(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】導電線
(51)【国際特許分類】
H01B 5/02 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
H01B5/02 A ZNM
(21)【出願番号】P 2019169688
(22)【出願日】2019-09-18
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000110147
【氏名又は名称】トクセン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大上 寛之
(72)【発明者】
【氏名】山川 智弘
(72)【発明者】
【氏名】太田 栄次
【審査官】中嶋 久雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-009427(JP,A)
【文献】特開2019-067657(JP,A)
【文献】特開2019-049077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の芯線と、
前記芯線の長手方向に引き揃えられた複数のカーボンナノチューブ繊維を含み、前記芯線の外周面を被覆する被覆部と、
を備え、
前記被覆部に被覆された前記芯線に金属メッキを施すことにより形成された金属を、前記被覆部は含
み、
前記被覆部における前記金属の密度が、外径側から内径側に向けて大きくなることを特徴とする導電線。
【請求項2】
導電性の芯線と、
前記芯線の長手方向に引き揃えられた複数のカーボンナノチューブ繊維を含み、前記芯線の外周面を被覆する被覆部と、
を備え、
前記被覆部に被覆された前記芯線に金属メッキを施すことにより形成された金属を、前記被覆部は含み、
前記被覆部における前記金属の密度が、外径から内径に向けて一旦小さくなった後に大きくなることを特徴とする導電線。
【請求項3】
前記導電性の芯線は、金属線であることを特徴とする請求項1
又は2に記載の導電線。
【請求項4】
前記金属線は、銅銀合金からなることを特徴とする請求項
3に記載の導電線。
【請求項5】
前記被覆部における
前記金属の割合は0.5重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の導電線。
【請求項6】
長手方向に直交する方向の断面積における前記芯線の面積比率は10%以上70%以下であることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の導電線。
【請求項7】
前記被覆部に形成される前記金属は、前記被覆部に前記外周面を被覆された前記芯線に銅メッキを施すことにより形成されることを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の導電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電線に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ等の巻線として用いられる導電線には、軽量化が求められている。とりわけ、自動車に用いられるEV用モータにおいては軽量化が強く求められている。このため、現在一般的に用いられている銅線に代わる軽量の導電線が望まれており、このような観点からアルミ線等の使用が検討されている。
【0003】
一方で、カーボンナノチューブ(以下「CNT」ともいう。)の集束線は導電性を有し、軽量であるため、様々な用途が期待されている。
【0004】
しかしながら、銅線と比べるとCNTの集束線の導電性が低いため、その改善が望まれている。そのような改善の一つとして、CNTと金属との複合化が検討されている。例えば、金属のワイヤにCNTを蒸着する技術(特許文献1)、芯材にCNTを巻き付け、CNT中に金属粒を含ませる技術(特許文献2)、CNTアレイからの引き出し時に金属粒子を静電塗布する技術(特許文献3)が提案されているが、充分な効果は得られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-35841号公報
【文献】特開2016-160538号公報
【文献】特開2018-53408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決し、カーボンナノチューブを用いた導電線における導電率の向上と軽量化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明は、
導電性の芯線と、
前記芯線の長手方向に引き揃えられた複数のカーボンナノチューブ繊維を含み、前記芯線の外周面を被覆する被覆部と、
を備え、
前記被覆部に被覆された前記芯線に金属メッキを施すことにより形成された金属を、前記被覆部は含むことを特徴とする導電線である。
【0008】
本発明においては、カーボンナノチューブ繊維を含む被覆部によって被覆された導電性の芯線に金属メッキを施し、被覆部に金属を形成しているので、銅線のような金属製の導電線に比べて軽量化を図ることができる。また、導電性において、銅線に劣るカーボンナノチューブ繊維を含む被覆部に金属を形成することにより、導電性の向上を図ることができる。すなわち、本発明によれば、カーボンナノチューブを用いた導電線において導電率の向上と軽量化を図ることができる。
【0009】
また、本発明において、
前記導電性の芯線は金属線であるようにしてもよい。
【0010】
このように導電性の芯線として、金属線を用いることにより、導電線の導電率の向上を図ることができる。芯線に用いる金属としては、導電性の高い、金、銀、銅、アルミニウム、あるいはこれらの元素を含む金属が好ましい。金属線は、銅銀合金からなるようにしてもよく、また、導電性の芯線としては、導電性樹脂や樹脂に表面に金属メッキを施したものを用いることもできる。
【0011】
また、本発明は、
前記被覆部における金属の割合は0.5重量%以上50重量%以下であるようにしてもよい。
【0012】
このように、被覆部における金属の割合を設定することにより、所望の重量と導電性を有する導電線を提供することができる。
被覆部に含まれる金属は、銅、アルミニウム、金、銀などの導電性が高い金属が好ましい。
【0013】
また、本発明は、
長手方向に直交する方向の断面積における前記芯線の面積比率は10%以上70%以下であるようにしてもよい。
【0014】
このように、導電性の芯線の面積比率を設定することにより、所望の重量と導電性を有する導電線を提供することができる。
軽量化の観点から、長手方向に直交する方向の断面積における芯線の面積比率は、好ましくは10%以上50%以下である。
【0015】
前記被覆部における前記金属の密度は、径方向に変化するようにしてもよい。前記被覆部における前記金属の前記密度は、外径側から内径側に向けて小さくなるようにしてもよいし、前記被覆部における前記金属の前記密度は、外径側から内径側に向けて大きくなるようにしてもよく、前記被覆部における前記金属の前記密度は、外径から内径に向けて一旦小さくなった後に大きくなるようにしてもよい。
【0016】
このように、被覆部における金属の密度に径方向の勾配をつけることにより、導電線の導電性を制御することができる。
【0017】
また、前記被覆部に形成される前記金属は、前記被覆部に前記外周面を被覆された前記芯線に銅メッキを施すことにより形成されるようにしてもよい。
ただし、芯線に用いる素材、金属、及び、金属メッキにより被覆部に形成される金属はこれに限られない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、カーボンナノチューブを用いた導電線における導電率の向上と軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例に係る被覆カーボンナノチューブ線の製造装置の概略構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施例に係る導電線の断面の状態を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施例に係るメッキ装置の概略構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施例に係る導電線の側面と断面の状態を示す電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。但し、以下で説明する実施形態は本発明を実施するための例示であり、本発明は以下に説明する態様に限定されない。
【0021】
<実施例1>
本実施例に係る導電線は、導電性の芯線の外周面にカーボンナノチューブ繊維を被覆し、さらにメッキを施したものである。
図1は、導電性の芯線の外周面にカーボンナノチューブ繊維を被覆する装置の概略構成を示す図である。
図2(A)は被覆線材10、
図2(B)~(D)は導電線14の構造を模式的に示す図である。
図3は、カーボンナノチューブ繊維に被覆された芯線に対してメッキを施す装置の概略構成を示す図である。以下に、導電性の芯線として、銅銀合金製の金属線を用いる例について説明するが、導電性の芯線の素材は、これに限られず、金、銀、銅、アルミニウム、あるいはこれらの元素を含む合金のように導電性の高い金属が好ましい。また、導電性の芯線としては、樹脂又は導電性樹脂にこれらの金属によるメッキを施したものを用いることもできる。
【0022】
製造装置100では、複数のカーボンナノチューブを備えるカーボンナノチューブアレイ20の端部から複数列の直線状に繋がった繊維状のカーボンナノチューブ(以下、「カーボンナノチューブ繊維」という。)11,…,11が一定速度で引き出される。また、繰り出しリール21に巻かれた銅銀合金製の芯線12が一定速度で引き出される。芯線12は、複数列の直線状に繋がったカーボンナノチューブ繊維11,…,11とともに、収束されて、集合ダイス22に導かれる。
【0023】
例えば、繰り出しリール21はカーボンナノチューブアレイ20の鉛直下方に配置され、芯線12は、カーボンナノチューブ繊維11,…,11の下方から、集合ダイス22に導かれる。集合ダイス22は、例えば円形状の細孔を有し、長手方向に引き揃えられた複数列のカーボンナノチューブ繊維11,…,11と芯材を径方向に圧縮して収束させる。なお、カーボンナノチューブ繊維11,…,11に対する芯線12の導入方向はこれに限られない。発明者の実験によれば、集合ダイス22の孔を通過させることにより、カーボンナノチューブ繊維11,…,11に対する芯線12の導入方向に関わらず、カーボンナノチューブ繊維11,…,11が芯線12の外周全面を被覆するように配置されることが分かっている。
【0024】
集合ダイス22からは、
図2(A)に示すように、芯線12の外周全面をカーボンナノチューブ繊維11,…,11からなる被覆部13によって被覆された線材(以下、「被覆線材」という)10が引き出される。この被覆線材10は、集合ダイス22の下流側に配置されたローラ対23a,23bの周面を周回するように引き回され、巻き取りリール24に巻き取られる。
【0025】
上述の工程によって製造された被覆線材10に対して、
図3に示す装置によって銅メッキが施される。
図3は装置の概略構成のみを示しており、メッキ装置内における被覆線材の支持及び搬送に関する詳細構成は省略している。
【0026】
メッキ装置200は、主として、前処理槽31、メッキ槽32、後処理槽38及び乾燥機40から構成される。以下では、メッキ装置200のみについて説明するが、メッキ装置200と同様のメッキ装置を複数並べて、被覆線材に異なる金属のメッキを施すようにしてもよい。この場合には、被覆線材に異なる金属のメッキを施した後に熱処理を行い、メッキを合金としてもよい。
前処理槽31は、浸漬槽31aと貯留槽31bとを含む。浸漬槽31aに満たされた水(H2O)311に被覆線材10が浸漬されて前処理が行われる。浸漬槽31aから溢れた
水は貯留槽31bに落下し、貯留槽31bに貯留された水311がポンプによって浸漬槽31aに供給され、浸漬槽31aと貯留槽31bの間で水311は循環する。
【0027】
メッキ槽32は、浸漬槽32aと貯留槽32bとを含む。浸漬槽32aには硫酸銅(CuSO4)321が満たされるとともに、陽極である2枚のCu板33,34が、処理される
被覆線材10の長手方向に沿って配置される。また、貯留槽32bには、貯留された硫酸銅321を加温するためのヒータ35が設けられている。ここでも、浸漬槽32aから溢れた硫酸銅は貯留槽32bに落下し、貯留槽32bに貯留された硫酸銅321がポンプによって浸漬槽32aに供給され、浸漬槽32aと貯留槽32bの間で硫酸銅321は循環する。
また、メッキ槽32の浸漬槽32aに対して、処理される被覆線材10の長手方向の両側には、陰極であるSUSの電極棒36,37が被覆線材10に接するように配置されている。電極棒36,37によって、被覆線材10の外周から給電される。被覆線材10の芯線12に陰極を接続し、芯線12から給電するようにしてもよい。
【0028】
後処理槽38は、浸漬槽38aと貯留槽38bとを含む。浸漬槽38aに満たされた水(H2O)381に被覆線材10が浸漬されて後処理が行われる。浸漬槽38aから溢れた
水381は貯留槽38bに落下し、貯留槽38bに貯留された水381がポンプによって浸漬槽38aに供給され、浸漬槽38aと貯留槽38bの間で水381は循環する。
【0029】
繰り出しリール39から引き出された被覆線材10は、前処理槽31、メッキ槽32、後処理槽38を経由し、乾燥機40に導かれる。乾燥機40では、メッキが施された被覆線材(以下、導電線という)14に付着した水等の液体を加熱や送風により除去する。乾燥機40を出た導電線14は巻き取りリール41に巻き取られる。
【0030】
図3に示す装置によって、被覆線材10にメッキを施す場合には、被覆線材10を繰り出しリールから巻き取りリールへと連続的に移動させながらメッキを行う連続メッキと、被覆線材10を繰り出しリールから巻き取りリールへと順次移動させ、静止させた状態でメッキを施す静止メッキとの2つの態様でのメッキが可能である。
【0031】
次に、メッキ溶液条件について説明する。
上述したように、メッキ溶液としては、硫酸銅(CuSO4)溶液を使用する。また、メッ
キ溶液の温度は、15~60℃が望ましく、本実施例では40℃に設定している。メッキ溶液の濃度としては、100~300g/Lが望ましい。メッキ溶液のpH値については、0.1~5.0が望ましい。
【0032】
次に、メッキ条件について説明する。
整流器電流値としては、0.001~0.5Aが望ましく、本実施例では、0.1Aに設定している。被覆線材10を移動させる線速は0.01~30m/minが望ましく、本実施例では、0.5m/minに設定している。また、陰極電流密度は、0.1~50A/dm2が望ましい。被覆線材10をメッキ溶液に浸漬させる浸漬距離は、100~500mmが望ましい。
【0033】
次に、前処理槽及び後処理槽における洗浄条件について説明する。
前処理槽及び後処理槽に貯留する水としては、蒸留水、純水又はイオン交換水を使用することが望ましく、本実施例では、蒸留水を使用している。また、前処理槽及び後処理槽に貯留する水の温度は、10~40℃が望ましく、本実施例では15℃に設定している。そして、被覆線材10を水に浸漬させる浸漬距離は100~500mmが望ましい。
【0034】
図4(A)は本実施例に係る導電線14の表面状態を示す電子顕微鏡写真であり、
図4(B)は本実施例に係る導電線14の構造を示す長手方向に直交する方向(径方向)の断面の電子顕微鏡写真である。
【0035】
このようにして作製された導電線14では、カーボンナノチューブ繊維によって構成される被覆部13の内部がポーラス構造となっており、そのポーラス部に銅粒子15が入り込むことにより、高電流密度で電流を流すことができる。また、
図2(B)に示す例では、被覆部13における銅粒子15の密度は、被覆部13の外周側で大きく、内径側に向けて次第に小さくなっている(
図2(B)~(D)では、銅粒子15の粗密をドットの粗密で模式的に表現している。)。すなわち、導電線14の被覆部13における銅粒子15の密度は、外径側から内径側に向けて小さくなっている。上述のメッキ工程において通電する電流密度と通電時間を変更することによって、被覆部13における銅粒子の径方向の密度分布を変更することができる。このとき、被覆線材10を移動させる線速を変更することによって通電時間を変更する。上述のように、被覆部13の外周側で銅粒子15の密度が大きく、内径側に向けて次第に小さくなるようにすることもできるし、
図2(C)に示すように、被覆部13の外周側で銅粒子15の密度が小さく、内径側に向けて次第に大きくなるようにすることもできる。また、
図2(D)に示すように、被覆部13の銅粒子15の密度が外径から内径に向けて一旦小さくなった後に大きくなるようにすることもできる。
【0036】
このように、被覆部13における銅粒子15の密度分布を径方向に変化させて勾配をつけることにより、導電線14の導電性を制御することができる。すなわち、被覆部13の外周側で導電性を上げると、高周波では表皮効果で外周側を電流が流れるため、導電線14の表面の電流密度が高くなることで電流が流れやすくなる。また、内径側で導電性を上げ、内径側の電流密度を高くすることにより、導電線14の表面の発熱を抑えることができる。回路においては発熱の抑制が要求されるので、このような導電線14の表面の発熱抑制は有効である。また、被覆層の劣化を抑えるために導電線14の表面をさらに絶縁被覆することも考えられるが、表面にPI(ポリイミド樹脂)等の絶縁被膜により被覆した場合には、導電線14からの発熱が、絶縁被膜の劣化原因となるため、このような観点からも、導電線14の表面の発熱抑制は有効である。
【0037】
図2(B)に示すように、被覆部13の外周側で金属(ここでは銅粒子15)の密度が大きく、内径側に向けて次第に小さくなるようにするには、
図1に示すカーボンナノチューブ繊維11,…,11の引出量と集合ダイス22の孔の径を変更することで被覆部13内部に形成される空隙であるポーラス部を制御し、さらに、
図3に示すメッキ装置200において被覆線材10の外径側から給電するとともに、被覆線材10を移動させる線速と給電量を制御する。また、
図2(C)に示すように、被覆部13の外周側で金属(ここでは銅粒子15)の密度が小さく、内径側に向けて次第に大きくなるようにするには、芯線12側から給電し、給電量を制御する。なお、芯線12からの給電でメッキを施す場合には、給電中には被覆線材10を駆動せずに静止した状態で実施することが望ましい。
図2(D)に示すように、被覆部13の金属(ここでは銅粒子15)の密度が外径から内径に向けて一旦小さくなった後に大きくなるようにするには、上記2つの給電方法を組み合わせる。
【0038】
本実施例に係る導電線14において、芯線を除く被覆部13に形成された銅粒子15の導電線14に対する割合は、0.5重量%以上50重量%以下であることが好ましい。芯線を除く被覆部13に形成される金属(ここでは銅粒子15)の導電線に対する割合の制御は以下のように行う。すなわち、
図1に示すカーボンナノチューブ繊維11,…,11の引出量と集合ダイス22の孔の径を変更することによって被覆部13内部に形成される
空隙であるポーラス部を制御し、さらに、
図3に示すメッキ装置200について説明した陰極の電流密度や被覆線材10を移動させる線速を変更することによってポーラス部への金属の充填量を制御する。
【0039】
また、導電線14の長手方向に直交する方向の断面積における芯線12の面積比率は10%以上50%以下であることが望ましい。
【0040】
本実施例に係る導電線14の引張強さは、350~2200MPaであった。引張強さの測定は、JIS Z 2241に規定される測定方法に従った。本実施例の測定条件は、温度は23℃、引張速度は3mm/min、評点距離は100mmとした。また、引張強さの測定には、オリエンテック社製の引張試験機STA-1150を使用した。
【0041】
本実施例に係る導電線14の電流容量は、1.0×107~1.6×109A/m2であった。
【0042】
本実施例に係る導電線の導電率は、1.0×104~5.0×108S/mであった。
【0043】
このように、本実施例によれば、芯線に金属線として銅銀合金線を用い、外周にカーボンナノチューブ繊維の被覆部を形成し、被覆部の内部にメッキによる銅粒子を配することに撚り大幅な導電率の向上と、軽量化を実現することができた。
【符号の説明】
【0044】
10・・・被覆線材
11・・・カーボンナノチューブ繊維
12・・・芯線
13・・・被覆部
14・・・導電線
15・・・銅粒子