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特許7194655電気エネルギー貯蔵デバイス及び電気エネルギー貯蔵デバイスを生産するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】電気エネルギー貯蔵デバイス及び電気エネルギー貯蔵デバイスを生産するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/228 20060101AFI20221215BHJP
   H01G 4/32 20060101ALI20221215BHJP
   H01G 4/38 20060101ALI20221215BHJP
   H01M 50/20 20210101ALI20221215BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20221215BHJP
【FI】
H01G4/228 J
H01G4/228 B
H01G4/228 S
H01G4/32 305A
H01G4/32 531
H01G4/38 A
H01M50/20
H01M50/50
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019148151
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2020096163
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】18190639.7
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518370666
【氏名又は名称】ロジャーズ ベーフェー
【氏名又は名称原語表記】Rogers BV
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【弁理士】
【氏名又は名称】桑垣 衛
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ダニールズ,ヤン
【審査官】鈴木 駿平
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-512104(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0338040(US,A1)
【文献】米国特許第5142439(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/00-4/10
H01G 4/14-4/40
H01G 13/00-13/06
H01G 11/00-11/86
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー貯蔵デバイス(1)であって、
コンデンサである少なくとも1つの電気コンポーネント(2)、及び、
電力分配のためのバスバー(5)を備え、
少なくとも電気コンポーネント(2)の第1の接触側面(11)及び/または第2の接触側面(12)は、接触要素(8)によって前記バスバー(5)に接続され、
前記接触要素(8)は、前記接触要素が弓状であるように屈曲されており、前記接触要素(8)は、屈曲された領域においてメッシュ(7)として形成されており
前記接触要素(8)は、前記バスバー(5)の縁の領域において、前記接触要素(8)が複数のコンデンサと前記バスバー(5)との配置を囲むように構成されており、前記バスバー及び前記複数のコンデンサは、前記接触要素の前記屈曲された領域の対向する部分の間に位置しており、
前記複数のコンデンサは絶縁がない、電気エネルギー貯蔵デバイス(1)。
【請求項2】
前記メッシュ(7)は、平織様構造として構成される、請求項に記載の電気エネルギー貯蔵デバイス(1)。
【請求項3】
前記メッシュ(7)は、第1のワイヤ(51)及び/または第2のワイヤ(52)から作られ、前記第1のワイヤ(51)は互いに平行に延在し、前記第2のワイヤ(52)は互いに平行に延在し、前記第1のワイヤ(51)及び前記第2のワイヤ(52)は交差ポイント(55)で互いに交差し、前記交差ポイント(55)における前記第1のワイヤ(51)と前記第2のワイヤ(52)との間の角度は、40°から120°の間の値を有する、請求項1または2に記載の電気エネルギー貯蔵デバイス(1)。
【請求項4】
前記接触要素(8)は、例えば、はんだ付け及び/または溶接によって、前記第1の接触側面(11)、前記第2の接触側面(12)、及び/または前記バスバー(5)に接着接続される、請求項1からのいずれか1項に記載の電気エネルギー貯蔵デバイス(1)。
【請求項5】
前記メッシュ(7)は、0.1から1mmの間の厚さを有する第1のワイヤ(51)及び/または第2のワイヤ(52)から作られる、請求項1からのいずれか1項に記載の電気エネルギー貯蔵デバイス(1)。
【請求項6】
前記メッシュ(7)の開放エリア(54)に割当てられる幅(W)は、0.5から2.0mmの間の値を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の電気エネルギー貯蔵デバイス(1)。
【請求項7】
前記接触要素(8)は、異なる電気コンポーネント(2)の幾つかの第1の接触側面(11)及び/または幾つかの第2の接触側面(12)を前記バスバー(5)に接続する、請求項1からのいずれか1項に記載の電気エネルギー貯蔵デバイス(1)。
【請求項8】
全体の接触要素(8)はメッシュ(7)として形成される、請求項1からのいずれか1項に記載の電気エネルギー貯蔵デバイス(1)。
【請求項9】
前記バスバー(5)は絶縁層(21)によって少なくとも部分的に覆われ、好ましくは、前記電気コンポーネント(2)は前記絶縁層(21)上に直接配置される、請求項1からのいずれか1項に記載の電気エネルギー貯蔵デバイス(1)。
【請求項10】
前記バスバー(5)は第1の伝導性層(31)及び第2の伝導性層(32)を備え、さらなる絶縁層(22)は前記第1の伝導性層(31)と前記第2の伝導性層(32)との間に配置される、請求項1からのいずれか1項に記載の電気エネルギー貯蔵デバイス(1)。
【請求項11】
前記メッシュ(7)は、95%より大きい値である純度を有する銅から作られる、請求項1から10のいずれか1項に記載の電気エネルギー貯蔵デバイス(1)。
【請求項12】
前記接触要素(8)、特に前記メッシュ(7)は、さらなる絶縁層で少なくとも部分的にコーティングされる、請求項1から11のいずれか1項に記載の電気エネルギー貯蔵デバイス(1)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の電気貯蔵デバイス(1)を生産するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気エネルギー貯蔵デバイス及び電気エネルギー貯蔵デバイスを生産するための方法を述べる。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギー貯蔵デバイスは、従来技術においてよく知られている。通常、コンデンサなどの幾つかの電気コンポーネントは、コンデンサバーを形成するために、そのような電気エネルギー貯蔵デバイス内に含まれる。特に、これらのコンデンサは、所望の総容量の電気エネルギー貯蔵デバイスを実現するために並列に及び/または直列に接続される。普通、コンデンサの電力分配はバスバーによって扱われる。
【0003】
これらの電気エネルギー貯蔵デバイスはかなりの温度変動にさらされる。通常、電気コンポーネントの電源を繰返しオン/オフすることは電気コンポーネントの自己加熱をもたらす。温度変動についての別の理由は、日中から夜間への温度変動などの周期的な環境変化である場合がある。これらの温度変動は、熱疲労をもたらし、多数の熱サイクル後の潜在的故障につながる。特に、バスバーと電気コンポーネントとの間の接続が弱化し、開回路をもたらす場合さえあるというリスクが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、特にその寿命及び特にコンデンサを保持することに関して、現状の技術水準において知られているデバイスと比較して改善された電気エネルギー貯蔵デバイスを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1による電気エネルギー貯蔵デバイスによって、請求項14による電気エネルギー貯蔵デバイスによって、請求項15による電気エネルギー貯蔵デバイスを生産するための方法によって達成される。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、電気エネルギー貯蔵デバイスが提供され、電気エネルギー貯蔵デバイスは、
- 少なくとも1つの電気コンポーネント、特に電気エネルギー貯蔵コンデンサ、及び、
- 電力分配のためのバスバー、特に積層式及び/または平坦バスバーを備え、
電気コンポーネントの少なくとも1つの第1の接触側面及び/または少なくとも1つの第2の接触側面は、接触要素、特に平坦接触要素によってバスバーに接続され、
接触要素はメッシュとして少なくとも部分的に形成される。
【0007】
現状の技術水準と対照的に、メッシュとして少なくとも部分的に形成される接触要素を使用することが、本発明によって提供される。有利な方法で、メッシュは、温度変動の結果として電気コンポーネント及び/またはバスバーの小さな相対的再配置によって引き起こされる機械的応力を吸収する。そのため、バスバーと電気コンポーネントとの間の接続は、温度変動、特にエネルギー貯蔵デバイスの用途において予想される温度変動によって引き起こされる応力に対してより耐性がある。好ましくは、接触要素は、接触要素がバスバー及び/または電気コンポーネントの第1の接触側面または第2の接触側面に固定される接続領域においてメッシュとして形成される。電気コンポーネントがバスバー上にまたはバスバーの隣に配置されることが考えられる。例えば、バスバーは、第1の接触側面及び/または第2の接触側面を備える平面に平行に、傾斜して、及び/または垂直に延在する。さらに、接触要素が複数の電気コンポーネントを互いにまたバスバーに接続することが規定される。メッシュを使用することによって、例えば、電気コンポーネントの配置に小さい非許容部が存在するとき、電気コンポーネントが異なるサイズまたは寸法を有するとき、及び/または接触要素が電気コンポーネントを囲むとき、メッシュを対応して変形または屈曲することによって接触要素のアライメントを適応させることが容易に可能である。好ましい実施形態によれば、電気コンポーネントは、コンデンサ、電池セル、または半導体である。以降で、コンデンサは、好ましい電気コンポーネントとして使用されるが、任意の他の電気貯蔵要素を、以下で本明細書において述べる実施形態のために同様に使用することができる。
【0008】
例えば、第1の接触側面は電気コンポーネントの正極によって表され、第2の接触側面は電気コンポーネントの負極によって表される、または、その逆も同様である。好ましくは、第1の接触側面及び/または第2の接触側面は、電気コンポーネントの前端に、特に電気コンポーネントの対向する前端に配置される。電気コンポーネントは、円筒形状を有する場合があり、断面は、円形、長方形、及び/または楕円形である場合がある。好ましくは、バスバーは、金属から作られた少なくとも1つの平坦伝導性層を備える。そのため、バスバーは、容易に変形され、エネルギー貯蔵デバイスのために設けられた空間の要件に適応されることができる。結果として、そのようなバスバーを有するエネルギー貯蔵デバイスを柔軟な方法で異なる形成空間に挿入することが可能である。特に、平坦という用語は、バスバーの文脈でならびに接触要素の文脈で、対応するベース本体が、厚さを測定するための方向に垂直な平面内のベース本体の伸張部に比べて、10倍小さい、好ましくは15倍小さい、より好ましくは20倍小さい厚さを有することを意味する。さらに、用語「平坦な(flat)」は、屈曲または変形されるが、全体的に平坦であるそのようなベース本体を含む。さらに、第1の接触側面及び/または第2の接触側面が、潜在的に大きな接触領域を提供するために平坦に構成されることが規定される。
【0009】
好ましくは、接触要素は、電気コンポーネントを少なくとも部分的に囲む、及び/または、屈曲される。接触要素を屈曲することによって、バスバーおよび第1の接触側面/第2の接触側面の相対的配向に独立に、バスバーに対する電気接続を実現することが有利に可能である。実際には、電気コンポーネントにおいて互いに対向して配置される第1の接触側面及び第2の接触側面を、第1の接触側面及び/または第2の接触側面に隣接して位置する同じバスバーに接続することがさらに可能である。
【0010】
別の好ましい実施形態において、メッシュが平織様構造として構成されることが規定される。平織構造を形成することは、機械的応力を吸収する能力の改善をもたらす。さらに、メッシュを形成する部分と接触要素全体との比が0.2から0.8の間、好ましくは0.3から0.8の間、より好ましくは0.4から0.75の間の値を有することが規定される。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、メッシュが第1のワイヤ及び/または第2のワイヤから作られ、第1のワイヤは互いに平行に延在し、第2のワイヤは互いに平行に延在し、第1のワイヤ及び第2のワイヤは交差ポイントで互いに交差し、交差ポイントにおける第1のワイヤと第2のワイヤとの間の角度は、40°から120°の間の値、好ましくは75°から110°の間の値、またはより好ましくは主に90°を有することが規定される。
【0012】
第1のワイヤと第2のワイヤとの間の相対的配向に応じて、機械的応力を吸収するための好ましい方向を実現することが可能である。結果として、例えば、第1の接触側面及び第2の接触側面が非円形断面を有するとき、第1の接触側面、第2の接触側面、及び/またはバスバーの予想される伸長部に応じて第1のワイヤ及び第2のワイヤから形成されるメッシュの配向を適合させることが有利に可能である。第1のワイヤ及び第2のワイヤによって形成されるメッシュの配向が、接触要素が接続するために第1の接触側面及び/または第2の接触側面までそこから延在する方向に応じて調整されることが同様に考えられる。好ましくは、交差ポイントにおける第1のワイヤと第2のワイヤとの間の角度が、25°から70°の間の値、好ましくは35°から55°の間の値、またはより好ましくは主に45°を有する。
【0013】
さらに、接触要素が、例えば、はんだ付け及び/または溶接によって、第1の接触側面、第2の接触側面、及び/またはバスバーに接着接続されることが規定される。例えば、接触要素は、第1の接触側面、バスバー、及び/または第2の接触側面に沿って分配される幾つかの接続領域を介して第1の接触側面、第2の接触側面、及び/またはバスバーに接続される。特に、接続領域または幾つかの接続領域の合計は、第1の接触側面及び/または第2の接触側面の伸長部より、小さい、好ましくは4倍小さい、より好ましくは10倍小さい。好ましくは、幾つかの接続領域は、第1の前側面に沿って統計的に分配される、または、予め規定されたパターン、特に、機械的応力の最適化された吸収のためのパターンに従って分配される。
【0014】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、メッシュが、0.1から1mmの間、好ましくは0.2から0.8mmの間、より好ましくは0.25から0.65mmの間の厚さを有する第1のワイヤ及び/または第2のワイヤから作られることが規定される。そのため、匹敵する薄い第1のワイヤ及び/または第2のワイヤが使用され、したがって、メッシュは、例えば屈曲によって、所望の形態に容易に適応されることができる。好ましくは、接続領域は、幾つかの第1及び/または第2のワイヤにわたって延在する。
【0015】
好ましくは、メッシュの開放エリアに割当てられる幅は、0.5から2.0mmの間、好ましくは0.65から1.5mmの間、より好ましくは0.8から1.35mmの間の値を有することが規定される。そのため、第1及び/または第2のワイヤの厚さより好ましくは大きい匹敵する大きな開放エリアを実現することが可能である。そのようなメッシュが、第1の接触側面、第2の接触側面、及び/またはバスバーに対する十分な電気接続ならびに普通の温度変動によって引き起こされる機械的応力を吸収する所望の能力を実現できることが意外にも示された。好ましくは、開放エリアは第1のワイヤ及び第2のワイヤによって囲まれ、幅は、2つの隣接する第1のワイヤの間でまたは2つの隣接する第2のワイヤの間で測定される。
【0016】
別の実施形態において、接触要素が、異なる電気コンポーネントの幾つかの第1の接触側面及び/または幾つかの第2の接触側面をバスバーに接続する、すなわち、接触要素が、異なる電気コンポーネントの幾つかの第1の接触側面及び/または幾つかの第2の接触側面と互いの間のならびにバスバーとの間の接続を確立することが規定される。好ましくは、第1の接触側面及び/または第2の接触側面は、互いに平行に配置される、または、共通平面を共有する。代替的に、第1の接触側面及び/または第2の接触側面が、異なる平面内に、例えば異なる高さで配置されることが考えられる。そのため、例えば電気コンポーネント間の領域において接触要素を屈曲させることによって、異なる高さ(すなわち、電気コンポーネントの長手方向に測定される、異なる長さ)を有する幾つかの電気コンポーネントを接続することが可能である場合がある。好ましくは、メッシュが、接触要素を第1の接触側面及び/または第2の接触側面に接続する領域及び第1の接触側面及び/または第2の接触側面の間の領域において少なくとも実現されることが規定される。好ましくは、電気コンポーネントの第1の接触側面及び/または第2の接触側面は、各電気コンポーネントの前端に位置し、第1の接触側面及び/または第2の接触側面は、平坦接触要素によって互いに接続される平面を形成する。
【0017】
好ましくは、全体の接触要素はメッシュとして形成される、または、
- 屈曲された領域はメッシュとして形成される、及び/または、
- 第1の接触側面及び/または第2の接触側面に接続された接触要素の領域はメッシュとして形成される。接触要素をメッシュとして完全に実現することは、匹敵する低重量を有するエネルギー貯蔵デバイスを容易に生産することを可能にする。メッシュの部分を完全に閉鎖されたエリアとして形成することによって、接触要素の選択されたエリアを局所的に強化または補強することが可能である。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、バスバーは絶縁層によって少なくとも部分的に覆われ、好ましくは、電気コンポーネントが絶縁層上に直接配置されることが規定される。絶縁層によって、電気コンポーネントを平坦または積層式バスバー上に直接配置することが有利に可能である。そのため、バスバーは、電力を分配することを担当するだけでなく、バスバーは、キャリア上に電気コンポーネントの組立体を配置するための、キャリアも表す。例えば、電気コンポーネントの第1の接触側面は絶縁層上に配置され、絶縁層を貫通するビアは、伝導性層、特に第2の伝導性層に対する接続を実現し、電気コンポーネントの第2の接触側面は、長手方向に沿って測定される電気コンポーネントの少なくとも長さに沿って延在する接触要素を介して第1の伝導性層に接続される。
【0019】
特に、バスバーが第1の伝導性層及び第2の伝導性層を備え、さらなる絶縁層が第1の伝導性層と第2の伝導性層との間に配置されることが規定される。そのため、コンパクトなバスバーが実現されることができる。
【0020】
本発明の別の実施形態によれば、メッシュが、95%より大きい値、好ましくは99%、より好ましくは99.5%より大きい値である純度を有する銅から作られることが規定される。そのため、接触要素と、第1の接触側面、第2の接触側面、及び/またはバスバーとの間の効率的な電気接触を実現することが有利に可能である。
【0021】
別の好ましい実施形態によれば、接触要素、特にメッシュは、さらなる絶縁層で少なくとも部分的にコーティングされることが規定される。例えば、第1の接触側面、第2の接触側面、及び/またはバスバーから外方を向くメッシュの側面は、さらなる絶縁層によって少なくとも部分的に覆われる。特に、接続領域の部分でない接触要素の部分はさらなる絶縁層を有する。そのため、ハウジングのような、エネルギー貯蔵デバイスの隣の要素に対する望ましくない電気接触が回避されることができる。
【0022】
本発明の別の態様は、幾つかの電気コンポーネントを有する電気エネルギー貯蔵デバイスであり、電気コンポーネントの第1の接触側面及び/または第2の接触側面は接触要素によって互いに接続され、接触要素はメッシュとして少なくとも部分的に形成される。バスバーを有する電気貯蔵デバイスの文脈で開示される全ての特徴及び利点は、幾つかの電気コンポーネントを接続する電気貯蔵デバイスに移行されることができる、また、その逆も可能である。
【0023】
本発明のさらなる態様は、本発明による電気貯蔵デバイスを実現するための方法である。電気貯蔵デバイスの文脈で開示される全ての特徴及び利点は、幾つかの電気コンポーネントを接続する電気貯蔵デバイスに移行されることができる、また、その逆も可能である。
【0024】
明示的にまだ述べられていない場合はいつでも、個々の実施形態ならびに個々の実施形態の個々の態様及び特徴は、そのような組み合わせまたは交換が、意味がありかつ本発明の範囲内にあるときはいつでも、述べる発明の範囲を制限または拡大化することなく互いに組み合わされるまたは交換されることができる。本発明の一実施形態に関して述べられる利点は、該当する場合はいつでも、同様に本発明の他の実施形態の利点である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1a】本発明の第1の実施形態による電気エネルギー貯蔵デバイスを概略的に示す図である。
図1b】本発明の第1の実施形態による電気エネルギー貯蔵デバイスを概略的に示す図である。
図2】本発明による電気貯蔵デバイスのための接触要素の少なくとも一部分として使用されるメッシュを概略的に示す図である。
図3a】本発明の第2の好ましい実施形態によるエネルギー貯蔵デバイスを概略的に示す図である。
図3b】本発明の第2の好ましい実施形態によるエネルギー貯蔵デバイスを概略的に示す図である。
図4】本発明の第3の好ましい実施形態によるエネルギー貯蔵デバイスを概略的に示す図である。
図5】本発明の第4の好ましい実施形態によるエネルギー貯蔵デバイスを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1a及び図1bにおいて、本発明の第1の実施形態による電気エネルギー貯蔵デバイス1は、斜視図(図1a)で、また、図1aに組込まれたA-AラインAに沿う断面図(図1b)で概略的に提示される。概して、エネルギー貯蔵デバイス1は、コンデンサバンクを実現するために互いに接続される幾つかのコンデンサ2を備える。例えば、図1に示すコンデンサバンクは、150μF/900Vdcの容量を有する6つのコンデンサ2によって構築される。結果として、コンデンサバンクは、900μF/900Vdcの総容量を有する。
【0027】
好ましくは、少なくとも1つまたは幾つかのコンデンサ2、特に全てのコンデンサ2は、巻き付けられた金属化フィルムを備える、すなわち、そのようなコンデンサ2は金属化フィルムを巻き付けることによって実現される。それにより、フィルムは、両側面で金属化される。券回の数を調整することによって、対応するコンデンサ2の所望の容量を決定することが有利に可能である。金属化フィルムを巻き付ける結果として、コンデンサ2は円柱形状を有する。さらに、コンデンサ2が、ポリエチレンテレフタレート(PETP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、及び/または同様なものを有する誘電体を含むことが規定される。
【0028】
さらに、コンデンサ2は、第1の接触側面11、例えば正接点または極、及び、第2の接触側面12、例えば負接点または極を有し、第1の接触側面11及び第2の接触側面12は、通常、コンデンサ2の対向端にある。例えば、第1の接触側面11及び第2の接触側面12は、スズ(Zn)を噴霧した金属または他の金属によって形成される。図1a及び図1bに示すコンデンサ2は、各コンデンサ2の円柱状本体の端面に配置される第1の接触側面11及び第2の接触側面12を有する。
【0029】
特に、コンデンサ2が、絶縁がない、すなわち、コンデンサ2がいわゆる「未処理(naked)」コンデンサ2であることが規定される。さらに、エネルギー貯蔵デバイス1がバスバー5を備えることが規定される。バスバー5は、好ましくは、第1の伝導性層31及び第2の伝導性層32を有し、第1の伝導性層31及び第2の伝導性層32は、積層方向Sに沿って互いに積層される。第2の伝導性層32の上部に、絶縁層21が配置され、好ましくは、第1の伝導性層31と第2の伝導性層32との間に、さらなる絶縁層22が配置される。特に、バスバー5が積層されて、絶縁層21を形成する。より低いインダクタンス、より高い信頼性、及び改善された冷却挙動のために、コンデンサ2がバスバー5に電気接続され、バスバー5上に直接配置され、バスバー5に接続されることが規定される。
【0030】
図1に示す実施形態において、コンデンサ2のそれぞれの第1の接触側面11がバスバー5に対向して配置され、すなわち、バスバー5から外方に向き、コンデンサ2のそれぞれの第2の接触側面12がバスバー5に向くように、コンデンサ2が配向されることが規定される。さらに、2つのコンデンサ2の間の距離D、特に、第1の列41のコンデンサ2と第2の列42のコンデンサ2との間の距離Dは、0.5mmから5mmの間、好ましくは0.8mmから2.5mmの間、より好ましくは1.1mmから1.5mmの間であることが好ましくは規定される。
【0031】
コンデンサ2の第2の接触側面12を第2の伝導性層32に接続するために、絶縁層21を貫通して達する層間接続9が設けられる。第1の接触側面11を第1の伝導性層31に接続するために、共通接触要素8が設けられ、共通接触要素8は、全てのコンデンサ2の第1の接触側面11を接続する。好ましくは、接触要素8は弓状である。例えば、接触要素8は、接触要素8が、コンデンサ2及びバスバー5の配置を少なくとも一方の側面で、特にバスバー5の縁の領域で囲み、第1の伝導性層31に直接接続するように構築される。
【0032】
特に、接触要素8はメッシュ7として少なくとも部分的に構成される。好ましくは、接触要素8全体はメッシュ7として形成される、または、接触要素8は、第1の接触側面11及び/または第2の接触側面12に接触する領域において及び/または屈曲領域においてメッシュ7として形成されるだけである、または部分的に形成される。メッシュ7を使用することは、通常運転でのエネルギー貯蔵デバイスの使用中に温度変動によって引き起こされる機械的応力を吸収するという良い効果を有する。さらに、コンデンサ2の第1の接触側面11が、例えばはんだ付け及び/または溶接によって接続領域15において接触要素に接続されることが規定される。
【0033】
さらに、コンデンサ2、接触要素8、及びバスバー5の少なくとも一部を備える配置構成がケーシング(ここでは示さず)内に配置されることが規定される。例えば、ケーシングは金属及び/またはプラスチックから作られる。ケーシングが、配置構成をケーシングの内部で固定するために、エポキシ、ポリウレタン、及び/または同様のものをさらに充填されることが同様に可能である。
【0034】
図2において、本発明による電気貯蔵デバイス1のための接触要素8の部分として少なくとも使用されるメッシュ7は、上面図例証(上)及び側面図例証(下)に示される。特に、メッシュ7は主に平織様メッシュ7として構成される。
【0035】
好ましくは、メッシュ7は互いに平行に配置される第1のワイヤ51によって形成され、それぞれの第1のワイヤ51は、第2のワイヤ52に対して、5°~90°の角度、好ましくは45°~90°の角度、より好ましくは主に90°で、メッシュを通して横に走行する第2のワイヤ52の上及び下を交互に通過する。特に、メッシュ7が、主伸長部平面MEP(:main extension plain)内に少なくとも部分的に延在し、第1のワイヤ51及び第2のワイヤ52が交差ポイント55において互いの上に配置されることが規定される。特に、第1のワイヤ51及び第2のワイヤ52が、配置構成順序、すなわち、第1のワイヤ51が、主伸長部平面MEPに垂直な方向で第2のワイヤ52の上に配置されるか下に配置されるかが、第1のワイヤ51及び/または第2のワイヤ52の伸張方向に沿って交差ポイント55ごとに変化するように配置される。さらに、第1のワイヤ51及び第2のワイヤ52が、例えば、溶接及び/またははんだ付けによって接着して、交差ポイント55において互いに接続されることが好ましくは規定される。
【0036】
特に、メッシュ7は、0.1から1mmの間、好ましくは0.2から0.8mmの間、より好ましくは0.25から0.65mmの間の径Diを有する第1のワイヤ51及び/または第2のワイヤ52によって形成される。この背景で、第1のワイヤ51及び/または第2のワイヤ52が同じ径Diを有するまたは径Diが互いに異なることが考えられる。さらに、メッシュ7が、周囲の第1のワイヤ51及び/または第2のワイヤ52によって画定される開放エリア54を有し、開放エリア54と接触要素7全体の比が、0.2から0.7の間、好ましくは0.3から0.65の間、より好ましくは0.4から0.6の間の値を有する、及び/または、開放エリア54に割り当てられる幅Wが、0.5mmから2.0mmの間、好ましくは0.65から1.5mmの間、より好ましくは0.8から1.35mmの間の値を有することが規定される。好ましくは、幅Wは、2つの隣接する第1のワイヤ51及び/または第2のワイヤ52の間の距離に対応する。例えば、1cmあたりに計数されるメッシュ7の数は、3~13、好ましくは4~12、より好ましくは6~9である。
【0037】
図2に示す開放エリア54は正方形形状を有する。代替的に、開放エリア54が、円形、三角形、楕円形、長方形、及び/またはハニカム様形状を有することが同様に考えられる。さらに、メッシュ7が、例えば、溶接及び/またははんだ付けによって接着して接続領域15において第1の接触側面11及び/または第2の接触側面12に接続されることが規定される。
【0038】
図3a及び図3bにおいて、第2の好ましい実施形態によるエネルギー貯蔵デバイス1が、上面図(図3a)及び側面図(図3b)に示される。特に、エネルギー貯蔵デバイス1は幾つかのバスバー5を備え、好ましくは、3つのバスバー5が、2つのバスバー5の間に、コンデンサ2の第1の列41または第2の列42がそれぞれ配置されるように互いの上に配置される。特に、幾つかのコンデンサ2の幾つかの第1の接触側面11が、メッシュ7として構成される接触要素8によって、互いにまたバスバー5の1つに接続されることが規定される。特に、エネルギー貯蔵デバイス1は図1のエネルギー貯蔵デバイス1と異なり、図3a及び図3bの実施形態によれば、コンデンサ2の第1の接触側面11及び第2の接触側面12が共に、メッシュ7の形態の接触要素8を介してバスバー5に接続されることが規定される。そのため、バスバー5は、第1の接触側面11及び/または第2の接触側面12を備える平面に主に垂直に延在する。バスバー5が第1の接触側面11及び/または第2の接触側面12を備える平面に対して傾斜して配置されることが同様に考えられる。さらに、キャパシター2の第1の接触側面11が、例えば、はんだ付け及び/または溶接によって、接続領域15においてメッシュ7に接続されることが規定される。特に、接続領域15は、第1の接触側面11の一部であり、第1の接触側面11に沿って確率的に分配される。例えば、接続領域15は円形状を有する。
【0039】
図4において、本発明の第3の好ましい実施形態によるエネルギー貯蔵デバイス1が示される。特に、エネルギー貯蔵デバイス1は、互いに隣り合って第3の列43で配置される幾つかのコンデンサ2を備える。第3の列43で配置される全てのコンデンサ2は、メッシュ7として形成される接触要素8によって互いに接続される。特に、接触要素8がコンデンサ2の第1の接触側面11上に配置され、さらなる接触要素8が、コンデンサ2の対向端に位置する第2の接触側面12上に配置されることが規定される。好ましくは、接触要素8及びさらなる接触要素8は互いに対して少なくとも部分的に平行に延在する。
【0040】
図5において、本発明の第4の好ましい実施形態によるエネルギー貯蔵デバイス1用のバスバー5が示される。特に、幾つかの異なるメッシュ7が同じバスバー5に接続されることが規定される。好ましくは、メッシュ7は、凹所18を有するバスバー5の領域の隣でまたはその領域でバスバー5に接続される。特に、幾つかのメッシュ7、例えば、3つのメッシュ7は、特に、メッシュ7の端セクションを互いの上に配置することによって、同じ領域に接続される。
【符号の説明】
【0041】
1 エネルギー貯蔵デバイス
2 電気コンポーネント
5 バスバー
7 メッシュ
8 接触要素
9 層間接続
11 第1の接触側面
12 第2の接触側面
15 接続領域
18 凹所
21 絶縁層
22 さらなる絶縁層
31 第1の伝導性層
32 第2の伝導性層
41 第1の列
42 第2の列
43 第3の列
51 第1のワイヤ
52 第2のワイヤ
54 開放エリア
55 交差ポイント
W 幅
D 距離
S 積層方向
A A-Aライン
MEP 主伸長部平面
Di 直径
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図4
図5