用される「ポリペプチド」という用語は、特に明記しない限り、ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質を指す。「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」という用語は、ポリヌクレオチド産物を指す場合、本明細書では互換的に使用される。したがって、例示的なポリペプチドには、ポリヌクレオチド産物、天然に発生するタンパク質、ホモログ、オルソログ、パラログ、断片および他の同等物、変異体、および前述の類似体が含まれる。
【0044】
「ポリペプチド断片」および「断片」という用語は、参照ポリペプチドに関して使用される場合、当業者にそれらの通常かつ慣習的な意味を与えるものであり、その中のあるアミノ酸残基が参照ポリペプチド自体と比較して削除されているが、残りのアミノ酸配列は通常、参照ポリペプチドの対応する位置と同一であるポリペプチドを指すために制限なく使用される。そのような欠失は、参照ポリペプチドのアミノ末端またはカルボキシ末端、あるいはその両方で起こり得る。
【0045】
ポリペプチドまたはタンパク質の「機能的断片」という用語は、完全長ポリペプチドまたはタンパク質の一部であり、完全長ポリペプチドまたはタンパク質と実質的に同じ生物学的活性を有する、またはそれらと実質的に同じ機能を果たす(例えば、同じ酵素反応を実行する)ペプチド断片を指す。
【0046】
互換的に使用される用語「変異体ポリペプチド」、「修飾アミノ酸配列」、または「修飾ポリペプチド」は、1つ以上のアミノ酸によって、例えば、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、および/または付加によって、参照ポリペプチドと異なるアミノ酸配列を指す。一態様では、変異体は、参照ポリペプチドの能力の一部またはすべてを保持する「機能的変異体」である。
【0047】
「機能的変異体」という用語は、保存的に置換された変異体をさらに含む。「保存的に置換された変異体」という用語は、1つ以上の保存的アミノ酸置換によって参照ペプチドとは異なり、参照ペプチドの活性の一部またはすべてを維持するアミノ酸配列を有するペプチドを指す。「保存的アミノ酸置換」は、機能的に類似した残基によるアミノ酸残基の置換である。保存的置換の例には、イソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニンなどの1つの非極性(疎水性)残基を別の残基に置換すること;アルギニンとリジン間、グルタミンとアスパラギン間、スレオニンとセリン間などのように、1つの荷電もしくは極性(親水性)残基を別の残基に置換すること;リジンもしくはアルギニンなどの1つの塩基性残基を別の残基に置換すること;またはアスパラギン酸もしくはグルタミン酸などの酸性残基を別の残基に置換すること;またはフェニルアラニン、チロシン、トリプトファンなどの芳香族残基を別の残基に置換すること、が含まれる。そのような置換は、タンパク質またはポリペプチドの見かけの分子量または等電点にほとんどまたはまったく影響を与えないと予想される。「保存的に置換された変異体」という語句は、得られたペプチドが本明細書に記載の参照ペプチドの活性の一部またはすべてを維持する限り、ある残基が化学的に誘導体化された残基で置換されているペプチドも含む。
【0048】
本技術のポリペプチドに関連する「変異体」という用語は、参照ポリペプチドのアミノ酸配列と、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、さらには100%同一であるアミノ酸配列を有する機能的に活性なポリペプチドをさらに含む。
【0049】
そのすべての文法形式およびスペルのバリエーションにおける「相同」という用語は、スーパーファミリーに由来するポリヌクレオチドまたはポリペプチドを含む「共通の進化的起源」を有するポリヌクレオチドまたはポリペプチドの間、および異なる種に由来する相同ポリヌクレオチドまたはタンパク質の間の関係を指す(Reeckら、CELL 50:667、1987)。そのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、同一性パーセントまたは保存された位置での特定のアミノ酸もしくはモチーフの存在に関して、それらの配列類似性によって反映されるように、配列相同性を有する。例えば、2つの相同ポリペプチドは、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも900少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、さらには100%同一であるアミノ酸配列を有し得る。
【0050】
「適切な調節配列」は、当業者にその通常かつ慣習的な意味を与えるものであり、コーディング配列の上流(5’非コーディング配列)、内部、または下流(コーディング配列の3’非コーディング配列)に位置し、関連するコーディング配列の転写、RNAプロセシングもしくは安定性、または翻訳に影響を与えるヌクレオチド配列を指すために制限なく使用される。調節配列には、プロモータ、翻訳リーダー配列、イントロン、およびポリアデニル化認識配列が含まれ得る。
【0051】
「プロモータ」は、当業者にその通常かつ慣習的な意味を与えるものであり、コーディング配列または機能的RNAの発現を制御できるDNA配列を指すために制限なく使用される。一般に、コーディング配列は、プロモータ配列の3’に位置している。プロモータは、その全体が天然の遺伝子に由来するか、または自然界で見出される異なるプロモータに由来する異なる要素で構成されているか、または合成DNAセグメントを含むことさえある。異なるプロモータは、異なる組織または細胞型で、または異なる発達段階で、または異なる環境条件に応じて、遺伝子の発現を導き得ることを当業者は理解する。ほとんどの場合にほとんどの細胞型で遺伝子の発現を引き起こすプロモータは、一般に「構成的プロモータ」と呼ばれる。さらに、ほとんどの場合、調節配列の正確な境界が完全に定義されていないため、異なる長さのDNA断片は同一のプロモータ活性を有している可能性があることが認識されている。
【0052】
「作動可能に連結された」という用語は、一方の機能が他方によって影響されるように、単一の核酸断片上の核酸配列の会合を指す。例えば、プロモータは、そのコーディング配列の発現に影響を及ぼすことができる場合(すなわち、コーディング配列がプロモータの転写制御下にある場合)、コーディング配列と作動可能に連結している。コーディング配列は、センスまたはアンチセンスの向きで調節配列に作動可能に連結することができる。
【0053】
本明細書で使用される「発現」という用語は、当業者にその通常かつ慣習的な意味を与えるものであり、本技術の核酸断片に由来するセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定な蓄積を指すために制限なく使用される。「過剰発現」とは、正常または非形質転換生物での産生レベルを超える、トランスジェニック生物または組換え生物での遺伝子産物の産生を指す。
【0054】
「形質転換」は、当業者にその通常かつ慣習的な意味を与えるものであり、標的細胞へのポリヌクレオチドの移入を指すために制限なく使用される。移入されたポリヌクレオチドは、標的細胞のゲノムまたは染色体DNAに組み込まれることができ、遺伝的に安定した遺伝をもたらすか、またはそれは、宿主染色体とは無関係に複製することができる。形質転換された核酸断片を含有する宿主生物は、「トランスジェニック」と呼ばれる場合がある。
【0055】
用語「形質転換された」、「トランスジェニック」、および「組換え」は、宿主細胞に関連して本明細書で使用される場合、当業者にそれぞれの通常かつ慣習的な意味を与えるものであり、異種核酸分子が導入された植物または微生物細胞などの宿主生物の細胞を指すために制限なく使用される。核酸分子は、宿主細胞のゲノムに安定して組み込まれることができ、または核酸分子は、染色体外分子として存在することができる。そのような染色体外分子は、自己複製することができる。形質転換された細胞、組織、または対象は、形質転換プロセスの最終産物だけでなく、そのトランスジェニック子孫も包含すると理解される。
【0056】
「組換え」、「異種」、および「外因性」という用語は、ポリヌクレオチドに関連して本明細書で使用される場合、当業者にそれらの通常かつ慣習的な意味を与えるものであり、特定の宿主細胞にとって外来の起源に由来するポリヌクレオチド(例えば、DNA配列もしくは遺伝子)、または同じ起源に由来する場合、その元の形から修飾されているポリヌクレオチドを指すために制限なく使用される。したがって、宿主細胞中の異種遺伝子には、特定の宿主細胞にとって内因性であるが、例えば、部位特異的突然変異誘発または他の組換え技術の使用により改変された遺伝子が含まれる。この用語には、天然に発生するDNA配列の非天然に発生する複数のコピーも含まれる。したがって、この用語は、細胞に対して外来性または異種であるか、または細胞に対して相同であるが、要素が通常見られない宿主細胞内の位置または形態にあるDNAセグメントを指す。
【0057】
同様に、用語「組換え」、「異種」、および「外因性」は、ポリペプチドまたはアミノ酸配列に関連して本明細書で使用される場合、特定の宿主細胞に対して外来の起源に由来するポリペプチドまたはアミノ酸配列、または、同じ起源に由来する場合、その元の形から修飾されているポリペプチドまたはアミノ酸配列を意味する。従って、組換えポリペプチドを生成するために、組換えDNAセグメントを宿主細胞で発現させることができる。
【0058】
「プラスミド」、「ベクター」、および「カセット」という用語は、当業者にそれぞれの通常かつ慣習的な意味を与えるものであり、細胞の中心代謝の一部ではなく、通常、環状の二本鎖DNA分子の形態である遺伝子を運ぶことの多い余分な染色体要素を指すために制限なく使用される。そのような要素は、任意の起源に由来する一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAの、自律的に複製する配列、ゲノム統合配列、ファージまたはヌクレオチド配列、線状または環状のものであり、その多くのヌクレオチド配列は、適切な3’非翻訳配列とともに、選択された遺伝子産物のためのプロモータ断片およびDNA配列を細胞に導入することができる独自の構造へと結合または組み換えられている。「形質転換カセット」とは、外来遺伝子を含有し、外来遺伝子に加えて特定の宿主細胞の形質転換を促進する要素を有する特定のベクターを指す。「発現カセット」とは、外来遺伝子を含有し、外来遺伝子に加えて外来宿主におけるその遺伝子の発現の増強を可能にする要素を有する特定のベクターを指す。
【0059】
合成生物学
本明細書で使用される標準的な組換えDNAおよび分子クローニング技術は、当該技術分野において周知であり、例えば、Sambrook、J.、Fritsch、E.F.およびManiatis、T.MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、2nd ed.;Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor、N.Y.、1989(今後、「Maniatis」と称する);ならびにSilhavy、T. J.、 Bennan、M. L. およびEnquist、L. W. EXPERIMENTS WITH GENE FUSIONS;Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor、N.Y.、1984;ならびにAusubel、F. M.ら、IN CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、Greene Publishing and Wiley-InterScience、1987発行;(その各々の全体は参照により本明細書に組み込まれる)により記載されている。
【0060】
別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本開示の実施または試験において、本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法および材料を使用することができるが、好ましい材料および方法を以下に記載する。
【0061】
本開示は、以下の非限定的な実施例を考慮すればより完全に理解されるであろう。これらの実施例は、主題技術の好ましい実施形態を示しているが、例示のみを目的として与えられていることを理解されたい。上記の議論およびこれらの実施例から、当業者は、主題技術の本質的な特徴を確認でき、その精神および範囲から逸脱することなく、主題技術の様々な変更および修正を行って、それを様々な用途および条件に適合させることができる。
【実施例】
【0062】
材料および方法
細菌株、プラスミド、および培養条件。
DNAクローニングおよび組換えタンパク質発現のために、DH5aおよびBL21(DE3)のE.coli株はInvitrogenから購入し、プラスミドpRSFDuet-1およびpCDFDuet-1はNovagenから購入した。
【0063】
DNA操作。
すべてのDNA操作は、標準的な手順に従って行われた。制限酵素とT4DNAリガーゼは、New England Biolabsから購入した。すべてのPCR反応は、製造元のガイダンスに従って、New England BiolabsのPhusion PCRシステムを用いて実行された。
【0064】
標的遺伝子の同定
NCBI参照配列ID、WP_015103234.1を有するサッカロスリックス・エスパナエンシス由来の4-クマル酸3-ヒドロキシラーゼであるSAM5は、初めに、p-クマル酸からカフェ酸へのメタヒドロキシル化を触媒することが機能的に特徴付けられた(Bernerら、2006)。その対応するヌクレオチドは、E.coliでの発現のためにコドン最適化の後、GenScript Companyで合成された(配列番号1)。潜在的に興味深いフラビンレダクターゼ遺伝子を同定するために、「フラビンレダクターゼ」というキーワードを使用して、NCBIデータベースのシュードモナス蛍光Pf-5およびサッカロスリックス・エスパナエンシスのタンパク質について検索し、それぞれ、AAY92875.1のGenBank IDおよびWP_041313262のNCBI参照配列を有する2つのホモログPfFRおよびSeFRを得た。それらの対応するヌクレオチド配列は、E. coliでの発現に最適化されたコドンを用いて生成され、Genscript(NJ)で合成された。E. coliの4-ヒドロキシフェニル酢酸ヒドロキシラーゼ複合体の成分であるフラビンレダクターゼをコードするHpaC(Galan et al.2000)も本研究に含めた。
【0065】
プラスミドの構築。
Sam5ならびに2つの特徴付けされていないフラビンレダクターゼ、PpFRおよびSeFRのDNA断片を、E.coliでの発現のためにコドン最適化し、これらは、それぞれ、配列番号1、配列番号3、配列番号5に記載された配列を伴う。天然HpaCのDNA配列は、配列番号7に記載されている。それらの対応するタンパク質配列は、それぞれ、配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8に記載されている。Sam5、PpFR、およびSeFRは、Genscript Companyで合成され、続くPCR増幅の鋳型として使用された。
【0066】
Sam5を、pRSFDuet-1のNde I/Xho I制限部位にクローニングした。PpFR、SeFR、およびHpaCを、pCDFDuet-1のNde I/Xho I制限部位にクローニングした。酵素の過剰発現および精製のために、HpaC、PpFR、およびSeFRを、pET28aベクターのNde I/Xho I制限部位にクローニングした。
【0067】
HpaCは、E.coli株MG1655のゲノムDNAからクローニングされ、細菌DNA抽出キットを使用して抽出された。HpaC遺伝子は、5’末端にNde I部位を、3’末端にXho I部位を導入し、PCRを用いて、E.coliゲノムDNAから増幅された。使用したプライマーは、フォワードプライマーHpaC_NdeI_F(5’-GGGAATTCCATATGCAATTAGATGAACAACGCCTGCG)、およびリバースプライマーHpaC_XhoI_R(5’-CTCGAGCGGTTAAATCGCAGCTTCCATTTCCAGC)であった。Nde IおよびXho Iで消化したPCR産物を、同じ酵素で消化したプラスミドpCDFDuet-1と連結し、E.coliのDH5aに形質転換した。プラスミドHpaC-pCDFは、挿入ポジティブなものをコロニーから抜粋し、配列決定により確認した。
【0068】
SAM5のオペロンおよび特定のフラビンレダクターゼを伴う構築物を作成するために、特定のフラビンレダクターゼ遺伝子をGibsonアセンブリによりSAM5の下流に挿入し、SAM5-HpaC-pRSF、SAM5-PpFR-pRSF、およびSAM5-SeFR-pRSFと名付けられた3つの構築物を得た。
【0069】
開発された構築物を用いたE.coli BL21(DE3)の形質転換。
Sam5-pRSFは、標準的な化学的形質転換プロトコルを使用してE.coli BL21(DE3)細胞に導入され、ERI-01と名付けられたエリオジクチオール産生E.coli株の開発に至った。Sam5-pRSFは、標準手順に従って、それぞれPCDFDuet-1、PpFR-pCDF、SeFR-pCDF、およびHpaC-pCDFを用いてBL21(DE3)に同時形質転換され、対応するエリオジクチオール産生E.coli株ERI-02、ERI-03、ERI-04、およびERI-05を生成した。構築されたオペロンを持つ3つのプラスミド、SAM5-HpaC-pRSF、SAM5-PpFR-pRSF、およびSAM5-SeFR-pRSFをそれぞれBL21(DE3)に形質転換し、3つのE.coli株ERI-06、ERI-07、およびERI-08を得た。
【0070】
E.coliにおけるHpaC、PpFR、およびSeFRの過剰発現および精製
プラスミド、HpaC-pET28a、PpFR-pET28a、およびSeFR-pET28aは、それぞれ標準的な手順を用いて、異種タンパク質発現のためにBL21(DE3)コンピテントセルに形質転換された。各形質転換について単一のコロニーを、OD600が約1.0に達するまで、37℃で50mg/Lのカナマイシンを伴うLB培地5mL中で成長させ、これらの種培養物をカナマイシン50mg/Lを伴うLB培地200mLに移した。細胞を37℃、250rpmで、OD600が0.6~0.8になるまで成長させた後、IPTGを最終濃度0.5mMまで添加し、成長温度を16℃に変更した。E.coli細胞は、4℃で15分間4000gでの遠心分離によるタンパク質精製のために、IPTG誘導の16時間後に回収された。得られたペレットを5mLの100mMのTris-HCl、pH 7.4、100mMのNaOH、10%のグリセロール(v/v)中に再懸濁し、氷上で2分間超音波処理した。混合物を4℃で20分間4000gで遠心分離した。上清中の組換えタンパク質は、製造元のプロトコルに従って、Clontech Inc.のHis60 Ni Superflow樹脂を用いて精製した。
【0071】
フラビンレダクターゼ活性測定
フラビンレダクターゼ活性は、SpectraMax i3を使用して、30℃で340nmの吸光度の変化を測定することにより決定した。固定量の精製タンパク質(それぞれ0.1μg)を、反応バッファー(Tris-HCl 20mM pH 7.4、最終容量100μL)中の400μMのNADHおよび200μMのFADとインキュベートした。FADを含まないアッセイ混合物をブランクとして使用した。
【0072】
ナリンゲニンのエリオジクチオールへの生物変換
本発明によって、本発明者らは、本発明の改変された微生物株がナリンゲニンからエリオジクチオールへの変換を高効率で触媒することを可能にする、SAM5と共にフラビンレダクターゼを過剰発現するシステムを開発した。振とうフラスコの力価は6時間で0.65g/Lに達した。使用した微生物系は、E.coli BL21(DE3)株であり、ERI-01、ERI-06、ERI-07、ERI-08、およびpRSF-BLKは、30μg/Lのカナマイシンを含むLB培地で成長させた。ERI-02、ERI-03、ERI-04、およびERI-05は、それぞれ30μg/Lのカナマイシンおよび100μg/Lのスペクチノマイシンを含有するLB培地で成長させた。細胞を37℃のシェーカーでOD600=0.6まで成長させた後、ラクトースを1.5%(w/v)の最終濃度まで添加して30℃に変更し、外因性遺伝子の発現を誘導した。発現誘導の3時間後、DMSOに溶解したナリンゲニン(40%w/v)を培養物に加えた。培養物は同じ培養条件で振とうし続けた。試料は、HPLC分析のために、基質の供給後6時間で採取した。
【0073】
HPLCおよびLC-MS分析。
フラボノイドのHPLC分析は、Dionex Ultimate 3000システムで実行された。中間体は、0.15%(vol/vol)の酢酸(溶離液A)およびアセトニトリル(溶離液B)の勾配を使用し、溶離液Bが10~40%(vol/vol)の範囲で、流量が0.6ml/分である、Dionex Acclaim 120 C18カラム(粒子サイズ3mm;150x2.1mm)での逆相クロマトグラフィーによって分離した。定量化のために、すべての中間体を外部標準を用いて較正した。化合物は、それらの保持時間と、システム内のダイオードアレイ検出器で特定された対応するスペクトルとによって特定された。
【0074】
DNAクローニングおよび組換えタンパク質発現のために、DH5aおよびBL21(DE3)のE.coli株はInvitrogenから購入し、プラスミドpRSFDuet-1およびpCDFDuet-1はNovagenから購入した。
【0075】
生産システム
一実施形態において、発現ベクターは、細菌細胞における組換えポリペプチドの発現のためのそれらの遺伝要素を含む。細菌細胞における転写および翻訳のための要素には、プロモータ、タンパク質複合体のコード領域、および転写ターミネータが含まれる。
【0076】
当業者は、発現ベクターの調製に利用可能な分子生物学技術を認識している。上記のように、主題技術の発現ベクターへの組み込みに使用されるポリヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの日常的な技術によって調製することができる。分子クローニングでは、ベクターは、外来遺伝物質を別の細胞に人工的に運ぶための媒体として使用されるDNA分子であり、そこでベクターは複製および/または発現することができる(プラスミド、コスミド、ラムダファージなど)。外来DNAを含有するベクターは、組換えDNAと見なされる。ベクターの4つの主要な種類は、プラスミド、ウイルスベクター、コスミド、および人工染色体である。これらのうち、最も一般的に使用されるベクターはプラスミドである。すべての操作されたベクターに共通するのは、複製起点、マルチクローニング部位、および選択可能なマーカーである。
【0077】
相補的な付着末端を介してDNAをベクターに作動可能に連結するために、多くの分子生物学的技術が開発された。一実施形態では、相補的なホモポリマーの束を核酸分子に加えて、ベクターDNAに挿入することができる。次に、ベクターおよび核酸分子は、相補的なホモポリマー尾部の間の水素結合によって結合され、組換えDNA分子を形成する。
【0078】
別の一実施形態では、1つ以上の制限部位付与を含有する合成リンカーを使用して、主題技術のポリヌクレオチドを発現ベクターに作動可能に連結する。一実施形態において、ポリヌクレオチドは、制限エンドヌクレアーゼ消化により生成される。一実施形態において、核酸分子は、酵素自身の3’-5’エキソヌクレアーゼ活性を用いて突出した3’一本鎖末端を除去する、および、酵素自身のポリメラーゼ活性を用いて凹んだ3’末端を埋める酵素である、バクテリオファージT4 DNAポリメラーゼまたはE.coli DNAポリメラーゼIを用いて処理され、それにより、平滑末端DNAセグメントが生成される。次に、平滑末端セグメントを、バクテリオファージT4 DNAリガーゼなどの平滑末端DNA分子のライゲーションを触媒できる酵素の存在下で、モル大過剰のリンカー分子とともにインキュベートする。したがって、反応の生成物は、その末端にポリマーリンカー配列を持つポリヌクレオチドである。次いで、これらのポリヌクレオチドは、適切な制限酵素を用いて切断され、ポリヌクレオチドの末端と適合する末端を生成する酵素を用いて切断された発現ベクターに連結される。
【0079】
あるいは、ライゲーション非依存性クローニング(LIC)部位を有するベクターを使用することができる。必要とされるPCR増幅されたポリヌクレオチドは、次に、制限消化またはライゲーションなしで、LICベクターにクローニングできる(Aslanidisおよびde Jong、NUCL.ACID.RES18 6069-74、(1990)、Haunら、BIOTECHNIQUES13、515-18(1992)、そのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる)。
【0080】
一実施形態において、選択されたプラスミドへの挿入のために目的のポリヌクレオチドを単離および/または改変するために、PCRを使用することが適切である。配列のPCR調製に使用するために適切なプライマーを設計して、核酸分子の必要とされるコーディング領域を単離し、制限エンドヌクレアーゼまたはLIC部位を追加し、コーディング領域を所望のリーディングフレーム内に配置することができる。
【0081】
一実施形態では、本技術の発現ベクターに組み込むためのポリヌクレオチドは、PCRに適切なオリゴヌクレオチドプライマーを使用して調製される。コード領域は増幅されるが、プライマー自体は増幅された配列産物に組み込まれる。一実施形態では、増幅プライマーは、制限エンドヌクレアーゼ認識部位を含有し、これにより、増幅された配列産物を適切なベクター中にクローニングすることが可能になる。
【0082】
発現ベクターは、従来の形質転換またはトランスフェクション技術により植物または微生物宿主細胞に導入することができる。主題技術の発現ベクターによる適切な細胞の形質転換は、当技術分野で知られている方法によって達成され、典型的には、ベクターと細胞の両方の種類に依存する。適切な技術には、リン酸カルシウムまたは塩化カルシウムの共沈、DEAE-デキストラン媒介トランスフェクション、リポフェクション、化学穿孔法、または電気穿孔法が含まれる。
【0083】
首尾よく形質転換された細胞、すなわち、発現ベクターを含有する細胞は、当該分野で周知の技術により同定することができる。例えば、本技術の発現ベクターでトランスフェクトされた細胞を培養して、本明細書に記載のポリペプチドを産生することができる。当技術分野で周知の技術により、発現ベクターDNAの存在について細胞を検査することができる。
【0084】
宿主細胞は、前述の発現ベクターの単一コピー、または代替的には、発現ベクターの複数コピーを含むことができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、形質転換細胞は、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、藻類細胞、真菌細胞、または酵母細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は、キャノーラ植物細胞、ナタネ植物細胞、ヤシ植物細胞、ヒマワリ植物細胞、綿植物細胞、トウモロコシ植物細胞、ピーナッツ植物細胞、亜麻植物細胞、ゴマ植物細胞、大豆植物細胞、ペチュニア植物細胞からなる群から選択される植物細胞である。
【0086】
当業者に周知である外来タンパク質の高レベル発現を指示する調節配列を含有する微生物宿主細胞発現系および発現ベクター。これらのいずれかを使用して、微生物宿主細胞における主題技術の組換えポリペプチドの発現のためのベクターを構築することができた。次いで、これらのベクターを形質転換により適切な微生物に導入して、対象技術の組換えポリペプチドの高レベルの発現を可能にすることができた。
【0087】
適切な微生物宿主細胞の形質転換に有用なベクターまたはカセットは、当技術分野で周知である。通常、ベクターまたはカセットは、関連するポリヌクレオチドの転写および翻訳を指示する配列、選択可能なマーカー、ならびに自律複製または染色体統合を可能にする配列を含む。適切なベクターは、転写開始制御を宿すポリヌクレオチドの5’領域と、転写終結を制御するDNA断片の3’領域とを含む。両方の制御領域は、形質転換された宿主細胞に相同な遺伝子に由来することが好ましいが、そのような制御領域は、宿主として選択された特定の種に固有の遺伝子に由来する必要はないことを理解されたい。
【0088】
終結制御領域は、微生物宿主に固有のさまざまな遺伝子に由来してもよい。本明細書に記載の微生物宿主のために、任意に終結部位を含めることができる。
【0089】
本発明のフラボノイドの生合成および使用
当業者は、本明細書に記載の方法により産生されたエリオジクチオール組成物をさらに精製し、他の栄養補助食品、医薬組成物、機能性化粧品、栄養物、ならびに薬学的製品と混合できることを認識するであろう。
【0090】
同一性スコアリングを使用した配列類似性の分析
本明細書で使用される「配列同一性」とは、最適に整列された2つのポリヌクレオチドまたはペプチド配列が、ヌクレオチドまたはアミノ酸などの構成成分のアライメントウインドウにわたって不変である程度を指す。試験用配列および参照配列の整列されたセグメントについての「同一性割合」とは、2つの整列された配列により共有される同一な構成成分の数を、参照配列セグメント中の構成成分の総数、すなわち、参照配列のすべてまたは参照配列のより小さな画定された部分で割ったものである。
【0091】
本明細書で使用される「配列同一性パーセント」または「同一性パーセント」という用語は、2つの配列が最適に整列された場合の(比較ウインドウにわたって参照配列の20パーセント未満の総数の適切なヌクレオチド挿入、欠失またはギャップを伴う)、試験(「対象」)ポリヌクレオチド分子(またはその相補的鎖)と比較した、参照(「クエリ」)ポリヌクレオチド分子(またはその相補鎖)の直鎖ポリヌクレオチド配列における同一ヌクレオチドの割合を指す。比較ウィンドウを整列させるための最適な配列の整列は、当業者に周知であり、SmithおよびWatermanの局所相同性アルゴリズム、NeedlemanおよびWunschの相同性整列アルゴリズム、PearsonおよびLipmanの類似性の探索方法などのツールにより実施することができ、好ましくは、GCG(登録商標)WisconsinPackage(登録商標)(Accelrys Inc.、Burlington、MA)の一部として入手可能なGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTAなどのこれらのアルゴリズムのコンピューター化された実装により実施することができる。試験用配列および参照配列の整列されたセグメントについての「同一性割合」とは、2つの整列された配列により共有される同一な構成成分の数を、参照配列セグメント中の構成成分の総数、すなわち、参照配列のすべてまたは参照配列のより小さな画定された部分で割ったものである。配列同一性パーセントは、100を掛けた同一性の割合として表される。1つ以上のポリヌクレオチド配列の比較は、完全長ポリヌクレオチド配列またはその一部、またはより長いポリヌクレオチド配列に対するものであり得る。本発明の目的のために、「同一性パーセント」は、翻訳されたヌクレオチド配列についてはBLASTXバージョン2.0を、ポリヌクレオチド配列についてはBLASTNバージョン2.0を使用して決定することもできる。
【0092】
配列同一性のパーセントは、好ましくは、配列分析ソフトウェアパッケージ(商標)(バージョン10;Genetics Computer Group、Inc.、Madison、WI)の「Best Fit」または「Gap」プログラムを使用して決定される。「Gap」は、NeedlemanおよびWunschのアルゴリズム(NeedlemanおよびWunsch、JOURNAL OF MOLECULAR BIOLOGY 48:443-453、1970)を使用して、マッチ数を最大化し、ギャップ数を最小化する2つの配列のアライメントを見つける。「BestFit」は、SmithおよびWatermanの局所相同性アルゴリズム(SmithおよびWaterman、ADVANCES IN APPLIED MATHEMATICS、2:482-489、1981、Smithら、NUCLEIC ACIDS RESEARCH 11:2205-2220、1983)を使用して、マッチ数を最大化するために2つの配列と挿入ギャップとの間の類似性について最良セグメントの最適アラインメントを実施する。同一性パーセントは、「Best Fit」プログラムを使用して決定されることが最も好ましい。
【0093】
配列同一性を決定するための有用な方法は、National Library of Medicine,National Institute of Health,Bethesda、Md.20894にあるNational Center Biotechnology Information (NCBI)から公的に入手可能であるBasic Local Alignment Search Tool (BLAST)において開示されている;BLAST Manual、Altschulら、NCBI、NLM、NIH;Altschulら、J.MOL.BIOL.215:403-410 (1990)を参照されたい;BLASTプログラムのバージョン2.0以降では、アライメントへギャップ(欠失および挿入)を導入できる;ペプチド配列については、BLASTXを使用して配列の同一性を決定できる;また、ポリヌクレオチド配列については、BLASTNを使用して配列同一性を決定することができる。
【0094】
本明細書で使用される「配列同一性の実質的なパーセント」という用語は、少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約85%の同一性、少なくとも約90%の配列同一性、またはさらにより大きな配列同一性、例えば、約98%または約99%の配列同一性の配列同一性のパーセントを指す。したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列と少なくとも約70%の配列同一性、少なくとも約80%の配列同一性、少なくとも約85%の同一性、少なくとも約90%の配列同一性、またはさらにより大きな配列同一性、例えば、約98%または約99%の配列同一性を有するポリヌクレオチド分子である。本発明の活性遺伝子を有するポリヌクレオチド分子は、エリオジクチオールの産生を指示することができ、本明細書で提供されるポリヌクレオチド配列に対して実質的な配列同一性パーセントを有し、本発明の範囲内に包含される。
【0095】
同一性および類似性
同一性は、配列を整列した後の一対の配列間で同じであるアミノ酸の割合であり(これは、配列情報または構造情報またはその他のいくつかの情報のみを使用して実行できるが、通常は配列情報のみに基づいている)、類似性は、いくつかの類似性マトリックスを使用したアライメントに基づいて割り当てられるスコアである。類似性指標は、以下のBLOSUM62、PAM250、またはGONNETのいずれか1つ、またはタンパク質の配列アラインメントのために当業者によって使用される任意のマトリックスであり得る。
【0096】
同一性は、2つの下位配列間の一致の程度である(配列間にギャップはない)。25%以上の同一性は、機能の類似性を含蓄し、18~25%は構造または機能の類似性を含蓄する。2つの完全に無関係なまたはランダムな配列(100残基を超える)が20%を超える同一性を持つ可能性があることにも留意されたい。類似性とは、2つの配列を比較したときの、それらの間の類似の程度である。これは、それらの同一性に依存している。
【0097】
前述の説明から明らかなように、本開示の特定の態様は、本明細書で提供される実施例の特定の詳細な記載によって限定されず、したがって、それらの他の修正および適用、または等価物が当業者に想定されることが考慮される。したがって、特許請求の範囲は、本開示の精神および範囲から逸脱しないすべてのそのような修正および適用を網羅するものとする。
【0098】
さらに、別に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本開示の実施または試験において、本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法および材料を使用することができるが、好ましい方法および材料は上記されている。
【0099】
前述の発明は、理解を目的として例示および実施例によってある程度詳細に説明されてきたが、特定の変更および修正が実施され得ることは当業者には明らかであろう。したがって、本説明および実施例は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0100】
結果
ナリンゲニンのエリオジクチオールへの生物変換におけるSam5活性
図1に示すように、Sam5は、pRSFDuet-1の2番目のポリクローニング部位に挿入された。遺伝子発現は、T7プロモータの制御下にある。プラスミドSam5-pRSFがBL21(DE3)に導入された場合、細胞は、培養物に供給されたナリンゲニンをエリオジクチオールに変換する能力を有したが、Sam5を含まないpRSFDuet-1プラスミドを保有する対照株ERI-Ctrlではエリオジクチオールはまったく産生されなかった。HPLCプロファイルに示されているように、細胞培養物にナリンゲニンを供給した後、少量の新しい化合物が生成された。HPLC分析におけるこの化合物の保持時間および吸収スペクトルは、エリオジクチオールに対応している。
図3に示すように、HPLCで分離されたピークをさらに分析すると、ナリンゲニンからエリオジクチオールへの生物変換が確認された。
【0101】
PpFRおよびSeFRは、フラビンレダクターゼである。
HpaCは、E.coliの4-ヒドロキシフェニル酢酸ヒドロキシラーゼ複合体の成分であるフラビンレダクターゼをコードする(Galanら、2000)。他の2つの遺伝子、PpFRおよびSeFRは、本研究でNCBIデータベースから特定された。配列分析では、両方ともHpaCと低い同一性を共有しており、それぞれ22.9%と30.2%である。ただし、これら3つのタンパク質はそれぞれ、クラスIフラビンレダクターゼのHpaC様サブファミリーに特徴的なS/T/CxxPPおよびDGHコンセンサスモチーフを保有している(
図4)。したがって、PpFRおよびseFRは、クラスIフラビンレダクターゼのHpaC様サブファミリーのメンバーとして注釈が付けられた(Van Lanenら、2009)。これらの3つの遺伝子はすべてpET28aベクターにそれぞれクローニングされ(
図7)、過剰発現のためにE.coli BL21(DE3)に導入された。組換えタンパク質をE.coliで発現させ、生化学分析のために均一になるまで精製した(
図5)。結果は、上記のバイオインフォマティクス分析を明確に確認した。HpaCと同様に、PpFRおよびSeFRは、NADHによるFADの還元を触媒し、PpFRおよびSeFRの比活性はHpaCのそれに匹敵する(
図6)。
【0102】
フラビンレダクターゼは、Sam5によるナリンゲニンのエリオジクチオールへの生物変換を劇的に増加させる。
HpaC-pCDFをE.coli細胞でSam5-pRSFと共発現させた場合、得られた操作された細胞ERI-03は、ナリンゲニンをインビボではるかに高い活性でエリオジクチオールに変換できる。
図8に示すように、生成されたエリオジクチオールは、SAM5単独により生成されたものと比較して、はるかに高いレベルに達した。ER03株でのエリオジクチオール産生は、6時間で0.285g/Lに達し、これは、それぞれERI-01株およびERI-02株を用いた産生に比べて、6.3倍および7.5倍の増加である(
図9)。PpFRおよびSeFRは、SAM5に対する刺激効果も示した。ERI-04およびERI-05は、ナリンゲニンのヒドロキシル化を触媒してエリオジクチオールを産生する高い活性を有することが示された。
図9に示すように、ERI-04およびERI-05それぞれにナリンゲニンを供給した6時間後に、エリオジクチオールは、細胞培養液中にそれぞれ357mg/Lおよび388mg/L蓄積した。ERI03のそれと比較して、ERI-04およびERI-05によって産生されたエリオジクチオールの力価は、それぞれ25%および36%だけ増加した(
図9)。この結果は、PpFRおよびSeFRが、Sam5によって触媒されるナリンゲニンのヒドロキシル化を促進するのにより効果的である可能性を示唆している。
【0103】
SAM5およびフラビンレダクターゼのオペロンは、ナリンゲニンのエリオジクチオールへの生物変換をさらに増加させた。
図8に示すように、ERI-02株を用いて産生されたエリオジクチオールは、ERI-01を用いたものよりも低く、これは、共発現株で使用される2つの抗体によって引き起こされる可能性がある。SAM5およびフラビンレダクターゼは、発現ベクターのオペロンに対して構築された(
図9)。得られたE.coli株ERI-06、ERI07、およびERI-08を、ナリンゲニンのエリオジクチオールへの生物変換について試験した。
図11に示すように、力価は、対応する共発現株よりも大幅に高い、589、614、および638mg/Lに達した。
【0104】
機能性化粧品および栄養補助食品の使用
分子生物学は、機能性化粧品の革新において極めて重要な役割を果たす。ここで、化合物の同定は、分子標的の同定から始まる。例えば、皮膚の老化に関連するフリーラジカルの重要性は、近年、フリーラジカルの有害な影響を排除し、それによって組織を酸化的損傷から保護する活性物質の徹底的な探索をもたらした。皮膚の老化は、シミ、より具体的には、黒皮症、色素異常症、黒色腫、およびしわとして現れ、主に、構造タンパク質の架橋および糖化を引き起こす組織、ならびに炎症誘発性酵素システムに対するフリーラジカル損傷に起因する。化粧品または調剤でのフラボノイドの使用は、それ自体が知られている。本発明のエリオジクチオールなどの、フリーラジカルを抑制する天然の抗酸化剤は、老化防止製剤の必須成分である。それらは、組織への損傷、および環境および他の薬剤の有害な影響に対する保護を潜在的に提供する。皮膚の老化の進行を加速する生化学反応は、炎症プロセスに根本的な原因があり、というのも、炎症は、傷またはしわに発展する微小瘢痕を生成するからである。
【0105】
本明細書で議論されるこれらのフラボンおよびフラボングリコシド誘導体(フラボノイド)は、皮膚の老化および瘢痕形成に積極的に対抗できるような、酸素ラジカルのスカベンジャーおよび皮膚プロテアーゼの阻害剤であることが知られている。ケルセチンなどのいくつかのフラボンは、その着色特性により、食品着色料としても有用である。同時に、酸素ラジカルを捕獲する能力により、抗酸化剤として使用することもできる。いくつかのフラボノイドは、糖尿病による損傷(例えば、血管損傷)の形成に重要な役割を果たすアルドースレダクターゼの阻害剤である。他のフラボノイド(ヘスペリジンやルチンなど)は、治療的に、より具体的には血管拡張性活性剤として使用される。
【0106】
科学的研究により、フラボノイド化合物の皮膚に対するさまざまなレベルの広範な影響が確認されている。皮膚の最上層である角質層は、脂質および他の酸化しやすい化合物が非常に豊富な構造である。この層で、フラボノイドは、抗酸化剤およびフリーラジカルスカベンジャーとして効率的な役割を果たすことができる。それらの抗酸化特性により、より深い表皮の皮膚層に影響を与え、紫外線による損傷を防ぎ、いくつかの酵素機能を阻害する。最深部の皮膚層である真皮では、フラボノイドは、微小血管系の透過性と脆弱性に影響する。前述のフラボノイドの貴重な特徴は、すでに化粧品業界にとって価値のあるものである。
【0107】
産業上の利用可能性/技術分野に関する陳述
本開示は、食品、飼料、機能性化粧品、および薬理学的産業へ適用可能である。本開示は、一般に、改変された微生物株を介したエリオジクチオールの生合成生産のための方法に関する。
引用され、かつ参照により組み込まれた文献:
1.Amor ILら、(2010)Biotransformation of naringenin to eriodictyol by Saccharomyces cerevisiae functionally expressing flavonoid 3’ hydroxylase.NAT PROD COMMUN.5:1893-8。
2.Galan B.ら、(2000)Functional analysis of the small component of the 4-hyroxylacetate 3-monooxygenase of Escherichia coli@:a prototype of a new Flavin: NAD(P)H reductase subfamily.JOURNAL OF BACTERIOLOGY 182:627-636。
3.Berner Mら、(2006)Genes and Enzymes Involved in Caffeic Acid Biosynthesis in the Actinomycete Saccharothrix espanaensis.JOURNAL OF BACTERIOLOGY 188:2666-2673。
4.Bravo L(1998)Polyphenols:chemistry、dietary sources、metabolism、and nutritional significance.NUTR REV 56:317-333。
5.Brugliera F.ら、(1999)Isolation and characterization of a flavonoid 3’-hydroxylase cDNA clone corresponding to the Ht1 locus of Petunia hybrid.PLANT J 19: 441-451。
6.Cao H、Chen X、Jassbi AR、およびXiao J(2015)Microbial biotransformation of bioactive flavonoids.BIOTECHNOLOGY ADVANCES 33:214-223。
7.Chu LLら、(2016)Hydroxylation of diverse flavonoids by CYP450 BM3 variants:biosynthesis of eriodictyol from naringenin in whole cells and its biological activities.MICROB CELL FACT.15:135。
8.Du Jら、(2011)、Engineering microbial factories for synthesis of value-added products、J IND MICROBIOL BIOTECHNOL.38:873-90。
9.Lee ER、Kim JH、Kang YJ、およびCho SG(2007)The anti-apoptotic and anti-oxidant Effect of eriodictyol on UV-Induced apoptosis in keratinocytes.BIOL PHARM BULL.30:32-37。
10.Lee H、Kim BG、およびAhn JH(2014)Production of bioactive hydroxyflavones by using monooxygenase from Saccharothrix espanaensis.JOURNAL OF BIOTECHNOLOGY 176:11-17。
11.Ley JP、Krammer G、Reinders G、Gatfield IL、およびHJ Bertram(2005)Evaluation of bitter masking flavanones from Herba Santa(Eriodictyon californicum(H.& A.)Torr.、Hydrophyllaceae).J AGRI FOOD CHEM 53:6061-66。
12.Kaltenbach M、Schroder G、Schmelzer E、Lutz V、Schroder J.(1999)、Flavonoid hydroxylase from Catharanthus roseus:cDNA、heterologous expression、enzyme properties and cell-type specific expression in plants.PLANTJ.19:183-93。
13.Kasai N.ら、(2009)Enzymatic properties of cytochrome P450 catalyzing 3’-hydroxylation of naringenin from the white-rot fungus Phanerochaete chrysosporium、BIOCHEM BIOPHYS RES COMMUN.387:103-08。
14.Kim BG.ら、(2005).Multiple regiospecific methylations of a flavonoid by plant O-methyltransferases expressed in E. coli.BIOTECHNOL. LETT.27:1861-64。
15.Lamartiniere CA(2000)Protection against breast cancer with genistein:a component of soy.AM J CLIN NUTR 71:1705S-1707S。
16.Le Marchand L(2002)Cancer preventive effects of flavonoids-a review.BIOMED PHARMACOTHER 56:296-301。
17.Ley J.P.ら、New Bitter-Masking Compounds:Hydroxylated Benzoic Acid Amides of Aromatic Amines as Structural Analogues of Homoeriodictyol、J.AGRIC.FOOD CHEM.、(2006)54(22):8574-79。
18.Lim E-K.ら、(2004)Arabidopsis glycosyltransferases as biocatalysts in fermentation for regioselective synthesis of diverse quercetin glucosides.BIOTECHNOL.BIOENG.87:623-31。
19.Lin Y、Jain R、およびYan Y(2014)Microbial production of antioxidant food ingredients via metabolic engineering.CURRENT OPINION IN BIOTECHNOLOGY 26:71-78。
20.Lin Y、およびYan Y(2014)Biotechnological Production of Plant-Specific Hydroxylated Phenylpropanoids.BIOTECHNOLOGY AND BIOENGINEERING 111:1895-1899。
21.Matsuo M、Sasaki N、Saga K、Kaneko T(2005)Cytotoxicity of flavonoids toward cultured normal human cells.BIOL PHARM BULL.28 253-259。
22.Ogata S、Miyake Y、Yamamoto K、Okumura K、Taguchi H(2000)Apoptosis induced by the flavonoid from lemon fruit(Citrus limon BURM. f.)and its metabolites in HL-60 cells.BIOSCI BIOTECHNOL BIOCHEM 64:1075-1078。
23.Steven G.Van Lanen、Shuangjun Lin、Geoff P.Horsman、およびBen Shen(2009)Characterization of SgcE6、the Flavin reductase component supporting FAD-dependent halogenation and hydroxylation in the biosynthesis of the enediyne antitumor antibiotic C-1027.FEMS MICROBIOLOGY LETTER 300:237-241。
24.Winkel-Shirley B(2001)Flavonoid biosynthesis.A colorful model for genetics、biochemistry、cell biology、and biotechnology.PLANT PHYSIOL.126:485-493。
25.
目的の配列
配列番号1:SAM5の核酸配列
ATGACGATTACCTCTCCGGCCCCGGCTGGTCGCCTGAACAATGTGCGTCCGATGACGGGTGAAGAATACCTGGAATCCCTGCGTGACGGTCGTGAAGTGTATATTTACGGCGAACGCGTCGATGACGTGACCACGCATCTGGCGTTCCGCAACAGCGTTCGTTCTATCGCCCGCCTGTATGATGTCCTGCACGATCCGGCCTCCGAAGGTGTTCTGCGCGTCCCGACCGATACCGGTAATGGTGGTTTTACCCATCCGTTTTTCAAAACGGCGCGTAGCTCTGAAGACCTGGTGGCGGCCCGTGAAGCCATTGTCGGTTGGCAACGCCTGGTGTATGGCTGGATGGGTCGTACCCCGGATTACAAGGCAGCGTTTTTCGGTACGCTGGACGCTAACGCGGAATTTTATGGCCCGTTCGAAGCCAATGCACGTCGCTGGTATCGTGATGCACAGGAACGCGTTCTGTACTTCAACCATGCTATCGTGCATCCGCCGGTCGATCGTGACCGTCCGGCTGATCGTACCGCCGACATTTGCGTCCATGTGGAAGAAGAAACGGATTCAGGCCTGATCGTGTCGGGTGCCAAAGTGGTTGCAACCGGTTCTGCTATGACGAACGCGAATCTGATTGCCCACTATGGTCTGCCGGTTCGCGATAAAAAGTTTGGCCTGGTGTTCACCGTTCCGATGAACAGTCCGGGTCTGAAACTGATCTGTCGTACCTCCTATGAACTGATGGTGGCCACGCAGGGCTCACCGTTTGATTACCCGCTGAGTTCCCGCCTGGATGAAAATGACAGCATTATGATCTTTGATCGTGTTCTGGTCCCGTGGGAAAACGTTTTCATGTACGACGCAGGCGCGGCCAATAGCTTTGCTACCGGCTCTGGTTTCCTGGAACGCTTTACCTTTCATGGCTGCACGCGTCTGGCAGTGAAACTGGATTTTATTGCAGGCTGTGTTATGAAGGCTGTGGAAGTTACCGGCACCACGCACTTCCGCGGTGTTCAGGCGCAAGTCGGCGAAGTGCTGAACTGGCGTGATGTCTTTTGGGGTCTGTCGGACGCTATGGCGAAAAGTCCGAACAGCTGGGTGGGCGGTAGCGTTCAGCCGAACCTGAATTATGGCCTGGCCTACCGCACCTTTATGGGCGTGGGTTATCCGCGTATTAAAGAAATTATCCAGCAAACGCTGGGCTCTGGTCTGATCTACCTGAACTCATCGGCAGCTGATTGGAAGAATCCGGACGTTCGCCCGTATCTGGATCGTTACCTGCGCGGCAGTCGTGGTATTCAGGCAATCGATCGTGTCAAACTGCTGAAGCTGCTGTGGGACGCGGTGGGCACCGAATTTGCCGGTCGTCATGAACTGTATGAACGCAACTACGGCGGTGATCACGAAGGCATTCGTGTGCAGACCCTGCAAGCCTATCAGGCAAATGGTCAAGCGGCGGCACTGAAAGGCTTTGCGGAACAGTGCATGAGCGAATACGACCTGGATGGCTGGACCCGCCCGGACCTGATTAACCCGGGCACCTGA
配列番号2 SAM5のアミノ酸配列
MTITSPAPAGRLNNVRPMTGEEYLESLRDGREVYIYGERVDDVTTHLAFRNSVRSIARLYDVLHDPASEGVLRVPTDTGNGGFTHPFFKTARSSEDLVAAREAIVGWQRLVYGWMGRTPDYKAAFFGTLDANAEFYGPFEANARRWYRDAQERVLYFNHAIVHPPVDRDRPADRTADICVHVEEETDSGLIVSGAKVVATGSAMTNANLIAHYGLPVRDKKFGLVFTVPMNSPGLKLICRTSYELMVATQGSPFDYPLSSRLDENDSIMIFDRVLVPWENVFMYDAGAANSFATGSGFLERFTFHGCTRLAVKLDFIAGCVMKAVEVTGTTHFRGVQAQVGEVLNWRDVFWGLSDAMAKSPNSWVGGSVQPNLNYGLAYRTFMGVGYPRIKEIIQQTLGSGLIYLNSSAADWKNPDVRPYLDRYLRGSRGIQAIDRVKLLKLLWDAVGTEFAGRHELYERNYGGDHEGIRVQTLQAYQANGQAAALKGFAEQCMSEYDLDGWTRPDLINPGT.
配列番号3 SeFR の核酸配列
ATGATGACCGTTTATGATAGCGCACTGACAATGGAAGAAACCACCCTGCGTGATGCAATGAGCCGTTTTGCAACCGGTGTTAGCGTTGTTACCGTTGGTGGTGAACATACACATGGTATGACCGCAAATGCCTTTACCTGTGTTAGCCTGGATCCGCCTCTGGTTCTGTGTTGTGTTGCACGTAAAGCAACCATGCATGCAGCAATTGAAGGTGCACGTCGTTTTGCAGTTAGCGTTATGGGTGGTGATCAAGAACGTACCGCACGTTATTTTGCAGATAAACGTCGTCCGCGTGGTCGTGCACAGTTTGATGTTGTTGATTGGCAGCCTGGTCCGCATACAGGTGCACCGCTGCTGAGCGGTGCGCTGGCATGGCTGGAATGTGAAGTTGCACAGTGGCATGAAGGTGGCGATCATACCATTTTTCTGGGTCGTGTTCTGGGTTGTCGTCGTGGTCCGGATAGTCCGGCACTGCTGTTTTATGGTAGCGATTTTCATCAGATCCGCTAA
配列番号4 SeFRのアミノ酸配列
MMTVYDSALTMEETTLRDAMSRFATGVSVVTVGGEHTHGMTANAFTCVSLDPPLVLCCVARKATMHAAIEGARRFAVSVMGGDQERTARYFADKRRPRGRAQFDVVDWQPGPHTGAPLLSGALAWLECEVAQWHEGGDHTIFLGRVLGCRRGPDSPALLFYGSDFHQIR.
配列番号5 5 PfFRの核酸配列
ATGAATGCAGCAACCGAAACCAAAGTTCATGATCTGCTGGATGCCGAAGGTCGTGATGTTCGTGATGCACGTGAACTGCGTAATGTTCTGGGTCAGTTTGCAACCGGTGTTACCGTTATTACCACCCGTACCGCAGATGGTCGTAATGTTGGTGTGACCGCAAATAGCTTTAGCAGCCTGAGCCTGAGTCCGGCACTGGTTCTGTGGTCACTGGCACGTACCGCACCGAGCCTGAAAGTTTTTTGTAGCGCAAGCCATTTTGCCATTAATGTGCTGGGTGCACATCAGCTGCATCTGAGCGAACAGTTTGCACGTGCCGCAGCAGATAAATTTGCCGGTGTTGCACATAGTTATGGTAAAGCGGGTGCACCGGTTCTGGATGATGTTGTTGCAGTTCTGGTTTGCCGTAATGTTACCCAGTATGAAGGTGGTGATCATCTGATTTTTATCGGCGAAATTGAGCAGTATCGTTATAGCGGTGCAGAACCGCTGGTTTTTCATGCAGGTCAGTATCGTGGTCTGGGTAGCAATCGTGCAGAAAGCGTTCTGAAACATGAATAA
配列番号6 PfFRのアミノ酸配列
MNAATETKVHDLLDAEGRDVRDARELRNVLGQFATGVTVITTRTADGRNVGVTANSFSSLSLSPALVLWSLARTAPSLKVFCSASHFAINVLGAHQLHLSEQFARAAADKFAGVAHSYGKAGAPVLDDVVAVLVCRNVTQYEGGDHLIFIGEIEQYRYSGAEPLVFHAGQYRGLGSNRAESVLKHE.
配列番号7 HpaCの核酸配列
ATGCAATTAGATGAACAACGCCTGCGCTTTCGTGACGCAATGGCCAGCCTGTCGGCAGCGGTAAATATTATCACCACCGAGGGCGACGCCGGACAATGCGGGATTACGGCAACGGCCGTCTGCTCGGTCACGGATACACCACCATCGCTGATGGTGTGCATTAACGCCAACAGTGCGATGAACCCGGTTTTTCAGGGCAACGGTAAGTTGTGCGTCAACGTCCTCAACCATGAGCAGGAACTGATGGCACGCCACTTCGCGGGCATGACAGGCATGGCGATGGAAGAGCGTTTTAGCCTCTCATGCTGGCAAAAAGGTCCGCTGGCGCAGCCGGTGCTAAAAGGTTCGCTGGCCAGTCTTGAAGGTGAGATCCGCGATGTGCAGGCAATTGGCACACATCTGGTGTATCTGGTGGAGATTAAAAACATCATCCTCAGTGCAGAAGGTCACGGACTTATCTACTTTAAACGCCGTTTCCATCCGGTGATGCTGGAAATGGAAGCTGCGATTTAA
配列番号8 HpaCのアミノ酸配列
MQLDEQRLRFRDAMASLSAAVNIITTEGDAGQCGITATAVCSVTDTPPSLMVCINANSAMNPVFQGNGKLCVNVLNHEQELMARHFAGMTGMAMEERFSLSCWQKGPLAQPVLKGSLASLEGEIRDVQAIGTHLVYLVEIKNIILSAEGHGLIYFKRRFHPVMLEMEAAI.
【配列表】