(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】ガラス容器コーティング用モジュール式フード
(51)【国際特許分類】
C03C 17/00 20060101AFI20221215BHJP
【FI】
C03C17/00
(21)【出願番号】P 2019553040
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(86)【国際出願番号】 US2018024420
(87)【国際公開番号】W WO2018183227
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-12
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・ジェイ・ニハート
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・シー・スミス
【審査官】和瀬田 芳正
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第01/025503(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0159199(US,A1)
【文献】特開2009-197329(JP,A)
【文献】特公昭58-27215(JP,B2)
【文献】実開昭54-019247(JP,U)
【文献】特表2015-520720(JP,A)
【文献】国際公開第96/033955(WO,A1)
【文献】米国特許第03842793(US,A)
【文献】米国特許第05599369(US,A)
【文献】米国特許第04389234(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 17/00
C23C 14/00 - 16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス容器を化学化合物でコーティングするモジュール式装置であって、
コーティングフードセクション(10a)であって、入口(32)と出口(44)とを有する内部チャンバ(18,20a,20b)を画定する一連の相互接続壁(12
)、及び前記入口(32)から前記出口(44)へと空気を送るように、前記内部チャンバ(18,20a,20b)内に少なくとも部分的に配置された送風機(24
)を有するコーティングフードセクション(10a)と、
前記内部チャンバ(18,20a,20b)内に着脱可能に配置された複数の仕切り(38)であって、前記コーティングフードセクション(10a)を通して空気を送るために、前記入口(32)と前記送風機(24)の間、または前記送風機(24)と前記出口(44)の間に配置される複数の仕切り(38)と、
前記コーティングフードセクション(10a)を、略同一のコーティングフードセクション(10b)に接続する手段(50)であって、前記コーティングフードセクション(10a)の
少なくとも1つの前記相互接続壁(12
)上に画定された接続する手段(50)と、
を備え、
前記接続する手段(50)は、前記コーティングフードセクションの対向する側壁に配置され、
前記略同一の装置(10b)は、前記接続する手段(50)を有し、前記略同一のコーティングフードセクション(10b)上の前記接続する手段(50)は、前記コーティングフードセクション(10a)上の前記接続する手段(50)に対して、取り外し可能に接続されるように構成さ
れ、
前記内部チャンバ(18,20a,20b)は、前記入口(32)に連通する吸引チャンバ(20a)と、前記出口(44)に連通する吹込みチャンバ(20b)とを含み、前記モジュール式装置は、前記吹込みチャンバ(20b)と、前記吸引チャンバ(20a)との間に配置された仕切り(22)をさらに備える、
モジュール式装置。
【請求項2】
前記接続する手段は、コネクタ、スロット、つまみ、タブ、ボルト、開口部、ファスナ、ネジ、隆起面、クランプ、クリップ、磁石、および突起から成る群から選択される、請求項1に記載のモジュール式装置。
【請求項3】
前記内部チャンバ(18,20a,20b)は、前記吸引チャンバ(20a)と、前記吹込みチャンバ(20b)とに連通する、移送チャンバ(18)を含む、請求項
1に記載のモジュール式装置。
【請求項4】
前記送風機(24)は少なくとも部分的に前記移送チャンバ(18)内に配置される、請求項
3に記載のモジュール式装置。
【請求項5】
前記吸引チャンバ(20a)は、前記化学化合物が通過する、一連の別個のスロット(36)を含み、前記吹込みチャンバ(20b)は、前記化学化合物が通過する、一連の別個のスロット(36)を含む、請求項
1に記載のモジュール式装置。
【請求項6】
前記化学化合物を前記吹込みチャンバ(20b)内に送り込むように、インジェクタ(420)が配置される、請求項
1に記載のモジュール式装置。
【請求項7】
前記移送チャンバ(18)を、前記吹込みチャンバ(20b)および前記吸引チャンバ(20a)から分ける壁(31)をさらに備える、請求項
3に記載のモジュール式装置。
【請求項8】
各仕切り(38)は前記コーティングフードセクション(10a)の上壁(39)および底壁(41)に着脱可能に接続されている、請求項1に記載のモジュール式装置。
【請求項9】
各仕切り(38)は、先細りの先端分および先細りの後端部を有し、各端部は、前記コーティングフードセクション(10a)の前記上壁(39)および前記底壁(41)との間に延びる、請求項
8に記載のモジュール式装置。
【請求項10】
各仕切り(38)に対して、前記上壁(39)は、前記仕切り(38)の中空内部と対応する開口部を含む、請求項
8に記載のモジュール式装置。
【請求項11】
各仕切り(38)の断面が船体形状である、請求項1に記載のモジュール式装置。
【請求項12】
各仕切り(38)が中空内部を有する、請求項1に記載のモジュール式装置。
【請求項13】
前記仕切り(38)は一列に配置され、互いに平行である、請求項1に記載のモジュール式装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス容器コーティング用のモジュール式コーティングフードに関する。ガラス容器をコーティングするための可変モジュラーコーティングフードは、少なくとも2つ以上の着脱可能および/または取り外し可能に接続されたセクションを含む。この少なくとも2つのセクションは互いに接続されることで、ガラス物品を化学化合物でコーティングするためのモジュール式装置を提供し、必要に応じて分解および再接続することができる。着脱可能および/または取り外し可能に接続されたセクションは、好ましくは略同一であるか、より好ましくは同一である。
【背景技術】
【0002】
ガラス容器の製造プロセスにおいて、一般的に、ガラス容器は例えば耐久性向上のため、外面が金属酸化物コーティングでコーティングされる。
【0003】
従来、このコーティング処理は、コーティングフードで行われている。コーティングフードは、例えば、米国特許出願公開第2015/0101537号明細書、米国特許第4,389,234号明細書、米国特許第5,081,953号明細書、米国特許第5,140,940号明細書、米国特許第5,454,873号明細書、米国特許第5,599,369号明細書、米国特許第5,584,903号明細書、および国際公開第1996020142号に開示されている。これら各文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2015/0101537号明細書
【文献】米国特許第4,389,234号明細書
【文献】米国特許第5,081,953号明細書
【文献】米国特許第5,140,940号明細書
【文献】米国特許第5,454,873号明細書
【文献】米国特許第5,599,369号明細書
【文献】米国特許第5,584,903号明細書
【文献】国際公開第1996020142号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
組立ライン式動作の場合、ガラス容器がコーティングフードに形成されたトンネルを通過する際に、コーティング蒸気がガラス容器の外面に噴射される。
【0006】
製造、在庫、および内部資本上の制約により、通常、コーティングフードメーカーが提供できるコーティングフードの固定長さ(例えば、長さ2フィート、8フィートなど)の数は限られている。そして顧客はその現状の用途に応じて、最適な固定長さを選択する。そこで顧客が入手できるコーティングフードは、その現状の需要に対して、長すぎるか、かろうじて利用可能であるこということが多い。顧客にとって、コーティングフードの長さの変更は容易ではない。また、コーティングフードの動作寿命は長いため、顧客は、生産スケジュールが変更されても、同じ固定長フードの使用を余儀なくされてしまう。
【0007】
このことから、産業、特にガラスコーティング産業では、ユーザーのニーズに応じてユーザーが容易に変更しやすく、また容易に清掃および点検可能な、ガラス容器コーティング用可変コーティングフードの提供が求められている。この装置は、容器のホットまたはコールドエンドコーティングに使用可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の様々な態様および実施形態は、以下のように要約され得る:
態様1:ガラス物品を化学化合物でコーティングするモジュール式装置が提供される。モジュール式装置は、入口(32)と出口(44)とを有する内部チャンバ(18,20a,20b)を画定する一連の相互接続壁(12)と、前記入口(32)から前記出口(44)へと空気を送るように、前記内部チャンバ(18,20a,20b)内に少なくとも部分的に配置された送風機(24)とを有するコーティングフードセクション(10a)と、前記コーティングフードセクション(10a)を、同一のコーティングフードセクション(10b)に接続する手段(50)であって、前記コーティングフードセクション(10a)の前記相互接続壁(12)の少なくとも1つ上に画定された接続する手段(50)と、を備える。
【0009】
態様2:前記接続する手段(50)は、前記コーティングフードセクションの対向する側壁に配置される、態様1に記載のモジュール式装置。
【0010】
態様3:前記接続する手段は、コネクタ、スロット、つまみ、タブ、ボルト、開口部、ファスナ、ネジ、隆起面、クランプ、クリップ、磁石、および突起から成る群から選択される、態様1また2に記載のモジュール式装置。
【0011】
態様4:前記同一の装置(10b)は、前記接続する手段(50)を有し、前記同一のコーティングフードセクション(10b)上の前記接続する手段(50)は、前記コーティングフードセクション(10a)上の前記接続する手段(50)に対して、取り外し可能に接続されるように構成される、態様1から3のいずれかに記載のモジュール式装置。
【0012】
態様5:前記内部チャンバ(18,20a,20b)は、前記入口(32)に連通する吸引チャンバ(20a)と、前記出口(44)に連通する吹込みチャンバ(20b)とを含む、態様1から4のいずれかに記載のモジュール式装置。
【0013】
態様6:前記内部チャンバ(18,20a,20b)は、前記吸引チャンバ(20a)と、前記吹込みチャンバ(20b)とに連通する、移送チャンバ(18)を含む、態様5に記載のモジュール式装置。
【0014】
態様7:前記送風機(24)は少なくとも部分的に前記移送チャンバ(18)内に配置される、態様6に記載のモジュール式装置。
【0015】
態様8:前記吸引チャンバ(20a)は、前記化学化合物が通過する、一連の別個のスロット(36)を含み、前記吹込みチャンバ(20b)は、前記化学化合物が通過する、一連の別個のスロット(48)を含む、態様5に記載のモジュール式装置。
【0016】
態様9:前記化学化合物を前記吹込みチャンバ(20b)内に送り込むように、インジェクタ(420)が配置される、態様5に記載のモジュール式装置。
【0017】
態様10:前記吹込みチャンバ(20b)と、前記吸引チャンバ(20a)との間に配置された仕切り(22)をさらに備える、態様5に記載のモジュール式装置。
【0018】
態様11:前記移送チャンバ(18)を、前記吹込みチャンバ(20b)および前記吸引チャンバ(20a)から分ける壁(31)をさらに備える、態様6に記載のモジュール式装置。
【0019】
態様12:2つの同一のコーティングフードセクション(10a,10b)を互いに組み付ける方法であって、
前記2つの同一のコーティングフード(10a,10b)の一方に設けられた接続する手段(50)と、前記2つの同一のコーティングフード(10a,10b)の他方に設けられた、接続する手段(50)とを接続することを含む方法。
【0020】
態様13:さらなる同一のコーティングフード(10a,10b)に設けられた接続する手段(50)を、前記2つの同一のコーティングフード(10a,10b)の他方に設けられたさらなる接続する手段(50)に接続することをさらに含む、態様12に記載の方法。
【0021】
態様14:2つの同一のコーティングフードセクション(10a,10b)を分離する方法であって、
前記2つの同一のコーティングフード(10a,10b)の一方に設けられた接続する手段(50)を、前記2つの同一のコーティングフード(10a,10b)の他方に設けられた、接続する手段(50)から取り外すことを含む方法。
【0022】
態様15:さらなる同一のコーティングフード(10a,10b)に設けられた接続する手段(50)を、前記2つの同一のコーティングフード(10a,10b)の他方に設けられたさらなる接続する手段(50)から取り外すことをさらに含む、態様14に記載の方法。
【0023】
態様16:化学化合物でガラス物品をコーティングするモジュール式装置であって、少なくとも2つの着脱可能および/または取り外し可能に接続されたセクションを備える、モジュール式装置。
【0024】
態様17:前記少なくとも2つの着脱可能および/または取り外し可能に接続されるセクションは、互いに接続されることで、ガラス物品を化学化合物でコーティングする前記モジュール式装置が形成され、分離または取り外されることで前記モジュール式装置が分解される、態様16に記載のモジュール式装置。
【0025】
態様18:前記少なくとも2つの着脱可能または取り外し可能に接続された各セクションは、略同一であるか同一である、態様16に記載のモジュール式装置。
【0026】
本発明は、以下の詳細な説明を、添付の図面を参照に読むことで、最もよく理解されよう。図面は以下の図を含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】従来技術によるボトル用の二重蒸気ループコーティングフードの部分概略図を示す。
【
図2】従来技術によるボトル用の二重蒸気ループコーティングフードの部分概略図を示す。
【
図3】従来技術によるボトル用の二重蒸気ループコーティングフードの部分概略図を示す。
【
図4】従来技術による
図1~
図3の二重蒸気ループコーティングフードの動作方法を示す。
【
図5】本発明の一実施形態による、2つのモジュール式コーティングフードセクションを含むモジュール式単一蒸気ループコーティングフードの等角図を示す。
【
図6】本発明の一実施形態による、2つのモジュール式コーティングフードセクションを含むモジュール式単一蒸気ループコーティングフードの等角図を示す。
【
図7】
図5のモジュール式コーティングフードの上平面図を示す。
【
図8】
図5のモジュール式コーティングフードの側立面図を示す。
【
図9】4つのモジュール式コーティングフードセクションを含むモジュール式二重蒸気ループコーティングフードの上平面図を示している。
【
図10】一次ループおよび再循環ループを生成するように変形された
図9のモジュール式二重蒸気ループコーティングフードの平面図を示す。
【
図11】連続的ループを生成するように変形された
図9のモジュール式二重蒸気ループコーティングフードの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、以下の詳細な説明を、例示目的で選ばれた本発明の例示的実施形態を示す添付の図面を参照して読むことで最もよく理解されよう。本発明を、図面を参照して説明する。同図は、限定ではなく例示を意図しており、本発明の説明を容易にするために本明細書に含まれている。
【0029】
この例示的な実施形態の説明は、記載の説明全体の一部とみなされる添付の図面を参照して読まれることを意図している。説明では、「下」、「上」、「横」、「縦」、「上方」、「下方」、「上部」、「下部」、「頂部」、「底部」などの相対的な用語およびその関連用語(例えば、「水平に」、「下向きに」、「上向きに」など)は、該当する説明において、または参照された図面に示される方向を指すと解釈されるべきである。これらの相対的な用語は、説明のため便宜上に利用されるものであり、装置を特定の向きに構築または操作することを求めるものではない。「接続」や「相互接続」などの取り付け、結合などに関する用語は、別途記載のない限り、構造が直接または間接的に介在構造を介して相互に固定または取り付けられる関係、および着脱可能または強固な取り付けまたは関係の両方を示す。
【0030】
最初に従来技術のコーティングフードについて簡潔に述べることで、本発明が最もよく理解されるであろう。
図1~
図3は、米国特許第4,389,234号明細書に記載の、ボトル用二重蒸気ループコーティングフード400の部分概略図を示す。同文献は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。コーティングフード400は、一般に、略同一の、2つの対向するフードセクション401aおよび401bを含む。図示されていないが、中央フード部分が、対向するフードセクション401aと401bとの間に配置されている。中央フード部分のさらなる詳細については、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,668,268号明細書を参照されたい。ボトル103は、対向するフードセクション401aと401bとの間に画定される密閉空間を通過する。密閉空間は、コーティング化合物が大気中に抜けることを制限する。
【0031】
フードセクション401bの特徴を以下に説明する。フードセクション401aおよび401bは略同一であることを理解されたい。したがって、フードセクション401bの前述の説明は、フードセクション401aにも当てはまる。フードセクション401bは、プレナムハウジング402を含む。プレナムハウジング402は、長方形のベース部分407aと、ベース部分407aの前端から延びるマニホルド部分407bとを含む。
【0032】
図2および
図3に最もよく示されるように、3つの実質的に密閉された内部チャンバ403a~403cがプレナムハウジング402内に画定されている。ハウジング402の内部チャンバ403aは、ハウジング402の、上壁405h、底壁405g、前壁405f、外壁405a、後壁405b、および内壁405cにより画定される。ハウジング402の内部チャンバ403bは、ハウジング402の上壁405h、底壁405g、前壁405f、内壁405c、内壁405d、および後壁405bにより画定される。最後に、ハウジング402の内部チャンバ403cは、ハウジング402の上壁405h、底壁405g、前壁405f、外壁405e、後壁405b、および内壁405dにより画定される。
【0033】
図2および
図3を参照すると、内部チャンバ403aおよび403cは、C字形の中空通路406により流体連通している。したがって、流体蒸気は、中空通路406を介して内部チャンバ403aからチャンバ403cに移動する。
【0034】
ここで
図3を参照すると、プレナムハウジング402の前壁405fに、一連の開口部またはスロット411aおよび411bが画定されている。スロット411aは吹込みスロットとして構成され、スロット411bは吸引スロットとして構成される。吹込みスロット411aは、本明細書では1つまたは複数の出口とも呼ばれ、吸引スロット411bは、本明細書では1つまたは複数の入口とも呼ばれ得る。
【0035】
2つの送風機408および409がハウジング402に取り付けられている。各送風機408および409は、シャフトによってモーターに取り付けられた回転ファンブレード404を有する。送風機408のファンブレード404は、内部チャンバ403bに配置され、送風機409のファンブレード404は、内部チャンバ403cに配置される。送風機408および409のモーターは任意で、ハウジング402外に配置される。
【0036】
図1に示すように、インジェクタ420が、送風機408のファンブレード404に隣接するハウジング402の上壁405hに取り付けられている。インジェクタ420の基端は、液体コーティング化学物質が液体コーティング供給源(不図示)から送られる導管430(その一部が図示されている)に流体接続されている。
図1では、インジェクタ420の先端が見えるように、ハウジング402の側壁405eが部分的に切り取られている。
【0037】
フードセクション401bのインジェクタ420の先端は、送風機ファンブレード404の下流に配置され、送風機ファンブレード404から距離「D1」だけ軸方向に間隔を空けて配置される。インジェクタ420の先端は、距離「D2」だけハウジング402のマニホルド部分407b内に延在する。
【0038】
図4を参照すると、二重蒸気ループコーティングフード400の動作方法の1つによれば、各フードセクション401aおよび401bの送風機408および409がまず作動される。次いで、コーティング化学物質は、インジェクタ420を介して各フードセクション401aおよび401bのチャンバ403b内に送り込まれる。その後、ボトル103が、矢印454で示すように、フードセクション401aと401bとの間の経路に沿って運ばれる。
【0039】
上述のように、コーティングフード400は二重蒸気ループを有する。一次ループ450は、空気流450a~450dによって示され、再循環ループ452は、空気流452a~452dによって示される。
【0040】
一次ループ450では、フードセクション401aおよび401bの送風機408の圧力側により、空気流450cおよび450aがそれぞれフードセクション401aおよび401bのインジェクタ420を通じて流される。インジェクタ420によって送られるコーティング化学物質と混ざると、空気流450cおよび450aには気化コーティング化学物質が混入される。コーティング混入空気流450cおよび450aは、送風機408の圧力側によって、それぞれフードセクション401aおよび401bの内部チャンバ403bに対応する吹込みスロット441aから外に流される。コーティング混入流450cおよび450aは、それぞれフードセクション401aおよび401bの内部チャンバ403cに対応する吹込みスロット441aの前に位置するボトル103上を流れる。これによりボトル103が気化コーティング化学物質によりコーティングされる。
【0041】
フードセクション401aおよび401bの送風機408の真空側により、空気流450aおよび450cが吸引スロット441bを通じて、それぞれフードセクション401aおよび401bの内部チャンバ403b内に流される。フードセクション401aおよび401bの送風機408の真空側により、コーティング混入空気流450bおよび450dがそれぞれ、フードセクション401aおよび401bの内部チャンバ403を通じて流される。そして、送風機408の圧力側により空気流450cおよび450aがそれぞれフードセクション401aおよび401bのインジェクタ420を通じて流される間、一次ループが繰り返される。
【0042】
上述のように、コーティング混入空気流450aおよび450cはボトル103に接触する。コーティング混入空気流450aおよび450cがボトル103に接触すると、コーティング混入空気流450aおよび450cの一部がフードセクションの外周に向かって外側に拡散する。コーティング混入空気流450aおよび450cの、上述した拡散部分は、再循環ループ452内に回収される。
【0043】
再循環ループ452では、フードセクション401aおよび401bの送風機409の圧力側により、それぞれ、フードセクション401aおよび401bの内部チャンバ403cに対応する吹込みスロット441aから空気流452aおよび452cが外に流される。空気流452aおよび452cは、一次ループ450のコーティング混入空気流450aおよび450cの拡散部分と混ざる。再循環ループ452のコーティング混入流452aおよび452cは、それぞれフードセクション401aおよび401bの内部チャンバ403cに対応する吹込みスロット441aの前に位置するボトル103上を流れる。したがって、気化コーティング化学物質により、ボトル103が2回コーティングされる。
【0044】
前述のように、各フードセクションの内部チャンバ403aおよび403cは、通路406によって流体接続されている。したがって、フードセクション401bおよび401aの内部チャンバ403c内に配置された送風機409の真空側により、コーティング混入空気流452aおよび452cが、フードセクション401bおよび401aの内部チャンバ403aに対応する吸引スロット441bを通して引き込まれる。そして、送風機409の真空側により、空気流452dおよび452bが、通路406を通じて、それぞれフードセクション401bおよび401aの内部チャンバ403cに引き込まれる。そして、フードセクション401aおよび401bの送風機409の圧力側により、それぞれ、フードセクション401aおよび401bの内部チャンバ403cに対応する吹込みスロット441aから空気流452aおよび452cが外に流される間、再循環ループが繰り返される。
【0045】
背景技術の項目に記載のとおり、各フードセクション401は、固定長を有する一体型ユニットである。各フードセクション401は、2つの送風機408/409と、少なくとも3つのチャンバ403とを含む。個々のフードセクション401の一部を洗浄、点検または修理のために取り外すことは可能でも現実的でもない。
【0046】
この文脈で、
図5~
図8に例示される本発明に注目する。これらの図は、ボトル用のコーティングフード10を示している。
図5および
図6は、様々なマニホルド壁が切り欠かれて示されていることを理解されたい。これらの図および以下の説明は、好ましく成り得る実施形態を提供することをさらに理解されたい。ただし、これらの実施形態は非限定的な例であり、本発明は、例えば本明細書に記載および図示される様々な要素に対して、サイズ、形状、数、および配置が異なる、構成および要素を含む。
【0047】
コーティングフード10は、一般に、少なくとも2つ以上の対向するフードセクション10aおよび10bを含む。好ましくは、フードセクション10aおよび10bは同一または略同一である。図示されていないが、中央フード部分が、対向するフードセクション10aと10bとの間に配置されている。中央フード部分のさらなる詳細については、例えば全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,668,268号を参照されたい。ボトル103は、対向するフードセクション10aと10bとの間に画定される密閉空間を通過する。密閉空間は、コーティング化合物が大気中に抜けることを制限する。
【0048】
フードセクション10aの特徴を以下に説明するが、フードセクション10aおよび10bは同一または略同一であることが好ましいことを理解されたい。したがって、フードセクション10aの前述の説明は、フードセクション10bにも当てはまる。
【0049】
フードセクション10aは、プレナムハウジング12と、プレナムハウジング12に取り付けられた単一の送風機24とを含む。プレナムハウジング12は、例えば略長方形のベース部分14と、ベース部分14の前端から延びるマニホルド部分16とを含む。ベース部分14とマニホルド部分16は、例えば溶接によって相互接続されている。プレナムハウジング12は、例えば、スチールまたはアルミニウム製シートメタルパネルから形成されてもよい。
【0050】
単一の略長方形の内部移送チャンバ18がベース部分14に画定される。送風機24のファンブレード羽26は、内部チャンバ18内に配置される。送風機24は、
図4に示すものとは逆方向に動作するが、送風機24は、
図4に示すものと同じ方向に動作させることもできることを理解されたい。
【0051】
2つのチャンバ20aおよび20bは、マニホルド部分16に画定され、仕切り22によって物理的に分離されている。マニホルド部分16の吸引チャンバ20aは、仕切り22を含むハウジング12の壁によって部分的に囲まれている。吸引チャンバ20aは、入口端32と出口端30との間で延在する。出口端30は、吸引チャンバ20aと移送チャンバ18とを分けるハウジング12の壁31に設けられた漏斗状の開口部である。出口端30は、送風機24のファンブレード羽26と実質的に整合する開口部33(
図6参照)を含む。吸引チャンバ20aには、4~10個、好ましくは5~8個、より好ましくは6個の一連のブロアスロット36が設けられている。吸引スロット36は、仕切り38、仕切り22、およびハウジング壁40の形態をとる、ハウジング12の隣接する構造間に形成される。
【0052】
図示されていないが、化学物質を吸引チャンバ20aに送り込むために、インジェクタ(インジェクタ420と同様)をフードセクション10aに取り付けてもよい。化学物質は、液体状態でインジェクタを介して流通され、その後コーティングフードを通過する際に気化する。あるいは、化学物質は、気体または蒸気状態でインジェクタを通して流通されてもよい。
【0053】
マニホルド部分16の吹込みチャンバ20bは、仕切り22を含むハウジング12の壁によって部分的に囲まれている。吹込みチャンバ20bは、入口端46と出口端44との間で延在する。
図6に最もよく示すように、吹込みチャンバ20bの入口端46は、ベース部分14の内部移送チャンバ18内に開口し、流体連通している。吹込みチャンバ20bには、4~10個、好ましくは5~8個、より好ましくは6個の一連の吹込みスロット48が設けられている。吹込みスロット48は、仕切り38、仕切り22、およびハウジング壁49の形態をとる、隣接する構造間に形成される。
【0054】
チャンバ10aおよび10bの各仕切り38は、断面が略船体形状であり(
図7に示す)、ハウジング12の高さ寸法「H」(
図6参照)に沿って延在する。
図5に示すように、各仕切り38は、ハウジング12の上壁39および底壁41に接続されている。図示のように、仕切り38は中空状であってもよいが、空気が仕切り38の内に侵入することは防止されることが理解されたい。仕切り38は、ハウジング12に着脱可能に接続されてもよい。また、仕切り38および対応する吸引スロット36の形状および数は、図示および説明されているものとは異なり得るが、その場合も本発明の範囲内にあるとみなされることが理解されたい。
【0055】
各フードセクション10a/10bは、隣接するフードセクションに接続するための手段50を含む。
図9および
図10に、接続されたフードセクション10a/10bを示す。手段50は、
図5および
図6に概略的に示されている。手段50の非限定的な例としては、コネクタ、スロット、つまみ、タブ、ボルト、開口部、ファスナ、ネジ、隆起面、クランプ、クリップ、磁石、突起、および/または当業者に知られているその他任意の締結手段が挙げられる。手段50は、好ましくは、接続されたフードセクション10a/10b間の取り外し可能および/または着脱可能な接続を実現することで、フードセクションが必要に応じて接続または分離および/または分解可能となる。ただし、手段50は、エンドユーザーの希望に応じて、永続的な接続を実現してもよい。
【0056】
手段50は、各フードセクション10a/10bの対向する側壁40および49に設けられる。あるいは、手段50は、各フードセクション10a/10bの上壁39および/または底壁41に設けられてもよい。接続されたフードセクション10a/10bを固定するために、壁39、40、41および/または49それぞれに1つまたは複数の手段50を設けてもよい。手段50は、特定の壁39、40、41および/または49の角(複数可)に設けられてもよい。
【0057】
本明細書に記載のモジュール式フードセクション10a/10bにより、コーティングフードメーカーは、特定の用途に必要なフード長さを作成するために顧客が後に取り付け、取り外し可能な略同一または同一のフードモジュールを製造できる。設置後、フードセクション10a/10bを既存の設備から取り外して、生産速度を変えたり、必要に応じて単一のフードセクション10a/10bの交換、修理、清掃を行ったりすることもできる。必要に応じて、2つ以上の任意の数のモジュール式フードセクション10a/10bを、いつでも互いに接続できる。あるいは、非モジュール式フードセクション(図示せず)をモジュール式フードセクション10a/10bの1つに接続してもよい。
【0058】
図示されていないが、各モジュール式フードセクション10a/10bは、持ち上げるための取手または窪みを含んでもよい。
【0059】
次に、上記の実施形態について、コーティングフード10の動作を説明する。
図7の矢印は、コーティングフード10を通る流体の流れを示す。動作時、
図7の矢印で示されるように、フードセクション10aの送風機24のファンブレードの回転により、流体が入口端32、さらに吸引スロット36を通じて、フードセクション10aの吸引チャンバ20aに送り込まれる。流体はさらに、フードセクション10bの送風機24の送風作用により、フードセクション10aの吸引チャンバ20a内に送り込まれる。フードセクション10aをさらに参照すると、流体は入口端30を介して内部移送チャンバ18に流通される。次いで、流体は、ファンブレードを通過して、入口端46、さらに吹込みスロット48を通じて、フードセクション10aの吹込みチャンバ20bに送られる。次に、流体は、出口端44を介して吹込みチャンバ20bを出て、ボトル103上に流通される。
【0060】
同時に、フードセクション10bの送風機24のファンブレードの回転により、流体が入口端32、さらに吸引スロット36を通じて、フードセクション10bの吸引チャンバ20aに送り込まれる。流体はさらに、(上述のように)フードセクション10aの送風機24の送風作用により、フードセクション10bの吸引チャンバ20a内に送り込まれる。その後流体は、フードセクション10bの入口端30を介して、フードセクション10bの内部移送チャンバ18内部に流通される。次いで、流体は、ファンブレードを通過して、入口端46、さらに吹込みスロット48を通じて、フードセクション10aの吹込みチャンバ20bに送られる。次に、流体は、出口端44を介して吹込みチャンバ20bを出て、ボトル103上に流通される。
【0061】
コーティングフードセクション10a/10bは、
図7に示すように単一の一次ループを実現するように配置されてもよい。あるいは、フードセクション10a/10bは1つ以上のフードセクション10a/10bに接続されて、
図9から
図11に示すような様々な別のループ構成の実施形態を実現してもよい。当該別のループ構成の実施形態を以下に説明する。なお、別のループ構成の実施形態と
図5~
図8のコーティングフードとの間の主な違いのみが説明されることが理解されたい。
【0062】
図9は、矢印で示すように、2つの別個の一次ループを形成するように接続される4つのフードセクション10a/10bを示す。
図9では、一方の一次ループが実線の矢印で示され、他方の一次ループが破線の矢印で示されている。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、
図9の上部に示されているフードセクション10a/10bの第1列は、フレーム59a内に収容されている。同様に、
図9の下部に示されているフードセクション10a/10bの第2列が、フレーム59b内に収容されている。個々のフードセクション10a/10b上の前述の手段50は、それぞれのフレーム59a/59bに設けられた嵌合接続手段に接続されてもよい。フレーム59a/59bは、様々な異なる長さ、形状、およびサイズで実現されてもよい。フレーム59aおよび59bは、他のコーティングフードの実施形態では示されていないが、フレーム59aおよび59bが、それらのコーティングフードの実施形態でも使用され得ることを理解されたい。フレーム59a/59bは、本発明の任意の特徴である。
【0064】
図10は、一次ループ58と再循環ループ60の両方を形成するように接続された4つのフードセクション10a/10bを示す。
図10において、再循環ループ60は破線の矢印で示され、一次ループ58は実線の矢印で示されている。
【0065】
図9のコーティングフードを、再循環ループ60を有する
図10のコーティングフードに変換するには、例えば、(i)各ベース部分14に仕切り62を追加して、各コーティングフードセクション10a/10bの、隣接するチャンバ20aおよび20b間の流体の移動を防止する、(ii)再循環ループ60を作成するために最も外側のチャンバ20a/20b間に外部導管64を追加する、(iii)一次ループ58を作成するために、最も内側のチャンバ20a/20b間に外部導管66を追加することが考えられる。外部導管64および66は、ハウジング12の後壁68に形成された開口部に接続する管である。
【0066】
ユーザーが再循環ループを組み込むことを望まない場合、仕切り62および導管64および66を除去し、後壁68の開口部を1つまたは複数のプレート(図示せず)で塞いてもよい。これにより、コーティングフードを
図9に示す構成に戻すことができる。
【0067】
図11は、単一の連続ループを形成するように接続された4つのフードセクション10a/10bを示す。
図11のコーティングフードは、
図10のコーティングフードと同様である。ただし、
図11のコーティングフードセクション10a2/10b2の第2(下側)列は、外部導管64および66および仕切り62を含まない。
【0068】
動作中、
図11の矢印で示されるように、送風機により、流体はフードセクション10a1のチャンバ20bからボトルを介してフードセクション10b2のチャンバ20aに移動し、フードセクション10b2の移送チャンバ18内へと移動する。フードセクション10b2のチャンバ20bへ、ボトル上を流れてフードセクション10a1のチャンバ20aへ、外部導管66を介して、フードセクション10b1のチャンバ20bへ、ボトル上を流れて、フードセクション10a2のチャンバ20aへ、フードセクション10a2の移送チャンバ18へ、フードセクション10a2のチャンバ20bへ、ボトル上を流れてフードセクション10b1のチャンバ20aへ、外部導管64を通って、フードセクション10a1のチャンバ20bへ最終的に戻される。
【0069】
当業者には、コーティングフードセクション10a/10bが、所望の目的を達成するために、各種構成および配置され得ることが理解されよう。
【0070】
本明細書内で、実施形態は、明確で簡潔な明細書が記載できるように説明されているが、各実施形態は、本発明から逸脱することなく、組み合わせ可能または個別に実施可能であることが意図されている。例えば、本明細書に記載されるすべての好ましい特徴は、本明細書に記載される本発明のすべての態様に適用可能であることが理解されよう。
【0071】
当業者であれば、本発明の要旨から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換に想到するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の要旨および範囲内にあるそれらすべての変形例を網羅するものとする。