(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】情報処理方法及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/00 20120101AFI20221215BHJP
【FI】
G06Q30/00 330
(21)【出願番号】P 2018208069
(22)【出願日】2018-11-05
【審査請求日】2021-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】古川 道信
(72)【発明者】
【氏名】須澤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 洋一
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-070520(JP,A)
【文献】特開2010-191792(JP,A)
【文献】特開2005-293086(JP,A)
【文献】特開2005-020605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実名が登録された記入者から収集された情報をコンピュータで処理する情報処理方法において、
コンピュータが、各情報の内容を表す1つ又は複数の第1のラベルを付与する第1の処理と、
コンピュータが、記入者毎の情報の評価を表す1つ又は複数の第2のラベルを付与する第2の処理であり、同一人の過去の同種の情報を統合した後に、
当該第2のラベルを計算する
第2の処理と、
を有する情報処理方法。
【請求項2】
実名が登録された記入者から収集された情報をコンピュータで処理する情報処理方法において、
コンピュータが、各情報の内容を表す1つ又は複数の第1のラベルを付与する第1の処理であり、前記情報の入力時に入力されたタイトルの内容と、入力された当該情報を分析した内容とが整合しない場合、当該分析により得られた内容でタイトルを修正し、修正後のタイトルを前記第1のラベルとして使用する第1の処理と、
コンピュータが、記入者毎の情報の評価を表す1つ又は複数の第2のラベルを付与する第2の処理と、
を有する情報処理方法。
【請求項3】
実名が登録された記入者から収集された情報を処理する情報処理システムにおいて、
各情報の内容を表す1つ又は複数の第1のラベルを付与する第1のラベル付与部と、
記入者毎の情報の評価を表す1つ又は複数の第2のラベルを付与する第2のラベル付与部
であり、同一人の過去の同種の情報を統合した後に、当該第2のラベルを計算する第2のラベル付与部と
、
を有する情報処理システム。
【請求項4】
実名が登録された記入者から収集された情報を処理する情報処理システムにおいて、
各情報の内容を表す1つ又は複数の第1のラベルを付与する第1のラベル付与部であり、前記情報の入力時に入力されたタイトルの内容と、入力された当該情報を分析した内容とが整合しない場合、当該分析により得られた内容でタイトルを修正し、修正後のタイトルを前記第1のラベルとして使用する第1のラベル付与部と、
記入者毎の情報の評価を表す1つ又は複数の第2のラベルを付与する第2のラベル付与部と、
を有する情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウェブサイトで収集した苦情不満情報をデータベース化し、例えば、業種別、商品別、サービス別に分類することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば同一の人物、企業、顧客が不満を繰り返し登録する場合のように、登録される不満の情報に偏りがある場合には、収集された情報を単純に分類するだけでは、不満に対する対応を誤る可能性があり、不満の解決にもつながりにくい。
【0005】
本発明は、収集された情報を利用が容易な情報に変換することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、実名が登録された記入者から収集された情報をコンピュータで処理する情報処理方法において、コンピュータが、各情報の内容を表す1つ又は複数の第1のラベルを付与する第1の処理と、コンピュータが、記入者毎の情報の評価を表す1つ又は複数の第2のラベルを付与する第2の処理であり、同一人の過去の同種の情報を統合した後に、当該第2のラベルを計算する第2の処理と、を有する情報処理方法である。
請求項2に記載の発明は、実名が登録された記入者から収集された情報をコンピュータで処理する情報処理方法において、コンピュータが、各情報の内容を表す1つ又は複数の第1のラベルを付与する第1の処理であり、前記情報の入力時に入力されたタイトルの内容と、入力された当該情報を分析した内容とが整合しない場合、当該分析により得られた内容でタイトルを修正し、修正後のタイトルを前記第1のラベルとして使用する第1の処理と、コンピュータが、記入者毎の情報の評価を表す1つ又は複数の第2のラベルを付与する第2の処理と、を有する情報処理方法である。
請求項3に記載の発明は、実名が登録された記入者から収集された情報を処理する情報処理システムにおいて、各情報の内容を表す1つ又は複数の第1のラベルを付与する第1のラベル付与部と、記入者毎の情報の評価を表す1つ又は複数の第2のラベルを付与する第2のラベル付与部であり、同一人の過去の同種の情報を統合した後に、当該第2のラベルを計算する第2のラベル付与部と、を有する情報処理システムである。
請求項4に記載の発明は、実名が登録された記入者から収集された情報を処理する情報処理システムにおいて、各情報の内容を表す1つ又は複数の第1のラベルを付与する第1のラベル付与部であり、前記情報の入力時に入力されたタイトルの内容と、入力された当該情報を分析した内容とが整合しない場合、当該分析により得られた内容でタイトルを修正し、修正後のタイトルを前記第1のラベルとして使用する第1のラベル付与部と、記入者毎の情報の評価を表す1つ又は複数の第2のラベルを付与する第2のラベル付与部と、を有する情報処理システムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、同一人による同種の情報が同一人の評価に加重的に反映されないようにできる。
請求項2記載の発明によれば、第1のラベルと情報の内容との整合性を担保できる。
請求項3記載の発明によれば、同一人による同種の情報が同一人の評価に加重的に反映されないようにできる。
請求項4記載の発明によれば、第1のラベルと情報の内容との整合性を担保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】クライアントサーバ型のネットワークシステムの構成例を説明する図である。
【
図2】データベースサーバのハードウェア構成を説明する図である。
【
図3】データベースサーバのソフトウェア上の構成例を示す図である。
【
図4】解析サーバのハードウェア構成を説明する図である。
【
図5】解析サーバのソフトウェア上の構成例を示す図である。
【
図6】不満情報の登録に伴って実行される通信動作及び処理動作の具体例を説明する図である。
【
図7】不満情報の登録用のウェブページの例を説明する図である。
【
図8】プルダウンメニューの表示例を示す図である。
【
図9】記入者の情報の入力に用いられる画面の例を説明する図である。
【
図10】不満情報の登録後に実行される通信動作及び処理動作の具体例を説明する図である。
【
図11】本実施の形態で使用する不満情報のデータ構造の例を説明する図である。
【
図12】「ラベル1」及び「ラベル2」がそれぞれ複数付与される場合の不満情報のデータ構造の例を説明する図である。
【
図13】不満情報の登録用のウェブページの他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
<システムの全体構成>
図1は、クライアントサーバ型のネットワークシステム1の構成例を説明する図である。
図1に示すネットワークシステム1は、インターネット10に接続された記入者端末20と、お客様窓口システム30とで構成されている。
本実施の形態における記入者端末20は、お客様窓口システム30を運用する事業者が開設するサイトに不満情報を記入する個人が操作する端末である。記入者端末20には、例えばデスクトップ型のコンピュータ、ノート型のコンピュータ、スマートフォン、ウェアラブル端末が使用される。記入者端末20には、ウェブブラウザがインストールされており、インターネット経由でお客様窓口システム30が提供するウェブページを閲覧することが可能である。
【0011】
サービスの提供主体となる事業者は、私法人に限らず、公法人でもよい。また、私法人は、営利法人でも非営利法人でもよい。本実施の形態の場合、事業者は、ガス小売事業者を想定する。従って、本実施の形態におけるサービスは、ガスの供給や電気の供給である。なお、不満情報の受け付けサービスは、別サービスに付随するサービスとして提供されてもよいし、独立した1個のサービスとして提供されてもよい。
本実施の形態では、サービスの内容を問わず、サービスの利用契約に同意した個人を、サービスの加入者又は顧客という。従って、ガスの供給サービスの利用契約に同意した個人だけでなく、不満情報の受け付けサービスの利用契約を同意した個人も、サービスの加入者又は顧客という。
なお、サービスの利用契約が世帯単位で管理される場合には、ここでの個人は、世帯の代表者として登録されている個人をいう。もっとも、世帯の代表者として認証された場合には、記入者端末20を操作している個人を世帯の代表者とみなす。
【0012】
本実施の形態における加入者の実名は、お客様窓口システム30に登録されている。実名は、例えばサービスの提供者の特定、課金、ポイントの付与に使用される。なお、実名が登録されている場合、実名が登録されていない場合に比して、収集される不満情報の質を高く保つことができる。本実施の場合、実名には、本名だけでなく、日常生活で用いている通称名も含めるものとする。
本実施の形態では、加入者がお客様窓口システム30に不満情報を登録すると、予め定めた基準に従い、ポイントが付与される。勿論、ポイントの付与は任意である。また、付与されるポイントの大きさは、固定でも可変でもよい。
【0013】
本実施の形態では、お客様窓口システム30に登録する情報として、日常生活に関する不満、不便、不足、要望、提案などを想定する。以下では、これらの情報を総称して、不満情報という。
本実施の形態の場合、不満情報はテキスト文で表現されるが、音声や映像を含んでもよい。
なお、1つの登録に複数の不満情報の記載が含まれる場合にも、本実施の形態では、総称的に不満情報という。
【0014】
お客様窓口システム30は、内部からの通信又は外部からの通信を監視するファイアウォール31と、ローカルエリアネットワーク#1(LAN#1)を通じてファイアウォール31に接続されるウェブサーバ32と、ローカルエリアネットワーク#2(LAN#2)を通じてファイアウォール31に接続されるデータベース(DB)サーバ33、解析サーバ34、作業者端末35を有している。
ファイアウォール31は、コンピュータを基本構成とする既知の装置である。ファイアウォール31は、記入者端末20によるLAN#1を経由する通信を許可する一方、記入者端末20からLAN#2を経由する通信を制限する。換言すると、ファイアウォール31は、データベースサーバ33、解析サーバ34、作業者端末35を悪意のあるアクセスから保護している。
【0015】
ウェブサーバ32も、コンピュータを基本構成とする既知の装置である。ウェブサーバ32は、記入者端末20からの要求に応じ、不満情報の登録に用いるウェブページのデータを、要求元である記入者端末20に返信する。また、ウェブサーバ32は、登録用のウェブページに入力された事項をチェックする機能を有し、例えば必須の項目に記入がない場合には、記入者端末20に対して入力を促すメッセージを送信する機能も備えている。ウェブサーバ32は、登録用のウェブページに入力された事項に不備が認められなかった場合、入力された事項をデータベースサーバ33に登録する。
【0016】
データベースサーバ33も、コンピュータを基本構成とする既知の装置である。詳細な構成については後述するが、データベースサーバ33は、加入者データベース(DB)33A、不満情報データベース(DB)33B、評価情報データベース(DB)33Cを管理する。
なお、加入者データベース(DB)33A、不満情報データベース(DB)33B、評価情報データベース(DB)33Cは、それぞれ異なるサーバによって管理されてもよい。また、各データベースは、複数のサーバによって管理されてもよい。
本実施の形態における加入者データベース(DB)33A、不満情報データベース(DB)33B、評価情報データベース(DB)33Cは、いずれも暗号化された状態でデータベースサーバ33に保存されている。
【0017】
解析サーバ34も、コンピュータを基本構成とする既知の装置である。詳細な構成については後述するが、解析サーバ34は、加入者から登録のあった不満情報を解析し、利用の容易な情報に変換する機能を実行する。ここでの解析サーバ34は、情報処理システムの一例である。
本実施の形態の場合、利用が容易な情報には、不満情報として登録されたテキストはそのままに、内容を表すラベルや不満情報を登録した記入者の不満情報の評価を表すラベルが付与された情報が含まれる。これらのラベルを用いることにより、不満情報を自然言語解析しなくても、目的に合った不満情報を抽出することが可能になる。
【0018】
本実施の形態の場合、個々の不満情報に含まれる記入者の実名など個人を特定する可能性がある事項や不満情報を登録した記入者の実名など個人を特定する可能性がある事項を匿名化する処理を施された情報も含まれる。
作業者端末35は、サービスを提供する事業者などの作業者が操作する端末装置であり、コンピュータを基本構成とする。
作業者は、作業者端末35の操作を通じて、データベースサーバ33及び解析サーバ34を操作する。収集された不満情報を利用した際の評価の情報も、作業者端末35から入力される。
【0019】
<データベースサーバ及び解析サーバの構成>
図2は、データベースサーバ33のハードウェア構成を説明する図である。
データベースサーバ33は、基本プログラム(いわゆるオペレーションシステム)やアプリケーションプログラムの実行を通じて各種の機能を提供するCPU(Central Processing Unit)331と、BIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)332と、プログラムの実行領域であるRAM(Random Access Memory)333とを有している。CPU331、ROM332及びRAM333は、いわゆるコンピュータを構成する。
【0020】
図2に示すデータベースサーバ33には、プログラムや各種のデータの保存に使用されるハードディスク装置(HDD)334と、外部との通信に使用される通信モジュール335が設けられている。
図2の場合、ハードディスク装置334には、加入者データベース33A、不満情報データベース33B、評価情報データベース33Cが記録されている。加入者データベース33A、不満情報データベース33B、評価情報データベース33Cは、暗号化処理による秘匿化された状態で保存されている。
このうち、通信モジュール335は、ローカルエリアネットワーク#2との通信用である。
なお、CPU331と各部は、バス336や不図示の通信線を通じて接続されている。
【0021】
図3は、データベースサーバ33のソフトウェア上の構成例を示す図である。
図3に示す機能構成は、CPU331(
図2参照)によるプログラムの実行を通じて実現される。
ソフトウェアの観点から見たデータベースサーバ33は、登録用のウェブページに記載された情報から記入者の情報を特定する情報を取得する記入者情報取得部41と、取得された記入者の情報と加入者データベース33A(
図2参照)に登録されている加入者の情報とを照合する加入者情報照合部42と、登録用のウェブページに入力された不満情報に加入者の情報を関連付けたデータを不満情報データベース33B(
図2参照)に登録する不満情報登録部43として機能する。
【0022】
本実施の形態における記入者情報取得部41は、登録用のウェブページに配置されている記入欄のうち記入者の氏名、メールアドレス、住所などの個人を特定する情報を取得する。取得する項目については、事前に指定されている。ここで、個人を特定する情報としてメールアドレスや住所などの情報も取得するのは、同姓同名者を排除し、個人を確実に特定するためである。
なお、登録用のウェブページ以外にも、不満情報の記入に使用された記入者端末20のIP(Internet Protocol)アドレスやMAC(Media Access Control)アドレスを含めてもよい。
不満情報の登録用のウェブページの表示の前提として、ログインを必要とする場合、記入者情報取得部41は、ログイン時の情報を用いて記入者の情報を取得する。この場合は、記入者と加入者との一致が確定するので、加入者情報照合部42による照合は不要である。
【0023】
加入者情報照合部42は、記入者が加入者として登録されているか否かを照合する処理を実行する。加入者情報照合部42は、例えば登録用のウェブページの表示にログインを必要としない場合に、不満情報を記入した記入者が事業者の提供するサービスの加入者であるか否かを判定するために使用される。加入者であると判定された場合、記入された不満情報は特定の加入者に紐付けられる。加入者との紐付けは、加入者の不満情報と加入者以外の記入者による不満情報を区別するために使用される。
なお、登録用のウェブページの表示が加入者によるログインを条件とする場合、加入者情報照合部42による照合は不要である。
不満情報登録部43は、加入者の情報を、例えば不満情報を本体とするファイルの属性情報として記録する。なお、不満情報登録部43は、加入者の情報を、予め定めた規則に従って不満情報に紐付けられる別ファイルとして記録してもよい。
【0024】
図4は、解析サーバ34のハードウェア構成を説明する図である。
解析サーバ34は、基本プログラム(いわゆるオペレーションシステム)やアプリケーションプログラムの実行を通じて各種の機能を提供するCPU341と、BIOS等を格納するROM342と、プログラムの実行領域であるRAM343とを有している。CPU341、ROM342及びRAM343は、いわゆるコンピュータを構成する。
図4に示す解析サーバ34には、プログラムや各種のデータの保存に使用されるハードディスク装置(HDD)344と、外部との通信に使用される通信モジュール345が設けられている。
このうち、通信モジュール345は、ローカルエリアネットワーク#2との通信用である。
なお、CPU341と各部は、バス346や不図示の通信線を通じて接続されている。
【0025】
図5は、解析サーバ34のソフトウェア上の構成例を示す図である。
図5に示す機能構成は、CPU341(
図4参照)によるプログラムの実行を通じて実現される。
ソフトウェアの観点から見た解析サーバ34は、不満情報の内容を解析する不満情報解析部51と、解析結果に応じた第1のラベル(ラベル1)を付与するラベル1付与部52と、記入者別に過去に登録された不満情報の履歴を評価する記入者評価部53と、評価結果に応じた第2のラベル(ラベル2)を付与するラベル2付与部54として機能する。
【0026】
本実施の形態における不満情報解析部51は、例えば既存の自然言語処理技術を用いて不満情報を解析し、不満情報の内容を表す1つ又は複数の分類を出力する。
出力される分類は、事前に用意されていてもよい。ここでの分類には、「その他」が含まれる。「その他」には、事前に用意されている分類に属しない不満情報に対して用いられる。
割り当ての対象に用いる分類は、定期的に見直されることが望ましい。例えば分類には、クラスタリング技術を用いて抽出された類似する情報の集りを、更に自然言語処理することにより特定された各集まりの内容を表すキーワードを用いてもよい。分類が見直された場合には、不満情報の内容を改めて解析し、対応付ける分類を更新することが望ましい。
【0027】
また、不満情報解析部51は、登録用のウェブページに記入者が記入したタイトル、又は、記入者が選択したタイトルを、不満情報の内容を表す分類の1つとして使用してもよい。記入者が記入したタイトルや選択したタイトルは、記入者の記載した不満情報の内容との間に高い相関性が期待されるためである。もっとも、不満情報を自然言語処理して分析した結果と記入者が記入したタイトルとが整合しない場合には、不満情報解析部51に、分析された結果によってタイトルを自動的に修正する機能を設けてもよい。例えばタイトルは「買い物」であるが、不満情報として記載された内容には「スポーツ」のルールや動作に関する記述しか認められない場合である。
また、タイトルは変更しないが、後述するラベル1付与部52が付与するラベル1として、記入者が入力したタイトルに代えて、分析の結果を適用する機能を設けてもよい。
また、不満情報解析部51は、例えば登録用のウェブページに記入者によって記載された要約の記載を用いて分類を決定してもよい。
【0028】
ラベル1付与部52は、不満情報解析部51が出力する1つ又は複数の分類を「ラベル1」として不満情報に付与する。ラベル1付与部52は、「ラベル1」を、例えば不満情報として記載されたテキストファイルの属性情報に記述する。なお、ラベル1付与部52は、予め定めた規則に従って不満情報に紐付けられる別ファイルにラベル1を記録してもよい。ここでのラベル1付与部52は、第1のラベル付与部の一例である。もっとも、ラベル1は、テキストである必要はなく、不満情報の内容を表す記号や数値でもよい。
【0029】
記入者評価部53は、記入者別に不満情報を評価し、評価の結果を記入者についての評価として出力する。記入者評価部53による評価は、記入者全員を対象として定期的に実行されても良いし、管理上の情報に変化があった記入者に限り実行されてもよいし、作業者端末35(
図1参照)から指定された記入者に限り実行されてもよい。
管理上の情報に変化があった場合には、例えば新たに不満情報が登録された場合、利用に対するフィードバック情報が与えられた場合が含まれる。
フィードバック情報が特定の個人や特定の分類に対して与えられる場合には、フィードバック情報が影響する特定の個人や特定の分類に属する不満情報を登録した個人が評価の対象になる。
【0030】
記入者評価部53は、例えば全体集合内における各記入者の位置づけに基づいて各記入者の評価を計算してもよいし、個別の分類内における各記入者の位置づけに基づいて各記入者の評価を計算してもよいし、収集された不満情報を利用又は活用した利用者からのフィードバック情報に基づいて各記入者の評価値を計算してもよいし、複数の評価を総合的に判断した評価を計算してもよい。
記入者評価部53は、評価の対象である記入者が過去に登録したある不満情報が、例えば過去に登録された不満情報が統計上の平均との偏差が予め定めた閾値より小さい場合、該当する記入者の評価値として高い値を与えてもよい。換言すると、基準値や直前値よりも評価値を上げてもよい。評価値には、算出された偏差の値をそのまま用いてもよい。本実施の形態では、評価値を複数のランクで表現し、偏差が属するランクの情報を評価値として使用する。この観点での評価又は評価値は、統計上の評価又は評価値ともいえる。
【0031】
平均的な不満情報を登録する傾向がある記入者であれば、特定の話題や問題について収集されている不満情報の数が少ない段階でも利用価値の高い不満情報としての扱いが可能になる。なお、統計上の平均との偏差は、不満情報毎に計算してもよいし、複数の判定結果の傾向として判定してもよい。
統計上の平均には、例えば記入者全員を対象とした平均的な不満情報、特定の記入者の集合を対象とした平均的な不満情報、要素の数が多い分類が含まれる。なお 、統計上の平均としての不満情報は、例えばテキストマイニングやクラスター分析等の手法を用いて数値化された各不満情報の平均値として特定してもよい。
特定の記入者の集合には、例えば加入者の集合や加入者以外の記入者の集合がある。なお、偏差は、例えば類似度を表す数値や距離として計算可能である。
【0032】
また、記入者評価部53は、評価の対象である記入者が過去に登録したある不満情報が、例えば収集された不満情報の利用後に利用者から高い評価を得た不満情報と整合する度合が高い場合、該当する不満情報の記入者の評価値を上げてもよい。統計上の平均との偏差が大きい不満情報でも、利用の際に高い評価が与えられた不満情報を登録する傾向がある記入者の場合には、平均的な記入者にはない着眼点や感性に基づく不満情報が得られる可能性が期待されるからである。この観点での評価又は評価値は、利用上の評価又は評価値ともいえる。
利用上の評価は、不満情報を収集した事業者(以下「1次事業者」ともいう)が与える場合もあれば、1次事業者から匿名化処理された不満情報の提供を受けた事業者(以下「2次事業者」ともいう)が与える場合もある。ここでの1次事業者と2次事業者は、利用者の一例である。
【0033】
なお、記入者評価部53は、記入者に対する評価は、不満情報が属する分類を単位として与えてもよい。不満情報の利用では、分類単位での活用も想定されるためである。また、不満情報は多岐に及ぶため、特定の分類での評価は高い記入者でも、他の分類での評価は必ずしも高いとは限らないためでもある。
また、記入者評価部53による評価は、同一人の過去の同種の不満情報を統合した後に実行してもよい。不満情報の登録単位での評価を加算する手法では、評価値を上げる又は下げる要素が増幅されてしまうためである。また、不満情報を利用する観点からも同一人による類似の不満情報が多数存在しても利用価値は少ないためである。
【0034】
ラベル2付与部54は、記入者評価部53が出力する1つ又は複数の評価を「ラベル2」として不満情報に付与する。
ラベル2付与部54は、「ラベル2」を、例えば不満情報として記載されたテキストファイルの属性情報として記述する。
なお、ラベル2付与部54は、予め定めた規則に従って不満情報に紐付けられる別ファイルにラベル2を記録してもよい。ここでのラベル2付与部54は、第2のラベル付与部の一例である。
【0035】
<不満情報の登録処理>
図6は、不満情報の登録に伴って実行される通信動作及び処理動作の具体例を説明する図である。図中の記号Sはステップを示す。
まず、不満情報の登録用のウェブページを公開しているウェブサーバ32に対し、記入者端末20からウェブページが要求される。ウェブサーバ32は、要求に従い、ウェブページを返信する。これにより、記入者端末20の操作画面上には、不満情報の登録用のウェブページが表示される。
記入者は、表示された登録用のウェブページに対して、必要な事項を記入する(ステップ1)。
【0036】
図7は、不満情報の登録用のウェブページ500の例を説明する図である。
ウェブページ500は、ページの使用目的を示す記載501と、記号の*が付された項目は必須の入力欄であることを示す記載502と、不満情報の記入に用いられる領域503と、記入した不満情報を登録するために必要となる操作を説明する記載504と、操作ボタン505とを含んでいる。
図7の例では、記載501として「日常生活で不満に思うことや困っていることを自由に記載してください。」と記載され、記載する不満情報の範囲が示されている。勿論、記入される不満情報の種類や範囲に制限を設けないことも可能である。このような種類や範囲は、不満情報を収集する事業者が定めることになる。
【0037】
本実施の形態の場合、不満情報の記入に用いられる領域503には、タイトル欄503Aと、不満情報の記入欄503Bとが配置されている。
図7の場合、タイトル欄503Aは、必須の入力欄であり、タイトルの入力はプルダウンメニューによる。このため、タイトル欄503Aには、プルダウンボタン503Cが配置されている。
なお、タイトル欄503Aの配置は必須ではない。ただし、タイトル欄503Aを配置して、記入者にタイトルの入力を要求することにより、不満情報を記入欄503Bに記入する目的を記入者に意識付けさせることができる。その結果、タイトル欄503Aへのタイトルの入力が不要な場合に比して、記入される内容が散漫になるのを防ぎ、収集される不満情報の質の向上が期待される。
【0038】
図7の場合、記入欄503Bへの不満情報の記入には文字数の制限がある。
図7の例では200文字である。文字数に制限を設けないことも可能であるが、制限がない場合には、記載される不満情報が散漫になり易い弊害がある。
また、文字数に制限を設けることで、不満情報の解析に必要な計算資源の負荷が軽減される。
また、文字数に制限を設けることで、不満情報を実際に読んで検証する場合の担当者の負担も軽減できる。
【0039】
図8は、プルダウンメニュー506の表示例を示す図である。
図8の例では、選択肢の候補として、住宅、家事代行、ガス一般、電気一般、水道、交通、車、銀行、公共サービス、食べ物、飲食店、日用品、買い物、ファッション、学校、病気、スポーツ、天気、その他などが示されている。勿論、これらは一例に過ぎず、選択肢の候補の数は任意である。選択肢の候補の内容や数は、利用時の利便性などを考慮して事業者が決定する。
なお、各候補には、サブ候補用のプルダウンメニューを用意してもよい。サブ候補用のプルダウンメニューを用意することにより、記入者による候補の絞り込みを容易にできる。
【0040】
図8の例では、ガス一般が選択されているため、その表示領域の行に網掛けが表示されている。
また、
図8に示すように、選択可能な候補の1つに「その他」を設けることにより、候補の数を絞り込むことが可能になる。例えば収集したい不満情報の種類が事前に明確になっている場合には、目的外の候補の数を大幅に減らすことができる。また、候補の数が減ることで、不満情報の解析に必要な計算資源の負荷を軽減できる可能性がある。
一方で、選択可能な候補に「その他」を含めないことも可能である。その他に分類される不満情報の数が増えすぎると、不満情報の解析に必要な計算資源の負荷が大きくなり過ぎる可能性があるためである。
【0041】
図9は、記入者の情報の入力に用いられる画面600の例を説明する図である。
図9に示す画面600は、ページの内容を示す記載601と、記号の*が付された項目は必須の入力欄であることを示す記載602と、入力欄603~610と、前ページで記入された内容の表示欄611と、内容の確認画面に進むために必要となる操作を説明する記載612と、操作ボタン613とを含んでいる。
図9の場合、記入欄603はタイトルの入力用、記入欄604は名前の入力用、記入欄605はメールアドレスの入力用、記入欄606はメールアドレスの確認用、記入欄607は郵便番号の入力用、記入欄608は住所の入力用、記入欄609は電話番号の入力用、記入欄610はお客様番号の入力用である。
【0042】
このうち記入欄604~610は、記入者の特定に用いられる情報の入力用である。従って、これらの記入欄に対応する項目は、記入欄610を除いて入力が必須である。お客様番号の入力が必須でないのは、お客様番号を記入の際に手元に用意している加入者が少ないためである。また、お客様番号は、事業者の側での管理用であり、個人が特定されれば、取得可能な情報であるためでもある。
このうち、記入欄603には、前ページの記入欄503A(
図7参照)で選択されたタイトルが表示される。
また、記入欄611には、前ページの記入欄503B(
図7参照)に記入された不満情報のテキスト文がそのまま表示される。
図9の例では、記入欄611に、「電子レンジみたいに、料理を指定すれば、火加減が自動で調整されればいいのに。私好みの火加減を覚えてくれないかな。」と表示されている。この例では、2つの内容が記述されているが、いずれもガスによる調理についての記述である。
記入欄611に示すように、不満情報は複数の内容を記述することも許される。
【0043】
図6の説明に戻る。
記入者が操作ボタン505(
図7参照)や操作ボタン613(
図9参照)を操作すると、各ページで記入された情報のデータが、記入者端末20からウェブサーバ32に送信される。
本実施の形態の場合、ウェブサーバ32は、必須項目の記入をチェックし(ステップ2)、未記入の項目が見つかった場合、未記入項目の存在を記入者端末20に通知する。一方、未記入の項目が無い場合、ウェブサーバ32は、受信した不満情報と記入者の情報をデータベースサーバ33に送信する。
【0044】
データベースサーバ33は、受信した不満情報に紐付けられている記入者の情報を取得し(ステップ3)、加入者の情報と照合する(ステップ4)。記入者が、事業者が提供するサービスの利用契約に同意している加入者である場合には、加入者を特定する管理番号等と共に不満情報データベース33B(
図1参照)に登録する(ステップ5)。
なお、記入者が、事業者が提供するサービスの利用契約に同意していない場合には、非加入者の管理用に用意された管理番号等と共に不満情報データベース33B(
図1参照)に登録する又は登録の対象から除外する。
ここでの不満情報には、記入欄611(
図9参照)に記載されているテキストに限らず、記入欄603(
図9参照)に記載されているタイトルも含まれる。
【0045】
<不満情報の解析処理>
図10は、不満情報の登録後に実行される通信動作及び処理動作の具体例を説明する図である。図中の記号Sはステップを示す。
まず、データベースサーバ33に対する不満情報の登録後、解析サーバ34は、データベースサーバ33から不満情報を読み出し、その内容を解析する(ステップ11)。解析の対象として用いられる不満情報には、前述したように、記入欄603(
図9参照)に記載されているタイトルや記入欄611(
図9参照)に記載されているテキストが含まれる。
解析が終わると、解析サーバ34は、不満情報に対して「ラベル1」を付与する(ステップ12)。「ラベル1」は、不満情報の内容を表している。このステップ12の処理は第1の処理の一例である。
【0046】
続いて、解析サーバ34は、不満情報を登録した記入者が過去に登録した不満情報の履歴を読み出し、記入者を評価する(ステップ13)。
評価が終わると、解析サーバ34は、評価値を表す「ラベル2」を不満情報に付与する(ステップ14)。このステップ14の処理は第2の処理の一例である。
この後、解析サーバ34は、「ラベル1」及び「ラベル2」を付与した不満情報でデータベースサーバ33の内容を更新する。
本実施の形態では、不満情報を収集する事業者と不満情報を利用する事業者が同一であるが、第3者に不満情報を提供する場合には、不満情報に紐付けられている記入者の情報や不満情報のテキストに含まれる個人情報を秘匿化する処理が実行される。
【0047】
図11は、本実施の形態で使用する不満情報のデータ構造の例を説明する図である。(A)は不満情報の内容を解析する前のデータ構造を示し、(B)は不満情報の内容を表す「ラベル1」が付与された後のデータ構造を示し、(C)は不満情報の記入者の評価値を表す「ラベル2」が付与された後のデータ構造を示す。
図11では、記入者が加入者の場合もあるので、記入者情報と加入者情報の両方を併記している。
また、
図11では、不満情報として記載されたテキストの内容が1つに分類される場合を想定するため、「ラベル1」は1つだけ付与されている。
また、
図11では、記入者が過去に登録した不満情報を評価した値が1つだけの場合を想定するため、「ラベル2」は1つだけ付与されている。
【0048】
図12は、「ラベル1」及び「ラベル2」がそれぞれ複数付与される場合の不満情報のデータ構造の例を説明する図である。
図12の場合、「ラベル1」は2つ、「ラベル2」は3つ付与されている。
図12のように「ラベル1」が2つ付与されるのは、例えば2つの分類の属する内容がテキスト中に含まれる場合に出現する。勿論、「ラベル1」の数は3つ以上でもよい。
図12のように「ラベル2」が3つ付与されるのは、例えば記入者の全体的な評価と、ある分類についての評価と、別の分類についての評価の3つについて別々に評価が与えられる場合に出現する。勿論、「ラベル2」の数は2つでも、4つ以上でもよい。
【0049】
<他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上述の実施の形態に記載の範囲に限定されない。上述の実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
例えば前述の実施の形態においては、不満情報の登録時にタイトルの入力が必須の場合について説明したが、タイトルの入力は任意でもよい。
【0050】
図13は、不満情報の登録用のウェブページ500の他の例を説明する図である。
図13には、
図7との対応部分に対応する符号を付して示している。
図13に示すウェブページ500の場合にも、タイトル欄503Aが存在するが、記号の*印はついていない。このため、タイトルの入力は任意である。また、
図13に示すタイトル欄503Aの場合には、プルダウンボタン503Cも存在しない。従って、
図13の場合、記入者は自由な表現でタイトルを入力することも、タイトルを入力しないことも自由である。なお、タイトル欄503A自体が存在しなくてもよい。
【0051】
また、前述の実施の形態の場合には、不満情報を収集する事業者と加入者が利用契約に同意しているサービスの提供者が同じ場合を想定しているが、不満情報を収集する事業者は、他の事業者から委託を受けて不満情報を収集してもよい。また、委託を受ける事業者は複数でもよい。その場合、加入者データベース33Aは、不満情報の収集を委託した事業者毎に用意されてもよい。
また、 前述の実施の形態においては、お客様窓口システム30(
図1参照)において不満情報を収集する場合について説明したが、収集する情報は満足情報、提案情報その他でもよい。
【符号の説明】
【0052】
1…ネットワークシステム、10…インターネット、20…記入者端末、30…お客様窓口システム、31…ファイアウォール、32…ウェブサーバ、33…データベースサーバ、33A…加入者データベース、33B…不満情報データベース、33C…評価情報データベース、34…解析サーバ、35…作業者端末、41…記入者情報取得部、42…加入者情報照合部、43…不満情報登録部、51…不満情報解析部、52…ラベル1付与部、53…記入者評価部、54…ラベル2付与部