(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】マルチキャリアオンオフキーイング信号の提供のための方法、送信機、構造、トランシーバおよびアクセスポイント
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20221215BHJP
H04L 27/34 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H04L27/26 112
H04L27/34
(21)【出願番号】P 2021520210
(86)(22)【出願日】2018-10-15
(86)【国際出願番号】 EP2018078065
(87)【国際公開番号】W WO2020078530
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【氏名又は名称】藤井 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【氏名又は名称】小梶 晴美
(72)【発明者】
【氏名】ロペス, ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ウィルヘルムソン, レイフ
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/204246(WO,A1)
【文献】Dennis Sundman,Partial On-Off Keying- A Simple Means to Further Improve IoT Performance,IEEE 2018 Global Internet of Things Summit,2018年06月07日,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=8534548
【文献】Leif R. Wilhelmsson,Spectrum efficient support of Wake-Up Receivers by Using (O)FDMA,2018 IEEE Wireless Communications and Networking Conference,2018年04月18日,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=8377119
【文献】Steve Shellhammer (Qualcomm),Spec Text on MC-OOK Symbol Randomization,IEEE 802.11-18/1567r2 ,IEEE, インターネット<URL:https://mentor.ieee.org/802.11/dcn/18/11-18-1567-02-00ba-spec-text-on-mc-ook-symbol-randomization.docx>,2018年09月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04L 27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信されるバイナリ情報をマンチェスターコードとして表すパターンを形成するオン波形とオフ波形とを備えるオンオフキーイング(OOK)信号を送信する方法であって、前記方法は、
送信されるべき情報の一方のバイナリ値について、複素数値周波数領域シンボルの第1のセットを逆方向高速フーリエ変換器に提供するか、または
送信されるべき情報の他方のバイナリ値について、複素数値周波数領域シンボルの第2のセットを前記逆方向高速フーリエ変換器に提供することと、
送信されるべき情報の前記OOK信号の、サイクリックプレフィックスを含む直交周波数分割多重(OFDM)表現を形成するために、逆方向高速フーリエ変換を実施すること
であって、前記OFDM表現は、前記サイクリックプレフィックスによって使用される部分が低電力を有するように設計される、ことと、
前記OFDM表現を送信することと
を含
み、
利用可能なサブキャリアのサブセットが、シンボルの前記提供されたセットによってポピュレートされ、他の利用可能なサブキャリアがヌリングされ、
複素数値周波数領域シンボルのセットが前記OFDM表現の12個のサブキャリアをポピュレートし、ヌル(0+i0)が、少なくとも1つのサブキャリアをポピュレートするために提供され、256QAMシンボルに対応し、複素数値周波数領域シンボルの前記第1のセットが、前記それぞれのサブキャリアについての以下の複素数値を提供し、
複素数値周波数領域シンボルの前記第2のセットが、前記それぞれのサブキャリアについての以下の複素数値を提供し、
ここで、iが直交位相を示し、数が前記256QAMシンボルの信号コンスタレーションにおける相対位置を表す、方法。
【請求項2】
複素数値周波数領域シンボルの前記第1のセットおよび前記第2のセットが、
前記一方のバイナリ値についてのバイナリ情報を表す所望のパターンを変換することと、
複素数値周波数領域シンボルの前記第1のセットを、前記一方のバイナリ値についてのバイナリ情報を表す前記変換された所望のパターンに類似している複素数値周波数領域シンボルのセットとして選択することと、
前記他方のバイナリ値についてのバイナリ情報を表す所望のパターンを変換することと、
複素数値周波数領域シンボルの前記第2のセットを、前記他方のバイナリ値についてのバイナリ情報を表す前記変換された所望のパターンに類似している複素数値周波数領域シンボルのセットとして選択することと
によって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複素数値周波数領域シンボルの前記セットのうちの複素シンボルが直交振幅変調(QAM)シンボルに対応する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
それぞれの送信されるバイナリ情報についての前記パターンは、オン部分の送信電力がオフ部分の送信電力を超えるようなものである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
複素数値周波数領域シンボルの前記第1のセットおよび前記第2のセットを前記選択することは、前記OFDM表現の中心周波数を下回る前記OFDM表現の信号エネルギーと前記OFDM表現の前記中心周波数を上回る前記OFDM表現の信号エネルギーとの差の大きさが、前記それぞれのセットによる電力スペクトル平坦化を達成するためのしきい値を下回るように、前記複素数値周波数領域シンボルの前記選択を適応させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記複素数値周波数領域シンボルの前記選択は、前記OFDM表現についての中心周波数に対する等しい周波数オフセットをもつ周波数領域シンボルの各ペアのシンボルが、等しい大きさを有するように、選択を制約することを含む、請求項2または
5に記載の方法。
【請求項7】
送信される情報を表すパターンを形成するオン波形とオフ波形とを備えるオンオフキーイング(OOK)信号を送信するための送信機であって、前記送信機は、
逆方向高速フーリエ変換器と、
送信機回路と
を備え、
前記送信機は、送信されるべき情報の一方のバイナリ値について、複素数値周波数領域シンボルの第1のセットを前記逆方向高速フーリエ変換器に提供するか、または送信されるべき情報の他方のバイナリ値について、複素数値周波数領域シンボルの第2のセットを前記逆方向高速フーリエ変換器に提供するように構成され、したがって、逆方向高速フーリエ変換が、送信されるべき情報の前記OOK信号の、サイクリックプレフィックスを含む直交周波数分割多重(OFDM)表現
であって、前記サイクリックプレフィックスによって使用される部分が低電力を有するように設計されるOFDM表現を形成するために実施されることを可能にされ、
前記送信機回路が、前記OFDM表現を送信するように構成され
、
利用可能なサブキャリアのサブセットが、シンボルの前記提供されたセットによってポピュレートされ、他の利用可能なサブキャリアがヌリングされ、
複素数値周波数領域シンボルのセットが前記OFDM表現の12個のサブキャリアをポピュレートし、ヌル(0+i0)が、少なくとも1つのサブキャリアをポピュレートするために提供され、256QAMシンボルに対応し、複素数値周波数領域シンボルの前記第1のセットが、前記それぞれのサブキャリアについての以下の値を提供し、
複素数値周波数領域シンボルの前記第2のセットが、前記それぞれのサブキャリアについての以下の値を提供し、
ここで、iが直交位相を示し、数が前記256QAMシンボルの信号空間における相対位置を表す、
送信機。
【請求項8】
複素数値周波数領域シンボルの前記第1のセットおよび前記第2のセットは、複素数値周波数領域シンボルの前記第1のセットが、前記一方のバイナリ値についてのバイナリ情報を表す所望のパターンの変換に類似しているシンボルセットであり、複素数値周波数領域シンボルの前記第2のセットが、前記他方のバイナリ値についてのバイナリ情報を表す所望のパターンの変換に類似しているシンボルセットであるようなものである、請求項
7に記載の送信機。
【請求項9】
前記複素数値周波数領域シンボルの前記セットのうちの複素シンボルが直交振幅変調(QAM)シンボルに対応する、請求項
7または
8に記載の送信機。
【請求項10】
それぞれの送信されるバイナリ情報についての前記パターンは、オン部分の送信電力がオフ部分の送信電力を超えるようなものである、請求項
7から
9のいずれか一項に記載の送信機。
【請求項11】
前記第1のセットおよび前記第2のセットは、前記OFDM表現の中心周波数を下回る前記OFDM表現の信号エネルギーと前記OFDM表現の前記中心周波数を上回る前記OFDM表現の信号エネルギーとの差の大きさが、電力スペクトル平坦化を達成するためのしきい値を下回るように適応される、請求項
8に記載の送信機。
【請求項12】
前記複素数値周波数領域シンボルは、前記OFDM表現についての中心周波数に対する等しい周波数オフセットをもつ周波数領域シンボルの各ペアのシンボルが、等しい大きさを有するように制約される、請求項
8または
9に記載の送信機。
【請求項13】
通信装置のプロセッサ上で実行されたとき、前記通信装置に、請求項1から
6のいずれか一項に記載の方法を実施させる命令を備える、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、オンオフキーイング(OOK)信号を送信するための手法に関する。特に、本開示は、そのような信号を提供および送信することの低複雑度実装に関する。
【背景技術】
【0002】
起動無線機と呼ばれることもある、起動受信機(WUR)は、無線通信において使用される受信機における電力消費を著しく低減するための手段を提供する。WURに関する概念は、WURが、起動信号の存在を検出することが可能である必要があるにすぎないが、データ受信のために使用されないので、WURが極めて緩和された(relaxed)アーキテクチャに基づき得ることである。
【0003】
起動パケット(WUP)、すなわち、WURに送られる信号のための通常使用される変調は、オンオフキーイング(OOK)である。OOKはバイナリ変調であり、ここで、論理1が、信号を送ること(オン)に関して表され、論理0が、信号を送らないこと(オフ)によって表される。「Proposed Draft WUR PHY Specification」というタイトルの2018年1月17日の、802.11ドラフト仕様IEEE802.11-18/0152r5では、WUPは、WUR PPDU(物理プロトコルデータユニット)と呼ばれる。
【0004】
現在、802.11プライマリ通信無線機(PCR:primary communications radio)に対するコンパニオン無線機として使用されるべき起動無線機について、電力消費を著しく低減するというだけの目的をもって、PHYレイヤおよびMACレイヤを規格化するための、IEEE802.11baと称するIEEE802.11タスクグループ(TG)において進行中のアクティビティがある。
【0005】
OOKはバイナリ変調であり、ここで、論理1が、信号を送ること(オン)に関して表され、論理0が、信号を送らないこと(オフ)によって表される。ここで、状態のうちの一方が一方のバイナリシンボル値を表し得、その場合、他方の状態が他方のバイナリシンボルを表す。状態のパターンは、たとえばマンチェスターコーディングを通して提供されるような、バイナリシンボルを表し得る。
【0006】
図1は、同じアンテナを共有する、たとえばIEEE802.11通信のための、WURおよびPCRを示す。WURがオンにされ、起動メッセージを待っているとき、IEEE802.11チップセットは、エネルギーを保存するためにオフに切り替えられ得る。起動メッセージがWURによって受信されると、WURは、PCRを起動し、たとえばアクセスポイント(AP)とのWi-Fi通信を開始する。
【0007】
図2は、OOK生成のための旧来の構造を概略的に示す。送信されるべき信号、たとえばWUPのためのビットは、たとえば、マンチェスターベースエンコーダ200においてマンチェスターコーディングされる。符号化された信号は、たとえばスイッチ構成202によって、次のシンボル時間T
sym中にどの出力信号を提供すべきかを制御する。T
symは、たとえば高データレートについて2μsであり得るか、または、T
symは、低データレートについて4μsであり得る。切替えは、本手法では所望のオン信号を模倣するマルチキャリア信号を提供するオン信号波形生成器204によって提供される信号と、本手法ではゼロ信号を提供するオフ信号波形生成器206によって提供される信号との間で行われる。切替え構成202は、送信されるべき信号シーケンスを出力し、その信号シーケンスは、旧来は処理され、無線で送信される。
【0008】
上記で言及されたマルチキャリア信号は、通常、逆方向高速フーリエ変換(IFFT)によって生成され、なぜなら、このブロックが、たとえば、たとえばIEEE802.11a/g/n/acをサポートするWi-Fi送信機など、いくつかの送信機においてすでに利用可能であり得るからである。
図3は、IFFTを使用して基本ベースバンド波形を生成するための構造を概略的に示す。WUPを表すためにマルチキャリア信号を生成するための例示的な手法は、OFDMマルチキャリア信号の中心において13個のサブキャリアを使用すること、オンを表すためにこれらの13個のサブキャリアを信号でポピュレートすること、およびオフを表すためにまったく何も送信しないことである。これは、マルチキャリアOOK(MC-OOK)と呼ばれることがある。
【0009】
一例では、IFFTは、64ポイントを有し、20MHzのサンプリングレートにおいて動作しており、ただ通常の直交周波数分割多重(OFDM)に関しては、IEEE802.11a/g/n/acにおいて使用されるもののようなOFDMシンボル持続時間を有するために、IFFT動作の後にサイクリックプレフィックス(CP)が追加される。WUPのためのMC-OOKのいくつかの例では、同じOFDMシンボルが使用される。言い換えれば、すべてのデータシンボルのための非0サブキャリアをポピュレートするために、同じ周波数領域シンボルが使用される。
【0010】
上述の「Proposed Draft WUR PHY Specification」というタイトルのIEEE802.11-18/0152r5では、WUPの情報ビットにマンチェスターコーディングを適用することが提案される。すなわち、たとえば、論理「0」は「10」として符号化され、論理「1」は「01」として符号化される。したがって、あらゆるデータシンボルは、(エネルギーがある)「オン」部分と、エネルギーがない「オフ」部分とを備える。MC-OOKの重要な特徴は、MC-OOKを生成するために同じOFDMシンボルが使用されることである。言い換えれば、すべてのデータシンボルのための非0サブキャリアをポピュレートするために、同じ周波数領域シンボルが使用される。あらゆるマンチェスターコーディングされたデータシンボルの「オン」部分を生成するために同じOFDMシンボルを使用することは、いくつかの利点を有する。たとえば、同じOFDMシンボルを使用することは、MC-OOKのコヒーレント受信を可能にする。その上、オン波形の生成は、低いピーク対平均電力比を有する傾向があり得、および/または、性能についての傾向があり得る。
【0011】
IEEE802.11-18/0152r5において提案されるPHYは、低データレート(LDR:Low Data Rate)および高データレート(HDR:High Data Rate)と呼ばれる、2つのデータレートを規定する。マンチェスターコーディングは、両方のデータレートについてのWUPのデータ部分に適用される。すなわち、論理「0」は「10」として符号化され、論理「1」は「01」として符号化される。したがって、あらゆるデータシンボルは、(エネルギーがある)「オン」部分と、エネルギーがない「オフ」部分とを備える。さらに、低データレートは、反復コードを採用する。詳細には、OOKを生成するための説明される手法は、中心において13個のサブキャリアを使用すること、次いで、オンを表すためにこれらを何らかの信号でポピュレートすること、およびオフを表すためにまったく何も送信しないことである。
図4は、上記で説明された手法を可能にする送信機を概略的に示すブロック図であり、ここで、64ポイントIFFTは、OFDMシンボルを形成するためにCPが追加される逆方向変換された信号を提供し、OFDMシンボルは、アナログ領域にコンバートされ、所望の周波数に混合され、電力増幅(PA)され、アンテナを通して送信される。
【0012】
この手法は、オン部分を生成するために複数のキャリアが使用されるという点で、旧来のOOKとはわずかに異なる。したがって、802.11baにおいて規格化されているOOK方式は、マルチキャリアOOK(MC-OOK)と呼ばれる。オン/オフ部分の持続時間はデータレート間で異なり、低データレートの場合4μsであり、高データレートの場合2μsである。4μsのLDRオン/オフ持続時間は、802.11a/g/n/acにおけるOFDMシンボルの持続時間が、同じく4μsであるので、理想的にはMC-OOKに適している。一方、HDRにおいて使用される2μsの持続時間は、802.11送信機に対するある程度の小さい修正を必要とする。
【0013】
本開示は、特にリーン実装(lean implementation)に鑑みて、オン部分の生成に対する改善を提供することを目的とする。MC-OOKは、802.11アクセスポイント(AP)における実装の容易さのために設計された。しかしながら、HDRは、2μsのオンまたはオフ波形を採用し、これは、送信機が、FFTサイズ(たとえば32FFT)を変更するか、または64ポイントFFTを使用して生成される信号の時間マスキングを採用することを必要とする。802.11ba HDRをサポートするために802.11 APにおいて必要とされる修正はわずかであるが、それをレガシーチップセットにおいて実装することは可能でないことがある。
【0014】
この背景技術セクションにおいて開示された上記の情報は、本開示の背景の理解の向上のためのものにすぎず、したがって、その情報は、当業者にすでに知られている従来技術を形成しない情報を含んでいることがある。
【発明の概要】
【0015】
本開示は、変換器のためにいくつかのシンボルを適用することにより、所望のOOK信号出力を提供させるという本発明者の認識に基づく。
【0016】
第1の態様によれば、送信される情報を表すパターンを形成するオン波形とオフ波形とを備えるオンオフキーイング(OOK)信号を送信する方法が提供される。本方法は、送信されるべき情報の一方のバイナリ値について、複素数値周波数領域シンボル(complex-valued frequency domain symbol)の第1のセットを逆方向高速フーリエ変換器に提供するか、または送信されるべき情報の他方のバイナリ値について、複素数値周波数領域シンボルの第2のセットを逆方向高速フーリエ変換器に提供することを含む。本方法は、さらに、送信されるべき情報のOOK信号の、サイクリックプレフィックスを含む直交周波数分割多重(OFDM)表現を形成するために、逆方向高速フーリエ変換を実施することと、OFDM表現を送信することとを含む。
【0017】
第1の複素シンボルおよび第2の複素シンボルは、一方のバイナリ値についてのバイナリ情報を表す所望のパターンを変換することと、複素数値周波数領域シンボルの第1のセットを、一方のバイナリ値についてのバイナリ情報を表す変換された所望のパターンに類似している複素数値周波数領域シンボルのセットとして選択することと、他方のバイナリ値についてのバイナリ情報を表す所望のパターンを変換することと、複素数値周波数領域シンボルの第2のセットを、他方のバイナリ値についてのバイナリ情報を表す変換された所望のパターンに類似している複素数値周波数領域シンボルのセットとして選択することとによって決定され得る。複素数値周波数領域シンボルの第1のセットおよび第2のセットを選択することは、OFDM表現の中心周波数を下回るOFDM表現の信号エネルギーとOFDM表現の中心周波数を上回るOFDM表現の信号エネルギーとの差の大きさが、それぞれのセットによる電力スペクトル平坦化を達成するためのしきい値を下回るように、複素数値周波数領域シンボルの選択を適応させることを含み得る。複素数値周波数領域シンボルの選択は、OFDM表現についての中心周波数に対する等しい周波数オフセットをもつ周波数領域シンボルの各ペアのシンボルが、等しい大きさを有するように、選択を制約することを含み得る。
【0018】
複素シンボルは直交振幅変調(QAM)シンボルに対応し得る。
【0019】
それぞれの送信されるバイナリ情報についてのパターンは、オン部分の送信電力がオフ部分の送信電力を超えるようなものであり得る。
【0020】
利用可能なサブキャリアの第1のサブセットが、シンボルの適用されたセットによってポピュレートされ得、利用可能なサブキャリアの少なくとも第2のサブセットが、データ送信のために使用可能であり得る。マンチェスターコーディングされたOOK信号が反復コーディングを備え得、本方法は、生成されたOFDM表現とサイクリックプレフィックスとの持続時間が、マンチェスターおよび反復コーディングされたOOK信号の持続時間に一致するように、サイクリックプレフィックスの長さを選択することを含み得る。生成されたOFDM表現は12.8μsであり得、サイクリックプレフィックスは3.2μsであるように選択され得る。複素数値周波数領域シンボルのセットはOFDM表現の48個のサブキャリアをポピュレートし得、256QAMシンボルに対応し得、複素数値周波数領域シンボルの第1のセットは、それぞれのサブキャリアについての複素数値:-5+1i、7-5i、-5+5i、5-7i、-5+9i、3-9i、-3+13i、3-9i、3+15i、1-9i、7+15i、-1-9i、11+11i、-1-9i、15+7i、-1-9i、15+3i、-3-11i、15-3i、-3-11i、11-7i、-5-11i、5-9i、-7-11i、1-9i、-9-11i、-5-7i、-13-9i、-7-3i、-13-7i、-9+3i、-15-3i、-7+7i、-15+1i、-3+11i、-13+3i、1+13i、-11+7i、5+11i、-7+9i、9+9i、-3+9i、9+5i、1+9i、9+1i、3+7i、7-3i、および7+5iを提供し、これはオフ-オン-オフ-オンパターンを提供し、複素数値周波数領域シンボルの第2のセットは、それぞれのサブキャリアについての複素数値:1-5i、-9-1i、-3+7i、7+5i、7-7i、-5-9i、-11+5i、-1+9i、15-1i、5-9i、-15-5i、-9+3i、11+11i、9+3i、-7-15i、-7-7i、-1+15i、1+11i、5-13i、7-9i、-9+9i、-11+5i、9-5i、13+3i、-9+3i、-9-11i、7-1i、3+15i、-7+1i、5-15i、9-1i、-11+11i、-9-1i、15-3i、11+5i、-13-3i、-9-9i、11+7i、5+11i、-5-11i、-1-11i、1+11i、-3+11i、1-9i、5-7i、-3+7i、-5+3i、および5-5iを提供し、これはオン-オフ-オン-オフパターンを提供し、ここで、iは直交位相を示し、数は256QAMシンボルの信号コンスタレーションにおける相対位置を表す。
【0021】
本方法は、利用可能なサブキャリアのサブセットが、シンボルの適用されたセットによってポピュレートされ、他の利用可能なサブキャリアがヌリングされることを含み得る。複素数値周波数領域シンボルのセットはOFDM表現の12個のサブキャリアをポピュレートし得、ヌル(0+i0)が、少なくとも1つのサブキャリアをポピュレートするために提供され得、256QAMシンボルに対応し得、複素数値周波数領域シンボルの第1のセットは、それぞれのサブキャリアについての複素数値:-5-5i、-11+5i、-3+15i、13+13i、15-3i、3-9i、0、9-3i、3-15i、-13-13i、-15+3i、-5+11i、および5+5iを提供し得、複素数値周波数領域シンボルの第2のセットは、それぞれのサブキャリアについての複素数値:5-5i、-5+11i、-3-15i、13+13i、-15-3i、9-3i、0、-3+9i、-3-15i、13+13i、-15-3i、11-5i、および-5+5iを提供し得、ここで、iは直交位相を示し、数は256QAMシンボルの信号コンスタレーションにおける相対位置を表す。
【0022】
第2の態様によれば、送信される情報を表すパターンを形成するオン波形とオフ波形とを備えるオンオフキーイング(OOK)信号を送信するための送信機が提供される。送信機は、逆方向高速フーリエ変換器と送信機回路とを備える。送信機は、送信されるべき情報の一方のバイナリ値について、複素数値周波数領域シンボルの第1のセットを逆方向高速フーリエ変換器に提供するか、または送信されるべき情報の他方のバイナリ値について、複素数値周波数領域シンボルの第2のセットを逆方向高速フーリエ変換器に提供するように構成され、したがって、逆方向高速フーリエ変換は、送信されるべき情報のOOK信号の、サイクリックプレフィックスを含む直交周波数分割多重(OFDM)表現を形成するために実施されることを可能にされる。送信機回路は、OFDM表現を送信するように構成される。
【0023】
複素数値周波数領域シンボルの第1のセットおよび第2のセットは、複素数値周波数領域シンボルの第1のセットが、一方のバイナリ値についてのバイナリ情報を表す所望のパターンの変換に類似しているシンボルセットであり、複素数値周波数領域シンボルの第2のセットが、他方のバイナリ値についてのバイナリ情報を表す所望のパターンの変換に類似しているシンボルセットであるようなものであり得る。複素シンボルは直交振幅変調(QAM)シンボルに対応し得る。
【0024】
それぞれの送信されるバイナリ情報についてのパターンは、オン部分の送信電力がオフ部分の送信電力を超えるようなものであり得る。
【0025】
利用可能なサブキャリアの第1のサブセットが、シンボルの適用されたセットによってポピュレートされ得、利用可能なサブキャリアの少なくとも第2のサブセットが、データ送信のために使用可能である。マンチェスターコーディングされたOOK信号は反復コーディングを備え得、サイクリックプレフィックスの長さは、生成されたOFDM表現とサイクリックプレフィックスとの持続時間が、マンチェスターおよび反復コーディングされたOOK信号の持続時間に一致するようなものであり得る。生成されたOFDM表現は12.8μsであり得、サイクリックプレフィックスは3.2μsであるように選択され得る。複素数値周波数領域シンボルのセットはOFDM表現の48個のサブキャリアをポピュレートし得、256QAMシンボルに対応し得、複素数値周波数領域シンボルの第1のセットは、それぞれのサブキャリアについての複素数値:-5+1i、7-5i、-5+5i、5-7i、-5+9i、3-9i、-3+13i、3-9i、3+15i、1-9i、7+15i、-1-9i、11+11i、-1-9i、15+7i、-1-9i、15+3i、-3-11i、15-3i、-3-11i、11-7i、-5-11i、5-9i、-7-11i、1-9i、-9-11i、-5-7i、-13-9i、-7-3i、-13-7i、-9+3i、-15-3i、-7+7i、-15+1i、-3+11i、-13+3i、1+13i、-11+7i、5+11i、-7+9i、9+9i、-3+9i、9+5i、1+9i、9+1i、3+7i、7-3i、および7+5iを提供し得、これはオフ-オン-オフ-オンパターンを提供し、複素数値周波数領域シンボルの第2のセットは、それぞれのサブキャリアについての複素数値:1-5i、-9-1i、-3+7i、7+5i、7-7i、-5-9i、-11+5i、-1+9i、15-1i、5-9i、-15-5i、-9+3i、11+11i、9+3i、-7-15i、-7-7i、-1+15i、1+11i、5-13i、7-9i、-9+9i、-11+5i、9-5i、13+3i、-9+3i、-9-11i、7-1i、3+15i、-7+1i、5-15i、9-1i、-11+11i、-9-1i、15-3i、11+5i、-13-3i、-9-9i、11+7i、5+11i、-5-11i、-1-11i、1+11i、-3+11i、1-9i、5-7i、-3+7i、-5+3i、および5-5iを提供し、これはオン-オフ-オン-オフパターンを提供し、ここで、iは直交位相を示し、数は256QAMシンボルの信号コンスタレーションにおける相対位置を表す。
【0026】
第1のセットおよび第2のセットは、OFDM表現の中心周波数を下回るOFDM表現の信号エネルギーとOFDM表現の中心周波数を上回るOFDM表現の信号エネルギーとの差の大きさが、電力スペクトル平坦化を達成するためのしきい値を下回るように適応され得る。複素数値周波数領域シンボルは、OFDM表現についての中心周波数に対する等しい周波数オフセットをもつ周波数領域シンボルの各ペアのシンボルが、等しい大きさを有するように制約され得る。
【0027】
利用可能なサブキャリアのサブセットが、シンボルの適用されたセットによってポピュレートされ得、他の利用可能なサブキャリアがヌリングされる。複素数値周波数領域シンボルのセットはOFDM表現の12個のサブキャリアをポピュレートし得、ヌル(0+i0)が、少なくとも1つのサブキャリアをポピュレートするために提供され得、256QAMシンボルに対応し得、複素数値周波数領域シンボルの第1のセットは、それぞれのサブキャリアについての値:-5-5i、-11+5i、-3+15i、13+13i、15-3i、3-9i、0、9-3i、3-15i、-13-13i、-15+3i、-5+11i、および5+5iを提供し得、複素数値周波数領域シンボルの第2のセットは、それぞれのサブキャリアについての複素数値:5-5i、-5+11i、-3-15i、13+13i、-15-3i、9-3i、0、-3+9i、-3-15i、13+13i、-15-3i、11-5i、および-5+5iを提供し得、ここで、iは直交位相を示し、数は256QAMシンボルの信号コンスタレーションにおける相対位置を表す。
【0028】
第3の態様によれば、通信装置のプロセッサ上で実行されたとき、通信装置に、第1の態様による方法を実施させる命令を備えるコンピュータプログラムが提供される。
【0029】
いくつかの実施形態の利点は、低い実装複雑度の可能性である。
【0030】
本開示の上記の、ならびに追加の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、本開示の好ましい実施形態の以下の例示的で非限定的な詳細な説明を通して、より良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】旧来のWURおよびPCR構造を有する受信機を概略的に示す図である。
【
図3】IFFTを使用して基本ベースバンド波形を生成するための構造を概略的に示す図である。
【
図5】CP挿入に関する問題点を示す電力対時間図である。
【
図6】OOKとP-OOKとの間の差を示す図である。
【
図7】生成された信号パターンの例を示す図である。
【
図8】一実施形態による、方法を示すフローチャートである。
【
図9】一実施形態による、方法を示すフローチャートである。
【
図10】高スループットデータとWUPとの多重化を示す図である。
【
図11】一実施形態による、パターン生成の一例を示す図である。
【
図12】一例についてのCP問題点を示す図である。
【
図13】一実施形態による、パターン生成の一例を示す図である。
【
図14】一実施形態による、信号生成の一例を示す図である。
【
図15】一例による、シンボルセットについての得られた時間図である。
【
図16】一例による、シンボルセットについての得られた時間図である。
【
図17】
図15に示されている信号についての周波数図である。
【
図18】
図16に示されている信号についての周波数図である。
【
図19】一例による、シンボルセットについての得られた時間図である。
【
図20】一例による、シンボルセットについての得られた時間図である。
【
図21】
図19に示されているようなパターンについての周波数応答を示す図である。
【
図22】
図20に示されているようなパターンについての周波数応答を示す図である。
【
図23】一例による、理想的なOOK信号と示唆された信号との間で性能を比較する図である。
【
図24】一実施形態による、ネットワークノードを概略的に示すブロック図である。
【
図25】コンピュータ可読媒体および処理デバイスを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
IFFTおよびCP挿入を介した時間領域への変換の後にオン-オフ波形またはオフ-オン波形が取得され得るような周波数領域シンボルを見つけることが可能であれば、問題の解決策が見つけられるであろう。残念ながら、これは、達成することが可能でない。その理由は、CP挿入がOFDMシンボルの最初の部分と最後の部分とが等しいことを暗示することである。
図5は、CP挿入に関する問題点を示す電力対時間図である。
【0033】
CP挿入によって引き起こされる問題を解決するために、「Partial OOK - Generalizing the Blank GI Idea」というタイトルのIEEE802.11-17/1673r1における部分的OOK(P-OOK)と呼ばれるいくつかの原理を適用することが示唆される。
図6は、OOKとP-OOKとの間の差を示す。
【0034】
P-OOKは、オン波形の短縮および電力ブースティングをもたらす。さらに、OOKと比較したとき、P-OOKが無視できない性能利得を生じることができることが、IEEE802.11-17/1673r1において示された。受信機が、OOKを受信するように設計され、実際の受信された信号がP-OOKによって生成されたことに気づいていない場合でも、P-OOKが良好な性能を生じることも示された。実際は、未加工の(crude)受信機は、送信されたビットを決定するためにOOK信号の第1の部分と第2の部分との間でエネルギーを比較する必要があるにすぎない。
【0035】
開示される手法は、オン信号の電力に対して、低電力波形によってオフ波形を置き換える。さらに、開示される手法は、OOKをP-OOKと置き換える。オンとオフの両方が2μsの持続時間を有する、マンチェスターコーディングされたオン/オフシンボルまたはオフ/オンシンボルを生成するためにIFFTを使用することが可能でないが、CP挿入に関する上記で説明された問題点にもかかわらず、
図7に示されているようにP-OOKを生成する周波数領域シンボルを見つけることが可能であるので、P-OOKは有用なアイデアである。
【0036】
したがって、P-OOKを生成する周波数領域シンボルの2つのセット、たとえば、{Xk}および{Yk}を、オフ電力がオン電力よりも低くなるように設計することが提案される。周波数領域シンボルのいずれかのセットから生成される各OFDMシンボルは、マンチェスターコーディングされたMC-OOKシンボルを生じることになる。
【0037】
上記で説明されたような使用可能な部分的MC-OOKを達成するためにIFFTを与えるのに好適なシンボルを決定するために、1つのやり方は、たとえば、
図7における所望のパターンを割り振ることであり、ここで、
図5に示されているように、CPによって使用される部分は、低電力を有するように設計される。次いで、それぞれのビット値についての所望のパターンは、使用されるべきIFFTに対応する変換器を使用して変換され得る。次いで、それぞれの変換されたパターンは、それぞれのビット値についてのIFFTを与えるために使用され得る。次いで、変換されたパターンは、適用されるべき第1の特殊シンボルおよび第2の特殊シンボルを形成する。代替的に、それぞれの変換されたパターンに類似している標準シンボルが、たとえば、256QAM信号コンスタレーションから選択され、IFFTを与えるために使用され得る。後者の解決策の場合、信号空間(signal room)が大きくなるほど、すなわち、使用される変調アルファベットが大きくなるほど、所望のパターンにかなり類似しているシンボルがある可能性が高くなることに留意されたい。しかしながら、OOK手法の固有のロバストネスにより、類似度(resemblance)は極めて自由(liberal)であり得るが、これは、OOK信号の適用、および信号強度に関する範囲、制限などの性能要件による。たとえば、いくつかの実装形態の場合は、選択された64QAMシンボルが十分であり得るが、他の実装形態の場合は、選択された256、512または1024QAMシンボルを使用すること、または所望のパターンの変換から直接とられる特殊シンボルを使用することが必要とされ得る。
【0038】
図8は、実施形態による、方法を概略的に示すフローチャートである。本方法は、送信されるバイナリ情報をマンチェスターコードとして表すパターンを形成するオン波形とオフ波形とを備えるオンオフキーイング(OOK)信号を送信することに関する。いくつかの適用例では、すなわち、CPの長さが設定可能である場合、800において、CPの好適な長さが選択される。本方法は、804において、送信されるべき情報の一方のバイナリ値について、複素数値周波数領域シンボルの第1のセットを逆方向高速フーリエ変換器に提供するか、または送信されるべき情報の他方のバイナリ値について、複素数値周波数領域シンボルの第2のセットを逆方向高速フーリエ変換器に提供することを含む。802において、複素数値周波数領域シンボルのそれぞれのセットは、異なるやり方、たとえば、ルックアップテーブル、P-OOK変調器の事前設定された設計などによって取得され得、シンボルセットの決定は、異なるやり方で行われ得る。1つのやり方は、
図9を参照しながら以下で解明される。複素数値周波数領域シンボルのセットは、たとえば、上記で示されたように、直交振幅変調(QAM)シンボルに対応し得る。
【0039】
806において、サイクリックプレフィックス(CP)の挿入を含む逆方向高速フーリエ変換は、送信されるべき情報のOOK信号の直交周波数分割多重(OFDM)表現を形成するために実施される。808において、OFDM表現は、次いで送信される。
【0040】
それぞれの送信されたバイナリ情報についてのパターンは、好ましくは、受信機複雑さが低く保たれ得るようにオン部分の送信電力がオフ部分の送信電力を超えるようなものであり、すなわち、バイナリ値を表す受信されたシンボルの第1の部分と第2の部分との間でエネルギーレベルを比較する必要があるにすぎない。
【0041】
WUP送信の帯域幅は、好ましくは、PCRに送られるデータの帯域幅よりも狭く、WUP送信の帯域幅に対応する利用可能なサブキャリアのサブセットが、シンボルの適用されたセットによってポピュレートされ、他の利用可能なサブキャリアはヌリングされる。代替的に、以下で説明されるように、いくつかのサブキャリアは、WUP送信についてのガード帯域を提供するためにヌリングされ、次いで、他の通信は、利用可能なサブキャリア内で多重化される。
【0042】
図9は、シンボルの第1のセットおよび第2のセットを決定するための手法を示すフローチャートである。上記で説明されたように、シンボルのセットは、所望のP-OOK信号に類似している出力を作り出すべきである。シンボルのセットの決定は、事前に、送信発生に鑑みて、およびさらに送信機にデバイスのインストールまたは初期セットアップなどの動作を行わせることに鑑みて実施され得、次いで、WUPの送信時に使用されるために記憶され得る。また、上記で説明されたように、シンボルのセットは、それぞれのP-OOKシンボルについての所望の信号パターンの変換から直接決定された特殊セットであるか、または送信機によって使用される信号コンスタレーション、たとえば、64、128、256、512または1024QAMによる、選択されたシンボルであり得る。したがって、ここで、記憶することは多少複雑であり得る。特殊シンボルセットの場合は、シンボルについてのパラメータは、たとえば、所望の精度で記憶され得るが、選択されたシンボルセットの場合は、シンボルセット値のみが記憶され得る。
【0043】
シンボルのセットを決定するための手法は、送信機によって使用される信号コンスタレーションに従って類似しているシンボルセットを選択することを採用する、
図9に示されている手法に従うものであり得、900において、一方のバイナリ値について送信されることを所望される信号に対応する信号パターンを変換することを備える。次いで、902において、変換された信号パターンに所望の程度一致する第1の複素数値シンボルセット(complex-valued symbol set)が選択される。他方のバイナリ値について、同様のアクション、すなわち、904において、他方のバイナリ値について送信されることを所望される信号に対応する信号パターンを変換することが行われ、次いで、906において、変換された信号パターンに所望の程度一致する第1の複素数値シンボルセットが選択される。
【0044】
複素数値周波数領域シンボルの第1のセットおよび第2のセットを選択することは、変換された信号パターンとの類似度に基づくだけでないことがあり、たとえば、電力スペクトル平坦化がそれぞれのセットによって達成されるように、複素数値周波数領域シンボルの選択を適応させることをも含み得る。電力スペクトル平坦化を達成するための例示的な手法は、複素数値周波数領域シンボルの選択を、OFDM表現についての中心周波数に対する等しい周波数オフセットをもつ周波数領域シンボルの各ペアのシンボルが、等しい大きさを有するように、選択を制約することによって、適応させることである。すなわち、各そのようなペアの複素数値周波数領域シンボルの絶対値は、シンボル選択の解決が可能とする限り、ほぼ等しい。以下で説明されるように、その選択はまた、たとえば、ペイロードを、WUPによって使用されないサブキャリアに多重化するために使用される他のシンボルセットに対する直交性を維持するシンボルセットを選択することを含み得る。したがって、選択は、平坦なスペクトルおよび十分な直交性という意味での所望の性質が達成されるように、平坦化と直交性の維持とを取引することを含み得る。
【0045】
IEEE802.11ファミリーに対するさらなるフレーバー(flavour)を含むIEEE802.11についての示唆される発展がある。それらのうちの1つは、特に、直交周波数分割多元接続(OFDMA)を導入する。1つの示唆は、OFDMAがダウンリンク(DL)においていくつかのユーザにコンカレントに送信し、アップリンク(UL)においていくつかのユーザからコンカレントに受信するために使用され得ることである。これのために、256ポイントFFTに基づいて、12.8μsのOFDMシンボル持続時間をもつ新しいヌメロロジーも導入される。サイクリックプレフィックスの持続時間は、0.8μs、1.6μsまたは3.2μsのように設定可能である。
【0046】
WUPのスペクトル効率は極めて低い。実際、WUPは、たとえば、62.5kbpsのデータレートで4MHz信号を送信するために20MHzチャネルを予約し得る。2MHzと同程度に狭いリソースユニット(RU)をもついくつかのIEEE802.11フレーバーにおけるOFDMAの導入は、たとえば、
図10に概略的に示されているように、高スループットデータとWUPとの周波数領域多重化を可能にする。これは、WUPのみを送信することに関するスペクトル効率を著しく増加させることになる。256ポイントFFTに基づくOFDMA、および12.8μsのCP挿入の前のOFDMシンボル持続時間のために、問題が起こる。したがって、WUPはOFDM送信機によって生成され得るが、たとえば、WUPが、64ポイントIFFTと4μsの持続時間をもつOFDMシンボルとに関して指定されるとき、WUPは、RUに割り当てられたユーザデータに直交しないことがある。言い換えれば、ユーザデータに割り当てられた多重化されたRUは、WUPからの漏れによって干渉され得る。OFDMAによってWUPとユーザデータとを多重化することは、256ポイントIFFT、後続のCP挿入を介してWUPを生成することによって達成され得る。ここで、MC-OOKでは、マンチェスターコーディングおよび反復コーディングの後に、論理1は、16μsの総持続時間をもつオフオンオフオン波形によって表される。同様に、論理0は、16μsの総持続時間をもつオンオフオンオフ波形によって表される。その上、各オン部またはオフ部は、4μsの持続時間を有する。一方、3.2μsのサイクリックプレフィックスをもつ新たに提案されるヌメロロジーを採用すると、1つのOFDMシンボルの持続時間は、同じく16μsである。本開示は、得られた16μs波形が4MHz帯域幅を有し、16μsマンチェスターコーディングされ、反復コーディングされたMC-OOKシンボルと同様の電力分配を呈するような、新たに提案されるヌメロロジーを採用して1つのOFDMシンボルを生成するための方法を開示する。
【0047】
所望のP-OOKに類似しているOFDM信号を作り出し、チャネル内の他のユーザ信号との周波数領域多重化に特に好適であるための手法が、具体的な例として以下に与えられる。
【0048】
第1のステップは、3.2μsになるようにCPを設定することである。このようにして、(CPを含む)OFDMシンボルの持続時間は16μsになり、したがって、1つのマンチェスターおよび反復コーディングされたMC-OOKシンボルの持続時間に等しくなる。次に、タスクは、IFFTおよびCP挿入を介した時間領域への変換の後にオン-オフ-オン-オフ波形またはオフ-オン-オフ-オン波形が取得され得るような周波数領域シンボルのセットを見つけることである。これは、
図11に概略的に示されている。CP問題点は、対処される必要があり、この特定の場合では、CP問題点は、
図12を通して示される。所望のP-OOK信号パターンは、CP問題点に対処するように適応され、これは、
図13に示されている。
【0049】
したがって、周波数領域シンボルの2つのセット、たとえば、{X
k}および{Y
k}は、オフ電力がオン電力に対して低くなるように設計され、それにより、P-OOK信号パターンが生成される。周波数領域シンボルの数は、WUPに割り当てられた帯域幅に依存する。周波数領域シンボルのいずれかのセットから生成される各OFDMシンボルは、マンチェスターコーディングされたMC-OOKシンボルを生じることになる。このようにして、ユーザデータおよびWUPは、
図14に示されているようにOFDMAを介して多重化され得る。
【0050】
表1は、低データレートWUPの生成に好適なシンボルの2つのセットの一例を示す。値は、より容易な理解のために信号コンスタレーションの信号ポイントをシンプルに表すための-15から15の間の奇数、および「i」によって指示される直交位相であり、256信号ポイントの間のシンボルの表現を生じる。信号の帯域幅は、約4MHzである。オン部分とオフ部分との電力比は、16dBよりも大きい。
図15および
図16は、表1のシンボルセットについての得られた時間図を示し、
図17および
図18は、それぞれ、得られた周波数図を示す。
【0051】
上記の例において与えられたように、マンチェスターコーディングされたOOK信号が反復コーディングを備え得、本方法は、生成されたOFDM表現とサイクリックプレフィックスとの持続時間が、マンチェスターおよび反復コーディングされたOOK信号の持続時間に一致するように、サイクリックプレフィックスの長さを選択することを含み得る。上記の例では、生成されたOFDM表現は12.8μsであり、サイクリックプレフィックスは3.2μsであるように選択される。
【0052】
上記で
図7~
図14を参照しながら示された実施形態は、所望のP-OOKに類似しているOFDM信号のための、チャネル内の他のユーザ信号との周波数領域多重化に特に好適である手法を示唆したが、所望のP-OOKに類似しているOFDM信号を作り出すための一般的な手法が、別の具体的な例として以下に与えられる。
【0053】
表2は、実現可能なそれぞれのパターンを提供する、12サブキャリアソリューション(+ヌリングされたDCサブキャリア)の場合の256QAMシンボルについての値を示す。値は、より容易な理解のために信号コンスタレーションの信号ポイントをシンプルに表すための-15から15の間の奇数、および「i」によって指示される直交位相であり、256信号ポイントの間のシンボルの表現を生じる。
【0054】
表2の例では、オン部分とオフ部分との電力比は、19dBよりも大きく、これは、約10dBが十分であり得る多くの適用例について必要とされるよりもはるかに多い。
【0055】
上記で説明されたように、OOK受信機の場合、OOK信号が送信されるのかP-OOK信号が送信されるのかは、通常、オン部分とオフ部分との間で信号エネルギーが区別可能である限り、問題でない。
図23は、
図19および
図20における理想的なOOK信号と示唆された信号との間で性能を比較する図である。ここで、性能損失が中程度から無視できる程度であることがわかり得る。
【0056】
図19および
図20は、表2を参照しながら与えられる例についての得られた出力パターンを示す信号図である。
図21および
図22は、それぞれ、
図19および
図20に示されているようなそれぞれのパターンについての周波数応答を示す。
【0057】
複素数値周波数領域シンボルの第1のセットおよび第2のセットを選択することは、いくつかの例を参照しながら上記で示されたように、いくつかの性質を達成するように複素数値周波数領域シンボルの選択を適応させることを含み得る。そのような性質の一例は、周波数選択性伝搬チャネルにおける周波数ダイバーシティ利得を得るために、合理的に平坦な周波数応答である。たとえば、シンボルセットは、OFDM表現の中心周波数を下回るOFDM表現の信号エネルギーとOFDM表現の中心周波数を上回るOFDM表現の信号エネルギーとの差の大きさが、それぞれのセットによる電力スペクトル平坦化を達成するためのしきい値を下回るように、平坦な周波数応答を考慮に入れて選択され得る。たとえば、しきい値は、いくつかの実施形態では3dBに設定され得るが、いくつかの実施形態では、より厳しく、たとえば、1dBになり得る。ここで、OFDM表現の2つの比較される部分の信号エネルギーは、候補シンボルセットをテストまたはシミュレートすることと、それぞれの部分についてのMC-OOK信号の周波数帯域内のアグリゲートされた信号エネルギーを観測することと、それらを比較することと、しきい値が満たされるかどうかを決定することとによって決定され得る。テストまたはシミュレートすることは、事前に実施され得、その結果は、動作中にアクセスされるルックアップテーブルに記憶され得る。また、この、テストおよびシミュレートする手法は、生成されるMC-OOK信号の他の性質について適用可能である。
【0058】
図24は、一実施形態による、ネットワークノード2400、たとえばアクセスポイントを概略的に示すブロック図である。ネットワークノードは、アンテナ構成2402と、アンテナ構成2402に接続された受信機2404と、アンテナ構成2402に接続された送信機2406と、1つまたは複数の回路を備え得る処理エレメント2408と、1つまたは複数の入力インターフェース2410と、1つまたは複数の出力インターフェース2412とを備える。インターフェース2410、2412は、オペレータインターフェースおよび/または信号インターフェース、たとえば電気的または光学的であり得る。ネットワークノード2400は、セルラ通信ネットワークにおいて動作するように構成される。特に、処理エレメント2408が、上記で、たとえば、
図13および随意に
図14を参照しながら示された特徴を実施するように構成されることによって、ネットワークノード2400は、WUPを効率的に提供することが可能であり、低複雑度で実装される。処理エレメント2408はまた、処理エレメント2408が受信機2404および送信機2406に接続されるので受信および送信を可能にするための信号処理から、アプリケーションを実行すること、インターフェース2410、2412を制御することなどに及ぶ、多数のタスクを遂行することができる。
【0059】
本開示による方法は、特に、上記で示された処理エレメント2408が、WUP提供をハンドリングするプロセッサを備える場合、コンピュータおよび/またはプロセッサなど、処理手段の援助を伴う実装に好適である。したがって、処理手段、プロセッサ、またはコンピュータに、上記で、たとえば、
図13および/または
図14を参照しながら説明された特徴のうちのいずれかによる方法のうちのいずれかのステップを実施させるように構成された命令を備える、コンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、好ましくは、
図25に示されているように、コンピュータ可読媒体2500に記憶されたプログラムコードを備え、そのプログラムコードは、処理手段、プロセッサ、またはコンピュータ2502によってロードされ、実行され得、処理手段、プロセッサ、またはコンピュータ2502に、それぞれ、本開示の実施形態による方法を、好ましくは、上記で、たとえば、
図13および/または
図14を参照しながら説明された特徴のうちのいずれかとして実施させる。コンピュータ2502およびコンピュータプログラム製品2500は、方法のうちのいずれかのアクションが段階的に実施されるか、またはリアルタイムで方法を実施する場合、プログラムコードを連続的に実行するように構成され得る。処理手段、プロセッサ、またはコンピュータ2502は、好ましくは、通常、組込みシステムと呼ばれるものである。したがって、
図25中の図示されたコンピュータ可読媒体2500およびコンピュータ2502は、原理の理解を提供するための説明の目的のためのものにすぎないと解釈されるべきであり、エレメントの直接的な説明として解釈されるべきではない。