IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社プランテックスの特許一覧

<>
  • 特許-液体供給装置 図1
  • 特許-液体供給装置 図2
  • 特許-液体供給装置 図3
  • 特許-液体供給装置 図4
  • 特許-液体供給装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】液体供給装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20221215BHJP
   A01G 31/06 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A01G31/00 601B
A01G31/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018204353
(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2020068697
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】516099255
【氏名又は名称】株式会社プランテックス
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】坂口 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 一孝
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/061200(WO,A1)
【文献】特開2016-032457(JP,A)
【文献】特開2005-021065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00-31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に並列して複数配置された植物の栽培容器のそれぞれに、植物栽培用の液体を供給する液体供給装置において、
前記液体を供給可能で、供給された前記液体を、大気に開放した状態で貯留可能な液体貯留部と、
複数の前記栽培容器上にわたって水平に延び、一端側が前記液体貯留部に連結されて上流側となり、前記液体貯留部から流入された流体が、他端側である下流側へと流れる配液管と、
前記配液管の前記下流側の管端が上方に延びて立ち上がり部を形成し、前記立ち上がり部の上部が前記液体貯留部における前記液体の液面よりも高い位置において開口していることにより、前記液体を大気側に開放する開放部と、
前記配液管に設けられ、前記液体が流入される個所と前記開放部との間において、前記液体を前記栽培容器のそれぞれに吐出する複数の吐出口と、
を備える液体供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体供給装置において、
前記立ち上がり部の上端の高さは、前記液体貯留部の壁部の上端の高さよりも高い、
液体供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体供給装置において、
前記開放部は、前記配液管から連結して上方に延びる立ち上がり部である、
液体供給装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体供給装置において、
前記吐出口のそれぞれには、吐出管が設けられている、
液体供給装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の液体供給装置において、
前記液体貯留部における前記液面の高さを一定に保つ液位制御部を備える、
液体供給装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の液体供給装置において、
前記液体貯留部における前記液面の高さを検出するセンサが設けられている、
液体供給装置。
【請求項7】
請求項6に記載の液体供給装置において、
前記液体貯留部に前記液体を供給する液体送出部と、
前記センサにより検出された前記液面の高さを示す信号を受信し、前記受信された信号に基づいて、前記液体送出部を作動させ、前記液体貯留部における前記液面の高さを制御可能な制御部と、を備える、
液体供給装置。
【請求項8】
請求項7に記載の液体供給装置において、
前記液体送出部は、前記吐出口から吐出されて前記栽培容器によって吸収されなかった余剰液体を回収する液体回収容器から、前記液体を汲み上げて前記液体貯留部に前記液体を給水する、
液体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば養液といった植物栽培用の液体を植物に供給する液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
世界的な人口の増加による食料不足や、日本等の先進国における高齢化に伴う農村人口の減少による農作物の生産量の減少等の問題に対する解決策として植物工場が注目されている。このような植物工場においては、植物に供給される養液量を制御するため、循環方式の養液供給装置が用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
上記従来技術の養液供給装置は、壁材に添って設けられる柱材に多段のブラケットを設け、その多段のブラケットのそれぞれに、植物を栽培するベッドが配置されている。養液は、ポンプによって多段配置されたベッドの上方に汲み上げられ、各段に対応する位置において供給管から水平方向に延びる分岐管へと分岐される。同じ段に配置されている複数のベッドには、その段を延びる分岐管に接続されたホースの先端に取り付けられたノズルより養液が吐出される。この際、上段のノズル径が最も大きく、中段、下段にいくにつれて小さくすることにより、流入量を均等としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-21065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、一つのポンプで養液が圧送される配管が長いので、下流側での圧力損失の影響が大きい。さらに、分岐管の管端は閉じているので、管端に空気が溜まる。このため、それぞれの吐出口からの養液の吐出量を均一にするのが容易ではない。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、それぞれの吐出口からの養液の養液吐出量の均一化が容易な液体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、水平方向に並列して複数配置された植物の栽培容器のそれぞれに、植物栽培用の液体を供給する液体供給装置において、前記液体を供給可能で、供給された前記液体を、大気に開放した状態で貯留可能な液体貯留部と、前記液体が流入される個所よりも下流側において、前記液体貯留部における前記液体の液面よりも高い位置において開口し、前記液体を大気側に開放する開放部と、前記液体が流入される個所と前記開放部との間において、前記液体を前記栽培容器のそれぞれに吐出する複数の吐出口と、を備える液体供給装置を提供する。
【0008】
前記液体供給装置は、前記液体貯留部と、前記開放部とが、水平に延びる配液管で連結され、前記吐出口は、前記配液管に設けられていてもよい。
【0009】
前記開放部は、前記配液管から連結して上方に延びる立ち上がり部であってもよい。
【0010】
前記吐出口のそれぞれには、吐出管が設けられていてもよい。
【0011】
前記液体貯留部における前記液面の高さを一定に保つ液位制御部を備えてもよい。
【0012】
前記液体貯留部における前記液面の高さを検出するセンサが設けられていてもよい。
【0013】
前記液体貯留部に前記液体を供給する液体送出部と、
前記センサにより検出された前記液面の高さを示す信号を受信し、前記受信された信号に基づいて、前記液体送出部を作動させ、前記液体貯留部における前記液面の高さを制御可能な制御部と、を備えてもよい。
【0014】
前記液体送出部は、前記吐出口から吐出されて前記栽培容器によって吸収されなかった余剰液体を回収する液体回収容器から、前記液体を汲み上げて前記液体貯留部に前記液体を給水してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、多くの植物に養液を供給する場合、少ないエネルギーで養液を供給することができる液体供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】液体供給装置1を含む植物栽培装置100の部分概略斜視図である。
図2】液体供給装置1を複数備える植物栽培装置100の概略斜視図である。
図3】栽培容器20の分解斜視図である。
図4】制御部200の構成を示す図である。
図5】本発明の液体供給装置1の変形形態を、上述の実施形態とともに説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の液体供給装置1の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施形態の液体供給装置1を含む植物栽培装置100の部分概略斜視図である。図2は、液体供給装置1を複数備える植物栽培装置100の概略斜視図である。
実施形態の液体供給装置1は、例えば屋内において、植物栽培装置100に植設されるレタスなどの植物Vへ養液を供給する装置である。ただし、養液に限らず、養分を含まない水を供給するものであってもよい。
【0018】
液体供給装置1は、養液を貯留する液体貯留部2と、一端が液体貯留部2の側面の下部に連結され、液体貯留部2から水平方向に延び、他端が上方に湾曲した管状部材3と、を備える。
【0019】
(液体貯留部2)
液体貯留部2は、上部が開口した、例えば有底断面矩形の容器である。ただし、形状はこれに限らず、上部が開口した有底容器であれば、断面は円形等他の形状であってもよい。
液体貯留部2に収容されている養液は、植物の栽培に必要な栄養素を含み、例えば、養液には、三要素と称される窒素、リンおよびカリウム並びにカルシウムなどの多量要素、さらに鉄やマグネシウムなどの微量要素を成分として含む肥料を含む。
【0020】
(水位センサ8)
液体貯留部2内には、水位センサ8が配置されている。水位センサ8は、液体貯留部2に貯留されている養液の液面の位置、例えば液体貯留部2の底面からの高さH1を検知するもので、フロート式、超音波式、静電容量式または圧力式のいずれであってもよい。なお、以降、高さを説明する場合、液体貯留部2の底面からの高さとして説明する。
【0021】
(管状部材3)
管状部材3は、実施形態では丸管であるが、これに限らず、他の形状の管であってもよい。管状部材3の一端は液体貯留部2の側面の底側に連結される接続部3aである。管状部材3は、接続部3aから水平に延びる配液管3bと、配液管3bの他端側から、配液管3bに対して約90度折れ曲がって上方に延びる立ち上がり部3cとを備える。実施形態において配液管3bと立ち上がり部3cとは一本の管状部材を折り曲げて形成されているが、これ限らず、別々の部材を接合したものであってもよい。
【0022】
立ち上がり部3cは上部が開口し、内部の溶液を大気側に開放する開放部である。立ち上がり部3cの上端の高さH3は、液体貯留部2の壁部の上端の高さH4よりも高い。すなわち、立ち上がり部3cは、液体貯留部2よりも上方に延びている。
液体貯留部2内に養液が貯留されたときに、液体貯留部2の上端を超えると溢れ出すので、液体貯留部2の養液の液面の高さH1が液体貯留部2の上端の高さH4よりも高くなることはない。
従って、立ち上がり部3c内の養液の液面の高さH5は、液体貯留部2内の養液の液面の高さH1以下となる(同じか、圧損がある場合わずかに下回る)ので、立ち上がり部3cの上端から養液が溢れだすことはない。
【0023】
(吐出口4)
配液管3bの管壁における、液体貯留部2内の養液の液面の高さH1よりも低い高さH2の位置に、複数の吐出口4が同じ高さで設けられている。また、実施形態において複数の吐出口4は、配液管3bの管壁の最も低い位置に、下方に向って開口している所定径の孔である。吐出口4のそれぞれには、配液管3bに比べて小径の吐出管4aが下方に向って取り付けられている。なお、吐出管4aを設けず、吐出口4から養液が直接吐出される形態であってもよい。
実施形態において複数の吐出口4及び吐出管4aは、後述する栽培容器20の液体流入部23のそれぞれに対応して均等に設けられている。実施形態で吐出口4及び吐出管4aは、1つの栽培容器20に1つずつ設けられているが、これに限らず、1つの栽培容器20に対して複数設けられていてもよい。
【0024】
液体供給装置1はさらに、液体回収用の樋部5および液体回収容器6を備える。
(樋部5)
樋部5は、細長い板状部材の短手方向の両側に側面が設けられた断面コの字状の部材で、長手方向の一端は壁部が設けられているが、他端は開口した樋部開口部5aとなっている。
樋部5は、後述する栽培容器20のトレイ開口部22a側の下方を、配液管3bと平行に水平方向に延びるように配置され、栽培容器20のそれぞれのトレイ開口部22aから流れ出る養液を受けて他端の開口から液体回収容器6へと流し出す。樋部5は、養液が流れる上流側の一端側から、液体回収容器6側の他端に向ってわずかに傾いていることが好ましい。
【0025】
(液体回収容器6)
液体回収容器6は、上部が開口した、例えば有底断面矩形の容器である。ただし、形状はこれに限らず、上部が開口した有底容器であれば、断面は円形等他の形状であってもよい。液体回収容器6は、樋部開口部5aの下方に配置され、樋部5を流れて樋部開口部5aから流出した養液が回収される。
液体回収容器6は、液体貯留部2よりも低い位置に配置されるので、例えば図2において示すように液体貯留部2が配置されている段の下の段に配置される。
【0026】
液体回収容器6と液体貯留部2との間には液体送出部7が取り付けられ、液体回収容器6内の養液を液体貯留部2へと送水することが可能となっている。液体送出部7は、遠心ポンプや軸流ポンプなどの所定の方式のポンプであり、液体回収容器6に回収された養液を汲み上げて液体貯留部2へと送り、養液を循環させる。液体送出部7は、液体貯留部2における養液の液面の高さH1が所定の高さとなるように、養液を液体貯留部2に供給する。
【0027】
図2に示すように植物栽培装置100は、直方体を形成する枠部101を備える。枠部101により形成された直方体の内部は、上下方向に所定の間隔で配置された棚板102により多段の栽培室103に区画されている。区画された栽培室のそれぞれに液体供給装置1が配置される。
なお、図2では、4段の栽培室103a,103b,103c,103dを備える例について説明するが、これに限らず、栽培室の数は、それ以上でも以下でもよい。
【0028】
植物栽培装置100は、植物の成長に必要な養水分を、液肥として与える、いわゆる養液栽培を行う。また、植物栽培装置100は、植物の成長に必要な光を照射する。さらに、植物栽培装置100は、植物の周囲の温度や湿度、二酸化炭素や酸素の量などの雰囲気を制御し、管理する。
【0029】
栽培室103にはそれぞれ、液体供給装置1と、複数の栽培容器20と、複数の照明装置104と、空調装置105(図4に図示)が設けられ、栽培室ごとに、光、水および雰囲気が制御され、管理される。
【0030】
(栽培容器20)
それぞれの栽培室103a,103b,103c,103dは実施形態において同様であるので、特に区別する必要がない場合、まとめて栽培室103として説明する。
栽培室103には複数の栽培容器20が配置されている。複数の栽培容器20は、それぞれ同形であり、水平方向に、配液管3bと平行な方向に整列して配置されている。図3は1つの栽培容器20の分解斜視図である。
栽培容器20は、栽培プレート21と、液受けトレイ22と、栽培プレート21の上部に取り付けられた液体流入部23を備える。
【0031】
液体流入部23は、図1に示すように吐出管4aから流出した養液を受けて、栽培容器20上に流す部材で、矩形の底板23eの3方向に側面23a、23b、23cが設けられ、1方向が開口部23dとなっている箱型容器である。
液体流入部23は、開口部23dが栽培プレート21の上部に位置し、開口部23dに対向する側面23bは、栽培プレート21よりも外側に位置するように、栽培プレート21上に配置される。底板23eは、開口部23dが側面23bよりも僅かに低くなるように、傾いていることが好ましい。
なお液体流入部23を備えず、栽培プレート21に直接、養液を吐出させてもよい。
【0032】
栽培プレート21は、栽培床部材21aと、その栽培床部材21aの3側面及び底面を覆う有底の枠部材21bとを備える。
栽培床部材21aは、スポンジまたは発泡スチロールなどで製造されて所定間隔で穴が設けられ、その穴に植物が植設される。
枠部材21bは、栽培床部材21aの3側面を覆うが、短手方向における、配液管3bが設けられている側と反対側の側面は覆わず、開口部21cとなっている。枠部材21bの底面は開口部21c側が下方になるように、所定の角度(例えば、1度程度)で傾斜した傾斜面となっている。
【0033】
液受けトレイ22は、栽培プレート21を内部に収納可能な大きさで、栽培プレート21の3側面及び底面を覆う有底容器である。液受けトレイ22は、栽培プレート21の3側面を覆うが、短手方向における、配液管3bが設けられている側の側面は覆わず、トレイ開口部22aとなっている。液受けトレイ22の底面はトレイ開口部22a側が下方になるように、所定の角度(例えば、1度程度)で傾斜した傾斜面となっている。
【0034】
(照明装置)
照明装置104は、LED(light emitting diode)照明装置などであり、それぞれの栽培室103の上方に配置され、栽培容器20に植設されている植物に光を照射する。なお、図2において照明装置104は最上段の栽培室103dに設けられているもののみ点線で図示するが、全ての栽培室103の上方に配置されている。
【0035】
植物栽培装置100の動作は、制御部200により制御される。
図4は、制御部200の構成を示す図である。制御部200は、例えば、汎用のパーソナルコンピュータまたはファクトリーオートメーション用のコンピュータやプログラマブルコントローラなどにより構成される。
【0036】
制御部200は、液位制御部201と、照明制御部202と、空調制御部203とを備える。
液位制御部201は、水位センサ8から供給される、液体貯留部2に溜められている養液の液面の高さを示す信号により、液体貯留部2における養液の液面が所定の高さとなるように、液体送出部7による液体貯留部2への養液の供給を制御する。
照明制御部202は、光束や照度、または照射する光の波長の分布などを所定の値とするように、照明装置13による植物への光の照射を制御する。
空調制御部203は、植物の周囲の空気の温度や湿度、二酸化炭素や酸素の量などが
所定の値となるように、空調装置105による空調を制御する。
【0037】
(動作)
実施形態の液体供給装置1は以下のように動作する。
まず、それぞれの段の液体貯留部2に貯留されている養液が、それぞれの段ごとに設けられた、水平に延びる管状部材3内に流入する。このとき、一つの液体貯留部2から供給される養液が流れる配管部材3は、それぞれの段内のみ延びるので、例えば配管部材が多段を連続して延びる場合と比べて短くなる。
さらに、養液はポンプにより圧送されている場合と比べて、配管部材3内の養液の、上流側と下流側とでの圧力差が小さく、大気に開放している立ち上がり部3cでの養液の液面の高さH5は、液体貯留部2における養液の液面の高さH1と略等しくなる。
【0038】
配液管3b内においては、養液の圧力が略一定であるので、複数の吐出口4のそれぞれにおいて、液体貯留部2における養液の高さH1との水位差により、等圧で養液を吐出することができる。したがって、それぞれの吐出口4が同径であっても溶液の流量を容易に略一定とすることができる。
【0039】
また、養液の管状部材3内への流入の際に、管状部材3内の空気は、管端へと追いやられるが、立ち上がり部3cが大気への開放しているため、管状部材3内の空気が管端に溜まることがない。
したがって、養液の管状部材3内への流入と同時に、それぞれの吐出口4において、均一に養液を流出させることができる。
【0040】
本実施形態によれば、ポンプは養液を汲み上げるために用い、管状部材3内への養液の圧送は行わない。ゆえに、液体供給装置1においてより少ないエネルギーで養液供給が可能となる。
【0041】
また、制御部200の液位制御部201により、液体送出部7の動作タイミングを制御し、液体貯留部2における養液の液面の高さH1を調整することが可能である。そして、高さH1を調整することにより、吐出口4のそれぞれから単位時間当たりに吐出される養液の量を変えることが可能である。
なお、吐出口4の内径または吐出管4aの内径のうちの小さい方の径を変えることによっても、単位時間当たりに吐出される養液の量を変えることもできる。
【0042】
図3に矢印で示すように、吐出管4aから吐出された養液は、それぞれ、液体流入部23に流入し、液体流入部23の開口部23dから、下部に位置する栽培床部材21aの配液管3b側の上面に流出する。その後、養液は、開口部21c側に向って枠部材21bの傾斜した底面に沿って流れつつ、栽培床部材21aに植設された植物V(図3には図示せず)によって吸収される。そして、植物Vによって吸収されなかった余剰の養液は、枠部材21bの開口部21cから液受けトレイ22の配液管3bと逆側に流出する。さらに、養液は、液受けトレイ22の傾斜した底面に沿って、トレイ開口部22a側へと流れ、樋部5に流出する。これにより、養液が栽培容器20に滞留することがない。
流出した余剰の養液は、樋部5を流れて、樋部5の下流側の樋部開口部5aから流出して液体回収容器6内に回収される。
液位制御部201は水位センサ8から供給される、液体貯留部2に溜められている養液の液面の高さを示す信号により、液体貯留部2における養液の液面が所定の高さとなるように、液体送出部7による液体貯留部2への養液の供給を制御する。
液体貯留部2に供給された養液は、再度、管状部材3内に流入し、養液は循環される。
【0043】
(変形形態)
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。例えば、図5は、本発明の液体供給装置1の変形形態を、上述の実施形態とともに説明する図である。
【0044】
図5(a)は実施形態の液体供給装置1の模式図である。上述したように、図中右側の液体貯留部2は、高さと、水平断面の縦横の長さとの差が少ない(アスペクト比が小さい)タンク状容器である。一方、図中左側の立ち上がり部3cは管状部材である。すなわち、立ち上がり部3cの水平断面の径は、立ち上がり部3cの高さに比べてかなり小さい(アスペクト比が大きい)。
そして、液体貯留部2と立ち上がり部3cとの間は、立ち上がり部3cと同じ径の管状部材である配液管3bが延び、配液管3bの下部に吐出口4が設けられている。
【0045】
図5(b)は、第1変形形態の液体供給装置1Aの模式図である。図示するように、液体供給装置1Aは、液体貯留部2Aが、立ち上がり部と配液管と一体となったタンク状容器であり、このタンク状容器の下部に吐出口4Aが設けられている。この場合であっても、実施形態と同様の効果を有する。
【0046】
図5(c)は、第2変形形態の液体供給装置1Bの部分模式図である。上述の実施形態と立ち上がり部3c’以外同様である。第2変形形態は、立ち上がり部3c’が管状部材ではなく、実施形態の液体貯留部2と同様のタンク状容器である点が異なる。この場合であっても、実施形態と同様の効果を有する。
【0047】
図5(d)は、第2変形形態の液体供給装置1Cの部分模式図である。上述の実施形態と液体貯留部2’以外同様である。第2変形形態は、液体貯留部2’がタンク状容器ではなく、実施形態の立ち上がり部3cと同様の同じ管状部材である点が異なる。この場合であっても、実施形態と同様の効果を有する。
【0048】
図5(e)は、第3変形形態の液体供給装置1Cの部分模式図である。上述の実施形態と配液管3b’以外同様である。第3変形形態では、配液管3b’の途中に、実施形態の立ち上がり部3cと同様の中間立ち上がり部3c’’が設けられている点が異なる。この場合であっても、実施形態と同様の効果を有する。
【0049】
図5(f)は、第4変形形態の液体供給装置1Dの部分模式図である。上述の実施形態と配液管3b’’以外同様である。第4変形形態では、配液管3b’’の途中に、実施形態の液体貯留部2と同様の第2液体貯留部2’’が設けられている点が異なる。この場合であっても、実施形態と同様の効果を有する。
【0050】
さらに、実施形態では、液位制御部201の制御により、液体送出部7の動作タイミングを制御することにより、液体貯留部2における養液の液面の高さH1を調整したが、これに限らず、液体貯留部2において養液をオーバフローさせることにより、養液の液位一定に保つようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
V 植物
1 液体供給装置
2 液体貯留部
3 管状部材
3a 接続部
3b 配液管
3c 上がり部
4 吐出口
4A 吐出口
4a 吐出管
5 樋部
5a 樋部開口部
6 液体回収容器
7 液体送出部
8 水位センサ
13 照明装置
20 栽培容器
21 栽培プレート
22 トレイ
22a トレイ開口部
23 液体流入部
23d 開口部
23e 底板
100 植物栽培装置
103 栽培室
104 照明装置
105 空調装置
200 制御部
201 液位制御部
202 照明制御部
203 空調制御部
図1
図2
図3
図4
図5