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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】キャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/18 20130101AFI20221215BHJP
   H01G 11/06 20130101ALI20221215BHJP
   H01G 11/60 20130101ALI20221215BHJP
   H01G 11/62 20130101ALI20221215BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H01G11/18
H01G11/06
H01G11/60
H01G11/62
H02J7/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018176052
(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020047830
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】307037543
【氏名又は名称】武蔵エナジーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 裕
(72)【発明者】
【氏名】青野 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】白井 敦史
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-207331(JP,A)
【文献】国際公開第2016/009994(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/155496(WO,A1)
【文献】特開2011-113688(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/00-11/86
H01M 4/00-4/62
H01M 10/05-10/0587
H01M 10/36-10/39
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極及び電解質を備え、
前記負極が、リチウムイオンが予めドープされた負極であり、
下記式(1)により求められるエントロピー変化ΔSEの平均値が82J/K・mol以上であるリチウムイオンキャパシタ。
ΔSEの平均値=(ΔS3.8+ΔS3.0+ΔS2.2)/3 (1)
[式(1)において、ΔS3.8、ΔS3.0及びΔS2.2はそれぞれ、下記式(1-1)で算出される。]
ΔSE=-9.65×104(C/mol)×ΔV0/ΔT (1-1)
[式(1-1)において、
ΔSEはΔS3.8、ΔS3.0又はΔS2.2のいずれかであり、
ΔV0/ΔTは、25℃の恒温槽内においてリチウムイオンキャパシタの電圧がE(V)になるよう10Cの電流値で調整したリチウムイオンキャパシタを、温度T=20℃、22℃、24℃、26℃、28℃又は30℃の恒温槽にそれぞれ所定の時間放置した後の開回路電圧V0を測定し、横軸をT(K)、縦軸を開回路電圧V0(V)として前記測定結果をプロットしたグラフにおいて、最小二乗法により求められる直線の傾きを意味する。
前記ΔS3.8は、前記E(V)を3.8Vにした場合のエントロピー変化であり、
前記ΔS3.0は、前記E(V)を3.0Vにした場合のエントロピー変化であり、
前記ΔS2.2は、前記E(V)を2.2Vにした場合のエントロピー変化である。
前記所定の時間とは、下記A及びBのうち長い方の時間を意味する。
A:25℃の恒温槽内において、10Cの電流値で24時間定電流定電圧充電を行うことにより、リチウムイオンキャパシタの電圧を3.8Vになるよう調整したリチウムイオンキャパシタを、20℃の恒温槽中に放置した際に、放置開始から開回路電圧が最大値を示すまでに要した時間(分)
B:リチウムイオンキャパシタの静電容量が2000F未満の場合は30分、2000F以上の場合は静電容量(F)/2000×60(分)]
【請求項2】
フルオロリン酸リチウムを含む電解液を備える、請求項に記載のリチウムイオンキャパシタ。
【請求項3】
前記電解液がスルトン類を更に含む、請求項に記載のリチウムイオンキャパシタ。
【請求項4】
前記エントロピー変化ΔSEの平均値が200J/K・mol以下である、請求項のいずれか1項に記載のリチウムイオンキャパシタ。
【請求項5】
前記正極が正極活物質として活性炭を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のリチウムイオンキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池などの蓄電デバイスは、小型でエネルギー密度が高く、ポータブル電子機器の電源として広く用いられている。そして、更なるエネルギー密度の向上とともに信頼性、安全性の向上を目指した研究開発が盛んに行なわれている。
【0003】
ところで、リチウムイオン電池の信頼性、安全性を向上するには、充放電時の発熱量を制御することが重要であることが知られている。かかる課題に対し、特許文献1では、充電時又は放電時のエントロピー発熱が負となるリチウム容量範囲が広くなるような電極合剤層を含む電極を備えるリチウムイオン電池が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/155496号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているリチウムイオン電池を急速充電する場合、信頼性(劣化し難さ)、安全性が不十分であることが分かった。電池やキャパシタなどの蓄電デバイスの放電速度は、使用用途等で異なる一方、急速充電することは蓄電デバイス全般に要求されている。このため、急速充電を繰り返しても信頼性、安全性に問題が生じない蓄電デバイスが求められるが、リチウムイオン電池では、電極の構成上、かかる課題を解決することが困難であることが分かった。
【0006】
本発明は、前記課題に鑑み、繰り返し急速充電を行っても、信頼性、安全性に問題が生じない蓄電デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情に鑑み、本発明者らが鋭意研究を行ったところ、従来の蓄電デバイスより、充電時のエントロピー変化量が大きいキャパシタとすることにより、充放電過程全体として蓄電デバイスの発熱に伴う温度上昇を抑制でき、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の一実施形態に係るキャパシタ(以下「本キャパシタ」ともいう。)は、下記式(1)により求められるエントロピー変化ΔSEの平均値が82J/K・mol以上であることを特徴とする。
なお、リチウムイオン電池ではあるが、前記特許文献1の図14から見積もる限り、特許文献1に開示されているリチウムイオン電池の前記ΔSEの平均値は、20J/K・mol程度である。
【0009】
ΔSEの平均値=(ΔSEa+ΔSEb+ΔSEc)/3 (1)
前記式(1)において、ΔSEa、ΔSEb及びΔSEcはそれぞれ、下記式(1-1)で算出される。
【0010】
ΔSE=-n×9.65×104(C/mol)×ΔV0/ΔT (1-1)
前記式(1-1)において、
ΔSEはΔSEa、ΔSEb又はΔSEcのいずれかであり、
nは電極反応に関与する電荷数であり、
ΔV0/ΔTは、25℃の恒温槽内においてキャパシタの電圧がE(V)になるよう10Cの電流値で調整したキャパシタを、温度T=20℃、22℃、24℃、26℃、28℃又は30℃の恒温槽にそれぞれ所定の時間放置した後の開回路電圧V0を測定し、横軸をT(K)、縦軸を開回路電圧V0(V)として前記測定結果をプロットしたグラフにおいて、最小二乗法により求められる直線の傾きを意味する。
前記ΔSEaは、前記E(V)を「定格電圧の上限値」にした場合のエントロピー変化であり、前記ΔSEbは、前記E(V)を「定格電圧の下限値」にした場合のエントロピー変化であり、前記ΔSEcは、前記E(V)を「(前記上限値+前記下限値)/2」にした場合のエントロピー変化である。
なお、9.65×104(C/mol)は、ファラデー定数である。
【0011】
前記所定の時間とは、下記A及びBのうち長い方の時間を意味する。
A:25℃の恒温槽内において、10Cの電流値で24時間定電流定電圧充電を行うことにより、キャパシタの電圧をその定格電圧の上限値になるよう調整したキャパシタを、20℃の恒温槽中に放置した際に、放置開始から開回路電圧が最大値を示すまでに要した時間(分)
B:キャパシタの静電容量が2000F未満の場合は30分、2000F以上の場合は静電容量(F)/2000×60(分)
【発明の効果】
【0012】
本キャパシタは、充電時のエントロピー変化に伴う吸熱量が従来の蓄電デバイスより大きいため、繰り返し急速充電を行っても劣化し難く、しかも安全性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪キャパシタ≫
本キャパシタとしては特に限定されないが、電気化学キャパシタであることが好ましい。電気化学キャパシタは、電極の界面において、電極と電解質中のイオンとの間で電子の授受を伴わない非ファラデー反応、又は、電子の授受を伴うファラデー反応に起因して発現する容量を利用したキャパシタである。
電気化学キャパシタとしては、電気二重層キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ、レドックスキャパシタ等が挙げられるが、ハイブリッドキャパシタが好ましい。ハイブリッドキャパシタとしては、例えば、ナトリウムイオンキャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、マグネシウムイオンキャパシタが挙げられ、これらの中でも特にリチウムイオンキャパシタが好ましい。
【0014】
<エントロピー変化ΔSEの平均値>
本発明において、定格電圧とは、キャパシタを使用する際、安定して使用できる電圧の上下限値であり、市販のキャパシタであれば、カタログや仕様書に記載されている定格電圧を意味する。リチウムイオンキャパシタの場合、定格電圧は、通常2.2V-3.8Vである。
【0015】
前記ΔSEを測定するに際し、先ず、前記所定の時間(放置時間)を以下の方法で測定し、下記A及びBで得られた時間のうち長い方の時間を決定する。
A:25℃の恒温槽内において、10Cの電流値で24時間定電流定電圧(以下「CCCV」ともいう。)充電を行うことにより、キャパシタの電圧を、該キャパシタの定格電圧の上限値になるよう調整した後、恒温槽の温度を20℃にし、該20℃の恒温槽中に放置した際に、放置開始から開回路電圧が最大値を示すまでに要した時間(分)を測定する。
B:キャパシタの静電容量が2000F未満の場合は30分とし、該静電容量が2000F以上の場合は、静電容量(F)/2000×60(分)とする。
【0016】
なお、キャパシタの静電容量は、該キャパシタをその定格電圧の上限値から下限値に放電した際に求められる静電容量である。
【0017】
前記所定の時間(放置時間)を測定又は決定した後、以下のようにΔV0/ΔTを算出する。
25℃の恒温槽内において、キャパシタの電圧が所定電圧E(V)になるよう10Cの電流値で調整し、調整後のキャパシタを、温度T=20℃、22℃、24℃、26℃、28℃又は30℃の恒温槽にそれぞれ所定の時間放置した後の開回路電圧V0を測定し、横軸をT(K)、縦軸を開回路電圧V0(V)として測定結果をプロットしたグラフにおいて、最小二乗法により求められる直線の傾き(ΔV0/ΔT)を算出する。
【0018】
より具体的には先ず、25℃の恒温槽内において、10Cの電流値で24時間CCCV充電を行うことにより、E(V)が定格電圧の上限値になるよう調整する。そして、調整後のキャパシタを、T=30℃の恒温槽に所定の時間放置した後のV0を測定する。続いて、恒温槽内の温度を25℃に変更し、10Cの電流値で24時間CCCV放電を行うことにより、E(V)が定格電圧の下限値になるよう調整する。そして、調整後のキャパシタを、T=30℃の恒温槽に所定の時間放置した後のV0を測定する。T=28℃、26℃、24℃、22℃及び20℃においても同様の操作を繰り返すことにより、E(V)を定格電圧の上限値にした場合と下限値にした場合について、ΔV0/ΔTを算出する。
【0019】
次に、恒温槽内の温度を25℃に変更し、10Cの電流値で24時間CCCV充電を行うことにより、E(V)が「(定格電圧の上限値+定格電圧の下限値)/2」になるよう調整する。そして、調整後のキャパシタを、T=30℃の恒温槽に所定の時間放置した後のV0を測定する。続いて、10Cの電流値で24時間CCCV放電を行うことにより、E(V)が定格電圧の下限値になるよう調整する。その後、恒温槽内の温度を25℃に変更し、10Cの電流値で24時間CCCV充電を行うことにより、E(V)が「(定格電圧の上限値+定格電圧の下限値)/2」になるよう調整する。そして、調整後のキャパシタを、T=28℃の恒温槽に所定の時間放置した後のV0を測定する。T=26℃、24℃、22℃及び20℃においても同様の操作を繰り返すことにより、E(V)を「(定格電圧の上限値+定格電圧の下限値)/2」にした場合について、ΔV0/ΔTを算出する。
【0020】
キャパシタは、電池と同様に、充放電反応に伴い、発熱又は吸熱する。
大島孝昌ら、「小型リチウムイオン二次電池の急速充放電時の発熱挙動」、電気学会論文誌B、2004年、124巻、12号、p.1521-1527を参考にすると、この反応における吸発熱は、理想的な可逆状態の場合、定温定圧下における熱力学的関係式ΔG=ΔH-TΔSにおけるTΔSに関係する。このため、本発明では、吸発熱因子として、エントロピー変化ΔSを考慮する。
ここで、ギブズエネルギー変化とエントロピー変化の関係式[-ΔS=δ(ΔG)/ΔT]及びギブズエネルギー変化と電池の起電力との関係式[-ΔG=nFE]から、ΔSは下記式で表すことができる。
ΔS=n・F・(ΔE/ΔT)
[n:電極反応に関与する電荷数、F:ファラデー定数(C/mol)、E:電池の起電力(V)]
【0021】
前記電池の起電力Eを開回路電圧V0(V)に近似できるとすると、キャパシタの充電時のエントロピー変化に伴う熱量は、近似的に下記式(1-1)で表すことができる。
ΔSE=-n・9.65×104・(ΔV0/ΔT) (1-1)
【0022】
式(1-1)におけるnは、例えば、1価のイオンであるリチウムイオンやナトリウムイオンが電極反応に関与する場合、n=1となり、2価のイオンであるマグネシウムイオンが電極反応に関与する場合、n=2となる。この式(1-1)に、前記で算出したΔV0/ΔTを代入することで、所定電圧E(V)におけるΔSEを算出できる。
【0023】
なお、本発明では、前記所定電圧E(V)として、「定格電圧の上限値」、「定格電圧の下限値」及び「(前記上限値+前記下限値)/2」を採用し、電圧Eがこれらそれぞれの場合のΔSEa、ΔSEb及びΔSEcを用いて、下記式(1)により平均値を算出した。本発明者らは、この平均値を82J/K・mol以上にすることで、繰り返し急速充電を行っても、信頼性、安全性に問題が生じないキャパシタを提供できることを見出した。
ΔSEの平均値=(ΔSEa+ΔSEb+ΔSEc)/3 (1)
【0024】
本キャパシタがリチウムイオンキャパシタである場合、前記「定格電圧の上限値」、「定格電圧の下限値」及び「(前記上限値+前記下限値)/2」は、それぞれ、3.8V、2.2V及び3.0Vであることが好ましい。この場合、ΔSEa=ΔS3.8、ΔSEb=ΔS2.2、ΔSEc=ΔS3.0、であり、前記式(1)は下記式の通りとなる。
ΔSEの平均値=(ΔS3.8+ΔS2.2+ΔS3.0)/3
【0025】
ΔSEの平均値の下限値は、好ましくは83J/K・mol、さらに好ましくは84J/K・mol、特に好ましくは85J/K・molである。一方、ΔSEの平均値の上限値は、好ましくは200J/K・mol、特に好ましくは150J/K・molである。
前記平均値が82J/K・mol未満であると、所望の効果が得られないおそれがある。一方、前記平均値が大きくなり過ぎると、放電時の発熱が大きくなり過ぎるため、充放電を繰り返すとキャパシタセルが劣化し易くなるおそれがある。
【0026】
前記平均値の値に大きく影響する因子としては、後述する正極活物質、負極活物質及び電解質の組み合わせが挙げられる。これらの因子を調整することにより、前記平均値を所定の範囲にすることができる。
【0027】
<キャパシタの構成>
本キャパシタは、通常、正極、負極及び電解質を備える。
【0028】
[正極]
前記正極は、通常、正極活物質を含む。
正極活物質としては特に限定されないが、陰イオンを吸蔵・放出可能な正極活物質が好ましく、活性炭、カーボンナノチューブがより好ましい。
前記正極に用いる正極活物質は、1種でもよいし、2種以上でもよい。
【0029】
前記正極としては、例えば、正極集電体上に前記正極活物質を含む正極活物質層が形成された積層体が挙げられる。
前記正極活物質層は、通常、正極活物質及びバインダー等を含有するスラリーを調製し、これを集電体上に塗布し、乾燥させることにより製造することができる。
また、前記正極は、導電層を有していてもよい。
【0030】
正極に用いられる正極集電体としては、アルミニウム、ステンレス等の板状体が好ましく、表裏面を貫通する貫通孔を有していてもよい。
正極集電体の厚みは、通常10~50μmである。
【0031】
前記バインダーとしては、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、NBR等のゴム系バインダー;ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、特開2009-246137号公報に開示されているようなフッ素変性(メタ)アクリル系バインダー等のフッ素系バインダー;ポリプロピレン;ポリエチレンを挙げることができる。
前記バインダーは、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0032】
正極活物質層は、更に、カーボンブラック、炭素繊維、黒鉛、金属粉末等の導電剤;カルボキシルメチルセルロース(CMC)、そのNa塩又はアンモニウム塩、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等の増粘剤などを含んでいてもよい。
これらは、1種を用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0033】
前記正極活物質層に含まれ得るバインダー、増粘剤等の高分子成分の使用量は、正極活物質100質量部に対して好ましくは1~20質量部、特に好ましくは2~15質量部である。
【0034】
[負極]
本キャパシタにおける負極は、通常、負極活物質を含む。
負極活物質としては特に限定されないが、陽イオンを吸蔵・放出可能な負極活物質が好ましく、特にリチウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質が好ましい。より具体的には、黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、黒鉛粒子をピッチや樹脂の炭化物で被覆した複合炭素材料等の炭素材料;リチウム、ナトリウム又はマグネシウムと合金化が可能な金属若しくは半金属又はこれら金属若しくは半金属の酸化物を含む材料;チタン酸リチウムが好ましい。
前記負極に用いる負極活物質は、1種でもよいし、2種以上でもよい。
【0035】
負極としては、前記正極と同様、例えば、負極集電体上に前記負極活物質を含む負極活物質層が形成された積層体が挙げられる。
負極に用いられる負極集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス等の板状体が好ましく、表裏面を貫通する貫通孔を有していてもよい。
負極集電体の厚みは、通常10~50μmである。
負極活物質層は、正極と同様、バインダーやその他の成分を含んでいてもよく、それらの具体例や使用量は、前記正極の場合と同様である。
【0036】
[電解質]
前記電解質としては特に限定されないが、リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、有機オニウム塩等が挙げられ、中でもリチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩が好ましい。
電解質を構成するアニオン部としては、例えば、PF6 -、PF3(C253 -、PF3(CF33 -、BF4 -、BF2(CF)2 -、BF3(CF3-、B(CN)4 -、N(FSO22 -、N(CF3SO22 -、N(C25SO22 -、Cl-、Br-、ClO4 -が挙げられる。
前記電解質は、1種を使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
【0037】
電解質は、通常、溶媒中に溶解された電解液の状態で用いられる。電解質を溶解させるための溶媒としては、非プロトン性の有機溶媒が好ましい。非プロトン性の有機溶媒として、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホランが挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
粘度が低く、イオン伝導度が高い電解液が得られる等の点から、前記溶媒として、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒を用いることが好ましい。
【0038】
前記電解液中の電解質の濃度は、電解液による内部抵抗を小さくするため、0.1モル/L以上であることが好ましく、0.5~1.5モル/Lであることがより好ましい。なお、電解質は、ゲル状又は固体状であってもよい。この場合、電解質の漏液を抑制することができる。
【0039】
本キャパシタがリチウムイオンキャパシタである場合、フルオロリン酸リチウム(モノフルオロリン酸リチウム及びジフルオロリン酸リチウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種)を含む電解液を使用することが好ましい。フルオロリン酸リチウムの含有割合の下限値は、電解液中、好ましくは0.01質量%、特に好ましくは0.05質量%である。一方、フルオロリン酸リチウムの含有割合の上限値は、電解液中、好ましくは10質量%、さらに好ましくは5質量%、特に好ましくは3質量%である。
【0040】
本キャパシタがリチウムイオンキャパシタである場合、電解液には更にスルトン類を添加することが好ましい。スルトン類は、1種を使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
なお、スルトン類は、キャパシタの充放電に伴い分解することがあるが、本明細書では、キャパシタを作製する際に用いる電解液がスルトン類を含めば、電解液がスルトン類を含むという。
【0041】
前記スルトン類としては、例えば、下記式(B)や(C)で表される化合物が挙げられる。
【0042】
【化1】
【0043】
式(B)中、RB1~RB6はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子によって置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、nは0~3の整数である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましく、炭素数1~6のアルキル基としては、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、nとしては、1~3が好ましく、1~2がより好ましく、1が特に好ましい。
【0044】
【化2】
【0045】
式(C)中、RC1~RC4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はハロゲン原子によって置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基であり、nは0~3の整数である。
これらハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基及びnの好ましい例示は、式(B)中の好ましい例示と同様である。
【0046】
前記スルトン類としては、プロパンスルトン、1-プロペン1,3-スルトンが好ましい。
【0047】
スルトン類を用いる場合、該スルトン類の電解液への添加量の下限値は、電解液100質量%に対して、好ましくは0.01質量%である。一方、スルトン類の電解液への添加量の上限値は、電解液100質量%に対して、好ましくは10質量%、さらに好ましくは5質量%、特に好ましくは2質量%である。なお、この添加量は、キャパシタを作製する際に用いる電解液への添加量のことをいう。
【0048】
電解質が電解液の状態で用いられる場合、正極と負極の間には、通常、正極と負極とが物理的に接触しないように、セパレータが用いられる。
該セパレータとしては、例えば、セルロースレーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド等を原料とする不織布又は多孔質フィルムを挙げることができる。
【0049】
キャパシタの構造としては、例えば、板状の正極と負極とがセパレータ又はゲル状若しくは固体状の電解質を介して積層された積層体が外装フィルム内等に封入された積層型セル、帯状の正極と負極とがセパレータ又はゲル状若しくは固体状の電解質を介して捲回された積層体が角型又は円筒型等の容器に収納された捲回型セルを挙げることができる。
また、キャパシタの構造として、板状の集電体の一方の面に正極が、他方の面に負極が形成された電極が、セパレータを介して積層されている、双曲(バイポーラ)型セルを挙げることもできる。
特に、キャパシタの構造が角型又は円筒型等の容器に収納された捲回型セルである場合、発熱の影響を受けやすいため、本キャパシタが好適である。
【0050】
本キャパシタがリチウムイオンキャパシタである場合、負極に対してリチウムイオンが予めドープされていることが好ましい。リチウムイオンを予めドープする方法については、例えば、国際公開第1998/033227号、国際公開第2000/007255号を参照すればよい。
【実施例
【0051】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されない。
【0052】
[実施例1]
<正極の作製>
比表面積が2000m2/gである市販の活性炭粉末92質量部、アセチレンブラック粉末6質量部、アクリル系樹脂バインダー7質量部、CMC4質量部及び水200質量部を撹拌混合し、スラリーを調製した。
気孔率47%、厚さ38μmのアルミニウム製エキスパンドメタル(正極集電体)の両面に非水系のカーボン系導電塗料をロールコーターにて塗工した後、真空乾燥し、全厚さ52μmの導電層付き正極集電体を得た。この導電層付き正極集電体の両面に、前記スラリーをロールコーターにて塗工した後、真空乾燥し、全厚さ200μmの積層体を得た。なお、正極集電体の表裏面とも、導電層及び正極活物質層が積層された部分(以下、「塗工部」ともいう。)と、いずれの層も形成されてない部分(以下、「未塗工部」ともいう。)が生じるように導電層及び電極層を形成した。なお、塗工部における正極集電体の貫通孔は、導電層によりほぼ閉塞されていた。このようにして得られた積層体を、塗工部が98mm×126mm、未塗工部が98mm×15mmの大きさになるように、98mm×141mmの大きさに切断することにより、正極を作製した。
【0053】
<負極の作製>
平均粒径4μmの黒鉛粉末100質量部と軟化点110℃、メソフェーズ量(QI(キノリン不溶分)量)13%の光学的等方性ピッチ50質量部とを加熱ニーダーで混捏し、これを非酸化性雰囲気下800℃で焼成した。得られた焼成物を平均粒子径が8μmになるように粉砕し、再度非酸化性雰囲気下にて1000℃で焼成し、負極活物質を得た。得られた負極活物質92質量部、アセチレンブラック粉末6質量部、SBR5質量部、CMC3質量部及び水200質量部を撹拌混合し、スラリーを調製した。得られたスラリーを、気孔率57%、厚さ32μmの銅製エキスパンドメタルからなる負極集電体の両面にロールコーターにて塗工した後、真空乾燥し、全厚さ80μmの積層体を得た。このようにして得られた積層体を、塗工部が100mm×128mm、未塗工部が100mm×15mmの大きさになるように、100mm×143mmの大きさに切断することにより、負極を作製した。
【0054】
<リチウムイオンキャパシタ要素の作製>
先ず、正極10枚、負極11枚、厚みが50μmのセパレータ22枚を用意し、正極と負極とを、それぞれの塗工部は重なるが、それぞれの未塗工部は反対側になり重ならないよう、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順で積重し、得られた積重体の4辺をテープにより固定することにより、電極積重体を作製した。次いで、厚み100μmのリチウム箔を切断し、厚さ40μmのステンレス網に圧着させることにより、リチウムイオン供給部材を作製し、このリチウムイオン供給部材を電極積重体の一方にセパレータを介して負極と対向するよう配置することで電極積層ユニットを得た。そして、作製した電極積層ユニットの10枚の正極の各々の未塗工部に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した、幅50mm、長さ50mm、厚さ0.2mmのアルミニウム製の正極用電源タブを重ねて超音波溶接した。一方、電極積層ユニットの11枚の負極の各々の未塗工部及びリチウムイオン供給部材に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した幅50mm、長さ50mm、厚さ0.2mmの銅製の負極用電源タブを重ねて抵抗溶接した。以上のようにして、リチウムイオンキャパシタ要素を作製した。
【0055】
<リチウムイオンキャパシタの作製>
次いで、ポリプロピレン(PP)層、アルミニウム層及びナイロン層が積層されており、寸法が125mm(縦幅)×160mm(横幅)×0.15mm(厚み)で、中央部分に、105mm(縦幅)×140mm(横幅)の絞り加工が施された上部外装フィルム(接合部となる外周縁部の幅が10mm)と、PP層、アルミニウム層及びナイロン層が積層されており、寸法が125mm(縦幅)×160mm(横幅)×0.15mm(厚み)の下部外装フィルムとを作製した。次いで、下部外装フィルム上における収容部となる位置に、リチウムイオンキャパシタ要素を、その正極用電源タブ及び負極用電源タブの各々が、下部外装フィルムの端部から外方に突出するよう配置し、このリチウムイオンキャパシタ要素に、上部外装フィルムを重ね合わせ、上部外装フィルム及び下部外装フィルムの外周縁部における三辺(正極用電源タブ及び負極用電源タブが突出する2辺及び長手方向の1辺)を熱融着することにより、当該三辺に収容部を取り囲む接合部を形成した。
【0056】
非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジメチルカーボネート(体積比で、それぞれ、3:4:3)の混合溶媒を用い、濃度1.2mol/LのLiPF6を含む溶液を調製した後に、添加剤(ジフルオロリン酸リチウム)を電解液に対し0.5質量%加え、電解液とした。
【0057】
次いで、前記外装フィルム間の収容部に、得られた電解液を注入した後、外装フィルムの外周縁部における残りの一辺を熱融着した。そして、この状態で、10日間放置することにより、リチウム箔(リチウムイオン供給部材)からリチウムイオンを負極にドープした。このようにして、試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタを作製した。
【0058】
<セル特性の評価>
前記リチウムイオンキャパシタに対し、10Aの定電流でセルの電圧が定格電圧の上限値3.8Vになるまで充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流-定電圧充電を0.5時間行った。次いで、10Aの定電流でセルの電圧が定格電圧の下限値2.2Vになるまで放電した際の静電容量を測定した。静電容量の測定結果は、1110Fであった。
また、この際、放電直前の電圧と放電開始から100msec後の電圧との差を放電電流で除した値を内部抵抗とした。内部抵抗の測定結果は、1.2mΩであった。
これらの結果を表1に示す。なお、表1における、実施例2及び比較例1~2の静電容量及び内部抵抗の結果は、実施例1における静電容量及び内部抵抗の値をそれぞれ100とした場合の相対値である。
【0059】
<ΔSEの測定>
先ず、恒温槽に放置する所定の時間を決定するため、以下の測定を行った。25℃の恒温槽内において、充電電圧(定格電圧の上限値)を3.8Vとして10Cの電流値で24時間CCCV充電を行った。その後、恒温槽内の温度を20℃に変更したところ、30分後にリチウムイオンキャパシタの開回路電圧(OCV)が最大値を示したことから、恒温槽に放置する時間は30分とした。
前記リチウムイオンキャパシタセルの充電時のΔSEは、大島孝昌ら、「小型リチウムイオン二次電池の急速充放電時の発熱挙動」、電気学会論文誌B、2004年、124巻、12号、p.1521-1527を参考にして、以下のように測定した。
【0060】
25℃の恒温槽内において、E=3.8V(定格電圧の上限値)として10Cの電流値で24時間CCCV充電を行った。その後、恒温槽内の温度Tを30℃に変更し、30分経過後にリチウムイオンキャパシタのOCVを測定した。続いて、恒温槽内の温度を25℃に変更して、E=2.2V(定格電圧の下限値)として10Cの電流値で24時間CCCV放電を行った。その後、恒温槽内の温度Tを30℃に変更し、30分経過後にリチウムイオンキャパシタのOCVを測定した。
これらの測定を、
E=3.8V;T=30℃
E=2.2V;T=30℃
と表す。
以降、同様にして以下の順でOCV測定を行った。なお、OCV測定をする以外のCCCV充電及びCCCV放電の際の恒温槽の温度はいずれも25℃とした。
【0061】
E=3.8V;T=28℃
E=2.2V;T=28℃
E=3.8V;T=26℃
E=2.2V;T=26℃
E=3.8V;T=24℃
E=2.2V;T=24℃
E=3.8V;T=22℃
E=2.2V;T=22℃
E=3.8V;T=20℃
E=2.2V;T=20℃
【0062】
以上のように測定した、恒温槽内の各温度T(K)に対するOCVの値の関係を、E=3.8Vの場合及びE=2.2Vの場合それぞれについてプロットし、最小二乗法によりOCVの傾き(ΔV0/ΔT)を計算し、前記式(1-1)によりΔSE(J/K・mol)を算出した。その結果、E=3.8V及びE=2.2VにおけるΔSEは、それぞれ55.5J/K・mol、112.4J/K・molであった。
【0063】
25℃の恒温槽内において、E=3.0Vとして10Cの電流値で24時間CCCV充電を行った。その後、恒温槽内の温度Tを30℃に変更し、30分経過後にリチウムイオンキャパシタの(E=3.0V;T=30℃での)OCVを測定した。続いて、設定電圧を2.2Vとして10Cの電流値で24時間CCCV放電を行った。その後、恒温槽内の温度を25℃に変更して、E=3.0Vとして10Cの電流値で24時間CCCV充電を行った。続いて、恒温槽内の温度Tを28℃に変更し、30分経過後にリチウムイオンキャパシタの(E=3.0V;T=28℃での)OCVを測定した。同様の操作を繰り返して、E=3.0V;T=26℃、E=3.0V;T=24℃、E=3.0V;T=22℃、E=3.0V;T=20℃でのOCV測定を行った。
【0064】
その結果、E=3.0VにおけるΔSEは、93.0J/K・molであった。以上のことから、E=3.8V、E=3.0V及びE=2.2Vの3点におけるΔSEの平均値は、87.0J/K・molであった。結果を表1に示す。
【0065】
<大電流で充電した際の発熱量の測定>
前記リチウムイオンキャパシタを25℃の環境下において100Aの電流で定格電圧の下限値2.2Vから上限値3.8Vまで断熱的に充電した際の発熱量を、セルの表面に貼り付けた熱電対により測定した温度変化及びセルの熱容量から計算した。その結果、発熱量は-210Jとなり、このような大電流で充電した場合でも、該充電過程は、実質的に吸熱過程であり、(急速)充放電による劣化が抑制される蓄電デバイスであることが確認された。結果を表1に示す。
【0066】
<急速充電でのサイクル試験>
前記リチウムイオンキャパシタを、60℃において100Aで定格電圧の上限値3.8Vまで充電後、10Aで定格電圧の下限値2.2Vまで放電する充放電サイクル試験を実施した。この充放電を1サイクルとし、10000サイクル後のセルの厚みを測定した。結果を表1に示す。なお、表1における、実施例2及び比較例1~2のサイクル試験の結果は、実施例1のセルを用いたサイクル試験後のセルの厚みの増加量を100とした場合の相対値である。この値が小さい程、急速充電を繰り返しても劣化し難く、安全性にも優れることを意味する。
【0067】
[実施例2]
前記実施例1において、電解液に添加した添加剤を、1質量%のジフルオロリン酸リチウム及び0.05質量%の1-プロペン1,3-スルトンに変更した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタを作製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0068】
[比較例1]
前記実施例1において、電解液に添加剤を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてリチウムイオンキャパシタを作製し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0069】
[比較例2]
前記実施例1において、負極を実施例1の正極と同様の構成にした上、リチウムイオン供給部材を使用しなかった(即ち、リチウムイオンを負極にドープしなかった)こと以外は、実施例1と同様にしてキャパシタセルを作製した。
この比較例2で得られたキャパシタは、電気二重層キャパシタであり、定格電圧の上限値は1.6V、下限値は0Vであった。ΔSEの測定においては、E=1.6V、E=0.8V及びE=0Vの3点における平均値を求めた。セル特性の評価、大電流で充電した際の発熱量の測定及び急速充電でのサイクル試験においても、0-1.6Vで評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0070】
【表1】