IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特許7194499情報通信ケーブルのためのフラッディング化合物
<>
  • 特許-情報通信ケーブルのためのフラッディング化合物 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】情報通信ケーブルのためのフラッディング化合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/16 20060101AFI20221215BHJP
   C08F 10/02 20060101ALI20221215BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20221215BHJP
   G02B 6/44 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
C08L23/16
C08F10/02
C08L23/06
G02B6/44 366
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017549440
(86)(22)【出願日】2016-03-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-04-26
(86)【国際出願番号】 US2016022252
(87)【国際公開番号】W WO2016160315
(87)【国際公開日】2016-10-06
【審査請求日】2019-03-01
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】62/140,673
(32)【優先日】2015-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・エセギエ
(72)【発明者】
【氏名】イーチ・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ブラッド・シー・バイレイ
(72)【発明者】
【氏名】イー・ジン
(72)【発明者】
【氏名】セリム・ヤルヴァック
【合議体】
【審判長】細井 龍史
【審判官】杉江 渉
【審判官】小出 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-157952(JP,A)
【文献】国際公開第2014/209927(WO,A1)
【文献】国際公開第02/033710(WO,A1)
【文献】特開昭61-236511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/00 - 23/36
C08F 10/00 - 10/14
G02B 6/00 - 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報通信ケーブルのためのフラッディングコンパウンド(flooding compound)であって、
前記フラッディングコンパウンドは、
(a)ポリマー充填剤と、
(b)分岐オレフィン系流体であって、
(i)平均で1オリゴマー分子当たり少なくとも1.5個のメチン炭素、及び
(ii)千個の総炭素当たり少なくとも40個のメチン炭素
を有する前記分岐オレフィン系流体と
を含み、
前記分岐オレフィン系流体中の1分子当たりの炭素の平均数は、25~200個であり、
前記ポリマー充填剤は、エチレン系ポリオレフィンエラストマー、プロピレン系ポリオレフィンエラストマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリオレフィンエラストマーであり、
前記ポリマー充填剤は、前記ポリマー充填剤と前記分岐オレフィン系流体との総重量に基づいて、3050重量パーセントの範囲の量で存在し、
前記分岐オレフィン系流体は、前記ポリマー充填剤と前記分岐オレフィン系流体との総重量に基づいて、5070重量パーセントの範囲の量で存在する、前記フラッディングコンパウンド
【請求項2】
前記フラッディングコンパウンドが、ASTM D3236に従って決定された場合、150℃で20~400センチポアズの範囲の見かけ粘度を有し、前記フラッディングコンパウンドが、ASTM D127に従って決定された場合、少なくとも65℃の滴点を有する、請求項1に記載のフラッディングコンパウンド
【請求項3】
前記分岐オレフィン系流体が、エチレン系、またはエチレン系及びプロピレン系である、請求項1または2に記載のフラッディングコンパウンド
【請求項4】
前記分岐オレフィン系流体が、出発モノマーのみとしてエチレンから調製された超分岐オレフィン系流体、出発モノマーのみとしてエチレン及びプロピレンから調製された分岐オレフィン系流体、出発モノマーのみとしてエチレン及び1-オクテンから調製された分岐オレフィン系流体、ならびにこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載のフラッディングコンパウンド
【請求項5】
前記ポリオレフィンエラストマーが、10~50重量パーセントの範囲の結晶化度を有し、前記ポリオレフィンエラストマーが、177℃で50,000センチポアズ以下の絶対粘度を有する、請求項1に記載のフラッディングコンパウンド
【請求項6】
前記ポリオレフィンエラストマーが、5,000g/mol超の数平均分子量(「Mn」)を有し、前記ポリオレフィンエラストマーが、5,000~50,000g/molの範囲の重量平均分子量(「Mw」)を有し、前記ポリオレフィンエラストマーが、1~5の範囲の多分散指数(「Mw/Mn」)を有し、前記ポリオレフィンエラストマーが、0.910g/cm未満の密度を有し、前記ポリオレフィンエラストマーが、少なくとも70℃の融点を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のフラッディングコンパウンド
【請求項7】
酸化防止剤、レオロジー改質剤、追加充填剤、及び安定剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載のフラッディングコンパウンド
【請求項8】
光ファイバケーブルであって、
(a)少なくとも1本の光ファイバと、
(b)複数のバッファチューブと、
(c)請求項1~7のいずれか1項に記載のフラッディングコンパウンド
を備える前記光ファイバケーブル。
【請求項9】
情報通信ケーブルのためのフラッディングコンパウンドであって、
前記フラッディングコンパウンドは、
(a)ポリマー充填剤と、
(b)分岐オレフィン系流体であって、
(i)平均で1オリゴマー分子当たり少なくとも1.5個のメチン炭素、及び
(ii)千個の総炭素当たり少なくとも40個のメチン炭素
を有する前記分岐オレフィン系流体と、
(c)酸化防止剤、レオロジー改質剤、追加充填剤、及び安定剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤と
を含み、
前記分岐オレフィン系流体中の1分子当たりの炭素の平均数は、25~200個であり、
前記ポリマー充填剤は、エチレン系ポリオレフィンエラストマー、プロピレン系ポリオレフィンエラストマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるポリオレフィンエラストマーであり、
前記ポリマー充填剤は、前記ポリマー充填剤と前記分岐オレフィン系流体との総重量に基づいて、3050重量パーセントの範囲の量で存在し、
前記分岐オレフィン系流体は、前記ポリマー充填剤と前記分岐オレフィン系流体との総重量に基づいて、5070重量パーセントの範囲の量で存在する、前記フラッディングコンパウンド
【請求項10】
前記フラッディングコンパウンドが、ASTM D3236に従って決定された場合、150℃で20~400センチポアズの範囲の見かけ粘度を有し、前記フラッディングコンパウンドが、ASTM D127に従って決定された場合、少なくとも65℃の滴点を有する、請求項9に記載のフラッディングコンパウンド
【請求項11】
前記分岐オレフィン系流体が、出発モノマーのみとしてエチレンから調製された超分岐オレフィン系流体、出発モノマーのみとしてエチレン及びプロピレンから調製された分岐オレフィン系流体、出発モノマーのみとしてエチレン及び1-オクテンから調製された分岐オレフィン系流体、ならびにこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項9または10に記載のフラッディングコンパウンド
【請求項12】
前記ポリオレフィンエラストマーが、10~50重量パーセント未満の範囲の結晶化度を有し、前記ポリオレフィンエラストマーが、177℃で50,000センチポアズ以下の絶対粘度を有する、請求項9~11のいずれか1項に記載のフラッディングコンパウンド
【請求項13】
前記ポリオレフィンエラストマーが、5,000g/mol超の数平均分子量(「Mn」)を有し、前記ポリオレフィンエラストマーが、5,000~50,000g/molの範囲の重量平均分子量(「Mw」)を有し、前記ポリオレフィンエラストマーが、1~5の範囲の多分散指数(「Mw/Mn」)を有し、前記ポリオレフィンエラストマーが、0.910g/cm未満の密度を有し、前記ポリオレフィンエラストマーが、少なくとも70℃の融点を有する、請求項12に記載のフラッディングコンパウンド
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本明細書は、2015年3月31日出願の米国仮出願第62/140,673号の利益を主張する。
【0002】
本発明の種々の実施形態は、情報通信ケーブルのためのフラッディングコンパウンド(flooding compound)に関する。本発明の他の態様は、ポリマー充填剤の樹脂及び分岐オレフィン系流体を含むフラッディングコンパウンドに関する。
【0003】
発明の詳細な説明
フラッディングコンパウンドは、光ファイバケーブルで一般に使用されるバッファチューブの周辺及び間で典型的に見つかる空所などの情報通信ケーブル内の空所を塞ぐように設計された材料である。加えて、これらのコンパウンドは、バッファチューブ内部の光ファイバを垂設及び保護する充填材料として使用され得る。高温下(情報通信ケーブルを充填するときに使用される温度など)で自由流動し、さらに室温下での滴下を回避するように低温下で容易にゲル化するフラッディングコンパウンドが一般的に好まれる。加えて、設置の簡単さ及び環境汚染の回避のために、洗浄が簡単で面倒ではないフラッディングコンパウンドが望ましい。フラッディングコンパウンドの進化が当該技術においてなされているが、いまだ改良が所望される。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態は、情報通信ケーブルのためのフラッディングコンパウンドであって、該フラッディングコンパウンドは、
(a)ポリマー充填剤と、
(b)
(i)平均で1オリゴマー分子当たり少なくとも1.5個のメチン炭素、及び
(ii)千個の総炭素当たり少なくとも40個のメチン炭素を有する、分岐オレフィン系流体と、を含み、
該分岐オレフィン系流体中の1分子当たりの炭素の平均数は、25~200個である。
【0005】
別の実施形態は、情報通信ケーブルのためのフラッディングコンパウンドであって、該フラッディングコンパウンドは、
(a)ポリマー充填剤と、
(b)
(i)平均で1 オリゴマー分子当たり少なくとも1.5個のメチン炭素、及び
(ii)千個の総炭素当たり少なくとも40個のメチン炭素を有する、分岐オレフィン系流体と、
(c)任意選択で、酸化防止剤、チキソトロープ剤、追加充填剤、安定剤、及びレオロジー改質剤からなる群から選択される1つ以上の添加剤と、を含み、
該分岐オレフィン系流体の1分子当たりの炭素の平均数は、25~200個である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面を参照する。
【0007】
図1】ルーズバッファチューブ型(loose buffer tube)光ファイバケーブルの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の種々の実施形態は、情報通信ケーブル(例えば、光ファイバケーブル)で使用するためのフラッディングコンパウンドに関する。当該技術で周知のように、「フラッディングコンパウンド」は、情報通信ケーブル内で、ある特定の空所を充填するために一般的に用いられる物質である。本明細書に記載のフラッディングコンパウンドは、ポリマー充填剤及び分岐オレフィン系流体を含む。加えて、本フラッディングコンパウンドは、任意選択で、1つ以上の添加剤を含み得る。
【0009】
ポリマー充填剤
本フラッディングコンパウンドで用いられるポリマー充填剤は、フラッディングコンパウンドの当業者には既知または想定内のあらゆるポリマー充填剤であり得る。種々の実施形態において、ポリマー充填剤はポリオレフィンエラストマーを含み得る。当該技術で周知のように、「エラストマー」は、比較的低い応力で大きな可逆変形を示すポリマーである。エラストマーは、熱可塑性または熱硬化性のいずれかになり得る。「熱可塑性エラストマー」は、熱可塑性の特性を有するエラストマーである。つまり、熱可塑性エラストマーは、任意選択で、成型されるか、または別様に成形され、それらの融点または軟化点を超える温度で再加工される。本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、熱可塑性エラストマーである。
【0010】
「ポリオレフィンエラストマー」は、アルファ-オレフィン(「α-オレフィン」)モノマーの残基を含有するエラストマーポリマーである。種々の実施形態において、ポリオレフィンエラストマーは、エチレンを含むα-オレフィンモノマーの残基のみからなる。かかるポリオレフィンエラストマーは、ホモポリマーまたはインターポリマーのいずれかであり得る。本明細書で使用されるとき、「ポリマー」は、同一または異なる種のモノマーを反応(すなわち、重合)することによって調製された高分子化合物を意味し、ホモポリマー及びインターポリマーを含む。「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマー種の重合によって調製されたポリマーを指す。この一般名称には、コポリマー(通常、2つの異なるモノマー種から調製されたポリマーを指すために用いられる)、ならびに2つ以上の異なるモノマー種(例えば、ターポリマー(3つの異なるモノマー種)及びクォーターポリマー(4つの異なるモノマー種)から調製されたポリマーが含まれる。本明細書で使用されるとき、「ホモポリマー」は、単一のモノマー種由来の繰り返し単位を含むポリマーを意味するが、連鎖移動剤などのホモポリマーを調製する際に使用される他の成分の残基量を除外しない。
【0011】
ポリオレフィンエラストマーには、ポリオレフィンホモポリマー及びインターポリマーの両方が含まれる。ポリオレフィンホモポリマーの例には、エチレン及びプロピレンのホモポリマーが挙げられる。ポリオレフィンインターポリマーの例には、エチレン/α-オレフィンインターポリマー及びプロピレン/α-オレフィンインターポリマーが挙げられる。かかる実施形態において、α-オレフィンは、C3-20直鎖、分岐、または環状α-オレフィンであり得る(プロピレン/α-オレフィンインターポリマーについては、エチレンがα-オレフィンとして考慮される)。C3-20α-オレフィンの例には、プロペン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、及び1-オクタデセンが含まれる。α-オレフィンはまた、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどの環状構造を含有し得、3-シクロヘキシル-1-プロペン(アリルシクロヘキサン)及びビニルシクロヘキサンなどのα-オレフィンをもたらす。例示のポリオレフィンコポリマーには、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1-ヘキセン、エチレン/1-オクテンなどが含まれる。例示のターポリマーには、エチレン/プロピレン/1-オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、及びエチレン/ブテン/1-オクテンが含まれる。一実施形態において、ポリオレフィンエラストマーは、エチレン/オクテンコポリマーである。加えて、コポリマーはランダムまたは塊状であり得る。
【0012】
ポリオレフィンエラストマーはまた、不飽和エステルもしくは酸またはシランなど1つ以上の官能基を含み得、これらのエラストマー(ポリオレフィン)は周知であり、従来の高圧技術によって調製され得る。不飽和エステルは、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、またはカルボン酸ビニルであり得る。アルキル基は、1~8個の炭素原子を有し得、好ましくは、1~4個の炭素原子を有する。カルボン酸塩基は、2~8個の炭素原子を有し得、好ましくは、2~5個の炭素原子を有する。エステルコモノマーに起因するコポリマーの部分は、コポリマーの重量に基づいて、1~50重量パーセント未満の範囲であり得る。アクリル酸塩及びメタクリル酸塩の例には、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ブチル、及びアクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。カルボン酸ビニルの例には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、及びブタン酸ビニルが挙げられる。不飽和酸の例には、アクリル酸またはマレイン酸が含まれる。不飽和シランの一例は、ビニルトリアルコキシシランである。
【0013】
官能基はまた、当該技術において一般的に既知であるように達成され得るグラフト化によってポリオレフィンエラストマーに含まれ得る。一実施形態において、グラフト化は、典型的には、ポリオレフィンエラストマー、フリーラジカル開始剤(過酸化物など)、及び官能基を含有する化合物を溶融混合することを含むフリーラジカル官能基化によって行われてもよい。溶融混合中、フリーラジカル開始剤は、ポリオレフィンエラストマーと反応(反応性溶融混合)してポリマーラジカルを形成する。官能基を含有する化合物は、ポリマーラジカルの主鎖に結合して官能化ポリマーを形成する。官能基を含有する例示的な化合物には、限定はされないが、アルコキシシラン(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン)及びカルボン酸ビニル、ならびに無水物(例えば、マレイン酸無水物)が含まれる。
【0014】
本明細書において有用なオレフィンエラストマーの市販例には、超低密度ポリエチレン(「VLDPE」)(例えば、The Dow Chemical Company製のFLEXOMER(商標)エチレン/1-ヘキセンポリエチレン)、均一に分岐した、直鎖エチレン/α-オレフィンコポリマー(例えば、Mitsui Petrochemicals Company Limited製のTAFMER(商標)及びExxon Chemical Company製のEXACT(商標))、ならびに均一に分岐した、実質的に直鎖のエチレン/α-オレフィンコポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能なAFFINITY(商標)及びENGAGE(商標)ポリエチレン)が含まれる。種々の実施形態において、ポリオレフィンエラストマーは、均一に分岐した、直鎖及び実質的に直鎖のエチレンコポリマーである。実質的に直鎖のエチレンコポリマーが特に好ましく、米国特許第5,272,236号、同第5,278,272号、及び同第5,986,028号においてさらに詳細に記載される。
【0015】
また本明細書において有用なポリオレフィンエラストマーには、プロピレン系、ブテン系、及び他のアルケン系コポリマーが含まれる。かかるコポリマーは、アルケン(例えば、プロピレン)由来の大多数の単位(すなわち、50重量パーセント(「重量%」)超)、及び別のα-オレフィン(エチレン含む)由来の少数の単位を含む。一実施形態において、ポリオレフィンエラストマーは、プロピレン系コポリマーを含む。別の実施形態において、ポリオレフィンエラストマーは、プロピレン-エチレンコポリマーを含む。本明細書において有用な例示的なプロピレン系コポリマーには、The Dow Chemical Companyから入手可能なVERSIFY(商標)ポリマー、及びExxonMobil Chemical Companyから入手可能なVISTAMAXX(商標)ポリマーが含まれる。
【0016】
またオレフィンエラストマーは、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(「EPDM」)エラストマー及び塩素化ポリエチレン(「CPE」)を含み得る。好適なEPDMの市販例には、The Dow Chemical Companyから入手可能なNORDEL(商標)EPDMが含まれる。好適なCPEの市販例には、The Dow Chemical Companyから入手可能なTYRIN(商標)CPEが含まれる。
【0017】
1つ以上の実施形態において、ポリオレフィンエラストマーは、エチレン系ポリオレフィンエラストマー、プロピレン系ポリオレフィンエラストマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。かかる実施形態において、エチレン系ポリオレフィンエラストマーは、エチレン系ポリオレフィンエラストマーの総重量に基づいて、50重量%超または60重量%超のエチレン含有量を有することができ、残りは1つ以上のアルファ-オレフィンモノマーからなる。加えて、エチレン系ポリオレフィンエラストマーは、エチレン系ポリオレフィンエラストマーの総重量に基づいて、50~90重量%または60~75重量%に及ぶエチレン含有量を有することができ、残りは1つ以上のアルファ-オレフィンモノマーからなし得る。種々の実施形態において、アルファ-オレフィンモノマーはオクテンである。
【0018】
さらに、ポリオレフィンエラストマーは、プロピレン系である場合、プロピレン系ポリオレフィンエラストマーの総重量に基づいて、50重量%超、70重量%超、または90重量%超のプロピレン含有量を有することができ、残りは1つ以上のアルファ-オレフィンモノマー(エチレン含む)からなる。加えて、プロピレン系ポリオレフィンエラストマーは、プロピレン系ポリオレフィンエラストマーの総重量に基づいて、50~99重量%超、70~98重量%、または90~97重量%に及ぶプロピレン含有量を有することができ、残りは1つ以上のアルファ-オレフィンモノマー(エチレン含む)からなる。種々の実施形態において、ポリオレフィンエラストマーがプロピレン系である場合、アルファ-オレフィンコモノマーはエチレンである。
【0019】
1つ以上の実施形態において、本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、0.01~50重量%未満、0.5~40重量%、または10~30重量%の範囲の結晶化度を有し得る。他の実施形態において、ポリオレフィンエラストマーは、10~50重量%未満、10~40重量%、または20~30重量%の範囲の結晶化度を有し得る。ポリオレフィンエラストマーの結晶化度は、下の試験方法の項に記載の方法によって測定される。
【0020】
本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、50,000センチポアズ(「cps」もしくは「cP」)以下、または1,000~50,000cps、2,000~40,000cps、もしくは2,500~30,000cpsの範囲の絶対粘度を有し得る。ポリオレフィンエラストマーの溶融粘度は、下の試験方法に提供される手順に従って、SC-31ホットメルトスピンドルを備えたBrookfieldの粘度計を用いて350°F(177℃)で決定される。
【0021】
本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、2,000g/mol超、少なくとも4,000g/mol、または少なくとも5,000g/molの数平均分子量(「Mn」)を有し得る。加えて、ポリオレフィンエラストマーは、2,000~50,000g/mol、4,000~40,000g/mol、5,000~30,000g/mol、7,000~20,000g/mol、または7,000~15,000g/molの範囲のMnを有し得る。Mnは、下の試験方法の項に記載のゲル浸透クロマトグラフィ法に従って決定される。
【0022】
本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、1,000~100,000g/mol、5,000~50,000g/mol、または8,000~30,000g/molに及ぶ重量平均分子量(「Mw」)を有し得る。Mwは、下の試験方法の項に記載のゲル浸透クロマトグラフィ法に従って決定される。
【0023】
本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、0.2~20、0.5~10、または1~5に及ぶ多分散指数(「PDI」もしくは「Mw/Mn」)を有し得る。PDIは、下の試験方法の項に記載のゲル浸透クロマトグラフィ法に従って決定される。
【0024】
本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、0.91g/cm未満、または0.90g/cm未満の密度を有し得る。加えて、ポリオレフィンエラストマーは、少なくとも0.85g/cm、または少なくとも0.86g/cmの密度を有し得る。密度は、ASTM D792に従って決定される。
【0025】
本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃、または少なくとも100℃の融点を有し得る。好適なポリオレフィンエラストマーの融点は、120℃程度であり得る。融点は、下の試験方法の項に記載の方法に従って決定される。
【0026】
本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、0.1~2.0、0.5~1.5、または0.7~1.0の範囲のB値を有し得る。B値は、下の試験方法の項に記載の方法に従って決定される。
【0027】
本明細書での使用に好適なポリオレフィンエラストマーは、40~100℃、または50~80℃の範囲の結晶化温度(「Tc」)を有し得る。結晶化温度は、下の試験方法の項に記載の方法に従って決定される。
【0028】
好適なエチレン系ポリオレフィンエラストマーの具体的な例は、8,200cpsの粘度、及び0.889g/cmの密度を有するエチレン/オクテンコポリマーである。好適なプロピレン系ポリオレフィンエラストマーの具体的な例は、2,741cpsの粘度、及び0.884g/cmの密度を有するプロピレン/エチレンコポリマーである。市販で入手可能なプロピレン/エチレンポリオレフィンエラストマーの一例には、米国ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyより入手可能なAFFINITY(商標)GA1875が挙げられる。
【0029】
オレフィン系流体
上記のように、本明細書に記載のフラッディングコンパウンドは分岐オレフィン系流体を含む。本明細書において使用されるとき、用語「オレフィン系流体」は、オレフィン系モノマー(例えば、エチレン、プロピレン、及び他のアルファ-オレフィンモノマー)から調製された流体を意味し、22℃かつ1気圧で液体である。
【0030】
種々の実施形態において、分岐オレフィン系流体は、エチレン系、またはエチレン系及びプロピレン系のオレフィン系流体であり得、これらのうちのいずれかは、付加的に、1つ以上の追加のアルファ-オレフィンコモノマー(例えば、1-オクテン)を含有してもよい。本明細書において使用されるとき、オレフィン系流体に関する用語「系」は、エチレン系流体のエチレン由来の流体重量の85重量%超、ならびにエチレン系及びプロピレン系流体において組み合わせられたエチレン及びプロピレン由来の流体重量の85重量%超を有する流体を意味するものとする。本明細書での使用に好適な1つのエチレン系のオレフィン系流体が、2014年6月24日出願の「Hyperbranched Ethylene-Based Oils and Greases」と題する、同時係属の特許出願第PCT/US2014/043754号において詳細に説明されており、2013年6月28日出願の米国仮出願第61/840,622号の利益を主張する。これらの文献にはいくつかの好適な実施形態の詳細説明が含まれており、また参照によりその全体が本明細書に組み込まれるが、それらの調製には概して、出発モノマー(複数可)の反応が含まれ、そこからオリゴマーの混合物が形成される。本明細書において使用されるとき、用語「オリゴマー」は、モノマーまたはコモノマー単位の連続添加によって形成される分子であり、50単位以下の平均分子サイズを有する。その平均サイズは、オリゴマー分子の総数で割った、組み込まれたコモノマー単位の総数として計算される。あるいは、分子サイズの別の表示は、1分子当たりの炭素の平均数であり、分子の総数で割った全炭素カウントである。
【0031】
出発モノマーは、エチレン単独、またはエチレン及びプロピレンであってもよく、これらのうちのいずれかは、任意選択で、ある割合のアルファ-オレフィンコモノマー(例えば、1-オクテン)をさらに含んでもよい。アルファ-オレフィンを含める場合、出発モノマーは、3~12個の炭素を有する直鎖アルファ-オレフィン、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、及びこれらの組み合わせから選択されてもよい。3~8個の炭素を有するより小さな直鎖アルファ-オレフィンは、それらが最終生成物オリゴマーのより高い分岐密度を可能にするため、好ましい。分岐アルファ-オレフィンは、プロセス供給でも用いてもよく、非限定的な実施形態では、第1の置換炭素がビニルに関して「3」以上の位置にある、5~16個の炭素を有する単分岐及び多分岐アルファ-オレフィンモノマー、ならびにこれらの組み合わせを含んでもよい。一般的に、第1の置換は「4」以上の位置であることが好ましい。一実施形態において、アルファ-オレフィンコモノマーが、エチレン系、またはエチレン系及びプロピレン系の分岐オレフィン系流体のいずれかで用いられる場合、アルファ-オレフィンは1-オクテンである。
【0032】
1つ以上の実施形態において、分岐オレフィン系流体は、出発モノマーのみとしてエチレンから調製された分岐オレフィン系流体、出発モノマーのみとしてエチレン及びプロピレンから調製された分岐オレフィン系流体、出発モノマーのみとしてエチレン及び1-オクテンから調製された分岐オレフィン系流体、ならびにこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0033】
分岐オレフィン系流体を調製する際、エチレン/アルファ-オレフィン反応性比は任意の触媒について異なり、反応温度で変化することが予想されることに留意されたい。いずれの所与の触媒についても、エチレン-オレフィン反応性比(r)は、低変換でコオリゴマー化を行い、選択されたモノマー組成物(f)から得られたオリゴマー組成物(F)を観察することによって決定される。下の等式1は、Fと、fと、rとの間の関係であり、1回のオリゴマー化からrを見積もるか、または一連のオリゴマー化からrについてのより統計的に信頼できる値を得るために使用され得る。
(1-F)/F=r(1-f)/f (等式1)
オリゴマー組成物(F)のFTIRまたは13C NMR測定は、典型的には、反応性比決定のために使用され、13C NMRが好ましい。33~66%に及ぶアルファオレフィンモノマー分率(f)は、一般的に、反応性比決定のために使用され、50%の値が好ましい。エチレン-オレフィン反応性比を決定するための好ましい方法は、f=f=1/2であるように、アルカンなどの適合性溶媒に溶解された等モルレベルのオレフィン及びエチレンを含む。この混合物の低変換(<20%)へのコオリゴマー化後、得られたオリゴマー組成物(F)を等式1で使用して反応性比rを決定する。
【0034】
しかしながら、アルファ-オレフィンが用いられるか否かにかかわらず、分岐オレフィン系流体を調製するために選択される触媒は、最大20まで、好ましくは、1~20、より好ましくは、1~12、最も好ましくは、1~6のエチレン/オクテン反応性比を有し得る。エチレン/アルファ-オレフィン反応性比は、一般的に、通常、加工温度に従って変化するであろう一方、本明細書で設定される最大比が任意及びすべての加工温度に適用されることに留意されたい。エチレン/オクテン反応性比に基づいて反応性を決定することは、1-オクテンが任意選択のアルファ-オレフィンとして本発明の組成物に含まれるか否かにかかわらず適用されてもよいが、一般的に、プロピレンなどのより小さな分子は、1-オクテンなどのより大きな分子よりもより容易に組み込まれ、それゆえに、例えば、プロピレンとのエチレン/アルファ-オレフィン反応性比は、より低くなる傾向にあるであろう。選択されたコモノマー(複数可)にかかわらず、反応性比を決定することが目標のオリゴマー組成物を獲得するために求められるであろう。単純なランダム共重合モデルは、アルファ-オレフィンモノマーのモル分率(f)をコポリマー中のアルファ-オレフィンのモル分率(F)に関連付け、式中、rは、上の等式1に基づくエチレン反応性対アルファ-オレフィン反応性の比であり、r=エチレン反応性/アルファ-オレフィン反応性であり、F=生成物オリゴマー中のモル分率アルファ-オレフィンであり、f=モル分率アルファ-オレフィンモノマーである。したがって、所与の触媒について、及び最小限の実験で、当業者は所望のアルファ-オレフィンポリマー含有量(F)を獲得するために必要なアルファ-オレフィンモノマー分率(f)を容易に決定することができるであろう。かかる所望のアルファ-オレフィンコモノマー含有量は、限定はされないが、特にプロピレンの場合、一般的に、30モル%~70モル%、より好ましくは、40モル%~60モル%が好ましく、残部は望ましくはエチレンである。
【0035】
好適な分岐オレフィン系流体を調製する際、選択された1つまたは複数の出発モノマーを好適な配位挿入触媒と接触される。「配位挿入」は、触媒が不飽和モノマーを連続的に挿入することができ、その結果、モノマー及びオリゴマーの以前の不飽和炭素が新しいオリゴマーの主鎖になることを意味する。この触媒は、一実施形態において、多種多様な金属リガンド錯体から選択されてもよい。触媒性能がプロセス温度で変化し、また反応混合物組成及び変換でも変化し得ることに当業者は気付くであろう。好ましい触媒は、触媒金属1グラム当たり100,000グラムのオリゴマー(g/g cat)の活性レベルを示す触媒である。所望の分子量の生成物オリゴマーをもたらす連鎖停止速度(chain termination rate)を生み出すことができる触媒も好ましい。
【0036】
好適な配位挿入触媒の例には、一般的に、ある特定の非限定的な実施形態において、ジルコニウム、ハフニウム、またはチタン、好ましくは、ジルコニウムまたはハフニウムのうちの任意の金属を含む金属リガンド錯体が含まれてもよい。これらの触媒には、ある特定の制約された構造の触媒を含むある特定のメタロセン触媒、及びビス-フェニルフェノキシ触媒があり得るが、選択された触媒が上で定義されるエチレン/オクテン反応性比及び速度論的連鎖長要求を満たすことを条件とする。
【0037】
本明細書において有用なメタロセン化合物は、チタン、ジルコニウム、及びハフニウムのシクロペンタジエニル誘導体である。これらのメタロセン(例えば、チタノセン、ジルコノセン、及びハフノセン)は、以下の式のうちの1つによって表すことができ、
【0038】
【化1】
【0039】
式中、Mは金属中心であり、群4の金属、好ましくは、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムであり、
Tは任意選択の架橋基であり、存在する場合、好ましい実施形態では、ジアルキルシリル、ジアリールシリル、ジアルキルメチル、エチルエニル(-CH-CH-)、またはヒドロカルビルエチレニルから選択され、エチルエニルの水素原子のうちの1、2、3、または4個がヒドロカルビルにより置換され、式中、ヒドロカルビルは独立して、C~C16アルキル、またはフェニル、トリル、キシリルなどであり得、Tが存在する場合、表される触媒はラセミ形またはメソ形であり得、
及びLは、各々がMに結合される、任意選択で置換される、同じまたは異なるシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、もしくはフルオレニル環であるか、またはL及びLは、同じまたは異なるシクロペンタジエニル、インデニル、テトラヒドロインデニル、もしくはフルオレニルであり、これらの環は、任意選択で、1つ以上のR基で置換され、任意の2つの隣接するR基は、接合されて置換もしくは非置換、飽和、部分不飽和、または芳香環もしくは多環置換基を形成し、
Zは、窒素、酸素、またはリンであり、
R’は、環、直鎖、もしくは分岐C~C40アルキル、または置換アルキル基であり、
及びXは独立して、水素、ハロゲン、水素ラジカル、ヒドロカルビルラジカル、置換ヒドロカルビルラジカル、ハロカルビルラジカル、置換ハロカルビルラジカル、シリルカルビルラジカル、置換シリルカルビルラジカル、ゲルミルカルビルラジカル、もしくは置換ゲルミルカルビルラジカルであるか、あるいは両方のXは接合され、金属原子に結合されて約3~約20個の炭素原子を含有するメタラサイクル環を形成するか、または両方が一緒にオレフィン、ジオレフィン、もしくはアラインリガンドを形成する。
【0040】
本発明において使用され得るメタロセン化合物のうち、立体剛性、キラルもしくは不斉、架橋もしくは非架橋、またはいわゆる「制約された構造」のメタロセンが存在する。単に非限定的な例を目的として、また触媒調製のための方法のさらなる説明及び解明のために、米国特許第4,892,851号、米国特許第5,017,714号、米国特許第5,132,281号、米国特許第5,155,080号、米国特許第5,296,434号、米国特許第5,278,264号、米国特許第5,318,935号、米国特許第5,969,070号、米国特許第6,376,409号、米国特許第6,380,120号、米国特許第6,376,412号、WO-A-(PCT/US92/10066)、WO99/07788、WO-A-93/19103、WO01/48034、EP-A2-0 577 581、EP-Al-0 578 838、WO99/29743、ならびに学術文献、例えば、“The Influence of Aromatic Substituents on the Polymerization Behavior of Bridged Zirconocene Catalysts”,Spaleck,W.,et al.,Organometallics,1994,Vol.13,pp.954-963、“ansa-Zirconocene Polymerization Catalysts with Annelated Ring Ligands-Effects on Catalytic Activity and Polymer Chain Lengths”,Brintzinger,H.,et al.,Organometallics 1994,Vol.13,pp.964-970、“Constrained Geometry Complexes-Synthesis and Applications”,Braunschweig,H.,et al.,Coordination Chemistry Reviews,2006,250,2691-2720、及びこれらの中で参照される文献も参照されたく、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
種々の実施形態において、選択される触媒は、式IIIの化合物であり得、
【0042】
【化2】
【0043】
式中、Mは、チタン、ジルコニウム、またはハフニウムであり、各々は独立して、+2、+3、または+4の正式な酸化状態であり、nは、0~3の整数であり、nが0である場合、Xは不在であり、各Xは独立して、中性、モノアニオン性、もしくはジアニオン性である単座リガンドであるか、または2つのXは一緒になって、中性、モノアニオン性、もしくはジアニオン性である二座リガンドを形成し、X及びnは、式(III)の金属リガンド錯体が全体として中性になるように選択され、各Zは独立して、O、S、N(C-C40)ヒドロカルビル、またはP(C-C40)ヒドロカルビルであり、Lは、(C-C40)ヒドロカルビレンまたは(C-C40)ヘテロヒドロカルビレンであり、(C-C40)ヒドロカルビレンは、式(III)でZ原子を連結する2-炭素原子~5-原子のリンカー主鎖を含む部分を有し、(C-C40)ヘテロヒドロカルビレンは、式(III)でZ原子を連結する2-原子~5-原子のリンカー主鎖を含む部分を有し、(C-C40)ヘテロヒドロカルビレンの2-原子~5-原子のリンカーの各原子は独立して、炭素原子またはヘテロ原子であり、各ヘテロ原子は独立して、O、S、S(O)、S(O)、Si(R、Ge(R、P(R)、またはN(R)であり、独立して各Rは、非置換(C-C18)ヒドロカルビルであるか、または2つのRは一緒になって、(C-C19)アルキレンを形成し、各Rは、非置換(C-C18)ヒドロカルビルであり、各Rは、非置換(C-C18)ヒドロカルビル、水素原子、または不在であり、R1a、R2a、R1b、及びR2bは独立して、水素、(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、N(R、NO、OR、SR、Si(R、Ge(R、CN、CF、FCO、またはハロゲン原子であり、R1a、R2a、R1b、及びR2bのうちのその他の各々は独立して、水素、(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、N(R、NO、OR、SR、Si(R、CN、CF、FCO、またはハロゲン原子であり、R3a、R4a、R3b、R4b、R6c、R7c、R8c、R6d、R7d、及びR8dの各々は独立して、水素原子、(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、Si(R、Ge(R、P(R、N(R、OR、SR、NO、CN、CF、RCS(O)-、RCS(O)-、(RC)C=N-、RCC(O)O-、RCOC(O)-、RCC(O)N(R)-、(RC)2NC(O)-、またはハロゲン原子であり、R5c及びR5dの各々は独立して、(C-C40)アリールまたは(C-C40)ヘテロアリールであり、上述のアリール、ヘテロアリール、ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビル、ヒドロカルビレン、及びヘテロヒドロカルビレン基の各々は独立して、非置換またはさらに1~5個の置換基Rで置換され、各Rは独立して、ハロゲン原子、ポリフルオロ置換、ペルフルオロ置換、非置換(C-C18)アルキル、FC-、FCHO-、FHCO-、FCO-、RSi-、RGe-、RO-、RS-、RS(O)-、RS(O)-、RP-、RN-、RC=N-、NC-、RC(O)O-、ROC(O)-、RC(O)N(R)-、もしくはRNC(O)-であるか、またはRのうちの2つは一緒になって、非置換(C-C18)アルキレンを形成し、各Rは独立して、非置換(C-C18)アルキルである。
【0044】
より具体的な実施形態では、触媒は、式IV~Xにより表される化合物から選択されてもよい。
【0045】
【化3】
【0046】
【化4】
【0047】
【化5】
【0048】
【化6】
【0049】
【化7】
【0050】
【化8】
【0051】
【化9】
【0052】
これらのビス-フェニルフェノキシ化合物の調製は、当業者には既知または想定内の任意の手段によってもよいが、一般的には、例えば、2011年12月29日出願の米国仮特許出願第61/581,418号に対する優先権を主張する2012年11月28日出願の米国特許第PCT/US2012/0667700号、及び2011年3月25日出願の米国仮特許出願第61/487,627号に対する優先権を主張する2011年5月11日出願の米国特許出願第13/105,018号、公開第2011/0282018号で開示されるような方法を含む。同様及び類似のプロセスが所与の定義内に分類される他の有用なビス-フェニルフェノキシ化合物を調製するために使用されてもよいことを当業者は認識するであろう。
【0053】
分岐オレフィン系油を調製するプロセスを実行する際、モノマー(複数可)と配位挿入触媒との間の接触が連続供給逆混合反応器区域で起こることが望ましい。本明細書で使用されるとき、「逆混合反応器区域」は、反応生成物が未変換の反応器供給物と混合される環境を指す。連続撹拌タンク反応器がこの目的のために好ましいが、プラグ流反応器が逆混合を回避するように特別に設計されることに留意されたい。しかしながら、ループ反応器は、反応器流出物の一部をプラグ流区域の供給物へ再生利用することによって逆混合の可変度を達成し得、再生率は逆混合の度合いを加減する。したがって、プラグ流反応器は好ましくなく、プラグ流区域を有するループ反応器が好ましい。本発明のプロセスにおいて、逆混合は、既に生成したオリゴマーと新しい供給ストック、例えば、エチレンとの反応を確実にする。分岐のレベルが反応器内のプロピレンの濃度によって制御され得るため、コモノマーとしてのプロピレンの一般的な使用には、典型的には、等量分岐を達成するためにより少ない逆混合が求められるが、オリゴマーが繰り返されるオレフィン挿入により分岐することを可能にするのがこの連続的接触である。
【0054】
接触が連続供給逆混合反応器区域で起こる条件には、0~250℃、25~200℃、もしくは50~180℃に及ぶ温度、1平方インチ当たり(「psi」)15ポンド、103キロパスカル(「kPa」)~500psi(3450kPa)、30psi(207kPa)~300psi(2070kPa)、もしくは50psi(345kPa)~200psi(1380kPa)に及ぶエチレン分圧、及び1分(min)~120分、5分~60分、もしくは10分~30分に及ぶ滞留時間が含まれ得る。反応器システムは、多くの低滞留時間反応区域または少数の高滞留時間反応区域から構成され得る。それにもかかわらず、パラメータの変更が、利便性、収率の変更、望ましくない副生成物または分解の回避などのために用いられ得ることを当業者は容易に理解するであろう。
【0055】
本プロセスの結果は、分岐オリゴマー及び有機揮発性生成物と言及される、少なくとも2つの生成物の生成である。用語「分岐オリゴマー」は、その生成順序または相対的割合にかかわらず、所望または目標の分岐オレフィン系流体を指す。かかる材料は、集合的に、「有用流体」として本明細書において言及される。用語「分岐」は、オリゴマー分子が、メチン炭素を通じて共に接合し、平均で1分子当たり少なくとも1.5個のメチン炭素を有する直鎖セグメントのランダム分布を含むことを意味する。エチレンが唯一の出発モノマーとして用いられる実施形態では、分岐オレフィン系流体は超分岐である得る。用語「超分岐」は、メチン炭素が分子中にランダムに局在し、主要なポリマー主鎖に単離されないことを意味する。
【0056】
メチン炭素の13C NMR測定は、全体的な分岐レベルを決定するために使用され得る。配位挿入の性質ゆえ、供給ストック及び逆混合生成物と触媒との連続接触は、真の完全な重合、または過剰なレベルの分岐を最終的にもたらし、これによって優勢な量の分岐生成物を含有し得る材料を形成することが予想されるであろうことに留意されたい。したがって、反応条件、とりわけ、時間、温度、及び圧力は、望ましくは、所望の分岐オリゴマーを生成するように制御される。最終分岐オリゴマーは、メチン炭素の少なくとも40パーセントがエチレン由来であること、及び1分子当たりの炭素の平均数が25~200個であること、すなわち、所望のオリゴマー分率の分子量が、好ましくは、350~2800であることをさらに特徴とし得る。特定の実施形態において、分岐オレフィン系流体は、千個の総炭素当たり少なくとも40個、少なくとも55個、または少なくとも70個のメチン炭素を有し得る。この分岐レベルは、添加されたアルファ-オレフィンの組み込み、及びin situ生成オレフィンの組み込みの両方により影響される。この分率は、便宜的に、「重い」生成物と言及されてもよい。
【0057】
有機揮発性生成物は、1つ以上のいわゆる「軽い」オリゴマー、すなわち、10重量%以下、好ましくは、5重量%以下が分岐生成物に留まるように、脱揮発を介して除去可能である、C14以上のオリゴマーを含む。
【0058】
本フラッディングコンパウンドはそれ自体が分岐オレフィン系流体を利用するため、分岐オレフィン系流体と有機揮発性生成物とを互いに分離するように生成混合物を液化させ、これによって分岐オレフィン系流体を回収することが望ましい。この脱揮発は、非限定的な実施形態では、押出反応器及び/またはニーダ反応器の使用を含む任意の従来の脱揮発手段及び方法、ならびに例えば、直接分離、主要な蒸発(main evaporation)、バルク蒸発、蒸気揮散、及び/または直接脱揮発を含む方法を使用して行われてもよい。一般的に、より厳しい脱揮発条件は、有機揮発性生成物のより多くの割合を除去し、これは、一般的に、分岐オレフィン系流体の燃焼点を上昇させ、流動点を低下させる傾向にあるであろう。種々の実施形態では、分岐流体は、その後、生成物の酸化安定性を増大させ、流動点を低下させるために水素化され得る。
【0059】
本明細書において有用な分岐オレフィン系流体を調製する際に起こる機構は、分子主鎖がモノマー単位中の不飽和炭素に由来する炭素から形成されるように、モノマーが有機金属中心を通じて成長分子に添加される、配位挿入であることに留意することが重要である。したがって、エチレンのみの配位挿入オリゴマー化は、ほとんど排他的に偶数個の炭素を有する分岐を生成し、エチレン及び奇数個の炭素(N)を有するオレフィンを含む配位挿入コオリゴマー化は、奇数個の炭素(N-2)を有する分岐をもたらすであろう。これは、奇数及び偶数個の炭素、両方のランダム分布を有する分岐を生成する「チェーンウォーキング」とは区別される。これらを13C NMRによっていかに区別するかを、さらなる指示なしに、当業者は理解するであろう。
【0060】
配位挿入機構から得られたメチン分岐炭素を有する比較的高い重量パーセントの生成物は、分子の大部分が形態的により小さく、それでも同じ分子量を有し、これが粘度の減少をもたらすことを確実にするように機能することが本明細書においてさらに示唆される。当業者には周知であるように、13C NMRスペクトルは、以下の量を決定するために分析され得る。
●千個の総炭素当たりのメチン炭素の数
●千個の総炭素当たりのメチル炭素の数
●千個の総炭素当たりのビニル基の数
●千個の総炭素当たりのビニリデン基の数
●千個の総炭素当たりのビニレン基の数
【0061】
13C NMRスペクトルの分析で得られた結果に基づいて、1分子当たりの炭素の平均数(Cn)は、各追加のメチン炭素、ビニリデン基、及びビニレン基が追加のメチル炭素鎖末端をもたらすという観察に基づく、以下の等式を使用して決定され得る。
1000/Cn=メチル炭素-メチン炭素-ビニリデン基-ビニレン基 (等式2)
あるいは、1分子当たりの炭素の平均数(Cn)は、各オリゴマー分子が鎖末端時に起こる単一の不飽和を有する場合について決定され得る。排他的な末端不飽和は、オリゴマー化及び重合が水素または金属アルキルなどの添加された連鎖移動剤の存在を伴わずに起こる場合が普通である。
1000/Cn=ビニル基+ビニリデン基+ビニレン基 (等式3)
1分子当たりの炭素の平均数(Cn)の代替の決定は、2つの前の方法を単純に平均化することによって達成され得る。この方法の利点は、ビニリデン及びビニレン基レベルをもはや使用せず、ビニルが存在しない場合でさえも正確なCnを所与することである。
1000/Cn=(メチル炭素-メチン炭素+ビニル基)/2 (等式4)
千(1,000)個の炭素原子当たりの分岐数(Bc)について、分岐の平均レベルの決定は、千個の総炭素当たりのメチン炭素カウントと等しい。
Bc=メチン炭素 (等式5)
1オリゴマー分子当たりの分岐数(Bn)について、分岐の数平均度数は、BcとCnとを掛け、千個の炭素に基づいて分解することによって決定され得る。
Bn=Bc*Cn/1000 (等式6)
ビニル基を有するオリゴマーのモル分率(Fv)の決定は、以下のようになされる。
Fv=(ビニル基)*Cn/1000 (等式7)
各分子が単一の不飽和を有する場合について、Fvは以下のようになる。
Fv=(ビニル基)/(ビニル基+ビニリデン基+ビニレン基) (等式8)
【0062】
添加されたアルファ-オレフィンモノマーに由来するのではなく、エチレン供給物に由来するメチン炭素のモル分率を決定するために、物質収支計算が行われ得る。当業者は、プロセス変数を考慮に入れて、適切な文脈で、これを容易に行うことができるであろう。しかしながら、添加されたアルファ-オレフィンモノマーのいくつかの場合について、この量を測定するか、または控えめに見積もることが代替的に可能である。(プロピレンのより大きな割合については、本明細書の上の等式4を用いることがより便利であるかもしれない。)例えば、
(a)添加されたプロピレンモノマーは、オリゴマー主鎖に組み込まれる場合、メチル分岐をもたらすであろう。熟練した実施者は、13C NMRスペクトルデータを使用して、炭素千個当たりのメチル分岐レベルを計算することができる。各メチル分岐には、エチレン及び/またはプロピレンに由来しないメチン炭素が付随すると予想される。したがって、エチレン及び/またはプロピレンに由来するメチン炭素の分率の計算は、以下のように所与される。
(b)エチレン由来のメチンの分率=
(メチン炭素-メチル分岐)/(メチン炭素) (等式9)
(c)添加されたヘキセンモノマーは、オリゴマー主鎖に組み込まれる場合、n-ブチル分岐をもたらすであろう。熟練した実施者は、13C NMRスペクトルデータを使用して、炭素千個当たりのn-ブチル分岐レベルを計算することができる。しかしながら、いくつかのn-ブチル分岐は、鎖末端及びエチレン由来分岐の両方として、添加されたヘキセンの不在下で起こることが予想される。それにもかかわらず、すべてのn-ブチル分岐を、添加されたヘキセン組み込み結果に帰属させることは、以下のようにエチレン由来のメチン炭素の控えめな見積もりである。
エチレン由来のメチンの分率=
(メチン炭素-n-ブチル分岐)/(メチン炭素) (等式10)
【0063】
エチレン由来のメチン分率の最も確定的な決定は、オリゴマー化プロセスに関する物質収支データを使用してなされる。物質収支データは、半バッチプロセスの累積値または完全連続プロセスの速度値であり得る、添加されたモノマーの正味のモル消費を示すであろう。また物質収支は、半バッチプロセスの累積値または完全連続プロセスの速度値であり得る、オリゴマーとしての炭素の総モル数を示すであろう。
【0064】
炭素千個当たりの正味の添加されたモノマー=
1000*(正味の添加されたモノマーモル)/(オリゴマーとしての炭素の総モル数) (等式11)
次いで、エチレン由来のメチンの分率が、13C NMRデータのみを使用する方法と同じ様式で計算される。
エチレン由来のメチンの分率=
(メチン炭素-炭素千個当たりの正味の添加されたモノマー)/(メチン炭素) (等式12)
【0065】
本発明のプロセスによって生成される分岐オリゴマーの数平均分子量(Mn)は、望ましくは、350Da~2800Da、より望ましくは、350Da~1000Da、最も望ましくは、350Da~700Daに及ぶ。これは、ゲル浸透クロマトグラフィ及びガスクロマトグラフィを含む、当業者には既知の標準方法を使用して決定され得る。さらに、13C NMR技術を使用したオリゴマーのMnの決定が可能であり、Mnが1分子当たりの炭素の平均数(Cn)の約14倍であるという事実を考慮に入れる。13C NMRデータをMnに関連付けるために使用される正確な方法は、分岐及び/または多不飽和モノマーの供給などのモノマー選択により影響される。それにもかかわらず、処方の変更がMnを測定する本13C NMR方法の修正をいかに必要とし得るかを、当業者は容易に理解するであろう。
【0066】
添加剤
フラッディングコンパウンドは、任意選択で、酸化防止剤、レオロジー改質剤(例えば、チキソトロープ剤)、安定剤(例えば、UV安定剤)、追加充填剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の添加剤を含み得る。
【0067】
酸化防止剤は、用いられる場合、フラッディングコンパウンドの総重量に基づいて、0.01~1重量%、または0.01~0.3重量%に及ぶ量など任意の従来の量で存在し得る。好適な酸化防止剤には、限定はされないが、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロケイヒ酸)]メタンなどのヒンダードフェノール;ビス[(β-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)メチルカルボキシエチル)]-硫化物、4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、ならびにチオジエチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)-ヒドロケイヒ酸;亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)及びジ-tert-ブチルフェニル-ホスホン酸などの亜リン酸及びホスホン酸;ジラウリルチオジプロピオン酸、ジミリステルチオジプロピオン酸、ならびにジステアリルチオジプロピオン酸などのチオ化合物;種々のシロキサン;重合された2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、n,n’-ビス(1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミン)、アルキル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(アルファ、アルファ-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、ジフェニル-p-フェニレンジアミン、混合ジ-アリール-p-フェニレンジアミン、ならびに他のヒンダードアミン劣化防止剤または安定剤が含まれる。
【0068】
チキソトロープ剤は、用いられる場合、フラッディングコンパウンドの総重量に基づいて、0~5重量%超に及ぶ量など任意の従来の量で存在し得る。好適なチキソトロープ剤の一例には、限定はされないが、ヒュームドシリカが含まれる。好適な市販のチキソトロープ剤には、限定はされないが、Evonik Corp製のAEROSIL(商標)製品が含まれる。BYK Industries及びKusumoto Chemicalsも好適な市販のチキソトロープ剤を供給している。
【0069】
種々の実施形態において、フラッディングコンパウンドは、チキソトロープ剤を含まないか、または実質的に含まなくてもよい。本明細書において使用されるとき、「実質的に含まない」は、フラッディングコンパウンドの総重量に基づいた百万分の10重量部未満の濃度を意味するものとする。
【0070】
種々の実施形態において、フラッディングコンパウンドは1つ以上の追加充填剤を含む。かかる充填剤には、限定はされないが、中空微粒子、鉱物無機化合物、高分子充填剤などが含まれる。用いられる場合、追加充填剤は、0~60重量%未満に及ぶ量など任意の従来の量で存在し得る。
【0071】
フラッディングコンパウンド
フラッディングコンパウンドは、当該技術において既知の単純な配合技術によって調製され得る。例えば、ポリマー充填剤、分岐オレフィン系流体、及びあらゆる任意選択の添加剤は、温度制御を伴う液体動作ミキサー(liquid operational mixer)で配合され得る。例えば、成分はバッチまたは連続ミキサーで配合され得る。好適なバッチミキサーには、限定はされないが、Banbury、Silverson、Dynamixタンクミキサー及びアジテーター、ならびにLittlefordバッチミキサーが含まれる。連続ミキサーには、二軸式及び一軸式押出機、Farrelミキサー、ならびにBuss co-kneadersが含まれる。
【0072】
上記のポリマー充填剤は、ポリマー充填剤と分岐オレフィン系流体との総重量に基づいて、10~80重量%、20~60重量%、または30~50重量%に及ぶ量でフラッディングコンパウンドに存在し得る。
【0073】
上記の分岐オレフィン系流体は、ポリマー充填剤と分岐オレフィン系流体との総重量に基づいて、20~90重量%、40~80重量%、または50~70重量%に及ぶ量でフラッディングコンパウンドに存在し得る。
【0074】
1つ以上の実施形態において、得られるフラッディングコンパウンドは、ASTM D3236に従って150℃で測定されるとき、20~400センチポアズ、50~400センチポアズ、100~400センチポアズ、または200~400センチポアズの範囲の見かけ粘度を有し得る。
【0075】
種々の実施形態において、フラッディングコンパウンドは、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、及び120℃までの滴点を有し得る。滴点は、ASTM D127に従って決定される。
【0076】
種々の実施形態において、フラッディングコンパウンドは、22℃で24時間エイジング処理した場合、0.1未満、0.05未満、または0.01未満の油分離を有し得る。油分離は、FTM 791に従って決定される。
【0077】
種々の実施形態において、フラッディングコンパウンドは、最大で、中程度の粘着性、より好ましくは低い粘着性を有し得る。具体的には、1つ以上の実施形態において、フラッディングコンパウンドは、少なくとも50g、少なくとも75g、少なくとも100g、少なくとも125g、または少なくとも150gの最小負荷重量(minimal loading weight)(「MLW」)を有し得る。MLWは、下の試験方法の項に記載の方法に従って決定される。
【0078】
光ファイバケーブル
種々の実施形態において、光ファイバケーブルが調製され、その光ファイバケーブルは、少なくとも1本の光ファイバ、複数のバッファチューブ、及び上記のフラッディングコンパウンドを備える。
【0079】
一般的なルーズバッファチューブ型光ファイバケーブルの断面図を図1に示す。この光ファイバケーブル1の設計では、バッファチューブ2は、チューブに対して軸方向の長さに沿って螺旋回転しながら、中心強度部材4の周囲に放射状に位置付けられる。螺旋回転は、チューブまたは光ファイバ6を著しく伸長することなく、ケーブルの屈曲を可能にする。
【0080】
少数のバッファチューブを必要とする場合、発泡充填剤ロッドが、ケーブル形状を維持するために1つ以上の空のバッファチューブの位置10を占有する低コストのスペーサーとして使用され得る。ケーブルジャケット14は、一般的に、ポリエチレン系材料から製造され得る。
【0081】
上記のフラッディングコンパウンドは、バッファチューブ2内で光ファイバ6の周囲の空所を充填するために使用され得る。加えて、フラッディングコンパウンドは、バッファチューブ2の周囲及びその間にあり、かつケーブルジャケット14内にある空所を充填するために使用され得る。フラッディングコンパウンドは、必要な垂設及び保護を光ファイバの周囲のすぐ近くの環境に提供し、空隙を排除することを含む。フラッディングコンパウンドはまた、光伝送性能に有害な水の浸透に対する障壁を提供する。
【0082】
多くの他のバッファチューブケーブルの設計が可能である。中心強度及び引張部材についてのサイズ及び構築材料、バッファチューブの寸法及び数、金属外装及び複数の層のジャケット材料の使用は、設計要素の一部である。フラッディングコンパウンドを組み込むかかる設計は、本開示の範囲内で企図される。
【0083】
上記のような光ファイバケーブルは、典型的には、一連の連続的な製造ステップで作製され得る。光伝送ファイバは、一般的に、初期ステップで製造される。ファイバは、機械的保護のためにポリマーコーティングを有し得る。これらのファイバは、括着もしくはリボンケーブル構成に組み立てられ得るか、またはケーブルの製造に直接組み込まれ得る。
【0084】
光保護構成要素は、押出製造プロセスを使用して製造され得る。典型的には、一軸式可塑化押出機が、圧力下で溶融し、混合したポリマーをワイヤ及びケーブルのクロスヘッド(cross-head)に吐出する。クロスヘッドは、溶融流れを押出機に対して垂直に変え、その流れを溶融構成要素に成形する。バッファ及びコアチューブについては、1本以上の光ファイバまたはファイバアセンブリ及びフラッディングコンパウンドが、クロスヘッドの背面に供給され、溶融チューブ内でクロスヘッドから出て、次いで、水トラフシステムで冷却され、固化される。この構成要素は、最終的には、巻き取りリール上で最終的な構成要素として回収される。
【0085】
2つ以上の材料層からなる構成要素を製造するために、典型的には、溶融組成物を多層クロスヘッドに供給する別個の可塑化押出機が存在し、そこで所望の多層構築物に成形される。
【0086】
スロット付きコア部材及び他の異形押出構成要素は、典型的には、適切な成形金型を組み込んだ同様の異形押出プロセスにおいて押出され、続いて、最終的なケーブルを製造するように光ファイバ構成要素と組み合わせられることになる。
【0087】
余分なファイバの長さを制御するために、張力システムを使用してファイバ構成要素をチューブ製造プロセスに供給する。加えて、構成要素の材料の選択、チューブの押出及びクロスヘッド機器、ならびにプロセス条件を最適化して、押出後の収縮が光ファイバ構成要素に過度な弛緩をもたらさない最終的な構成要素を提供する。
【0088】
押出された光保護構成要素は、次いで、中心構成要素、外装、ラップなどの他の構成要素と共に、最終的なケーブル構築物を生産するように1つ以上のステップにおいて連続的に加工される。これには、典型的には、構成要素が製造押出機/クロスヘッドによって組み立てられ、次いで、ポリマージャケットを適用するために使用されるケーブル配線ライン上でのプロセスが含まれる。
【0089】
試験方法
密度
密度は、ASTM D792に従って決定される。
【0090】
例1のフラッディングコンパウンドの計算密度については、密度が以下の式によって計算される。
密度=各構成要素のΣ重量パーセント密度
【0091】
溶融指標
溶融指標、つまりIは、ASTM D1238に従い、190℃/2.16kgの条件下で測定され、10分ごとに溶出されるグラム数で示される。I10は、ASTM D1238に従い、190℃/10kgの条件下で測定され、10分ごとに溶出されるグラム数で示される。
【0092】
示差走査熱量測定(結晶化度、融点、結晶化温度)
示差走査熱量測定(「DSC」)を、ポリマー(例えば、エチレン系(PE)ポリマー)の結晶化度を測定するために使用する。ポリマー試料の約5~8mgを秤量し、DSCパンに置く。密閉環境を確実にするために蓋をパン上に圧着する。試料パンをDSCセルに置き、次いで、PEについては180℃(ポリプロピレン、つまり「PP」については230℃)の温度まで、およそ10℃/分の速度で加熱する。この温度で試料を3分間維持する。次いで、試料を、PEについては-60℃(PPについては-40℃)まで10℃/分の速度で冷却し、その温度で等温的に3分間維持する。次に、試料を溶融完了まで10℃/分の速度で加熱する(第2の加熱)。パーセント結晶化度は、第2の加熱曲線から決定された融解熱(H)を、PEについては292J/g(PPについては165J/g)の理論上の融解熱で割ることによって、またこの量に100を掛けることによって計算される(例えば、(PEについては)%結晶化度=(H/292J/g)×100)。
【0093】
特に明記しない限り、各ポリマーの融点(複数可)(T)は、第2の加熱曲線(ピークTm)から決定され、結晶化温度(T)は、第1の冷却曲線(ピークTc)から決定される。
【0094】
滴点
滴点は、ASTM D127に従って決定される。
【0095】
粘度
フラッディングコンパウンドの見かけ粘度は、ASTM D3236に従い、150℃で決定される。動粘度は、流体密度で割った見かけ粘度を使用することで計算することができる。
【0096】
ポリマー成分(すなわち、ポリオレフィンエラストマー)の溶融粘度は、使い捨てのアルミニウム試料室において、Brookfield Laboratories DVII+粘度計を用いて以下の手順に従って決定される。使用スピンドルは、10~100,000センチポアズ(0.1~1,000グラム/(cm.秒))の範囲の粘度を測定するのに好適なSC-31ホットメルトスピンドルを使用する。切断ブレードを用いて、試料を、幅1インチ、長さ5インチ(幅2.5cm、長さ13cm)の試料室に嵌合するように十分小さい片に切断する。試料を室内に置き、室が順番にBrookfield Thermoselに挿入し、ベントニードルノーズプライヤによって適所で係止する。スピンドルを挿入し、スピン中に、室が回転しないことを確実にするために、試料室はBrookfield Thermoselの底部に嵌合する底部にノッチを有する。融解試料が試料室の頂部の下、約1インチ(2.5cm)になるまで追加試料を追加しながら、350°F(177℃)まで試料を加熱する。粘度計装置を降下し、スピンドルを試料室に浸漬する。この降下を粘度計のブラケットがThermosel上に整列するまで続ける。粘度計の電源をオンにし、トルクを30~60パーセントの範囲の度数にするせん断速度に設定する。度数は、約15分間、毎分測定するか、または値が安定するまで測定し、次いで、最終的な度数を記録する。
【0097】
分岐オレフィン系流体の粘度測定は、01スピンドルを伴うBROOKFIELD(商標)CAP2000+粘度計にて行われる。およそ70マイクロリットル(μL)の試料を、マイクロピペットにより、25℃で保持するプレートの中心に添加する。スピンドルを試料上に落とし、粘度測定が安定化するまで1分間当たり1000回転(rpm)で40秒間回転させる。器具を25℃で203センチポアズ(cP、0.203パスカル*秒、Pa*s)のCannon Instrumentsの粘度標準に較正する。高粘度試料については、スピン速度を300rpmまで、またはパーセントトルクが50%~75%に落ちるまで減少させる。
【0098】
B値
B値はB=POE/(2xP)で計算され、式中、Pはコポリマーのエチレン成分のモル分率であり、Pはα-オレフィン成分のモル分率であり、またPOEはすべてのダイアド連鎖のα-オレフィン-エチレン連鎖のモル分率であり、式中、終末成分を除く、各成分のモル分率は計算された値であり、B値はC-NMR(270MHz)のチャートに基づいて計算される。
【0099】
粘着性
米国特許第2,406,989号(「’989特許」)に教示されるような装置を使用して粘着性を決定する。具体的には、装置は、概して、「A」として示される基部または表面接触部分、及び「B」として示されるカウンタバランス部分(counter-balancing portion)の2つの部分を備える。これらの部分は、’989特許の図面に示されるように、基部「A」に対して所望の角度で配置される平坦なカウンタバランス部分「B」を形成するように曲げられた一体の比較的軽量の(しかし強固な)ストリップ「I」によって構成される。基部「A」の周囲は滑面によってアルミニウムシートをしっかりと包む。接着面の最上面については、基部「A」を30秒間Aの中央において負荷重量(2g~150g)で接着面に付着させ、次いで除去する。基部「A」がカウンタバランス部分「B」によって10秒未満のうちに表面から完全に引き離された場合、表面は不粘着性と考慮される。重量を変更することで、部分「A」を接触表面上で保持する最小負荷重量を「最小負荷重量(MLW)」として記録する。高いMLW値はより低い粘着性を示し、低いMLW値はより高い粘着性を示す。
【0100】
ゲル吸収
ジャケット材料((LDPE、MDPE、HDPE、またはポリプロピレン)の厚さ75ミルの圧縮成形試験片(~0.5×0.2インチ)を、60℃でフラッディングコンパウンドに浸漬した。10日後、ジャケット材料の表面を被覆しているフラッディングコンパウンドを拭き取り、エイジング処理前後の重量と比較することによってジャケット材料のプラークの増加重量を計算する。
【0101】
ゲル浸透クロマトグラフィ
試料調製及び試料注入のための自動送達支援(Robotic Assistant Deliver)(「RAD」)システムを装備した、高温ゲル浸透クロマトグラフィ(「GPC」)システムを用いる。濃度検出器は、Polymer Char Inc(スペインのバレンシア)のInfra-red検出器(IR4)である。データ収集は、Polymer Char DM100データ取得ボックスを使用して行う。担体溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼン(「TCB」)である。システムにはAgilentのオンライン溶媒脱気装置を装備する。カラムコンパートメントを150℃で操作する。カラムは、4つの混合A LS 30cmカラム、20ミクロンカラムである。溶媒は、およそ200ppmの2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(「BHT」)を含有する、窒素パージされたTCBである。流速は1.0mL/分であり、注入量は200μlである。2mg/mLの試料濃度は、窒素パージされ、穏やかな撹拌によって2.5時間160℃で事前加熱されたTCB(200ppmのBHT含有)で試料を溶解することによって調製する。
【0102】
GPCカラムセットは、20個の狭い分子量分布のポリスチレン(「PS」)標準液を流すことによって較正する。標準液の分子量(「MW」)は580~8,400,000g/molに及び、標準液は6つの「カクテル」混合物に含有される。標準液の混合物の各々は、個々の分子量間に少なくとも1桁の間隔を有する。各PS標準液の等価ポリプロピレン(「PP」)分子量は、示されたポリプロピレンのMark-Houwink係数(Th.G.Scholte,N.L.J.Meijerink,H.M.Schoffeleers、及びA.M.G.Brands,J.Appl.Polym.Sci.,29、3763-3782(1984))、ならびにポリスチレン(E.P.Otocka,R.J.Roe,N.Y.Hellman,P.M.Muglia、Macromolecules,4,507(1971))を伴う以下の式を使用することによって計算され、
【0103】
【数1】
【0104】
式中、MppはPP等価MWであり、MPSはPS等価MWであり、PP及びPSのMark-Houwink係数のログK及びa値を下に列挙する。
【0105】
[表]
【0106】
対数分子量較正は、溶出容量の関数として当てはめる4次多項式を使用して生成する。数平均及び重量平均分子量は以下の等式に従って計算され、
【0107】
【数2】
【0108】
式中、Wf及びMは、それぞれ溶出成分iの重量分率及び分子量である。
【0109】
材料
以下の材料を下の例で用いる。
【0110】
71.9重量%のエチレン含有量、10,000g/molのMn、28.4重量%の結晶化度、0.887g/cmの密度、71.37℃の結晶化温度、85.6℃の融点、0.9のB値、及び177℃で8,200cpsの絶対粘度を有する、エチレン-オクテンポリオレフィンエラストマー(「E-O POE」)を用いる。
【0111】
E-O POEを連続溶液重合で調製する。すべての試薬(モノマー、コモノマー、水素)を溶媒担体供給流に溶解させ、再循環単一ループ反応器に注入する。溶媒は、ISOPAR Eである。触媒は、(チタン、[N-(1,1-ジメチルエチル)-1、1-ジメチル-1-[(1,2,3,4,5-η)-2,3,4,5-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]シランアミナト(2-)-κN][(1,2,3,4-η)-1,3-]-ペンタジエン)である。2つの共触媒、トリス(2,3,4,5,6,-ペンタフルオロフェニル)ボラン及び改変メチルアルミノキサンを使用する。2つの共触媒を注入前に混合し、この混合物を触媒から反応器に別々に供給する。供給物及び反応器のアルファ-オレフィンコモノマー(1-オクテン)濃度をポリマーの密度を制御するために使用し、水素濃度をポリマーの溶融粘度(または分子量)を制御するために使用する。未反応の試薬と溶媒とを除去するために、反応器産出流を追加単位操作に通過させる。次いで、ポリマー溶融物をペレットに押出する。ポリマーをIRGANOX(商標)1010のppm量で安定化させる。E-O POEを以下の重合条件下で調整する。
【0112】
[表]
【0113】
95重量%のプロピレン含有量、14,500g/molのMn、28.6重量%の結晶化度、0.884g/cmの密度、77.9℃の結晶化温度、105℃の融点、0.93のB値、及び177℃で2,741cpsの絶対粘度を有する、プロピレン-エチレンポリオレフィンエラストマー(「P-E POE」)を用いる。
【0114】
P-E POEを、ハフニウム、[[2’,2’’’-[(1R,2R)-1,2-シクロヘキサンジイルビス(メチレンオキシ-κO)]ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)-5-メチル[1,1’-ビフェニル]-2-オラト-κO]](2-)]ジメチルである多価のアリールオキシエーテルのハフニウム金属錯体を使用して調製する。
【0115】
【化10】
【0116】
触媒及び共触媒の成分溶液を、ポンプ及びマスフローメータを使用して計測し、触媒フラッシュ溶媒と結合させ、反応器の底部に導入する。使用の共触媒は、約1/3のi-ブチル/メチル基の分子比を含有する三級成分のトリ(イソブチル)アルミニウム改変メタアルモキサン(MMAO)と結合したメチルジ(オクタデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩(MDB)と化学量論的におおよそ等価の長鎖アルキルアンモニウムホウ酸塩を使用する。共触媒は、1.2/1のHf、及びMMAO(25/1 Al/Hf)に基づく分子比である。
【0117】
重合プロセスは発熱性である。重合されるプロピレンのポンド(2009kJ/kg)当たり約900英国熱量単位(BTU)が放出され、重合されるエチレンのポンド(3489kJ/kg)当たり約1,500BTUが放出される。プロセス設計の主な考慮は、反応熱の除去である。プロピレン-エチレンコポリマーは、3インチ(76mm)のループパイプに加えて2台の熱交換器で構成される低圧溶液重合ループ反応器において生成され、その総容量は31.4ガロン(118.9リットル)である。溶媒及びモノマー(プロピレン)は、液体として反応器に注入する。コモノマー(エチレン)ガスは、液体溶媒に完全に溶解させる。供給物は、反応器への注入前に5℃まで冷却する。反応器は、15重量%~20重量%のポリマー濃度で作動させる。溶液の断熱的な温度上昇が、重合反応からの熱除去の一部を占める。反応器内の熱交換器は、反応の残りの熱を除去するために用いられ、反応温度での反応器の温度制御を可能にする。
【0118】
使用溶媒は、ISOPAR(商標)E.Freshプロピレンの商標のもとExxonより入手可能な高純度イソ-パラフィン系画分である。溶媒、プロピレン、エチレン、及び水素を含有する再循環流と混合する前に、新鮮なプロピレンを、精製のためにSelexsorb COS床に通過させる。再循環流と混合した後、700psig(4826kPa)の高圧供給ポンプを使用して内容物を反応器に汲み上げる前に、組み合わされた流れを、さらなる精製のために75重量%のモレキュラーシーブ13X及び25重量%のSelexsorb CD床に通過させる。その流れを750psig(5171kPa)まで圧縮する前に、新鮮なエチレンを、精製のためにSelexsorb COS床に通過させる。水素(分子量を低下するために使用されるテロゲン)を圧縮されたエチレンと混合した後、その2つを液体供給物に混合/溶解する。全体の流れを適切な供給温度(5℃)まで冷却する。反応器は、500~525psig(3447~3619kPa)及び150℃の制御温度で作動させる。反応器内におけるプロピレン変換は、触媒注入速度を制御することによって維持する。反応器温度は、熱交換器のシェル側を横切る水温を85℃に制御することによって維持する。反応器内の滞留時間は短い(約10分)。
【0119】
反応器を出る際、水及び添加剤がポリマー溶液に注入される。水は、触媒を加水分解し、重合反応を停止させる。添加剤は、酸化防止剤、すなわち、フェノール500ppm、亜リン酸1000ppmからなり、ポリマーと共に残留して、消費者の施設での次の製造の前の保管の間、ポリマーの分解を防止する安定剤として作用する。反応器後の溶液(post-reactor solution)を、2段階脱揮発の調製時に、反応器温度から230℃まで過加熱(super-heated)する。溶媒及び未反応モノマーは、脱揮発プロセス中に除去する。ポリマー溶融物を水中ペレット切断のために金型に汲み上げる。
【0120】
脱揮発機(devolatilizer)の頂部から出る溶媒及びモノマーは、コアレッサに送られる。コアレッサは、脱揮発中に蒸気に流入したポリマーを除去する。コアレッサを出た清浄な蒸気流は、一連の熱交換器によって部分的に濃縮される。2相混合物は、分離ドラムに入る。濃縮された溶媒及びモノマーは、精製され(これは上記の再循環流である)、反応プロセスにおいて再利用される。分離ドラムを出て、主としてプロピレン及びエチレンを含有する蒸気は、フレアブロック(block flare)に送られ、燃焼される。
【0121】
SUNPAR(商標)110は、40℃で21.2cStの動粘度を有するパラフィン油であり、米国ペンシルベニア州ピッツバーグのSunoco Inc.より市販で入手可能である。
【0122】
ポリブテン油は、~320g/molの平均Mn、38℃で27~33cStの粘度、90%超のイソブチレン含有量、25℃で0.84g/mLの密度、-90.5℃のガラス転移温度(T)、-51℃の流動点(ASTM D97)を有し、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-Aldrichより市販で入手可能である。
【0123】
IRGANOX(商標)1035は、化学名チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)プロピオン酸]を有する市販の酸化防止剤であり、ドイツのルートヴィヒスハーフェンのBASF SEより入手可能である。
【0124】
AXELERON(商標)GP 6059 BKは、0.932g/cmの密度、0.60g/10分の溶融指標(「I」)、2.6重量%のカーボンブラック含有量を有する低密度ポリエチレン(「LDPE」)のジャケット化合物であり、米国ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyより市販で入手可能である。
【0125】
AXELERON(商標)FO 8864 BKは、0.941g/cmの密度、0.70g/10分の溶融指標(「I」)、2.6重量%のカーボンブラック含有量を有する中密度ポリエチレン(「MDPE」)のジャケット化合物であり、米国ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyより市販で入手可能である。
【0126】
AXELERON(商標)FO 6318 BKは、0.954g/cmの密度、0.70g/10分の溶融指標(「I」)、2.6重量%のカーボンブラック含有量を有する高密度ポリエチレン(「HDPE」)のジャケット化合物であり、米国ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyより市販で入手可能である。
【0127】
BC245MO(商標)は、0.905g/cmの密度、230℃かつ2.16kgで3.5g/10分のメルトフローレートを有する高衝撃性ポリプロピレン(「PP」)コポリマーのジャケット化合物であり、オーストリアのウィーンのBorealis AGより市販で入手可能である。
【0128】
NAPTEL(商標)500は、77重量%のポリイソブチレンワックス及び23重量%の鉱油を含む市販のフラッディングコンパウンドであり、150℃で40~60Cp(ASTM D3236)の粘度、80~100℃(ASTM E28)の環球式軟化点を有し、米国テキサス州ヒューストンのSoltex Inc.より市販で入手可能である。
【0129】
SONNEBORN(商標)683は、主にポリオレフィンが分岐しないワックスタイプの材料である市販のフラッディングコンパウンドであり、少なくとも200°F(93.3℃)の融点、302°F(150℃)で1,700~1,800SUS(ASTM D2161)の範囲の粘度を有し、米国ニュージャージー州パーシッパニーのSonneborn,LLCより市販で入手可能である。
【0130】
ガラス中空微粒子の充填剤は、約0.10g/cmの密度、90~106μmの範囲の粒子径を有し、米国カリフォルニア州サンタバーバラのCospheric LLCより市販で入手可能である。
【0131】
エチレンのみの超分岐オレフィン系流体
好適な超分岐のエチレンのみのオレフィン系流体を調製するために、エチレン、溶媒としてのISOPAR-E(商標)、及び(触媒を溶解する溶媒としての)トルエンを含む供給物を、そこから最初に水及び酸素を除去するために活性アルミナ及びQ-5のカラムに通す。次いで、これらの供給物を断熱性の連続撹拌タンク反応器(CSTR)に導入し、典型的なCSTRの逆混合では、溶媒(トルエン)、触媒(式V)、及び活性化剤(ISOPAR-E(商標))が、窒素雰囲気を含有するグローブボックスに置かれたシリンジポンプからステンレス鋼ラインを介して反応器に導入される。エチレン及び触媒溶液は、独立した浸漬チューブを介して導入し、マスフローコントローラを用いて測定する。反応は、60℃の温度で、10分の滞留時間、1.00g/分のC供給速度、及び0.14(C供給速度/総供給速度)のCモノマーの供給質量分率で進めることが可能である。
【0132】
その槽を、外側のジャケットを通じてシリコーン油を循環させることで加熱し、必要な場合は内側の冷却コイルを介して水によって冷却する。反応器の圧力は、GO REGULATOR(商標)BP-60背圧調節器によって制御する。このシステムは、頭隙を含まずに充填され、脱揮発ユニットなしで液圧式に運転される。ポリマー溶液は、電気的に加熱されたステンレス鋼ラインと嵌合された反応器頭部の排出口から定期的に試料採取するために槽から除去する。次いで、反応器流出物の溶液オレフィン濃度をフーリエ変換型近赤外(FT-NIR)分光計によって測定し、エチレンの反応器内濃度を決定をする。生成物のさらなる分析を下記の通り13C NMRによって行う。
【0133】
いったん所望の反応エンドポイントに達すると、超分岐オレフィン系流体が、回収前に、水を含む2-プロパノールを含む触媒不活性剤、ならびにCIBA GEIGY CORPORATION(商標)のIRGANOX(商標)1010(すなわち、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロケイヒ酸))及びIRGAFOS(商標)168(すなわち、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル))を含有する安定剤パッケージによって処理される。CSTR中で複数回の運転を行い、オリゴマー分率をすべて結合する。最初にオリゴマーを80℃/10トルで回転蒸発させて溶媒を除去し、次いで、155℃/100mトルで設定したワイプ薄膜蒸発器(wiped-film evaporator)(WFE)に通す。WFEからの生成物を回収し、粘度について試験する。生成物の中の「軽い」として示される生成物は、概して、残留溶剤、ならびに金属の引火点及び燃焼点を劣化させる傾向にある軽い生成物の分子であり、「重い」生成物は、フラッディングコンパウンドを作製する際に使用される所望の超分岐エチレン系オレフィン系流体を含むすべての他の生成物である。動粘度(ASTM D445に従うcSt、40℃/100℃)は、34.94/6.60である。試料は、例えば、生成物の安定性について商業規模では望ましいかもしれないが、水素化されず、1つのオレフィン系単位が各オリゴマー鎖のために残留する。
【0134】
表1は、運転毎の実施例1の超分岐のエチレンのみのオレフィン系流体を合成する際に使用される実験条件を示し、この場合、触媒は式Vに対応する。
【0135】
【表1】
【0136】
13C NMR確認のために、10ミリメートル(mm)のNMRチューブ中で、0.02Mのクロム(III)アセチルアセトネート(Cr(AcAc)、C1521CrO、トリス(2-4-ペンタンジオノ)-クロム(III))を添加した、クロロホルム-dに試料を溶解する。典型的な濃度は、0.50g/2.4mLである。次いで、チューブを50℃に設定した加熱ブロック中で加熱する。試料チューブを繰り返しボルテックスし、均一な流動流体を達成するように加熱する。可視ワックスが存在する試料については、テトラクロロエタン-dをクロロホルム-dの代わりに溶媒として使用し、試料調製温度は90℃である。13C NMRスペクトルを、10mmのクライオプローブを備えたBRUKER(商標)AVANCE(商標)の400メガヘルツ(MHz)分光計で取る。以下の取得パラメータ、5秒間の緩和遅延、13.1ミリ秒間の90度パルス、256スキャンを使用する。スペクトルの中心を80ppmにし、スペクトル幅を250ppmにした。すべての測定値を、(クロロホルム溶液については)50℃、または(テトラクロロエタン溶液については)90℃のいずれかで、試料をスピニングせずに取る。13C NMRスペクトルは、クロロホルムについては77.3ppm、またはテトラクロロエタンについては74.5ppmを参照する。13C NMRスペクトルからの分析結果を表2に示す。超分岐のエチレンのみのオレフィン系流体は、25℃で72cpsの粘度を有する。
【0137】
【表2】
【0138】
エチレン/プロピレン分岐オレフィン系流体
エチレン/プロピレン分岐オレフィン系流体の調製は、半バッチベースで、2-L Parr(商標)のバッチ反応器で行う。反応器を電気加熱マントルにより加熱し、冷却水を含有する内部蛇状冷却コイルにより冷却する。反応器及び加熱/冷却システムの両方をCAMILE(商標)TGプロセスコンピュータにより制御及び監視する。反応器の底部をダンプ弁と嵌合させ、これにより反応器の内容物を、触媒失活溶液(catalyst kill solution)(典型的には、5mLのIRGAFOX(商標)/IRGANOX(商標)/トルエン混合物)で事前に充填したステンレス鋼ダンプポットに取り出す。30ガロンのブローダウンタンクに向けてダンプポットに通気口を付け、ポット及びタンクをNでパージする。重合または触媒構成のために使用したすべての化学物質を、精製カラムに流して、重合に影響し得るあらゆる不純物を除去する。プロピレンを、A1アルミナを含有する第1のカラム、酸素を除去するQ5反応体を含有する第2のカラム、2つのカラムに通す。エチレンも、A1アルミナ及び4-オングストローム(Å)孔サイズのモレキュラーシーブを含有する第1のカラム、Q5反応体を含有する第2のカラム、2つのカラムに通す。移行に使用されるNを、A1アルミナ、4-Å孔サイズのモレキュラーシーブ、及びQ5反応体を含有する単一のカラムに通す。
【0139】
反応器に、最初にトルエン、次いでプロピレンを所望の反応器装填量まで装填する。液体供給物の添加後、反応器を重合温度設定点まで加熱する。エチレンを使用する場合、反応圧力設定点を維持する反応温度で、エチレンを反応器に添加する。エチレンの添加量は、マイクロモーション流量計により監視する。
【0140】
触媒及び活性化剤を、適切な量の精製トルエンと混合して、所望の容量モル濃度の溶液を達成する。触媒及び活性化剤は、不活性グローブボックス内で処理し、シリンジ内に引き入れ、触媒ショットタンク内に圧入する。これに続いて、各5mLのトルエンで3回すすぐ。
【0141】
触媒添加直後に、運転タイマーを開始させる。次いで、エチレンを使用する場合、エチレンを、CAMILE(商標)により添加して、反応器の反応圧力設定点を維持する。これらの重合を所望の時間量運転し、次いで、アジテーターを停止させ、底部のダンプ弁を開放して、反応器の内容物をダンプポットに取り出す。ダンプポットの内容物を、実験室フード内に置いたトレイに注ぎ、そこで溶媒を一晩蒸発させる。次いで、残留ポリマーを含有するトレイを真空オーブンに移し、そこでこれらのトレイを真空下で140℃まで加熱して、あらゆる残留溶剤を除去する。トレイを周囲温度まで冷却した後、オリゴマーを収率/効率について計量し、試験用に提示する。
【0142】
この調製は、下の表3に示されるパラメータ以外、またコモノマープロピレン(C)が1.00g/分のC供給速度、及び0.14のCモノマーの供給質量分率(C供給速度/総供給速度)である供給物として含まれる以外、エチレンのみの超分岐オレフィン系流体について上記の通り行う。得られた分岐オレフィン系流体は、表4に示される特性を示す。触媒は式Xに対応する。エチレン/プロピレン分岐オレフィン系流体は、25℃で215cpsの粘度を有する。
【0143】
【表3】
【0144】
【表4】
【0145】
エチレン/オクテン分岐オレフィン系流体
エチレン/オクテン分岐オレフィン系流体の調製は、半バッチベースで、2-L Parr(商標)のバッチ反応器で行う。反応器を電気加熱マントルにより加熱し、冷却水を含有する内部蛇状冷却コイルにより冷却する。反応器及び加熱/冷却システムの両方をCAMILE(商標)TGプロセスコンピュータにより制御及び監視する。反応器の底部をダンプ弁と嵌合させ、これにより反応器の内容物を、触媒失活溶液(典型的には、5mLのIRGAFOX(商標)/IRGANOX(商標)/トルエン混合物)で事前に充填したステンレス鋼ダンプポットに取り出す。30ガロンのブローダウンタンクに向けてダンプポットに通気口を付け、ポット及びタンクをNでパージする。重合または触媒構成のために使用したすべての化学物質を、精製カラムに流して、重合に影響し得るあらゆる不純物を除去する。オクテンを、A1アルミナを含有する第1のカラム、酸素を除去するQ5反応体を含有する第2のカラムの2つのカラムに通す。エチレンも、A1アルミナ及び4-オングストローム(Å)孔サイズのモレキュラーシーブを含有する第1のカラム、Q5反応体を含有する第2のカラムの2つのカラムに通す。移行に使用されるNを、A1アルミナ、4-Å孔サイズのモレキュラーシーブ、及びQ5反応体を含有する単一のカラムに通す。
【0146】
反応器に最初にオクテンを所望の反応器装填量まで装填する。液体供給物の添加後、反応器を重合温度設定点まで加熱する。エチレンを使用する場合、反応圧力設定点を維持する反応温度で、エチレンを反応器に添加する。エチレンの添加量は、マイクロモーション流量計により監視する。
【0147】
触媒及び活性化剤を、適切な量の精製トルエンと混合して、所望の容量モル濃度の溶液を達成する。触媒及び活性化剤は、不活性グローブボックス内で処理し、シリンジ内に引き入れ、触媒ショットタンク内に圧入する。これに続いて、各5mLのトルエンで3回すすぐ。
【0148】
触媒添加直後に、運転タイマーを開始させる。次いで、エチレンを使用する場合、エチレンを、CAMILE(商標)により添加して、反応器の反応圧力設定点を維持する。これらの重合を所望の時間量運転し、次いで、アジテーターを停止させ、底部のダンプ弁を開放して、反応器の内容物をダンプポットに取り出す。ダンプポットの内容物を、実験室フード内に置いたトレイに注ぎ、そこで溶媒を一晩蒸発させる。次いで、残留ポリマーを含有するトレイを真空オーブンに移し、そこでこれらのトレイを真空下で140℃まで加熱して、あらゆる残留溶剤を除去する。トレイを周囲温度まで冷却した後、オリゴマーを収率/効率について計量し、試験用に提示する。
【0149】
【表5】
【0150】
【表6】
【実施例
【0151】
実施例1
以下の手順及び下の表7において提供される配合に従って、5つの試料(S1~S5)及び4つの比較試料(CS1~CS4)を調製する。各成分の重量を最初に量り、次いで、撹拌下、加熱された容器内で混合する。温度は、E-O POEを含有する試料については80℃、P-E POEを含有する試料については120℃で設定した。10分間の撹拌後、加熱を止め、フラッディングコンパウンドを流し出して回収する。
【0152】
【表7】
【0153】
上記の試験方法に従って、S1~S5及びCS1~CS5を分析する。CS5は、SONNEBORN(商標)683であり、受領したまま試験される。結果を下の表8に提供する。
【0154】
【表8】
【0155】
それぞれポリブテン及びパラフィン油と混合した、高い溶融指標のエチレン-オクテンコポリマーの樹脂を使用する組成物であるCS1及びCS2は、その両方が目標の粘度及び滴点特性を達成する能力を示し、ポリオレフィン材料中での加熱エイジング処理後、典型的にケーブル構築物で使用されるこれらの材料において高い吸収レベルを示す。それぞれポリブテン及びパラフィン油と混合した、高い溶融指標のエチレン-プロピレンコポリマーの樹脂を使用する組成物であるCS3及びCS4は、その両方が目標の粘度及び滴点特性を達成する能力を示し、ポリオレフィン材料中での加熱エイジング処理後、典型的にケーブル構築物で使用されるこれらの材料において高い吸収レベルを示す。CS5は、石油系の市販のフラッディングコンパウンドSONNEBORN(商標)683の性能を示し、オレフィンケーブル材料中で対応する加熱エイジング吸収率を有する。
【0156】
S1~S5は、ジャケット及びバッファチューブ材料などのケーブル構築物で使用される典型的なオレフィン材料において著しく改良された吸収率を示しながらも、典型的なケーブル充填操作については適切な滴点及び粘度特性を達成する、ポリオレフィンエラストマー及び分岐オレフィン系流体の混合物を使用する例である。
【0157】
実施例2
37.8重量%のP-E POE、57.0重量%のエチレン/プロピレン分岐オレフィン系流体、5.0重量%の中空微粒子充填剤、及び0.2重量%の酸化防止剤を有する1つの追加試料(S6)を、実施例1で上に記載された調製方法を使用して調製する。上記の試験方法を使用してS6を分析する。分析結果を、比較のためにS5及びCS5の繰り返し結果と共に下の表9に示す。
【0158】
【表9】
【0159】
S6の結果は、フラッディングコンパウンドの密度ならびに粘度を、ガラス中空微粒子を使用して調節する能力を示す。

図1