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特許7194695吸収性樹脂粒子、吸収体及び吸収性物品、並びに吸収性樹脂粒子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-14
(45)【発行日】2022-12-22
(54)【発明の名称】吸収性樹脂粒子、吸収体及び吸収性物品、並びに吸収性樹脂粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20221215BHJP
   C08F 220/06 20060101ALI20221215BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20221215BHJP
   C08F 236/22 20060101ALI20221215BHJP
   C08L 33/02 20060101ALI20221215BHJP
   C08K 5/20 20060101ALI20221215BHJP
   C08L 27/12 20060101ALI20221215BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20221215BHJP
   C08K 3/30 20060101ALI20221215BHJP
   C08L 33/14 20060101ALI20221215BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20221215BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
C08J3/12 A CER
C08F220/06
C08F220/10
C08F236/22
C08L33/02
C08K5/20
C08L27/12
C08L83/04
C08K3/30
C08L33/14
A61F13/15 320
A61F13/53 300
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019558184
(86)(22)【出願日】2018-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2018044124
(87)【国際公開番号】W WO2019111812
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2017236204
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】301023009
【氏名又は名称】SDPグローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104813
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 信也
(72)【発明者】
【氏名】坂東 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】宮島 徹
(72)【発明者】
【氏名】野田 英利
【審査官】大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/204302(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/114245(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/133734(WO,A1)
【文献】特開2013-132434(JP,A)
【文献】国際公開第2017/057709(WO,A1)
【文献】特開2014-005472(JP,A)
【文献】特開2013-231199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00-3/28;99/00
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
C08C 19/00-19/44
C08F 6/00-246/00;301/00
A61F 13/15-13/84
B01J 20/00-20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(b1)を必須構成単位とする架橋重合体(A1)と疎水性物質(C)を含んでなる吸収性樹脂粒子であって、吸収性樹脂粒子の表面に通液向上剤(D)を含有し、
(1)0.9重量%生理食塩水の保水量が25~60g/g、
(2)重量平均粒子径が250~600μm、
(3)全吸収性樹脂粒子に対して、150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合が3重量%以下、
(4)吸収性樹脂粒子を生理食塩水に30分浸漬後の2.14kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度(ml/分)が5以上、及び、
(5)Vortex法による吸収速度(秒)が45以下
を満たしてなる吸収性樹脂粒子であって、疎水性物質(C)がHLB値は1~10のものであって、長鎖脂肪酸エステル又はHLB10以下の非イオン界面活性剤である、炭素数8~30の炭化水素基を含有する疎水性物質(C1)及び有機ポリシロキサンである疎水性物質(C3)からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、通液向上剤(D)が、多価金属塩(D1)及びカチオン性有機ポリマー(D2)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記多価金属塩(D1)が硫酸カリウムアルミニウム及び/又は硫酸ナトリウムアルミニウムであり、前記カチオン性有機ポリマー(D2)がポリアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩の単独重合体、及びアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩-アクリルアミド・共重合体からなる群から選択される少なくとも1種である、吸収性樹脂粒子
【請求項2】
見掛け密度(g/ml)が0.4以上0.8以下である、請求項1記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項3】
含水率が2.5~15重量%である、請求項1または2記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項4】
架橋重合体(A1)の重量に基づいて、疎水性物質(C)を0.001~2.0重量%および通液向上剤(D)を0.01~2.0重量%含有する、請求項1~3のいずれかに記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項5】
疎水性物質(C)を吸収性樹脂粒子の内部に含有する、請求項1~4のいずれかに記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項6】
吸収性樹脂粒子の表面が、表面架橋剤(b2)で架橋された吸収性樹脂粒子である、請求項1~5のいずれかに記載の吸収性樹脂粒子
【請求項7】
吸収性樹脂粒子の形状が不定形破砕状である、請求項1~6のいずれかに記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項8】
請求項1~7いずれかに記載の吸収性樹脂粒子を含む吸収体。
【請求項9】
請求項に記載の吸収体を含む吸収性物品。
【請求項10】
請求項1~7のいずれかに記載の吸収性樹脂粒子の製造方法であって、少なくとも、架橋重合体(A1)を重合する工程、(A1)の含水ゲルを乾燥する工程、及び、乾燥後の(A1)の樹脂粒子を表面処理する工程を有し、重合工程完了後、乾燥工程の完了より前において、(A1)の含水ゲルに、疎水性物質(C)を混合および/又は混練する工程を有し、前記表面処理工程において、(C)を含有する樹脂粒子に通液向上剤(D)を添加する、吸収性樹脂粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性樹脂粒子、これを含有してなる吸収体及び吸収性物品、並びに吸収性樹脂粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パット等の衛生材料には、パルプ等の親水性繊維とアクリル酸(塩)等を主原料とする吸収性樹脂(Super Absorbent Polymerを略してSAPとも言う。)との組合せた材料が広く使用されている。近年、QOL(Quality Of Life)向上の観点から、これらの衛生材料は、薄型化や軽量化、さらには長時間の使用も可能とするために、衛生材料中の親水性繊維の使用量が減り、吸収性樹脂の使用比率が増加する傾向が続いている。従って、SAPには従来の尿を固定化する役割だけでなく、親水性繊維が担っていた毛細管現象により尿をすばやく吸収、拡散し、吸収体全体に行き渡らせるという役割も担わせる必要性が強くなっている。
【0003】
例えば、紙おむつの吸収特性に関わる重要な機能として、表面ドライ性と漏れ防止が挙げられる。親水性繊維の使用比率が少ない吸収体では、吸収性樹脂と親水性繊維の隙間が減ることで、毛細管現象に起因する尿の吸収速度と拡散性の低下が生じる。その結果、吸収性物品のウェット感が悪化し、カブレ等の原因となる。さらに、長時間、複数回の排尿の場合には、すでに尿を吸収した排尿部付近の膨潤ゲルが親水性繊維との隙間を狭くしているため、吸収速度と拡散性は顕著に悪化する。従って、SAPには吸収速度が高いだけでなく、膨潤ゲル間の高い尿拡散性も求められる。
【0004】
吸収性樹脂に求められる機能の一つとして保水量が挙げられる。高い保水量を維持しつつ、ゲル粒子間の隙間を維持する方法の一つとして、内部架橋剤に加え、表面架橋剤を使用することで、表面部分の架橋密度を上げて、ゲル粒子の変形を小さくする方法が一般的に知られている。しかし、この方法では、架橋によるゲル強度上昇による保水量の低下を抑えることができないという欠点があった。
【0005】
上記課題を解決すべく、架橋重合体の内部や表面に疎水性物質を含有させ、SAPの吸収速度パターンをコントロールすることで吸収体中に均一に尿を拡散させる吸収性樹脂が提案されている。例えば、架橋重合体の内部に疎水性物質を含んでなる構造を有する吸収性樹脂粒子(特許文献1)、架橋重合体の表面に疎水性物質が付着してなることで粉体流動性等を改善した吸収性樹脂粒子(特許文献2)、及び吸収性樹脂粒子の内部と表面に疎水性物質を含有してなる吸収樹脂粒子(特許文献3)等が知られている。
【0006】
しかしながら、従来の疎水性物質を含有した吸収性樹脂粒子は、吸収させる液体と接触した直後の時間経過に伴う吸収速度変化(以下、吸収速度パターンと記載する)が適切でない。すなわち、これらの従来の吸収性樹脂粒子は、吸収させる液体と最初に接触してからの時間経過に伴う吸収速度パターンを制御したものであり、吸収性物品の使用当初は良好な吸収特性(特に吸水速度や拡散性)を発揮しても、一旦膨潤したゲルの吸収特性、とくに拡散性は不十分であり、長時間の使用や繰り返し使用すると、吸収特性が悪くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2005-097569号公報
【文献】特開2004-261796号公報
【文献】特開2011-252088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、吸収性樹脂粒子を吸収性物品に適用したとき、長時間、繰り返し排尿しても吸収体の吸収速度や拡散性の低下が少なく、特定の吸水速度およびゲル通液性を有し、表面ドライ性に優れ、漏れやカブレが生じにくい吸収性樹脂粒子、その製造方法、該樹脂粒子を含有してなる吸収体及び吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(b1)を必須構成単位とする架橋重合体(A1)と疎水性物質(C)を含んでなる吸収性樹脂粒子であって、吸収性樹脂粒子の表面に通液向上剤(D)を含有し、
(1)0.9重量%生理食塩水の保水量が25~60g/g、
(2)重量平均粒子径が250~600μm、
(3)全吸収性樹脂粒子に対して、150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合が3重量%以下、
(4)吸収性樹脂粒子を生理食塩水に30分浸漬後の2.14kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度(ml/分)が5以上、及び、
(5)Vortex法による吸収速度(秒)が45以下
を満たしてなる吸収性樹脂粒子、これを含有してなる吸収体及び吸収物品である。
本発明はまた、上記吸収性樹脂粒子の製造方法であって、少なくとも、架橋重合体(A1)を重合する工程、(A1)の含水ゲルを乾燥する工程、及び、乾燥後の(A1)の樹脂粒子を表面処理する工程を有し、重合工程完了後、乾燥工程の完了より前において、(A1)の含水ゲルに、疎水性物質(C)を混合および/又は混練する工程を有し、前記表面処理工程において、(C)を含有する樹脂粒子に通液向上剤(D)を添加する、吸収性樹脂粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の吸収性樹脂粒子を使用した吸収性物品は、長時間繰り返し排尿しても吸収物品の吸収速度の低下が少なく、優れた吸収性能を維持できる。したがって、本発明の吸収性樹脂粒子をSAP含量の高い吸収性物品に適用したとき、長時間使用しても、表面ドライ性に優れ、漏れやカブレ等がない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の吸収性樹脂粒子は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(b1)を必須構成単位とする架橋重合体(A1)と疎水性物質(C)を含んでなる吸収性樹脂粒子であって、吸収性樹脂粒子の表面に通液向上剤(D)を含有する。
【0012】
本発明における水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく、公知のモノマー、例えば、特許第3648553号公報の0007~0023段落に開示されている少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するビニルモノマー(例えばアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー)、特開2003-165883号公報の0009~0024段落に開示されているアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー並びに特開2005-75982号公報の0041~0051段落に開示されているカルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基及びアンモニオ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するビニルモノマーが使用できる。
【0013】
加水分解により水溶性ビニルモノマー(a1)となるビニルモノマー(a2)[以下、加水分解性ビニルモノマー(a2)ともいう。]は特に限定はなく、公知{例えば、特許第3648553号公報の0024~0025段落に開示されている加水分解により水溶性置換基となる加水分解性置換基を少なくとも1個有するビニルモノマー、特開2005-75982号公報の0052~0055段落に開示されている少なくとも1個の加水分解性置換基[1,3-オキソ-2-オキサプロピレン(-CO-O-CO-)基、アシル基及びシアノ基等]を有するビニルモノマー}のビニルモノマー等が使用できる。なお、水溶性ビニルモノマーとは、当業者に周知の概念であるが、数量を用いて表すなら、例えば、25℃の水100gに少なくとも100g溶解するビニルモノマーを意味する。また、加水分解性ビニルモノマー(a2)における加水分解性とは、当業者に周知の概念であるが、より具体的に表すなら、例えば、水及び必要により触媒(酸又は塩基等)の作用により加水分解され、水溶性になる性質を意味する。加水分解性ビニルモノマー(a2)の加水分解は、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれで行っても良いが、得られる吸収性樹脂粒子の吸収性能の観点から、重合後が好ましい。
【0014】
これらのうち、吸収性能等の観点から好ましいのは水溶性ビニルモノマー(a1)、より好ましいのは上述のアニオン性ビニルモノマー、カルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ-、ジ-若しくはトリ-アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、更に好ましいのはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、特に好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、とりわけ好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましいのはアクリル酸(塩)である。
【0015】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩及びアンモニウム(NH)塩等が挙げられる。これらの塩のうち、吸収性能等の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、更に好ましいのはアルカリ金属塩、特に好ましいのはナトリウム塩である。
【0016】
水溶性ビニルモノマー(a1)としてアクリル酸やメタクリル酸等の酸基含有モノマーを用いる場合、吸水性能や残存モノマーの観点から、酸基含有モノマーの一部が塩基で中和されていることが好ましい。中和する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩を通常使用できる。中和は、吸収性樹脂粒子の製造において、重合前、重合中、重合後及びこれらの両方のいずれで行っても良いが、例えば、重合前に酸基含有モノマーを中和する方法や重合後に酸基含有ポリマーを含水ゲルの状態で中和する等の方法が好ましい例として例示される。
【0017】
酸基の中和度は、50~80モル%であることが好ましい。中和度が50モル%未満の場合、得られる含水ゲル重合体の粘着性が高くなり、製造時及び使用時の作業性が悪化する場合がある。更に得られる吸収性樹脂粒子の保水量が低下する場合がある。一方、中和度が80%を超える場合、得られた樹脂のpHが高くなり人体の皮膚に対する安全性が懸念される場合がある。
【0018】
水溶性ビニルモノマー(a1)又は加水分解性ビニルモノマー(a2)のいずれかを構成単位とする場合、それぞれ1種を単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としても良い。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合も同様である。また、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)を構成単位とする場合、これらの含有モル比[(a1)/(a2)]は、75/25~99/1が好ましく、更に好ましくは85/15~95/5、特に好ましくは90/10~93/7、最も好ましくは91/9~92/8である。この範囲内であると、吸収性能が更に良好となる。
【0019】
架橋重合体(A1)の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)を構成単位とすることができる。その他のビニルモノマー(a3)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。共重合可能なその他のビニルモノマー(a3)としては特に限定はなく、公知のビニルモノマー、例えば、特許第3648553号公報、特開2003-165883号、特開2005-75982号に開示されているビニルモノマー等が使用できる。
【0020】
その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量(モル%)は、吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の合計モル数に基づいて、0~5が好ましく、更に好ましくは0~3、特に好ましくは0~2、とりわけ好ましくは0~1.5であり、吸収性能等の観点から、その他のビニルモノマー(a3)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
【0021】
内部架橋剤(b1)としては特に限定はなく公知(例えば、特許第3648553号公報の0031~0034段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有してかつ少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する架橋剤及び水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する架橋剤、特開2003-165883号公報の0028~0031段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤及び反応性置換基を2個以上有する架橋剤、特開2005-75982号公報の0059段落に開示されている架橋性ビニルモノマー並びに特開2005-95759号公報の0015~0016段落に開示されている架橋性ビニルモノマー)の架橋剤等が使用できる。これらの内、吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、更に好ましいのは、N,N’-メチレンビスアクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類;(ポリ)アルキレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート;(ポリ)アルキレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール及びソルビトール等の多価アルコールのポリ(メタ)アリルエーテル、テトラアリロキシエタン並びにトリアリルイソシアヌレート等の多価(メタ)アリル化合物であり、最も好ましいのは多価(メタ)アリル化合物である。架橋剤(b1)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0022】
内部架橋剤(b1)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位及び加水分解性ビニルモノマー(a2)単位の、その他のビニルモノマー(a3)も使用する場合は(a1)~(a3)の、合計モル数に基づいて、0.001~5が好ましく、更に好ましくは0.005~3、特に好ましくは0.01~1である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0023】
架橋重合体(A1)の重合方法としては、公知の溶液重合(断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55-133413号公報等)や、公知の逆相懸濁重合(特公昭54-30710号公報、特開昭56-26909号公報及び特開平1-5808号公報等)が挙げられる。
【0024】
架橋重合体(A1)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び/又は加水分解性ビニルモノマー(a2)、並びに内部架橋剤(b1)を必須構成成分とする単量体組成物を重合することにより得ることができるが、重合方法として好ましいのは溶液重合法であり、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、特に好ましいのは水溶液重合法であり、保水量が大きく、且つ水可溶性成分量の少ない吸水性樹脂組成物が得られ、重合時の温度コントロールが不要である点から、水溶液断熱重合法が最も好ましい。
【0025】
水溶液重合を行う場合、水と有機溶媒とを含む混合溶媒を使用することができ、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びこれらの2種以上の混合物を挙げられる。水溶液重合を行う場合、有機溶媒の使用量(重量%)は、水の重量を基準として40以下が好ましく、更に好ましくは30以下である。
【0026】
重合に開始剤を用いる場合、従来公知のラジカル重合用開始剤が使用可能であり、例えば、アゾ化合物[アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸及び2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ハイドロクロライド等]、無機過酸化物(過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等)、有機過酸化物[過酸化ベンゾイル、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド及びジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート等]及びレドックス触媒(アルカリ金属の亜硫酸塩又は重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム及びアスコルビン酸等の還元剤とアルカリ金属の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素及び有機過酸化物等の酸化剤との組み合わせよりなるもの)等が挙げられる。これらの触媒は、単独で使用してもよく、これらの2種以上を併用しても良い。
ラジカル重合開始剤の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)を用いる場合は(a1)~(a3)の、合計重量に基づいて、0.0005~5が好ましく、更に好ましくは0.001~2である。
【0027】
重合時には、必要に応じて連鎖移動剤に代表される重合コントロール剤を併用しても良く、これらの具体例としては、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、アルキルメルカプタン類、ハロゲン化アルキル類、チオカルボニル化合物類等が挙げられる。これらの重合コントロール剤は、単独で使用してもよく、これらの2種以上を併用しても良い。
重合コントロール剤の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び加水分解性ビニルモノマー(a2)の、その他のビニルモノマー(a3)を用いる場合は(a1)~(a3)の、合計重量に基づいて、0.0005~5が好ましく、更に好ましくは0.001~2である。
【0028】
重合方法として懸濁重合法又は逆相懸濁重合法をとる場合は、必要に応じて、分散剤又は界面活性剤の存在下に重合を行っても良い。また、逆相懸濁重合法の場合、キシレン、ノルマルヘキサン及びノルマルヘプタン等の炭化水素系溶媒を使用して重合を行うことができる。
【0029】
重合開始温度は、使用する触媒の種類によって適宜調整することができるが、0~100℃が好ましく、更に好ましくは2~80℃である。
【0030】
前記の重合方法により架橋重合体(A1)が水を含んだ含水ゲル状物(以下、含水ゲルと略記する)を得ることができ、更に含水ゲルを乾燥することで架橋重合体(A1)を得ることができる。
【0031】
重合によって得られる含水ゲルは、乾燥前に必要に応じて細断することができる。細断後のゲルの大きさ(最長径)は50μm~10cmが好ましく、更に好ましくは100μm~2cm、特に好ましくは1mm~1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性が更に良好となる。
【0032】
細断は、公知の方法で行うことができ、細断装置(例えば、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機)等を使用して細断できる。
【0033】
また、前述のとおり、重合後に得られた酸基含有ポリマーの含水ゲルに、必要に応じて塩基を混合して中和することもできる。
【0034】
含水ゲルの溶媒(水を含む。)を留去し、乾燥する方法としては、80~230℃の温度の熱風で留去(乾燥)する方法、100~230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0035】
重合に溶媒(有機溶媒及び水等)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することが好ましい。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、0~10が好ましく、更に好ましくは0~5、特に好ましくは0~3、最も好ましくは0~1である。この範囲であると、吸収性樹脂粒子の吸収性能が更に良好となる。
【0036】
溶媒に水を含む場合、留去後の含水率(重量%)は、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、0~20が好ましく、更に好ましくは2.5~15、特に好ましくは3.5~10、最も好ましくは4.5~8である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。なお、含水率は乾燥工程のみで決まるのでなく、必要応じて行われる後処理工程(表面架橋及び表面処理工程等)で適宜調整される。
【0037】
なお、有機溶媒の含有量及び含水率は、赤外水分測定器[(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W]により加熱したときの測定試料の重量減量から求められる。
【0038】
含水ゲルを乾燥して架橋重合体(A1)を得た後、更に粉砕することで、架橋重合体(A1)を含有する樹脂粒子が得られる。粉砕方法については、特に限定はなく、粉砕装置(例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機)等が使用できる。粉砕された架橋重合体は、必要によりふるい分け等により粒度調整できる。
【0039】
必要によりふるい分けした場合の樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)は、250~600であり、好ましくは300~500、より好ましくは340~460である。重量平均粒子径が250μmを下回ると通液性能が悪化し、600μmを上回ると吸収速度が悪化するため、この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
【0040】
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンバニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿、の順等に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙[横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率]にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0041】
また、粉砕後の樹脂粒子に含まれる微粉の含有量は少ないほど通液性能が良好となるため、全樹脂粒子の合計重量に占める150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合(重量%)は3以下であり、好ましくは1以下である。150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は、上記の重量平均粒子径を求める際に作成するグラフを用いて求めることができる
【0042】
粉砕後の樹脂粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0043】
なお、架橋重合体(A1)は、その性能を損なわない範囲で残留溶媒や残存架橋成分等の他の成分を多少含んでも良い。
【0044】
本発明の吸収性樹脂粒子は、架橋重合体(A1)を含有する樹脂粒子の表面が、表面架橋剤(b2)で架橋された構造を有することが好ましい。樹脂粒子の表面を架橋することにより吸収性樹脂粒子のゲル強度を向上させることができ、吸収性樹脂粒子の望ましい保水量と荷重下における吸収量とを満足させることができる。表面架橋剤(b2)としては、公知(特開昭59-189103号公報に記載の多価グリシジル化合物、多価アミン、多価アジリジン化合物及び多価イソシアネート化合物等、特開昭58-180233号公報及び特開昭61-16903号公報の多価アルコール、特開昭61-211305号公報及び特開昭61-252212号公報に記載のシランカップリング剤、特表平5-508425号公報に記載のアルキレンカーボネート、特開平11-240959号公報に記載の多価オキサゾリン化合物並びに特開昭51-136588号公報及び特開昭61-257235号公報に記載の多価金属等)の表面架橋剤等が使用できる。これらの表面架橋剤のうち、経済性及び吸収特性の観点から、多価グリシジル化合物、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、更に好ましいのは多価グリシジル化合物及び多価アルコール、特に好ましいのは多価グリシジル化合物、最も好ましいのはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。表面架橋剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0045】
表面架橋剤(b2)の使用量(重量%)は、表面架橋剤の種類、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収特性の観点等から、樹脂粒子100重量部に対して、0.001~2が好ましく、更に好ましくは0.005~1.5、特に好ましくは0.01~1.0である。
【0046】
表面架橋する工程は、樹脂粒子と表面架橋剤(b2)とを混合し、必要に応じて加熱することで行うことができる。樹脂粒子と表面架橋剤(b2)との混合方法としては、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、V型混合機、ミンチ混合機、リボン型混合機、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等の混合装置を用いて樹脂粒子と表面架橋剤(b2)とを均一混合する方法が挙げられる。また、表面架橋の均一性の観点から、表面架橋剤(b2)は、水及び/又は任意の溶剤で希釈して使用することが好ましく、公知の流動式加湿混合造粒装置[フレキソミックス(ホソカワミクロン社製)及びシュギフレキソミックス((株)パウレック製)等]に公知の噴霧装置を取り付けた混合装置等を用いて行うことができる。
【0047】
樹脂粒子と表面架橋剤(b2)とを混合する際の温度は特に限定されないが、10~150℃が好ましく、更に好ましくは20~100℃、特に好ましくは25~80℃である。
【0048】
樹脂粒子と表面架橋剤(b2)とを混合した後、加熱処理を行う。加熱温度は、樹脂粒子の耐壊れ性の観点から好ましくは100~180℃、更に好ましくは110~175℃、特に好ましくは120~170℃である。180℃以下の加熱であれば蒸気を利用した間接加熱が可能であり設備上有利であり、100℃未満の加熱温度では吸収性能が悪くなる場合がある。また、加熱時間は加熱温度により適宜設定することができるが、吸収性能の観点から、好ましくは5~60分、更に好ましくは10~40分である。表面架橋して得られる吸水性樹脂を、最初に用いた表面架橋剤と同種又は異種の表面架橋剤を用いて、更に表面架橋することも可能である。
【0049】
必要によりふるい分けした場合の樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)及び150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合(重量%)の好ましい範囲は、前述と同様である。
【0050】
本発明の吸収性樹脂粒子は、疎水性物質(C)を含有する。(C)としては、炭素数8~30の炭化水素基を含有する疎水性物質(C1)、フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(C2)、有機ポリシロキサンである疎水性物質(C3)等が挙げられる。
【0051】
炭素数8~30の炭化水素基を含有する疎水性物質(C1)としては、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコール、長鎖脂肪族アミド、HLB10以下の界面活性剤、ワックス及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0052】
長鎖脂肪酸エステルとしては、炭素数8~30の脂肪酸と炭素数1~12のアルコールとのエステル{たとえば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリットラウリン酸モノエステル、ペンタエリスリットステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリットオレイン酸モノエステル、ソルビットラウリン酸モノエステル、ソルビットステアリン酸モノエステル、ソルビットオレイン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖パルミチン酸トリエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル及び牛脂等}が挙げられる。
【0053】
長鎖脂肪酸及びその塩としては、炭素数8~30の脂肪酸{たとえば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びベヘニン酸等}が挙げられ、その塩としては亜鉛、カルシウム、マグネシウム又はアルミニウム(以下、Zn、Ca、Mg、Alと略す)との塩{たとえば、パルミチン酸Ca、パルミチン酸Al、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Al等}が挙げられる。
【0054】
長鎖脂肪族アルコールとしては、炭素数8~30の脂肪族アルコール{たとえば、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等}が挙げられる。吸収性物品の耐モレ性の観点等から、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールが好ましく、さらに好ましくはステアリルアルコールである。
【0055】
長鎖脂肪族アミドとしては、炭素数8~30の長鎖脂肪族一級アミンと炭素数1~30の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物、アンモニア又は炭素数1~7の1級アミンと炭素数8~30の長鎖脂肪酸とのアミド化物、炭素数8~30の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する長鎖脂肪族二級アミンと炭素数1~30のカルボン酸とのアミド化物及び炭素数1~7の脂肪族炭化水素基を2個有する二級アミンと炭素数8~30の長鎖脂肪酸とのアミド化物が挙げられる。
【0056】
炭素数8~30の長鎖脂肪族一級アミンと炭素数1~30の炭化水素基を有するカルボン酸とのアミド化物としては、1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応した物に分けられる。1:1で反応した物としては、酢酸N-オクチルアミド、酢酸N-ヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N-オクチルアミド及びヘプタコサン酸N-ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、二酢酸N-オクチルアミド、二酢酸N-ヘキサコシルアミド、ジヘプタコサン酸N-オクチルアミド及びジヘプタコサン酸N-ヘキサコシルアミド等が挙げられる。なお、1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応した物の場合、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていてもよい。
【0057】
アンモニア又は炭素数1~7の1級アミンと炭素数8~30の長鎖脂肪酸とのアミド化物としては、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:1で反応した物と1:2で反応した物に分けられる。1:1で反応した物としては、ノナン酸アミド、ノナン酸メチルアミド、ノナン酸N-ヘプチルアミド、ヘプタコサン酸アミド、ヘプタコサン酸N-メチルアミド、ヘプタコサン酸N-ヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N-ヘキサコシルアミド等が挙げられる。1:2で反応したものとしては、ジノナン酸アミド、ジノナン酸N-メチルアミド、ジノナン酸N-ヘプチルアミド、ジオクタデカン酸アミド、ジオクタデカン酸N-エチルアミド、ジオクタデカン酸N-ヘプチルアミド、ジヘプタコサン酸アミド、ジヘプタコサン酸N-メチルアミド、ジヘプタコサン酸N-ヘプチルアミド及びジヘプタコサン酸N-ヘキサコシルアミド等が挙げられる。なお、アンモニア又は1級アミンとカルボン酸とが1:2で反応した物としては、使用するカルボン酸は、同一でも異なっていてもよい。
【0058】
炭素数8~30の脂肪族鎖を少なくとも1つ有する長鎖脂肪族二級アミンと炭素数1~30のカルボン酸とのアミド化物としては、酢酸N-メチルオクチルアミド、酢酸N-メチルヘキサコシルアミド、酢酸N-オクチルヘキサコシルアミド、酢酸N-ジヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N-メチルオクチルアミド、ヘプタコサン酸N-メチルヘキサコシルアミド、ヘプタコサン酸N-オクチルヘキサコシルアミド及びヘプタコサン酸N-ジヘキサコシルアミド等が挙げられる。
【0059】
炭素数1~7の脂肪族炭化水素基を2個有する二級アミンと炭素数8~30の長鎖脂肪酸とのアミド化物としては、ノナン酸N-ジメチルアミド、ノナン酸N-メチルヘプチルアミド、ノナン酸N-ジヘプチルアミド、ヘプタコサン酸N-ジメチルアミド、ヘプタコサン酸N-メチルヘプチルアミド及びヘプタコサン酸N-ジヘプチルアミド等が挙げられる。
【0060】
HLB10以下の界面活性剤としては、アルキレンオキサイド(以下、AOと略す)付加型非イオン界面活性剤及び多価アルコ-ル型非イオン界面活性剤などが挙げられる。
【0061】
AO付加型非イオン界面活性剤は、高級アルコ-ル、高級脂肪酸又はアルキルアミン等に直接AOを付加させるか、グリコ-ル類にAOを付加させて得られるポリアルキレングリコ-ル類に高級脂肪酸などを反応させるか、あるいは多価アルコ-ルに高級脂肪酸を反応して得られたエステル化物にAOを付加させるか、高級脂肪酸アミドにAOを付加させることにより得られる。
【0062】
AOとしては、たとえばエチレンオキサイド(以下、EOと略す)、プロピレンオキサイド(以下、POと略す)及びブチレンオキサイド(以下、BOと略す)が挙げられる。これらのうち好ましいものは、EO単独付加物及びEOとPOとのランダム又はブロック付加物である。
【0063】
AO付加型非イオン界面活性剤の具体例としては、オキシアルキレンアルキルエ-テル(例えば、オクチルアルコールEO付加物、ラウリルアルコールEO付加物、ステアリルアルコールEO付加物、オレイルアルコールEO付加物、ラウリルアルコールEO・POブロック付加物など); ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル(例えば、ステアリル酸EO付加物、ラウリン酸EO付加物など);ポリオキシアルキレン多価アルコ-ル高級脂肪酸エステル(例えば、ポリエチレングリコールのラウリン酸ジエステル、ポリエチレングリコールのオレイン酸ジエステル、ポリエチレングリコールのステアリン酸ジエステルなど);ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエ-テル(例えば、ノニルフェノールEO付加物、ノニルフェノールEO・POブロック付加物、オクチルフェノールEO付加物、ビスフェノールA・EO付加物、ジノニルフェノールEO付加物、スチレン化フェノールEO付加物など);ポリオキシアルキレンアルキルアミノエ-テル及び(例えば、ラウリルアミンEO付加物,ステアリルアミンEO付加物など);ポリオキシアルキレンアルキルアルカノ-ルアミド(例えば、ヒドロキシエチルラウリン酸アミドのEO付加物、ヒドロキシプロピルオレイン酸アミドのEO付加物、ジヒドロキシエチルラウリン酸アミドのEO付加物など)が挙げられる。
【0064】
多価アルコ-ル型非イオン界面活性剤としては、多価アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物、多価アルコールアルキルエーテル、多価アルコールアルキルエーテルAO付加物が挙げられる。
【0065】
多価アルコール脂肪酸エステルの具体例としては、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンジラウレート、ソルビタンジオレート、ショ糖モノステアレートなどが挙げられる。
多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物の具体例としては、エチレングリコールモノオレートEO付加物、エチレングリコールモノステアレートEO付加物、トリメチロールプロパンモノステアレートEO・POランダム付加物、ソルビタンモノラウレートEO付加物、ソルビタンモノステアレートEO付加物、ソルビタンジステアレートEO付加物、ソルビタンジラウレートEO・POランダム付加物などが挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテルの具体例としては、ペンタエリスリトールモノブチルエーテル、ペンタエリスリトールモノラウリルエーテル、ソルビタンモノメチルエーテル、ソルビタンモノステアリルエーテル、メチルグリコシド、ラウリルグリコシドなどが挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテルAO付加物の具体例としては、ソルビタンモノステアリルエーテルEO付加物、メチルグリコシドEO・POランダム付加物、ラウリルグリコシドEO付加物、ステアリルグリコシドEO・POランダム付加物などが挙げられる。
【0066】
ワックスとしては、融点50~200℃のワックス{たとえば、パラフィンワックス、ミツロウ、カルバナワックス及び牛脂等}が挙げられる。
【0067】
フッ素原子をもつ炭化水素基を含有する疎水性物質(C2)としては、パーフルオロアルカン、パーフルオロアルケン、パーフルオロアリール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルアルコール及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0068】
パーフルオロアルカンとしては、フッ素原子数4~42、炭素数1~20のアルカン{たとえば、トリフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、ヘプタフルオロプロパン、ヘプタフルオロブタン、ノナフルフルオロヘキサン、トリデカフルオロオクタン及びヘプタデカフルオロドデカン等}が挙げられる。
【0069】
パーフルオロアルケンとしては、フッ素原子数4~42、炭素数2~20のアルケン{たとえば、トリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロペン、トリフルオロプロペン、ヘプタフルオロブテン、ノナフルフルオロヘキセン、トリデカフルオロオクテン及びヘプタデカフルオロドデセン等}が挙げられる。
【0070】
パーフルオロアリールとしては、フッ素原子数4~42、炭素数6~20のアリール{たとえば、トリフルオロベンゼン、ペンタフルオロトルエン、トリフルオロナフタレン、ヘプタフルオロベンゼン、ノナフルフルオロキシレン、トリデカフルオロオクチルベンゼン及びヘプタデカフルオロドデシルベンゼン等}が挙げられる。
【0071】
パーフルオロアルキルエーテルとしては、フッ素原子数2~82、炭素数2~40のエーテル{たとえば、ジトリフルオロメチルエーテル、ジペンタフルオロエチルエーテル、ジペンタフルオロプロピルエーテル、ジヘプタフルオロプロピルエーテル、ジヘプタフルオロブチルエーテル、ジノナフルフルオロヘキシルエーテル、ジトリデカフルオロオクチルエーテル及びジヘプタデカフルオロドデシルエーテル等}が挙げられる。
【0072】
パーフルオロアルキルカルボン酸としては、フッ素原子数3~41 、炭素数1~21のカルボン酸{たとえば、ペンタフルオロエタン酸、ペンタフルオロプロパン酸、ヘプタフルオロプロパン酸、ヘプタフルオロブタン酸、ノナフルフルオロヘキサン酸、トリデカフルオロオクタン酸、ヘプタデカフルオロドデカン酸及びこれらの金属(アルカリ金属及びアルカリ土類金属等)塩等}が挙げられる。
【0073】
パーフルオロアルキルアルコールとしては、フッ素原子数3~41、炭素数1~20のアルコール{たとえば、ペンタフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘプタフルオロプロパノール、ヘプタフルオロブタノール、ノナフルフルオロヘキサノール、トリデカフルオロオクタノール及びヘプタデカフルオロドデカノール等}及びこのアルコールのエチレンオキサイド(アルコール1モルに対して1~20モル)付加体等が挙げられる。
【0074】
これらの2種以上の混合物としては、パーフルオロアルキルカルボン酸とパーフルオロアルキルアルコールとの混合物{たとえば、ペンタフルオロエタン酸とペンタフルオロエタノールとの混合物等}が挙げられる。
【0075】
有機ポリシロキサンである疎水性物質(C3)としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン{ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン及びポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)変性ポリシロキサン等}、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン等及びこれらの混合物等が含まれる。
【0076】
変性シリコーン{ポリエーテル変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン及びアミノ変性ポリシロキサン等}の有機基(変性基)の位置としては特に限定はしないが、ポリシロキサンの側鎖、ポリシロキサンの両末端、ポリシロキサンの片末端、ポリシロキサンの側鎖と両末端との両方のいずれでもよい。これらのうち、吸収特性の観点等から、ポリシロキサンの側鎖及びポリシロキサンの側鎖と両末端との両方が好ましく、さらに好ましくはポリシロキサンの側鎖と両末端との両方である。
【0077】
ポリエーテル変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としては、ポリオキシエチレン基又はポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)基を含有する基等が含まれる。ポリエーテル変性ポリシロキサンに含まれるオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基の含有量(個)は、ポリエーテル変性ポリシロキサン1分子あたり、2~40が好ましく、さらに好ましくは5~30、特に好ましくは7~20、最も好ましくは10~15である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。また、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含む場合、オキシエチレン基の含有量(重量%)は、ポリシロキサンの重量に基づいて、1~30が好ましく、さらに好ましくは3~25、特に好ましくは5~20である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0078】
ポリエーテル変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、オキシアルキレンの種類}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF-945{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、KF-6020{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X-22-6191{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X-22-4952{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X-22-4272{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X-22-6266{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0079】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ-2110{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2122{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-7006{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2166{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2164{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2154{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2203{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}及びFZ-2207{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0080】
カルボキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはカルボキシ基を含有する基等が含まれ、エポキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはエポキシ基を含有する基等が含まれ、アミノ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはアミノ基(1、2,3級アミノ基)を含有する基等が含まれる。これらの変性シリコーン の有機基(変性基)の含有量(g/mol)は、カルボキシ当量、エポキシ当量又はアミノ当量として、200~11000が好ましく、さらに好ましくは600~8000、特に好ましくは1000~4000である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。なお、カルボキシ当量は、JIS C2101:1999の「16.全酸価試験」に準拠して測定される。また、エポキシ当量は、JIS K7236:2001に準拠して求められる。また、アミノ当量は、JIS K2501:2003の「8.電位差滴定法(塩基価・塩酸法)」に準拠して測定される。
【0081】
カルボキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、カルボキシ当量(g/mol)}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X-22-3701E{側鎖、4000}、X-22-162C{両末端、2300}、X-22-3710{片末端、1450}
【0082】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
BY16-880{側鎖、3500}、BY16-750{両末端、750}、BY16-840{側鎖、3500}、SF8418{側鎖、3500}
【0083】
エポキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、エポキシ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X-22-343{側鎖、525}、KF-101{側鎖、350}、KF-1001{側鎖、3500}、X-22-2000{側鎖、620}、X-22-2046{側鎖、600}、KF-102{側鎖、3600}、X-22-4741{側鎖、2500}、KF-1002{側鎖、4300}、X-22-3000T{側鎖、250}、X-22-163{両末端、200}、KF-105{両末端、490}、X-22-163A{両末端、1000}、X-22-163B{両末端、1750}、X-22-163C{両末端、2700}、X-22-169AS{両末端、500}、X-22-169B{両末端、1700}、X-22-173DX{片末端、4500}、X-22-9002{側鎖・両末端、5000}
【0084】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ-3720{側鎖、1200}、BY16-839{側鎖、3700}、SF8411{側鎖、3200}、SF8413{側鎖、3800}、SF8421{側鎖、11000}、BY16-876{側鎖、2800}、FZ-3736{側鎖、5000}、BY16-855D{側鎖、180}、BY16-8{側鎖、3700}
【0085】
アミノ変性シリコーンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、アミノ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF-865{側鎖、5000}、KF-864{側鎖、3800}、KF-859{側鎖、6000}、KF-393{側鎖、350}、KF-860{側鎖、7600}、KF-880{側鎖、1800}、KF-8004{側鎖、1500}、KF-8002{側鎖、1700}、KF-8005{側鎖、11000}、KF-867{側鎖、1700}、X-22-3820W{側鎖、55000}、KF-869{側鎖、8800}、KF-861{側鎖、2000}、X-22-3939A{側鎖、1500}、KF-877{側鎖、5200}、PAM-E{両末端、130}、KF-8010{両末端、430}、X-22-161A{両末端、800}、X-22-161B{両末端、1500}、KF-8012{両末端、2200}、KF-8008{両末端、5700}、X-22-1660B-3{両末端、2200}、KF-857{側鎖、2200}、KF-8001{側鎖、1900}、KF-862{側鎖、1900}、X-22-9192{側鎖、6500}
【0086】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ-3707{側鎖、1500}、FZ-3504{側鎖、1000}、BY16-205{側鎖、4000}、FZ-3760{側鎖、1500}、FZ-3705{側鎖、4000}、BY16-209{側鎖、1800}、FZ-3710{側鎖、1800}、SF8417{側鎖、1800}、BY16-849{側鎖、600}、BY16-850{側鎖、3300}、BY16-879B{側鎖、8000}、BY16-892{側鎖、2000}、FZ-3501{側鎖、3000}、FZ-3785{側鎖、6000}、BY16-872{側鎖、1800}、BY16-213{側鎖、2700}、BY16-203{側鎖、1900}、BY16-898{側鎖、2900}、BY16-890{側鎖、1900}、BY16-893{側鎖、4000}、FZ-3789{側鎖、1900}、BY16-871{両末端、130}、BY16-853C{両末端、360}、BY16-853U{両末端、450}
【0087】
これらの混合物としては、ポリジメチルシロキサンとカルボキシル変性ポリシロキサンとの混合物、及びポリエーテル変性ポリシロキサンとアミノ変性ポリシロキサンとの混合物等が挙げられる。
【0088】
有機ポリシロキサンである疎水性物質の粘度(mPa・s、25℃)は、10~5000が好ましく、さらに好ましくは15~3000、特に好ましくは20~1500である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。なお、粘度は、JIS Z8803-1991「液体の粘度」9.円すい及び円すい-平板形回転粘度計による粘度測定法に準拠して測定される{たとえば、25.0±0.5℃に温度調節したE型粘度計(東機産業株式会社製RE80L、半径7mm、角度5.24×10-2radの円すい型コーン)を用いて測定される。}
【0089】
疎水性物質(C)のHLB値は、1~10が好ましく、さらに好ましくは2~8、特に好ましくは3~7である。この範囲であると、吸水特性(特に、吸水速度と通液速度)がさらに良好となる。なお、HLB値は、親水性-疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法(新・界面活性剤入門、197頁、藤本武彦、三洋化成工業株式会社発行、1981年発行)により求められる。
【0090】
疎水性物質(C)のうち、入手容易性、吸収性能(特に、吸水速度)を向上する観点から、炭素数8~30の炭化水素基を含有する疎水性物質、有機ポリシロキサンである疎水性物質、及びHLB10以下の界面活性剤が好ましい。
【0091】
疎水性物質(C)の含有量(重量%)は、吸水特性(特に、吸水速度と通液速度)の観点から、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、0.001~2.0重量%であり、好ましくは0.005~1.0重量%、特に好ましくは0.01~0.3重量%である。
【0092】
疎水性物質(C)は、吸収性樹脂粒子の何れの箇所に存在していてもよいが、吸水特性(特に、吸水速度)の観点から、吸収性樹脂粒子の内部に存在することが好ましい。ここで、吸収性樹脂粒子の内部とは、表面を含まないことを意味する。本発明における吸収性樹脂粒子は、一般的に、架橋重合体(粒子状であり得る)の凝集体であると考えられる。そして、製造過程から了解されるとおり、一般的に、凝集している架橋重合体の表面や内部(いびつな架橋重合体の空隙も含む)に疎水性物資(C)が存在している。この態様は、疎水性物質(C)は、吸収性樹脂粒子の内部に存在することを意味する。
【0093】
また、疎水性物質(C)を吸収性樹脂粒子の内部に含有する構造は、吸収性樹脂粒子の内部に疎水性物質(C)からなる連結部(RC)を含んでなる構造が好ましい。連結部(RC)とは、疎水性物質(C)と架橋重合体(A1)とが接触して形成される(A1)-(C)-(A1)からなるサンドイッチ構造を意味する。この場合、吸収性樹脂粒子の内部に存在している架橋重合体(A1)は、その表面に存在している疎水性物質(C)を介して、別の架橋重合体(A1)と連結している構造となる。吸収性樹脂粒子の内部に存在する疎水性物質(C)が吸収性樹脂粒子の表面に接して存在する場合、(A1)-(C)-(A1)からなるサンドイッチ構造とはならない。すなわち、このような場合、本発明でいう連結部(RC)とはならない。したがって、吸収性樹脂粒子の内部に連結部(RC)を含んでなる構造とは、このサンドイッチ構造{(A1)-(C)-(A1)}が吸収性樹脂粒子の内部に存在する構造を意味する。
さらに好ましくは、吸収性樹脂粒子の内部に存在する疎水性物質(C)が吸収性樹脂粒子の表面に接して存在し、(C)と内部の連結部(RC)が連続的につながっていることである。
本発明では、後述する通液向上剤(D)が吸収性樹脂粒子の表面に存在する構造に特徴があり、吸収性樹脂粒子の表面近傍の構造は、吸収性樹脂粒子の表面近傍に存在する架橋重合体の表面に疎水性物質(C)が存在し、樹脂粒子表面に通液向上剤(D)が存在して、(A1)-(C)-(D)からなる3層構造を、少なくとも局所的に、形成することが好ましい。なお、疎水性物質(C)を内部に含有していれば、本発明の吸収特性に影響を与えない範囲で、(C)の一部が吸収性樹脂粒子の表面に存在してもよい。
【0094】
架橋重合体(A1)と疎水性物質(C)との混合時期としては、特に制限はないが、前述した架橋重合体(A1)の重合工程開始後であって重合工程完了前において重合液に、又は、重合工程完了後の含水ゲルの乾燥工程の完了する前の、いずれかの時点において架橋重合体(A1)の含水ゲルに、疎水性物質(C)を混合することが好ましい。疎水性物質(C)が架橋重合体(A1)の乾燥体ではなく、(A1)の含水ゲル又は(A1)の重合液と混合されることが好ましく、さらに好ましくは(A1)の含水ゲルと混合される。すなわち、重合工程完了後、乾燥工程の完了より前において、(A1)の含水ゲルに、疎水性物質(C)を混合および/又は混練する工程がより好ましい。なお、混合は、練り込むように均一混合することが好ましい。
【0095】
このことを、例えば、水溶液重合法により架橋重合体(A1)を得る場合について説明すれば、疎水性物質(C)と(A1)とを混合するタイミングとしては特に制限はないが、重合工程中{疎水性物質(C)の存在下で重合液に混合し、(A1)を製造する}、重合工程直後、含水ゲルの破砕(ミンチ)中及び含水ゲルの乾燥中等が挙げられる。これらのうち、吸水性樹脂粒子の内部に疎水性物質(C)を存在させられる等の観点から、重合工程直後及び含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中が好ましく、さらに好ましくは含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中である。
【0096】
含水ゲルの破砕中又は乾燥中に混合する場合、混合装置としては、ベックスミル、ラバーチョッパ、ファーマミル、ミンチ機、衝撃式粉砕機及びロール式粉砕機等の通常の装置が使用できる。重合液中で混合する場合、ホモミキサー、バイオミキサー等の比較的攪拌力の高い装置を使用できる。また、含水ゲルの乾燥中で混合する場合、SVミキサー等の混練装置も使用できる。
【0097】
混合温度(℃)は、疎水性物質(C)を添加する工程により適宜調整することができる。例えば、重合工程直後及び含水ゲルの破砕(ミンチ)工程中に添加・混合する場合の混合温度(℃)は、20~100が好ましく、さらに好ましくは40~90、特に好ましくは50~80である。この範囲であると、さらに均一混合しやすくなり、吸収特性がさらに良好となる。
【0098】
疎水性物質(C)の存在下で、架橋重合体(A1)を重合する製造する方法において、架橋重合体(A1)の重合液に(C)を均一に溶解又は分散させておくことが好ましい。(C)が均一になり難い場合は、さらに含水ゲルの破砕工程中に均一にすることもできる。
【0099】
疎水性物質(C)は、水及び/又は揮発性溶媒に、溶解及び/又は分散した形態でも使用できる。揮発性溶媒としては、除去しやすさの観点等から、20℃での蒸気圧(Pa)が0.13~5.3のものが好ましく、さらに好ましくは0.15~4.5、特に好ましくは0.23~3.8のものである。
【0100】
揮発性溶媒としては、炭素数1~3のアルコール(メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)、炭素数5~8の炭化水素(ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びトルエン等)、炭素数2~4のエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン等)、炭素数3~4のケトン(アセトン及びメチルエチルケトン等)、及び炭素数3~5のエステル(蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル及び炭酸ジエチル等)等が挙げられる。水及び/又は揮発性溶媒を使用する場合、これらの使用量(重量%)は、疎水性物質(C)の重量に基づいて、1~900が好ましく、さらに好ましくは5~700、特に好ましくは10~400である。水及び揮発性溶媒を使用する場合、水の使用量(重量%)は、水及び揮発性溶媒の重量に基づいて、50~98が好ましく、さらに好ましくは60~95、特に好ましくは70~90である。
【0101】
本発明の吸収性樹脂粒子は、通液向上剤(D)を更に含有する。本発明において通液向上剤(D)とは、非共有結合相互作用(イオン結合、水素結合、疎水性相互作用等)により、樹脂粒子の表面を処理する材料を意味し、前述の表面架橋剤とは区別する。通液向上剤(D)は、吸収性樹脂粒子の表面に含有し、ゲル膨潤時の粒子間ブロッキングを防ぎ、通液性を向上させる作用を有する。
【0102】
通液向上剤(D)としては、多価金属塩(D1)及びカチオン性有機ポリマー(D2)が挙げられる。これらは、単独で使用することも、併用することもできる。
【0103】
本発明における多価金属塩(D1)としては、特に限定はされないが、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、アルミニウム及びチタニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と無機酸又は有機酸、例えば、後述の無機酸又は有機酸、との塩等が挙げられる。 これらのうち、入手の容易性や溶解性の観点から、アルミニウムの無機酸塩及びチタニウムの無機酸塩が好ましく、更に好ましいのは硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム及び硫酸ナトリウムアルミニウム、特に好ましいのは硫酸アルミニウム及び硫酸ナトリウムアルミニウム、最も好ましいのは硫酸ナトリウムアルミニウムである。これらは1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0104】
本発明におけるカチオン性有機ポリマー(D2)としては、特に限定されないが、国際公開2017-57709号に例示のある公知のカチオン性有機ポリマーが使用できる。
【0105】
カチオン性ポリマー(D2)の具体例としては、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、ポリ(N-アルキルアリルアミン)、ポリ(アルキルジアリルアミン)、モノアリルアミン-ジアリルアミン共重合体、N-アルキルアリルアミン-モノアリルアミン共重合体、モノアリルアミン-ジアルキルジアリルアンモニウム塩・共重合体、ジアリルアミン-ジアルキルジアリルアンモニウム塩・共重合体、ポリアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、アルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩の単独重合体、アルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩-アクリルアミド・共重合体、直鎖状ポリエチレンイミン、分岐鎖状ポリエチレンイミン、ポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン、ポリアミドポリアミン、ポリエーテルポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアミドポリアミン・エピクロロヒドリン樹脂及びポリアミジン等が挙げられる。また、ポリアクリルアミド又はポリメタクリルアミドに、ホルムアルデヒドとジエチルアミンとを反応させてなるアミノ化された変性体等も挙げられる。これらのうち、入手の容易性および吸水特性(特に、通液性)の観点から、ポリアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩の単独重合体、アルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩-アクリルアミド・共重合体が好ましい。
【0106】
カチオン性有機ポリマー(D2)は、強酸の共役塩基であるアニオンとの塩の形態であってよい。上記強酸としては、無機酸、有機酸が挙げられ、公的な強酸としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、カンファースルホン酸等が挙げられる。なお、カチオン性基が塩を形成させる方法としては、例えば、アミノ基又はアンモニオ基を酸性化合物で中和しても良いし、アミノ基と求電子試薬{有機ハロゲン化物(塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル及び臭化エチル等)、ジアルキルカーボネート(ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等)及び硫酸エステル(ジメチル硫酸及びジエチル硫酸等)等}と反応させても良い。
【0107】
通液向上剤(D)の使用量(重量部)は、吸収性能(特に、通液速度)の観点から吸収性樹脂粒子100重量部に対して、0.01~2.0が好ましく、更に好ましくは0.05~1.0である。
【0108】
通液向上剤(D)の好適な使用方法等については、国際公開2016-143739号、国際公開2016-143736、国際公開2017-57709号等に例示の方法が本発明に適用できる。
【0109】
本発明の吸収性樹脂粒子は、耐吸湿ブロッキング性向上の観点より、吸収性樹脂粒子の表面を水不溶性無機粒子でコーティングすることもできる。水溶性無機粒子としては、親水性無機粒子及び疎水性無機粒子等が含まれる。親水性無機物粒子としては、ガラス、シリカゲル、シリカ(コロイダルシリカやフュームドシリカ)及びクレー等の粒子が挙げられる。また、疎水性無機粒子としては、炭素繊維、カオリン、タルク、マイカ、ベントナイト、セリサイト、アスベスト及びシラス等の粒子が挙げられる。これらのうち、親水性無機粒子が好ましく、最も好ましいのはシリカ(コロイダルシリカやフュームドシリカ)である。
【0110】
水不溶性無機粒子の含有量(重量%)は、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、0.01~5が好ましく、さらに好ましくは0.05~1、特に好ましくは0.1~0.5である。
【0111】
本発明の吸収性樹脂粒子には、他の添加剤{たとえば、公知(特開2003-225565号、特開2006-131767号等)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤及び有機質繊維状物等}を含むこともできる。これらの添加剤を含有させる場合、添加剤の含有量(重量%)は、架橋重合体(A1)の重量に基づいて、0.001~10が好ましく、さらに好ましくは0.01~5、特に好ましくは0.05~1、最も好ましくは0.1~0.5である。
【0112】
本発明の吸収性樹脂粒子は、
(1)0.9重量%生理食塩水の保水量が25~60g/g、
(2)重量平均粒子径が250~600μm、
(3)全吸収性樹脂粒子に対して、150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合が3重量%以下、
(4)吸収性樹脂粒子を生理食塩水に30分浸漬後の2.14kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度(ml/分)が5以上、及び、
(5)Vortex法による吸収速度(秒)が45以下
を満たしてなる吸収性樹脂粒子である。
【0113】
<生理食塩水の保水量>
本発明の吸収性樹脂粒子の生理食塩水の保水量(g/g)は、吸収性物品の耐カブレ性の観点から、25~60であり、好ましくは26~55、特に好ましくは27~50である。なお、保水量は以下の方法により測定される。
【0114】
目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りする。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式から保水量を求める。
生理食塩水の保水量(g/g)=(h1)-(h2)
なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃とする。測定試料を用いない以外は上記と同様にして、遠心脱水後のティーバックの重量を測定し(h2)とする。
【0115】
<2.14kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度>
本発明の吸収性樹脂粒子の2.14kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度(ml/分)は、吸収性物品の吸収速度および表面ドライ性の観点から、5以上であり、15以上が好ましく、特に好ましくは30以上である。なお、通液速度は以下の方法により測定される。
【0116】
測定試料0.32gを150ml生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)に30分間浸漬して含水ゲル粒子を調製する。そして、垂直に立てた円筒[直径(内径)25.4mm、長さ40cm、底部から40mlの位置及び60mlの位置にそれぞれ目盛り線(m1)及び(m2)が設けてある。]の底部に、金網(目開き106μm、JIS Z8801-1:2006)と、開閉自在のコック(内径5mm、長さ10cm)とを有する濾過円筒管内に、コックを閉鎖した状態で、調製した含水ゲル粒子を生理食塩水と共に移した後、この含水ゲル粒子の上に円形金網(目開き150μm、直径25mm:金網面に対して垂直に結合する加圧軸(重さ22g、長さ47cm)を有する)を金網と含水ゲル粒子とが接触するように載せ、更に加圧軸におもり(88.5g)を載せ、1分間静置する。引き続き、コックを開き、濾過円筒管内の液面が60ml目盛り線(m2)から40ml目盛り線(m1)になるのに要する時間(T1;秒)を計測し、次式より通液速度(ml/分)を求める。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃で行う。
2.14kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度(ml/分)=20ml×60/(T1-T2)
なお、T2は、測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測した時間である。
【0117】
<Vortex法による吸収速度>
本発明の吸収性樹脂粒子の吸収速度(秒)は、吸収性物品の吸収速度および表面ドライ性の観点から、45以下であり、好ましくは35以下、特に好ましくは30以下である。なお、Vortex法による吸収速度は以下の方法により測定される。
【0118】
100mlビーカーに50gの生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)を入れ、25±2℃に温度調整を行う。次にスターラーピース(長さ30mm、中心部直径8mm、端部直径7mm)をビーカーの中央部に入れ、生理食塩水を600rpmで撹拌する。ビーカー壁面付近に測定試料2.000gを投入する。なお、使用する測定試料はその代表的粒子径の状態でサンプリングされるように、サンプルスプリッター等を用いて調整する。測定試料を投入し終わった時点から計測をスタートし、測定試料と生理食塩水とからなる混合液の液面が平らになる(液面からの乱反射光が消失する点)までの時間を吸水速度とする。なお、試験は25±3℃、60±5RH%の条件下で行う。
【0119】
<見掛け密度> 本発明の吸収性樹脂粒子の見掛け密度(g/ml)は、吸収性物品の吸収速度および表面ドライ性の観点から、0.4~0.8が好ましく、更に好ましくは0.5~0.75、特に好ましくは0.6~0.7である。なお、見掛け密度は、JIS K7365:1999に準拠して、25℃で測定される。
【0120】
吸収性樹脂粒子の含水率(重量%)は、2.5~15が好ましく、更に好ましくは2.5~10、最も好ましくは2.5~8である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。なお、含水率は乾燥工程と必要に応じて行われる後処理工程(表面架橋及び表面処理工程等)で適宜調整される。
【0121】
本発明の吸収体は、本発明の吸収性樹脂粒子を含有する。吸収体としては、吸収性樹脂粒子を単独で用いても良く、他の材料と共に用いて吸収体としても良い。
他の材料としては繊維状物等が挙げられる。繊維状物と共に用いた場合の吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの(特開2003-225565号公報、特開2006-131767号公報及び特開2005-097569号公報等)と同様である。
【0122】
上記繊維状物として好ましいのは、セルロース系繊維、有機系合成繊維及びセルロース系繊維と有機系合成繊維との混合物である。
【0123】
セルロース系繊維としては、例えばフラッフパルプ等の天然繊維、ビコースレーヨン、アセテート及びキュプラ等のセルロース系化学繊維が挙げられる。このセルロース系天然繊維の原料(針葉樹及び広葉樹等)、製造方法(ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、メカニカルパルプ及びCTMP等)及び漂白方法等は特に限定されない。
【0124】
有機系合成繊維としては、例えばポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリエステル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン系繊維及び熱融着性複合繊維(融点の異なる上記繊維の少なくとも2種を鞘芯型、偏芯型、並列型等に複合化された繊維、上記繊維の少なくとも2種をブレンドした繊維及び上記繊維の表層を改質した繊維等)が挙げられる。
【0125】
これらの繊維状物の内で好ましいのは、セルロース系天然繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリエチレン系繊維、ポリエステル系繊維、熱融着性複合繊維及びこれらの混合繊維であり、更に好ましいのは、得られた吸水剤の吸水後の形状保持性に優れるという点で、フラッフパルプ、熱融着性複合繊維及びこれらの混合繊維である。
【0126】
上記繊維状物の長さ、太さについては特に限定されず、長さは1~200mm、太さは0.1~100デニールの範囲であれば好適に使用することができる。形状についても繊維状であれば特に限定されず、細い円筒状、スプリットヤーン状、ステープル状、フィラメント状及びウェブ状等が例示される。
【0127】
吸収性樹脂粒子を、繊維状物と共に吸収体とする場合、吸収性樹脂粒子と繊維の重量比率(吸収性樹脂粒子の重量/繊維の重量)は40/60~90/10が好ましく、更に好ましくは70/30~80/20である。
【0128】
本発明の吸収性物品は上記吸収体を用いる。吸収性物品としては、紙おむつや生理用ナプキン等の衛生用品のみならず、後述する各種水性液体の吸収や保持剤用途、ゲル化剤用途等の各種用途に使用されるものとして適用可能である。吸収性物品の製造方法等は、公知のもの(特開2003-225565号公報、特開2006-131767号公報及び特開2005-097569号公報等に記載のもの)と同様である。
【実施例
【0129】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。
【0130】
<製造例1>
特公昭54-37986号公報に記載の方法に準じ、カチオン性ポリマーの油中分散体を製造した。すなわち、2-アミノエチルメタクリレート・メタンスルホン酸塩300gをイオン交換水200gに溶解し、単量体水溶液を調製した。別に2LコルベンにIPソルベント(出光興産株式会社製イソパラフィン)430gを入れ、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート70gを溶解し、攪拌を続けながら先に調製した単量体水溶液を乳化分散させた。この乳濁液に窒素ガスを30分通じ、水浴上で50℃に保って攪拌を行いつつアゾビスジメチルバレロニトリルの10重量%アセトン溶液(触媒溶液)3mLを加えて重合を開始した。4時間の反応後、上記の触媒溶液3mLを追加し、更に2時間50℃に保って攪拌したのち放冷し、カチオン性ポリマーの油中分散体(数平均分子量400万、固形分濃度30%)を得た。この油中分散体を(C-1)とする。
【0131】
<実施例1> 水溶性ビニルモノマー(a1-1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}165部(2.29モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.519部(0.0020モル部)及び脱イオン水330.37部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が95℃に達した後、95±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1-1)を得た。次にこの含水ゲル(1-1)500.00部をミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液137.50部、ポリグリセリンオレイン酸エステル{三菱化学フーズ株式会社製、リョートーポリグリエステルO-50D、HLB:7}0.66部添加して混合し、細断ゲル(1-2)を得た。さらに細断ゲル(1-2)を130℃、75分で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150~710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子(1-3)を得た。この乾燥体粒子(1-3)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部および製造例1で得られたカチオン性ポリマーの油中分散体(C-1)0.5部を同時にスプレー噴霧しながら加えて混合し、130℃で30分間静置して表面架橋することにより、本発明の吸収性樹脂粒子(D-1)を得た。吸収性樹脂粒子(D-1)の重量平均粒子径は380μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は0.3重量%及び形状は破砕状であった。
【0132】
<実施例2> 水溶性ビニルモノマー(a1-1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}165部(2.29モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.519部(0.0020モル部)、脱イオン水297.37部及びポリエーテル変性シリコーン{信越化学工業株式会社製、KF-352A、HLB:7}の1%水分散液33部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が95℃に達した後、95±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(2-1)を得た。次にこの含水ゲル(2-1)500.00部をミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液137.50部を添加して混合し、細断ゲル(2-2)を得た。さらに細断ゲル(2-2)を130℃、75分で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150~710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子(2-3)を得た。この乾燥体粒子(2-3)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部、製造例1で得られたカチオン性ポリマーの油中分散体(C-1)0.5部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、130℃で30分間静置して表面架橋することにより、本発明の吸収性樹脂粒子(D-2)を得た。吸収性樹脂粒子(D-2)の重量平均粒子径は380μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は0.2重量%及び形状は破砕状であった。
【0133】
<実施例3> 水溶性ビニルモノマー(a1-1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}165部(2.29モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.519部(0.0020モル部)及び脱イオン水330.37部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が95℃に達した後、95±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(3-1)を得た。次にこの含水ゲル(3-1)500.00部をミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液137.50部及びポリエーテル変性シリコーン{信越化学工業株式会社製、KF-352A、HLB:7}0.62部を添加して混合し、細断ゲル(3-2)を得た。さらに細断ゲル(3-2)を130℃、75分で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150~710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子(3-3)を得た。この乾燥体粒子(3-3)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部および30%カリウムミョウバン水溶液の2部を同時にスプレー噴霧しながら加えて混合し、130℃で30分間静置して表面架橋することにより、本発明の吸収性樹脂粒子(D-3)を得た。吸収性樹脂粒子(D-3)の重量平均粒子径は380μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は0.2重量%及び形状は破砕状であった。
【0134】
<実施例4> 水溶性ビニルモノマー(a1-1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}165部(2.29モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.442部(0.0017モル部)及び脱イオン水340.37部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が95℃に達した後、95±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(4-1)を得た。次にこの含水ゲル(4-1)500.00部をミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液137.50部、ポリオキシエチレンアルキレンエーテル{三洋化成工業株式会社製、ナロアクティーCL-40、炭素数12~15、HLB:9}の1%水分散液8部を添加して混合し、細断ゲル(4-2)を得た。さらに細断ゲル(4-2)を130℃、75分で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150~710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子(4-3)を得た。この乾燥体粒子(4-3)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部および30%カリウムミョウバン水溶液の2部を同時にスプレー噴霧しながら加えて混合し、130℃で30分間静置して表面架橋することにより、本発明の吸収性樹脂粒子(D-4)を得た。吸収性樹脂粒子(D-4)の重量平均粒子径は380μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合割合は0.3重量%及び形状は破砕状であった。
【0135】
<実施例5> 水溶性ビニルモノマー(a1-1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}165部(2.29モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.442部(0.0017モル部)及び脱イオン水340.37部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が95℃に達した後、95±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(5-1)を得た。次にこの含水ゲル(5-1)500.00部をミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液137.50部、ショ糖ステアリン酸エステル{三菱化学フーズ株式会社製、リョートーシュガーエステルS-770、HLB:7}0.16部を添加して混合し、細断ゲル(5-2)を得た。さらに細断ゲル(5-2)を130℃、75分で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150~710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子(5-3)を得た。この乾燥体粒子(5-3)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの5%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部および30%カリウムミョウバン水溶液の2部を同時にスプレー噴霧しながら加えて混合し、130℃で30分間静置して表面架橋することにより、本発明の吸収性樹脂粒子(D-5)を得た。吸収性樹脂粒子(D-5)の重量平均粒子径は380μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は0.3重量%及び形状は破砕状であった。
【0136】
<実施例6> 水溶性ビニルモノマー(a1-1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}165部(2.29モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.442部(0.0017モル部)、脱イオン水340.37部およびポリオキシエチレンアルキレンエーテル{三洋化成工業株式会社製、ナロアクティーCL-40、炭素数12~15、HLB:9}の1%水分散液16.4部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が95℃に達した後、95±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(6-1)を得た。次にこの含水ゲル(6-1)500.00部をミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液137.50部を添加して混合し、細断ゲル(6-2)を得た。さらに細断ゲル(6-2)を130℃、75分で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150~710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子(6-3)を得た。この乾燥体粒子(6-3)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの1.5%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部および30%カリウムミョウバン水溶液の2部を同時にスプレー噴霧しながら加えて混合し、130℃で30分間静置して表面架橋することにより、本発明の吸収性樹脂粒子(D-6)を得た。吸収性樹脂粒子(D-6)の重量平均粒子径は380μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は0.3重量%及び形状は破砕状であった。
【0137】
<比較例1> ガラス製反応容器に、アクリル酸ナトリウム77部、アクリル酸22.85部、N,N’-メチレンビスアクリルアミド0.15部、脱イオン水299.54部及びジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム0.001部を仕込み、攪拌、混合しながら内容物の温度を3℃に保った。内容物に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とし、過酸化水素の1%水溶液0.3部、アスコルビン酸の0.2%水溶液0.8部及び2,2’-アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライドの2%水溶液0.8部を添加・混合して重合を開始させ、反応液が80℃に達した後、重合温度80±2℃で約5時間重合することにより、架橋重合体からなる含水ゲル(R1-1)を得た。次にこの含水ゲル(R1-1)400.00部をミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断し、細断ゲル(R1-2)を得た。さらに細断ゲル(R1-2)を160℃、60分で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150~710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子(R1-3)を得た。この乾燥体粒子(R1-3)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの10%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部および製造例1で得られたカチオン性ポリマーの油中分散体0.5部を同時にスプレー噴霧しながら加えて混合し、130℃で30分間静置して表面架橋することにより、比較用の吸収性樹脂粒子(H-1)を得た。吸収性樹脂粒子(H-1)の重量平均粒子径は370μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は0.5重量%及び形状は破砕状であった。
【0138】
<比較例2> 比較例1と同様にして架橋重合体からなる含水ゲルを得た。このものを含水ゲル(R2-1)とする。次にこの含水ゲル(R2-1)400.00部をミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断しながらショ糖ステアリン酸エステル{三菱化学フーズ株式会社製、リョートーシュガーエステルS-770、HLB:7}0.16部を添加して混合し、細断ゲル(R2-2)を得た。さらに細断ゲル(R2-2)を160℃、60分で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150~710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子(R2-3)を得た。この乾燥体粒子(R2-3)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部および30%硫酸アルミニウム水溶液の2部を同時にスプレー噴霧しながら加えて混合し、130℃で30分間静置して表面架橋することにより、比較用の吸収性樹脂粒子(H-2)を得た。吸収性樹脂粒子(H-2)の重量平均粒子径は370μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は0.5重量%及び形状は破砕状であった。
【0139】
<比較例3> 「カチオン性ポリマーの油中分散体(C-1)0.5部」を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして、比較用の吸収性樹脂粒子(H-3)を得た。吸収性樹脂粒子(H-3)の重量平均粒子径は380μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は0.3重量%及び形状は破砕状であった。
【0140】
<比較例4> 水溶性ビニルモノマー(a1-1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}135部(1.87モル部)、架橋剤(b1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.260部(0.0010モル部)及び脱イオン水360.63部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.1625部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.325部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が95℃に達した後、95±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(R4-1)を得た。次にこの含水ゲル(R4-1)500.00部をミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液112.50部及びポリエーテル変性シリコーン{信越化学工業株式会社製、KF-354L、HLB:16}0.54部を添加して混合し、細断ゲル(R4-2)を得た。さらに細断ゲル(R4-2)を200℃、40分で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150~710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子(R4-3)を得た。この乾燥体粒子(R4-3)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの3%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、130℃で30分間静置して表面架橋することにより、比較用の吸収性樹脂粒子(H-4)を得た。吸収性樹脂粒子(H-4)の重量平均粒子径は380μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は0.5重量%及び形状は破砕状であった。
【0141】
<比較例5> アクリル酸145.4部を9.4部の水で希釈し、30~20℃に冷却しつつ25%の水酸化ナトリウム水溶液242.3部を加えて中和した。この溶液に、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.12部、次亜リン酸ソーダ1水和物0.0146部及び過硫酸カリウム0.0727部を添加・溶解し、25℃でバイオミキサー(日本精機株式会社製ABM-2型)にて2分間撹拌・分散してモノマー水溶液を得た。 次いで、撹拌機、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、シクロヘキサン624部を入れ、これに、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルリン酸エステル(第一工業製薬株式会社、商品名:プライサーフA210G)1.56部を添加・溶解した後、撹拌しつつ窒素置換し、70℃まで昇温した。そして、70℃に保ったまま、モノマー水溶液を6.6部/分で6分間滴下して75℃で15分間保持した後、残りのモノマー水溶液を6.6部/分で54分間に亘って滴下した。その後、75℃で30分間熟成した後、水をシクロヘキサンとの共沸によって樹脂の含水率が約20%(赤外水分計:FD-100型、Kett社製、180℃、20分で測定)となるまで除去した。30℃に冷却し撹拌を停止すると、樹脂粒子が沈降したので、デカンテーションにより、樹脂粒子とシクロヘキサン層とを分離した後、濾別して、80℃で減圧乾燥し、目開き710及び150μmのふるいを用いて710~150μmの粒度に調整することにより、比較用の吸収性樹脂粒子(H-5)を得た。吸収性樹脂粒子(H-5)の重量平均粒子径は350μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は0.0重量%及び形状は球状であった。
【0142】
<比較例6> 実施例5と同様にして架橋重合体からなる含水ゲルを得た。このものを含水ゲル(R6-1)とする。 次にこの含水ゲル(R6-1)500.00部をミンチ機(ROYAL社製12VR-400K)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液137.50部を添加して混合し、細断ゲル(R6-2)を得た。さらに細断ゲル(R6-2)を130℃、75分で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサー(Oster社製OSTERIZER BLENDER)にて粉砕した後、目開き150及び710μmのふるいを用いて150~710μmの粒度に調整することにより、乾燥体粒子(R6-3)を得た。この乾燥体粒子(R6-3)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながらエチレングリコールジグリシジルエーテルの5%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の4部および30%カリウムミョウバン水溶液の2部を同時にスプレー噴霧しながら加えて混合し、130℃で30分間静置して表面架橋することにより、比較用の吸収性樹脂粒子(H-6)を得た。吸収性樹脂粒子(H-6)の重量平均粒子径は380μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は0.3重量%及び形状は破砕状であった。
【0143】
<比較例7> 市販のおむつ(キンバリー・クラーク社製、商品名:Huggies、サイズ:L、入手国:中国)から吸水性樹脂を取り出し、これを比較用の吸収性樹脂粒子(H-7)とした。吸収性樹脂粒子(H-7)の重量平均粒子径は380μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は0.3重量%及び形状は破砕状であった。
【0144】
<比較例8> 市販のおむつ(P&G社製、商品名:パンパース、サイズ:L、入手国:日本)から吸水性樹脂を取り出し、これを比較用の吸収性樹脂粒子(H-8)とした。吸収性樹脂粒子(H-8)の重量平均粒子径は390μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は0.3重量%及び形状は破砕状であった。
【0145】
<比較例9> 市販のおむつ(大王製紙株式会社製、商品名:GOO.N、サイズ:L、入手国:中国)から吸水性樹脂を取り出し、これを比較用の吸収性樹脂粒子(H-9)とした。吸収性樹脂粒子(H-9)の重量平均粒子径は340μm、粒子径150μm未満の粒子径を有する粒子の重量割合は0.2重量%及び形状は球状であった。
【0146】
実施例1~6、比較例1~9の吸収性樹脂粒子について保水量、加圧下吸収量、通液速度、Vortex法による吸収速度、見掛け密度、及び含水率を測定した。結果を表1に示した。ここで、加圧下吸収量は、以下の方法で測定した。
【0147】
<加圧下吸収量> 目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径:25mm、高さ:34mm)内に、30メッシュふるいと60メッシュふるいを用いて250~500μmの範囲にふるい分けした測定試料0.16gを秤量し、円筒型プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に測定試料がほぼ均一厚さになるように整えた後、この測定試料の上に分銅(重量:205.6g、外径:24.5mm、)を乗せた。この円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M1)を計量した後、生理食塩水(食塩濃度0.9重量%)60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブを垂直に立ててナイロン網側を下面にして浸し、60分静置した。60分後に、円筒型プラスチックチューブをシャーレから引き上げ、これを斜めに傾けて底部に付着した水を一箇所に集めて水滴として垂らすことで余分な水を除去した後、測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M2)を計量し、次式から加圧下吸収量を求めた。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃であった。加圧下吸収量(0.6psi)(g/g)={(M2)-(M1)}/0.16
【0148】
<吸収性物品(紙おむつ)の調製> フラッフパルプ100部と評価試料{実施例及び比較例の吸収性樹脂粒子}100部とを気流型混合装置{株式会社オーテック社製パッドフォーマー}で混合して、混合物を得た後、この混合物を坪量約500g/mとなるように均一にアクリル板(厚み4mm)上に積層し、5Kg/cmの圧力で30秒間プレスし、吸収体を得た。この吸収体を14cm×36cmの長方形に裁断し、各々の上下に吸収体と同じ大きさの吸水紙(坪量15.5g/m、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番)を配置し、さらにポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB-1)を裏面に、不織布(坪量20g/m、旭化成社製エルタスガード)を表面に配置することにより紙おむつを調製した。
【0149】
この紙おむつについて、SDMEによる表面ドライネス値を以下の方法で評価した。<SDME法による表面ドライネス値> SDME(Surface Dryness Measurement Equpment)試験器(WK system社製)の検出器を十分に湿らした紙おむつ{人工尿(塩化カリウム0.03重量%、硫酸マグネシウム0.08重量%、塩化ナトリウム0.8重量%及び脱イオン水99.09重量%)の中に紙おむつを浸し、60分放置して調製した。}の上に置き、0%ドライネス値を設定し、次に、SDME試験器の検出器を乾いた紙おむつ{紙おむつを80℃、2時間加熱乾燥して調製した。}の上に置き100%ドライネスを設定し、SDME試験器の校正を行った。次に、測定する紙おむつの中央に金属リング(内径70mm、長さ50mm)をセットし、人工尿80mlを注入し、注入開始から人工尿を吸収し終えるまで{人工尿による光沢が確認できなくなるまで}の時間を計測し、この値を吸収速度(1)とした。人工尿を吸収し終えたら、直ちに金属リングを取り去り、紙おむつの中央にSDME検出器を載せて、表面ドライネス値を測定を開始し、測定開始から5分後の値を表面ドライネス値(1)とした。
【0150】
表面ドライネス値(1)を測定した後、そのまま24時間放置して、24時間後に、再び、人口尿80mlを注入して、注入開始から人工尿を吸収し終えるまでの時間を計測し、この値を吸収速度(2)とし、上記と同様にして表面ドライネス値(2)を得た。なお、人工尿、測定雰囲気及び放置雰囲気は、25±5℃、65±10%RHで行った。結果を表2に示した。
【0151】
【表1】
【0152】
【表2】
【0153】
表1記載の通り、本発明の吸収性樹脂粒子は高い通液性と吸収速度を両立している。通液性が高いことによって人工尿が紙おむつ中を速やかに拡散し、また吸収速度が高いことによって人工尿は吸収性樹脂粒子中に速やかに吸収される。従って、表2から判るように、本発明の吸収性樹脂粒子を使用した吸収性物品は、比較用吸収性樹脂粒子を使用した吸収性物品に比べ、吸収速度(2)及び表面ドライネス値(2)が著しく優れていた。すなわち、本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収性物品に適用したとき、長時間使用しても優れた吸収特性を維持できた。したがって、本発明の吸収性樹脂粒子を適用した吸収性物品を長時間使用しても、漏れやカブレ等の心配がないことが判る。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明の吸収性樹脂粒子は高い吸収速度と通液速度を有し、各種の吸収物品に適用したとき、長時間、繰り返し排尿しても吸収体の吸収速度や拡散性の低下が少なく、表面ドライ性に優れ、漏れやカブレが生じにくい優れた吸収性物品に使用でき、紙おむつ等の衛生用品に好適に用いられる。