(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ステータ、モータ、及びワイパモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/12 20060101AFI20221215BHJP
H02K 1/16 20060101ALI20221215BHJP
H02K 3/34 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
H02K3/12
H02K1/16 A
H02K3/34 B
(21)【出願番号】P 2019071406
(22)【出願日】2019-04-03
【審査請求日】2021-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】大堀 竜
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-118727(JP,A)
【文献】特開2008-253014(JP,A)
【文献】特開平11-299132(JP,A)
【文献】特開2017-147857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/00- 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状のステータコアと、
前記ステータコアの内側面から径方向の内側に突出され、周方向に沿って配置される複数のティースと、
周方向で隣り合う前記ティースの間に形成されたスロットと、
それぞれの前記ティースを覆う絶縁性を有するインシュレータと、
前記スロット内に挿入され、複数の巻線が径方向に複数段並んで配置されてなる
2つの巻線群と、
を備え、
各前記巻線群
は径方向に並んで配置されており、
各前記巻線群において、最も径方向内側に配置された
前記巻線
の本数は1本であり、前記巻線群における他の段の
前記巻線の本数
は2本であり、
前記他の段において、各段の各前記巻線は、異なる段の対応する前記巻線の1本のみに接触するように周方向と径方向とに整列配置されており、
前記
最も径方向内側に配置された各前記巻線群における前記巻線は
、同一の前記巻線群における前記他の段
の周方向で隣り合う
各前記巻線
に接触し、
前記ティースは、
径方向に沿って延びるティース本体と、
前記ティース本体の径方向内側端に形成され、前記ティース本体の径方向内側端における周方向の幅よりも大きい段差部と、
前記段差部の径方向内側端に形成され、周方向に沿って延びる鍔部と、
を有し、
前記段差部は前記インシュレータによって覆われており、
前記最も径方向内側に配置された前記巻線群における最も径方向の内側に配置された前記巻線は、周方向で隣り合う前記段差部及び前記段差部を覆う前記インシュレータによって周方向に位置決めされており、
前記インシュレータは、複数の前記巻線群のうち、最も径方向内側の前記巻線群を除いた前記巻線群における径方向の最も内側の前記巻線の位置に、該巻線に向かって突出する凸部を有し、
前記最も径方向内側の前記巻線群を除いた前記巻線群における最も径方向の内側に配置された前記巻線は、周方向で隣り合う前記ティース本体及び前記凸部によって周方向に位置決めされている
ことを特徴とするステータ。
【請求項2】
前記巻線は、分布巻き方式で前記スロットに挿入されて
いる
ことを特徴とする請求項1
に記載のステータ。
【請求項3】
前記ステータコアの軸方向からみて、前記段差部の長手方向の長さは、前記巻線の線径よりも小さい
ことを特徴とする請求項
1又は請求項2に記載のステータ。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載のステータと、
前記ステータコアの外周面が嵌合され、前記ステータコアが固定されるモータケースと、
前記ステータの径方向内側に配置され、前記ステータに対して回転自在に設けられたロータと、
を備えたことを特徴とするモータ。
【請求項5】
請求項
4に記載のモータを、車両に搭載されたワイパ装置に用いたことを特徴とするワイパモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ、モータ、及びワイパモータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータのステータは、スロット内に収納されティースに巻回された複数の巻線を備えている。この巻線に通電を行うとステータに磁界が発生し、この磁界とロータとの間で磁気的な吸引力や反発力が生じてロータが回転する。
また、モータの中には、ロータのロータコア内に永久磁石を埋め込んだいわゆるIPM(Interior Permanet Magnet)モータがある。さらに、リラクタンストルクを利用したモータがある(例えば、特許文献1参照)。このようなモータでは、ステータの巻線は、分布巻き方式で構成され、かつ同一方向に巻回される巻線の巻回数が奇数である場合が多い。
【0003】
また、モータは、スロット内での巻線の巻き崩れがモータの特性に大きく影響する。このため、例えば、巻線を径方向に俵積みとなるように配置することにより、巻線の巻き崩れを防止する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、ステータのティースに段差部を形成し、巻線の巻き崩れやガタツキを防止する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-033925号公報
【文献】特開2006-345650号公報
【文献】国際公開第2008/044703号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献2では、巻線の線径が大きくなると巻線の巻回数が少なくなってしまい、占積率が低下してしまう。とりわけ、特許文献1のように巻線が分布巻き方式で構成され、かつ同一方向に巻回される巻線の巻回数が奇数である場合、占積率の低下が著しく、モータ特性が悪化してしまう可能性があった。モータ特性を向上させようとスロットを大きくすると、この分、モータの直径が大型化する可能性もあった。
また、上述の特許文献3では、スロットの空間自体が小さくなってしまいモータ特性を向上させにくいという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、巻線の巻き崩れやガタツキを防止しつつ、巻線の占積率を向上させ、モータ特性を向上させることができるとともに、小型化できるステータ、モータ、及びワイパモータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係るステータは、環状のステータコアと、前記ステータコアの内側面から径方向の内側に突出され、周方向に沿って配置される複数のティースと、周方向で隣り合う前記ティースの間に形成されたスロットと、それぞれの前記ティースを覆う絶縁性を有するインシュレータと、前記スロット内に挿入され、複数の巻線が径方向に複数段並んで配置されてなる2つの巻線群と、を備え、各前記巻線群は径方向に並んで配置されており、各前記巻線群において、最も径方向内側に配置された前記巻線の本数は1本であり、前記巻線群における他の段の前記巻線の本数は2本であり、前記他の段において、各段の各前記巻線は、異なる段の対応する前記巻線の1本のみに接触するように周方向と径方向とに整列配置されており、前記最も径方向内側に配置された各前記巻線群における前記巻線は、同一の前記巻線群における前記他の段の周方向で隣り合う各前記巻線に接触し、前記ティースは、径方向に沿って延びるティース本体と、前記ティース本体の径方向内側端に形成され、前記ティース本体の径方向内側端における周方向の幅よりも大きい段差部と、前記段差部の径方向内側端に形成され、周方向に沿って延びる鍔部と、を有し、前記段差部は前記インシュレータによって覆われており、前記最も径方向内側に配置された前記巻線群における最も径方向の内側に配置された前記巻線は、周方向で隣り合う前記段差部及び前記段差部を覆う前記インシュレータによって周方向に位置決めされており、前記インシュレータは、複数の前記巻線群のうち、最も径方向内側の前記巻線群を除いた前記巻線群における径方向の最も内側の前記巻線の位置に、該巻線に向かって突出する凸部を有し、前記最も径方向内側の前記巻線群を除いた前記巻線群における最も径方向の内側に配置された前記巻線は、周方向で隣り合う前記ティース本体及び前記凸部によって周方向に位置決めされていることを特徴とする。
【0010】
上記構成において、前記巻線は、分布巻き方式で前記スロットに挿入されてもよい。
【0012】
上記構成において、前記ステータコアの軸方向からみて、前記段差部の長手方向の長さは、前記巻線の線径よりも小さくてもよい。
【0013】
本発明に係るモータは、上記に記載のステータと、前記ステータコアの外周面が嵌合され、前記ステータコアが固定されるモータケースと、前記ステータの径方向内側に配置され、前記ステータに対して回転自在に設けられたロータと、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明に係るワイパモータは、上記に記載のモータを、車両に搭載されたワイパ装置に用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、他の段の巻線に対して最内段の巻線を俵積みすることができ、占積率を向上できる。また、他の段は周方向と径方向とに整列配置されているので、俵積みする場合と比較して巻線の本数が減少してしまうことが抑制される。このため、モータ特性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態におけるワイパモータの斜視図。
【
図3】本発明の
参考例におけるステータ及びロータの径方向に沿う断面図。
【
図5】本発明の
参考例におけるステータのティースを展開した図。
【
図6】
図3のティースに対応する箇所の一部を拡大した図。
【
図7】本発明の
実施形態におけるステータ及びロータの径方向に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
[
参考例]
<ワイパモータ>
図1は、ワイパモータ1の斜視図である。
図2は、
図1のA-A線に沿う断面図である。
図1、
図2に示すように、ワイパモータ1は、例えば車両に搭載され、ウインドウガラス(いずれも図示しない)を払拭するためのワイパ装置100の駆動源となる。ワイパモータ1は、モータ部(請求項におけるモータに相当)2と、モータ部2の回転を減速して出力する減速部3と、モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4と、を備えている。
以下の説明において、単に軸方向という場合は、モータ部2のシャフト31の回転軸線C方向をいい、単に周方向という場合は、シャフト31の周方向をいい、単に径方向という場合は、シャフト31の径方向をいうものとする。
【0019】
<モータ部>
モータ部2は、モータケース5と、モータケース5内に収納されている略円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向の内側に設けられ、ステータ8に対して回転可能に設けられたロータ9と、を備えている。モータ部2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
【0020】
<モータケース>
モータケース5は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料に形成されている。モータケース5は、軸方向に分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6及び第2モータケース7は、それぞれ有底筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギアケース40と接合されるように、このギアケース40と一体成形されている。底部10の径方向の略中央には、ロータ9のシャフト31を挿通可能な貫通孔10aが形成されている。
【0021】
第1モータケース6の開口部6aに、径方向の外側に向かって張り出す外フランジ部16が形成されている。第2モータケース7の開口部7aに、径方向の外側に向かって張り出す外フランジ部17が形成されている。これら外フランジ部16,17同士を突き合わせて内部空間を有するモータケース5を形成している。モータケース5の内部空間で、かつ第1モータケース6及び第2モータケース7の内周面に、ステータ8の外周面が嵌合されている。なお、ステータ8は、ステータ8の外周面が第1モータケース6にのみ嵌合されていてもよい。
【0022】
<ステータ>
図3は、ステータ8及びロータ9の径方向に沿う断面図である。
図4は、
図3のB部拡大図である。
図2から
図4に示すように、ステータ8は、径方向に沿う断面形状が略円環状となる円筒状のステータコア21と、ステータコア21と一体化され、ステータコア21から径方向内側に向かって突出する複数(例えば、本実施形態では24個)のティース22と、を備えている。ステータコア21及びティース22は、例えば複数の金属板を軸方向に積層することにより形成されている。なお、ステータコア21は、複数の金属板を軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
【0023】
ティース22は、ステータコア21の内周面から径方向に沿って突出するティース本体91と、ティース本体91の径方向内側端に形成され、ティース本体91の径方向内側端における周方向の幅W1よりも大きい段差部92と、段差部92の径方向内側端に形成され、周方向に沿って延びる鍔部93と、が一体成形されたものである。周方向で隣り合うティース22の間には、それぞれスロット90が形成される。各スロット90に、複数の巻線24が挿入される。巻線24の詳細な構成については、後述する。
【0024】
ティース本体91は、ステータコア21側から径方向内側端に向かうに従って漸次周方向の幅が狭くなるように形成されている。これにより、スロット90の周方向の幅W2は、径方向全体で均一になる。
段差部92は、ティース本体91から段差面92aを介して形成されている。段差面92aは、周方向外側に向かうに従って漸次径方向内側に向かうように若干斜めに形成されている。段差面92aの周方向外側の角部には、丸面取り部92bが形成されている。段差部92は、径方向内側に向かうに従って漸次周方向の幅W3が狭くなるように形成されている。段差部92の周方向の幅W3は、丸面取り部92bの位置が最大となる。
【0025】
鍔部93は、段差部92の周方向の幅W3よりも周方向の幅W4が大きくなるように形成されている。段差部92と鍔部93とが接続される角部にも丸面取り部93aが形成されている。
また、ティース22は、ティース本体91、及び段差部92の各周方向の側面、及び各軸方向端面と、鍔部93の丸面取り部93a、及び鍔部93の軸方向端面で、かつ丸面取り部93aに対応する位置と、を被覆するインシュレータ23を有している。スロット90に挿入される巻線24は、インシュレータ23によってティース22との絶縁が確保されている。
【0026】
<巻線の構成>
図5は、ステータ8のティース22を展開した図である。
図6は、
図3のティース22に対応する箇所の一部を拡大した図である。なお、
図5で示す巻線24の線種と
図6で示す巻線24の線種とを対応させている。また、
図5において、各ティース22に、周方向で順番となるように番号を付している。
図5において、周方向で隣り合うティース22の間がスロット90に相当している。
図5では、ステータ8の上部に磁極(N極、S極)を示している。本
実施形態では、磁極数は4極である(詳細は後述する)。
【0027】
図5、
図6に示すように、各スロット90には、複数(例えば、本実施形態では10本)の巻線24が挿入されている。複数の巻線24のうち、所定の本数(例えば、本実施形態では5本)の巻線24は、所定の個数(例えば、本実施形態では4個)のスロット90を間に挟んで両側に位置するスロット90に挿入されたもの同士、エンドコイル94を介して接続されている。エンドコイル94の本数は巻線24の本数と同数であり、所定のスロット90間の対応する巻線24同士をそれぞれ別々に接続している。これにより、所定の本数の巻線24は、所定のスロット90間に巻回された1つの巻線群95を構成している。
【0028】
本実施形態では、磁極数が4極で、かつ1つの巻線群95が、総数24個のスロット90のうち、4個のスロット90を間に挟んで両側に位置するスロット90間に巻回されているので、ステータ8に分布巻き方式で巻線24が巻回されている。このため、1つのスロット90に挿入された10本の巻線24のうち、5本の巻線24が1つの巻線群95を構成する。すなわち、1つのスロット90に、2つの巻線群95が存在している。2つの巻線群95を構成する巻線24は、それぞれ別々のスロット90に挿入された巻線24にエンドコイル94を介して接続されている。また、2つの巻線群95は、1つのスロット90に径方向に並んで配置されている。以下、2つの巻線群95のうち、径方向外側に配置された巻線群95を外側巻線群95o、径方向内側に配置された巻線群95を内側巻線群95iと称して説明する場合がある。
【0029】
外側巻線群95o、及び内側巻線群95iは、それぞれ5本の巻線24を3段に分けて配置している。径方向外側から順に1段目、2段目、3段目とすると、1段目及び2段目(請求項における他の段に相当)は、2本ずつ巻線24が配置されている。1段目及び2段目の巻線24の本数は同数である。3段目(請求項における最内段に相当)は、最も径方向内側に位置する段であり、1本の巻線24が配置されている。3段目の巻線24の本数は、1段目、及び2段目の巻線24の本数よりも1本少ない。
【0030】
1段目及び2段目に配置された巻線24は、周方向と径方向とに整列配置されている。換言すれば、各段の巻線24は、周方向に一列に配置されている。1段目の巻線24と2段目の巻線24とは、対応する巻線24同士が径方向で同一直線状に並んで配置されている。このため、1段目及び2段目において、各段の巻線24は、互いに他の段の対応する巻線24の1本のみに接触している。
一方、3段目に配置された巻線24は、2段目における周方向で隣り合う巻線24の間に配置されている。すなわち、2段目の巻線24と3段目の巻線24とが俵積みされる。
【0031】
ここで、巻線24の線径は、スロット90の周方向の幅W2に対し、約1/2又は若干1/2よりも小さい程度である。このため、1段目、及び2段目の巻線24の巻き崩れやガタツキが防止される。また、3段目の巻線24は、2段目の巻線24に俵積みされており、3段目の巻線24の巻き崩れやガタツキも防止される。
また、外側巻線群95o、及び内側巻線群95iは、1つのスロット90に径方向に並んで配置されているので、外側巻線群95oの3段目の巻線24と内側巻線群95iの1段目の巻線24とが俵積みされる。内側巻線群95iの3段目の巻線24は、周方向で隣り合う段差部92の間に配置される。
【0032】
ここで、段差部92の周方向の幅W3は、周方向で隣り合う段差部92の間の間隔Kが巻線24の線径と同一又は若干小さい程度である。軸方向からみて段差部92の長手方向の長さLは、巻線24の線径よりも小さい。このため、周方向で隣り合う段差部92の間に、内側巻線群95iにおける3段目の巻線24がガタつくことなく配置される。
【0033】
なお、周方向で隣り合う段差部92の間の間隔K、及び段差部92の径方向の長さLは、ティース22にインシュレータ23が被覆されている場合、インシュレータ23の厚さを含めた場合をいうものとする。本実施形態では、ティース22にインシュレータ23が被覆されているので、ティース22にインシュレータ23が被覆された状態で、段差部92の周方向の幅W3は、周方向で隣り合う段差部92の間の間隔Kが巻線24の線径と同一又は若干小さい程度となる。ティース22にインシュレータ23が被覆された状態で、軸方向からみて段差部92の長手方向の長さL、つまりインシュレータ23の段差部92に対応する箇所における軸方向からみて長手方向の長さL(
図6における二点鎖線の長さL参照)は、巻線24の線径よりも小さい。これに対し、ティース22にインシュレータ23が装着されない場合、段差部92そのものの周方向の幅W3、軸方向からみて長手方向の長さLが、間隔K、及び巻線24の線径に基づいて設定される。
【0034】
このように構成された巻線24(巻線群95)は、ステータ8から端末部を引き出した形でコントローラ部4に接続されている。コントローラ部4からの給電により、巻線24はロータ9を回転させるための磁界を生成する。
【0035】
<ロータ>
図3に示すように、ロータ9は、減速部3を構成するウォーム軸44(
図2参照)と一体成形されたシャフト31と、シャフト31の外周面に嵌合固定されこのシャフト31の軸心を回転軸線Cとする略円柱状のロータコア32と、ロータコア32内に配置された複数の樹脂マグネット33a~33dと、を備えている。
【0036】
ロータコア32は、例えば複数の金属板を軸方向に積層することにより形成されている。なお、ロータコア32は、複数の金属板を軸方向に積層して形成する場合に限られるものではなく、例えば、軟磁性粉を加圧成形することにより形成してもよい。
ロータコア32の径方向中央には、軸方向に沿って貫通孔32aが形成されている。貫通孔32aに、シャフト31が圧入等によって固定されている。これにより、シャフト31とロータコア32とが一体となって回転する。ロータコア32は、外周面がステータコア21の内周面に径方向で所定のエアギャップGを介して対向した状態で保持される。
【0037】
ロータコア32には、1/4周の周角度領域のそれぞれに、4層のスリット35a~35dが径方向に並んで形成されている。各スリット35a~35dは、巻線24に通電した際に形成される鎖交磁束の流れに沿うように形成されている。つまり、各スリット35a~35dは、周方向の中央が最も径方向内側に位置するように(径方向内側に向かって凸形状となるように)、湾曲形成されている。これにより、ロータコア32には、磁束の流れ易い方向と磁束の流れにくい方向が形成される。各スリット35a~35dは、周方向の両端がロータコア32における外周面の近傍に至るまで延びている。このため、径方向内側に位置するスリット35a~35dほど、周長が長くなる。このような構成のもと、ロータコア32は4極に構成され、1極当り(ロータコア32の1/4周の周角度領域)に4層のスリット35a~35dが形成されていることになる。
【0038】
各スリット35a~35d内には、これらスリット35a~35dの形状に対応するように湾曲形成された樹脂マグネット33a~33dが設けられている。樹脂マグネット33a~33dは、対応するスリット35a~35dの周方向両端に僅かな空隙34が形成されるように設けられている。空隙34は、樹脂マグネット33a~33dの磁束が所定の方向に漏出しないようにするためのフラックスバリアとして機能する。
【0039】
樹脂マグネット33a~33dは、磁性材(例えばネオジムやサマリウム等の希土類系)と非磁性の樹脂材とが混合された極異方性を有するいわゆるボンドマグネットからなる。樹脂マグネット33a~33dは、径方向で異極となるように形成されている。同一磁極のスリット35a~35d内に配置された樹脂マグネット33a~33dは、磁極が同じ向きになるように配置されている。また、各極のスリット35a~35d内に配置された樹脂マグネット33a~33dは、周方向に磁極が順番になるように配置されている。なお、ボンドマグネットをスリット35a~35dに注入することで樹脂マグネット33a~33dを形成するように設けてもよい。このようにすることで、スリット35a~35dと樹脂マグネット33a~33dとの間に空隙34を形成されないように設けても良い。
【0040】
<減速部>
図1、
図2に戻り、減速部3は、モータケース5が取り付けられているギアケース40と、ギアケース40内に収納されるウォーム減速機構41と、を備えている。ギアケース40は、例えばアルミダイキャスト等の放熱性の優れた材料により形成されている。ギアケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されており、内部にウォーム減速機構41を収容するギア収容部42を有する。ギアケース40の側壁40bには、第1モータケース6が一体成形されている箇所に、この第1モータケース6の貫通孔10aとギア収容部42とを連通する開口部43が形成されている。
【0041】
ギアケース40の底壁40cには、略円筒状の軸受ボス49が突設されている。軸受ボス49は、ウォーム減速機構41の出力軸48を回転自在に支持する。軸受ボス49の内周面には、図示しない滑り軸受が設けられている。軸受ボス49の先端内周縁には、図示しないOリングが装着されている。これにより、軸受ボス49を介して外部から内部に塵埃や水が侵入してしまうことが防止される。軸受ボス49の外周面には、複数のリブ52が設けられている。これにより、軸受ボス49の剛性が確保されている。
【0042】
ギア収容部42に収容されたウォーム減速機構41は、ウォーム軸44と、ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45と、により構成されている。ウォーム軸44は、モータ部2のシャフト31と同軸上に配置されている。ウォーム軸44は、両端がギアケース40に設けられた軸受46,47によって回転自在に支持されている。ウォーム軸44のモータ部2側の端部は、軸受46を介してギアケース40の開口部43に至るまで突出している。この突出したウォーム軸44の端部とモータ部2のシャフト31との端部が接合され、ウォーム軸44とシャフト31とが一体化されている。なお、ウォーム軸44とシャフト31は、1つの母材からウォーム軸部分と回転軸部分とを成形することにより一体として形成してもよい。
【0043】
ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45には、このウォームホイール45の径方向の中央に出力軸48が設けられている。出力軸48は、ウォームホイール45の回転軸の方向と同軸上に配置されている。出力軸48は、ギアケース40の軸受ボス49を介してギアケース40の外部に突出している。出力軸48の突出した先端には、図示しない電装品と接続可能なスプライン48aが形成されている。
【0044】
ウォームホイール45の径方向の中央には、出力軸48が突出されている側とは反対側の面に、図示しないセンサマグネットが設けられている。このセンサマグネットは、ウォームホイール45の回転位置を検出する回転位置検出部60の一方を構成している。回転位置検出部60の他方を構成する磁気検出素子61は、ウォームホイール45のセンサマグネット側(ギアケース40の開口部40a側)でウォームホイール45と対向配置されているコントローラ部4に設けられている。
【0045】
<コントローラ部>
モータ部2の駆動制御を行うコントローラ部4は、磁気検出素子61が実装されたコントローラ基板62と、ギアケース40の開口部40aを閉塞するように設けられたカバー63と、を備えている。そして、コントローラ基板62が、ウォームホイール45のセンサマグネット側(ギアケース40の開口部40a側)に対向配置されている。
【0046】
コントローラ基板62は、いわゆるエポキシ基板に複数の図示しない導電性のパターンが形成されたものである。コントローラ基板62には、モータ部2の巻線24が電気的に接続されているとともに、カバー63に設けられたコネクタの端子(いずれも図示しない)が電気的に接続されている。コントローラ基板62には、磁気検出素子61の他に、巻線24に供給する電流を制御するFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子からなる図示しないパワーモジュールが実装されている。コントローラ基板62には、このコントローラ基板62に印加される電圧の平滑化を行う図示しないコンデンサ等が実装されている。
【0047】
このように構成されたコントローラ基板62を覆うカバー63は、樹脂により形成されている。カバー63は、若干外側に膨出するように形成されている。カバー63の内面側は、コントローラ基板62等を収容するコントローラ収容部56とされている。
カバー63の外周部に、図示しないコネクタが一体成形されている。このコネクタは、図示しない外部電源から延びるコネクタと嵌着可能に形成されている。このコネクタの端子に、コントローラ基板62が電気的に接続されている。これにより、外部電源の電力がコントローラ基板62に供給される。
【0048】
ここで、コントローラ基板62は、巻線24に対し、進角通電と、電気角θが121°から180°の広角通電とを行う。コントローラ基板62は、巻線24に対し、5次高調波を重畳した駆動電流を印加する。
【0049】
カバー63の開口縁には、ギアケース40の側壁40bの端部と嵌め合わされる嵌合部81が突出形成されている。嵌合部81は、カバー63の開口縁に沿う2つの壁81a,81bにより構成されている。これら2つの壁81a,81bの間に、ギアケース40の側壁40bの端部が挿入(嵌め合い)される。これにより、ギアケース40とカバー63との間にラビリンス部83が形成される。このラビリンス部83によって、ギアケース40とカバー63との間から塵埃や水が浸入してしまうことが防止される。なお、ギアケース40とカバー63との固定は、図示しないボルトを締結することにより行われる。
【0050】
<ワイパモータの動作>
次に、ワイパモータ1の動作について説明する。
ワイパモータ1において、コネクタ11を介してコントローラ基板62に供給された電力は、図示しないパワーモジュールを介してモータ部2の各巻線24に選択的に供給される。すると、各巻線24に流れる電流は、ステータ8(ティース22)に所定の鎖交磁束を形成する。この鎖交磁束は、ロータ9の永久磁石33により形成される有効磁束との間で磁気的な吸引力又は反発力(磁石トルク)を発生させる。また、鎖交磁束は、ロータ9にリラクタンストルクを発生させる。これにより、ロータ9が継続的に回転される。
【0051】
ロータ9の回転は、シャフト31と一体化されているウォーム軸44に伝達され、さらにウォーム軸44に噛合されているウォームホイール45に伝達される。ウォームホイール45の回転は、ウォームホイール45に連結されている出力軸48に伝達される。出力軸48によって、ワイパ装置100が駆動される。
【0052】
コントローラ基板62に実装されている磁気検出素子61によって検出されたウォームホイール45の回転位置の検出信号は、図示しない外部機器に出力される。図示しない外部機器は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサによって所定のプログラムが実行されることにより機能するソフトウェア機能部である。ソフトウェア機能部は、CPUなどのプロセッサ、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)及びタイマーなどの電子回路を備えるECU(Electronic Control Unit)である。図示しない外部機器の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)などの集積回路であってもよい。
【0053】
図示しない外部機器は、ウォームホイール45の回転位置検出信号に基づいて、図示しないパワーモジュールのスイッチング素子等の切替えタイミングを制御し、モータ部2の駆動制御を行う。なお、パワーモジュールの駆動信号の出力及びモータ部2の駆動制御は、図示しない外部機器の代わりにコントローラ部4によって実行されてもよい。
【0054】
このように、上述の参考例におけるステータ8では、1つのスロット90に、2つの巻線群95(95o,95i)が配置されている。各巻線群95は、それぞれ5本の巻線24を3段に分けて配置している。1段目及び2段目は2本ずつ巻線24が配置され、周方向と径方向とに整列配置されている。3段目は、1段目及び2段目よりも本数が1本少ない1本の巻線24が配置されている。これにより、巻線群95を構成する巻線24の一部のみ(2段目と3段目のみ)が俵積みとなる。
【0055】
ここで、例えば、巻線群95の全体で、巻線24を俵積みにしようとすると、1段目、3段目を1本の巻線24とするか、2段目のみ1本の巻線24とするかになる。仮に1段目、3段目を1本の巻線24とした場合、1つの巻線群95に対する巻線24の本数が減少してしまい、巻線24の占積率が低下してしまう。一方、仮に2段目のみ1本の巻線24にしようとすると、内側巻線群95iにおいて、3段目に2本の巻線24を配置できるように段差部92を削除しなければならず、ティース22の径方向内側の磁路が狭まってしまう。
【0056】
したがって、巻線群95において、1段目、及び2段目に2本ずつ巻線24を配置し、3段目に1本の巻線24を配置して、一部のみ俵積みとすることにより、巻線24の巻き崩れやガタツキを防止しつつ、巻線24の占積率を向上できる。これに加え、ティース22に段差部92を形成できるので、ティース22の磁路も十分確保でき、磁気飽和を抑制できる。このため、モータ特性を向上できる。
【0057】
巻線群95を構成する巻線24のうち、一部を俵積みとすることにより、全ての巻線24を周方向と径方向とに整列配置する場合と比較して、巻線群95の径方向の長さを短くできる。つまり、周方向からみて異なる段の巻線24同士が重なり合う箇所ができるので、巻線群95の径方向の長さを短くできる。なお、上述の参考例のように、1つのスロット90に2つの巻線群95(外側巻線群95o、内側巻線群95i)が配置されている場合、周方向からみて異なる段の巻線23同士が重なり合う箇所は、合計3箇所となる。このため、ステータ8の小型化が可能になる。
【0058】
巻線群95の各段のうち、最も径方向内側に位置する3段目の巻線24の本数を他の段(1段目、2段目)と比較して1本少なくしている。このため、ステータコア21の径方向の厚さを十分確保できる。つまり、ステータコア21の磁路を十分確保できる。
【0059】
ここで、例えば、巻線群95の各段のうち、最も径方向外側に位置する1段目の巻線24の本数を、他の段(2段目、3段目)と比較して1本少なくした場合、1段目の巻線24のガタツキを抑えるべく、例えば、ステータコア21に巻線24を収納可能な凹部を形成する必要がある。このように凹部を形成してしまうと、この分、ステータコア21の磁路が狭くなってしまう。しかしながら、本参考例では、巻線24の巻き崩れやガタツキを防止しつつ、ステータコア21の磁路を十分確保できるので、モータ特性をより確実に向上できる。
【0060】
なお、例えば、外側巻線群95oにおいては、最も径方向外側に位置する1段目の巻線24の本数を、他の段(2段目、3段目)と比較して1本少なくし、内側巻線群95iにおいては、最も径方向内側に位置する3段目の巻線24の本数を他の段(1段目、2段目)と比較して1本少なくした場合、周方向からみて異なる段の巻線同士が重なり合う箇所は、合計2か所になる。このため、本参考例と比較してステータ8を小型化しにくくなるとともに、ステータコア21の磁路を十分確保できなくなる。
【0061】
また、段差部92の周方向の幅W3は、周方向で隣り合う段差部92の間の間隔Kが巻線24の線径と同一又は若干小さい程度である。軸方向からみて段差部92の長手方向の長さLは、巻線24の線径よりも小さい。このため、周方向で隣り合う段差部92の間に、内側巻線群95iにおける3段目の巻線24がガタつくことなく配置され、巻線24の巻き崩れやガタツキを確実に防止できる。
【0062】
段差部92の段差面92aは、周方向外側に向かうに従って漸次径方向内側に向かうように若干斜めに形成されている。段差面92aの周方向外側の角部には、丸面取り部92bが形成されている。段差部92は、径方向内側に向かうに従って漸次周方向の幅W3が狭くなるように形成されている。段差部92の周方向の幅W3は、丸面取り部92bの位置が最大となる。鍔部93は、段差部92の周方向の幅W3よりも周方向の幅W4が大きくなるように形成されている。段差部92と鍔部93とが接続される角部にも丸面取り部93aが形成されている。このように構成することで、ティース22と巻線24との間に形成される隙間を、できる限り小さくできる。このため、さらに確実に巻線24の占積率を向上でき、巻線24による鎖交磁束を、効率よくティース22に伝達することができる。
【0063】
[
実施形態]
次に、
図7に基づいて、本発明の
実施形態について説明する。なお、
参考例と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する。
図7は、ステータ8のティース22に対応する箇所の一部を拡大した図である。
図7は、前述の
図6に対応している。
図7に示すように、本
実施形態では、ステータ8のインシュレータ223は、外側巻線群95oにおける3段目の巻線24(1本の巻線24)に対応する箇所に、3段目の巻線24に向かって突出する凸部71を有している。この点、前述の
参考例と相違する点である。
【0064】
凸部71は、径方向に沿う断面で略半円状に形成されている。凸部71の曲率半径は、巻線24の半径とほぼ同一である。外側巻線群95oにおける3段目の巻線24は、凸部71によって、周方向のガタツキが抑制されている。
【0065】
したがって、上述の実施形態によれば、前述の参考例と同様の効果を奏することができる。これに加え、凸部71によって、巻線24の巻き崩れやガタツキをより確実に防止できる。
【0066】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、ワイパモータ1は、車両のウインドウガラスを払拭するためのワイパ装置100の駆動源となる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、車両に搭載される電装品(例えば、パワーウインドウ、サンルーフ、電動シート等)の駆動源となるものや、その他のさまざまな用途に、上記のワイパモータ1の構成を採用することができる。
【0067】
上述の実施形態では、1つのスロット90に2つの巻線群95(外側巻線群95o、内側巻線群95i)が配置されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、1つのスロット90に少なくとも1つの巻線群95が配置されていればよい。また、1つのスロット90に2つ以上の巻線群95が配置されていてもよい。
例えば、1つのスロット90に3つ以上の巻線群95が配置されている場合、少なくとも最も径方向内側に位置する巻線群95における3段目の巻線24の本数が1本であればよい。全ての巻線群95における3段目の巻線24の本数が1本であってもよい。
【0068】
上述の実施形態では、1つの巻線群95は、5本の巻線24を3段に分けて配置している場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、複数本の巻線24が径方向に複数段並んで配置されることによって巻線群95が構成されていればよい。例えば、1つの巻線群95が6本以上の巻線24を径方向に複数段並べて配置されてなる場合、巻線24は、各段のうち、最も径方向内側に位置する最内段の本数が他の段の本数よりも1本少なく配置されていればよい。また、他の段の巻線24の本数は、全て同数であればよい。さらに、他の段において、各段の各巻線24は、異なる段の対応する巻線24の1本のみに接触するように周方向と径方向とに整列配置されていればよい。また、最内段の巻線24は、他の段における周方向で隣り合う巻線24の間に配置されて俵積みされていればよい。
【0069】
上述の実施形態では、ティース22は、インシュレータ233に形成され、外側巻線群95oの3段目の巻線24のガタツキを防止する凸部71を有している場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、例えばインシュレータ233を備えていないティース22に、直接凸部71を形成してもよい。
凸部71は、径方向に沿う断面で略半円状に形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、巻線24のガタツキを防止できる形状であればよい。例えば、径方向に沿う断面の形状が三角形状や四角形状であってもよい。
【0070】
上述の実施形態では、ステータ8に分布巻き方式で巻線24が巻回されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ステータ8に重ね巻き方式や集中巻き方式で巻線24が巻回されている場合であっても、上述のステータ8の構成を採用できる。
【0071】
上述の実施形態では、軸方向からみて段差部92の長手方向の長さLは、巻線24の線径よりも小さい場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、軸方向からみて段差部92の長手方向の長さLは、少なくとも周方向で隣り合う段差部92の間に、内側巻線群95iにおける3段目の巻線24が挿入可能に設定されていればよい。
【0072】
上述の実施形態では、ロータ9はリラクタンストルクを利用した構成である場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ロータコア32の外周面寄りに、周方向に沿って単にマグネットを埋め込んだIPMモータや、ロータコア32の外周面にマグネットを設けたいわゆるSPM(Surface Permanent Magnet)モータにも、上述のステータ8の構成を採用できる。
【符号の説明】
【0073】
1…ワイパモータ、2…モータ部(モータ)、5…モータケース、6…第1モータケース、7…第2モータケース、8…ステータ、9…ロータ、21…ステータコア、22…ティース、23,233…インシュレータ、24…巻線、71…凸部、90…スロット、91…ティース本体、92…段差部、93…鍔部、95…巻線群、95o…外側巻線群、95i…内側巻線群、100…ワイパ装置