(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ワイパアーム
(51)【国際特許分類】
B60S 1/46 20060101AFI20221215BHJP
B60S 1/34 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
B60S1/46 C
B60S1/46 D
B60S1/34 270
(21)【出願番号】P 2019140395
(22)【出願日】2019-07-31
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳中 博樹
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/200065(WO,A1)
【文献】特開2017-013696(JP,A)
【文献】特開2009-067142(JP,A)
【文献】特開2008-230471(JP,A)
【文献】特開2007-015636(JP,A)
【文献】特表平9-512510(JP,A)
【文献】特表平5-508596(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0222832(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/46
B60S 1/32
B60S 1/34
B60S 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
払拭面を払拭するワイパブレードを揺動させるワイパアームであって、
基端部が揺動軸に装着されるアームヘッドと、
前記アームヘッドの先端部に基端部が装着されるアームシャンクと、
前記アームシャンクの先端部に基端部が装着されるアームピースと、
前記アームヘッド、前記アームシャンクおよび前記アームピースに沿って配置されるウォッシャチューブと、
前記ウォッシャチューブの先端部に装着されるウォッシャノズルと、
前記アームピースおよび前記ウォッシャチューブの少なくとも長手方向一部の周囲を覆うカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材は、
天壁部および当該天壁部の短手方向両側から突出された一対の側壁部を有する第1カバー体と、
前記一対の側壁部に装着され、前記天壁部に対して対向配置される第2カバー体と、
を備えていることを特徴とするワイパアーム。
【請求項2】
前記第1カバー体および前記第2カバー体は樹脂製であって、
前記一対の側壁部には、前記天壁部の短手方向に突出し、かつ前記一対の側壁部の突出方向に開口した挿入開口を有する被係合部が設けられ、
前記第2カバー体には、前記天壁部に向かって突出し、かつ前記挿入開口に挿入されて前記被係合部に引っ掛けられる引っ掛け爪を有する係合部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のワイパアーム。
【請求項3】
1つの前記被係合部に対して2つの前記引っ掛け爪が設けられ、
2つの前記引っ掛け爪は、前記第2カバー体の長手方向に所定間隔で並んで配置され、
2つの前記引っ掛け爪が、前記被係合部の前記天壁部に向けられた引っ掛け面に引っ掛けられていることを特徴とする請求項2に記載のワイパアーム。
【請求項4】
前記一対の側壁部には、前記天壁部の短手方向に突出し、かつ前記第1カバー体を前記一対の側壁部の突出方向から見たときに、前記被係合部と重なる位置に配置される保持突起が設けられ、
前記保持突起の前記天壁部に向けられた支持面に、前記アームピースが支持されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のワイパアーム。
【請求項5】
前記第2カバー体には、前記天壁部に向かって突出し、かつ前記一対の側壁部に対して平行に延び、前記一対の側壁部の内側に入り込む突出壁部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイパアーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、払拭面を払拭するワイパブレードを揺動させるワイパアームに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載されるワイパ装置は、払拭面上で揺動されるワイパアームを備えている。ワイパアームの先端部にはワイパブレードが装着されており、ワイパアームの基端部には車体に設けられた揺動軸が装着されている。これにより、ワイパモータを駆動して揺動軸を揺動させることで、ワイパブレードが払拭面上を往復払拭動作し、ひいては払拭面が綺麗に払拭される。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されたワイパアームは、ワイパアームの基端側の部分を構成するアームヘッドと、ワイパアームの先端側の部分を構成するリテーナ(アームシャンク)とを備えている。リテーナの長手方向と交差する方向(短手方向)に沿う断面形状は略U字形状に形成されており、その内側には、洗浄液が流通するホース(ウォッシャチューブ)が配策されている。
【0004】
リテーナの開口部分には、リテーナの殆どの部分を覆うようにして、長尺のリテーナカバーが装着されている。これにより、リテーナの内側のホースが覆い隠されている。そして、ホースを流通する洗浄液(ウォッシャ液)は、リテーナの先端部に設けられたノズルから払拭面に向けて噴射されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載されたワイパアームでは、その殆どの部分を占めるリテーナが鉄製であり、かつその断面が略U字形状に形成されている。したがって、ワイパアーム全体が大型化することに加えて、ワイパアームの重量が嵩むという問題があった。さらには、ワイパアーム全体の大型化に伴い、高速走行時の走行風により払拭性が低下したり、ワイパアームのデザイン性が低下したりする虞があった。
【0007】
本発明の目的は、小型軽量化を図りつつ、払拭性およびデザイン性を向上させることができるワイパアームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様では、払拭面を払拭するワイパブレードを揺動させるワイパアームであって、基端部が揺動軸に装着されるアームヘッドと、前記アームヘッドの先端部に基端部が装着されるアームシャンクと、前記アームシャンクの先端部に基端部が装着されるアームピースと、前記アームヘッド、前記アームシャンクおよび前記アームピースに沿って配置されるウォッシャチューブと、前記ウォッシャチューブの先端部に装着されるウォッシャノズルと、前記アームピースおよび前記ウォッシャチューブの少なくとも長手方向一部の周囲を覆うカバー部材と、を備え、前記カバー部材は、天壁部および当該天壁部の短手方向両側から突出された一対の側壁部を有する第1カバー体と、前記一対の側壁部に装着され、前記天壁部に対して対向配置される第2カバー体と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様では、前記第1カバー体および前記第2カバー体は樹脂製であって、前記一対の側壁部には、前記天壁部の短手方向に突出し、かつ前記一対の側壁部の突出方向に開口した挿入開口を有する被係合部が設けられ、前記第2カバー体には、前記天壁部に向かって突出し、かつ前記挿入開口に挿入されて前記被係合部に引っ掛けられる引っ掛け爪を有する係合部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様では、1つの前記被係合部に対して2つの前記引っ掛け爪が設けられ、2つの前記引っ掛け爪は、前記第2カバー体の長手方向に所定間隔で並んで配置され、2つの前記引っ掛け爪が、前記被係合部の前記天壁部に向けられた引っ掛け面に引っ掛けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の態様では、前記一対の側壁部には、前記天壁部の短手方向に突出し、かつ前記第1カバー体を前記一対の側壁部の突出方向から見たときに、前記被係合部と重なる位置に配置される保持突起が設けられ、前記保持突起の前記天壁部に向けられた支持面に、前記アームピースが支持されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の他の態様では、前記第2カバー体には、前記天壁部に向かって突出し、かつ前記一対の側壁部に対して平行に延び、前記一対の側壁部の内側に入り込む突出壁部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ワイパアームを、アームヘッドとアームシャンクとアームピースとで構成したので、ワイパアームの長手方向に対するアームシャンクが占める割合を小さくすることができる。つまり、アームピースを設けたので、アームシャンクを短くすることができる。これにより、ワイパアーム全体を小型軽量化することができ、かつ払拭性を高めることができる。また、アームピースの部分にカバー部材を装着したので、当該部分に配置されるウォッシャチューブを隠すことができる。よって、ワイパアームのデザイン性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ワイパ装置の車両への搭載状態を示す概要図である。
【
図2】DR側ワイパアームを表側から見た斜視図である。
【
図3】DR側ワイパアームを裏側から見た斜視図である。
【
図4】(a),(b)は、第1カバー体を示す斜視図である。
【
図8】(a),(b)は、第1カバー体を成形する金型(本発明および比較例)を示す
図7の破線円C部に対応した拡大図である。
【
図9】(a),(b)は、ウォッシャノズルを示す斜視図である。
【
図10】第1カバー体および第2カバー体のアームシャンクへの組み付け手順を説明する図である。
【
図11】ウォッシャノズルのアームシャンクへの組み付け手順を説明する図である。
【
図12】ウォッシャノズルと第1カバー体との組み付け手順を説明する図である。
【
図13】AS側ワイパアーム(変形例)のウォッシャノズルの部分を裏側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0016】
図1はワイパ装置の車両への搭載状態を示す概要図を、
図2はDR側ワイパアームを表側から見た斜視図を、
図3はDR側ワイパアームを裏側から見た斜視図を、
図4(a),(b)は第1カバー体を示す斜視図を、
図5は第2カバー体を示す斜視図を、
図6は
図2のA-A線に沿う断面図を、
図7は
図6のB-B線に沿う断面図を、
図8(a),(b)は第1カバー体を成形する金型(本発明および比較例)を示す
図7の破線円C部に対応した拡大図を、
図9(a),(b)はウォッシャノズルを示す斜視図をそれぞれ示している。
【0017】
図1に示されるように、自動車等の車両10のフロント側には、フロントウィンドシールド(払拭面)11が設けられている。また、フロントウィンドシールド11上には、フロントウィンドシールド11に付着した雨水や埃等を払拭するDR側(運転席側)ワイパ部材100およびAS側(助手席側)ワイパ部材200が設けられている。
【0018】
DR側ワイパ部材100は、DR側ワイパブレード110とDR側ワイパアーム120とを備えており、DR側ワイパブレード110はDR側ワイパアーム120の先端部に回動自在に装着されている。AS側ワイパ部材200は、AS側ワイパブレード210とAS側ワイパアーム220とを備えており、AS側ワイパブレード210はAS側ワイパアーム220の先端部に回動自在に装着されている。
【0019】
DR側ワイパブレード110およびAS側ワイパブレード210は、フロントウィンドシールド11上の下反転位置LRPと上反転位置URPとの間に形成されたDR側払拭範囲12およびAS側払拭範囲13を、それぞれ同期して同一方向に往復払拭動作するようになっている。すなわち、DR側ワイパブレード110およびAS側ワイパブレード210の払拭パターンは、所謂「タンデム型」となっている。
【0020】
車両10におけるフロントウィンドシールド11の前端側の部分で、かつバルクヘッド(図示せず)の近傍には、DR側ワイパ部材100およびAS側ワイパ部材200を揺動させるワイパ装置14が搭載されている。ワイパ装置14は、揺動軸としてのDR側ピボット軸15およびAS側ピボット軸16を備えており、DR側ピボット軸15およびAS側ピボット軸16の先端部には、DR側ワイパアーム120およびAS側ワイパアーム220の基端部が、それぞれ締結ナット(図示せず)により強固に固定されている。
【0021】
また、DR側ピボット軸15およびAS側ピボット軸16の基端部には、DR側駆動レバー17およびAS側駆動レバー18の長手方向一端が固定されている。また、DR側駆動レバー17およびAS側駆動レバー18の長手方向他端は、それぞれボールジョイントBJを介して、連結ロッド19の長手方向両端が回動自在に連結されている。
【0022】
AS側駆動レバー18の長手方向他端には、さらにボールジョイントBJを介して、駆動ロッド20の長手方向一端が回動自在に連結されている。また、駆動ロッド20の長手方向他端は、さらにボールジョイントBJを介して、クランクアーム21の長手方向一端に回動自在に連結されている。
【0023】
クランクアーム21の長手方向他端は、ワイパモータ22の出力軸23に固定されており、クランクアーム21は、出力軸23の回転に伴って、その長手方向一端(駆動ロッド20との連結部分)が回転するようになっている。
【0024】
ここで、クランクアーム21,駆動ロッド20,連結ロッド19,DR側駆動レバー17およびAS側駆動レバー18は、ワイパモータ22の回転運動をDR側ピボット軸15およびAS側ピボット軸16の揺動運動に変換する「リンク機構」を構成している。これにより、DR側ピボット軸15およびAS側ピボット軸16が、それぞれ揺動駆動される。
【0025】
これにより、DR側ワイパアーム120およびAS側ワイパアーム220が揺動して、DR側ワイパブレード110およびAS側ワイパブレード210が、フロントウィンドシールド11上のDR側払拭範囲12およびAS側払拭範囲13を、それぞれ払拭するようになっている。
【0026】
なお、ワイパモータ22には、ブラシ付きの電動モータやブラシレスの電動モータを用いることができる。ただし、近年のハイブリッド車両(HV)や電動自動車(EV)等にワイパモータ22を搭載する場合には、静粛性の観点等から、ブラシの摺接音等(電磁ノイズ等を含む)を発生しないブラシレスの電動モータを採用するのが望ましい。
【0027】
図2および
図3に示されるように、DR側ワイパアーム120は、略真っ直ぐの直線形状に形成されており、DR側ワイパアーム120の基端側(
図2中右側)から、アームヘッド130,アームシャンク140およびアームピース150が、それぞれこの順番で連結して設けられている。
【0028】
アームヘッド130は、アルミ材料等を鋳造成形することで略棒状に形成されており、これにより軽量化が図られている。アームヘッド130の長手方向基端部には、DR側ピボット軸15(
図1参照)の先端部が締結ナット(図示せず)を介して固定されるピボット軸固定部131が一体に設けられている。
【0029】
ピボット軸固定部131は略筒状に形成されており、その外周部分には、シリコーンゴム等よりなる柔軟性を備えたウォッシャチューブTBが、巻き掛けられるようにして配策されている。これにより、DR側ワイパアーム120の揺動時において、ウォッシャチューブTBは、ピボット軸固定部131に対して巻き掛けられたり弛んだりするようになっている。よって、ウォッシャチューブTBには大きな負荷が掛かることが無い。
【0030】
つまり、ウォッシャチューブTBが弾性変形することが抑えられており、ウォッシャ液W(
図9参照)は、ウォッシャチューブTB内をスムーズに流れることができる。また、ウォッシャチューブTBが弾性変形することが抑えられるため、ワイパモータ22に掛かる負荷も軽減される。ここで、図示においては、ウォッシャチューブTBの配策状態を分かり易くするために、ウォッシャチューブTBに網掛けを施している。
【0031】
また、
図3に示されるように、アームヘッド130の裏側、つまりアームヘッド130のフロントウィンドシールド11(
図1参照)側には、ウォッシャチューブTBを脱落しないように保持する保持溝132が設けられている。具体的には、保持溝132には、ウォッシャチューブTBが若干弾性変形された状態で入り込んでいる。これにより、ウォッシャ液Wの流れに悪影響を与えずに、ウォッシャチューブTBを保持溝132に確実に保持させている。
【0032】
さらに、アームヘッド130の裏側には、保持溝132を避けるようにして、合計3つの肉盗み部133が設けられている。これらの肉盗み部133は、アームヘッド130をより軽量化させる機能に加えて、アームヘッド130の成形精度を向上させる機能を有している。
【0033】
また、
図2に示されるように、アームヘッド130の表側、つまりアームヘッド130のフロントウィンドシールド11側とは反対側で、かつピボット軸固定部131の部分には、当該ピボット軸固定部131の径方向外側に突出するようにして、チューブガイド134が一体に設けられている。これにより、DR側ワイパアーム120の揺動時において、ウォッシャチューブTBがピボット軸固定部131に対して弛んだとしても、ウォッシャチューブTBはピボット軸固定部131から脱落することは無い。
【0034】
さらに、アームヘッド130の長手方向先端部には、アームシャンク140の長手方向基端部が装着されるシャンク固定部135が一体に設けられている。シャンク固定部135には、アームシャンク140がロックバック可能、つまりフロントウィンドシールド11に対して起立可能に連結されており、シャンク固定部135には支持ピンPNが装着されている。つまり、アームシャンク140は、支持ピンPNを中心にロックバック可能となっている。
【0035】
また、シャンク固定部135には、鋼材製のフック部材FKが引っ掛けられる引っ掛け部135aが設けられている。なお、フック部材FKには、引っ張りばねSPの長手方向一端が引っ掛けられている。また、引っ張りばねSPの長手方向他端は、アームシャンク140の長手方向中央部に固定された鋼材製のスプリングフックSFに引っ掛けられている。そして、引っ張りばねSPのばね力は、DR側ワイパブレード110(
図1参照)を、フロントウィンドシールド11に対して所定圧で押圧するように作用する。これに対し、引っ張りばねSPのばね力は、アームシャンク140をアームヘッド130に対して起立させた状態(ロックバック状態)で保持するようにも作用する。
【0036】
さらに、シャンク固定部135には、保持溝132に保持されたウォッシャチューブTBを、アームシャンク140の内側の所定箇所に誘導するための誘導溝135bが設けられている。この誘導溝135bには、ウォッシャチューブTBが脱落しないように装着されている。そして、誘導溝135bおよび引っ掛け部135aは、互いに支持ピンPNの軸方向に並んで配置されている。これにより、
図3に示されるように、アームシャンク140の内側には、引っ張りばねSPとウォッシャチューブTBとが、互いに整然と並べて配置されている。
【0037】
なお、
図3において、ウォッシャチューブTBの長手方向中央部分は、アームシャンク140に固定されたスプリングフックSFを潜るようにして設けられている。つまり、ウォッシャチューブTBの長手方向中央部分は、スプリングフックSFによって支持されており、これにより、ウォッシャチューブTBの長手方向中央部分が、アームシャンク140の内側から脱落することが防止されている。
【0038】
アームシャンク140は、鋼板をプレス加工等することで長尺に形成されている。具体的には、アームシャンク140の長手方向と交差する方向(短手方向)に沿う断面形状は、略U字形状に形成されている。アームシャンク140は、DR側ワイパアーム120の表側に配置されたシャンク天壁141と、当該シャンク天壁141の短手方向両側からフロントウィンドシールド11に向けて突出された一対のシャンク側壁142と、を備えている。これにより、
図3に示されるように、アームシャンク140の内側に、引っ張りばねSPおよびウォッシャチューブTBが収容され、かつアームシャンク140を側方から見た際に、引っ張りばねSPおよびウォッシャチューブTBは、一対のシャンク側壁142によって隠される。
【0039】
また、アームシャンク140の長手方向基端部には、当該アームシャンク140の長手方向に突出するようにして、一対のヘッド固定部143(
図2参照)が一体に設けられている。これらのヘッド固定部143は、アームヘッド130のシャンク固定部135を側方から挟むようにして設けられており、かつシャンク固定部135に対して支持ピンPNにより連結されている。すなわち、アームヘッド130の先端部にアームシャンク140の基端部が装着されている。
【0040】
さらに、アームシャンク140の長手方向先端部には、アームピース150の長手方向基端部が固定されるピース固定部144が一体に設けられている。具体的には、アームピース150の長手方向基端部は、ピース固定部144をかしめることでアームシャンク140の長手方向先端部に固定されている。これにより、ピース固定部144は、アームピース150の長手方向基端部を包み込んでいる。このようにして、アームシャンク140の先端部に、アームピース150の基端部が装着されている。
【0041】
なお、アームシャンク140のピース固定部144の近傍で、かつ一対のシャンク側壁142の間に、スプリングフックSFが固定されている。そして、
図2および
図3に示されるように、アームシャンク140の内側に収容されたウォッシャチューブTBは、ピース固定部144の部分において、アームシャンク140の外部に引き出されている。アームシャンク140の外部に引き出されたウォッシャチューブTBは、ピース固定部144に対して、弛むこと無く真っ直ぐに沿って配置されている。よって、当該部分において、DR側ワイパアーム120の見栄えが損なわれるようなことが無い。
【0042】
アームピース150は、鋼板をプレス加工等することで略真っ直ぐの平板状に形成されている。ここで、アームピース150の肉厚は、アームシャンク140の肉厚よりも厚くなっている。これにより、上述した従前の構造(アームピースの部分もアームシャンクとなっている構造)に比して、十分に小型軽量化が図られている。なお、アームピース150の肉厚は、アームシャンク140の肉厚よりも厚くなっているが、これによってDR側ワイパアーム120全体の重量が、従前の構造よりも増大するようなことは無い。
【0043】
アームピース150の長手方向先端部には、DR側ワイパブレード110が装着されるU字状フック151が一体に設けられている。このU字状フック151には、DR側ワイパブレード110の長手方向中央部に設けられた連結部材(図示せず)が、ワンタッチで固定されるようになっている。なお、DR側ワイパブレード110の長手方向中央部に設けられる連結部材は、DR側ワイパブレード110に対して揺動自在となっている。よって、アームピース150に装着されたDR側ワイパブレード110は、DR側ワイパアーム120に対して揺動自在となっている。
【0044】
また、アームピース150の長手方向に沿うU字状フック151寄りの部分には、フロントウィンドシールド11に向けてウォッシャ液W(
図9参照)を噴射するウォッシャノズル160が装着されている。このウォッシャノズル160には、ウォッシャチューブTBの長手方向先端部が接続されている。ここで、ピース固定部144とウォッシャノズル160との間に配策されるウォッシャチューブTBは、弛むこと無くアームピース150に沿って配置されている。このようにして、ウォッシャチューブTBは、アームヘッド130,アームシャンク140およびアームピース150に沿って配置されている。
【0045】
ここで、ウォッシャチューブTBの長手方向基端部は、車両10のエンジンルーム内等に設置されたウォッシャ装置(図示せず)に接続されている。このウォッシャ装置は、ウォッシャ液Wを貯留するウォッシャタンクと、当該ウォッシャタンクに装着されたウォッシャポンプとから構成されている。そして、車室内に設けられたウォッシャスイッチ(図示せず)を操作することで、ウォッシャポンプが作動する。これにより、ウォッシャタンク内のウォッシャ液Wが、ウォッシャチューブTBに送出され、その後、ウォッシャノズル160からフロントウィンドシールド11に向けて勢い良く噴射される(
図9参照)。なお、ウォッシャノズル160の構造については、後で詳述する。
【0046】
さらに、アームピース150におけるピース固定部144とウォッシャノズル160との間には、略隙間無くカバー部材170が装着されている。これにより、
図2に示されるように、ピース固定部144とウォッシャノズル160との間のアームピース150が外部に露出されるのを防止して、DR側ワイパアーム120全体の見栄えを良くしている。
【0047】
ここで、カバー部材170は、鋼材よりなるアームピース150に確りと固定されている。これにより、カバー部材170は、アームピース150に対してがたつくことが無い。また、
図2に示されるように、カバー部材170は、ピース固定部144とアームピース150との間の段差部分およびウォッシャノズル160とアームピース150との間の段差部分を埋めるようにして設けられている。これにより、DR側ワイパアーム120の表側を滑らかな(平坦な)形状として、DR側ワイパアーム120のデザイン性を向上させている。また、カバー部材170によって「段差」を無くすようにしているため、走行風が当たることに起因した払拭性能の低下が効果的に抑制される。
【0048】
さらに、
図3に示されるように、カバー部材170は、アームピース150の長手方向一部の周囲に加えて、ウォッシャチューブTBの長手方向一部の周囲も覆っている。これにより、ウォッシャチューブTBのカバー部材170で覆われた部分が弛んだり、カバー部材170の外部に露出されたりすることが防止される。これによっても、DR側ワイパアーム120全体の見栄えを良くしている。
【0049】
次に、カバー部材170の構造について、図面を用いて詳細に説明する。
図4および
図5に示されるように、カバー部材170は、第1カバー体171および第2カバー体172を備えており、これらを組み立てて形成されている。
【0050】
図4に示されるように、第1カバー体171は、溶融されたプラスチック材料等を射出成形することで、アームピース150の形状に沿うように略真っ直ぐに延びた長尺に形成されている。このように、第1カバー体171は樹脂製となっており、デザイン性に優れ、かつ軽量化が図られている。
【0051】
第1カバー体171は、その長手方向と交差する方向(短手方向)に沿う断面形状が略U字形状に形成されている。具体的には、第1カバー体171は、DR側ワイパアーム120の表側(
図2参照)に配置された天壁部171aと、当該天壁部171aの短手方向両側から、フロントウィンドシールド11(
図1参照)に向けて突出された一対の側壁部171bと、を備えている。
【0052】
また、第1カバー体171の長手方向先端側(
図4(a)中左側および
図4(b)中右側)の幅寸法は、第1カバー体171の長手方向基端側(
図4(a)中右側および
図4(b)中左側)の幅寸法よりも大きくなっている。これは、
図3に示されるように、ウォッシャノズル160の幅寸法の方が、ピース固定部144の幅寸法よりも大きいためである。
【0053】
そして、
図4(b)に示されるように、幅広となった第1カバー体171の長手方向先端側の内側には、当該部分の強度低下を補うために、一対の側壁部171bの間に跨がるようにして補強リブRBが設けられている。これにより、第1カバー体171の幅広部分の強度が、第1カバー体171の他の部分と略同等の強度に高められている。
【0054】
さらに、第1カバー体171の内側で、かつ一対の側壁部171bの部分には、合計6つの被係合部E1~E6が一体に設けられている。これらの被係合部E1~E6のうちの被係合部E1~E3(3つ)は、一方の側壁部171bの先端寄りの部分(天壁部171aから離れた部分)に設けられ、かつ第1カバー体171の長手方向に等間隔で並んで配置されている。これに対し、他の被係合部E4~E6(他の3つ)は、他方の側壁部171bの先端寄りの部分に設けられ、かつ第1カバー体171の長手方向に等間隔で並んで配置されている。そして、第1カバー体171の幅方向に対して、被係合部E1と被係合部E4とが対向し、被係合部E2と被係合部E5とが対向し、被係合部E3と被係合部E6とが対向している。
【0055】
被係合部E1~E6は、それぞれ同じ形状に形成されている。具体的には、天壁部171aの短手方向に所定の高さで突出され、かつ第1カバー体171の長手方向に延在されている。また、被係合部E1~E6には、一対の側壁部171bの突出方向に開口された挿入開口S1~S6がそれぞれ設けられている。そして、これらの挿入開口S1~S6には、カバー部材170を組み立てる際に、第2カバー体172(
図5参照)に設けられた合計6つの係合部G1~G6がそれぞれ挿入されるようになっている。すなわち、被係合部E1~E6は、第1カバー体171に第2カバー体172を固定する機能を有し、合計6つの被係合部E1~E6を設けることで、第2カバー体172を、第1カバー体171に対して、がたつくこと無く固定可能としている。
【0056】
なお、
図6に示されるように、第1カバー体171の内側には、アームピース150やウォッシャチューブTBが挿入されるが、その際に被係合部E1~E6が邪魔になる虞がある。よって、天壁部171aの短手方向に対する被係合部E1~E6の突出高さは、当該被係合部E1~E6に必要とされる剛性等に応じて最小限に抑えられている。また、被係合部E1~E6における第1カバー体171の開口側(
図6中下側)には、それぞれテーパ面TPが設けられている。これにより、第1カバー体171の内側へのアームピース150やウォッシャチューブTBの挿入作業を、容易に行えるようにしている。
【0057】
さらに、被係合部E1~E6には、
図6および
図7に示されるように、天壁部171aに向けられた引っ掛け面T1~T6が設けられている。そして、これらの引っ掛け面T1~T6には、第2カバー体172に設けられた係合部G1~G6を形成する引っ掛け爪Nが引っ掛けられるようになっている。これにより、第2カバー体172を、第1カバー体171に対してがたつくこと無く強固に固定することができる。
【0058】
また、第1カバー体171の内側で、かつ一対の側壁部171bの部分には、合計6つの保持突起H1~H6が一体に設けられている。これらの保持突起H1~H6のうちの保持突起H1~H3(3つ)は、一方の側壁部171bの基端寄りの部分(天壁部171aに近い部分)に設けられ、かつ第1カバー体171の長手方向に所定間隔で並んで配置されている。これに対し、他の保持突起H4~H6(他の3つ)は、他方の側壁部171bの基端寄りの部分に設けられ、かつ第1カバー体171の長手方向に所定間隔で並んで配置されている。そして、第1カバー体171の幅方向に対して、保持突起H1と保持突起H4とが対向し、保持突起H2と保持突起H5とが対向し、保持突起H3と保持突起H6とが対向している。
【0059】
これらの保持突起H1~H6は、
図6に示されるように、アームピース150を天壁部171aの内側に当接させた状態で、当該アームピース150を抱え込むようにして保持している。言い換えれば、これらの保持突起H1~H6は、第1カバー体171(カバー部材170)を、アームピース150に対してがたつかないように固定する機能を備えている。
【0060】
なお、保持突起H1~H6のうちの2つの保持突起H1,H4は、それぞれ同じ形状に形成されているが、他の4つの保持突起H2,H3,H5,H6とは若干異なる形状に形成されている。一対の保持突起H1,H4は、天壁部171aの短手方向に所定の高さで突出され、かつ第1カバー体171の長手方向基端部寄りに配置されている。これにより、第1カバー体171の長手方向基端部が、アームピース150に対してがたつくことを確実に防止している。
【0061】
他の4つの保持突起H2,H3,H5,H6は、それぞれ同じ形状に形成されており、いずれも天壁部171aの短手方向に所定の高さで突出されている。そして、4つの保持突起H2,H3,H5,H6のうちの一対の保持突起H2,H5は、一対の被係合部E1,E4に対応した部分に配置されている。また、4つの保持突起H2,H3,H5,H6のうちの一対の保持突起H3,H6は、一対の被係合部E3,E6に対応した部分に配置されている。
【0062】
具体的には、
図7に示されるように、一対の保持突起H2,H5については、第1カバー体171を一対の側壁部171bの突出方向(
図7の上下方向)から見たときに、一対の被係合部E1,E4と重なる位置にそれぞれ配置されている。また、一対の保持突起H3,H6については、第1カバー体171を一対の側壁部171bの突出方向から見たときに、一対の被係合部E3,E6と重なる位置にそれぞれ配置されている。なお、
図7においては、一方の側壁部171bに設けられた保持突起H2,H3および被係合部E1~E3のみが示されている。
【0063】
これにより、
図8(a)の[本発明]に示されるように、第1カバー体171を成形する第1スライド金型D1および第2スライド金型D2との相対移動距離L1を、比較的短い距離にすることができる。よって、第1カバー体171の大型化を招くこと無く、第1カバー体171を製造するための製造エネルギーを省力化することが可能となる。ただし、第1スライド金型D1および第2スライド金型D2の双方をスライド自在にしなくとも、第1,第2スライド金型D1,D2のうちのいずれか一方を「固定金型」としても良い。
【0064】
これに対し、4つの保持突起H2,H3,H5,H6と、4つの被係合部E1,E3,E4,E6とを、第1カバー体171を一対の側壁部171bの突出方向から見たときに、それぞれ重ならない位置にそれぞれ配置した場合には、
図8(b)の[比較例]に示されるようになる。つまり、第1スライド金型D1および第2スライド金型D2との相対移動距離L2が、相対移動距離L1よりも長い距離になる(L2>L1)。よって、
図8(b)の[比較例]においては、第1カバー体171の小型化および第1カバー体171を製造するための製造エネルギーの省力化が、
図8(a)の[本発明]に比して困難になる。
【0065】
また、合計6つの保持突起H1~H6には、アームピース150を支持する支持面F1~F6がそれぞれ設けられており、これらの支持面F1~F6は、天壁部171aに向けられている。ただし、一対の保持突起H1,H4の支持面F1,F4においては、
図4(b)に示されている。また、他の4つの保持突起H2,H3,H5,H6の支持面F2,F3,F5,F6においては、
図6および
図7に示されている。これにより、アームピース150は、その板厚方向から、天壁部171aと、それぞれの支持面F1~F6と、によって挟持される。よって、第1カバー体171は、アームピース150に対して、がたつくこと無く強固に固定される。
【0066】
なお、第1カバー体171をアームピース150に装着するには、
図4(b)の破線矢印に示されるように、第1カバー体171の一対の側壁部171bを互いに離間するように押し広げる必要がある。この場合、一対の側壁部171bの先端側、つまり被係合部E1~E6が配置される側は、天壁部171aから離れているため、第1カバー体171を破損すること無く比較的容易に押し広げることができる。したがって、第1カバー体171の内側でかつ天壁部171aの部分、つまり第1カバー体171の最も深い部分(規定位置)に、容易にアームピース150を配置することができる。
【0067】
さらに、合計6つの保持突起H1~H6には、第1カバー体171のアームピース150への装着を案内する円弧面C1~C6がそれぞれ設けられている。ただし、一対の保持突起H1,H4の円弧面C1,C4においては、
図4(b)に示されている。また、他の4つの保持突起H2,H3,H5,H6の円弧面C2,C3,C5,C6においては、
図6および
図7に示されている。これにより、第1カバー体171をアームピース150に装着する際に、アームピース150はそれぞれの保持突起H1~H6を容易に乗り越えることができる。このように、それぞれの円弧面C1~C6は、第1カバー体171のアームピース150への組み付け性を向上させる役割を果たしている。
【0068】
さらに、
図6および
図7に示されるように、4つの保持突起H2,H3,H5,H6の円弧面C2,C3,C5,C6が設けられた部分には、カバー部材170を組み立てた状態において、第2カバー体172の引っ掛け爪Nを避ける窪み部P2,P3,P5,P6が、それぞれ設けられている。これにより、4つの保持突起H2,H3,H5,H6に対して、引っ掛け爪Nが干渉するのを防止して、カバー部材170の組み立て性を向上させている。なお、
図7においては、窪み部P2,P3のみが示されている。
【0069】
また、
図4に示されるように、第1カバー体171の長手方向先端部(
図4(a)中左側および
図4(b)中右側)には、第1凸部171cおよび第2凸部171dが一体に設けられている。これらの第1凸部171cおよび第2凸部171dは、それぞれ同じ方向に突出されており、具体的には、アームピース150の長手方向先端側(
図15参照)に突出されている。
【0070】
第1凸部171cは、第1カバー体171の幅方向に沿う天壁部171aの略中央部に配置され、略平板状に形成されている。これに対し、第2凸部171dは、第1カバー体171の幅方向に沿う一方の側壁部171b(
図4中上側の側壁部171b)寄りに配置され、略J字形状に形成されている。なお、第2凸部171dの近傍には、
図4(a)に示されるように、第1カバー体171の長手方向に窪んだ肉盗み部171eが形成されている。これにより、第2凸部171dの近傍の肉厚を薄くして、第2凸部171dの成形精度を向上させている。
【0071】
そして、第1凸部171cは、ウォッシャノズル160のノズル体161に設けられた第1凹部162a(
図9(b)参照)に入り込むようになっている。また、第2凸部171dは、ウォッシャノズル160のノズル体161に設けられた第3凹部163c(
図9(b)参照)に入り込むようになっている。これにより、
図2に示されるように、第1カバー体171(カバー部材170)とノズル体161(ウォッシャノズル160)とを、段差無く確りと連結できるようになっている。ここで、第1カバー体171とノズル体161とが、互いに凹凸係合により確りと連結されるため、仮に、長期使用による経時変化があったとしても、両者のがたつきが効果的に抑えられる。
【0072】
なお、第1凹部162aには、第1凸部171cとともにアームピース150に設けられた円柱突起152(
図11および
図12参照)も入り込むようになっている。これにより、ウォッシャノズル160がアームピース150に対して正規の位置に位置決めされ、かつカバー部材170がウォッシャノズル160に対して正規の位置に位置決めされる。なお、アームピース150の長手方向に沿う第1凹部162aの底側に円柱突起152が配置され、アームピース150の長手方向に沿う第1凹部162aの開口側に第1凸部171cが配置されるようになっている(
図12参照)。
【0073】
また、ウォッシャノズル160は、固定ねじS(
図3参照)によりアームピース150に強固に固定され、当該ウォッシャノズル160に対してカバー部材170が確りと連結されるため、これによっても、カバー部材170は、アームピース150に対してがたつくこと無く強固に固定される。
【0074】
図5に示されるように、第2カバー体172は、溶融されたプラスチック材料等を射出成形することで、アームピース150の形状に沿うように真っ直ぐに延びた板状に形成されている。このように、第2カバー体172においても、第1カバー体171と同様に樹脂製となっており、デザイン性に優れ、かつ軽量化が図られている。
【0075】
なお、
図3に示されるように、第2カバー体172の長さ寸法は、第1カバー体171の長さ寸法に比して、略半分の長さ寸法に設定されている。これにより、ウォッシャチューブTBが弛んでカバー部材170の外部に露出されるのを防止しつつ、カバー部材170全体の重量が嵩むのを抑制している。
【0076】
第2カバー体172は、略長方形形状に形成された平板本体部172aを備えており、この平板本体部172aは、第1カバー体171の天壁部171aに対して対向配置されている。そして、平板本体部172aの表面172b(
図3参照)には、何も形成されておらず、平板本体部172aの裏面172cには、合計6つの係合部G1~G6が一体に設けられている。また、平板本体部172aの裏面172cには、合計4つの突出壁部K1~K4が一体に設けられている。そして、これらの係合部G1~G6および突出壁部K1~K4は、カバー部材170を組み立てた状態において、いずれも裏面172cから天壁部171a(
図7参照)に向かって突出されている。
【0077】
また、合計6つの係合部G1~G6のうちの係合部G1~G3(3つ)は、一方の長辺部172d寄りの部分に設けられ、かつ第2カバー体172の長手方向に等間隔で並んで配置されている。これに対し、他の係合部G4~G6(他の3つ)は、他方の長辺部172d寄りの部分に設けられ、かつ第2カバー体172の長手方向に等間隔で並んで配置されている。そして、第2カバー体172の幅方向に対して、係合部G1と係合部G4とが対向し、係合部G2と係合部G5とが対向し、係合部G3と係合部G6とが対向している。
【0078】
係合部G1~G6は、それぞれ同じ形状に形成されている。具体的には、係合部G1~G6は、それぞれ2つの(一対の)引っ掛け爪Nを備えており、これらの引っ掛け爪Nは、第2カバー体172の長手方向に互いに背を向けるようにして配置されている。つまり、2つの引っ掛け爪Nの突出方向は、第2カバー体172の長手方向に対して互いに逆向きとなっている。そして、係合部G1~G6を形成するそれぞれの引っ掛け爪Nは、
図6および
図7に示されるように、被係合部E1~E6を形成する引っ掛け面T1~T6にそれぞれ引っ掛けられるようになっている。このように、1つの被係合部E1~E6に対して、2つの引っ掛け爪Nがそれぞれ引っ掛けられるようになっている。
【0079】
また、2つの引っ掛け爪Nは、それぞれ比較的小さな外力の付加により弾性変形可能となっており、かつ2つの引っ掛け爪Nはそれぞれ第2カバー体172の長手方向に所定間隔で並んで配置されている。これにより、2つの引っ掛け爪Nは、被係合部E1~E6の引っ掛け面T1~T6にそれぞれ引っ掛ける際(カバー部材170を組み立てる際)に、被係合部E1~E6の挿入開口S1~S6(
図4(b)参照)に対して、挿入かつ通過可能となっている。
【0080】
このように、第2カバー体172の係合部G1~G6は、第1カバー体171の被係合部E1~E6と協働して、第1カバー体171に第2カバー体172を固定する機能を備えている。つまり、第2カバー体172は、第1カバー体171を形成する一対の側壁部171bに装着されるようになっている。そして、第1カバー体171および第2カバー体172を、互いに6箇所で固定するため、第2カバー体172を、第1カバー体171に対して、がたつくこと無く固定することができ、かつ第1カバー体171の開口側の部分(第2カバー体172が装着される部分)の捻れや歪みを抑えることができる。これによっても、カバー部材170のアームピース150に対するがたつきが確実に防止される。
【0081】
さらには、
図6に示されるように、第2カバー体172の平板本体部172aは、第1カバー体171の一対の側壁部171bに嵌まるようにして、第1カバー体171の内側に完全に入り込んでいる。これによっても、カバー部材170の捻れや歪みがより確実に抑えられており、これに加えて、カバー部材170の見栄えを良好にしている。
【0082】
また、
図5に示されるように、突出壁部K1~K4は、それぞれ同じ形状に形成されている。具体的には、突出壁部K1~K4は、それぞれ略長方形の板状に形成されており、一対の長辺部172dに沿うようにして設けられている。そして、合計4つの突出壁部K1~K4のうちの突出壁部K1,K2(2つ)は、一方の長辺部172dに対応して設けられ、突出壁部K1は係合部G1と係合部G2との間に配置され、突出壁部K2は係合部G2と係合部G3との間に配置されている。これに対し、他の突出壁部K3,K4(他の2つ)は、他方の長辺部172dに対応して設けられ、突出壁部K3は係合部G4と係合部G5との間に配置され、突出壁部K4は係合部G5と係合部G6との間に配置されている。なお、第2カバー体172の幅方向に対して、突出壁部K1と突出壁部K3とが対向し、突出壁部K2と突出壁部K4とが対向している。
【0083】
これらの突出壁部K1~K4は、カバー部材170を組み立てた状態において、
図7に示されるように、第1カバー体171の内側に収容される。そして、突出壁部K1~K4は、第1カバー体171を形成する一対の側壁部171bの内側に入り込み、かつ一対の側壁部171bに接触するようになっている。すなわち、突出壁部K1~K4は、それぞれ一対の側壁部171bに対して平行に延びている。
【0084】
これにより、第1カバー体171に対する第2カバー体172の位置決めが確実になされて、カバー部材170の組み立て作業、つまり被係合部E1~E6と係合部G1~G6との係合作業を容易に行うことができる。また、突出壁部K1~K4は、第2カバー体172の他の部分に比して肉厚に形成されている。そのため、カバー部材170の捻れや歪みをより確実に抑えることができる。したがって、柔軟性を有しかつ弾性変形可能な係合部G1~G6に対して、無理な負荷が掛かることが抑えられる。よって、第2カバー体172が第1カバー体171から外れてしまうようなことが、確実に防止される。
【0085】
図9に示されるように、ウォッシャノズル160はノズル体161を備えている。ノズル体161は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することで所定形状に形成されている。具体的には、ノズル体161は、第1壁部162,第2壁部163および第3壁部164を備えている。そして、第1壁部162および第3壁部164は、互いに略直角となるようにその基端部が接続されており、第2壁部163の基端部は、第1壁部162と第3壁部164との間に接続されている。
【0086】
第1壁部162と第2壁部163との間には、アームピース150が装着されるアームピース装着溝165が形成されている。このアームピース装着溝165の深さ寸法DPは、アームピース150の幅寸法WL(
図10参照)よりも大きくなっている(DP>WL)。一方、アームピース装着溝165の幅寸法WPは、アームピース150の厚み寸法TN(
図10参照)よりも若干小さくなっている(WP<TN)。これにより、アームピース150は、アームピース装着溝165に対して、はみ出たりがたついたりすること無く強固に固定される。
【0087】
また、第1壁部162の第2壁部163側で、かつノズル体161のカバー部材170側(
図9(b)中右側)には、第1カバー体171に設けられた第1凸部171c(
図4参照)が入り込んで係合される第1凹部162aが設けられている。この第1凹部162aは、アームピース150の長手方向に窪んで設けられている。そして、第1凹部162aには、第1カバー体171の第1凸部171cが、がたつくこと無く装着(係合)されるようになっている。
【0088】
さらに、第1壁部162の第2壁部163側で、かつノズル体161のU字状フック151側(
図12中左側)には、ウォッシャノズル160をアームピース150に固定するための固定ねじS(
図3および
図11参照)の「逃げ」となる第2凹部162bが設けられている。これにより、例えば、固定ねじSを締め付け過ぎた場合でも、当該固定ねじSと第1壁部162とが干渉することが無く、第1壁部162が損傷するのを未然に防ぐことができる。
【0089】
また、第2壁部163には、略平板状に形成された平板部163aが一体に設けられ、この平板部163aのU字状フック151側(
図9(a)中左側)には、ねじ孔163bが設けられている。ねじ孔163bは、平板部163aの板厚方向に貫通しており、当該ねじ孔163bには、固定ねじS(
図3および
図11参照)が挿通されるようになっている。すなわち、平板部163aは、アームピース150に対して固定ねじSにより固定されるようになっており、当該平板部163aのねじ孔163bと、第1壁部162の第2凹部162bとは、互いに対向配置されている。なお、ウォッシャノズル160のアームピース150への固定手順については、後で詳述する。
【0090】
さらに、第2壁部163のカバー部材170側は、第1壁部162および第3壁部164に対して、アームピース150の長手方向に窪んでおり、これにより、第1壁部162と第3壁部164との間に内壁IWが形成されている。そして、この内壁IWの内側には、閉塞部材166の蓋部166aが所定の隙間を介して入り込んでいる。ここで、内壁IWと蓋部166aとの間には、略J字形状に形成された第3凹部163cが形成されている。すなわち、第3凹部163cの内側に蓋部166aが設けられている。また、言い換えれば、蓋部166aの周囲に沿うようにして第3凹部163cが配置されている。そして、第3凹部163cには、第1カバー体171の第2凸部171d(
図4参照)が、略隙間無くがたつかないように入り込むよう(係合するよう)になっている。
【0091】
なお、第1凹部162aおよび第3凹部163cは、それぞれ同じ方向(アームピース150の長手方向)に窪んで設けられている。具体的には、第1凹部162aおよび第3凹部163cは、アームピース150の長手方向先端側(
図12中左側)に向けて窪んでいる。
【0092】
図9に示されるように、第2壁部163のカバー部材170側(アームピース150の長手方向一側)には、上流側開口部(開口部)163dが設けられている。この上流側開口部163dは、閉塞部材166によって密閉されている。なお、閉塞部材166は、ノズル体161と同様にプラスチック等の樹脂材料を射出成形することで所定形状に形成され、ノズル体161に対して、超音波溶着等の接着手段により固定されている。
【0093】
図9に示されるように、閉塞部材166は、細長い略棒状の蓋部166aと、当該蓋部166aに一体に設けられたジョイント部166bと、を備えている。蓋部166aは、上流側開口部163dを液密状態で密閉しており、これにより、ウォッシャ液Wのノズル体161の外部への漏洩が防止される。そして、蓋部166aの周囲に、第3凹部163cが配置されており、当該第3凹部163cに第2凸部171dが入り込んで係合することで、蓋部166aの周囲に第2凸部171dが配置されるようになっている。
【0094】
また、ジョイント部166bは、中空の円筒状に形成され、かつ蓋部166aに対して直交方向に延在されている。そして、ジョイント部166bの長手方向先端部(
図9(a)中右側)には、ウォッシャチューブTBの長手方向先端部が接続されるようになっている(
図12参照)。なお、ジョイント部166bの長手方向先端部には、ウォッシャチューブTBの抜け止めとして機能する環状の抜け止め凸部166cが一体に設けられている。
【0095】
図9に示されるように、第3壁部164のフロントウィンドシールド11寄り(図中下方)の部分には、アームピース150の長手方向に開口された一対の第1下流側開口部164aおよび第2下流側開口部164bが設けられている。そして、第1下流側開口部164aには、ウォッシャ液Wを噴射する第1噴射孔IAが設けられた略球状の第1ノズル体NZ1が装着されている。また、第2下流側開口部164bには、ウォッシャ液Wを噴射する第2噴射孔IBが設けられた略球状の第2ノズル体NZ2が装着されている。
【0096】
また、第3壁部164のさらにフロントウィンドシールド11寄りの部分には、アームピース150の短手方向に開口された1つの第3下流側開口部164cが設けられている。この第3下流側開口部164cには、3つの第3噴射孔IC,第4噴射孔IDおよび第5噴射孔IEが設けられ、かつ略箱形状に形成された第3ノズル体NZ3が装着されている。
【0097】
ここで、第1,第2ノズル体NZ1,NZ2は、第3壁部164に対して回動自在に装着されている。これにより、第1,第2噴射孔IA,IBから噴射されるウォッシャ液Wのフロントウィンドシールド11に対する噴射位置を、調整することができる。これに対し、第3ノズル体NZ3の第3,第4,第5噴射孔IC,ID,IEにおいては、その噴射位置は調整不可となっている。ただし、必要とされる仕様に応じて、第3ノズル体NZ3に替えて、第1,第2ノズル体NZ1,NZ2と同様に、噴射位置を調整し得る略球状のノズル体を用いても良い。
【0098】
第1,第2,第3ノズル体NZ1,NZ2,NZ3は、比較的大きな力で押圧することにより、第1,第2,第3下流側開口部164a,164b,164cに対して、それぞれ嵌め込まれるようにして装着されている。そして、第3ノズル体NZ3においては、さらにノズル体161に対して、閉塞部材166と同様に超音波溶着等の接着手段により固定されている。
【0099】
これにより、ウォッシャスイッチを操作してウォッシャポンプを作動させることで、ウォッシャ液Wは、
図9の破線矢印で示されるように、ウォッシャチューブTBおよびノズル体161の内部に形成された流路(図示せず)を流れて、合計5つの第1,第2,第3,第4,第5噴射孔IA,IB,IC,ID,IEからそれぞれ噴射される。
【0100】
次に、以上のように形成されるDR側ワイパアーム120の組み立て方法(組み立て手順)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0101】
図10は第1カバー体および第2カバー体のアームシャンクへの組み付け手順を説明する図を、
図11はウォッシャノズルのアームシャンクへの組み付け手順を説明する図を、
図12はウォッシャノズルと第1カバー体との組み付け手順を説明する図をそれぞれ示している。
【0102】
まず、アームヘッド130(
図2参照),アームシャンク140およびアームピース150を、それぞれ組み立てて連結させる。このとき、アームヘッド130の保持溝132およびアームシャンク140の内側に、ウォッシャチューブTBを配策するとともに、アームシャンク140の内側に引っ張りばねSPをセットしておく(
図3参照)。
【0103】
[第1工程]
図10に示されるように、別の製造工程を経て製造された第1カバー体171および第2カバー体172を準備する。その後、矢印M1に示されるように、第1カバー体171をアームピース150の厚み方向(図中上方向)から臨ませる。次いで、第1カバー体171の一対の側壁部171bを、互いに離間するように押し広げる(
図4(b)の破線矢印参照)。そして、当該状態において、第1カバー体171の天壁部171aを、矢印M1の方向に所定圧で押圧し、第1カバー体171をアームピース150に装着する。このとき、第1カバー体171の長手方向基端側(
図10中右側)を、アームシャンク140のピース固定部144に突き当てるようにする。
【0104】
このように、一対の側壁部171bを互いに押し広げるため、アームピース150は、被係合部E1~E6のテーパ面TPの部分(
図4(b)参照)を容易に乗り越えることができる。さらには、保持突起H1~H6には円弧面C1~C6(
図4(b)および
図6参照)がそれぞれ設けられているため、アームピース150は、保持突起H1~H6も容易に乗り越えることができる。よって、一対の側壁部171bを互いに押し広げつつ、天壁部171aを矢印M1の方向に所定圧で押圧することで、アームピース150を、天壁部171aと、保持突起H2,H3,H5,H6の支持面F2,F3,F5,F6との間、つまり正規の位置に、容易に固定することができる。
【0105】
引き続き、矢印M2に示されるように、第2カバー体172を、アームピース150に装着された第1カバー体171に臨ませる。具体的には、第2カバー体172をアームピース150の厚み方向(図中下方向)から臨ませる。このとき、第2カバー体172の突出壁部K1~K4を、それぞれ第1カバー体171の一対の側壁部171bの内側に挿入するようにし(
図6参照)、かつ、第2カバー体172の係合部G1~G6を、第1カバー体171の被係合部E1~E6(
図4(b)参照)にそれぞれ突き合わせるようにする。
【0106】
その後、第2カバー体172の平板本体部172aを、矢印M2の方向に所定圧で押圧し、第2カバー体172を第1カバー体171に装着する。このとき、係合部G1~G6の引っ掛け爪N(
図5参照)を、被係合部E1~E6の引っ掛け面T1~T6(
図6および
図7参照)に、それぞれ確りと引っ掛けるようにする。これにより、
図11に示されるように、アームピース150の短手方向から当該アームピース150に第1カバー体171および第2カバー体172(カバー部材170)が装着されて、第1工程が終了する。
【0107】
[第2工程]
次に、別の組み立て工程を経て組み立てられたウォッシャノズル160を準備する。そして、
図11の矢印M3に示されるように、ウォッシャノズル160を、アームピース150の幅方向(図中左方向)から、アームピース150の側方に臨ませる。このとき、アームピース150の長手方向に沿うU字状フック151寄りの部分において、アームピース装着溝165の開口側を、アームピース150に対向させる。これにより、アームピース装着溝165の内部にアームピース150が収容される。よって、ウォッシャノズル160が、アームピース150の短手方向から当該アームピース150に装着されて、第2工程が終了する。
【0108】
[第3工程]
次いで、
図11および
図12の矢印M4に示されるように、アームピース150に仮装着されたウォッシャノズル160を、アームピース150の長手方向にスライド(移動)させて、カバー部材170(第1カバー体171)に近接させる。そして、
図12の破線矢印(1)に示されるように、ウォッシャチューブTBの長手方向先端部に、ウォッシャノズル160におけるジョイント部166bの長手方向先端部を挿入する。これにより、ウォッシャノズル160とウォッシャチューブTBとが接続され、かつ抜け止め凸部166cによりウォッシャチューブTBの抜け止めがなされる。
【0109】
その後、矢印M4に示されるように、アームピース150に仮装着されたウォッシャノズル160を、アームピース150の長手方向にさらにスライドさせて、ウォッシャノズル160とカバー部材170とを連結させる。より具体的には、アームピース150に設けられた円柱突起152と、第1カバー体171に設けられた第1凸部171cとを、破線矢印(2)に示されるように、その順番でノズル体161に設けられた第1凹部162aに装着する。また、これと略同時に、破線矢印(3)に示されるように、第1カバー体171の第2凸部171dを、ノズル体161に設けられた第3凹部163cに装着する。
【0110】
これにより、ウォッシャノズル160が、円柱突起152によりアームピース150の正規の位置に位置決めされ、かつ第1カバー体171(カバー部材170)が、ウォッシャノズル160との凹凸係合によりアームピース150の正規の位置に位置決めされて、第3工程が終了する。
【0111】
[第4工程]
その後、
図11に示されるように、固定ねじSを準備するとともに、矢印M5に示されるように、ウォッシャノズル160をアームピース150に対してねじ止めする。ここで、アームピース150の円柱突起152の近傍で、かつアームピース150の長手方向に沿うU字状フック151側には、アームピース150の厚み方向に貫通した雌ねじ部153が設けられており、この雌ねじ部153に固定ねじSがねじ結合されるようになっている。
【0112】
ここで、ウォッシャノズル160をアームピース150にねじ止めするには、まず、固定ねじSを、ノズル体161のねじ孔163bに挿通する。そして、固定ねじSを雌ねじ部153にねじ結合することで、ウォッシャノズル160がアームピース150に対して強固に固定される。このとき、アームピース150の円柱突起152が、ノズル体161の第1凹部162a(
図12参照)の奥に位置決めされているため、ノズル体161のねじ孔163bとアームピース150の雌ねじ部153とは、互いの位置が整合された状態となっている。よって、固定ねじSのねじ止め作業を容易に行うことができる(組み立て性向上)。
【0113】
このようにして、DR側ワイパアーム120の組み立て作業が終了し、第4工程が完了する。
【0114】
次に、AS側ワイパアーム220(変形例)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述したDR側ワイパアーム120と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0115】
図13は、AS側ワイパアーム(変形例)のウォッシャノズルの部分を裏側から見た斜視図を示している。
【0116】
図13に示されるように、AS側ワイパアーム220においては、車両10(
図1参照)に対するレイアウトの相違等から、上述したDR側ワイパアーム120に比して、アームピース150の形状が異なっている。具体的には、DR側ワイパアーム120のアームピース150は、略真っ直ぐに延びていたが(
図3参照)、AS側ワイパアーム220のアームピース150は、大きく屈曲した形状となっている。
【0117】
これにより、AS側ワイパアーム220のカバー部材170を構成する第1カバー体171の長手方向基端側(図中左側)の部分に、屈曲部CVが形成されている。また、当該屈曲部CVの近傍で、かつフロントウィンドシールド11側の部分には、第2ウォッシャノズル230が設けられている。具体的には、当該第2ウォッシャノズル230は、AS側ワイパアーム220に沿うようにして配策されるウォッシャチューブTBの途中に組み込まれている。
【0118】
第2ウォッシャノズル230は、略箱形状に形成されたノズルケース231を備えている。そして、ノズルケース231はアームピース150に固定されており、かつ第1カバー体171の長手方向基端部と、アームシャンク140のピース固定部144との間に挟まれるようにして配置されている。これにより、固定ねじ等を用いること無く、アームピース150に固定可能となっている。
【0119】
ノズルケース231には、第6噴射孔IFと第7噴射孔IG(合計2つ)とが設けられている。これにより、
図13の破線矢印に示されるように、フロントウィンドシールド11上で、かつ屈曲部CVの近傍に、ウォッシャ液Wを噴射することができる。なお、ノズルケース231の内部には、両端にウォッシャチューブTBが接続される主流路(図示せず)と、当該主流路から分岐して第6,第7噴射孔IF,IGに向けて延びる一対の分岐流路(図示せず)が設けられている。
【0120】
なお、
図13に示される範囲において、ウォッシャノズル160および第2カバー体172においては、DR側ワイパアーム120と同じものを用いている。すなわち、DR側とAS側とで部品の共通化が図られている。このように、AS側ワイパアーム220においては、合計7箇所の噴射孔IA,IB,IC,ID,IE,IF,IG(
図9および
図13参照)から、ウォッシャ液Wが噴射するようになっている。
【0121】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、DR側ワイパアーム120を、アームヘッド130とアームシャンク140とアームピース150とで構成したので、DR側ワイパアーム120の長手方向に対するアームシャンク140が占める割合を小さくすることができる。つまり、アームピース150を設けたので、アームシャンク140を短くすることができる。これにより、DR側ワイパアーム120全体を小型軽量化することができ、かつ払拭性を高めることができる。また、アームピース150の部分にカバー部材170を装着したので、当該部分に配置されるウォッシャチューブTBを隠すことができる。よって、DR側ワイパアーム120のデザイン性を向上させることができる。
【0122】
また、本実施の形態によれば、第1カバー体171および第2カバー体172は樹脂製であって、一対の側壁部171bには、天壁部171aの短手方向に突出し、かつ一対の側壁部171bの突出方向に開口した挿入開口S1~S6を有する被係合部E1~E6が設けられ、第2カバー体172には、天壁部171aに向かって突出し、かつ挿入開口S1~S6に挿入されて被係合部E1~E6に引っ掛けられる引っ掛け爪Nを有する係合部G1~G6が設けられている。
【0123】
これにより、カバー部材170のデザイン性を向上させることができ、かつ軽量化を図ることができる。また、軽量化を図った第2カバー体172を、軽量化を図った第1カバー体171に対して、がたつくこと無く強固に固定することができる。よって、DR側ワイパアーム120が発生する騒音を低減して、ハイブリッド車両や電気自動車等に対して十分に適用することが可能となる。
【0124】
また、本実施の形態によれば、1つの被係合部E1~E6に対して2つの引っ掛け爪Nが設けられ、2つの引っ掛け爪Nは、第2カバー体172の長手方向に所定間隔で並んで配置され、2つの引っ掛け爪Nが、被係合部E1~E6の天壁部171aに向けられた引っ掛け面T1~T6に引っ掛けられている。
【0125】
これにより、第2カバー体172を、第1カバー体171に対してがたつくこと無く強固に固定することができ、第2カバー体172の第1カバー体171からの脱落を長期に亘って抑制することができる。
【0126】
さらに、本実施の形態によれば、一対の側壁部171bには、天壁部171aの短手方向に突出し、かつ第1カバー体171を一対の側壁部171bの突出方向から見たときに、被係合部E1,E3,E4,E6と重なる位置に配置される保持突起H2,H3,H5,H6が設けられ、これらの保持突起H2,H3,H5,H6の天壁部171aに向けられた支持面F2,F3,F5,F6に、アームピース150が支持されている。
【0127】
これにより、アームピース150は、その板厚方向から、天壁部171aと、それぞれの支持面F2,F3,F5,F6によって挟持される。よって、第1カバー体171を、アームピース150に対して、がたつくこと無く強固に固定することができる。
【0128】
また、本実施の形態によれば、第2カバー体172には、天壁部171aに向かって突出し、かつ一対の側壁部171bに対して平行に延び、一対の側壁部171bの内側に入り込む突出壁部K1~K4が設けられている。
【0129】
これにより、第1カバー体171に対する第2カバー体172の位置決めを確実に行うことができ、カバー部材170の組み立て作業、つまり被係合部E1~E6と係合部G1~G6との係合作業を容易に行うことが可能となる。また、カバー部材170の捻れや歪みをより確実に抑えることが可能となり、ひいては柔軟性を有しかつ弾性変形可能な係合部G1~G6に対して、無理な負荷が掛かることを抑えることができる。よって、第2カバー体172が第1カバー体171から外れてしまうようなことを確実に防止することができる。
【0130】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、DR側ワイパアーム120を自動車等の車両10に用いたものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、航空機や鉄道車両,建設機械等にも用いることができる。
【0131】
その他、上記実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0132】
10 車両
11 フロントウィンドシールド(払拭面)
12 DR側払拭範囲
13 AS側払拭範囲
14 ワイパ装置
15 DR側ピボット軸
16 AS側ピボット軸
17 DR側駆動レバー
18 AS側駆動レバー
19 連結ロッド
20 駆動ロッド
21 クランクアーム
22 ワイパモータ
23 出力軸
100 DR側ワイパ部材
110 DR側ワイパブレード(ワイパブレード)
120 DR側ワイパアーム(ワイパアーム)
130 アームヘッド
131 ピボット軸固定部
132 保持溝
133 肉盗み部
134 チューブガイド
135 シャンク固定部
135a 引っ掛け部
135b 誘導溝
140 アームシャンク
141 シャンク天壁
142 シャンク側壁
143 ヘッド固定部
144 ピース固定部
150 アームピース
151 U字状フック
152 円柱突起
153 雌ねじ部
160 ウォッシャノズル
161 ノズル体
162 第1壁部
162a 第1凹部
162b 第2凹部
163 第2壁部
163a 平板部
163b ねじ孔
163c 第3凹部
163d 上流側開口部
164 第3壁部
164a 第1下流側開口部
164b 第2下流側開口部
164c 第3下流側開口部
165 アームピース装着溝
166 閉塞部材
166a 蓋部
166b ジョイント部
166c 抜け止め凸部
170 カバー部材
171 第1カバー体
171a 天壁部
171b 側壁部
171c 第1凸部
171d 第2凸部
171e 肉盗み部
172 第2カバー体
172a 平板本体部
172b 表面
172c 裏面
172d 長辺部
200 AS側ワイパ部材
210 AS側ワイパブレード(ワイパブレード)
220 AS側ワイパアーム(ワイパアーム)
230 第2ウォッシャノズル
231 ノズルケース
BJ ボールジョイント
C1~C6 円弧面
CV 屈曲部
D1 第1スライド金型
D2 第2スライド金型
E1~E6 被係合部
F1~F6 支持面
FK フック部材
G1~G6 係合部
H1~H6 保持突起
IA 第1噴射孔
IB 第2噴射孔
IC 第3噴射孔
ID 第4噴射孔
IE 第5噴射孔
IF 第6噴射孔
IG 第7噴射孔
IW 内壁
K1~K4 突出壁部
LRP 下反転位置
N 引っ掛け爪
NZ1 第1ノズル体
NZ2 第2ノズル体
NZ3 第3ノズル体
P2~P6 窪み部
PN 支持ピン
RB 補強リブ
S 固定ねじ
S1~S6 挿入開口
SF スプリングフック
SP 引っ張りばね
T1~T6 引っ掛け面
TB ウォッシャチューブ
TP テーパ面
URP 上反転位置
W ウォッシャ液