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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ゴムシート接続装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/56 20060101AFI20221215BHJP
   B29C 31/08 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B29C65/56
B29C31/08
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018228439
(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公開番号】P2020090027
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】上坪 一晴
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-315511(JP,A)
【文献】特開2011-245882(JP,A)
【文献】中国実用新案第201544468(CN,U)
【文献】特開2012-232843(JP,A)
【文献】特開2013-180477(JP,A)
【文献】特開2000-046018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 31/00-31/10
B29C 63/00-63/48
B29C 65/00-65/82
F16B 5/00- 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ゴムシートと第2ゴムシートとを接続するゴムシート接続装置であって、
前記第1ゴムシートの先端部と前記第2ゴムシートの後端部を互いに重ね合わせた部分に係止部を形成する第1加工部と、前記係止部を挿通して係止可能な係止受部を形成する第2加工部と
備える、ゴムシート接続装置。
【請求項2】
前記第1ゴムシートに対し、上方側に前記第1加工部を配置し、下方側に、前記第1加工部によって形成された係止部を、前記第1ゴムシートの下面に沿うように持ち上げる持上部を備える、請求項に記載のゴムシート接続装置。
【請求項3】
前記持上部は、第1ゴムシートの下面に沿って移動する、回転自在なローラで構成されている、請求項に記載のゴムシート接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムシート接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状のゴムシートを次工程に円滑に供給するために、ゴムシートを連続的に折り返して多段に積み重ねて積載台上に載置し、この積載台を複数並べて各積載台のゴムシート同士を接続する方法が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この方法では、第1のゴムシート積載物のゴムシートの第1端と、第2のゴムシート積載物のゴムシートの第2端とを重ね合わせ、重ね合わせ部分に圧力を加えることにより、接触面を圧着させて第1ゴムシートと第2ゴムシートを接続している。前述のように、ゴムシートは多段に積み重ねられるため、ゴムシートの表面に防着剤を塗布することにより、積み重ねた部分が付着するのを防止している。このため、ゴムシートの重ね合わせ部分に単に圧力を加えただけでは、接触面を十分に圧着できないことがある。接触面が十分に圧着されていないと、次工程に供給される途中で圧着部分が分離することがあり、分離を修復する作業が必要となる等、作業者の負担が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-56595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ゴムシート同士を、その表面への防着処理の有無に拘わらず確実に接続することができるゴムシート接続装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、第1ゴムシートと第2ゴムシートとを接続するゴムシート接続装置であって、前記第1ゴムシートの先端部と前記第2ゴムシートの後端部を互いに重ね合わせた部分に係止部を形成する第1加工部と、前記係止部を挿通して係止可能な係止受部を形成する第2加工部と、を備えるゴムシート接続装置を提供する。
【0020】
この構成により、係止部及び係止受部を同時に形成することができ、工数を減らして迅速なゴムシートの接続が可能となる。
【0021】
前記第1ゴムシートに対し、上方側に前記第1加工部を配置し、下方側に、前記第1加工部によって形成された係止部を、前記第1ゴムシートの下面に沿うように持ち上げる持上部を備えるのが好ましい。
【0022】
この構成により、形成した係止部を係止受部へと押込やすい状態とすることができる。
【0023】
前記持上部は、第1ゴムシートの下面に沿って移動する、回転自在なローラで構成されているのが好ましい。
【0024】
この構成により、ローラを移動させるだけで、第1ゴムシートの先端部に形成した係止部を、第2ゴムシートの後端部に形成した係止受部へとスムーズに案内することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、未加硫ゴムからなるゴムシート同士を、その表面への防着処理の有無に拘わらず確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ゴムシートの保管状態を示す模式図である。
図2図1に示すゴムシートをゴム押出機に供給するまでの全体構成を示す概略説明図である。
図3】第1実施形態に係るゴムシート接続装置の正面図である。
図4】第1実施形態に係るゴムシート接続装置の側面図である。
図5】第1実施形態に係るゴムシート接続装置の平面図である。
図6】第1実施形態に係るゴムシート接続装置によるゴムシートの接続工程を示す説明図である。
図7】第1実施形態に係るゴムシート接続装置によるゴムシートの接続工程を示す説明図である。
図8】第1実施形態に係るゴムシート接続装置によるゴムシートの接続工程を示す説明図である。
図9】第1実施形態に係るゴムシート接続装置によるゴムシートの接続工程を示す説明図である。
図10】第1実施形態に係るゴムシート接続装置によるゴムシートの接続工程を示す説明図である。
図11】第1実施形態に係るゴムシート接続装置によるゴムシートの接続工程を示す説明図である。
図12】第1ゴムシートの先端部と第2ゴムシートの後端部の構成を示す斜視図である。
図13】第1ゴムシートの先端部と第2ゴムシートの後端部の接続状態を示す斜視図である。
図14】第2実施形態に係るゴムシート接続装置の正面図である。
図15】第2実施形態に係るゴムシート接続装置の図である。
図16】第2実施形態に係るゴムシート接続装置によるゴムシートの接続工程を示す説明図である。
図17】第2実施形態に係るゴムシート接続装置によるゴムシートの接続工程を示す説明図である。
図18】第2実施形態に係るゴムシート接続装置によるゴムシートの接続工程を示す説明図である。
図19】第2実施形態に係るゴムシート接続装置によるゴムシートの接続工程を示す説明図である。
図20】第2実施形態に係るゴムシート接続装置によるゴムシートの接続工程を示す説明図である。
図21】ゴムシートに形成する係止受部の他の例を示す平面図である。
図22】ゴムシートに形成する係止受部の他の例を示す平面図である。
図23】ゴムシートに形成する係止受部の他の例を示す平面図である。
図24】ゴムシートに形成する係止受部の他の例を示す平面図である。
図25】ゴムシートに形成する係止受部の他の例を示す平面図である。
図26】ゴムシートに形成する係止部の他の例を示す平面図である。
図27】ゴムシートに形成する係止部の他の例を示す平面図である。
図28】ゴムシートに形成する係止部の他の例を示す平面図である。
図29】ゴムシートの接続構造の他の例を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
【0029】
図1は、載置台1に載置されたゴムシート2の模式図である。ゴムシート2は、素練りしたゴムを、図示しないカレンダによって圧延して帯状とし、その外表面に防着剤(例えば、炭酸カルシウムを水に懸濁した液)を塗布して被覆層を形成した後、連続的に折り返して多段に積み重ねた状態で載置台1に載置される。なお、ゴムシート2には、幅方向に分割しやすいように、長手方向に延びる少なくとも1本のミシン目を形成してもよい。
【0030】
ゴムシート2は、図2に示すように、複数の搬送ローラ36によってゴム押出機3に投入して混練され、グリーンタイヤ(図示せず)を形成する材料として利用される。このため、ゴムシート接続装置4によって先にゴム押出機3に供給しているゴムシート2(以下「第2ゴムシート2B」という。)に対し、載置台1に載置した次のゴムシート2(以下「第1ゴムシート2A」という。)を接続することにより、ゴムシート2を連続的に供給できるようにしている。
【0031】
(第1実施形態)
第1実施形態に係るゴムシート接続装置4を図3に示す。このゴムシート接続装置4は、4隅に設けた支柱5によって支持された天板6に第1切断部(第1加工部)7、第2切断部(第2加工部)8及び押込部(第3加工部)9を備える。また、ゴムシート接続装置4は、第1切断部7及び第2切断部8の下方側にゴムシート2が載置される台座部10と、ゴムシート2をガイドして位置を揃える第1プッシャー11A及び第2プッシャー11Bとを備える。
【0032】
第1切断部7は、次に供給される第1ゴムシート2Aの先端部分に切れ目を入れるための第1カッター12を備える。第1カッター12は、第1シリンダ13によって昇降する。第1カッター12が降下することにより、第1ゴムシート2Aには、長手方向に沿って先端側で切り離されて舌片状の係止部14が形成される。図12を参照すると、係止部14は、第1ゴムシート2Aの長手方向に沿って同一幅寸法で延びる基部14aと、その先端側に形成される拡張部14bとで構成されている。拡張部14bは、平面視三角形状で、基部14aの先端から幅方向に突出し、先端に向かうに従って徐々に幅寸法が小さくなっている。
【0033】
図3に示すように、第2切断部8は、ゴム押出機3に供給される第2ゴムシート2Bの終端部分に切れ目を入れるための第2カッター15を備える。第2カッター15は、第2シリンダ16によって昇降する。第2カッター15が降下することにより、第2ゴムシート2Bには、表裏面を連通する係止受部17が形成される。図12を参照すると、係止受部17は十字状に形成され、第2ゴムシート2Bの幅方向に延びる第1直線部17aと、長手方向に延びる第2直線部17bとで構成されている。第1直線部17aの長さは、第1切断部7によって形成された係止部14の基部14aの幅寸法よりも若干大きく、基部14aが挿通しやすく設定されている。また、第1直線部17aの長さは、係止部14の拡張部14bの最大幅寸法よりも小さく、挿通された拡張部14bが脱落しにくいように設定されている。第2直線部17bの長さは、係止受部17に係止部14を挿通しやすいように、第1直線部17aの両縁部分が分離して押し広げられるようにするためのものである。
【0034】
図3及び図11を参照すると、押込部9は、第2ゴムシート2B上に第1ゴムシート2Aを重ね合わせた状態で、係止部14を押し込んで係止受部17に挿通させるパンチ18を備える。パンチ18は第3シリンダ19を駆動することにより昇降する。
【0035】
図3に示すように、台座部10は、ゴムシート2の下面を支持する平坦な上面を有する。上面のうち、第1ゴムシート2Aを支持する部分が第1支持部20であり、第2ゴムシート2Bを支持する部分が第2支持部21である。図5を参照すると、第1支持部20には、第1切断部7の第1カッター12が挿通する矢印形状の第1スリット22が形成されている。第2支持部21には、第2切断部8の第2カッター15が挿通する十字状の第2スリット23が形成されている。
【0036】
図3に示すように、第1プッシャー11Aは、第1ゴムシート2Aの先端部の両側部をガイドする一対の第1プレート24a、24bと、これら第1プレート24a、24bを第1押し込みバー25aを介して往復移動させるシリンダ(図示せず)とを備える。第1プレート24a、24bは、第1ゴムシート2Aを、後述する第1位置P1から第3位置P3まで移動させる際、第1ゴムシート2Aの一方の側縁部をガイドする
【0037】
第2プッシャー(整列部)11Bは、第1ゴムシート2Aと第2ゴムシート2Bの側縁を押し込んで、第1ゴムシート2Aと第2ゴムシート2Bを長手方向の搬送ラインに揃える第2プレート24cと、この第2プレート24cを第2押込バー25bを介して往復移動させるシリンダ(図示せず)とを備える。第2プレート24cは、第1ゴムシート2Aを、後述する第3位置P3から第2位置P2まで移動させる際、第1ゴムシート2Aの他方の側縁部をガイドする。
【0038】
また、図4及び図5に示すように、ゴムシート接続装置4は、第1保持ローラ群26と第2保持ローラ群27を備える。
【0039】
第1保持ローラ群26は、搬入ローラ28、第1ガイドローラ29及び第1押えローラ30で構成されている。搬入ローラ28は、第1ゴムシート2Aの下面を支持し、回転駆動することにより第1ゴムシート2Aを搬入する。第1ガイドローラ29は、第1ゴムシート2Aの両側部をガイドする一対の回転自在なローラである。第1押えローラ30は、ゴムシート接続装置4の長手方向に沿って側方に配置される回転自在なローラで、搬入ローラ28によって搬入される第1ゴムシート2Aの上面をガイドする。搬入ローラ28と第1ガイドローラ29は図示しない第1移動台に取り付けられ、第1押えローラ30に沿って往復移動可能となっている(第1移送部)。搬入ローラ28と第1ガイドローラ29は、第1位置P1と第3位置P3とにそれぞれ位置決めされる。第1位置P1では、第1切断部7によって第1ゴムシート2Aに係止部14を形成可能である。第3位置P3では、第1ゴムシート2Aの係止部14を第2ゴムシート2Bの係止受部17に挿通可能である。
【0040】
第2保持ローラ群27は、前記第1保持ローラ群26と同様な、搬出ローラ31、第2ガイドローラ32及び第2押えローラ33で構成されている。搬出ローラ31は、第2ゴムシート2Bの下面を支持し、回転駆動することにより第2ゴムシート2Bを搬出する。第2ガイドローラ32は、第2ゴムシート2Bの両側部をガイドする一対の回転自在なローラである。第2押えローラ33は、ゴムシート接続装置4の長手方向に沿って、前記第1押えローラ30とは反対側の側方に配置される回転自在なローラで、押込部9で接続された第1ゴムシート2A及び第2ゴムシート2Bの上面をガイドする。搬出ローラ31及び第2ガイドローラ32は、図示しない第2移動台に取り付けられ、第2押えローラ33に沿って往復移動する(第2移送部)。搬出ローラ31及び第2ガイドローラ32は、第2切断部8によって第2ゴムシート2Bに係止受部17を形成可能な第2位置P2と、前記第3位置P3とにそれぞれ位置決めされる。また、搬出ローラ31及び第2ガイドローラ32によって移動する第2ゴムシート2Bの位置は、搬入ローラ28と第1ガイドローラ29によって移動する第1ゴムシート2Aの位置よりも下方側である。これにより、押込部9では、第2ゴムシート2Bの上方に第1ゴムシート2Aが配置されることになる。
【0041】
以下、図6から図11を参照してゴムシート接続装置4の動作と共に第1ゴムシート2Aと第2ゴムシート2Bの接続方法を説明する。
【0042】
ゴム押出機3に第2ゴムシート2Bを投入している状態では、図6に示すように、第2ゴムシート2Bはゴムシート接続装置4の第3位置P3を通過している。図7に示すように、ゴム押出機3に投入されている第2ゴムシート2Bが残り少なくなってくれば、搬出ローラ31の回転を停止する。そして、図8に示すように、搬出ローラ31及び第2ガイドローラ32を移動させることにより、第2ゴムシート2Bの後端部を第2切断部8に位置決めする。この場合、第2プッシャー11Bを駆動して第2プレート24cによって第2ゴムシート2Bの後端部の側縁部をガイドするのが好ましい。
【0043】
続いて、図3に示す第2シリンダ16を駆動して第2カッター15を降下させる。この間も第2ゴムシート2Bをゴム押出機3へと投入し続ける。第2シート2Bは、複数の昇降可能な搬送ローラ36で、上下に蛇行した状態で張力を調整されながら搬送されている。搬送ローラ36を昇降させることにより、第2ゴムシート2Bをゴム押出機3に投入しながらであっても、その後端部の位置を搬送方向に変位させることなく台座部10の第2支持部21に位置決めすることができる。この状態で、第2シリンダ16を駆動して第2カッター15を降下させることにより、第2シートの後端部に十字状のスリットすなわち係止受部17図12参照)を形成する。係止受部17の形成では、第2カッター15によって十字状に切れ目を入れるだけであるので切り屑は発生しない。
【0044】
一方、次に投入する第1ゴムシート2Aの先端部を第1切断部7に位置決めする。そして、図3に示す第1シリンダ13を駆動して第1カッター12を降下させ、第1ゴムシート2Aの先端部にスリットを形成し、矢印状の舌片となる係止部14図12参照)を形成する。この場合も前記係止受部17と同様、切り屑は発生しない。
【0045】
第2ゴムシート2Bの後端部に係止受部17が形成され、第1ゴムシート2Aの先端部に係止部14が形成されれば、これらを押込部9へと平行移動させて重ね合わせる。すなわち、図9に示すように、搬出ローラ31及び第2ガイドローラ32を移動させて第2ゴムシート2Bの後端部を第3位置P3側へと移動させる。また、図10に示すように、搬入ローラ28及び第1ガイドローラ29を移動させて第1ゴムシート2Aの先端部を第3位置P3側へと移動させる。但し、第1ゴムシート2A及び第2ゴムシート2Bは、実際にパンチ18で押し込む位置(第3位置P3)を超えて移動させる。そして、図11に示すように、第2プッシャー11Bを駆動して第2プレート24cによって第1ゴムシート2Aと第2ゴムシート2Bとを完全に重なり合った状態とし、第3位置P3に位置決めする。このとき、第1移動台及び第2移動台も移動させ、あるいは、移動自在な状態としておき、第1ゴムシート2A及び第2ゴムシート2Bを同一直線上に整列させる。その後、図3に示す第3シリンダ19を駆動してパンチ18によって係止部14を係止受部17へと押し込んで挿通させる。これにより、図13に示すように、係止部14の拡張部14bが係止部14を通過して係止され、第2ゴムシート2Bに対して第1ゴムシート2Aが接続される。
【0046】
このように、係止受部17に係止部14を挿通するだけで、第2ゴムシート2Bの後端部に第1ゴムシート2Aの先端部を接続することができる。したがって、第2ゴムシート2Bの搬送を停止させることなく、ゴム押出機3へと投入するゴムシート2を第2ゴムシート2Bから第1ゴムシート2Aへとスムーズに切替可能となる。また、係止受部17に係止した係止部14は、先端に拡張部14bを備えている。このため、スリット状の係止受部17に挿通された後は、係止部14の拡張部14bによって係止受部17からの脱落を確実に防止できる。つまり、第1ゴムシート2Aと第2ゴムシート2Bの接続状態を強固なものとできる。
【0047】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るゴムシート接続装置4を図14及び図15に示す。このゴムシート接続装置4は、第1ゴムシート2Aの先端部と第2ゴムシート2Bの後端部を互いに重ね合わせた状態で、両者に第1カッター12及び第2カッター15により係止部14と係止受部17とを同時に形成し、両方の係止部14を両方の係止受部17に挿通するものである。
【0048】
第2実施形態に係るゴムシート接続装置4は、前記第1実施形態に係るものとは以下の点で相違し、他の部分はほぼ同様な構成である。以下、相違点についてのみ説明し、同様な構成については同一符号を付してその説明を省略する。
【0049】
台座部10は、水平方向にスライド移動可能に設けられている。台座部10の下方側には、ガイドローラ(持上部)34が配置されている。ガイドローラ34は、図示しないシリンダ等の駆動手段によってゴムシート2の搬送方向に沿って往復移動する。ガイドローラ34の下方側には底板35が設けられている。底板35には押込部9が配置されている。押込部9のパンチ18は、第3シリンダ19の駆動により昇降する。天板6には第1切断部7と第2切断部8とが設けられている。第1切断部7と第2切断部8はゴムシート2の搬送方向に沿って同一直線上に配置されている。第1切断部7は搬送方向の上流側、第2切断部8は下流側とされている。第切断部と押込部9とは上下方向で対向している。台座部10には、第切断部の第カッター12が挿通する、平面視同形状の矢印形状のスリットが形成されている。また、台座部10には、第切断部の第カッター15が挿通すると共に、押込部9のパンチ18が挿通する開口が形成されている。
【0050】
前記構成のゴムシート接続装置4の動作について、図14から図20を参照しつつ説明する。
【0051】
ゴム押出機3に投入中の第2ゴムシート2Bが残り少なくなってくれば、図14及び図15に示すように、その後端部を台座部10の上面に配置する。第2ゴムシート2Bの、次に供給する第1ゴムシート2Aの先端部の載置して重ね合わせる。このとき、第2ゴムシート2Bと第1ゴムシート2Aとは同一直線上に位置している。この状態で、図16に示すように、第1切断部7の第1カッター12と第2切断部8の第2カッター15とを降下させる。第1カッター12により、第2ゴムシート2Bと第1ゴムシート2Aに矢印状の係止部14図15参照)がそれぞれ形成される。また、第2カッター15により、第2ゴムシート2Bと第1ゴムシート2Aに十字状のスリットからなる係止受部17図15参照)がそれぞれ形成される。
【0052】
そして、図17に示すように、台座部10を水平方向にスライド移動させて、第1切断部7及び第2切断部8の下方側から側方へと退避させる。台座部10の支持を失った係止部14は、図18に示すように、自重によって先端部分が第ゴムシート2の下方側に垂れ下がる。図19に示すように、ガイドローラ34を駆動して水平方向に移動させ、垂れ下がった両ゴムシート2A,2Bの係止部14を第ゴムシート2の下面に沿うように弾性変形させる。この状態で、係止部14は係止受部17の下方側に配置される。図20に示すように、押込部9の第3シリンダ19を駆動してパンチ18を上昇させる。これにより、係止部14が係止受部17に挿入され、その先端の拡張部が第2ゴムシート2B及び第1ゴムシート2Aを貫通して第ゴムシート2の上面へと突出する。これにより、係止部14が係止受部17に係止され、第1ゴムシート2Aと第2ゴムシート2Bとが互いに接続される。
【0053】
これによれば、第1ゴムシート2Aと第2ゴムシート2Bを重ね合わせた状態で、係止部14と係止受部17を形成することができるので、前記第1実施形態のように、各ゴムシート2A,2Bを平行に移動させる必要がなく、装置の占有スペースを抑えることができる。また、両方のゴムシート2A,2Bに形成した係止部14と係止受部17とを互いに係止することで、係止状態をより一層強固なものとすることができる。
【0054】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0055】
前記第1実施形態では、第1ゴムシート2Aに係止部14を形成し、第2ゴムシート2Bに係止受部17を形成するようにしたが、逆に形成するようにしてもよい。すなわち、第1ゴムシート2Aに係止受部17を形成し、第2ゴムシート2Bに係止部14を形成するようにしてもよい。
【0056】
また、第1ゴムシート2A又は第2ゴムシート2Bのいずれか一方に係止受部17を形成し、残る他方は、一端部を係止受部17に係止させるだけとしてもよい。前記例では、スリットにゴムシート2の一端部を圧入することにより、ゴムシート2同士を接続することもできる。
【0057】
前記実施形態では、係止部14を矢印状の舌片、係止受部17を十字状のスリットとしたが、この形態に限らず、種々の形態を採用することができる。
【0058】
例えば、係止部14は図12に示すような矢印形状に限らず、基部14a側に比べて先端側に幅広部分を有する形状であれば、先端が丸形状等、種々の形態を採用できる。
【0059】
また、係止部14及び係止受部17は、必ずしも各ゴムシート2の内側で閉じた形状とする必要はなく、スリットが外縁に至るような形状であってもよい。
【0060】
図21では、係止受部17を、ゴムシート2の先端に沿って幅方向に延びる直線状のスリットのみで構成している。このような係止受部17によれば、係止部14を押し込みにくいものの、逆に脱落しにくくすることができる。
【0061】
図22では、係止受部17を丸穴としている。丸穴の内径寸法は、係止部14の先端部分に形成した拡張部14bの最大幅寸法よりも小さくなるように設計されている。これによれば、係止部14を係止受部17に挿通しやすくなる。また、係止受部17自体の強度も、単なるスリット状のもののように裂ける等の心配がなくなり、高めることができる。
【0062】
図23では、係止受部17を、ゴムシート2の先端に沿って片方の側縁部から幅方向に延びるスリットで構成している。この場合、係止受部17は、例えば、ゴムシート2に対して回転自在な円形状のカッター(図示せず)を側方から転がしながら押し当てることにより簡単に形成することができる。したがって、上述のような閉じた形状の係止受部17を形成する場合に比べて第2切断部8の構成を簡略化することが可能となる。
【0063】
図24では、係止受部17を、ゴムシート2の一端中央部から長手方向に延びるスリットで構成している。この場合、搬送中のゴムシート2に対して回転自在な円形状のカッター(図示せず)を降下させるだけで係止受部17を形成することができる。これにより、第2切断部8の構成をより一層簡略化することが可能となる。
【0064】
図25では、係止受部17を、一端中央部から長手方向に延び、幅寸法が徐々に広がる、逆に言えば、一端側で最も狭くなる切欠きで構成している。これによれば、単にスリット状に形成したものに比べて、係止受部17から係止部14が脱落しにくくすることができる。
【0065】
図26では、係止部14をT字形に形成している。すなわち、図12に示す三角形状の拡張部14bを矩形状とした構成である。これによれば、係止受部17への挿入は若干難しくはなるものの、逆に挿入後の抜止効果を高めることができる。
【0066】
図27では、前記同様、係止部14をT字形としているが、その形成位置が相違する。すなわち、ゴムシート2の先端側の両側から内側に延び、基部14aが形成されるように直角に曲がって長手方向に延びるスリットにより係止部14を形成している。これによれば、拡張部14bの幅寸法をゴムシート2の幅寸法まで広げることができ、係止受部17との係止状態をより一層強固なものとすることが可能となる。
【0067】
図28では、係止部14が基部側から先端側に向かうに従って徐々に幅寸法が大きくなるように構成されている。これは、基部側に比べて幅寸法の大きい拡張部を有する構成の他の例である。
【0068】
前記実施形態では、係止部14を個々のゴムシート2に形成した単一の係止受部17に挿通して係止するように構成したが、個々のゴムシート2に係止受部17は2箇所以上として、係止部14を全ての係止受部17に挿通するようにしてもよい。係止部14を2箇所以上の係止受部17に挿通することで、抜止効果を高めることができるので、必ずしも係止部14の先端側に拡張部14bを形成する必要はなく、同一幅寸法の舌片状としてもよい。
【0069】
図29では、第ゴムシート2に第1係止受部17a及び第2係止受部17bを形成し、第ゴムシート2に形成する係止部14を同一幅寸法の舌片状とした例を示している。この例では、下方側に垂れ下がった係止部14を第1ガイドローラ34aで持ち上げ、第1パンチ18aで第1係止受部17aに押し込み、ガイドローラ34bで第2ゴムシート2Bの上面に沿わせ、パンチ18bで第2係止受部17bに押し込んでいる。
【0070】
前記実施形態では、作業者が目視により第2ゴムシート2Bの残量を確認し、各ゴムシート2A,2Bの移動等を行うようにしたが、第2ゴムシート2Bの残りが少なくなってきたことを図示しないセンサで検出し、第1ゴムシート2Aが第1ガイドローラ29を通過した時点で、第1搬入ローラ28及び第1ガイドローラ29を第1位置P1へと自動的に移動させて、係止部14及び係止受部17を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…載置台
2…ゴムシート
2A…第1ゴムシート
2B…第2ゴムシート
3…ゴム押出機
4…ゴムシート接続装置
5…支柱
6…天板
7…第1切断部
8…第2切断部
9…押込部
10…台座部
11A…第1プッシャー
11B…第2プッシャー
12…第1カッター
13…第1シリンダ
14…係止部
15…第2カッター
16…第2シリンダ
17…係止受部
18…パンチ
19…第3シリンダ
20…第1支持部
21…第2支持部
22…第1スリット
23…第2スリット
24a、24b…第1プレート
24c…第2プレート
25a…第1押込バー
25b…第2押込バー
26…第1保持ローラ群
27…第2保持ローラ群
28…搬入ローラ
29…第1ガイドローラ
30…第1押えローラ
31…搬出ローラ
32…第2ガイドローラ
33…第2押えローラ
34…ガイドローラ
35…底板
36…搬送ローラ
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