(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】空調用レジスタのベゼル、及び空調用レジスタ
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
B60H1/34 651B
B60H1/34 611Z
(21)【出願番号】P 2019163514
(22)【出願日】2019-09-09
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】佐野 公英
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-293960(JP,A)
【文献】特開2017-136997(JP,A)
【文献】特開2017-171204(JP,A)
【文献】特開2018-065506(JP,A)
【文献】実開昭57-033511(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0176364(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 - 3/06
F24F 13/06
F24F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用空気が吹出口を介して吹き出される室内に望む意匠面を備えるとともに、前記意匠面が、外側意匠面、前記外側意匠面よりも内側に位置する内側意匠面と、前記外側意匠面と前記内側意匠面との間に位置する中間意匠面とに分割されており、
アウター部材と、前記アウター部材に保持されるインナー部材と、前記アウター部材と前記インナー部材とによって区画された収容凹部内に収容される装飾部材と、を備え、
前記アウター部材は前記吹出口よりも外側に位置する環状のアウター本体部を備えるとともに、前記アウター本体部のうちの室内に望む面が前記外側意匠面であり、
前記アウター本体部には、前記意匠面から離間する方向に延伸するアウター延伸部と、前記アウター延伸部よりも内側に位置し、且つ前記意匠面から離間する方向に突出するアウター突出部とが接続されており、前記アウター突出部の先端は、前記アウター延伸部の先端よりも前記意匠面の近くに位置しており、
前記インナー部材は、内周縁で前記吹出口を区画し、且つ前記アウター本体部よりも内側に位置する環状のインナー本体部と、前記アウター突出部の先端、及び同アウター突出部の外側面に接触する位置決め部と、を備え、前記インナー部材のうちの室内に望む面が前記内側意匠面であり、
前記収容凹部は、前記外側意匠面と前記内側意匠面との間に位置するとともに、室内に開口しており、
前記装飾部材のうちの前記室内に望む面が前記中間意匠面である
空調用レジスタのベゼル。
【請求項2】
前記アウター部材は、合成樹脂によって構成されるものであり、
前記アウター延伸部の厚みは、その延伸方向において前記アウター本体部に近いほど薄い
請求項1に記載の空調用レジスタのベゼル。
【請求項3】
前記アウター突出部の先端は、前記アウター延伸部の前記延伸方向における中間点よりも前記意匠面の近くに位置している
請求項2に記載の空調用レジスタのベゼル。
【請求項4】
前記位置決め部と前記アウター突出部との接触部位と、前記中間意匠面との最短距離は、「3.5mm」以上であって且つ「4.5mm」以下の距離である
請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載の空調用レジスタのベゼル。
【請求項5】
前記装飾部材と前記アウター本体部との間隔が、第1間隔で保持されるとともに、前記装飾部材と前記インナー本体部との間隔が、第2間隔で保持される
請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載の空調用レジスタのベゼル。
【請求項6】
前記第1間隔及び前記第2間隔の各々は、「0.3mm」以下である
請求項5に記載の空調用レジスタのベゼル。
【請求項7】
請求項1~請求項6のうち何れか一項に記載の前記ベゼルと、
前記ベゼルが固定されるとともに、空調用空気の流れる通風路が内部に形成されているリテーナと、を備える
空調用レジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調用レジスタのベゼルと、同ベゼルを備える空調用レジスタとに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空調用空気の通風路が内部に形成されているリテーナと、通風路を流れた空調用空気の室内への吹出口が設けられているベゼルとを備える空調用レジスタの一例が記載されている。
【0003】
ベゼルのうちの室内に望む面は、車両の乗員から視認することができる。そのため、近年では、ベゼルのうちの室内に望む面である意匠面を工夫することによって空調用レジスタの意匠性の向上が求められている。
【0004】
図8には、意匠性を高めた空調用レジスタの一例が図示されている。この空調用レジスタ110のベゼル115の意匠面117は、外側意匠面121aと、外側意匠面121aよりも内側に位置する内側意匠面131aと、外側意匠面121aと内側意匠面131aとの間に位置する中間意匠面140aとで構成されている。すなわち、意匠面117を3分割して構成することにより、意匠性の向上を図っている。このような意匠面117を有するベゼル115は、アウター部材120と、アウター部材120の内側に配置されているインナー部材130と、装飾部材140とを備えている。
【0005】
アウター部材120はアウター本体部121を備えており、アウター本体部121のうちの室内に望む面が外側意匠面121aである。アウター本体部121には、意匠面117から離れる方向に延びるアウター延伸部122が接続されている。アウター延伸部122のうち、その延伸方向における中間点よりも意匠面117の反対側には、アウター側位置決め部125が接続されている。
【0006】
インナー部材130は、アウター本体部121よりも内側に位置するインナー本体部131を備えており、インナー本体部131のうちの室内に望む面が内側意匠面131aである。インナー本体部131には、意匠面117から離れる方向に延びるインナー延伸部135が接続されている。インナー延伸部135には、アウター側位置決め部125と係合するインナー側位置決め部136が設けられている。インナー側位置決め部136は、アウター側位置決め部125に対して相対移動可能な状態で係合される。そのため、アウター側位置決め部125に対するインナー側位置決め部136の相対位置の調整を通じ、外側意匠面121aに対する内側意匠面131aの相対的な位置を調整することができる。
【0007】
なお、
図8に示すベゼル115におけるアウター本体部121とインナー本体部131との間には、室内に開口する収容凹部118が設けられている。収容凹部118は、アウター部材120及びインナー部材130とによって区画されている。この収容凹部118に装飾部材140が収容されており、装飾部材140のうちの室内に望む面が中間意匠面140aである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように意匠面117が複数に分割されている場合、外側意匠面121a、中間意匠面140a及び内側意匠面131aの位置関係を適切な関係にしないと、ベゼル115の意匠性が却って低下してしまう。そのため、
図8に示すベゼル115では、アウター側位置決め部125とインナー側位置決め部136とにより、外側意匠面121aに対する内側意匠面131aの相対位置を調整するチューニング部TS1が構成されている。一般に、意匠面117からチューニング部TS1までの距離が長いほど、アウター本体部121やインナー部材130などの製造誤差の影響によって、外側意匠面121a、中間意匠面140a及び内側意匠面131aの位置関係にばらつきが生じやすい。したがって、こうしたばらつきを調整するための作業に要する時間が長くなってしまう。
【0010】
本発明の目的は、外側意匠面に対する内側意匠面の相対的な位置を調整するに際し、当該位置調整に要する作業時間の短縮化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための空調用レジスタのベゼルは、空調用空気が吹出口を介して吹き出される室内に望む意匠面を備えるとともに、前記意匠面が、外側意匠面、前記外側意匠面よりも内側に位置する内側意匠面と、前記外側意匠面と前記内側意匠面との間に位置する中間意匠面とに分割されている。アウター部材と、前記アウター部材に保持されるインナー部材と、前記アウター部材と前記インナー部材とによって区画された収容凹部内に収容される装飾部材と、を備える。前記アウター部材は前記吹出口よりも外側に位置する環状のアウター本体部を備えるとともに、前記アウター本体部のうちの室内に望む面が前記外側意匠面である。前記アウター本体部には、前記意匠面から離間する方向に延伸するアウター延伸部と、前記アウター延伸部よりも内側に位置し、且つ前記意匠面から離間する方向に突出するアウター突出部とが接続されており、前記アウター突出部の先端は、前記アウター延伸部の先端よりも前記意匠面の近くに位置している。前記インナー部材は、内周縁で前記吹出口を区画し、且つ前記アウター本体部よりも内側に位置する環状のインナー本体部と、前記アウター突出部の先端、及び同アウター突出部の外側面に接触する位置決め部と、を備え、前記インナー部材のうちの室内に望む面が前記内側意匠面である。前記収容凹部は、前記外側意匠面と前記内側意匠面との間に位置するとともに、室内に開口しており、前記装飾部材のうちの前記室内に望む面が前記中間意匠面である。
【0012】
上記構成によれば、アウター本体部に接続されているアウター突出部の先端及び外側面の双方に、インナー部材の位置決め部を接触させることにより、アウター本体部に対するインナー本体部の相対的な位置を調整することができる。すなわち、アウター本体部のアウター突出部とインナー部材の位置決め部とによって、外側意匠面と内側意匠面との相対的な位置関係を調整するチューニング部が構成される。上記構成の場合、アウター突出部の先端がアウター延伸部の先端よりも意匠面の近くに位置するため、
図8を用いて説明した構成の場合と比較し、チューニング部を、意匠面の近くに配置することができる。その結果、アウター部材やインナー部材の製造誤差の影響に起因する、外側意匠面と内側意匠面との位置のばらつきが生じにくくなる。
【0013】
上記空調用レジスタのベゼルの一態様において、前記アウター部材は、合成樹脂によって構成されるものである。この場合、前記アウター延伸部の厚みは、その延伸方向において前記アウター本体部に近いほど薄い。
【0014】
合成樹脂によってアウター部材を構成する場合、アウター部材の製造時にあってはアウター部材のうちの肉厚の部分にヒケが生じることがある。すなわち、アウター本体部の厚みを厚くする場合、アウター部材の製造時にアウター本体部の外側意匠面側でヒケが発生することがある。外側意匠面側にヒケが発生すると、外側意匠面を含むベゼルの意匠面の意匠性が低下してしまう。
【0015】
また、アウター延伸部が肉厚であるほど、アウター延伸部が接続されるアウター本体部も肉厚になりやすい。言い換えると、アウター延伸部における基端部分の厚みが薄いほど、アウター本体部の厚みを薄くできる。
【0016】
上記構成によれば、アウター延伸部の厚みを、アウター本体部に近いほど薄くしている。これにより、アウター本体部におけるアウター延伸部との接続部分の厚みが厚くなることを抑制できる。このように当該接続部分の厚みを薄くすることにより、アウター本体部全体の厚みを薄くすることができる。その結果、アウター部材の製造時にアウター本体部の外側意匠面側でのヒケの発生を抑制できる。したがって、ベゼルの意匠面の意匠性の低下を抑制できる。
【0017】
上記空調用レジスタのベゼルの一態様において、前記アウター突出部の先端は、前記アウター延伸部の前記延伸方向における中間点よりも前記意匠面の近くに位置している。この構成によれば、上記チューニング部を意匠面の近くに配置することができる。
【0018】
上記空調用レジスタのベゼルにおいて、前記位置決め部と前記アウター突出部との接触部位と、前記中間意匠面との最短距離は、「3.5mm」以上であって且つ「4.5mm」以下の距離であることが好ましい。
【0019】
上記空調用レジスタのベゼルにおいて、前記装飾部材と前記アウター本体部との間隔が、第1間隔で保持されるとともに、前記装飾部材と前記インナー本体部との間隔が、第2間隔で保持されることが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、装飾部材とアウター本体部との間隔のばらつき、及び、装飾部材とインナー本体部との間隔のばらつきの双方が抑えられる。その結果、意匠面の意匠性の低下を抑制できる。
【0021】
上記空調用レジスタのベゼルにおいて、前記第1間隔及び前記第2間隔の各々は、例えば、「0.3mm」以下である。
上記課題を解決するための空調用レジスタは、上記のベゼルと、前記ベゼルが固定されるとともに、空調用空気の流れる通風路が内部に形成されているリテーナと、を備える。
【発明の効果】
【0022】
外側意匠面に対する内側意匠面の相対的な位置を調整するに際し、当該位置調整に要する作業時間の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】同空調用レジスタのアウター部材を示す斜視図。
【
図3】同空調用レジスタのインナー部材を示す斜視図。
【
図7】実施形態のアウター部材と、比較例のアウター部材とを比較する模式図。
【
図8】従来の空調用レジスタのベゼルを示す端面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、空調用レジスタのベゼル及び空調用レジスタを具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1には、車載の空調装置に設けられる空調用レジスタ10が図示されている。例えば、空調用レジスタ10は、車両のインストルメントパネルに組み込まれている。空調用レジスタ10は、筒状をなすリテーナ11と、リテーナ11に固定されているベゼル15とを備えている。リテーナ11の内側には、空調装置から送出された空調用空気が流れる通風路12が形成されている。通風路12内には、車室内に送り出す空調用空気の向きを調整する複数のフィン13が設けられている。
【0025】
ベゼル15には、通風路12を流れた空調用空気の車室への吹出口16が設けられている。ベゼル15のうちの車室に望む面は、車両の乗員から視認することのできる意匠面17である。意匠面17は環状をなしており、意匠面17の内側に吹出口16が位置している。本実施形態では、意匠面17は、環状をなす外側意匠面21aと、外側意匠面21aよりも内側に位置する環状の内側意匠面31aと、外側意匠面21aと内側意匠面31aとの間に位置する環状の中間意匠面40aとで構成されている。
【0026】
ベゼル15は、通風路12よりも外側に位置するアウター部材20と、アウター部材20に保持されているインナー部材30と、装飾部材40とを備えている。なお、アウター部材20及びインナー部材30は、合成樹脂によってそれぞれ構成されている。また、装飾部材40の色彩は、アウター部材20及びインナー部材30の双方の色彩と異なっている。
【0027】
図2及び
図5に示すように、アウター部材20は、環状をなすアウター本体部21を備えている。アウター本体部21は吹出口16よりも外側に位置しており、アウター本体部21のうちの車室内に望む面が外側意匠面21aである。アウター本体部21の外側部分には、意匠面17から離れる方向に延びるアウター延伸部22が接続されている。アウター延伸部22の延伸方向においてアウター本体部21との接続部分から離れるにつれ、アウター延伸部22が通風路12から外側に離れている。また、アウター延伸部22の厚みPFは、アウター本体部21との接続部分から離れるにつれて厚くなっている。すなわち、アウター延伸部22の厚みは、その延伸方向においてアウター本体部21に近いほど薄い。
【0028】
また、アウター本体部21の内側部分には、意匠面17から離れる方向に突出するアウター突出部23が接続されている。アウター突出部23は、吹出口16を外側から全周にわたって囲むように環状をなしている。アウター突出部23は、アウター延伸部22よりも内側に位置しており、アウター突出部23とアウター延伸部22との間には、空間SPが形成されている。
【0029】
アウター突出部23の先端23aは、アウター延伸部22の先端23aよりも意匠面17側に位置している。具体的には、アウター突出部23の先端23aは、アウター延伸部22の延伸方向において、アウター延伸部22の中間点よりも意匠面17の近くに位置している。
【0030】
図3及び
図5に示すように、インナー部材30は、アウター本体部21よりも内側に位置する環状のインナー本体部31を備えている。インナー本体部31の内周縁によって、吹出口16が区画されている。こうしたインナー本体部31のうちの車室内に望む面が、内側意匠面31aである。インナー本体部31は、アウター本体部21に対して内側に離れて配置されている。そのため、内側意匠面31aは、外側意匠面21aから離れている。
【0031】
インナー部材30には、アウター突出部23と係合する位置決め部32と、位置決め部32とインナー本体部31とを連結する連結部33とが設けられている。連結部33は、インナー本体部31の内奥側の部位から外側に延出している。こうした連結部33の外側部位に位置決め部32が接続されている。
【0032】
位置決め部32には、アウター延伸部22とアウター突出部23との間に介在する空間SP内に配置されるインナー突出部32aと、アウター突出部23の先端部分が収容されるインナー凹部32bとが設けられている。そして、インナー突出部32aは、アウター突出部23の外側面23bに面接触している。また、インナー凹部32bの底部32b1に、アウター突出部23の先端23aが接触している。
【0033】
つまり、本実施形態では、アウター突出部23の形状、及び、インナー突出部32aの形状のうちの少なくとも一方を調整することにより、通風路12での空調用空気の流通方向Xと直交する方向における外側意匠面21aに対する内側意匠面31aの相対位置を調整することができる。また、インナー凹部32bの底部32b1の形状を調整することにより、流通方向Xにおける外側意匠面21aに対する内側意匠面31aの相対位置を調整することができる。したがって、本実施形態では、アウター突出部23と位置決め部32とによって、外側意匠面21aに対する内側意匠面31aの相対的な位置を調整するチューニング部TSが構成されている。
【0034】
本実施形態では、アウター突出部23と位置決め部32との接触部位と、中間意匠面40aとの最短距離LMが、「3.5mm」以上であって且つ「4.5mm」以下の距離となるように、チューニング部TSが構成される。例えば、最短距離LMが「4.1mm」となるように、チューニング部TSが構成される。
【0035】
図5に示すように、アウター部材20とインナー部材30とによって、車室側に開口する環状の収容凹部18が区画されている。すなわち、アウター本体部21と、インナー本体部31と、連結部33とによって、収容凹部18が構成されている。この収容凹部18は、外側意匠面21aと内側意匠面31aとの間に配置されている。こうした収容凹部18に装飾部材40が収容されている。つまり、装飾部材40を、車両の乗員に視認させることができる。
【0036】
図4に示すように、装飾部材40は、環状をなしている。装飾部材40のうちの車室に望む面が、中間意匠面40aである。
なお、装飾部材40のうち、中間意匠面40aの反対側からは、複数のピン41が突出している。インナー部材30の連結部33には、ピン41が挿通される挿通孔33aが設けられている。そのため、ピン41を挿通孔33aに挿通させることにより、装飾部材40がインナー部材30に保持されている。なお、挿通孔33aについては
図3に示されている。
【0037】
次に、
図5及び
図6を参照し、外側意匠面21a、内側意匠面31a及び中間意匠面40aの位置関係について説明する。
図6に示すように、アウター本体部21のうち、収容凹部18の壁面を構成する内側面21bと、装飾部材40の外側面40bとの間には、不織布などの位置調整部材51が配置されている。通風路12の中心軸線を中心とする周方向に沿って、複数の位置調整部材51が配置されている。これにより、
図5及び
図6に示すように、外側意匠面21aと中間意匠面40aとの間隔は、全周にわたって第1間隔H1で保持されている。第1間隔H1としては、「0.3mm」以下の値が設定されている。これは、第1間隔H1が「0.3mm」よりも広いと、外側意匠面21aと中間意匠面40aとの間隔が広すぎ、ベゼル15の見栄えがよくないためである。
【0038】
インナー本体部31のうち、収容凹部18の壁面を構成する外側面31cと、装飾部材40の内側面40cとの間には、不織布などの位置調整部材52が配置されている。通風路12の中心軸線を中心とする周方向に沿って、複数の位置調整部材52が配置されている。これにより、内側意匠面31aと中間意匠面40aとの間隔は、全周にわたって第2間隔H2で保持されている。第2間隔H2としては、「0.3mm」以下の値が設定されている。これは、第2間隔H2が「0.3mm」よりも広いと、内側意匠面31aと中間意匠面40aとの間隔が広すぎ、ベゼル15の見栄えがよくないためである。
【0039】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)アウター本体部21に接続されているアウター突出部23の先端23a及び外側面23bの双方に、インナー部材30の位置決め部32を接触させることにより、アウター本体部21に対するインナー本体部31の相対的な位置を調整することができる。すなわち、アウター突出部23と位置決め部32とによって、外側意匠面21aと内側意匠面31aとの相対的な位置関係を調整するチューニング部TSが構成される。本実施形態のような場合、
図8を用いて説明した構成の場合と比較し、チューニング部TSを、意匠面17の近くに配置することができる。その結果、アウター部材20やインナー部材30の製造誤差の影響に起因する、外側意匠面21aと内側意匠面31aとの位置のばらつきが生じにくくなる。
【0040】
これにより、アウター突出部23の形状、インナー突出部32aの形状、及び、インナー凹部32bの底部32b1の形状の少なくとも1つを調整することによる、外側意匠面21aと内側意匠面31aとの位置のばらつきの補正を容易に行うことができる。したがって、外側意匠面21aに対する内側意匠面31aの相対的な位置を調整するに際し、当該位置調整に要する作業時間の短縮化を図ることができる。
【0041】
(2)アウター部材20は合成樹脂によって構成されている。そのため、アウター部材20を製造する場合、型内に材料を流し込むことによってアウター部材20が構成される。この際、アウター部材20の厚みが厚い部分では、材料を冷やして固める過程でヒケが生じることがある。例えば
図7に実線で示すようにアウター本体部21Aの厚みが厚い場合、アウター本体部21Aの外側意匠面側にヒケが発生することがある。このように外側意匠面側にヒケが発生した場合、当該外側意匠面を含むベゼル15の意匠面17の意匠性が著しく低下してしまう。
【0042】
ここで、
図7に実線で示した比較例のアウター部材20Aのようにアウター延伸部22における基端の厚みPFが厚いほど、アウター本体部21Aの厚みが厚くなってしまう。言い換えると、アウター延伸部22における基端の厚みPFを薄くすることにより、アウター本体部21Aの厚みが厚くなることを抑制できる。
【0043】
図7には、本実施形態のベゼル15のアウター部材20が破線で示されている。本実施形態では、アウター延伸部22の厚みを、アウター本体部21に近いほど薄くしている。これにより、アウター本体部21におけるアウター延伸部22との接続部分の厚みが厚くなることを抑制できる。このように当該接続部分の厚みを薄くすることにより、アウター本体部21全体の厚みを薄くすることができる。その結果、アウター部材20の製造時にアウター本体部21の外側意匠面21a側でのヒケの発生を抑制できる。したがって、ベゼル15の意匠面17の意匠性の低下を抑制できる。
【0044】
(3)アウター突出部23の先端23aは、アウター延伸部22の延伸方向における中間点よりも意匠面17の近くに位置している。そのため、
図8に示す構成の場合と比較し、チューニング部TSを意匠面17の近くに配置することができる。
【0045】
(4)装飾部材40とアウター本体部21との間隔が第1間隔H1で保持されるとともに、装飾部材40とインナー本体部31との間隔が第2間隔H2で保持される。すなわち、装飾部材40とアウター本体部21との間隔のばらつき、及び、装飾部材40とインナー本体部31との間隔のばらつきの双方が抑えられる。その結果、意匠面17の意匠性の低下を抑制できる。
【0046】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・装飾部材40とアウター本体部21との間隔を全周にわたってほぼ一定とできるとともに、装飾部材40とインナー本体部31との間隔を全周にわたってほぼ一定とできるのであれば、装飾部材40とアウター本体部21との間隔と、装飾部材40とインナー本体部31との間隔とを互いに異ならせてもよい。
【0047】
・位置決め部32とアウター突出部23との接触部位と、中間意匠面40aとの最短距離LMを、「3.5mm」以上であって且つ「4.5mm」以下の距離とすることができるのであれば、最短距離LMが「4.1mm」とは異なる距離となるようにチューニング部TSを構成してもよい。
【0048】
・アウター突出部23の先端23aをアウター延伸部22の中間点よりも意匠面17の近くに配置できるのであれば、最短距離LMが「3.5mm」から「4.5mm」の範囲外の距離となるように、チューニング部TSを構成してもよい。
【0049】
・アウター突出部23の先端23aをアウター延伸部22の先端23aよりも意匠面17の近くに配置できるのであれば、アウター突出部23の先端23aをアウター延伸部22の中間点よりも意匠面17の近くに配置しなくてもよい。
【0050】
・アウター本体部21にヒケが発生しないのであれば、アウター延伸部22の基端側の厚みと先端側の厚みとで異ならせなくてもよい。
・空調用レジスタは、車室内においてインストルメントパネルとは異なる箇所に組み込まれるものであってもよい。
【0051】
・空調用レジスタを、車載ではない空調装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
10…空調用レジスタ、11…リテーナ、12…通風路、13…フィン、15…ベゼル、16…吹出口、17…意匠面、18…収容凹部、20…アウター部材、21…アウター本体部、21…アウター本体部、21a…外側意匠面、22…アウター延伸部、23…アウター突出部、23a…先端、23b…外側面、30…インナー部材、31…インナー本体部、31a…内側意匠面、32…位置決め部、40…装飾部材、40a…中間意匠面。