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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】コンクリートの締固め制御システム
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/06 20060101AFI20221215BHJP
   E04G 21/08 20060101ALI20221215BHJP
   B28B 1/087 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
E04G21/06
E04G21/08
B28B1/087
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018134274
(22)【出願日】2018-07-17
(65)【公開番号】P2020012274
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000182030
【氏名又は名称】若築建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】秋山 哲治
(72)【発明者】
【氏名】小山 稔樹
(72)【発明者】
【氏名】増田 定啓
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-185249(JP,A)
【文献】特開2013-174064(JP,A)
【文献】特開昭61-064957(JP,A)
【文献】特開昭62-264259(JP,A)
【文献】特開平04-118464(JP,A)
【文献】特開昭56-120307(JP,A)
【文献】特開平2-157359(JP,A)
【文献】特開平5-156811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/06
E04G 21/08
E04G 21/02
B28B 1/087
E21D 11/10
E04B 1/20
E04B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠と、
前記型枠の外周面に設置され、前記型枠に振動を付与して前記型枠に打設されたコンクリートに前記振動を伝達する複数の型枠振動機と、
前記型枠振動機を制御する制御装置と、
前記型枠に打設された前記コンクリートに前記型枠内で振動を付与する内部振動機と、
を備え、
前記制御装置は、前記複数の型枠振動機を複数のグループに区分し、トリガ信号の入力に応じて前記複数のグループごとに所定タイミングで前記型枠振動機を作動させ、
前記制御装置は、前記内部振動機の作動中に前記型枠振動機を作動させる、
コンクリートの締固め制御システム。
【請求項2】
記複数の型枠振動機は、前記内部振動機による振動が伝達しにくい領域の前記型枠の外周面に設置され
前記型枠の内側には鉄筋が配設され、
前記領域は、前記鉄筋が過密配筋となる領域である、
請求項1に記載のコンクリートの締固め制御システム。
【請求項3】
型枠と、
前記型枠の外周面に設置され、前記型枠に振動を付与して前記型枠に打設されたコンクリートに前記振動を伝達する複数の型枠振動機と、
前記型枠振動機を制御する制御装置と、
前記型枠に打設された前記コンクリートに前記型枠内で振動を付与する内部振動機と、
を備え、
前記制御装置は、前記複数の型枠振動機を複数のグループに区分し、トリガ信号の入力に応じて前記複数のグループごとに所定タイミングで前記型枠振動機を作動させ、
前記型枠の内側には鉄筋が配設され、
前記内部振動機は前記鉄筋より前記型枠の中心側で使用され、
前記複数の型枠振動機は、前記鉄筋が過密配筋となる領域の前記型枠の外周面に設置されると共に、他の領域には設置されない、
コンクリートの締固め制御システム。
【請求項4】
型枠と、
前記型枠の外周面に設置され、前記型枠に振動を付与して前記型枠に打設されたコンクリートに前記振動を伝達する複数の型枠振動機と、
前記型枠振動機を制御する制御装置と、
前記型枠に打設されたコンクリートに前記型枠内で振動を付与する内部振動機と、
を備え、
前記制御装置は、前記複数の型枠振動機を複数のグループに区分し、トリガ信号の入力に応じて前記複数のグループごとに所定タイミングで前記型枠振動機を作動させ、
前記制御装置は、前記複数のグループの作動順を示す作動順情報の入力に応じて、前記作動順に従ったグループの前記型枠振動機を順番に作動させ、
前記制御装置は、前記内部振動機の前記型枠内の位置情報に基づき、前記作動順に従ったグループの前記型枠振動機を順番に作動させる
ンクリートの締固め制御システム。
【請求項5】
オペレータが前記制御装置を操作するための操作装置を備え、
前記トリガ信号は前記操作装置を介して入力される、
請求項1~4のいずれか一項に記載のコンクリートの締固め制御システム。
【請求項6】
前記操作装置は、前記制御装置と無線通信で接続される、
請求項に記載のコンクリートの締固め制御システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記複数のグループのうちの1つを選択する選択情報の入力に応じて、前記選択情報に対応するグループの前記型枠振動機を作動させる、
請求項1~のいずれか一項に記載のコンクリートの締固め制御システム。
【請求項8】
前記制御装置は、前記複数のグループの作動順を示す作動順情報の入力に応じて、前記作動順に従ったグループの前記型枠振動機を順番に作動させる、
請求項1~のいずれか一項に記載のコンクリートの締固め制御システム。
【請求項9】
前記複数の型枠振動機は、前記コンクリートの打設層の全周に亘る所定位置に設置される、
請求項1~のいずれか一項に記載のコンクリートの締固め制御システム。
【請求項10】
前記複数の型枠振動機は、前記打設層の複数段のそれぞれの全周に亘る所定位置に設置される、
請求項に記載のコンクリートの締固め制御システム。
【請求項11】
前記コンクリートの打設層の全周に亘り設置される前記複数の型枠振動機を前記打設層の複数段の積層方向に沿って移動可能な移動機構を備える、
請求項に記載のコンクリートの締固め制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンクリートの締固め制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート施工において、コンクリートを型枠内に流し込んだ際にコンクリート内に巻き込まれた気泡を除去して密度を高める作業を「締固め」という。この締固めは、例えば内部振動機を用いて型枠内でコンクリートに直接振動を加えることで実施できる。
【0003】
ところで、型枠内に過密配筋や狭隘なかぶりを有する構造などの領域がある場合、内部振動機による締固めを行っても内部から表層への振動の伝播が鉄筋に阻害され、ジャンカなどの初期欠陥が生じやすい。また、内部振動機の振動棒の抜き差しが鉄筋と過度に接触する危険性があるなど施工が非常に困難である。このような場合には、内部振動機の代わりに、型枠の外側から内部のコンクリートに振動を加える型枠振動機を用いて締固めを実施することもできる(例えば特許文献1)。型枠振動機により、特に耐久性で重要なコンクリート表層において好適に締固めを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平2-93457
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
型枠振動機は、型枠の外側から振動を加えて表層の残留気泡を除去する有効な手段であるが、機器の運転・終了操作や転置などの作業が手間となるため、現場ではその代替作業として木槌による叩きなどにより人力で振動を加えることが多い。また、型枠振動機を適用しても、型枠振動機の運転のタイミングや時間は、使用者の熟練度や経験に基づいて設定されることが殆どで、現場でシステマチックに運用されているとは言い難い。
【0006】
本開示は、締固め作業を効率的かつ安定的に行うことが可能なコンクリートの締固め制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の一観点に係るコンクリートの締固め制御システムは、型枠と、前記型枠の外周面に設置され、前記型枠に振動を付与して前記型枠に打設されたコンクリートに前記振動を伝達する複数の型枠振動機と、前記型枠振動機を制御する制御装置と、前記型枠に打設された前記コンクリートに前記型枠内で振動を付与する内部振動機と、を備え、前記制御装置は、前記複数の型枠振動機を複数のグループに区分し、トリガ信号の入力に応じて前記複数のグループごとに所定タイミングで前記型枠振動機を作動させ、前記制御装置は、前記内部振動機の作動中に前記型枠振動機を作動させる
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、締固め作業を効率的かつ安定的に行うことが可能なコンクリートの締固め制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るコンクリートの締固め制御システムの構成図である。
図2】型枠振動機による締固めを模式的に示す断面図である。
図3図1に示す制御PCとタブレットの機能ブロック図である。
図4】タブレットの画面レイアウトの一例を示す図である。
図5】第1実施形態に係る締固め制御システムにより実施される締固め制御のフローチャートである。
図6】型枠振動機の複数段分を制御するシステムの構成例を例示した図である。
図7】型枠振動機の複数段分を制御するシステムの構成例を例示した図である。
図8】第2実施形態に係る締固め制御システムの制御ブロック図である。
図9】第2実施形態に係る締固め制御システムにより実施される締固め制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
なお、以下の説明において、各図面で示すx方向、y方向、z方向は互いに垂直な方向である。典型的にはx、y方向が水平方向であり、z方向が鉛直方向である。z正方向側が上方、z負方向側が下方である。
【0012】
[第1実施形態]
図1図5を参照して第1実施形態を説明する。まず図1図4を参照して第1実施形態に係るコンクリートの締固め制御システム1(以下では単に「締固め制御システム1」とも表記する)の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る締固め制御システム1の構成図である。図2は、コンクリート型枠振動機4A~4H(以下では単に「型枠振動機4A~4H」とも表記する)による締固めを模式的に示す断面図である。図3は、図1に示す制御PC5とタブレット6の機能ブロック図である。図4は、タブレット6の画面レイアウトの一例を示す図である。
【0013】
締固め制御システム1は、型枠内部からの内部振動機3によるコンクリート9の締固めが難しい部位に対して、型枠外側から締固めが可能な複数台の型枠振動機4A~4Hを稼働でき、打設管理者(オペレータ)のタブレット6から遠隔操作できるものである。本実施形態の締固め制御システム1は、内部振動機3と型枠振動機4A~4Hとを併用する必要があるコンクリート構造物を対象とする。言い換えると、本実施形態の締固め制御システム1は、締固め作業において、内部振動機3による振動が型枠2の内周面まで伝達され難い領域があり、かつ、型枠振動機4A~4Hによる振動が型枠2の中心部まで伝達され難い構造をとるコンクリート構造物を対象とする。
【0014】
図1に示すように、締固め制御システム1は、型枠2と、内部振動機3と、複数の型枠振動機4A~4Hと、制御PC5(制御装置)と、タブレット6(操作装置)と、を備える。
【0015】
型枠2は、コンクリート9を流し込んで所望の外周形状に形成するための枠体である。型枠2は、環状に形成された板材であり、z方向に立設されている。型枠2の環状形状は、図1に示すように本実施形態では矩形状であり、例えば矩形状の一辺がx方向に沿って延在し、この一辺と直交する他辺がy方向に沿って延在する。型枠2は、例えば合板や鋼製である。また、型枠2内には、コンクリート9を流し込む前に鉄筋10が配設されている。なお、型枠2の環状形状は、本実施形態の矩形状以外にも、多角形や円形など任意の形状で形成できる。
【0016】
内部振動機3は、型枠2に打設されたコンクリート9に型枠2内で振動を付与する。内部振動機3は、例えば図2に示すように棒状であり、型枠2内に打設されたコンクリート9に上方から挿入されてコンクリート9の内部で振動を発生させる。
【0017】
型枠振動機4A~4Hは、型枠2の外周面に設置され、型枠2に振動を付与することで内部のコンクリート9に振動を伝達する。型枠振動機4A~4Hとしては、例えば図2に示すように、型枠2と、その外周に設置される単管11との間に差し込むタイプが用いられる。型枠振動機4A~4Hは、型枠2の外周面のうち内部振動機3による振動が伝達しにくい領域に設置される。なお、以下の説明では、複数の型枠振動機4A~4Hを纏めて「型枠振動機4」とも表記する場合がある。また、複数の型枠振動機4A~4Hのいずれかを指す場合にも「型枠振動機4」と表記する場合がある。
【0018】
本実施形態のように型枠2が矩形状の場合、四辺の内側に各辺に平行に鉄筋が配設される場合が多い。この場合、鉄筋10より内側の領域9Aから内部振動機3が用いられるが、型枠2の矩形状の4つの角部の領域2A~2Dでは過密配筋となって、鉄筋10より外側の領域9Bに内部振動機3からの振動が伝わりにくい。そこで本実施形態では、型枠2の各角部の領域2A~2Dにそれぞれ2個ずつ型枠振動機4が予め設置される。図1では、図面左下の角部の領域2Aには型枠振動機4A,4Bが設置され、図面右下の角部の領域2Bには型枠振動機4C,4Dが設置され、図面右上の角部の領域2Cには型枠振動機4E,4Fが設置され、図面左上の角部の領域2Dには型枠振動機4G,4Hが設置される。なお、各領域2A~2Dでの2個の型枠振動機4の配置は、型枠2の互いに直交する二辺にそれぞれ1個ずつ設置されるのが好ましい。
【0019】
型枠2の各角部の領域2A~2Dでは、例えば図2に示すような仕組みでコンクリートの締固めが行われる。つまり、コンクリート9のうち鉄筋10より内側の領域9Aでは、内部振動機3の振動による締固めが行われ、鉄筋10と型枠2の間の領域9Bでは、型枠振動機4A~4Hの振動が型枠2から内部方向に伝達されて、領域9Bでも良好に締固めが行われる。
【0020】
各型枠振動機4A~4Hは、それぞれ分岐コネクタ7を介して制御ボックス8に接続され、制御ボックス8が制御PC5に接続されている。制御ボックス8は、複数台の型枠振動機を自動運転できる仕様であり、制御PC5から出力された制御信号を、この制御信号の対象となる型枠振動機宛てに分配する。分岐コネクタ7は、型枠振動機と電源とをつなぐ電力供給線と、型枠振動機と制御ボックスとをつなぐ制御線とを分岐する。分岐コネクタ7より下流側では電力供給線と制御線とが集約される。なお、図1では制御線のみ図示し、電源や電力供給線は図示を省略している。
【0021】
制御PC5は、型枠振動機4A~4Hの動作を制御する制御装置の一例である。制御PC5は、タブレット6からのトリガ信号(第1実施形態では選択情報)の入力に応じて、型枠振動機4A~4Hの中からトリガ信号に係る型枠振動機を作動させる。制御PC5は、例えばノート型パーソナルコンピュータ(PC)やデスクトップ型PCである。制御PC5とタブレット6とは、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信手法によって相互に通信可能に接続されている。
【0022】
本実施形態では、制御PC5は、8台の型枠振動機4A~4Hを4つのグループGR1~GR4に区分し、トリガ信号の入力に応じてグループGR1~GR4ごとに所定タイミングで型枠振動機を作動させる。本実施形態では、上述した型枠2の各角部の領域2A~2Dに配置される2個ずつの型枠振動機4ごとにグループ分けが行われる。すなわち、領域2Aに配置される型枠振動機4A,4BがグループGR1に含まれ、領域2Bに配置される型枠振動機4C,4DがグループGR2に含まれ、領域2Cに配置される型枠振動機4E,4FがグループGR3に含まれ、領域2Dに配置される型枠振動機4G,4HがグループGR4に含まれる。
【0023】
タブレット6は、オペレータが制御PC5を介して型枠振動機4A~4Hを操作するための操作装置の一例である。タブレット6は、板状のコンピュータ端末装置であり、たとえば図4に示すような操作画面61を有する。操作画面61は、例えばタッチパネルであり、情報表示と操作入力を行うことができる。本実施形態では、タブレット6の操作画面61には、制御PC5の画面が表示され、操作画面61を介して制御PC5を遠隔操作可能となっている。
【0024】
例えば、制御PC5の表示装置に型枠振動機4A~4Hの制御のための制御ウィンドウを表示し、この制御ウィンドウをタブレット6の操作画面61に表示できる。図4にはこのような制御ウィンドウの一例を示している。図4に示す画面例では、操作画面61には、作動させたいグループGR1~GR4ごとに選択ボタン62A~62Dが設けられる。この選択ボタン62A~62Dのいずれかをオペレータが押すと、関連付けられたグループGR1~GR4の型枠振動機4が作動する。例えば選択ボタン62Aが押されると、グループGR1の型枠振動機4A,4Bが作動する。
【0025】
また、図4に示す画面例では、操作画面61には現在の作動状態を示す状態表示部63も設けられる。状態表示部63では、例えば型枠2と各型枠振動機4A~4Hが実際の配置状態に合わせてグラフィック表示され、例えば現在作動しているグループの型枠振動機(図4の例では型枠振動機4A,4B)を点灯させ、現在停止している型枠振動機(図4の例では型枠振動機4C~4H)を消灯させて表示することで、各型枠振動機4A~4Hの動作状態を直観的にオペレータに提示できる。
【0026】
なお、タブレット6の操作画面61に示す制御ウィンドウは、図4に示すレイアウト以外のものでもよいし、選択ボタン62A~62D及び状態表示部63以外の要素を含んでもよい。また、操作画面61はタッチパネル以外のものでもよい。
【0027】
図3に示すように、制御PC5は、例えば上記の型枠振動機4A~4Hの制御に関する機能として、グループ選択入力部51と、表示制御部52と、型枠振動機始動制御部53と、型枠振動機停止制御部54とを有する。
【0028】
グループ選択入力部51は、オペレータが作動させたい型枠振動機4のグループGR1~GR4に関する選択情報を検出する。本実施形態では、タブレット6を利用したオペレータの選択ボタン62A~62Dの操作に応じて、オペレータにより選択されたグループGR1~GR4を示す選択情報が入力される。
【0029】
表示制御部52は、型枠振動機4の作動・非作動状態を示す作動状態情報に基づき、制御ウィンドウ(すなわちタブレット6の状態表示部63)を制御する。例えば、作動状態の型枠振動機4を状態表示部63上で点灯させ、非作動状態の型枠振動機4を状態表示部63上で消灯させる。
【0030】
なお、図3では、説明の便宜上、タブレット6から制御PC5へ選択情報が入力され、制御PC5からタブレット6へ作動状態情報が出力されるように表現されているが、実際には制御PC5の制御ウィンドウがタブレット6に表示され、タブレット6に表示された制御ウィンドウを介して制御PC5が遠隔操作される。
【0031】
型枠振動機始動制御部53は、グループ選択入力部51により検出された選択情報に基づき、作動させる型枠振動機4を選択して制御指令を出力する。制御指令を受けた型枠振動機4は始動する。
【0032】
型枠振動機停止制御部54は、作動中の型枠振動機4を適宜停止させて非作動状態に戻す。例えば、始動後に所定時間が経過した後に作動中の型枠振動機4を停止させる制御指令を出力する。
【0033】
制御PC5及びタブレット6は、任意のハードウェア、ソフトウェア、或いはそれらの組み合わせにより実現されてよい。制御PC5及びタブレット6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置、I/O(Input-Output interface)等を含むマイクロコンピュータを中心に構成されてよく、ROMや補助記憶装置等に格納される各種プログラムをCPU上で実行することにより上記の各種機能が実現される。
【0034】
なお、制御PC5とタブレット6とは有線通信で接続される構成でもよい。また、タブレット6を利用せずに、制御PC5の表示装置に表示される制御ウィンドウを操作してもよい。
【0035】
次に図5を参照して第1実施形態に係る締固め制御システム1の動作を説明する。図5は、第1実施形態に係る締固め制御システム1により実施される締固め制御のフローチャートである。
【0036】
ステップS101では、型枠2と型枠振動機4A~4Hとが、コンクリートの施工場所に設置される。
【0037】
ステップS102では、制御PC5で施工条件が入力される。施工条件は、例えば型枠2の形状、型枠振動機4A~4Hの個数・設置位置、作動時間などを含む。
【0038】
ステップS103では、型枠2にコンクリート9の打設が開始される。
【0039】
ステップS104では、内部振動機3によるコンクリート9の締固め作業が開始される。内部振動機3を型枠2内に打設されたコンクリート9に挿入した状態で作動させて、発生させた振動をコンクリート9に付加する。このような作業を、内部振動機3のコンクリート9への挿入位置を変えながら行う。例えば図1に示すように矩形状の型枠2の場合、四辺に沿って平行に移動しながら各位置で内部振動機3を作動させる。
【0040】
このときオペレータは、内部振動機3の作動位置が、型枠2側への振動伝達が困難な領域(本実施形態では矩形状の4つの角部)2A~2Dのいずれかにあることを視認した場合に、この領域2A~2Dに設置されている型枠振動機4のグループGR1~GR4が選択されるように、タブレット6の選択ボタン62A~62Dを操作する。選択ボタン62A~62Dの操作が行われた場合、制御PC5のグループ選択入力部51により操作入力が検出され、選択されたグループGR1~GR4に関する選択情報が検出される。
【0041】
ステップS105では、グループ選択入力部51により、タブレット6から型枠振動機4のグループGR1~GR4に関する選択情報の入力があったか否かが判定される。選択情報の入力があった場合(ステップS105のYes)にはステップS106に進み、入力が無い場合(ステップS105のNo)には選択情報が入力されるまで待機する。
【0042】
ステップS106では、ステップS105に選択情報が入力されたので、グループ選択入力部51から選択情報が型枠振動機始動制御部53に出力され、制御PC5の型枠振動機始動制御部53により、入力された選択情報に応じて、選択されたグループの型枠振動機4が作動される。型枠振動機始動制御部53は、例えば始動信号を出力し、始動信号は制御ボックス8で対象の型枠振動機4に分配される。これにより、内部振動機3による締固め作業が行われている領域に設置されている型枠振動機4が作動して、この領域の締固めが内部振動機3、型枠振動機4の両方で行われる。
【0043】
ステップS107では、制御PC5の型枠振動機停止制御部54により、始動から所定時間経過後に作動中の型枠振動機4が停止される。型枠振動機停止制御部54は停止信号を出力し、停止信号は制御ボックス8で対象の型枠振動機4に分配される。これにより、ステップS106にて作動を開始した型枠振動機4が停止する。
【0044】
ステップS106,S107では、表示制御部52により、制御PC5の表示装置の制御ウィンドウ(すなわちタブレット6の状態表示部63)が最新の状態に制御される。例えば、ステップS106,S107にて作動状態に切り替わった型枠振動機4を状態表示部63上で点灯させ、非作動状態に切り替わった型枠振動機4を状態表示部63上で消灯させる。
【0045】
ステップS108では、制御PC5のグループ選択入力部51により、型枠振動機4A~4HのグループGR1~GR4の中で未だ作動されていないグループがあるか否かが判定される。未作動グループがある場合(ステップS108のYes)には、まだ内部振動機3が作業していない領域が残っているので、ステップS105に戻り、内部振動機3が別の領域に移動して、オペレータにより別のグループが選択されるまで待機する。
【0046】
一方、未作動グループが無い場合(ステップS108のNo)には、ステップS109に進み、すべての領域の締固めが完了したので、コンクリート9の打設作業と締固め作業を完了して、本制御フローを終了する。
【0047】
このように第1実施形態の締固め制御システム1は、型枠2と、型枠2の外周面に設置され、型枠2に振動を付与して型枠2に打設されたコンクリート9に振動を伝達する複数の型枠振動機4A~4Hと、型枠振動機4A~4Hを制御する制御PC5と、を備える。制御PC5は、複数の型枠振動機4A~4Hを複数のグループGR1~GR4に区分し、トリガ信号(第1実施形態では選択信号)の入力に応じて複数のグループごとに所定タイミングで型枠振動機4を作動させる。
【0048】
この構成により、コンクリート9の締固め作業の開始前に複数の型枠振動機4A~4Hを事前に型枠2に設置しておけば、複数の型枠振動機4A~4Hを任意の順番で作動させることができるので、締固め作業中に型枠振動機4の転置や盛換えが不要となり、締固め作業を効率的に行うことができる。また、複数の型枠振動機4A~4Hのそれぞれの作動タイミングなどの動作を制御PC5で自動的に制御できるので、複数の型枠振動機4A~4Hのそれぞれの運転・停止操作などの操作を作業員が個別に行う必要がなく、作業員の熟練度の影響を受けずに締固め作業を安定的に行うことができる。したがって、第1実施形態の締固め制御システム1は、コンクリート9の締固め作業を効率的かつ安定的に行うことができる。また、複数の型枠振動機4A~4Hを制御PC5で一括制御することで、型枠振動機4に関する人工を削減でき、生産性向上に寄与できる。
【0049】
また、第1実施形態の締固めシステム1は、型枠2に打設されたコンクリート9に型枠2内で振動を付与する内部振動機3を備える。複数の型枠振動機4A~4Hは、内部振動機3による振動が伝達しにくい領域9B(本実施形態では型枠2の各角部の領域2A~2D)の型枠2の外周面に設置される。
【0050】
この構成により、型枠2の内部では主に内部振動機3による締固めが行われ、内部振動機3による振動が伝達しにくい領域9Bでは型枠振動機4による締固めが行われて、内部振動機3と型枠振動機4とを併用できるので、型枠2内の鉄筋等の配置の締固めへの影響を低減でき、型枠2の全体に亘ってより均質に締固めを行うことができる。また、複数の型枠振動機4A~4Hの設置位置を内部振動機3による振動が伝達しにくい領域9Bに絞ることにより、型枠振動機4による締固めの効果をより顕著にできると共に、設置台数を抑えることができる。
【0051】
また、第1実施形態の締固めシステム1は、オペレータが制御PC5を操作するためのタブレット6を備え、トリガ信号(第1実施形態では選択情報)はタブレット6を介して入力される。制御PC5は、タブレット6を介して入力される複数のグループGR1~GR4のうちの1つを選択する選択情報の入力に応じて、選択情報に対応するグループの型枠振動機4を作動させる。
【0052】
この構成により、オペレータはタブレット6を操作することによって制御PC5を介しての複数の型枠振動機4A~4Hの動作を遠隔制御することが可能となるので、オペレータは複数の型枠振動機4A~4Hのそれぞれの設置位置にいる必要がなく、締固め作業中のオペレータの自由度を向上でき、作業負荷を軽減できる。また、オペレータは複数の型枠振動機4A~4Hのそれぞれの設置位置にいる必要が無くなることは、特に高所作業において締固め作業の安全性を向上できる。
【0053】
また、第1実施形態の締固めシステム1では、タブレット6は、制御PC5と無線通信で接続されるので、締固め作業中のオペレータの位置の制約をさらに低減でき、コンクリート9の締固め作業をより一層効率化できる。例えば、オペレータは、締固め作業を見渡せる場所から型枠2の全体を見ながら型枠振動機4の制御を行うことができる。
【0054】
また、第1実施形態の締固めシステム1では、複数の型枠振動機4A~4Hは、コンクリート9の打設層の全周に亘る所定位置(本実施形態では型枠2の各角部の領域2A~2D)に設置される。これにより、型枠2内に打設されたコンクリート9の任意の打設層の締固め作業中に型枠振動機4の移設などで作業を中断することがなくなるので、締固め作業の作業時間を短縮でき、コンクリート9の締固め作業をより効率良く行うことができる。
【0055】
図6及び図7を参照して第1実施形態の変形例を説明する。図6図7は、型枠2の複数段の締固めを纏めて制御するシステムである。コンクリートの打設・締固め作業では、図6、7に示すように同日に複数段(図6,7の例では、第1の打設層21、第2の打設層22、第3の打設層23の三段階で示す)の打設層を作成することが多い。このような複数段の打設層21、22,23の締固め制御にも本実施形態を適用することができる。
【0056】
図6は、型枠振動機4の複数段分を制御するシステム1Aの構成例を例示した図である。図6の構成例では、第1~第3の打設層21,22,23の各段のそれぞれの領域2A~2Dにそれぞれ個別に型枠振動機4A1~4A3,4B1~4B3,・・・,4H1~4H3が設置される。例えば、領域2Aの打設層21には型枠振動機4A1、4B1が設置され、その直上の打設層22には型枠振動機4A2、4B2が設置され、その直上の打設層23には型枠振動機4A3、4B3が設置される。そして、これらの型枠振動機4A1~4A3、4B1~4B3は、すべて制御ボックス8に制御線が集約されて、制御PC5及びタブレット6によって制御される。
【0057】
例えばオペレータが選択ボタン62Aを押した場合、打設層21の打設が行われている場合には、領域2Aに設置される型枠振動機4A1~4A3,4B1~4B3のうち打設層21に設置される型枠振動機4A1,4B1が作動される。また、打設層22の打設が行われている場合には、領域2Aに設置される型枠振動機4A1~4A3,4B1~4B3のうち打設層22に設置される型枠振動機4A2,4B2が作動される。
【0058】
図6に示す構成では、例えば1日で進める予定の段まですべての複数の打設層21,22,23の全周に亘り型枠振動機4A1~4A3,4B1~4B3,・・・,4H1~4H3を予め設置するので、ある段から次の段へ打設作業を進める際にも型枠振動機4A1~4A3,4B1~4B3,・・・,4H1~4H3の移設が不要となり、作業効率を向上できる。
【0059】
図7は、型枠振動機4の複数段分を制御するシステム1Bの構成例を例示した図である。図7の構成例では、第1~第3の打設層21,22,23の各段の所定の設置位置を共通の一台の型枠振動機4でカバーする。各設置位置にはz方向に沿ってレール11A~11Hが配置され、モータ等の駆動源(図示せず)からの動力によってこのレール11A~11Hに沿って型枠振動機4A~4Hが移動可能とされている。例えば型枠振動機4Aは、レール11Aに沿って打設層21,22,23の各位置を移動する。このような型枠振動機の各段間の移動も制御PC5により制御される。駆動源とレール11A~11Hとが、型枠振動機4A~4Hを複数段の打設層21,22,23の積層方向に沿って移動可能な移動機構として機能する。
【0060】
例えばオペレータが選択ボタン62Aを押した場合、打設層21の打設が行われている場合には、領域2Aに設置される型枠振動機4A,4Bが打設層21の位置で作動される。また、打設層22の打設が行われている場合には、型枠振動機4A,4Bはレール11A,11Bに沿って打設層22の位置まで移動して作動される。打設層23の打設が行われている場合には、型枠振動機4A,4Bはレール11A,11Bに沿って打設層23の位置まで移動して作動される。
【0061】
図7に示すシステム1Bでは、例えば1日で進める予定の段まですべての段に型枠振動機4A~4Hを移動可能に予め設置するので、ある段から次の段へ打設作業を進める際にも型枠振動機4A~4Hの移設を容易にでき、図6のシステム1Aと同様に作業効率を向上できる。また、図6のシステム1Aに比べて一度に設置する型枠振動機4の数を少なくでき、コスト低減を図れる。
【0062】
なお、第1実施形態では、タブレット6の状態表示部63(すなわち制御PC5の制御ウィンドウ)に型枠2と各型枠振動機4A~4Hとをグラフィック表示する構成を例示したが、例えば型枠2の上方にカメラを設置して、型枠2と型枠振動機4A~4Hの全体画像を撮影し、グラフィック表示の代わりに撮影画像をタブレット6の状態表示部63に表示する構成でもよい。この場合、撮影画像には内部振動機3も含まれるので、オペレータは内部振動機3の位置を直接視認しないでタブレット6経由でも把握することが可能となる。したがって、オペレータは型枠2を直接視認できない場所からでもタブレット6を介して締固め作業を確認可能となるので、オペレータの遠隔操作の範囲をより一層拡張できる。
【0063】
なお、第1実施形態では、制御PC5が型枠振動機4A~4Hの制御に関する機能(グループ選択入力部51、表示制御部52、型枠振動機始動制御部53、型枠振動機停止制御部54)をすべて備え、タブレット6を利用してこれらの機能を遠隔操作する構成を例示したが、タブレット6が一部機能を備える構成でもよい。例えば、タブレット6が、グループ選択入力部51と表示制御部52を備え、制御PC5との間で選択情報、作動状態情報の授受を行う構成でもよい。この場合、タブレット6の表示制御部52は、制御PC5から受信した作動状態情報等に基づき操作画面61を自由に作成できる。
【0064】
[第2実施形態]
図8図9を参照して第2実施形態を説明する。図8は、第2実施形態に係る締固め制御システム101の制御ブロック図である。図9は、第2実施形態に係る締固め制御システム101により実施される締固め制御のフローチャートである。
【0065】
図8に示すように、第2実施形態では、制御PC105が、内部振動機3の位置に応じて自動的に、作動させるべき型枠振動機4のグループGR1~GR4を選択する点で、第1実施形態と異なる。制御PC105は、タブレット106からのトリガ信号(第2実施形態では作動順情報)の入力と、内部振動機3の現在位置の情報とに応じて、作動順情報で指定された作動順に従って、グループGR1~GR4の型枠振動機4A~4Hを順番に作動させる。
【0066】
制御PC105は、第1実施形態と異なる機能として、グループ作動順入力部151と、内部振動機位置検出部152と、グループ選択部153とを備える。
【0067】
グループ作動順入力部151は、オペレータが作動させたい型枠振動機4A~4HのグループGR1~GR4の作動順に関する作動順情報を検出する。本実施形態では、例えばタブレット6の選択ボタン62A~62D(図4参照)がオペレータにより押下された順番に基づき、オペレータにより選択された作動順を示す作動順情報が入力される。
【0068】
内部振動機位置検出部152は、内部振動機3の現在位置を検出する。例えば型枠2の上方から型枠2の全体を撮影するカメラを設置し、このカメラ画像から内部振動機3を抽出して型枠2内での内部振動機3の現在位置を算出できる。または、内部振動機3にGPSなどの位置検出手段を取り付けて現在位置を出することもできる。
【0069】
グループ選択部153は、グループ作動順入力部151により検出された作動順情報と、内部振動機位置検出部152により検出された内部振動機3の現在位置情報に基づいて、作動すべき型枠振動機4のグループGR1~GR4を選択する。例えば、内部振動機3が型枠2の領域2A~2Dのいずれかに入っている場合、かつ、作動順情報で指定された作動順に従っている場合に、この領域に設置される型枠振動機4のグループGR1~GR4を選択することができる。
【0070】
また、グループ選択部153は、内部振動機位置検出部152により検出された内部振動機3の現在位置情報に基づいて、型枠2の領域2A~2Dのいずれかに入っていた内部振動機3がこの領域から外れた場合に、選択中のグループGR1~GR4を解除できる。
【0071】
型枠振動機始動制御部53は、グループ選択部153により選択されたグループGR1~GR4がある場合に、そのグループの型枠振動機4を始動する。型枠振動機停止制御部54は、あるグループの型枠振動機4を始動後に、内部振動機3がその領域から外れたことがグループ選択部153により検出された場合に、作動していた型枠振動機4を停止する。
【0072】
表示制御部52は、第1実施形態と同様の作動状態情報に加えて、内部振動機3の型枠2内の位置座標を示す位置情報も用いて、制御ウィンドウ(すなわちタブレット106の状態表示部63)を制御する。例えば、作動状態情報に応じて各型枠振動機4A~4Hの作動・非作動状態を状態表示部63に表示し、また、位置情報に基づき状態表示部63上に内部振動機3の位置を表示する。
【0073】
図9を参照して第2実施形態に係る締固め制御システム101の動作を説明する。ステップS201,S202,S204,S205,S212は、図5のステップS101,S102,S103,S104,S109と同様の処理なので説明を省略する。
【0074】
ステップS203では、オペレータによりタブレット106の選択ボタン62A~62Dを介して、オペレータが作動させたい型枠振動機4A~4HのグループGR1~GR4の作動順が入力される。オペレータの選択ボタン62A~62Dの操作に応じて、制御PC105のグループ作動順入力部151により作動順情報が検出され、検出された作動順情報がグループ選択部153に出力される。
【0075】
ステップS206では、制御PC105のグループ選択部153により、ステップS203にて検出された作動順情報に基づき、次に作動させる型枠振動機4のグループGR1~GR4が選択される。
【0076】
ステップS207では、制御PC105のグループ選択部153により、ステップS206にて選択されたグループGR1~GR4(当該グループ)の型枠振動機4が設置される領域2A~2Dに、内部振動機3が接近しているか否かが判定される。グループ選択部153は、例えば内部振動機位置検出部152により検出された内部振動機3の現在位置の情報に基づき、接近の有無を判定できる。内部振動機3が対象の領域2A~2Dに接近している場合(ステップS207のYes)にはステップS208に進み、接近していない場合(ステップS207のNo)には内部振動機3が対象領域に接近するまで待機する。
【0077】
ステップS208では、ステップS206にて選択された当該グループに内部振動機3が接近しているので、制御PC105の型枠振動機始動制御部53により、当該グループの型枠振動機4が作動される。これにより、内部振動機3が接近している領域に設置されている型枠振動機4が作動して、この領域の締固めが内部振動機3、型枠振動機4の両方で行われる。
【0078】
ステップS209では、制御PC105のグループ選択部153により、当該グループの型枠振動機4が設置される領域2A~2Dから、内部振動機3が離間しているか否かが判定される。グループ選択部153は、例えば内部振動機位置検出部152により検出された内部振動機3の現在位置の情報に基づき、離間の有無を判定できる。内部振動機3が対象の領域2A~2Dから離間している場合(ステップS209のYes)にはステップS210に進み、離間していない場合(ステップS209のNo)には内部振動機3が対象領域から離間するまで待機する。
【0079】
ステップS210では、ステップS206にて選択された当該グループから内部振動機3が離間したので、制御PC105の型枠振動機停止制御部54により、ステップS208にて作動させた当該グループの型枠振動機4が停止される。
【0080】
ステップS208,S210では、表示制御部52により、制御PC105の表示装置の制御ウィンドウ(すなわちタブレット106の状態表示部63)が最新の状態に制御される。例えば、ステップS208,S210にて作動状態に切り替わった型枠振動機4を状態表示部63上で点灯させ、非作動状態に切り替わった型枠振動機4を状態表示部63上で消灯させる。
【0081】
ステップS211では、制御PC105のグループ選択部153により、型枠振動機4A~4HのグループGR1~GR4の中で未だ作動されていないグループがあるか否かが判定される。未作動グループがある場合(ステップS211のYes)には、まだ内部振動機3が作業していない領域が残っているので、ステップS206に戻り、次に作動させる型枠振動機4のグループGR1~GR4が選択される。
【0082】
なお、ステップS207における内部振動機3の当該グループへの接近判定は、当該グループの型枠振動機4が設置される領域2A~2Dに内部振動機3が進入したか否かの判定に置き換えてもよい。同様に、ステップS209における内部振動機3の当該グループからの離間判定は、当該グループの型枠振動機4が設置される領域2A~2Dから内部振動機3が進出したか否かの判定に置き換えてもよい。
【0083】
なお、第2実施形態では、制御PC105が型枠振動機4A~4Hの制御に関する機能(グループ作動順入力部151、内部振動機位置検出部152、グループ選択部153、表示制御部52、型枠振動機始動制御部53、型枠振動機停止制御部54)をすべて備え、タブレット106を利用してこれらの機能を遠隔操作する構成を例示したが、タブレット106が一部機能を備える構成でもよい。例えば、タブレット106が、グループ作動順入力部151と表示制御部52を備え、制御PC105との間で選択情報、作動状態情報、位置情報の授受を行う構成でもよい。この場合、タブレット106の表示制御部52は、制御PC105から受信した作動状態情報、位置情報等に基づき操作画面61を自由に作成できる。
【0084】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0085】
上記実施形態では、コンクリート9の締固め作業において内部振動機3と型枠振動機4とを併用する構成を例示したが、締固め制御システム1,1A,1B,101は、内部振動機3を使用せずに型枠振動機4のみを単独で使用する構成でもよい。この構成でも、上記実施形態と同様に、型枠振動機4の転置や盛換えが不要であり、また、作業員の熟練度の影響を受けずに締固め作業を行えるので、コンクリート9の締固め作業を効率的かつ安定的に行うことができるという効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0086】
1,1A,1B,101 締固め制御システム
2 型枠
3 内部振動機
4,4A~4H,4A1~4A3,4B1~4B3,・・・,4H1~4H3 型枠振動機
5,105 制御PC(制御装置)
6,106 タブレット(操作装置)
9 コンクリート
11A~11H レール(移動機構)
21,22,23 打設層
GR1~GR4 型枠振動機のグループ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9