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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/19 20180101AFI20221215BHJP
   F21S 43/19 20180101ALI20221215BHJP
   F21S 41/162 20180101ALI20221215BHJP
   F21S 43/13 20180101ALI20221215BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20221215BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20221215BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20221215BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20221215BHJP
【FI】
F21S41/19
F21S43/19
F21S41/162
F21S43/13
F21W102:13
F21W103:00
F21W103:20
F21W103:55
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018212681
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020080236
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 裕司
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0029926(KR,A)
【文献】特開2001-023413(JP,A)
【文献】特開2005-011818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/19
F21S 43/19
F21S 41/162
F21S 43/13
F21W 102/13
F21W 103/00
F21W 103/20
F21W 103/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方が開口したランプボディとその前方開口部に取付けられた前面カバーとで形成される灯室内にバルブが配置された車両用灯具において、
前記バルブが装着される筒部を有し、前記ランプボディに設けられた貫通孔に挿通して取着されるソケットと、前記ソケットが嵌通する取付孔が設けられ、前記ランプボディの前記貫通孔の前記灯室側に装着されるブラケットと、を備え、
前記ソケットの前記筒部の外周には、ソケット側接点が露出して設けられ、
前記ブラケットの前記取付孔の内側には、前記ソケットが前記ブラケットに嵌通することで前記ソケット側接点と導通接続されるブラケット側接点が設けられ
前記灯室内には、灯具ECUからランプに接続され、電力および命令を伝達するコネクタが配置され、
前記コネクタおよび前記ブラケットは、電線で前記灯具ECUに接続される、
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記ランプボディにランス固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記ブラケット側接点は端子であり、前記ソケット側接点との接点部が板バネ状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記ブラケット側接点は、前記ブラケットに設けられた溝に挿着される端子である、
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記ブラケット側接点は、前記ブラケットにインサート成形されたインサート端子である、
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記ブラケットは、前記コネクタが接続されるコネクタ部を備え、
前記インサート端子の一方の端部は前記ブラケット側接点として前記取付孔の内側に露出し、他端部は前記コネクタ部に露出する、
ことを特徴とする請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記ブラケットは前記ブラケット側接点として端子を装着可能であり、
前記ブラケットは、前記貫通孔の前記ソケットの前記ソケット側接点に対応する位置ごとに配設される分割ブラケットである、
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記ランプボディには、前記ブラケットの外周面を突当させて位置決めする、前記ランプボディの内表面に湾曲して突出した突出部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記突出部には、前記ブラケットに設けられた凸部と係合して、周方向の位置決めをするための凹部が形成されている、
ことを特徴とする請求項8に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、車両用灯具の配線は、灯室外に備えられていた。しかし、灯室外、即ちエンジンルーム内に存在する配線は組付けが煩雑であり、さらに防水加工が必要であるため、灯具ECUを備えて配線が灯室内に納められる形態へと移行していった。
【0003】
この従来の形態を、図を用いて詳しく説明する。図14は、従来の車両用灯具501の構成を示すための概略図である。車両用灯具501は車両用前照灯であり、ハイビームランプ、ロービームランプ、クリアランプランプ、ターンシグナルランプ、デイタイムランニングランプ等、複数のランプを備えたコンビネーションランプである。ランプ光源のうちの少なくとも1つにはバルブが使用されている。
【0004】
従来の車両用灯具501は、前方に開口部を有するランプボディ502と、透光性を有する樹脂やガラス等で形成され、ランプボディ502の開口部に取付けられる前面カバー511を備える。ランプボディ502と前面カバー511の内側には灯室Sが形成される。
【0005】
灯室S内には、灯具ECU514から各ランプへ接続されて電力及び命令を伝達するコネクタ510が配置される。ここでバルブ506へ接続される外部コネクタ515だけは、ブッシング516を通って灯室S外に配置される。灯具ECU514を使用することで、車両用灯具501の配線を集約でき、集中コネクタ512と接続するだけで、各ランプに対して一斉に給電と制御が可能になる。
【0006】
バルブ506はソケット508の先端に装着される。バルブ506を備えたソケット508が、バルブ506ごとランプボディ502に設けられた貫通孔504に挿通して着脱可能に保持されることで、バルブ506は灯室S内に配置される。このとき、ソケット508は後端側が灯室S外に突出した状態でランプボディ2に保持されるため、ソケット508の後端は灯室S外に配置される。ソケット508の後端には接点が設けられており、この接点に外部コネクタ515が接続されることでバルブ506は給電される。
【0007】
ソケット508は灯室S外から着脱可能であり、バルブ506交換の際には、まず外部コネクタ515がソケット508から取り外され、ソケット508がバルブ506ごと貫通孔504から引き抜かれ、新しいソケット508にバルブ506ごと交換される。新しいソケット508が挿通されてランプボディ502に保持され、再び外部コネクタ515が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平9-251802号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、このような構成では、バルブ506交換のたびに外部コネクタ515を着脱させる必要があり、手間がかかる。
【0010】
本発明はこれを鑑みてなされたものであり、その目的は、バルブ交換の工数の削減である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するための、本発明のある形態の車両用灯具では、前方が開口したランプボディとその前方開口部に取付けられた前面カバーとで形成される灯室内にバルブが配置された車両用灯具において、前記バルブが装着される筒部を有し、前記ランプボディに設けられた貫通孔に挿通して取着されるソケットと、前記ソケットが嵌通する取付孔が設けられ、前記ランプボディの貫通孔の前記灯室側に装着されるブラケットとを備え、前記ソケットの前記筒部の外周には、ソケット側接点が露出して設けられ、前記ブラケットの前記取付孔の内側には、前記ソケットが前記ブラケットに嵌通することで前記ソケット側接点と導通接続されるブラケット側接点が設けられているよう構成した。この態様によれば、バルブが装着されたソケットをランプボディに着脱するだけで導通接続/解除が行われるため、バルブ交換の工数を削除できる。さらに、配線を全て灯室内に納めることができる、防水加工の必要もなく、配線を単純化できる。灯室外にコネクタを配置する必要もないため、組付け工数を削減できる。
【0012】
ある形態では、前記ブラケットは、前記ランプボディにランス固定されるよう構成した。この態様によれば、ブラケットのランプボディへの組付けがワンタッチで行われ、組付け工数を削減できる。
【0013】
またある形態では、前記ブラケット側接点は端子であり、前記ソケット側接点との接点部が板バネ状に形成されているよう構成した。この態様によれば、接点同士の接続に板バネ部が使用され、弾性変形により、接点同士の当接に必要な力を軽減できる。
【0014】
またある形態では、前記ブラケット側接点は、前記ブラケットに設けられた溝に挿着される端子であるよう構成した。この態様によれば、ワンタッチで端子をブラケットに固定できる。
【0015】
またある形態では、前記ブラケット側接点は、前記ブラケットにインサート成形されたインサート端子であるよう構成した。この形態に寄れば、端子をブラケットに組み付ける工程が不要となり、組付け効率が向上する。
【0016】
またある形態では、前記ブラケットは、コネクタが接続されるコネクタ部を備え、前記インサート端子の一方の端部はブラケット側接点として前記取付孔の内側に露出し、他端部は前記コネクタ部に露出するよう構成した。この態様によれば、端子ごとに接続する必要がなく、コネクタとの嵌合で全ての接点との接続を行うことができる。
【0017】
またある態様では、前記ブラケットは前記ブラケット側接点として端子を装着可能であり、前記ブラケットは、前記貫通孔の前記ソケットのソケット側接点に対応する位置ごとに配設される分割ブラケットであるよう構成した。この態様によれば、分割ブラケットを用いることで、分割ブラケット単品の構造および全体構成を単純なものとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、バルブ交換の工数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る車両用灯具の概要を説明するための説明図である。
図2】本発明の第1の実施形態にかかる車両用灯具の分解斜視図であり、図1の一点鎖線部分である。
図3】同車両用灯具のブラケットであり、(A)が正面図、(B)が平面図、(C)が右側面図を示す。
図4図3のIV-IV線に沿った断面斜視図である。
図5】同車両用灯具の端子である。
図6】同車両用灯具の組立工程を示す。
図7】本発明の第2の実施形態にかかる車両用灯具の分解斜視図であり、図1の一点鎖線部分である。
図8】同車両用灯具のブラケットであり、(A)が正面図、(B)が平面図、(C)が右側面図を示す。
図9図8のIX-IX線に沿った断面斜視図である。
図10】同車両用灯具のインサート端子の一例である。
図11】同車両用灯具のブラケットとインサート端子の位置関係を示す説明図である。(A)がブラケット、(B)がブラケットを透かした状態のインサート端子、(C)がインサート端子である。全て同じ視点からみた斜視図である。
図12】同車両用灯具の組立工程を示す。
図13】本発明の第3の実施形態にかかる車両用灯具の分解斜視図であり、図1の一点鎖線部分である。
図14】従来の車両用灯具の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0021】
(車両用灯具の構成)
まず、本発明の車両用灯具の構成の概要を説明する。図1は、第1の実施形態にかかる車両用灯具1の概略図である。車両用灯具1は、コンビネーションランプを備えた車両用前照灯であり、ランプ光源のうちの少なくとも1つにバルブが使用されている。
【0022】
車両用灯具1は、前方に開口部を有するランプボディ2と、透光性を有する樹脂やガラス等で形成され、ランプボディ2の開口部に取付けられる前面カバー11を備える。ランプボディ2と前面カバー11の内側には灯室Sが形成される。
【0023】
灯室S内には、灯具ECU14から各ランプへ接続され、電力及び命令を伝達するコネクタ10が配置される。
【0024】
ランプボディ2に設けられた貫通孔4の灯室S側の周縁には、中央に貫通孔4を延伸する取付孔5が設けられたブラケット7が固定されている。貫通孔4及び取付孔5はソケット8が挿通するために設けられている。先端にバルブ6が装着されたソケット8は、貫通孔4及び取付孔5を挿通し、先端のバルブ6を含んだ一部が灯室S内に配置され、ブラケット7を介してランプボディ2に着脱可能に保持される。
【0025】
ソケット8は筐体の外周面に接点を備え、ブラケット7に保持された状態で、ブラケット7の取付孔5の内面に設けられた接点と導通接続する。
【0026】
コネクタ10及びブラケット7は電線13で灯具ECU14に接続され、灯具ECU14が外部の集中コネクタ12に接続されることで、各ランプは給電と制御を受ける。バルブ6を光源として使用するランプも、ブラケット7を介して電力と制御信号を受けとる。
【0027】
バルブ6交換の際には、バルブ6を装着したソケット8ごと引き抜いて新しいバルブ6と交換し、再びブラケット7に保持させる。ソケット8がブラケット7を介してランプボディ2に保持されるだけで新しいバルブ6の導通接続が行われるため、交換が容易で工数の削減ができる。この形態によれば、バルブ6の導通のために灯室外配置のコネクタやブッシングを設ける必要がなく、配線は全て灯室S内におさめられるため防水加工を施す必要もなく、配線が簡略化される。
【0028】
(第1の実施形態)
上記構成を備える本発明の具体的な形態を、図2図5を用いて説明する。図2は第1の実施形態に係る車両用灯具1の分解斜視図であり、図1の一点鎖線部分を示す。ランプボディ2の上面側(図の上方)が灯室S内側、ランプボディ2の底面側(図の下方)が灯室S外側である。図3はブラケット7を示し、(A)が正面図、(B)が平面図、(C)が右側面図である。図4は、図3(B)のIV-IV線に沿ったブラケット7の縦断面斜視図であり、図5はブラケット7が備える端子3の斜視図である。
【0029】
車両用灯具1は、バルブ6が装着されたソケット8、ランプボディ2、ブラケット7を備える。
【0030】
ソケット8は、筐体である円柱状の胴部84を備える。胴部84の先端にはバルブ6が挿入されるバルブ挿入口85が設けられ、バルブ6が装着されている。本実施形態ではバルブ6はウェッジタイプであるが、口金タイプでも構わず、バルブ挿入口85はバルブ6の形状に合わせて形成される。
【0031】
胴部84の後端側にはフランジ83が設けられ、さらに端部にはソケット8着脱の際に把持される把持部82が形成されている。
【0032】
胴部84の外周面中ほどには、複数個の係合凸部81が円周方向に離散して突設されている。さらに胴部84の軸方向において、係合凸部81とフランジ83との間に位置して、接点部9が露出して設けられている。接点部9の他端側はバルブ挿入口85内に位置し、バルブ6がバルブ挿入口85に挿入されると電気的に接続され、接点部9がバルブ6の接点となる。接点部9は三箇所、円周方向に離散して設けられている。接点部9はその中央部付近が膨張した形状となっており、膨張部は胴部84の外周面から僅かに突出する。
【0033】
ランプボディ2には、バルブ6が挿通する貫通孔4が設けられている。貫通孔4の内面には、ソケット8の係合凸部81に対応して、係合凹部21が形成されている。ランプボディ2の灯室S内側の面の貫通孔4周縁には、係合凹部21とは周方向にずれた位置に、ブラケット7とのランス固定用の複数の突起23が形成されている。さらに貫通孔4から離間した位置に、ブラケット7と係合してその周方向の位置決めをするための凹部が形成された位置合わせ凹部22が設けられている。
【0034】
ブラケット7は、バルブ6が挿通する取付孔5が設けられた筒状体である。取付孔5の内側に突起23に対応して設けられたロックアーム71により、ブラケット7はランプボディ2に、取付孔5と貫通孔4の軸が略一致した状態でランス固定される。ブラケット7の外周面には、ランプボディ2の位置合わせ凹部22と係合する位置決め凸部74が突設されており、ランス固定の際には、これが円周方向位置の目印となる。
【0035】
取付孔5の内側には、ソケット8の係合凸部81に対応して、係合L型凹部73が形成されている。ブラケット7がランプボディ2に固定された状態で、係合L型凹部73はランプボディ2の係合凹部21を延伸する。ソケット8が貫通孔4及び取付孔5に挿通し、フランジ83がランプボディ2に当接した状態で回転することで、係合凸部81が係合L型凹部73に係合して、ソケット8はブラケット7を介してランプボディ2に保持される。
【0036】
ブラケット7には、円周方向三箇所、ソケット8がブラケット7に保持された状態でのソケット8の接点部9と対応する位置に、端子用凹部75が設けられている。端子用凹部75と直交して形成された溝72に端子3が嵌まり、切起しによって形成された舌辺状の切起し部32と、端子用凹部75に形成された凸部76とが嵌合して、端子3はブラケット7に固定される。端子3の後端側には電線13(図1参照、図2図4には図示せず)がかしめられ、ブラケット7は灯具ECU14と接続される。
【0037】
端子3の先端部31はU字に折り曲げられた板バネ形状となっており、さらに先端は僅かに湾曲して膨らんでおり、端子用凹部75に固定された状態で、取付孔5から内側へ僅かに突出する(図3(B)参照)。ソケット8がブラケット7に保持されると、ソケット8の接点である接点部9の膨張部とブラケット7の接点である先端部31が当接して導通接続される。板バネ形状となっていることで、弾性変形により突出した接点同士の当接に必要な力が軽減される。
【0038】
図6を用いて、車両用灯具1の組立工程およびバルブ6の交換工程を説明する。まず電線13が端子3にかしめられ(A)、電線13がかしめられた端子3がブラケット7に固定され(B)、次に、ブラケット7がランプボディ2にランス固定され(C)、最後に、先端にバルブ6が装着されたソケット8がランプボディ2に挿通してブラケット7に保持され(D)、接点部9が端子3と導通接続して灯具ECU14に接続される。
【0039】
バルブ6を交換するときには、ブラケット7との保持を解除してランプボディ2から抜き出し((D)⇒(C))、新しいソケット8を再びセットする((C)⇒(D))。ソケット8のセットと共に導通接続が完了するため、交換作業が容易である。またランス固定によりブラケット7の固定もワンタッチで完了する。従来と比べて、電線をブッシングから取り出す作業や外部コネクタを用意する必要もなく、バルブ交換の工数を削減できる。
【0040】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について図7図12を用いて説明する。第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0041】
図7は第2の実施形態に係る車両用灯具101の分解斜視図であり、図1の一点鎖線部分を示す。車両用灯具101は、バルブ6が装着されたソケット8、ランプボディ102、ブラケット107を備える。図8はブラケット107を示し、(A)が正面図、(B)が平面図、(C)が右側面図である。図9は、図8(B)のIX-IX線に沿ったブラケット107の縦断面斜視図である。図10はブラケット7が備えるインサート端子103Aの斜視図である。図11は、インサート端子103Aとブラケット7との位置関係を示す説明図である。
【0042】
ブラケット107は、接点にインサート端子103A,103B,103Cが使用され、インサート成形により一体化していることが、第1の実施形態と異なる。筒状体であるブラケット107の外周面の一部には、雌型のコネクタ部177が形成されている。コネクタ部177は、灯具ECU14に接続する雄型のコネクタ10(図1参照)と嵌合する。
【0043】
インサート端子103A,103B,103Cの、取付孔5の内面に露出する一端である先端部131A,131B,131Cは90度に折り曲げられた板バネ状となっている。先端部131A,131B,131Cの端部は僅かに湾曲して膨らんでおり、取付孔5の内に僅かに突出している。インサート端子103A,103B,103Cの塑性変形を軽減するため、先端部131A,131B,131Cには背当て部134A,134B,134Cが設けられている。背当て部134A,134B,134Cが存在しない場合、板バネ状の先端部131A,131B,131Cがたわむ量の限界値が大きくなり、たわみが過剰となる懸念がある。背当て部134A,134B,134Cを設けることで、先端部131A,131B,131Cがたわんだ際の塑性変形量を抑えることができる。これにより、ソケット8のガタつきなどによりインサート端子103A,103B,103Cのたわみ量が増大した場合でも、変形を抑制でき、安定してソケット8へ給電を行うことができる。
【0044】
先端部131A,131B,131Cとは逆側の端部は、コネクタ部177内部に露出するコネクタ接続部133A,133B,133Cとなっている。コネクタ接続部133A,133B,133Cはピンとしてコネクタ部177に突出し、雄型のコネクタ10が雌型のコネクタ部177と嵌合することで、導通接続される。インサート端子103,103B,103Cは互いに接することなくインサート成形によりブラケット107に一体化している(図11参照)。
【0045】
ブラケット107にはランプボディ102との位置決めのための凸部は設けられておらず、ランプボディ102に突当部124が形成されているのみである。ブラケット107をランプボディに固定する際には、コネクタ部177を把持し、コネクタ部177とは逆側の外周面を突当部124に突当させて位置決めし、ランプボディ102にランス固定する。このように構成することでブラケット107に位置決め凸部を設ける必要がなくなる。コネクタ部177に位置決め凸部の役割を持たせ、ランプボディ102に受け部を形成しても良い。
【0046】
ブラケット107がランプボディ102にランス固定され、さらにソケット8が貫通孔4及び取付孔5に挿通して、ブラケット107を介してランプボディ102に保持されると、ソケット8の接点である9の膨張部とブラケット7の接点である先端部131A,131B,131Cが当接して両者が導通接続される。
【0047】
図12を用いて、車両用灯具101の組立工程およびバルブ6の交換工程を説明する。灯具ECU14に電線13で接続された雄型のコネクタ10がコネクタ部177に嵌合され(A)、次にブラケット107がランプボディ102にランス固定され(B)、最後に先端にバルブ6が装着されたソケット8がランプボディ102に挿通してブラケット107を介して保持され(C)、接点部9がインサート端子103A,103B,103Cと導通接続して灯具ECU14に接続される。
【0048】
バルブ6を交換の際は、第1実施形態と同様に、ブラケット107との保持を解除してランプボディ2から抜き出し((C)⇒(B))、新しいソケット8を再びセットする((B)⇒(C))。ソケット8のセットと共に導通接続が完了するため、交換作業が容易である。
【0049】
第1実施形態では、接点に端子を使用したため、電線と端子をかしめてさらにその端子をブラケットに固定する工程が必要であったが、インサート端子を使用することで端子をかしめる工程が不要となり、また端子を個々に固定させる工程がコネクタ10を嵌合させるのみとなり、組立工数を大幅に削減できる。
【0050】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態について図13を用いて説明する。第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、説明を省略する。
【0051】
図13は第3の実施形態に係る車両用灯具201の分解斜視図であり、図1の一点鎖線部分を示す。
【0052】
車両用灯具201は、バルブ6が装着されたソケット208、ランプボディ202、複数の分割ブラケット278から構成されているブラケット207を備える。
【0053】
分割ブラケット278は、前後が開口した箱体であり、前方開口部に端子203が圧入され、先端部231が突出した状態で固定されている。端子203には電線13がかしめられており、分割ブラケット278の後方開口部から伸びた電線13は灯具ECU14に接続されている。
【0054】
ランプボディ202の灯室S内側の貫通孔4の周縁には、固定部225が複数個設けられている。固定部225の上面、および分割ブラケット278の底面には図示しない固定機構が設けられており、分割ブラケット278は固定部225の上面に固定される。固定機構には、ランス固定や係合溝など、従来周知の機構が用いられる。
【0055】
固定部225は、それぞれ係合凹部21から円周方向に等距離だけ離間した位置に形成されている。ソケット208が貫通孔4に挿通して回転すると、係合凸部81が固定部225に当接し、ブラケットを介さず直接ランプボディ202に保持される。ソケット208の接点部9は、端子203の位置に合わせて配置されており、ソケット208が保持された状態で、接点部9は端子203の先端部231に当接して導通接続される。第1実施例と異なり、ソケット208はブラケットを介さず保持されるため、本実施形態の胴部84は、その分短く形成されている。
【0056】
第1実施形態や第2実施形態と同様、バルブ6交換の際には、ソケット208を取り外して新しいものと交換して再セットするだけで、導通接続も行われる。
【0057】
ブラケット207に分割ブラケット278を用いることで、分割ブラケット278単品の構造および全体構成を単純なものとすることができる。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施形態について述べたが、上記の実施形態は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1 車両用前照灯
2 ランプボディ
3 端子
4 (ランプボディの)貫通孔
5 (ブラケットの)取付孔
6 バルブ
7 ブラケット
8 ソケット
9 接点部
10 コネクタ
11 前面カバー
31 先端部
84 胴部
S 灯室
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