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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】反転ユニットおよび加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/06 20060101AFI20221215BHJP
   B23Q 1/52 20060101ALI20221215BHJP
   B23Q 1/64 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B23Q3/06 304C
B23Q1/52
B23Q1/64 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018165377
(22)【出願日】2018-09-04
(65)【公開番号】P2020037153
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正弥
(72)【発明者】
【氏名】大澤 寛貴
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-000220(JP,A)
【文献】特許第6292704(JP,B1)
【文献】特開昭48-051385(JP,A)
【文献】実開平01-138534(JP,U)
【文献】特開平05-042484(JP,A)
【文献】特開2010-118426(JP,A)
【文献】特開2018-042894(JP,A)
【文献】特開2019-126456(JP,A)
【文献】特開昭56-069062(JP,A)
【文献】特開平02-311249(JP,A)
【文献】実開平06-046842(JP,U)
【文献】特開平06-246574(JP,A)
【文献】特開平10-315090(JP,A)
【文献】特開2013-184260(JP,A)
【文献】特開2013-184261(JP,A)
【文献】特開2015-071215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0104642(US,A1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2012-0006472(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 5/70-5/88
A61C 13/08
B23Q 1/00-1/76
B23Q 3/00-3/154
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の加工対象物を保持する第1の保持部材と前記第1の加工対象物とは異なる形状の第2の加工対象物を保持する第2の保持部材とを選択的に取り付け可能な反転部材と、
前記反転部材の両端部を支持して、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材の少なくとも何れか一方を取り付けた状態の前記反転部材を工具に対する面を一方側の面から前記一方側の面とは反対側の他方側の面に反転可能とする第1の回転支持部及び第2の回転支持部と、を備え
前記反転部材は、
前記反転部材の一方端側に設けられ、前記第1の回転支持部に取り付けられる第1の取付部と、
前記反転部材の他方端側に設けられ、前記第2の回転支持部に取り付けられる第2の取付部と、
前記反転部材の前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材が取り付けられる前記一方側の面において、前記反転部材の前記一方端側及び前記他方端側のそれぞれに設けられ、前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材を前記反転部材に対して位置決めするための共通の第1のピン及び第2のピンと、を有することを特徴とする反転ユニット。
【請求項2】
前記反転部材は、
前記第1のピンと前記第2のピンが並んだ方向に直交する方向の一方側、かつ、前記一方端側に設けられた第1のネジ穴と、
前記第1のピンと前記第2のピンが並んだ方向に直交する方向の前記一方側とは反対側である他方側、かつ、前記一方端側に設けられた第2のネジ穴と、
前記第1のピンと前記第2のピンが並んだ方向に直交する方向の前記一方側、かつ、前記他方端側に設けられた第3のネジ穴と、
前記第1のピンと前記第2のピンが並んだ方向に直交する方向の前記他方側、かつ、前記他方端側に設けられた第4のネジ穴と、を有することを特徴とする請求項1に記載の反転ユニット。
【請求項3】
前記第1の加工対象物前記第1の保持部材の取り付け部に取り付けられる場合には、前記第1の加工対象物は、前記第1の保持部材を取り付けられた上に押さえ部材によって取り付けることを特徴とする請求項1または2に記載の反転ユニット。
【請求項4】
前記第1の加工対象物の形状は、円形状であり、
前記第2の保持部材の前記第2の加工対象物を保持する部分の形状は、方形状であり、
前記反転部材には、前記第1の加工対象物が前記反転部材の前記一方側の面と前記他方側の面との何れからも露出するような円弧状の部分を有し、且つ、前記方形状が前記反転部材の前記一方側の面と前記他方側の面との何れからも露出するような開口形状が設けられ
前記開口形状は、前記一方側の面から前記他方側の面に向かって見た場合に、前記第2の保持部材が前記反転部材の取り付けられた状態で前記円弧状の部分に前記第2の保持部材が重なるように形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の反転ユニット。
【請求項5】
工具を回転させる主軸と、請求項1~4のいずれか一項に記載の前記反転ユニットを備えた加工装置であって、
前記反転ユニットは、前記工具に対して、前記第1の加工対象物、または、前記第2の加工対象物の表裏を反転させることを特徴とする加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置が加工する加工対象物の加工具に対する面を一方側の面から一方側とは反対側の面に反転する反転ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、歯科用加工機の加工対象物の保持部材には円形状のディスク型に対応する保持部材や、直方体のブロック型に対応する保持部材がある。
【0003】
保持部材が複数の異なる形状の材料を保持するように対応している場合でも、保持部材を加工装置に取り付ける形態は、加工機によって定められている。
【0004】
円形状の被加工物を保持する際、半円状やC形状の物が使われている。特許文献1には、円形状のディスク型の加工対象物の保持部材にC形状のものをもちいて、保持部材に対して加工対象物のディスクを保持する位置に、C形状のブロック型のアダプタを取り付けて、ディスク型、ブロック型の加工対象物を加工できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-42894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の構成では、保持部材に対して加工対象物のディスクを保持する位置に、C形状のブロック型のアダプタを取り付けているため、保持部材に直接、取り付ける加工対象物に対しては、作業性が損なわれる可能性がある。
【0007】
本発明は、ある加工対象物とは異なる形状の他の加工対象物を保持する保持部材を反転する反転ユニットにおいて、加工対象物を取り付ける際の作業性が高い反転ユニットを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の反転ユニットは、第1の加工対象物を保持する第1の保持部材と前記第1の加工対象物とは異なる形状の第2の加工対象物を保持する第2の保持部材とを選択的に取り付け可能な反転部材と、前記反転部材の両端部を支持して、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材の少なくとも何れか一方を取り付けた状態の前記反転部材を工具に対する面を一方側の面から前記一方側の面とは反対側の他方側の面に反転可能とする第1の回転支持部及び第2の回転支持部と、を備え、前記反転部材は、前記反転部材の一方端側に設けられ、前記第1の回転支持部に取り付けられる第1の取付部と、前記反転部材の他方端側に設けられ、前記第2の回転支持部に取り付けられる第2の取付部と、前記反転部材の前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材が取り付けられる前記一方側の面において、前記反転部材の前記一方端側及び前記他方端側のそれぞれに設けられ、前記第1の保持部材及び前記第2の保持部材を前記反転部材に対して位置決めするための共通の第1のピン及び第2のピンと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
ある加工対象物とは異なる形状の他の加工対象物を保持する保持部材を反転する反転ユニットにおいて、加工対象物を取り付ける際の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る加工装置の右斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る加工装置の左斜視図である。
図3】(a)は本発明の実施形態に係るディスク型の加工対象物を取り付ける保持部材を取付板に取り付けた右斜視図である。(b)は本発明の実施形態に係るブロック型の加工対象物を取り付ける保持部材を取付板に取り付けた右斜視図である。
図4】取付板の上面図である。
図5】(a)はディスク型の加工対象物の取り付け方を示す図である。図5(b)はそのブロック型の保持部材の取り付け方を示す図である。
図6】ディスク押さえプレートの着脱方法を示す図である。
図7】ディスクホルダーの部分拡大図である。
図8】ディスクホルダーと加工対象物の厚みの差を示す図である。
図9】(a)はディスクホルダーと位置決めピンの位置を示す図である。(b)はブロック固定プレートと位置決めピンの位置を示す図である。
図10】(a)は取付板の裏面の回転支持部に取り付ける部分を示す図である。図10(b)は取付板を回転支持部に取り付けた状態で下から見た図である。
図11】(a)はディスクホルダーとネジの配置を示す部分拡大図である。図11(b)はディスクホルダーとネジを含んだ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本実施形態の加工装置10の全体構成について、図1及び図2を用いて説明する。
【0012】
加工装置10は、ベース11と、ベース11から鉛直方向に立ち上がるように設けられたコラム12とを備える。コラム12は、Z軸支持部材13を介してZ軸方向(鉛直方向、第1方向)に移動自在に主軸頭16を支持している。ベース11上には、Y軸テーブル14及びX軸テーブル15を介して回転支持部19が設けられている。
【0013】
主軸頭16には、加工手段としての主軸17が設けられており、主軸17には、工具21が工具ホルダを介して着脱自在に取り付けられている。主軸17は、不図示のモータにより回転駆動される。また、主軸頭16は、モータ13aの駆動により第1移動手段としてのZ軸支持部材13と共にコラム12に対してZ軸方向に往復移動(昇降)する。Z軸支持部材13は、例えば、モータ13aの駆動により回転するボールねじに沿って移動する部材であり、主軸頭16を支持しつつ、ボールねじが回転することでZ軸方向に移動する。したがって、主軸頭16に取り付けられた主軸17及び工具21は、Z軸方向に移動自在である。
【0014】
回転支持部19は、例えば、歯科用補綴物など工具21により切削加工される加工対象物としてのワーク20(第1の加工対象物)を、ワーク保持装置100を介して支持する。ワーク保持装置100は、詳しくは後述するが、保持手段としての保持部材400によりワーク20を保持しており、回転支持部19は、保持部材400を回転可能に支持する。
【0015】
上述のように、回転支持部19は、Y軸テーブル14及びX軸テーブル15を介してベース11上に設けられている。第2移動手段としてのY軸テーブル14は、不図示のモータの駆動によりZ軸方向に直交するY軸方向(水平方向、第2方向)に往復移動する。第3移動手段としてのX軸テーブル15は、モータ15aの駆動によりZ軸方向及びY軸方向に直交するX軸方向(水平方向、第3方向)に往復移動する。Y軸テーブル14及びX軸テーブル15は、例えば、モータの駆動により回転するボールねじに沿って移動する部材であり、ボールねじが回転することでそれぞれY軸方向及びX軸方向に移動する。
【0016】
本実施形態では、Y軸テーブル14がベース11に対してY軸方向に往復移動自在に支持されており、X軸テーブル15がY軸テーブル14に対してX軸方向に往復移動自在に支持されている。そして、X軸テーブル15に回転支持部19が固定されている。したがって、回転支持部19は、X軸テーブル15及びY軸テーブル14によりX軸方向及びY軸方向に移動自在である。
【0017】
また、回転支持部19のコラム12側には、工具マガジン18が回転支持部19と一体に設けられている。工具マガジン18には、それぞれ工具ホルダ22と一体に形成された複数種類の工具が保持された状態でX軸方向に沿って並べて配置されている。そして、主軸17に取り付ける工具を交換可能としている。なお、工具ホルダ22は、主軸17に保持される部分で、工具と一体に形成されていても良いし、別体に形成されていても良い。
【0018】
なお、本実施形態では、チャック付の工具21を工具ホルダ22に取り付けた上で、主軸17の工具保持用のチャック部が工具ホルダ22を介して保持する2重チャックの構成となっている。但し、主軸17に直接工具を取り付けても良い。工具の交換は、作業者が行っても良いし、加工装置10により自動で行っても良い。
【0019】
工具の交換を自動で行う場合には、X軸テーブル15及びY軸テーブル14により工具マガジン18の工具21が入っていない空きスペースを主軸17の下方に移動させる。そして、Z軸支持部材13により主軸17を下降させ、主軸17に設けられたチャックなどの着脱装置を動作させることで、主軸17に取り付けられている工具21を外して工具マガジン18の空きスペースに工具21を配置する。次いで、Z軸支持部材13により主軸17を上昇させると共に、X軸テーブル15により工具マガジン18の交換したい工具21が配置されている位置を主軸17の下方に移動させる。そして、再度、Z軸支持部材13により主軸17を下降させ、着脱装置を動作させることで、主軸17に交換したい工具21を装着する。なお、工具21は、例えば、ドリルやエンドミルである。
【0020】
このような加工装置10によりワーク20を加工する場合には、工具21が取り付けられた主軸17を回転させつつ、Z軸支持部材13により主軸17を昇降させることで、ワーク20の加工面(上面)を工具21により切削する。この際、X軸テーブル15及びY軸テーブル14により、ワーク保持装置100を介してワーク20を支持する回転支持部19を移動させつつ、主軸17を昇降させることで、ワーク20の加工面の任意の位置を切削加工可能である。
【0021】
また、本実施形態の加工装置10は、コンピュータ制御により自動加工を行うNC加工装置である。具体的には、パーソナルコンピュータなどの外部端末を用いてCAD/CAMシステムにより加工データを作成し、このデータに基づいて数値制御によりワーク20の加工を行う。このために、加工装置10には、加工装置10に指令を行うパーソナルコンピュータなどの外部端末が接続される。なお、加工装置10自体に、数値制御が可能なCPUやメモリを搭載したコンピュータが設けられていても良い。
【0022】
例えば、加工装置10により歯科用補綴物の作成を行う場合、3次元計測器で計測した歯科用補綴物のデータをCAD/CAMシステムに転送し、CAD/CAMシステムにより加工データを作成する。そして、この加工データに基づいて、加工装置10を制御してワーク20を工具21により切削加工することで、歯科用補綴物を作成する。
【0023】
ここで、このような切削加工を行った場合、切粉などの屑が生じる。特に、ワーク20が例えば、セラミックなどの原料となる粉末を固めることで成型され、焼結されていない材料により形成された歯科用補綴物の場合には、粉塵状の切粉が生じる。そして、切粉が舞うことで、主軸17などに付着して装置に故障が生じる虞がある。そこで、本実施形態では、ワーク20を保持するワーク保持装置100を以下のように構成している。
【0024】
また、ワーク保持装置100は、流体を作用させるために、図1に示すように、集塵ホース203を介して集塵機202に接続されている。また、ワーク保持装置100は、流体を作用せるために図2に示すように、エアチューブ201を介してコンプレッサ200に接続されている。
【0025】
次に、本実施形態における反転ユニットについて説明する。
図3(a)に示すディスククランプユニット400は、両端が支持されて回転支持部19に取り付けられる下層部品となる取付板401(反転部材)に他の部品が取り付けられる。ディスク型の加工対象物を取り付ける場合には、ディスク型の加工対象物の周囲を保持する中層部品のディスクホルダー402、ディスク型の加工対象物を上から押さえて固定する押さえ部材となる上層部品のディスク押さえプレート403により構成されている。取付板401が回転支持部19に取り付けられ、不図示のモータの駆動力によって工具に対する面を一方面側から一方面側とは反対側の他の面に反転する反転部材として機能する。すなわち、反転部材は、取り付けられたワークを180°回転させて、工具に対するワークの加工される面の表裏を反転させる。保持部材を回転させる部材が回転して保持部材の位置が定まり、共通な部材としての保持部材に対して、ブロック型の加工対象物と、ディスク型の加工対象物との取り付けられた、いずれか一方の加工対象物が位置決めされる。そのため、本実施形態の反転ユニットを用いると、従来のように、保持部材に対して加工対象物のディスクを保持する位置に、C形状のブロック型のアダプタを取り付けるよりも加工安定性が高い。また、従来のように片持ち支持よりも、本実施形態のように両持ち支持にすることでも、加工安定性が高く、環状の取付部材を用いるため、さらに取付部材の姿勢が安定する。
【0026】
また、図3(b)は取付板401に、複数のブロック型の加工対象物504(第2の加工対象物)を保持する保持部材であるブロック固定プレート500が取り付けられることを示している。ブロック固定プレート500に彫られている数字は保持できる加工対象物の数であり、その数字の下に加工対象物504が取り付けられる。加工対象物は材料取付穴502に差し込まれ、止めネジ501で上から固定される。回り止めピン503は加工対象物504のくぼみに入り、加工する際に加工対象物504が回転することを防いでいる。
【0027】
図4において取付板401の構造を示している。ブロック固定プレート500の開口形状とディスクホルダー402の開口形状とを重ねた形状、すなわち、方形状と円形状を重ね合わせた開口部404が設けられている。これにより、2種類の保持部材の加工を省スペースで実現することを可能にしている。また、4箇所のネジ穴611の位置は、ディスクホルダー402とブロック固定プレート500ともに同じである。また、2箇所の平行ピン穴621の位置も同じであり、2種の保持部材の取り付けの共通ができる(図9参照)。円形状の加工対象物の保持部材と方形状の加工対象物の保持部材が両方取り付けられる。この考えの位置決め固定であれば、2種類だけでなく、これ以外の複数の保持部材の共通化ができる。
【0028】
図5(a)においてディスククランプユニット400にワーク20を取り付ける際の作業手順を示す。手順は2パターンあり、1つはまず取付板401にディスクホルダー402を組んでネジ601で固定する。それからワーク20をディスクホルダー402に入れ、ディスク押さえプレート403とネジ602で上から固定する。2つ目はまず、ディスクホルダー402にワーク20を入れて、ディスク押さえプレート403とネジ602で固定し、その後取付板401に取り付ける。この2つ目の方法ならば、加工機の外部においてワーク20の着脱が可能になる。両方の取り付け方法で着脱が可能である。ブロック固定プレート500にブロック型の加工対象物504を取り付ける場合も同様に、装置の内外で取り付けが可能となる。このように、本発明の実施形態によれば、取り付ける加工対象物に対して、作業性の良い取り付け方法を選択することができる。
【0029】
また、ワーク20の位置決めは長径部分20(a)であり、ディスクホルダー402とのガタつきが出ないようにしている。それから、図5(b)において、ディスクホルダーの下部406は、取付板401の開口部に入り込む形状になっている。これにより大まかな位置が決まるので、ネジの締結作業が容易になる。
【0030】
図6においてディスク押さえプレート403は回転して取り外せることを示している。これは部品の穴の形状により成り立っている。加工対象物固定時は穴の径の小さい部分がネジ602により押さえつけられ、加工対象物も同時に上から押さえられるという構造になっている。外す際はネジ602を、緩めて、ディスク押さえプレート403を穴の径の大きい部分に到達するまで回転させるだけで、上に外すことができる。取り付ける際はネジを緩める側と逆に回転させる。また、この部品は反転しても同様に使用することができる。これにより利き腕に関わらず、使いやすい面で使用することができる。
【0031】
図7~8において本発明により考案されたディスクホルダー402の構造について示している。指が入る半円状の穴(ディスクホルダー指入れ穴405)を2箇所設けている(図7)。この穴を利用して、ディスク型の被加工物を取り外しやすくしている。本実施例は2箇所だが、それ以上設けても構わない。さらにZ軸方向の厚みは加工対象物の厚みよりもわずかに薄くしている。Dはワーク20とディスクホルダー402の厚みの差である(図8)。これにより、ディスク押さえプレート403が機能を果たすようにしている。また、このディスクホルダー402は樹脂部品であり軽く、金属製に比べて使いやすく、かつ面取りをしてRをとり、ユーザーが手を傷つけたりするリスクを減らせる。ディスクホルダー402は強度を重視する場合は金属製でも良い。
【0032】
図10は取付板401の回転支持部19への取付部の構造を示している。図10(a)はその取付部の形状を示している。裏面の取付部を凹状(407)にし、角を円形にして加工ニゲを設け、位置決めや取付を容易にしている。図10(b)は回転支持部19に取付板401を取り付けて下から見た状態を示している。
【0033】
図11は保持部材を取り付けるネジの構造を示している。ネジの頭を座ぐり形状にせず、部品から出た状態にする事でネジ穴部に粉塵が入り込むのを防ぐことができる。粉塵が邪魔をしてネジがつけられなくなることがない。図11(b)は図11(a)の断面線A-Aで切られた断面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 加工装置
19 回転支持部
20 ワーク(円形状の加工対象物)
20(a) ワーク長径部分
21 工具
100 ワーク保持装置(加工対象物保持装置)
400 ディスククランプユニット
401 取付板(反転部材)
402 ディスクホルダー(第1の保持部材)
403 ディスク押さえプレート
404 開口部(取付板)
405 ディスクホルダー指入れ穴
406 ディスクホルダー下部
407 取付板裏面形状(凹部)
500 ブロック固定プレート(第2の保持部材)
501 止めネジ
502 材料取付穴
503 回り止めピン
504 方形状の加工対象物
601 ネジ(保持部材取付)
602 ネジ(上層部品取付)
611 ネジ穴(保持部材取付)
612 ネジ穴(回転支持部取付)
620 平行ピン
621 平行ピン穴

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11