(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】集合住宅建築物
(51)【国際特許分類】
E04H 1/04 20060101AFI20221215BHJP
E03C 1/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
E04H1/04 C
E03C1/00
(21)【出願番号】P 2018217984
(22)【出願日】2018-11-21
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 智介
(72)【発明者】
【氏名】横山 恭太
(72)【発明者】
【氏名】水野 裕介
(72)【発明者】
【氏名】小畠 忠久
(72)【発明者】
【氏名】服部 敦志
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-226241(JP,A)
【文献】特開2002-121925(JP,A)
【文献】特開2017-082972(JP,A)
【文献】特開平11-044120(JP,A)
【文献】特開2005-314900(JP,A)
【文献】特開2004-211495(JP,A)
【文献】特開昭63-134755(JP,A)
【文献】特開2007-198536(JP,A)
【文献】World Business Garden,[online],2022年08月31日,インターネット<URL:https://www.take-office.co.jp/pdf/12106010009.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/04
E03C 1/00
E04F 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有部に共用設備スペースが設けられた集合住宅建築物であって、
前記共用設備スペースは各階の、外周面側に、外気と連通するように設けられ、
前記共用設備スペースには、空調用の室外機、給湯器、及び排気設備のうち少なくとも1つ以上を含む設備機器と、前記共用設備スペースを上下階に渡って貫通して配管設備を構成する主縦配管が設置され、
各階の住戸と、前記共用設備スペースに設けられた前記設備機器との間には、これらを接続する配管が設けられ
、
前記共用設備スペースは、連層耐震壁で囲まれており、
前記連層耐震壁は、少なくとも一部が、前記外周面に沿って設けられていることを特徴とする集合住宅建築物。
【請求項2】
前記共用設備スペース
の外周側面は外壁で覆われておらず、少なくとも部分的に開放されており、
前記連層耐震壁は、
1階から最上階まで連続し繋がって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の集合住宅建築物。
【請求項3】
前記配管設備は、
各階の前記住戸に設けられる住戸内引込管と、
ある特定階において前記主縦配管と前記住戸内引込管とを接続する横引き配管と、
当該横引き配管から前記特定階とは異なる階へ縦方向に延びて、前記異なる階の住戸内引込管に接続される、副縦配管と、
を備え、
前記横引き配管が、前記共有部の床スラブ下に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の集合住宅建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共用部と住戸部とを備えたマンション等の集合住宅建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅を施工するに際し、各住戸の面積を広くすることが求められている。各住戸の面積を広くするための一策として、各住戸に必要とされる設備の設置構造を工夫し、各階の空間を有効に利用することが挙げられる。
例えば、特許文献1には、各階を貫通する給水竪管、スプリンクラー配管、電気幹線の各竪管1本から複数住戸へと延びる給水配管、スプリンクラー配管、引き込み線、ガス配管を分岐させ、これら配管に付設された給水メータ、アラーム弁、電気メータを同一工種別に集約してパイプスペース内に配置することが記載されている。すなわち、竪管をそれぞれ1本とすることで、パイプスペース内の竪管本数を低減し、空間を有効に利用することができる。
【0003】
集合住宅においては、竣工後にリニューアルされることがあるが、このリニューアルを容易に行うことも求められている。
例えば、上記の特許文献1においては、各竪管をパイプスペース内に設置することで、竪管の更新対応や生活環境の変化などに合わせたリフォーム対応に優れることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、共用ゾーンの外周に住戸ゾーンを配置し、共用部に住戸部に沿って延びる共用廊下に沿って設備用ピットを設け、共用廊下よりも内周側で上下に延びる設備シャフトが設けられた、高層集合住宅が記載されている。各設備用ピットに沿って配置した設備用配管等は、設備シャフトによって上下方向に展開させ地上部の基幹部に接続される。住戸部の床を二重床構造とし二重床内に居住空間用の設備用配管及び配線が配置され、設備用配管等が設備用ピット内の設備用配管等と接続される。
このような構成にすることで、建物の躯体部分と、設備・間仕切りなどのインフィル部分とが分離した構造となり、各階の居住空間のレイアウトの変更が容易であり、住居者のニーズに合わせて、住戸割・各住戸内の間取りのいずれの変更も自在となることが記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、集合住宅において、各住戸の配管・配線と共用廊下の配管・配線とを接続するにあたり、各住戸を第1床スラブと床材とからなる二重床として各住戸に個別の配管・配線の配設スペースを形成し、各住戸の配管・配線を第1床スラブを支持する大梁の上を通して共用廊下を貫通させ、第2床スラブにより構成される共用廊下の下の配管・配線と接続することが記載されている。個別の配管・配線が二重床内から大梁上及び第2床スラブを通過して共通の配管・配線に接続されるように、個別の配管・配線が通過する通過部が前記第2床スラブに設けられている。共用廊下は開放共用廊下であり、第2床スラブは、大梁を支持する柱に支持された片持ち梁に支持され、かつ、開放端側の第1の領域と、各住戸側の第2の領域と、を有し、第2床スラブが、片持ち梁と第1の領域とで柱に支持され、第2の領域を通過部が形成可能な構造となっている。
このような構成にすることで、通過部を第2の領域の任意の位置に形成でき、新設時だけでなく、竣工後のリニューアル時でも必要に応じて前記通過部の配設位置を設定できることが記載されている。
【0006】
これらの特許文献1~3は、主に、配管設備の設置構造を工夫することで、各住戸の面積の拡大や、リニューアル性の向上を実現しようとしている。しかし、配管設備の設置構造の変更のみによる、各住戸の面積の拡大や、リニューアル性の向上には限界がある。各住戸の面積やリニューアル性を更に向上することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-264547号公報
【文献】特許第4082650号公報
【文献】特許第4234660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、住戸の面積を広くし、リニューアル時の部屋割りや設備機器の更新が容易な、集合住宅建築物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、集合住宅の設備配管システム、及びその建物構造として、集合住宅の地上部構造を連層耐震壁と床梁部材(例えば、フラットスラブ、またはボイドスラブ)で形成される架構構造で支持し、かつ各階建物共有部に共用設備スペースを設けて、当該共用設備スペースに各階住戸に接続される設備機器(例えば、空調用の室外機、給湯器、排気設備)を集約して配置することで、建物新設時だけでなく、リニューアル時にあっても、柔軟に、建物内の部屋割りプランニングや様々な設備方式に対応可能な点に着眼して、本発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち、本発明は、共有部に共用設備スペースが設けられた集合住宅建築物であって、前記共用設備スペースは各階の、外周面側に、外気と連通するように設けられ、前記共用設備スペースには、空調用の室外機、給湯器、及び排気設備のうち少なくとも1つ以上を含む設備機器と、前記共用設備スペースを上下階に渡って貫通して配管設備を構成する主縦配管が設置され、各階の住戸と、前記共用設備スペースに設けられた前記設備機器との間には、これらを接続する配管が設けられていることを特徴とする集合住宅建築物を提供する。
上記のような構成によれば、各階に設けられた共用設備スペースには、空調用の室外機、給湯器、及び排気設備のうち少なくとも1つ以上を含む設備機器が設置されている。すなわち、本来であれば各住戸に設けられるべき設備機器が共用設備スペースに設置されるため、各住戸に設備機器を設けなくともよい。
また、共用設備スペースには、上記の設備機器に加え、上下階に渡って貫通して配管設備を構成する主縦配管が設けられている。すなわち、設備機器と配管設備が集約して共用設備スペースに設けられているため、これらを個別の空間に集約した場合に比べ、共用設備スペースの空間利用効率を向上させることができる。すなわち、共用設備スペースの占有面積を低減可能である。
以上により、各住戸の占有面積を大きくすることができる。
また、共用設備スペースに設備機器と配管設備が集約して設けられるため、各住戸から設備機器と配管設備が切り離される。このため、部屋割り等における設備機器と配管設備の影響が低減され、したがって、リニューアル時の部屋割りや設備機器の更新が容易である。
この集合住宅建築物は、居住者の要望や社会的ニーズに応じて柔軟な対応が可能となるために、専用部の制約の少ない賃貸用集合住宅に適している。
【0010】
本発明の一態様においては、前記共用設備スペースは、連層耐震壁で囲まれているか、または前記連層耐震壁に隣接して設けられ、前記連層耐震壁は、少なくとも一部が、前記外周面に沿って設けられていることを特徴とする。
各住戸の専有面積を大きくするために、上記のように、共用設備スペースには、様々な設備機器や配管設備が集約される。したがって、共用設備スペースは、他の空間に比べて特に、空間の利用密度が高く、重量も重くなる可能性がある。
ここで、上記のような構成によれば、設備機器と配管設備が集約して設けられる共用設備スペースが、連層耐震壁で囲まれているか、または連層耐震壁に隣接して設けられている。すなわち、高い耐震性を有する連層耐震壁によって共用設備スペースが支持され、かつ保護されるため、耐震安全性を高めることができる。
【0011】
本発明の別の態様においては、前記配管設備は、各階の前記住戸に設けられる住戸内引込管と、ある特定階において前記主縦配管と前記住戸内引込管とを接続する横引き配管と、当該横引き配管から前記特定階とは異なる階へ縦方向に延びて、前記異なる階の住戸内引込管に接続される、副縦配管と、を備え、前記横引き配管が、前記共有部の床スラブ下に設けられることを特徴とする。
上記のような構成によれば、主縦配管は共用設備スペースに設けられるため、これを各住戸に設けられる住戸内引込管に接続するために、横引き配管が必要となる。ここで、横引き配管から特定階とは異なる階へ縦方向に延びて、異なる階の住戸内引込管に接続される副縦配管が設けられているため、横引き配管を特定階のみに設けても、特定階以外の住戸の住戸内引込管をも、副縦配管を介することで、横引き配管に接続することができる。このため、各住戸付近に上下階に連結する副縦配管を設けることで、横引き配管の設置量が低減されるために、材料費及び施工コストを低減できる。
上記のように、配管量が低減するため、リニューアル時における配管の影響が更に低減し、これによりリニューアル性が更に向上する。
また、主縦配管が共用設備スペースに設けられることにより、住戸から離れて設置されているため、主縦配管により生じる騒音の影響を低減可能である。更に、横引き配管が設置されていない階の住戸に関しては、縦方向に延びる副縦配管を介して、直近の横引き配管に接続することになるが、横引き配管は特定階毎に設置されているため、副縦配管が多くの階を上下に跨ぐように、副縦配管を設置する必要がなく、したがって、副縦配管により生じる騒音の影響を低減可能である。以上の理由により、横引き配管の設置量を低減しながら、配管に起因して生じる設備騒音の上下階の住戸への影響を低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、住戸の面積を広くし、リニューアル時の部屋割りや設備機器の更新が容易な、集合住宅建築物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態における集合住宅建築物の斜視図である。
【
図2】
図1に示す集合住宅建築物での住居階の平面図である。
【
図4】集合住宅建築物での設備機器の設置態様を示す模式的な縦断面図である。
【
図5】
図4に示す設備機器が空調用の室外機である場合の、住居階における配管設備の配置図である。
【
図6】
図4に示す設備機器が給湯器である場合の、住居階における配管設備の配置図である。
【
図7】
図4に示す設備機器が排気設備である場合の、住居階における配管設備の配置図である。
【
図8】
図4に示す集合住宅建築物の配管設備の設置態様を示す模式的な縦断面図である。
【
図9】住居階における水供給配管設備の配置図である。
【
図10】集合住宅建築物の第1変形例による配管設備の設置態様を示す模式的な縦断面図である。
【
図11】集合住宅建築物の第2変形例による配管設備の設置態様を示す模式的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、建物の各階共有部に、各階住戸に配管される設備機器が集中配置された共用設備スペースを有する集合住宅建築物である。共用設備スペースには、配管設備を構成する主縦配管、及び空調用の室外機、給湯器、及び排気設備のうち少なくとも1つ以上を含む設備機器を設置することを特徴とする。
本実施形態は、共用設備スペースに、水の給排水用の主縦配管と、電気供給主縦配管、及びガス供給主縦配管が設けられるとともに、設備機器として、空調用の室外機、給湯器、及び排気設備が設置される集合住宅建築物である。
また、第1変形例、及び第2変形例は、建物構造、及び共用設備スペースは本実施形態と同様であるが、各階の共用設備スペースと各住戸との間を結ぶ横引き配管設備の配置形態が異なる。具体的には、各階の共用設備スペースと各住戸との間を結ぶ横引き配管設備は、全ての階に設けるのではなく、特定の階ごとに設置して各住戸まで、水、電気、ガスを引き込み、上下階に住戸内に設ける副縦配管で供給するものである。
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態における集合住宅建築物の斜視図である。
図2は、集合住宅建築物での住居階の平面図である。
図3は、
図2に示す住居階のA-A部分の縦断面図である。
集合住宅建築物1は、本実施形態においては例えば12階建ての、断面形状が略矩形状の建築物である。集合住宅建築物1は、扁平柱2、連層耐震壁3、及び梁4を備えている。
扁平柱2は、集合住宅建築物1の角C1を挟んで隣接する2つの外周面1a、1bの内側に、これら外周面1a、1bの延在する水平方向に間隔をあけて設けられている。扁平柱2は断面形状が略矩形状に形成されており、その長辺方向の表面2aが外周面1a、1bと略平行となるように設けられている。
連層耐震壁3は、外周面1aとは反対側の、外周面1bに角C2を挟んで隣接する外周面1c側に設けられている。本実施形態においては、連層耐震壁3は、平面視したときに4つの壁体3A、3B、3C、3Dに分割されて構成され、これら壁体3A、3B、3C、3Dが外周面1cに沿って間隔をあけて並ぶように設けられている。
扁平柱2と連層耐震壁3は、1階から最上階まで連続し繋がって形成されている。
梁4は、各外周面に沿って設けられている。
【0016】
これら扁平柱2、連層耐震壁3、梁4の間に床スラブ5が構築されて、集合住宅建築物1の各階6が形成されている。床スラブ5は梁4の下側に接合され、梁4の上側が床スラブ5の上面から上方に突出している。よって、建物構造は、連層耐震壁3と柱梁型が床スラブ5の上面側、または下面側に突出されていないフラットスラブ、またはボイドスラブで構成されている。したがって、柱梁型の表れないフラットな床スラブ5が実現される。
各階6は、壁7や扉8により区切られて、複数の住戸20が形成されている。壁7は、耐力壁ではなく各住戸20の区画する戸堺壁であり、住戸分割数などのレイアウト変更が容易にできる。よって、本建物構造では、住戸設計の高い自由度が実現できる。本実施形態においては、各階に対し、2つの住戸20が形成されている。各住戸20は、外周面1a、1b側に窓9を備えている。窓9の部分の空間には、本実施形態においては構造躯体が突出していない。すなわち、窓9は、床スラブ5から天井までの全面に渡って設けられている。窓9は、扁平柱2の室内側の表面2bと略同一平面内に位置するように設けられている。窓9の外側で梁4の内側の部分は、ベランダ10となっており、扁平柱2はベランダ10に露出して位置するように設けられている。
このように、集合住宅建築物1は、外周部10が扁平柱2と逆梁4で構成される、逆梁アウトフレーム架構として形成されている。
【0017】
各階6の、ベランダ10を除いた内側部分11には、上記のような住戸20に加え、連層耐震壁3、壁7、扉8等により囲われた共有部30が形成されている。
各階6の共有部30は、エレベーターホール31、廊下32、非常用階段33、及び共用設備スペース40を備えている。
エレベーターホール31は、連層耐震壁3A、3Bにより挟まれて設けられている。
次に説明する共用設備スペース40も、エレベーターホール31と同様に、連層耐震壁3B、3C、3Dによって囲われるように設けられている。
廊下32は、各住戸20と、共用設備スペース40を連絡するように設けられている。
【0018】
共用設備スペース40には、設備機器50や、配管設備60が設置されている。共用設備スペース40は、後に説明する配管設備60を構成する主縦配管71、74、77、78が上下階にわたって貫通して設けられるパイプシャフト41と、各設備機器50を設置可能な床面を備えた設備機器設置部42を備えている。
本実施形態においては、設備機器は空調用の室外機51、給湯器54、及び排気設備57を含む。これらの室外機51、給湯器54、及び排気設備57は、各住戸20に対応して設けられて各住戸20が使用するものであり、これらは当該住戸20内ではなく、住戸20と同一の階6の共用設備スペース40の、設備機器設置部42に設置されている。これに伴い、後に説明するように、室外機51、給湯器54、及び排気設備57と、対応する住戸20との間には、これらの間を接続する配管が設けられている。ここで、配管としては、例えば各住戸20と電気信号や電力を送受信するものをも含み得る。この場合において配管は、実際には筒体によって覆われていない電源配線や信号配線としても実現可能であり、この場合を含み得る。
上記のように、共用設備スペース40には室外機51、排気設備57が設置されるため、共用設備スペース40の外周面1c側の側面は外壁で覆われておらず、共用設備スペース40は外気と連通するように外部へと、少なくとも部分的に開放されている。
【0019】
また、本実施形態においては、配管設備60は、集合住宅建築物1の外部から水や電気、ガス等を各住戸20へ供給したり、あるいは、汚水等を各住戸20から集合住宅建築物1の外部へ排出したりするための経路を構成する設備である。配管設備60は、水を供給する水供給配管設備61と、電気を供給する電気供給配管設備62と、ガスを供給するガス供給配管設備63と、及び水を排出する水排出配管設備64を備えている。
図2には、これらの配管設備61、62、63、64のうち、集合住宅建築物1の外部から供給された水やガス、電気等を集合住宅建築物1の全階層に行き渡らせるために、または、各住戸20からの排水を集合住宅建築物1の外部へと流すために、パイプシャフト41を上下階にわたって貫通して設けられる水供給主縦配管(主縦配管)71、電気供給主縦配管(主縦配管)74、ガス供給主縦配管(主縦配管)77、及び水排出主縦配管78(主縦配管)が示されている。
【0020】
まず、
図3、及び
図4、
図5を用いて、共用設備スペース40への室外機51の設置と、室外機51と住戸20の間の配管について説明する。
図4は、集合住宅建築物1の設備機器50の設置態様を示す模式的な縦断面図である。
図5は、設備機器50が室外機51である場合の、住居階6における配管の配置図である。
図5において上側に位置する住戸20Aは、例えばエアー・コンディショナー等の空調設備21A、21Bを備えている。これらの空調設備21A、21Bの各々に対応する室外機51A、51Bが、共用設備スペース40に設けられている。また、下側に位置する住戸20Bも同様に、空調設備21C、21Dを備えている。これらの空調設備21C、21Dの各々に対応する室外機51C、51Dが、共用設備スペース40に設けられている。
【0021】
空調設備21A、21B、21C、21Dと、この各々に対応する室外機51A、51B、51C、51Dとは、それぞれ、対応する配管52(52A、52B、52C、52D)で接続されている。
各配管52は、一端が室外機51に接続され、室外機51の近傍で、またはパイプシャフト41を介して、床スラブ5を下方へと貫通して下階6Dへと導かれ、下階6Dの廊下32の、床スラブ5下、すなわち天井板32aで仕切られた天井裏32bを、室外機51に対応する空調設備21を有する住戸20の近傍まで横引きされている。
各住戸20の、廊下32側の床スラブ5には、部分的に下方へ窪んだ凹部5aが形成されている。また、床スラブ5の上方には図示されない床材が設けられて二重床が形成されている。住戸20の近傍まで横引きされた配管52は、床スラブ5を上方へと貫通して、凹部5aの側面5bから住戸20の床下20cへと引き出されている。
床下20cへと引き出された配管52は、住戸20内を、または壁7の内部を引き回されて、対応する空調設備21へと接続されている。
【0022】
次に、
図3、
図4、及び
図6を用いて、共用設備スペース40への給湯器54の設置と、給湯器54と住戸20の間の配管について説明する。
図6は、設備機器50が給湯器54である場合の、住居階6における配管の配置図である。
共用設備スペース40には、住戸20A、住戸20Bの各々に対応する給湯器54(54A、54B)が設けられている。
各住戸20A、20Bの調理場22A、22B、浴場23A、23Bと、各住戸20A、20Bに対応する給湯器54A、54Bとは、それぞれ、対応する配管55(55A、55B)で接続されている。
各配管55は、一端が給湯器54に接続され、給湯器54の近傍で、またはパイプシャフト41を介して、床スラブ5を下方へと貫通して下階6Dへと導かれ、下階6Dの廊下32の、床スラブ5下、すなわち天井板32aで仕切られた天井裏32bを、給湯器54に対応する住戸20の近傍まで横引きされている。
住戸20の近傍まで横引きされた配管55は、床スラブ5を上方へと貫通して、凹部5aの側面5bから住戸20の床下20cへと引き出されている。
床下20cへと引き出された配管52は、住戸20内を、または壁7の内部を引き回されて、調理場22、浴場23へと接続されている。
【0023】
次に、
図3、
図4、及び
図7を用いて、共用設備スペース40への排気設備57の設置と、排気設備57と住戸20の間の配管について説明する。
図7は、設備機器50が排気設備57である場合の、住居階6における配管の配置図である。
共用設備スペース40には、住戸20A、住戸20Bの各々に対応する排気設備57(57A、57B)が設けられている。排気設備57は、例えば換気扇である。
各住戸20A、20Bの調理場22A、22Bと、各住戸20A、20Bに対応する排気設備57A、57Bとは、それぞれ、対応する配管58(58A、58B)で接続されている。
各配管58は、一端が排気設備57に接続され、排気設備57の近傍で、またはパイプシャフト41を介して、床スラブ5を下方へと貫通して下階6Dへと導かれ、下階6Dの廊下32の、床スラブ5下、すなわち天井板32aで仕切られた天井裏32bを、排気設備57に対応する住戸20の近傍まで横引きされている。
住戸20の近傍まで横引きされた配管58は、床スラブ5を上方へと貫通して、凹部5aの側面5bから住戸20の床下20cへと引き出されている。
床下20cへと引き出された配管58は、住戸20内を、または壁7の内部を引き回されて、調理場22の図示されない排気吸入口へと接続されている。
【0024】
次に、
図3、及び
図8、
図9を用いて、配管設備60について説明する。
図8は、集合住宅建築物1の配管設備60の設置態様を示す模式的な縦断面図である。
図8においては、水供給配管設備61と電気供給配管設備62が特に示されている。
図9は、配管設備60の各階6における配管を説明する伏図である。
図3、
図9においては、水供給配管設備61に関する配管が特に示されている。
既に説明したように、共用設備スペース40のパイプシャフト41には、水供給主縦配管71、電気供給主縦配管74、ガス供給主縦配管77、及び水排出主縦配管78が設けられている。共用設備スペース40のパイプシャフト41または設備機器設置部42には、各住戸20A、20Bに対応して、図示されない水道メータ、電力量計、ガスメータ等が設けられている。
【0025】
水供給配管設備61は、既に説明した水供給主縦配管71に加え、水供給横引き配管(横引き配管)72及び水供給住戸内引込管(住戸内引込管)73を備えている。各住戸20A、20Bと、水供給配管設備61の水供給主縦配管71とは、それぞれ、対応する水道メータを介して、対応する水供給横引き配管72(72A、72B)と水供給住戸内引込管73(73A、73B)で接続されている。
各水供給横引き配管72は、一端が水供給主縦配管71に接続され、下階6Dの廊下32の、床スラブ5下、すなわち天井板32aで仕切られた天井裏32bを、対応する住戸20の近傍まで横引きされている。
住戸20の近傍まで横引きされた水供給横引き配管72には、水供給住戸内引込管73が接続されている。水供給住戸内引込管73は、床スラブ5を上方へと貫通して、凹部5aの側面5bから住戸20の床下20cへと引き出されている。
【0026】
電気供給配管設備62も、
図8に示されているように、電気供給主縦配管74に加え、電気供給横引き配管(横引き配管)75及び電気供給住戸内引込管(住戸内引込管)76を備えており、これらは水供給配管設備61と同様に配管されている。電気供給配管設備62において各配管は、実際には筒体によって覆われていない電源配線としても実現可能であり、この場合を含み得る。
ガス供給配管設備63、水排出配管設備64に関しても同様である。
【0027】
次に、上記の集合住宅建築物1の効果について説明する。
【0028】
上記のような集合住宅建築物1は、共有部30に共用設備スペース40が設けられた集合住宅建築物1であって、共用設備スペース40は各階6に設けられ、共用設備スペース40には、空調用の室外機51、給湯器54、及び排気設備57のうち少なくとも1つ以上を含む設備機器50と、共用設備スペース40を上下階に渡って貫通して配管設備60を構成する主縦配管71、74、77、78が設置され、各階6の住戸20と、共用設備スペース40に設けられた設備機器50との間には、これらを接続する配管52、55、58が設けられている。
上記のような構成によれば、各階6に設けられた共用設備スペース40には、空調用の室外機51、給湯器54、及び排気設備57のうち少なくとも1つ以上を含む設備機器50が設置されている。すなわち、本来であれば各住戸20に設けられるべき設備機器50が共用設備スペース40に設置されるため、各住戸20に設備機器50を設けなくともよい。
また、共用設備スペース40には、上記の設備機器50に加え、上下階に渡って貫通して配管設備60を構成する主縦配管71、74、77、78が設けられている。すなわち、設備機器50と配管設備60が集約して共用設備スペース40に設けられているため、これらを個別の空間に集約した場合に比べ、共用設備スペース40の空間利用効率を向上させることができる。すなわち、共用設備スペース40の占有面積を低減可能である。
以上により、各住戸20の占有面積を大きくすることができる。
また、共用設備スペース40に設備機器50と配管設備60が集約して設けられるため、各住戸20から設備機器50と配管設備60が切り離される。このため、部屋割り等における設備機器50と配管設備60の影響が低減され、したがって、リニューアル時の部屋割りや設備機器50の更新が容易である。
【0029】
上記のような構成においては、空調用の室外機51、給湯器54、及び排気設備57が住戸20から離れた共用設備スペース40に設けられているため、これらの設備機器50に起因する騒音や、排気に伴う異臭を低減可能である。
【0030】
また、共用設備スペース40は、連層耐震壁3で囲まれている。
各住戸20の専有面積を大きくするために、上記のように、共用設備スペース40には、様々な設備機器50や配管設備60が集約される。したがって、共用設備スペース40は、他の空間に比べて特に、空間の利用密度が高く、重量も重くなる可能性がある。
ここで、上記のような構成によれば、設備機器50や配管設備60が集約して設けられる共用設備スペース40が、連層耐震壁3で囲まれている。すなわち、高い耐震性を有する連層耐震壁3によって共用設備スペース40が支持され、かつ保護されるため、耐震安全性を高めることができる。
【0031】
上記に示す共用設備スペース40と建物構造を含む実施形態は、住戸設計の高い自由度を有しており賃貸用の集合住宅建物に適している。
【0032】
[実施形態の第1変形例]
次に、
図10を用いて、上記実施形態として示した集合住宅建築物1の第1変形例を説明する。
図10は、本第1変形例における集合住宅建築物の配管設備の設置態様を示す模式的な縦断面図である。本第1変形例における集合住宅建築物は、水供給配管、及び電気供給配管を含む配管設備80の配管形態が、
図8に示す配管設備60とは異なっている。
【0033】
配管設備80は、水供給配管設備81、電気供給配管設備82、水排出配管設備64と、図示されないガス供給配管設備を備えている。
水供給配管設備81は、水供給主縦配管(主縦配管)91、水供給横引き配管(横引き配管)92、水供給副縦配管(副縦配管)93、及び水供給住戸内引込管(住戸内引込管)94を備えている。
水供給主縦配管91は、共用設備スペース40のパイプシャフト41を上下階にわたって貫通して設けられている。
水供給横引き配管92は、上記実施形態とは異なり、特定の階6Sにのみ設けられている。本変形例においては、2つの階6の中の1つが特定階6Sとされて、特定階6Sの下の階6Dは特定階6Sとは異なる階6となっている。水供給横引き配管92は、特定階6Sにおいて、一端が水供給主縦配管91に接続され、下階6Dの廊下32の、床スラブ下すなわち天井裏32bを、住戸20の近傍まで横引きされている。
特定階6Sにおいては、住戸20の近傍まで横引きされた水供給横引き配管92には、水供給住戸内引込管94が接続されている。水供給住戸内引込管94は、床スラブを上方へと貫通して、住戸20の床下20cへと引き出されている。
水供給横引き配管92には、水供給横引き配管92から特定階6Sとは異なる階6、本変形例においては特定階6Sの下の階6Dへ縦方向に伸びる、水供給副縦配管93が接続されている。水供給副縦配管93の下端には、下階6Dの住戸20の床下20cへと引き出されている水供給住戸内引込管94が接続されている。
本変形例においては、上記実施形態では共用設備スペース40に設けられていた水道メータは、水供給副縦配管93の近傍に設けられている。
【0034】
電気供給配管設備82も、水供給配管設備81と同様に、電気供給主縦配管(主縦配管)95、電気供給横引き配管(横引き配管)96、電気供給副縦配管(副縦配管)97、及び電気供給住戸内引込管(住戸内引込管)98を備えており、水供給配管設備81と同様に配管されている。
ガス供給配管設備も同様である。
水排出配管設備64に関しては、上記実施形態と同様に、各住戸20の共有部30の床スラブ下に横引されている。すなわち、水排出配管設備64は、水排出主縦配管78に加え、水排出横引き配管(横引き配管)78a及び水排出住戸内引込管(住戸内引込管)78bを備えている。水排出横引き配管78aは、一端が水排出主縦配管78に接続され、下階の廊下32の、床スラブ下を、対応する住戸20の近傍まで横引きされている。住戸20の近傍まで横引きされた水排出横引き配管78aには、水排出住戸内引込管78bが接続され、住戸20の床下20cへと引き出されている。
【0035】
上記のような集合住宅建築物においては、各階6の住戸20に設けられる住戸内引込管94、98と、ある特定階6Sにおいて主縦配管91、95と住戸内引込管94、98とを接続する横引き配管92、96と、横引き配管92、96から特定階6Sとは異なる階6Dへ縦方向に延びて、異なる階6Dの住戸内引込管94、98に接続される、副縦配管93、97と、を備え、横引き配管92、96が、共有部30の床スラブ下に設けられている。
上記のような構成によれば、主縦配管91、95は共用設備スペース40に設けられるため、これを各住戸20に設けられる住戸内引込管94、98に接続するために、横引き配管92、96が必要となる。ここで、横引き配管92、96から特定階6Sとは異なる階6Dへ縦方向に延びて、異なる階6Dの住戸内引込管94、98に接続される副縦配管93、97が設けられているため、横引き配管92、96を特定階6Sのみに設けても、特定階6S以外の住戸20の住戸内引込管94、98をも、副縦配管93、97を介することで、横引き配管92、96に接続することができる。このため、各住戸20付近に上下階に連結する副縦配管93、97を設けることで、横引き配管92、96の設置量が低減されるために、材料費及び施工コストを低減できる。
上記のように、配管量が低減するため、リニューアル時における配管の影響が更に低減し、これによりリニューアル性が更に向上する。
また、主縦配管91、95が共用設備スペース40に設けられることにより、住戸20から離れて設置されているため、主縦配管91、95により生じる騒音の影響を低減可能である。更に、横引き配管92、96が設置されていない階6Dの住戸20に関しては、縦方向に延びる副縦配管93、97を介して、直近の横引き配管92、96に接続することになるが、横引き配管92、96は特定階6S毎に設置されているため、副縦配管93、97が多くの階6を上下に跨ぐように、副縦配管93、97を設置する必要がなく、したがって、副縦配管93、97により生じる騒音の影響を低減可能である。以上の理由により、横引き配管92、96の設置量を低減しながら、配管に起因して生じる設備騒音の上下階の住戸20への影響を低減することが可能となる。
【0036】
特に本変形例においては、2つの階6の中の1つが特定階6Sとされて、特定階6Sの下階6Dは特定階6Sとは異なる階6となっており、水供給副縦配管93は特定階6Sの下の階6Dへ縦方向に伸びている。
このような構成においては、水供給横引き配管92が設けられていない、下階6Dの住戸20の住人が使用する水のみが、この住戸20の水供給住戸内引込管94が接続された水供給副縦配管93を流れるため、当該住居20の住人が水を使用することで、水供給副縦配管93から騒音が発生したとしても、その影響を受けるのは、実際に水を使用しているこの住戸20の住人のみであり、他の住戸20による水の使用は騒音源となりにくい。
これにより、配管を介して供給される水に起因して生じる騒音の上下階の住戸20への影響を低減することが可能となる。
【0037】
本第1変形例が、既に説明した実施形態と同様な他の効果を奏することは言うまでもない。
【0038】
[実施形態の第2変形例]
次に、
図11を用いて、上記実施形態として示した集合住宅建築物1の第2変形例を説明する。
図11は、本第2変形例における集合住宅建築物の配管設備の設置態様を示す模式的な縦断面図である。本第2変形例における集合住宅建築物は、上記第1変形例の更なる変形例であり、配管設備100の配管形態が、
図8~
図10に示す上記実施形態や第1変形例の配管設備60、80とは異なっている。
配管設備100は、水供給配管設備81、電気供給配管設備102、水排出配管設備64と、図示されないガス供給配管設備を備えている。水供給配管設備81及び水排出配管設備64は、第1変形例と同様に配管されているため、説明を省略する。ここでは、第1変形例とは異なる配管がなされている電気供給配管設備102について説明する。
【0039】
電気供給配管設備102は、
図11に示すように電気供給主縦配管(主縦配管)105、電気供給横引き配管(横引き配管)106、電気供給副縦配管(副縦配管)107、及び電気供給住戸内引込管(住戸内引込管)108を備えている。
電気供給主縦配管105は、共用設備スペース40のパイプシャフト41を上下階にわたって貫通して設けられている。
電気供給横引き配管106は、特定の階6Sにのみ設けられている。本変形例においては、3つの階6の中の1つが特定階6Sとされて、特定階6Sの下の階6Dと上の階6Uは特定階6Sとは異なる階6となっている。電気供給横引き配管106は、特定階6Sにおいて、一端が電気供給主縦配管105に接続され、下階6Dの廊下32の、床スラブ下すなわち天井裏32bを、住戸20の近傍まで横引きされている。
特定階6Sにおいては、住戸20の近傍まで横引きされた電気供給横引き配管106には、電気供給住戸内引込管108が接続されている。電気供給住戸内引込管108は、床スラブを上方へと貫通して、住戸20の床下20cへと引き出されている。
電気供給横引き配管106には、電気供給横引き配管106から特定階6Sとは異なる階6、本変形例においては特定階6Sの上の階6Uと下の階6Dへ縦方向に伸びる、電気供給副縦配管107が接続されている。下階6Dにおいては、電気供給副縦配管107の下端には、下階6Dの住戸20の床下20cへと引き出されている電気供給住戸内引込管108が接続されている。上階6Uにおいては、電気供給副縦配管107の上端には、上階6Uの住戸20の床下20cへと引き出されている電気供給住戸内引込管108が接続されている。
【0040】
本第2変形例が、既に説明した実施形態や第1変形例と同様な効果を奏することは言うまでもない。
本変形例においては、横引配管の設置量が更に低減される。したがって、材料費及び施工コストを低減できるとともに、リニューアル時における配管の影響が更に低減し、これによりリニューアル性が更に向上する。
【0041】
なお、本発明の集合住宅建築物は、図面を参照して説明した上述の実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、その技術的範囲において他の様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態及び各変形例においては、共用設備スペース40は連層耐震壁3に囲まれて設けられていたが、連層耐震壁3の外側に、連層耐震壁3に隣接して設けられていてもよい。
また、上記実施形態及び各変形例においては、設備機器50は室外機51、給湯器54、排気設備57のいずれをも備えていたが、これらのうち少なくとも1つか、これらの組み合わせであってもよいのは、言うまでもない。
また、上記実施形態及び各変形例においては、共用設備スペース40は各階6に一か所のみ設けられていたが、これに限られず、例えば各階6の住戸20の数が多く、共用設備スペース40を一か所とすると多くの横引き配管を設置しなければならない場合においては、共用設備スペース40を2以上の複数個所に、分散させて設けてもかまわない。
また、各設備機器50に対応する配管52、55、58は、必ずしも上記実施形態において説明したように設けられなくともよい。例えば、排気設備57の配管58は、一端が共用設備スペース40の排気設備57に接続されて設備機器設置部42の天井へと導かれ、廊下32の天井裏32bすなわち上階6Uの床スラブ5下を住戸20の近傍まで横引きされて、そのまま住戸20の天井裏から下方へ引き出されて、住戸20内の排気吸入口へと接続されてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施形態及び各変形例で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 集合住宅建築物 52、55、58 配管
3 連層耐震壁 54 給湯器
5 床スラブ(フラットスラブ、またはボイドスラブ)
6 階 57 排気設備
6D 下階(異なる階) 60、80、100 配管設備
6U 上階(異なる階) 61、81 水供給配管設備
6S 特定階 62、82、102 電気供給配管設備
20 住戸 63 ガス供給配管設備
20c 床下 64 水排出配管設備
21 空調設備 71、91 水供給主縦配管(主縦配管)
22 調理場 72、92 水供給横引き配管(横引き配管)
23 浴場 73、94 水供給住戸内引込管(住戸内引込管)
30 共有部 74、95、105 電気供給主縦配管(主縦配管)
32 廊下 75、96、106 電気供給横引き配管(横引き配管)
32b 天井裏 76、98、108 電気供給住戸内引込管(住戸内引込管)
40 共用設備スペース 77 ガス供給主縦配管(主縦配管)
41 パイプシャフト 78 水排出主縦配管(主縦配管)
42 設備機器設置部 93 水供給副縦配管(副縦配管)
50 設備機器 97、107 電気供給副縦配管(副縦配管)
51 室外機