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特許7194558画像読取装置およびその制御方法、プログラム、並びに画像読取システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】画像読取装置およびその制御方法、プログラム、並びに画像読取システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20221215BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20221215BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20221215BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H04N1/00 127B
H04N1/00 L
B41J29/38 501
G03G21/00 388
G06F3/12 363
G06F3/12 303
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018199396
(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公開番号】P2020068439
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】宮西 浩二
(72)【発明者】
【氏名】元山 達朗
(72)【発明者】
【氏名】久和田 将夫
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-011620(JP,A)
【文献】特開平07-030683(JP,A)
【文献】特開平09-252380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G03G 21/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置であって、
画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段にて画像が読み取られる原稿が載置される原稿台と、
前記原稿台に前記原稿が載置されているか否かを検知する検知手段と、
前記画像読取装置の占有権の取得要求を受信する受信手段と、
前記検知手段による検知結果に基づいて、前記取得要求に対し、占有権を付与するか否かを判定する判定手段と
前記画像読取装置の占有権の取得要求の送信元それぞれを、前記占有権を付与の状態に関連付けて記憶する記憶手段と、
管理用の装置の情報を登録して保持する保持手段と
を有し、
前記判定手段は、前記受信手段にて取得要求を受信した際に前記検知手段により前記原稿が前記原稿台に載置されていないと検知され、かつ、当該取得要求の送信元が前記管理用の装置であるとして登録されている場合、当該取得要求の送信元に前記占有権を付与すると判定することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
画像読取装置であって、
画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段にて画像が読み取られる原稿が載置される原稿台と、
前記原稿台に前記原稿が載置されているか否かを検知する検知手段と、
前記画像読取装置の占有権の取得要求を受信する受信手段と、
前記検知手段による検知結果に基づいて、前記取得要求に対し、占有権を付与するか否かを判定する判定手段と、
前記画像読取装置の占有権の取得要求の送信元それぞれを、前記占有権を付与の状態に関連付けて記憶する記憶手段と、
を有し、
前記判定手段は、前記検知手段にて前記原稿が載置されていないと検知した場合、前記画像読取装置を使用中ではないと判断して前記占有権を付与すると判定し、前記検知手段にて前記原稿が載置されていると検知した場合、前記画像読取装置を使用中と判断して前記占有権を付与しないと判定することを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
画像読取装置であって、
画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段にて画像が読み取られる原稿が載置される原稿台と、
前記原稿台に前記原稿が載置されているか否かを検知する検知手段と、
前記画像読取装置の占有権の取得要求を受信する受信手段と、
前記検知手段による検知結果に基づいて、前記取得要求に対し、占有権を付与するか否かを判定する判定手段と、
前記画像読取装置の占有権の取得要求の送信元それぞれを、前記占有権を付与の状態に関連付けて記憶する記憶手段と、
所定の条件に基づいて、付与された前記占有権の解放を行う解放手段と、
前記解放手段にて前記占有権が解放された際に、前記記憶手段にて前記占有権が付与されていないとして記憶されている複数のすべての送信元に対して、前記占有権の解放が行われた旨と前記占有権の待機状況に関する情報とを通知する通知手段と
有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
前記画像読取装置の占有権の取得要求の送信元に対して、前記判定手段による判定結果を応答する応答手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記所定の条件は、前記占有権を付与した後に前記原稿台に前記原稿が載置されていないことを検知してから一定時間が経過した場合であることを特徴とする請求項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記受信手段にて前記取得要求を受信した際に前記検知手段により前記原稿が前記原稿台に載置されていることを検知している場合、当該取得要求の送信元に対して前記占有権を付与しないと判定することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記原稿台に前記原稿が載置された時刻よりも、前記取得要求を受信した時刻の方が早い当該取得要求の送信元に対して前記占有権を付与すると判定することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記保持手段は、管理用の装置それぞれに対して優先順位を設定して登録し、
前記判定手段は、管理用の装置として登録された第1の装置に前記占有権が付与されている際に、前記第1の装置とは異なる、前記管理用の装置として登録された第2の装置から前記取得要求を前記受信手段が受信した場合、前記優先順位に基づいて前記占有権の付与を行うことを特徴とする請求項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
画像を読み取る読取手段と、前記読取手段にて画像が読み取られる原稿が載置される原稿台と、前記原稿台に前記原稿が載置されているか否かを検知する検知手段とを備える画像読取装置の制御方法であって、
前記画像読取装置の占有権の取得要求を受信する受信工程と、
前記検知手段による検知結果に基づいて、前記取得要求に対し、占有権を付与するか否かを判定する判定工程と、
前記画像読取装置の占有権の取得要求の送信元それぞれを、前記占有権を付与の状態に関連付けて記憶する記憶工程と、
管理用の装置の情報を登録して保持する保持工程と
を有し、
前記判定工程は、前記受信工程にて取得要求を受信した際に前記検知手段により前記原稿が前記原稿台に載置されていないと検知され、かつ、当該取得要求の送信元が前記管理用の装置であるとして登録されている場合、当該取得要求の送信元に前記占有権を付与すると判定することを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項10】
画像を読み取る読取手段と、前記読取手段にて画像が読み取られる原稿が載置される原稿台と、前記原稿台に前記原稿が載置されているか否かを検知する検知手段とを備える画像読取装置の制御方法であって、
前記画像読取装置の占有権の取得要求を受信する受信工程と、
前記検知手段による検知結果に基づいて、前記取得要求に対し、占有権を付与するか否かを判定する判定工程と、
前記画像読取装置の占有権の取得要求の送信元それぞれを、前記占有権を付与の状態に関連付けて記憶手段に記憶する記憶工程と、
を有し、
前記判定工程は、前記検知手段にて前記原稿が載置されていないと検知した場合、前記画像読取装置を使用中ではないと判断して前記占有権を付与すると判定し、前記検知手段にて前記原稿が載置されていると検知した場合、前記画像読取装置を使用中と判断して前記占有権を付与しないと判定することを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項11】
画像を読み取る読取手段と、前記読取手段にて画像が読み取られる原稿が載置される原稿台と、前記原稿台に前記原稿が載置されているか否かを検知する検知手段とを備える画像読取装置の制御方法であって、
前記画像読取装置の占有権の取得要求を受信する受信工程と、
前記検知手段による検知結果に基づいて、前記取得要求に対し、占有権を付与するか否かを判定する判定工程と、
前記画像読取装置の占有権の取得要求の送信元それぞれを、前記占有権を付与の状態に関連付けて記憶手段に記憶する記憶工程と、
所定の条件に基づいて、付与された前記占有権の解放を行う解放工程と、
前記解放工程で前記占有権が解放された際に、前記記憶手段にて前記占有権が付与されていないとして記憶されている複数のすべての送信元に対して、前記占有権の解放が行われた旨と前記占有権の待機状況に関する情報とを通知する通知工程と
を有することを特徴とする画像読取装置の制御方法。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像読取装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
画像読取システムであって、
請求項1乃至のいずれか項に記載の画像読取装置と
前記画像読取装置に、該画像読取装置の占有権の取得要求を送信する情報処理装置と、
を備えることを特徴とする画像読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置およびその制御方法、プログラム、並びに画像読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークに接続されたスキャナー等の画像読取装置を、ユーザーが操作する端末から遠隔操作して、スキャンの指示を行うことができるシステムがある。このとき、ネットワーク上には、端末を操作している複数のユーザーが同時に存在している場合があり、画像読取装置に対して同時多重にアクセスが発生しうる。このとき、最初に使い始めたユーザーに画像読取装置を占有させ、残りのユーザーには使用を許可しないなど、排他制御が必要となる。また、効率よく画像読取装置を使用するためには、画像読取装置の使用を終えたときに、待機しているユーザーに告知を行う必要がある。また、特許文献1では、複合機を現在使用しているユーザーが、その複合機の操作が禁止された他のユーザーの存在を把握できるように通知を行う通知手段を有する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4702165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、あるユーザーが画像読取装置の使用許可を得る前に原稿を原稿台にセットした場合に、それと前後して他のユーザーがその画像読取装置の使用許可を得てしまうと、セットされた原稿のスキャンが行われ、他のユーザーに出力されるという問題がある。また、原稿を原稿台にセットしても、画像読取装置の使用許可を得られなかった場合に、排他制御により、いつ使用許可が得られるかが分からないという問題がある。
【0005】
本発明では、画像読取装置の利便性を向上しつつ、占有権の付与を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、画像読取装置であって、
画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段にて画像が読み取られる原稿が載置される原稿台と、
前記原稿台に前記原稿が載置されているか否かを検知する検知手段と、
前記画像読取装置の占有権の取得要求を受信する受信手段と、
前記検知手段による検知結果に基づいて、前記取得要求に対し、占有権を付与するか否かを判定する判定手段と
前記画像読取装置の占有権の取得要求の送信元それぞれを、前記占有権を付与の状態に関連付けて記憶する記憶手段と、
管理用の装置の情報を登録して保持する保持手段と
を有し、
前記判定手段は、前記受信手段にて取得要求を受信した際に前記検知手段により前記原稿が前記原稿台に載置されていないと検知され、かつ、当該取得要求の送信元が前記管理用の装置であるとして登録されている場合、当該取得要求の送信元に前記占有権を付与すると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、画像読取装置の利便性を向上しつつ、占有権の付与を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略的な構成図。
図2】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の別の概略的な構成図。
図3】本発明の一実施形態に係る画像読取ユニットの概略的な構成図。
図4】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の制御構成を示す図。
図5】本発明の一実施形態に係る原稿検知方法を説明するための図。
図6】本発明の一実施形態に係る原稿検知処理のフローチャート。
図7】本発明の一実施形態に係るネットワーク接続の概念図。
図8】本発明の一実施形態に係るPCのソフトウェア構成の概念図。
図9】本発明の一実施形態に係る占有権取得リクエストに対する処理のフローチャート。
図10】本発明の第1の実施形態に係る使用中判定処理のフローチャート。
図11】本発明の一実施形態に係る使用中アプリケーション情報の例を示す図。
図12】本発明の一実施形態に係る待機中アプリケーション情報の例を示す図。
図13】本発明の一実施形態に係る占有権監視処理のフローチャート。
図14】本発明の一実施形態に係るコマンド送信のシーケンスを示す図。
図15】本発明の第2の実施形態に係る使用中判定処理のフローチャート。
図16】本発明の第2の実施形態に係る原稿検知情報の一例を示す図。
図17】本発明の第3の実施形態に係る使用中判定処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一の実施形態>
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態は例示であり、本発明を各実施形態の内容に限定するものではない。また、以下の各図においては、実施形態の説明に必要ではない構成要素については図から省略する。
【0010】
[装置構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る画像読取装置100の概略的な構成図である。ここでは、画像読取装置100として、スキャナーを例に挙げて説明するが、他の機能(例えば、印刷機能)を備えた複合機(MFP:Multi-Function Peripheral)などに適用してもよい。原稿台102は、読取対象の原稿101を積載収納する。原稿台102上の原稿は、原稿台原稿検知センサー110によって検出される。原稿は、給紙ローラ106により一枚ずつ分離されて搬送路108に送り出され、搬送ローラ107によって搬送路108に沿って搬送され、排出部103に排出される。排出部103は、画像読取処理を終えた原稿101を積載収納し、排出部原稿検知センサー111にて排紙原稿の有無が検出される。レジストセンサー109は、搬送路108を搬送される原稿101を検出する。レジストセンサー109が原稿101を検出すると、画像読取ユニット104は、原稿上に形成された画像の読み取りを開始する。本実施形態において、画像読取ユニット104は、搬送路108の両側(上下)に2つ設けられており、一方が原稿101の表面を、他方が原稿101の裏面を読み取る。なお、画像読取ユニット104を1つのみとする構成であってもよい。画像読取ユニット104それぞれの対向位置には、背景板105がそれぞれ設けられている。背景板105は、例えば、黒色の部材である。排紙口センサー112は、原稿101が搬送路108に残っているか、排出部103に排出されたかを検出する。
【0011】
排出部原稿検知センサー111が設置できない場合には、例えば、図2のように最終原稿の後端を排紙口センサー112の前に止めるように搬送制御を行う。そして、排紙口センサー112が原稿を検知している場合は「排出部103に原稿あり」と判定し、使用者により原稿が引き抜かれ排紙口センサー112が原稿を検知しなくなった場合に「排出部103に原稿なし」と判定してもよい。
【0012】
図3は、本発明の一実施形態に係る画像読取ユニット104の概略的な構成図である。搬送路108上を原稿101が実線矢印方向に搬送されるものとする。画像読取ユニット104は、筐体1041と、搬送路108に面して設けられたガラス板1042とによって、内部が密封されている。画像読取ユニット104の内部には、ラインイメージセンサー1043と、一対の発光部1044a及び1044bと、が設けられている。ラインイメージセンサー1043は原稿101の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に延設され、主走査方向の1ライン分の画像を1度に読み取る。
【0013】
ラインイメージセンサー1043は、例えば、CCDラインセンサーやコンタクトイメージセンサーである。ラインイメージセンサー1043は、一対の発光部1044a及び1044bの間に、挟みこまれるようにして配置されている。一対の発光部1044a及び1044bは、それぞれ、ラインイメージセンサー1043と略平行に延設されており、例えば、複数のLEDからなるLEDアレイにより構成される。ラインイメージセンサー1043は、図3において破線矢印で示すように、発光部1044aや1044bが照射し、原稿101で反射した反射光を受光・検出して原稿101上の画像を読み取る。なお、ここでは画像読取ユニット104としてラインイメージセンサーを例に挙げて説明したが、これに限定するものではなく主走査方向に画像を走査するスキャナタイプの画像読取ユニット104であってもよい。
【0014】
図4は、本発明の一実施形態に係る画像読取装置100の制御構成を示す図である。画像読取装置100は大きく分けて、画像読取動作を制御する制御部10と、画像読取動作を実行する画像読取部を含んで構成される。画像読取装置100の制御部10は、CPU11、ROM12、RAM13、入出力I/F14、および通信I/F15を含んで構成される。CPU11は、ROM12に記憶されたプログラムをRAM13に展開して実行し、画像読取装置100全体の制御を行う。ROM12には、CPU11が実行するプログラムや固定的なデータが記憶される。RAM13には、ラインイメージセンサー1043が読み取った画像データや、CPU11の演算結果といった可変データが記憶される。ROM12及びRAM13は他の記憶デバイスであってもよい。制御部10の入出力I/F14には、発光部1044a及び1044bを駆動する駆動回路24や、ラインイメージセンサー1043が読み取った画像に対してシェーディング補正等の画像処理を行う画像処理回路26が接続される。ADC(Analog to Digital Converter)25は、ラインイメージセンサー1043が出力するアナログ画像信号をデジタル画像データに変換するアナログ・デジタル変換器である。
【0015】
CPU11は、画像処理回路26から出力される画像データを取得する。通信IF15は、外部装置と接続するためのインタフェースである。例えば、画像読取装置100が読み取った画像データは、通信IF15経由で、情報処理装置であるPC(Personal Computer)200に出力される。制御部10には、原稿台原稿検知センサー110と排出部原稿検知センサー111の構成要素である発光部121を駆動する駆動回路123や、受光部122が受光したアナログ信号をデジタルデータに変換するアナログ/デジタル変換器(ADC)124が接続されている。
【0016】
次に、画像読取装置100が実行する処理について説明する。画像読取装置100は、例えば、PC200を介して、ユーザーが読み取り開始を指示した場合に原稿101の読み取りを開始する。CPU11はまず、給紙ローラ106を駆動して原稿101の搬送を開始する。レジストセンサー109によって原稿101が画像読取ユニット104の読取位置に到達したことが検出されると、CPU11は、発光部1044a及び発光部1044bの発光を制御し、ラインイメージセンサー1043を駆動して原稿101の画像を読み取る。
【0017】
[原稿検知]
図5図6を用いて原稿検知について説明する。図5は、画像読取装置100の原稿台原稿検知センサー110、および排出部原稿検知センサー111の概略的な構成図である。発光部121は、CPU11の制御に基づいて、点灯や消灯を行うLEDである。受光部122は、集光レンズを含む受光体であり、受光した光を光電変換し、アナログ・デジタル変換器124を経て、CPU11に入力する。
【0018】
図5(a)では、検知位置に原稿101が存在している場合を示している。このとき、発光部121が照射した光が原稿101により反射され、その反射光Pが受光部122に受光されることで原稿101の存在を検知する。一方、図5(b)は、検知位置に原稿101が存在していない場合を示している。このとき、発光部121が照射した光は反射されないため、受光部122は反射光を受光せず、原稿101は存在しないと判定される。
【0019】
図6は、画像読取装置100のCPU11が実行する原稿検知の制御方法を説明するフローチャートである。本処理フローは、例えば、原稿の読み取り処理を開始すると、CPU11がROM12等に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0020】
S601にて、CPU11は、発光部121であるLEDを発光させる。
【0021】
S602にて、CPU11は、ADC124を動作させ、受光部122にて受光される光量をアナログ信号からデジタルデータへ変換するように制御する。
【0022】
S603にて、CPU11は、所定のA/D変換時間が経過するまで待機する。ここでの所定のA/D変換時間は、予め規定され、例えば、ROM12等に保持されているものとする。
【0023】
S604にて、CPU11は、受光部122による受光量を取得する。ここで得た値を、V1とする。
【0024】
S605にて、CPU11は、発光部121であるLEDを消灯する。
【0025】
S606にて、CPU11は、ADC124を動作させ、受光部122にて受光される光量をアナログ信号からデジタルデータへ変換するように制御する。
【0026】
S607にて、CPU11は、所定のA/D変換時間が経過するまで待機する。ここでの所定のA/D変換時間は、予め規定され、例えば、ROM12等に保持されているものとする。ここでの変換時間は、S603の時間と同等であるものとする。
【0027】
S608にて、CPU11は、受光部122による受光量を取得する。ここで得た値を、V2とする。
【0028】
S609にて、CPU11は、以下の式(1)に基づいて、検出結果と閾値との比較を行う。式(1)における閾値Sは、予め規定され、例えば、ROM12等に保持されているものとする。以下の式において、|X|は、Xの絶対値を示す。
|V2-V1| >S …原稿あり(図5の(a))
≦S …原稿なし(図5の(b))
(Sは所定の値) …(1)
上記式(1)に基づき、V2とV1の差分の絶対値がSより大きい場合は(S609にてYES)S610へ進み、S以下の場合は(S609にてNO)S611へ進む。
【0029】
S610にて、CPU11は、検知位置に原稿101が存在すると判定する。そして、本処理フローを終了する。
【0030】
S611にて、CPU11は、検知位置に原稿101が存在しないと判定する。そして、本処理フローを終了する。
【0031】
[ネットワーク構成]
図7は、本実施形態に係る画像読取装置100のネットワーク接続形態の一例を示す図である。ここでは、1台の画像読取装置100と、複数のPC200a~200nがLAN(Local Area Network)を介して通信可能に接続されている構成を示している。LANに接続している場合、画像読取装置100は、複数のPC200a~200nのいずれかから制御可能である。なお、ここでは画像読取装置100を1台のみ示しているが、複数台の画像読取装置100が接続されていてよい。また、ネットワーク構成は有線/無線は問わず、通信方式も問わない。また、単一のLANに限定するものではなく、複数のネットワークが組み合わされていてもよい。
【0032】
なお、以下の説明では、ネットワークを介した画像読取装置100の占有および使用を例に挙げて説明するが、画像読取装置100を直接操作して用いてもよい。例えば、ネットワークを介して接続されたPC200a~200nのいずれにも画像読取装置100の占有権が付与されていない場合には、ユーザーは画像読取装置100を直接操作して画像読取動作を行ってよい。また、PC200a~200nにインストールされているアプリケーションソフトのいずれかに画像読取装置100の占有権が付与されている場合には、その占有が解放されるまでユーザーは画像読取装置100を直接操作して使用できないように制御してもよい。また、画像読取装置100に占有権が付与されている場合には、画像読取装置100の表示部(不図示)などに、占有しているPC情報と共に占有権が付与されたPCが存在することの表示を行って、画像読取装置100に近付いたユーザーに通知してもよい。
【0033】
[プログラム構成]
図8は、PC200上で動作するプログラムの概念構成を示す。ここでは、PC200は、アプリケーションソフト201、スキャナードライバー202、および通信ドライバー203を備える。アプリケーションソフト201は、画像読取装置100専用のスキャナードライバー202、およびオペレーティングシステム(OS)が提供する通信ドライバー203を経由して、画像読取装置100に画像読み取り指示を行う。スキャナードライバー202は、アプリケーションソフト201からロードされた際に、画像読取装置100に付帯情報を送信し、画像読取装置100側で待機中アプリケーションとして登録される。また、スキャナードライバー202は、アプリケーションソフト201からアンロードされた際に、画像読取装置100にアンロードメッセージを送信し、画像読取装置100側で待機中アプリケーションリストから削除される。
【0034】
スキャナードライバー202は、アプリケーションソフト201から画像読取装置100の占有権取得指示または画像読み取り指示を受けた場合に、リクエストとして占有権取得コマンド(取得要求)または画像読み取りコマンド(読取要求)を、画像読取装置100に送信する。ここでの占有権とは、1のPC(または、アプリケーション)が画像読取装置100を占有して使用する権限を指す。例えば、アプリケーション201がPC200の表示部にて表示するUI(User Interface)画面上に、画像読取装置100のスキャン設定の指示や占有権取得指示や画像読み取り指示を行うためのボタン等を設ける。これをユーザーが操作することにより、アプリケーションソフト201は、スキャナードライバー202に対して、スキャン設定の指示や占有権取得指示や画像読み取り指示を送信する。
【0035】
例えば、PC200aを使用するユーザーAが原稿をスキャンしようとした際、読み取り対象の原稿Xを画像読取装置100の原稿台102に載置し、アプリケーションソフト201から画像読み取りコマンドを画像読取装置100に送信すると、ユーザーAが原稿Xの画像を取得することができる。一方、ユーザーAが原稿Yを原稿台102に載置した後に、PC200bを使用するユーザーBが、ユーザーAが原稿Yの画像を取得する前に、アプリケーションソフト201から画像読み取りコマンドを画像読取装置100に送信したとする。その結果、ユーザーAがPC200aからスキャンしようとした原稿Yの画像データは、ユーザーBが使用するPC200bに出力されてしまう。
【0036】
このような事態を未然に防ぐためには、原稿を画像読取装置100の原稿台102に載置する前に予め画像読取装置100の占有権取得コマンドを画像読取装置100に送信し、画像読取装置100の占有権を取得していればよい。また、本実施形態において、占有権取得のためのリクエストである占有権取得コマンドまたは画像読み取りコマンドとともに、付帯情報が画像読取装置100へ送信される。ここでの付帯情報には、IPアドレス、アプリケーション名、占有権取得待ち時の通知方法の情報などが含まれる。
【0037】
[占有権取得リクエストに対する処理]
図9は、画像読取装置100がPC200から占有権取得コマンドを受け取った際の処理フローを表したフローチャートである。本処理フローは、例えば、画像読取装置100のCPU11がROM12等に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現される。占有権取得コマンドは、図8を用いて説明したように、例えば、ユーザー操作に基づいて、PC200から画像読取装置100へ占有権取得リクエストが送信される。
【0038】
S901にて、CPU11は、画像読取装置100が使用中か否かの使用中判定処理を行う。使用中判定処理については、図10を用いて後述する。
【0039】
S902にて、CPU11は、S901の処理結果に基づき、画像読取装置100が占有可能か否か(画像読取装置100は使用中か否か)を判定する。画像読取装置100が使用中の場合は(S902にてYES)占有不可能と判定し、S905へ進む。一方、画像読取装置100が未使用の場合は(S902にてNO)占有可能と判定し、S903へ進む。
【0040】
S903にて、CPU11は、占有権取得リクエストを送信してきたPC200に対する画像読取装置100の占有権を取得し、そのPC200のアプリケーションソフト201を使用中アプリケーションとして、アプリケーション情報をRAM13に記憶する。記憶する内容は、例えば、図11に示すように、使用開始時刻、PC200のIPアドレス、スキャナードライバー202から得たアプリケーション名などがある。なお、取得された占有権を解放する場合は、RAM13に記憶している、使用中のアプリケーション情報(図11)をクリアする。すなわち、RAM13に記憶されている使用中のアプリケーション情報の有無で、占有されている状態か否かを判定できる。
【0041】
S904にて、CPU11は、占有権取得リクエストを送信してきたPC200に対して、占有権取得の成功のレスポンスを返す。そして、本処理フローを終了する。
【0042】
一方、占有権が取得できなかった場合(S902にてYES)、S905にて、CPU11は、占有権取得リクエストを送信してきたPC200のアプリケーションソフト201を使用待ちのアプリケーションとして、アプリケーション情報をRAM13に記憶する。記憶する内容は、例えば、図12に示すように、待機を開始した時刻、IPアドレス、占有権取得待ちしているアプリケーションへの通知手段などが挙げられる。待機中のアプリケーション情報は、待機しているアプリケーションの数に応じて、複数記憶することができる。つまり、図11図12に示すように、占有権が付与されたアプリケーションと、占有権が付与されるのを待機しているアプリケーションがそれぞれ、アプリケーション自身の情報と関連付けて管理されている。
【0043】
S906にて、CPU11は、占有権取得リクエストを送信してきたPC200に対して、使用中エラーをレスポンスする。ここでの使用中エラーは、他のアプリケーションが使用していることに伴って、占有権の取得を待機している状態であることを示してよい。そして、本処理フローを終了する。
【0044】
(使用中判定処理)
図10は、図9のS901における使用中判定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0045】
S1001にて、CPU11は、画像読取装置100の原稿台102に原稿が載置されているか否かを判定する。本実施形態では、原稿台102に原稿が載置されているかに応じて、画像読取装置100の占有権を与えるか否かを判定する。ここでは、図5図6で説明した方法により、画像読取装置100の原稿台102に原稿が載置されているか否かが検知されるものとする。原稿台102に原稿が載置されていることが検知された場合(S1001にてYES)S1003へ進み、載置されていることが検知されていない場合(S1001にてNO)S1002へ進む。
【0046】
S1002にて、CPU11は、画像読取装置100が未使用であると判定する。そして、本処理フローを終了し、図9のS902へ進む。
【0047】
S1003にて、CPU11は、画像読取装置100が使用中であると判定する。そして、本処理フローを終了し、図9のS902へ進む。
【0048】
なお、RAM13に使用中のアプリケーション情報が記憶されている場合、すなわち占有されている状態も使用中であると判定する。
【0049】
(占有権の監視処理)
図13は、本実施形態に係る占有権の監視処理のフローチャートである。本処理フローは、例えば、画像読取装置100のCPU11がROM12等に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現される。本処理フローは、例えば、画像読取装置100の起動に伴って開始されてよい。
【0050】
S1301にて、CPU11は、画像読取装置100が占有中か否かを判定する。ここでの判定は、例えば、図11に示した使用中のアプリケーション情報がRAM13に保持されているか否かに基づいて判定する。占有中であると判定された場合(S1301にてYES)S1302へ進み、占有中でないと判定された場合は(S1301にてNO)S1301にて監視を継続する。
【0051】
S1302にて、CPU11は、占有権の解放条件を満たすか否かを判定する。解放条件としては、例えば、占有権取得後、画像読取装置100の原稿台102に載置した原稿が残っているか否かであってよい。原稿が載置されていると判定された場合は、解放条件を満たさないとして占有権を解放しない。また、原稿が載置された状態から載置されていない状態になったと判定された場合は、解放条件を満たすとして占有権を解放する。原稿台102に原稿が載置されているか否かを解放条件とすることで、原稿を原稿台102にセットしたユーザーは、自らセットした原稿を全てスキャンし終わるまで、占有権を所有しておくことができる。そのため、自らセットした原稿が他のユーザーにスキャンされてしまうことを防ぐことができる。解放条件を満たすと判定された場合は(S1302にてYES)S1303へ進み、満たさないと判定された場合は(S1302にてNO)S1301へ戻り、監視を継続する。
【0052】
なお、解放条件は上記の例に限定するものではなく、例えば、以下のような条件のいずれかであってもよい。
・受け付けた画像読取り指示に対する一連の画像読取り動作を終了した場合
・受け付けた画像読取り指示に対する一連の画像読取り動作を終了してから一定時間が経過した場合
・受け付けた画像読取り指示に対する一連の画像読取り動作を終了してから一定時間が経過し、かつ、画像読取装置100の原稿台102に原稿が載置されていない場合
・受け付けた画像読取り指示に対する一連の画像読取り動作を終了してから一定時間が経過した後、画像読取装置100の原稿台102に原稿が載置されていない、もしくは、排出部103から原稿が取り除かれた場合
・受け付けた画像読取り指示に対する一連の画像読取り動作を終了してから一定時間が経過した後、画像読取装置100の原稿台102に原稿が載置されていない、かつ、排出部103から原稿が取り除かれた場合
・原稿が一度も載置されずに一定時間が経過した後
【0053】
また、解放条件は1つに限定するものではなく、複数の条件を用いてもよい。また、解放条件の代わりに占有状態を継続するための継続条件を用いてもよい。例えば、占有状態になった後で原稿台に原稿が載置され、一旦、原稿台から原稿が除かれたとしても、読み取り動作が実行されるまでは占有状態を継続するようにしてもよい。もしくは、占有状態になった後で原稿台に原稿が載置され、一旦、原稿台から原稿が除かれたとしても、予め設定された一定時間が経過するまでは占有状態を継続するようにしてもよく、それらの両方を実行するように組み合わせてもよい。
【0054】
S1303にて、CPU11は、RAM13に保持された、使用中アプリケーション情報(図11)をクリアする。これにより、画像読取装置100の占有権を有する使用中のアプリケーションによる占有が終了し、占有権が解放される。
【0055】
S1304にて、CPU11は、待機中のアプリケーション情報の一覧(図12)に記憶されているアプリケーション(PC200)すべてに対して、アプリケーション情報にて指定されたそれぞれの通知方法で、占有権が解放された旨の通知を行う。通知方法の一例としては、マルチキャストDNS(mDNS)の応答を使用してもよい。mDNSのTXTレコードに、使用中か否かの情報を付加して返却することで、ネットワーク上のPC200に通知することができる。なお、通知は、待機中のアプリケーション情報の一覧に記憶されているアプリケーション(PC200)中の待機時間が一番長いアプリケーション(PC200)のみに通知してもよい。また、待機時間が一番長いアプリケーション(PC200)には「占有権を取得できる」旨の通知を行い、その他のアプリケーション(PC200)には「待機中のアプリケーションがあと何人です」等の通知をしてもよい。そして、S1301へ戻り、監視を継続する。
【0056】
[コマンド送信シーケンス]
図14は、PC200から、ネットワークで接続されている画像読取装置100へ原稿台の原稿確認、スキャン指示など、各種コマンドの送受信を行う際のシーケンスを示す図である。なお、本実施形態では、通信プロトコルにHTTP(Hypertext Transfer Protocol)通信を用いた一例を示すが、これに限定するものではない。図14に示す各処理は、PC200と画像読取装置100それぞれの処理部が実行することで実現される。ここでは、画像読取装置100の原稿台102の原稿確認のコマンドを例に挙げて説明する。
【0057】
S1401にて、PC200は、予め設定されている画像読取装置100のIPアドレスに対して、原稿台102に原稿が載置されているか否かを確認するコマンドを、HTTPリクエスト(GETメソッド)で発行、送信する。
【0058】
S1402にて、画像読取装置100は、PC200からのHTTPリクエストを受信すると、原稿台102の原稿の有無を確認する。ここでの確認方法は、例えば、図5図6を用いて説明した方法にて行われる。
【0059】
S1403にて、画像読取装置100は、S1402の確認における判定結果をPC200へ返す。具体的には、S1402の確認において原稿があると判定した場合は、HTTPレスポンスでステータスと、レスポンスデータに文字列“yes”を設定してPC200へ返す。一方、原稿がないと判定した場合は、レスポンスデータに文字列“no”を設定してPC200へ返す。これにより、PC200は、レスポンスデータを解析することで、画像読取装置100の原稿台102に原稿があるかどうかを確認することができる。同様にして、スキャン指示、画像転送指示など、様々なコマンドの送受信を行う。
【0060】
なお、本実施形態では、図11図12に示すようにアプリケーション単位で使用中もしくは待機中を管理したが、これに限定するものではない。例えば、アプリケーションが発行するジョブ単位などで管理を行うような構成であってもよい。
【0061】
また、画像読取装置100はPC200から画像読み取りコマンドを受信した際、CPU11は、あるPC200に占有権を付与しているかどうかを判定してもよい。占有権を付与している場合、CPU11は、画像読み取りコマンドを送信したPC200は占有権を付与しているPCか否かを判定して、占有権を付与しているPCであれば画像読み取りを実行し、占有権を付与しているPCでなければ画像読み取りコマンドを送信したPC200に読み取り拒否の通知を送信する。いずれのPCにも占有権を付与していない場合、CPU11は、画像読み取りを実行する。
【0062】
また、画像読取装置100がPC200から画像読み取りコマンドを受信した際、CPU11は、他のアプリケーションに占有されているかどうかを判定してもよい。占有されている場合、CPU11は、画像読み取りコマンドを送信したPC200に読み取り拒否の通知を送信する。占有されていない場合、CPU11は、画像読み取りを実行する。
【0063】
以上、本実施形態により、画像読取装置の利便性を向上しつつ、占有権の付与を行うことができる。また、ユーザーが自らセットした原稿を他のユーザーによってスキャンされてしまうことを防ぎ、画像読取装置の使用効率を向上することができる。また、本実施形態では、画像読取装置100側に占有権の付与に関する情報を表示する必要はないため、表示部を簡略化でき、装置の構成を小型化できるという効果もある。
【0064】
<第二の実施形態>
第一の実施形態では、原稿台に原稿があるか否かに基づいて、画像読取装置100の占有権を取得する処理について説明した。本実施形態では、原稿を設置したタイミングに基づいて、画像読取装置100の占有権を取得する処理について説明する。なお、図9のS901の使用中判定処理以外の処理については、第一の実施形態と同様のため説明は省略する。
【0065】
[使用中判定処理]
図15は、本実施形態に係る使用中判定処理のフローチャートを示す図である。本処理フローは、例えば、画像読取装置100のCPU11がROM12等に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0066】
S1501にて、CPU11は、RAM13等に保持された待機中アプリケーション情報の一覧(図12)を取得する。ここで取得された待機中アプリケーション情報にて示される待機開始時刻の値を待機開始時刻aとする。
【0067】
S1502にて、CPU11は、占有権取得コマンドの送信元であるアプリケーションが待機中アプリケーション情報の一覧に含まれるか否かを確認する。待機中アプリケーション情報の一覧に含まれると判定された場合(S1502にてYES)S1503へ進み、待機中アプリケーション情報の一覧に含まれないと判定された場合(S1502にてNO)S1506へ進む。
【0068】
S1503にて、CPU11は、原稿検知情報を取得する。原稿検知情報の例を図16に示す。原稿検知情報は、画像読取装置100の原稿台102における原稿の検知結果(検知状態)を示す情報であり、例えば、原稿台102における原稿の有無や、原稿が検知(設置)された時刻(原稿設置時刻)などが含まれる。ここでの検知方法は、図5図6を用いて説明した方法で行われ、画像読取装置100は、継続的に原稿台102の状態を監視しているものとする。ここで得た原稿検知情報にて示される原稿設置時刻の値を原稿設置時刻tとする。
【0069】
S1504にて、CPU11は、S1503で取得した原稿設置時刻tとS1501で取得した待機開始時刻aを比較する。ここでは、原稿設置時刻tより待機開始時刻aが早い場合、画像読取装置100は未使用であり占有権を付与可能であると判定し、原稿設置時刻tより待機開始時刻aが遅い場合、画像読取装置100は使用中であると判定する。原稿設置時刻tより待機開始時刻aが早い場合(S1504にてYES)S1505へ進み、そうでない場合(S1504にてNO)S1506へ進む。
【0070】
S1505にて、CPU11は、画像読取装置100が未使用であると判定する。そして、本処理フローを終了し、図9のS902へ進む。
【0071】
S1506にて、CPU11は、画像読取装置100が使用中であると判定する。そして、本処理フローを終了し、図9のS902へ進む。
【0072】
なお、占有権取得リクエストの送信元のアプリケーションが待機アプリケーション情報の一覧に含まれていると判定された場合(S1502にてYES)、その後、S905の処理が行われる際にはその待機中アプリケーション情報の記憶(更新)は行わないように制御してもよい。
【0073】
また、本実施形態において、S1502にて占有権取得リスエストの送信元のアプリケーションが待機アプリケーション情報の一覧に含まれていないと判定された場合、画像読取装置100は使用中であるものとして扱ったが、これに限定するものではない。併せて、画像読取装置100の占有権が他のアプリケーションに付与されているか否かを判定し、他のアプリケーションに付与されていないと判定された場合には当該送信元に占有権を付与するように構成してもよい。
【0074】
上記により、原稿台102に原稿が設置された際に、アプリケーションソフト201を起動している(占有権取得指示をしている)PC200からのみ、ネットワーク上の画像読取装置100を使用することができるようになる。そのため、ユーザーが自らセットした原稿を他のユーザーによってスキャンされてしまうことを防ぐことが可能となる。
【0075】
<第三の実施形態>
本発明の第三の実施形態として、登録されている管理用PCに基づいて、画像読取装置100の占有権を取得する処理について説明する。管理用PCとは、画像読取装置100を管理する権限を有するPCのことである。例えば、画像読取装置100が一般PCに占有権を付与している場合であっても、管理用PCは一般PCの占有権を解放することができる。なお、図9のS901の使用中判定処理以外の処理については、第一の実施形態と同様のため説明は省略する。
【0076】
[使用中判定処理]
図17は、本実施形態に係る使用中判定処理のフローチャートを示す図である。本処理フローは、例えば、画像読取装置100のCPU11がROM12等に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0077】
S1701にて、CPU11は、RAM13に使用中アプリケーション情報(図11)が登録されている、すなわち占有権を付与されたPCがあるか否かを判定する。使用中アプリケーションが登録されていない場合(S1701にてNO)S1707へ進み、使用中アプリケーションが登録されている場合(S1701にてYES)S1702へ進む。
【0078】
S1702にて、CPU11は、占有権取得コマンドを送信したPC200が管理用PCであるか否かを判定する。具体的には、CPU11は、PC200から受け取った占有権取得コマンドの付帯情報として送られてきたIPアドレスが管理用PCとしてROM12に登録されているIPアドレスと一致するか否かを判定する。ここでの管理用PCについては、予め設定され、そのIPアドレスが画像読取装置100の記憶部に保持されているものとする。なお、管理用PCは複数あってもよい。その際、各管理用PCには優先度が設定され、記憶部に保持されているものとする。占有権取得コマンドの送信元のPC200が管理用PCでないと判定された場合(S1702にてNO)S1708へ進み、管理用PCであると判定された場合(S1702にてYES)S1703へ進む。
【0079】
S1703にて、CPU11は、画像読取装置100の原稿台102に原稿101が載置されているか否かを判定する。ここでの判定は、図5図6で説明した方法により得られた結果に基づいて行われる。画像読取装置100の原稿台102に原稿101が載置されていると判定された場合(S1703にてYES)S1708へ進み、原稿台102に原稿101が載置されていないと判定された場合(S1703にてNO)S1704へ進む。
【0080】
S1704にて、CPU11は、占有権を付与されているPCが管理用PCか否かを判定する。すなわち、CPU11は、使用中アプリケーション情報が示すPCと、登録されている管理用PCとが一致するか否かを判定する。占有権を付与されているPCが管理用PCで無いと判定された場合(S1704にてNO)S1705へ進み、占有権を付与されているPCが管理用PCであると判定された場合(S1704にてYES)S1706へ進む。
【0081】
S1705にて、CPU11は、RAM13に記憶している使用中アプリケーション情報をクリアし、画像読取装置100の占有権を解放する。そして、S1707へ進む。
【0082】
S1706にて、CPU11は、占有権を付与されているPCと占有権取得コマンドの送信元であるPCの優先順位を比較する。このとき、各PCには、優先度が設定されているものとする。占有権を付与されているPCの優先順位が占有権取得コマンドの送信元であるPCの優先順位よりも高いと判定された場合(S1706にてYES)、S1708へ進む。一方、占有権取得コマンドの送信元であるPCの優先順位の方が高いと判定された場合(S1706にてNO)S1705へ進む。
【0083】
S1707にて、CPU11は、画像読取装置100が未使用であると判定する。そして、本処理フローを終了し、図9のS902へ進む。
【0084】
S1708にて、CPU11は、画像読取装置100が使用中であると判定する。そして、本処理フローを終了し、図9のS902へ進む。
【0085】
以上、本実施形態により、ユーザーは画像読取装置100が他のPCに占有権を取得されている場合においても、登録されている管理用PCであれば、画像読取装置100の占有権を解放することができる。また、PCの優先度に応じて、占有権の使用および解放を制御することが可能となる。
【0086】
<その他の実施形態>
また、本発明は上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0087】
10…制御部、11…CPU、12…ROM、100…画像読取装置、104…画像読取ユニット、200…PC、201…アプリケーションソフト、202…スキャナードライバー、203…通信ドライバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17