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特許7194661空気調和装置の室内ユニット、空気調和装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】空気調和装置の室内ユニット、空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20221215BHJP
   F24F 13/14 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
F24F1/0007 401C
F24F1/02 411C
F24F13/14 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019180600
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021055944
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2020-10-06
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 慶太
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】槙原 進
【審判官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-11955(JP,A)
【文献】特開2002-81733(JP,A)
【文献】特開2001-254998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F24F 1/02
F24F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置(1)の室内ユニット(10)であって、
室内ファン(14)と、
前記室内ファンにより吹出される空気の風向を調整するフラップ(15)を備え、
前記フラップは、
風上側の縁(E1、E2、E3)が、運転時に側面視において吹出し口(B1)側に湾曲しているメインフラップであって、長手方向の一端側の第1端部領域(A1)と、長手方向の他端側の第2端部領域(A2)と、前記第1端部領域と前記第2端部領域との間の中央領域(A3)とからなるメインフラップ(50)と、
運転時に側面視において前記吹出し口(B1)と前記第1端部領域との間に配置される第1風向調整部(511)と、前記第1風向調整部を前記第1端部領域の風上側に固定する第1支持部(512)とを有する第1サブフラップ(51)と、
運転時に側面視において前記吹出し口と前記第2端部領域との間に配置される第2風向調整部(521)と、前記第2風向調整部を前記第2端部領域の風上側に固定する第2支持部(522)とを有する第2サブフラップ(52)と、
を有し、
前記第1端部領域と前記第2端部領域の風上側の縁(E1、E2)は、前記中央領域の風上側の縁(E3)よりも、風下側に配置され
前記第1風向調整部の結露水を前記メインフラップに導く第1導水路(R1)が配置されており、前記第1導水路は、前記第1支持部を含み、
前記第2風向調整部の結露水を前記メインフラップに導く第2導水路(R2)が配置されており、前記第2導水路は、前記第2支持部を含む、
空気調和装置の室内ユニット。
【請求項2】
前記第1端部領域と前記第2端部領域の風流れ方向の長さ(L1、L2)は、前記中央領域の風流れ方向の長さ(L3)の70%以上95%以下である、
請求項1に記載の空気調和装置の室内ユニット。
【請求項3】
前記第1風向調整部または前記第2風向調整部を、風上側と風下側に区画する空隙(S1、S2)を有する、
請求項1または2に記載の空気調和装置の室内ユニット。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の室内ユニットを備えた空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フラップを備えた空気調和装置の室内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の室内ユニットの空気の吹出し口に用いられるフラップは、空気の室内への吹出し方向を制御する。フラップとしては、吹出し空気を所定ゾーンに到達させるためにコアンダ効果を利用したフラップが検討されている。特許文献1(特開2013-96637号公報)においては、湾曲したフラップを用いることによって、風向きを上下に調整することを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の湾曲フラップにおいては、風上側において空気の流れが悪くなる死水域が発生する可能性があった。死水域が発生すると、フラップに結露が発生する課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の空気調和装置の室内ユニットは、室内ファンとフラップとを備えている。フラップは、室内ファンにより吹出される空気の風向を調整する。フラップは、メインフラップと、第1サブフラップと、第2サブフラップとを有している。メインフラップは、第1端部領域と、第2端部領域と、中央領域とからなっている。第1端部領域は、長手方向の一端側である。第2端部領域は、長手方向の他端側である。中央領域は、第1端部領域と第2端部領域との間である。第1サブフラップは、第1風向調整部と、第1支持部とを有している。第1風向調整部は、運転時に側面視において吹出し口と第1端部領域との間に配置される。第1支持部は、第1風向調整部を第1端部領域に固定する。第2サブフラップは、第2風向調整部と、第2支持部とを有している。第2風向調整部は、運転時に側面視において吹出し口と第2端部領域との間に配置される。第2支持部は、第2風向調整部を第2端部領域に固定する。
【0005】
第1観点の空気調和装置の室内ユニットは、第1サブフラップと第2サブフラップとを有しているので、メインフラップ近傍の死水域を低減し、結露の発生を低減する。
【0006】
第2観点の空気調和装置の室内ユニットは、第1観点の空気調和装置の室内ユニットであって、第1端部領域と第2端部領域の風上側の縁は、中央領域の風上側の縁よりも、風下側に配置されている。
【0007】
第2観点の空気調和装置の室内ユニットは、第1端部領域と第2端部領域の風上側の縁は、中央領域の風上側の縁よりも、風下側に配置されているので、メインフラップ近傍の死水域を低減し、結露の発生を低減する。
【0008】
第3観点の空気調和装置の室内ユニットは、第2観点の空気調和装置の室内ユニットであって、第1端部と前記第2端部の風流れ方向の長さは、中央部の風流れ方向の長さの70%以上95%以下である。
【0009】
第4観点の空気調和装置の室内ユニットは、第1観点~第3観点のいずれかの空気調和装置の室内ユニットであって、フラップは、第1風向調整部または第2風向調整部を、風上側と風下側に区画する空隙を有する。
【0010】
第4観点の空気調和装置の室内ユニットにおいては、フラップは、第1風向調整部または第2風向調整部を、風上側と風下側に区画する空隙を有するので、サブフラップ近傍の死水域を低減させ、サブフラップの結露の発生を低減する。
【0011】
第5観点の空気調和装置の室内ユニットは、第1観点~第4観点のいずれかの空気調和装置の室内ユニットであって、第1サブフラップには第1導水路が配置され、第2サブフラップには第2導水路が配置されている。第1導水路は、第1風向調整部の結露水をメインフラップに導く。第1導水路は、第1支持部を含む。第2導水路は、第2風向調整部の結露水をメインフラップに導く。第2導水路は、第2支持部を含む。
【0012】
第5観点の空気調和装置の室内ユニットにおいては、第1サブフラップが第1導水路を、第2サブフラップが第2導水路を有しているので、サブフラップに結露が発生した場合でも、円滑にメインフラップに結露水を導水することができ、面積の大きなメインフラップ上で蒸発させることが可能になる。
【0013】
第6観点の空気調和装置は、第1観点~第5観点のいずれかの室内ユニットを備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来のフラップ15x(サブフラップのないもの)の付近の風の流れを説明する断面図である。
図2】従来のフラップ15x(サブフラップのないもの)の付近の風の流れを説明する斜視図である。
図3】第1実施形態の室内ユニット10の外観の斜視図である。
図4】第1実施形態の室内ユニット10の運転状態における縦断面図である。
図5】第1実施形態のフラップ15の斜視図である。大きな矢印は、空気調和装置1の運転時の風向を表している。
図6A】第1実施形態のフラップ15の第1端部領域A1の拡大図であり、斜視図である。大きな矢印は、空気調和装置1の運転時の風向を表している。
図6B】第1実施形態のフラップ15の第1端部領域A1の拡大図であり、サブフラップの上面から見た図である。大きな矢印は、空気調和装置1の運転時の風向を表している。
図7】第1実施形態のフラップ15の付近の風の流れを説明する断面図である。
図8】第1実施形態のフラップ15の付近の風の流れを説明する斜視図である。
図9】変形例1Aのフラップ15aの付近の風の流れを説明する断面図である。
図10】変形例1Bのフラップ15bの第1端部領域A1の拡大図であり、斜視図である。
図11】変形例1Cのフラップ15cの第1端部領域A1の拡大図であり、斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
(1)全体構成
本実施形態の空気調和装置1は、室内ユニット10と、室外ユニットと、室内ユニットと室外ユニットを接続する冷媒配管を有し、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成している。
【0016】
空気調和装置1は、室内ユニットを配置した空間の冷房、暖房、除湿、送風、などの空気調和運転を行う。
【0017】
室内ユニット10の外観の斜視図を図3に、縦断面図を図4に示す。
【0018】
空気調和装置1の室内ユニット10は、後面を室内の壁にかけて用いる壁掛け型の空気調和装置である。なお、各図には、室内ユニット10を壁にかけたとき、室内ユニット10に向かってみたときの方向を、前、後、上、下、右、左の矢印で示している。
【0019】
室内ユニット10は、筐体11、熱交換器12、ファン14、ドレンパン13、および、フラップ15を有している。熱交換器12、ファン14、および、ドレンパン13は、筐体11の内部に配置され、フラップ15は、筐体11の吹出し口B1に配置されている。
【0020】
熱交換器12は、筐体11の内部に配置されている。熱交換器12の内部には、冷媒回路を流れる冷媒が流れる。冷媒は空気と熱交換を行う。空気は、ファン14が回転することによって、筐体11の上部の空気の吸込み口B2から、筐体11の内部にとりいれられ、熱交換器12、ファン14を通過し、筐体11下部の吹出し口B1から、筐体11の外部に吹出される。吹出される空気の向きは、フラップ15の位置によって制御される。
【0021】
(2)詳細構成
(2-1)フラップ15
本実施形態のフラップ15の全体の斜視図を図5に、第1端部領域A1付近の拡大図を図6A、6Bに示す。
【0022】
フラップ15は、図3に示すように、室内ユニット10の筐体11の吹出し口B1付近に取り付けられている。吹出し口B1には、フラップ15の風向制御を補助する補助フラップ151が取り付けられている。フラップ15は、図5に示す3箇所の取り付け部41a、41b、41cで、筐体11に固定されている。フラップ15は、取り付け部41a、41b、41cを軸にして回転して、吹出し口B1を開閉し、かつ、空気の吹出し方向を制御することができる。フラップ15は、壁にかけられた室内ユニット10を正面から見て左右方向(幅方向)に長くなっており、この方向を長手方向と呼ぶ。
【0023】
フラップ15は、メインフラップ50と、第1サブフラップ51と、第2サブフラップ52とを有している。図4の断面図は、運転状態におけるフラップ15の姿勢を示している。空気調和運転の停止時には、フラップ15は回転して吹出し口B1を閉じる。
【0024】
メインフラップ50は、運転停止状態において筐体11の内側となる第1面50aと、筐体11の外側となる第2面50bとを有している。第1サブフラップ51および第2サブフラップ52は、第1面50aに配置されている。
【0025】
メインフラップ50は、図4の断面図から分かるように、風上側の端部において第2面50bが凸になるように湾曲している。メインフラップ50は、図5に示すように、長手方向に、第1端部領域A1と、第2端部領域A2と、中央領域A3に分けることができる。第1端部領域A1には、第1サブフラップ51が配置され、第2端部領域A2には、第2サブフラップ52が配置されている。第1サブフラップ51は、必ずしもメインフラップ50の端部に配置されていなくてもよい。言い換えると、第1サブフラップ51は、メインフラップ50の端部より長手方向に隙間をあけて配置されても良い。第2サブフラップ52も同様である。
【0026】
第1端部領域A1(第1サブフラップ51の配置されている領域)の長手方向の長さは、メインフラップ全体の長手方向の長さの15%程度である。5%以上30%以下が好ましい。第2端部領域A2の長手方向の長さについても、同様である。
【0027】
また、メインフラップ50の第1面50aには、多数の保水溝501が形成されている。保水溝501はフラップで生じた結露水を保持し、蒸発させるためのものである。
【0028】
第1端部領域A1の風上側の縁E1は、中央領域A3の風上側の縁E3よりも、風下側である。言い換えると、第1端部領域A1の風流れ方向の長さL1は、中央領域A3の風流れ方向の長さL3よりも短い。第1端部領域A1の風流れ方向の長さL1は、中央領域A3の風流れ方向の長さL3の70%以上95%以下である。
【0029】
同様に、第2端部領域A2の風上側の縁E2は、中央領域A3の風上側の縁E3よりも、風下側である。言い換えると、第2端部領域A2の風流れ方向の長さL2は、中央領域A3の風流れ方向の長さL3よりも短い。第2端部領域A2の風流れ方向の長さL2は、中央領域A3の風流れ方向の長さL3の70%以上95%以下である。
【0030】
第1サブフラップ51は、第1風向調整部511と、第1支持部512とを有する。同様に、第2サブフラップ52は、第2風向調整部521と、第2支持部522とを有する。第1サブフラップ51と第2サブフラップ52は、ほとんど構成が同じなので、以下では、第1サブフラップ51について説明する。
【0031】
第1風向調整部511は、図4の断面図に示すように、空気調和装置1の空気調和運転時において、吹出し口B1とメインフラップ50の第1端部領域A1との間に配置される。言い換えると、第1風向調整部511は、メインフラップ50の第1端部領域A1において、メインフラップ50の第1面50aの近傍に、第1面50aから離れて配置されている。
【0032】
第1風向調整部511は、図6A、6Bに示すように、風上側部分511aと風下側部分511bとを有し、風上側部分511aと風下側部分511bとの間には、空隙S1が配置されている。図6A、6Bでは、風上側部分511aと風下側部分511bとは、同一の面上にある、言い換えると同一の板の一部のように見えるが、必ずしもこのように限定されない。風上側部分511aと風下側部分511bとが別の部材から構成されていてもよい。風上側部分511aとメインフラップ50との距離、風下側部分511bとメインフラップ50との距離が異なっていてもよい。風上側部分511aと風下側部分511bとの傾斜角度が異なっていてもよい。
【0033】
空隙S1の風流れ方向の長さLS1は、第1風向調整部511の風上側部分511aの風流れ方向の長さL511aの50%以上200%以下である。より好ましくは、80%以上120%以下である。
【0034】
第1風向調整部511の風下側部分511bの風下側縁部E4は、図6A、6Bに示すように、内側の第1支持部512b、512cに近づくにつれて、風下側に近づくように、傾斜して配置されている。このように構成することによって、第1風向調整部511に結露した結露水を円滑に第1支持部512を経由して、メインフラップ50に流すことができる。
【0035】
第1支持部512は、第1風向調整部511をメインフラップ50の第1面50a、かつ、第1端部領域A1に固定する。第1支持部512は、板状であり、空気調和装置1の運転時の風向に略並行に配置されている。第1支持部512は、板状に限定されず、棒状や他の形状であっても、第1風向調整部511をメインフラップ50に固定できればよい。第1支持部512a~512dは、複数である。本実施形態においては、4枚の板から構成されている。たとえば、2枚以上10枚以下で構成されていてもよい。第1支持部512の第1風向調整部511よりも風下側の部分は、外向きに凸の曲面となっている。この第1支持部512の曲面は、第1導水路R1の一部を構成する。そして、第1支持部512の風下側の縁部は、メインフラップ50の保水溝501に接続されている。言い換えると、第1風向調整部511に発生した結露水は、第1導水路R1を経由して、メインフラップ50の保水溝501に導かれる。第1導水路R1は、第1風向調整部511の風下側部分511bの縁部E4、第1支持部512の風下側の曲面などから構成されている。
【0036】
第2サブフラップ52の構成は、第1サブフラップ51の構成とほとんど同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0037】
(3)特徴
(3-1)
第1実施形態の空気調和装置1の室内ユニット10はフラップ15を備え、フラップ15は、メインフラップ50と、第1サブフラップ51と、第2サブフラップ52とを有している。本実施形態のフラップ15の特徴を、図7、8を用いて、従来技術(図1、2)と比較して説明する。図1、2、7、8、9で太い線の矢印は、空調運転時の空気の流れを示す。なお、(3-1)で説明する第1実施形態のフラップ15の作用効果は、変形例1Aのフラップ15aの作用効果と共通しているものが多いので、一部は、変形例1Aの図9を用いて説明する。
【0038】
図1には従来のフラップ15xを用いた室内ユニット10xにおける風の流れを示す。従来のフラップ15xは、図1に示すように湾曲フラップである。従来のフラップ15xは、第1実施形態のフラップ15と同等のメインフラップ50を有するが、サブフラップは有さない。図1に示すように、室内ファン14により吹出された空気は、フラップ15xの第1面50a側、第2面50b側に別れ、再び合流して、室内に吹出されていく。フラップ15xは湾曲フラップなので、このときフラップ15xの第1面50a側では、図1に示すように、空気の流れが悪い死水域D1が生じることがある。死水域D1に、室内ユニット10xの側面や前面から暖かい空気が流れ込むと、冷房運転時の冷たい空気で冷却されたフラップ15xに結露することになる。
【0039】
このような結露は、フラップ15xの長手方向端部でも中央部でも起こり得るが、フラップ15xの端部においては、図2の点線矢印に示すように側方から侵入する空気があるので、特に顕著である。
【0040】
このような死水域D1における結露を改善するために、本実施形態のフラップ15(または変形例1Aのフラップ15a)においては、サブフラップ51、52を設けている。フラップ15aでは、サブフラップ51、52をメインフラップ50の第1面50a側に配置することにより、図9に示すように、メインフラップ50の第1面50a上の死水域を低減することができる。より具体的には、サブフラップ51を設けることにより、メインフラップ50の第1面50aにより近い側に空気の流れを生じさせて、空気の流れの悪い部分を減らすことができる。死水域を減らすことによって、結露を低減することができる。
【0041】
本実施形態のサブフラップ51、52は、フラップ15の両端部領域A1、A2に配置されているので、空気の侵入を抑制することができるため、効率的に結露が生じるのを抑制することができる。
【0042】
(3-2)
本実施形態のメインフラップ50においては、両端部領域A1、A2において、風上側の縁E1、E2は、中央領域A3の風上側の縁E3よりも風下側に配置されている。言い換えるとメインフラップ50の両端部において、風上側の縁は削除されている。図4の断面図から明らかなように、メインフラップ50の風上側の縁は、第1面50a側に湾曲している。本実施形態のフラップ15では、この部分が両端部領域A1、A2において短くなっている。
【0043】
本実施形態のフラップ15は、このような構成により、両端部領域A1、A2において、メインフラップ50の第1面50a側を流れる空気をより第1面50aの近くを流れるようにすることができる。これによって、フラップ15の両端部領域A1、A2において、死水域を減少させることができ、結露を効果的に防止することができる。
【0044】
(3-3)
本実施形態のフラップ15においては、さらに、第1サブフラップ51は、第1風向調整部511を、風上側部分511aと風下側部分511bに区画する空隙S1を有している。この空隙の効果について、次に説明する。
【0045】
(3-1)では、図9を用いて、本実施形態のフラップ15(ただし、図9は、変形例1Aのフラップ15aである。)の死水域D1低減効果について説明した。図9では、死水域D1は、低減されるが、風向調整部511、521の表面には、死水域D2が新たに形成される。ただし、死水域D2は、死水域D1よりは、断面積が小さいため結露発生は十分に抑制できている。さらに、D2による結露発生の抑制のために、風向調整部511、521に空隙S1を配置するのがより好ましい。
【0046】
第1風向調整部に空隙S1を配置した場合の空気の流れを模式的に図7に示す。室内ファン14によって吹出された空気の一部は、メインフラップ50の第1面50a上で空隙S1を通過して流れる。これによって、風向調整部511、521上の死水域D2は減少し、結露は減少する。
【0047】
(3-4)
本実施形態のフラップ15は、サブフラップ51、52の特有の構成により、風向調整部511、521上には、結露しにくくなっている。しかし、結露した場合には、その結露水をメインフラップ50に導くための導水路が配置されている。サブフラップ51について具体的に説明する。サブフラップ51の導水路R1は、支持部512a~512dと、風向調整部511の風下側部分511bとを含んでいる。支持部512は、風向に平行に配置されており、風下側に外向きに凸の曲面を有している。また、風向調整部511の風下側部分511bの縁部は、内側の支持部512b、512cに近づくにつれて風下側に配置されるように構成されている。さらに、支持部512の風下側部分で導水路R1は、メインフラップ50の保水溝501に接続されている。サブフラップ52の場合も同様である。
【0048】
本実施形態のフラップ15は、導水路R1、R2により、サブフラップ51、52の風向調整部511、521で生じた結露水を円滑に、メインフラップ50に導くことができる。
【0049】
(4)変形例
(4-1)変形例1A
変形例1Aの空気調和装置の室内ユニットのフラップ15aは、(3)特徴で既に説明したように、第1実施形態のフラップ15のサブフラップ51、52に配置された空隙S1、S2が無い。言い換えると、サブフラップ51、52の風上側部分511a、521aと風下側部分511bと521bとはそれぞれ連続している。変形例1Aの場合は、図9に示すように死水域D2が風向調整部511に形成されるが、死水域D2は、死水域D1よりもずっと小さく、結露は、サブフラップが無い場合に比べて、大幅に低減される。
【0050】
(4-2)変形例1B
変形例1Bのフラップ15bの第1端部領域A1付近の拡大図を図10に示す。
【0051】
第1風向調整部511の風下側部分511bの風下側縁部E4が直線的であるところが、第1実施形態と異なる。その他の構成は、第1実施形態のフラップ15と同じである。
【0052】
変形例1Bのフラップ15bにおいては、第1風向調整部511上で生じた結露水の流れが、第1実施形態と多少異なる。その他の作用効果については、ほとんど第1実施形態と同様である。
【0053】
(4-3)変形例1C
変形例1Cのフラップ15cの第1端部領域A1付近の拡大図を図11に示す。
【0054】
第1実施形態のフラップ15においては、サブフラップ51の第1風向調整部511は、風上側部分511aと、風下側部分511bと、風上側部分511aと風下側部分511bの間の空隙S1とを有している。変形例1Cのフラップ15cにおいては、サブフラップ51の第1風向調整部511は、さらに、風下側部分511bより風下側部分511cと、風下側部分511bと風下側部分511cの間の空隙S11とを有している。
【0055】
このような構成により、変形例1Cのフラップ15cは、死水域D2がさらに低減され、結露水の発生をさらに低減できる。
【0056】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0057】
1 空気調和装置
10 室内ユニット
11 筐体
12 熱交換器
13 ドレンパン
14 室内ファン
15 フラップ
151 補助フラップ
50 メインフラップ
51 第1サブフラップ
52 第2サブフラップ
511 第1風向調整部
512、512a~512d 第1支持部
521 第2風向調整部
522 第2支持部
A1 第1端部領域
A2 第2端部領域
A3 中央領域
B1 空気の吹出し口
B2 空気の吸込み口
E1 第1端部領域の風上側の縁
E2 第2端部領域の風上側の縁
E3 中央領域の風上側の縁
L1 第1端部領域の風流れ方向の長さ
L2 第2端部領域の風流れ方向の長さ
L3 中央領域の風流れ方向の長さ
R1 第1導水路
R2 第2導水路
S1、S2 空隙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【文献】特開2013-96637号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11